コンバインの排ワラ結束部
【課題】 脱穀装置の後部に脱着可能に連結される排ワラ結束装置を、任意の場所で降ろして安定良く載置しておくことができるとともに、取外した排ワラ結束装置を脱穀装置に速やかに連結することができるようにする。
【解決手段】 脱穀装置1の後部に脱着可能に連結される支持フレーム51の上方に排ワラ結束装置Bを連結支持するとともに、支持フレーム51の左右から一対のスタンド55を下向きに突設し、両スタンド55の間に形成された空間に結束巻紐56の収納ケース57を、そのケース底面がスタンド55の下端より高く位置するように支持してある。
【解決手段】 脱穀装置1の後部に脱着可能に連結される支持フレーム51の上方に排ワラ結束装置Bを連結支持するとともに、支持フレーム51の左右から一対のスタンド55を下向きに突設し、両スタンド55の間に形成された空間に結束巻紐56の収納ケース57を、そのケース底面がスタンド55の下端より高く位置するように支持してある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀装置から横倒れ姿勢搬出されてきた排ワラを排ワラ結束装置で所定量づつ結束して機外に放出するよう構成したコンバインの結束部に関する。
【背景技術】
【0002】
排ワラ結束装置としては、脱穀装置から搬送されてきた排ワラを横倒れ姿勢で収集する集束空間の上側にノッタ・ビル方式の結節機構および放出アームを配備するとともに、集束空間の下側に掻き込みパッカーおよび紐供給用のニードルを配備し、かつ、集束空間の出口側に集束圧感知用のドアを配備した仕様のものと、各機構の配置を集束空間に対して上下逆にした仕様のものとがあり、集束空間の下側にニードルを配備した前者の仕様では結束紐を先ずニードルに供給する関係で結束装置の下方に結束巻紐を収容配備する形態が採用される。
【0003】
排ワラ結束装置は脱穀装置における選別部のメンテナンス、あるいは、排ワラ結束装置自体のメンテナンスを行う場合などにおいて取外されることになり、その際、排ワラ結束装置を脱穀装置の連結するためのフレームを結束巻紐の収納ケースより下方に位置させて配備したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開昭54−177342号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
提案されている上記排ワラ結束装置は、連結用のフレームが最下部に在るので、脱穀装置から取外して地上に降ろしても収納ケースに荷重をかけないようにしておくことができるのであるが、パイプ材などを平面的に屈曲して前後方向および左右方向に充分な長さをもった直線状の接地部を有するフレームに構成したものであるために、凹凸のある場所で排ワラ結束装置を降ろすと、地上の隆起部に乗りあがって安定性が悪くなることがあった。また、排ワラ結束装置は横長の構造物であって、上記構成のフレームは前後方向長さに比べて左右に長いものになるので、フレームの左右方向直線部が地上の隆起に乗り上がることがないように、左右方向に長く扁平な場所に降ろす必要があった。特に、排ワラ結束装置自体のメンテナンスを行う場合には、メンテナンス中に排ワラ結束装置がぐらつくことがないように、降ろす場所や降ろす向きを充分考慮する必要があった。
【0005】
また、フレームが最下部に配備されているので、取外した排ワラ結束装置を圃場や露地に直に降ろすと、フレーム前端部における脱穀装置への連結部に土や泥が付着し、連結の際に土落とし処理を行わなければならなくなることもあった。
【0006】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、排ワラ結束装置を任意の場所で降ろして安定良く載置しておくことができるとともに、取外した排ワラ結束装置を脱穀装置に速やかに連結することができるようにすることを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、脱穀装置の後部に脱着可能に連結される支持フレームの上方に排ワラ結束装置を連結支持するとともに、前記支持フレームの左右から一対のスタンドを下向きに突設し、両スタンドの間に形成された空間に結束巻紐の収納ケースを、そのケース底面がスタンドの下端より高く位置するように支持してあることを特徴とする。
【0008】
