説明

コンバインの情報表示装置

【課題】コンバインによる作業工程に沿って、状況変化の際に対応遅れを招くことなく、それぞれの的確な作業により全体としての作業性を向上することができるコンバインの情報表示装置を提供する。
【解決手段】コンバインの情報表示装置は、複数の切換用スイッチにより表示画面の切換えが可能なモニター表示部11を備え、このモニター表示部11には、少なくともエンジン負荷と穀粒貯留量と車速により作業状態を表示する通常画面21を備えたコンバインの情報表示装置において、上記モニター表示部11には、車高調節状態を表示する車高表示画面22を別途備え、所定の切換用スイッチ15の操作によって上記通常画面21から車高表示画面22への画面切換えを可能に構成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ操作によって表示画面の切換えが可能なモニター表示部を備えるコンバインの情報表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、スイッチ操作によって表示画面の切換えが可能なモニター表示部を備えるコンバインの情報表示装置が知られている。この情報表示装置は、エンジン負荷、穀粒貯留量、車速を含む多くの情報を1画面に表示し、また、切換スイッチの操作により、各種の情報を表示することができる。
【特許文献1】特開2001−251939号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記情報表示装置は、そのモニター表示部に多くの情報を表示することから、作業によっては不必要な情報が同時に表示され、その多くの表示項目の中から情報の選択を要することとなり、特に、状況変化の際に対応遅れを招くという問題があった。
【0004】
解決しようとする問題点は、コンバインによる作業工程に沿って、状況変化の際に対応遅れを招くことなく、それぞれの的確な作業により全体としての作業性を向上することができるコンバインの情報表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、複数の切換用スイッチにより表示画面の切換えが可能なモニター表示部11を備え、このモニター表示部11には、少なくともエンジン負荷と穀粒貯留量と車速により作業状態を表示する通常画面21を備えたコンバインの情報表示装置において、上記モニター表示部11には、車高調節状態を表示する車高表示画面22を別途備え、所定の切換用スイッチ15の操作によって上記通常画面21から車高表示画面22への画面切換えを可能に構成したことを特徴とする。
【0006】
モニター表示部11には、通常画面21によってエンジン負荷、穀粒貯留量、車速が表示され、所定の切換用スイッチ15の操作によって車高表示画面22に切換えすることにより車高調節状態が表示される。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1の構成において、前記モニター表示部11には、メンテナンス情報を表示するメンテナンスモード画面23を備え、このメンテナンスモード画面23は、上記通常画面21から上記切換用スイッチ15の操作によって画面切換えを可能とし、かつ、別途設けた第2の切換用スイッチ16によってメンテナンスを要する事項を表示するメンテナンス内容画面31aに画面切換え可能に構成したことを特徴とする。上記通常画面から第1の切換用スイッチ15の操作によってメンテナンスモード画面23に切換え、さらに第2の切換用スイッチ16の操作によってメンテナンス内容画面31aを切換えることにより必要なメンテナンス事項が表示される。
【発明の効果】
【0008】
請求項1のコンバインの情報表示装置のモニター表示部11には、車高調節状態の表示を要することなく、エンジン負荷、穀粒貯留量、車速が表示される通常画面21により、必要情報によって状況変化対応性を確保しつつ効率的に刈取り作業を進めることが可能となり、また、車高調節が必要な場合には、所定の切換用スイッチ15の操作によって車高表示画面22に切換えることにより車高調節状況を確認しつつ圃場の状況に応じた的確かつ迅速な車高調節が可能となることから、車高調節を含む刈取作業全体の作業性を向上することができる。
【0009】
請求項2のコンバインの情報表示装置は、請求項1の上記効果と合わせ、第2の切換用スイッチ16の操作によってメンテナンス内容画面31aを切換えることができるので、表示されたメンテナンス事項に基づいて、メンテナンスの適切な対応が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明に係るコンバインの情報表示装置の見取図とその画面例(?1)である。