上記構成によると、排ワラ結束装置を脱穀装置から取外して地上に降ろす場合、左右のスタンドは大きい間隔をもって独立して接地するので、左右方向に長く扁平でない場所でも安定よく降ろすことができる。また、左右のスタンドは、排ワラ結束装置の下方に配備される結束巻紐の収納ケースを保護するように支持フレームから下方に突設されているので、排ワラ結束装置を圃場や露地に降ろした場合、スタンドの下端接地部に土や泥が付着しても支持フレームに付着することはなく、再び排ワラ結束装置を脱穀装置に連結する際に連結箇所の土落としを行うような必要はない。
【0009】
従って、第1の発明によると、排ワラ結束装置を任意の場所で降ろして安定良く載置しておくことができるとともに、取外した排ワラ結束装置を脱穀装置に速やかに連結することができるようになった。
【0010】
第2の発明は、上記第1の発明において、
前記収納ケースを排ワラ穂先側に片寄るように一方のスタンドに接近して配備してあるものである。
【0011】
上記構成によると、他方のスタンドと収納ケースとの間には空間が形成されることになり、脱穀装置から後方に排出される排塵の通路が充分確保される。
【0012】
第3の発明は、上記第1または2の発明において、
前記収納ケースを装置後方から前後に抜き差し可能に係止するケース支持部を前記支持フレーム側に固設してあるものである。
【0013】
上記構成によると、脱穀装置の後部に排ワラ結束装置が連結された状態で、収納ケースを後方から挿抜して結束巻紐の交換、等を容易に行うことができる。
【0014】
第4の発明は、上記第1から3のいずれか一つの発明において、
前記収納ケースの後側板に紐繰出し孔を設けるとともに、この紐繰出し孔から導出された結束紐に作用する紐ブレーキを前記後側板の外面に備えてあるものである。
【0015】
上記構成によると、脱穀装置の後部に排ワラ結束装置が連結された状態において、装置後方の広い作業空間から操作して、結束巻紐から繰出した結束紐を紐ブレーキに通して所定の供給通路で排ワラ結束装置に供給装填することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1に、自脱型コンバインの後部における側面が、図2にその平面が、また、図3に排ワラ処理部の側面がそれぞれ示されている。機体後部に搭載された脱穀装置1の後端には円盤型の排ワラカッタCが連結されるとともに、この排ワラカッタCの後方に排ワラ結束装置Bが配備されており、後支点aを中心に上下揺動可能に配備された流路切換え板2を下げて排ワラカッタCの上部入口を閉塞することで、脱穀装置1から搬出され排ワラ搬送装置3によって搬送されてきた横倒れ姿勢の排ワラを排ワラ結束装置Bに供給し、また、流路切換え板2を上げて排ワラカッタCの上部入口を開放することで、搬送されてきた排ワラを細断して下方に放出することができるようになっている。
【0017】
前記排ワラ結束装置Bは、横倒れ姿勢で供給されてきた排ワラを所定量づつ収集して結束し、形成されたワラ束を機体後方に放出するもであり、排ワラ穂先側に配備された伝動ケース4の上下中間部位に集束空間Sが形成されている。なお、図2に示すように、排ワラ結束装置Bの株元側には、搬入されてくる排ワラの株端を左右揺動する叩き板5によって叩き揃える株揃え装置Dが配備されている。
【0018】
前記集束空間Sの下側となる伝動ケース4下部には、搬送されてきた排ワラを集束空間Sに向けて送り込むクランク式の掻き込みパッカー6、結束紐供給用のニードル7、集束空間Sに集められた排ワラの集束圧を感知する感知ドア8、等が装備されるとともに、集束空間Sの上側となる伝動ケース上部には、搬送されてきた排ワラを掻き込みパッカー6の作用域に送り込むクランク式の補助パッカー9、集束空間Sに面する紐案内板12、ノッタ・ビル方式の周知の結節機構10、クランク式の放出機構11が装備されており、掻き込みパッカー6および補助パッカー9は常時駆動されるとともに、下部のニードル7と上部の結節機構10、および、放出機構11は集束圧感知に基づいて間欠的に同調駆動されるようになっている。
【0019】
上記排ワラ結束装置Bの基本的な結束作動を以下に説明する。つまり、搬送されてきた排ワラは、先ず補助パッカー9によって後方に掻き込まれ、引き続き掻き込みパッカー6の掻き込み作用を受けて集束空間Sに送込まれる。感知ドア8に作用する集束圧が設定値未満の間は、ケース内装の1回転クラッチ(図示せず)が切られており、ニードル7は集束空間Sの下方に退避した待機位置で停止している。また、このニードル7に同調連動されている結節機構10および放出機構11も待機状態で停止している。
【0020】
集束空間Sに所定量の排ワラが集束されると、掻き込みパッカー6の掻き込み作動に伴って発生した設定値以上の集束圧を受けて感知ドア8が後退変位し、これによって1回転クラッチが起動可能状態になる。そして、次回の掻き込みパッカー6の掻き込み作動(最終回の掻き込み作動)に同調して所定のタイミングで1回転クラッチが入り作動してニードル7が駆動開始されるとともに結節機構10への駆動力伝達が開始される。
【0021】
掻き込みパッカー6が最終回の掻き込み作動を行うと、掻き込みパッカー6で排ワラを前後に押し分けた空間を通ってニードル7が排ワラ搬入経路を下から上に横断し、結節機構10の下方に配備されている紐案内板12を通過し、一端が結節機構10の紐ホルダー10bに先端部が保持されている結束紐を集束空間Sの排ワラに前方から巻き付けながら結節機構10に供給する。そして、このニードル7による紐供給作動に同調して結節機構10が作動し、結節ビル10aによる紐の結節、紐ホルダー10bによる供給紐の切断および切断端の保持、等の結節作動が順次行われる。
【0022】
その後、結節機構10と同調作動する放出機構11の放出アーム13が結束ワラを後方に押し出し移動させ、これに伴って結束紐が結節ビル10aから抜き出されて結び目が形成され、引き続く放出アーム13の後方移動によってワラ束Rが集束空間Sから後方に放出されてゆく。なお、この時点では感知ドア8は下方に後退して集束空間Sの後部出口を開放している。
【0023】
また、結節機構10で結節作動が完了して結束紐の新しい切断端が紐ホルダー10bにくわえ込み保持されるとニードル7は後退移動し、ニードル7が集束空間Sの下方の待機位置に戻った時点で1回転クラッチが自動的に切られてニードル駆動が停止されるとともに、感知ドア8が元の感知位置に上昇復帰し、これで1回の結束作動が完了し、後続の排ワラが引き続き集束されてゆく。
【0024】
以上のように構成された排ワラ結束装置Bにおける各部の詳細な構成を以下に説明する。
【0025】
最初に排ワラを掻き込み搬送する補助パッカー9は、図4に示すように、結束作用位置に対して排ワラ株元側に適当距離だけ離れた位置に配備されており、横向きに支架されて図5中反時計回りに常時回転駆動されるクランク軸16、このクランク軸16の両端に連結された左右一対のクランクアーム17、装置固定部に支点bを中心にして前後揺動可能に装着された揺動アーム18、および、クランクアーム17の遊端と揺動アーム18の遊端とに亘って枢支連結された板材製のパッカーアーム19とから構成されている。そして、クランクアーム17の回転に伴うクランク作動によってパッカーアーム19の先端が前後に長い回動軌跡をもって循環回動することで、排ワラを掻き込みパッカー6の作用域に向けて搬送するようになっている。なお、左右一対のパッカーアーム19の内、排ワラ穂先側に位置するパッカーアーム19は左右2連式に構成されている。
【0026】
そして、前記クランク軸16には、クランクアーム径よりも大径に構成された円形ドラム状の回転体20が取り付けられ、クランク機構にワラ屑などが巻き付くことが阻止されている。また、回転体20がクランク軸16と一体に回転することで、回転体20の外周面が排ワラを後方に送込む機能を発揮する。
【0027】
なお、左右のパッカーアーム19の間には、リミットスイッチからなる排ワラ存否センサ21が回転体20の外径内に隠されて配備されている。この排ワラ存否センサ21は、排ワラ搬入経路に突入して前後に揺動偏位する感知レバー22によって操作されるようになっており、感知レバー22が搬送排ワラに押されて後方に揺動することで排ワラの存在が感知され、排ワラの存在が感知されている間は、搬入されてくる排ワラの株端位置検出に基づいて前記株揃え装置Dの叩き板5が自動的に排ワラ稈長に対応した最適な叩き位置となるように電動モータ23によって左右ネジ送り制御され、また、排ワラ搬入が途絶えたことが感知レバー22の前方復帰によって感知されると、株端位置の検出情報に関係なく叩き板5は現在位置に保持されるようになっている。つまり、コンバイン本機が枕地に至って後続の排ワラ搬入が途絶えると、株端位置検出手段が短稈と判断して叩き板5が穂先側の移動限界まで移動制御されることになるが、上記のように排ワラが存在しなくなると叩き板5の作用位置制御を停止することで、次に排ワラが搬入されてきた初期から好適な位置での株端叩きを行うことができるのである。
【0028】