情報表示装置1には、液晶表示等によるモニター表示部11およびエンジン回転計12を中央位置に上下2段に配置してその両側部に押しボタン型の左右のウィンカスイッチ13L,13Rを左右対称配置に設け、そのほかに、前照灯前向きスイッチ14F、前照灯下向きスイッチ14D、切替スイッチ15、ホーンスイッチ16等のスイッチを配置し、図示せぬモニター制御部を内設して一体に構成する。
【0011】
モニター表示部11は、作業用の通常画面21として、燃料残量21a、エンジン負荷21b、グレンタンク貯留量21c等の刈取作業に必要な情報を表示するほかに、切替スイッチ15、ホーンスイッチ16、ウィンカスイッチ13L,13Rを画面切換用スイッチとしてその組合せによって各種の情報を系統別に表示する。
【0012】
上記通常画面21について、第1のスイッチとしての切替スイッチ15の操作により、機体の車高調節状態を図形表示(図例は最高位置の表示)する車高表示画面22、メンテナンス情報表示の入口としてのメンテナンスモード画面23の各画面を経て通常画面21まで順次切換え可能に構成する。
【0013】
上記情報表示装置1は、モニター表示部11により作業機の稼動状況・稼動情報を適切に表示し、必要に応じて切替スイッチ15の操作により、通常画面21、車高表示画面22、メンテナンスモード画面23に順次切換えができる。したがって、その通常画面21により、車高調節状態の表示等を要することなく、エンジン負荷、穀粒貯留量、車速が表示されるので、必要情報によって状況変化対応性を確保しつつ効率的に刈取り作業を進めることが可能となり、また、車高調節が必要な場合には、所定の切換用スイッチの操作によって車高表示画面22に切換えることにより車高調節状況を確認しつつ圃場の状況に応じた的確かつ迅速な車高調節が可能となることから、車高調節を含む刈取作業全体の作業性を向上することができる。
【0014】
(メンテナンスモード)
また、上記モニター表示部11には、コンバインの稼動において所定のメンテナンス時間に到達するとメンテナンス案内の画面20を表示し、図2の画面例(2)に示すように、切替スイッチ15で選択表示したメンテナンスモード画面23から第2の切換用スイッチとしてのホーンスイッチ16の操作により、メンテナンス情報画面31から具体的なメンテナンス事項をメンテナンス内容画面31a(図例は、「メンテナンス50時間案内」)によって表示する。
【0015】
上記情報表示装置1は、モニター表示部11により作業機の稼動状況・稼動情報を適切に表示し、切替スイッチ15の操作により、通常画面21、車高表示画面22、メンテナンスモード画面23に順次切換えができ、また、メンテナンス時間毎にメンテナンスの案内をすることから、画面を切換えてメンテナンス内容をメンテナンス内容画面31aによって確認することができる。
【0016】
また、図3の画面例(3)に示すように、メンテナンスモード画面23においては、各メンテナンスの内容を確認するために、「メンテナンス情報」の画面31、「日常点検」の画面32、「格納点検」の画面33が切換可能に表示され、「モード終了」の画面34において切替スイッチ15の操作により通常画面21に戻ることができる。
【0017】
(整備モード)
次に、整備モードについて説明する。
図4の画面例(4)に示すように、通常画面21において、切替スイッチ15とホーンスイッチ16とを同時押しすることにより、「整備モード」の画面41に移行し、各部のセンサー確認、センサー調整を可能にする。
【0018】
「整備モード」の画面41においては、図5の画面例(5)に示すように、第3の切換用スイッチとしてのウィンカスイッチ13L,13Rの操作により、「システムチェック」の画面42、「センサ調整モード」の画面43、「異常履歴モード」の画面44が切換可能に表示され、「モード終了」の画面45において切替スイッチ15の操作により通常画面21に戻ることができる。
【0019】
上記「異常履歴モード」の画面44においては、機体の異常履歴の確認を可能とし、図6の画面例(6)に示すように、切替スイッチ15に続いて第3の切換用スイッチとしてのウィンカスイッチ13L,13Rを操作することにより「発電回路異常」の画面44aを表示する。
【0020】
上記「センサ調整モード」の画面43においては各センサーの調整を可能とし、図7の画面例(7)に示すように、切替スイッチ15に続いてウィンカスイッチ13L,13Rを操作することにより、「基準値表示変更」の画面43a、「刈取停止位置」の画面43b、「調査対象・調整方法」の画面43cの順に切換えられ、各部のセンサ値確認と調整方法の表示により、センサー値の変更・設定をすることができる。
【0021】
上記「システムチェック」の画面42においては、各部のセンサー確認と各部の出力確認を可能とし、図8の画面例(8)に示すように、切替スイッチ15によって入力チェック、出力チェックモードに移行し、ウィンカスイッチ13L,13Rを操作することにより、「入力チェック」の画面42a、「出力チェック」の画面42bの順に切換えられる。
【0022】
(注意表示)
次に、各種の注意表示について説明する。
通常画面21において排ワラの詰まりが検出された場合は、詰まりセンサに応じて、図9の画面例(9)に示すように、「排ワラ詰まり」+図形の画面51a、「排ワラ部・脱穀部の詰まり発生」の画面51a、「詰まりを取り除いてください」の画面51cを順に所定時間間隔で表示することにより、その発生場所と発生部位の画像および対処方法を表示して機械の異常を分かり易く情報提供することができる。
【0023】
通常画面21においてオーガの詰まりが検出された場合は、詰まりセンサに応じて、図10の画面例(10)に示すように、「オーガ詰まり」+図形の画面52a、「オーガ先端部詰まり発生」の画面52a、「詰まりを取り除いてください」の画面52cを順に所定時間間隔で表示することにより、その発生場所と発生部位の画像および対処方法を表示して機械の異常を分かり易く情報提供することができる。
【0024】
オーガの自動張出・収納中において車速センサーにより走行状態が検出された場合は、図11の画面例(11)に示すように、「オーガ破損注意 オーガを収納してください」の画面53を表示することにより、オーガ旋回中における機体移動によってオーガを電柱等にぶつけて破損したり、パワステ操作等にてモータ・ギヤ等の破損防止のために、注意を促すことができる。
【0025】
ズームオーガが伸長状態でオーガ受けに収納された場合は、図12の画面例(12)に示すように、「オーガ破損注意 ズームが縮みきっていません」の画面54を表示することにより、ズームオーガが伸長状態のままオーガ受けに収納された場合に機体幅よりオーガ先端がはみ出すことによるオーガ先端部の破損防止の対応を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】情報表示装置の見取図とその画面例(1)である。
【図2】画面例(2)である。
【図3】画面例(3)である。
【図4】画面例(4)である。
【図5】画面例(5)である。
【図6】画面例(6)である。
【図7】画面例(7)である。
【図8】画面例(8)である。
【図9】画面例(9)である。
【図10】画面例(10)である。
【図11】画面例(11)である。
【図12】画面例(12)である。
【符号の説明】
【0027】
1 情報表示装置
11 モニター表示部
12 エンジン回転計
13L,13R ウィンカスイッチ(第3の切換用スイッチ)
15 切替スイッチ(第1の切換用スイッチ)
16 ホーンスイッチ(第2の切換用スイッチ)
20 メンテナンス案内画面
21 通常画面
21a 燃料残量
21b エンジン負荷
21c グレンタンク貯留量
22 車高表示画面
23 メンテナンスモード画面
31a メンテナンス内容画面
41 整備モード画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の切換用スイッチにより表示画面の切換えが可能なモニター表示部(11)を備え、このモニター表示部(11)には、少なくともエンジン負荷と穀粒貯留量と車速により作業状態を表示する通常画面(21)を備えたコンバインの情報表示装置において、
上記モニター表示部(11)には、車高調節状態を表示する車高表示画面(22)を別途備え、所定の切換用スイッチ(15)の操作によって上記通常画面(21)から車高表示画面(22)への画面切換えを可能に構成したことを特徴とするコンバインの情報表示装置。
【請求項2】
前記モニター表示部(11)には、メンテナンス情報を表示するメンテナンスモード画面(23)を備え、このメンテナンスモード画面(23)は、上記通常画面(21)から上記切換用スイッチ(15)の操作によって画面切換えを可能とし、かつ、別途設けた第2の切換用スイッチ(16)によってメンテナンスを要する事項を表示するメンテナンス内容画面(31a)に画面切換え可能に構成したことを特徴とする請求項1記載のコンバインの情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−237039(P2008−237039A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−78450(P2007−78450)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】