図5に示すように、前記収束空間Sの下側に、供給されてきた排ワラを下方から受け止めるように丸棒材からなる排ワラ支持部材25がニードル7の移動軌跡の横側に近接して配備固定されている。この排ワラ支持部材25は集束空間Sの後後部出口から前部入口を越えて前方にまで延出されるとともに、排ワラ支持部材25の収束空間始端部に相当する部位で、かつ、ニードル7の通過軌跡の直後に位置させて落込み段差部25aが屈曲形成されている。
【0029】
この構成によると、排ワラ結束装置Bの入口部に供給されてきた排ワラは下方から排ワラ支持部材25で受け止め支持され、その後、掻き込みパッカー6の掻き込み作用を受けて集束空間Sに押し込み供給されることになるが、集束空間Sは、排ワラ支持部材25の落込み段差部25aよって上下幅が大きくなっているので、掻き込みパッカー6で集束空間Sに押し込み供給された排ワラは落込み段差部25aにおいて落ち込むことになり、それより前方(集束空間の入口方向)への逆流が落込み段差部25aによって阻止される。
【0030】
また、この排ワラ支持部材25より排ワラ株元側には平板からなる搬送デッキ26が配備されるとともに、この搬送デッキ26の排ワラ受け止め高さが、排ワラ支持部材25の落込み段差部25aの底面よりも更に低い位置に設定されており、落込み段差部25aを越えて集束空間Sに送込まれた排ワラの株元側が低い搬送デッキ26で下方から受け止め支持される。このように、穂先側に比べて嵩高い株元側が搬送デッキ26で低く受け止められることで、大量の排ワラを崩れ動くことなく安定して集束することができるようになっている。
【0031】
なお、集束空間Sの上方には、湾曲板バネ材からなる分離バネ27と支持バネ28がそれぞれ後ろ向き片持ち状に配備されている。支持バネ28は搬送デッキ26に対向して配備されて、集束中の排ワラを集束空間Sの後部において受け止めるものであり、集束作動中は排ワラが集束空間Sから後方に逃げるのを阻止するとともに、ワラ束放出時には上方に撓んで逃げることができる。また、分離バネ27は支持バネ28よりも株端側に配備されており、集束空間Sに掻き込み供給される排ワラの通過を上方への弾性変形によって許容するが、ワラ束が放出される際に、結束されていない後続の排ワラがワラ束に引きずられて出て行くのをバネ先端で掻き取り阻止する。
【0032】
また、前記感知ドア8の前面には板バネ材からなるワラ受け板14が装着されている。このワラ受け板14は通常は前方上方に向けて片持ち状に張り出した姿勢にあり、この前方張り出し姿勢で集束排ワラを受け止めて集束圧を感知ドア8へ伝達するが、感知ドア8が所定の集束圧を感知してニードルが紐供給作動する際の掻きこみパッカー6による最後の掻き込み作動によって集束された排ワラの量が多いとワラ受け板14が弾性後退変形して集束圧の異常な上昇が吸収抑制されるようになっている。
【0033】
図6に示すように、集束空間Sの上方に位置する紐案内板12の下面には排ワラ持ち込み防止用のリブ12aが左右一対突設され、この一対のリブの間にニードル通過孔12bが形成されている。そして、この紐案内板12に下方から対向するように前記掻き込みパッカー6が配備されている。
【0034】
掻き込みパッカー6は、前後幅広に形成された左右一対のパッカーアーム31a,31bと、棒材からなる掻き込みアーム32を備えており、両パッカーアーム31a,31bが紐案内板12における左右の前記リブ12aの外側において案内板下面に対向配備されるとともに、掻き込みアーム32は前記搬送デッキ26よりも排ワラ株元側に離れた位置で作用するように株元側のパッカーアーム31bから延出されている。
【0035】
パッカーアーム31a,31bの中間部が、常時回転するパッカー駆動軸33に固着したクランクアーム34の遊端部に枢支連結されるとともに、装置固定部に支点c回りに揺動可能に装着した揺動アーム35の遊端部とパッカーアーム31a,31bの下端部とが枢支連結され、クランクアーム34の連続回転によってパッカーアーム31a,31bの先端が所定の軌跡Pa,Pbをもって循環回動して、前記補助パッカー9で送込まれてきた排ワラを集束空間Sに向けて送り込むよう構成されている。
【0036】
ここで、株元側パッカーアーム31bの先端が穂先側パッカーアーム31aの先端よりも低く設定され、穂先側パッカーアーム31aの先端軌跡Paが紐案内板12のリブ12aの下端より上方にまで及ぶのに対して、株元側パッカーアーム31bの先端軌跡Pbは紐案内板12のリブ12aの下端近くを通過するようになっている。これによると、穂先側パッカーアーム31aの先端軌跡Paと紐案内板12の下面との最小間隔t1よりも、株元側パッカーアーム31bの先端軌跡Pbと紐案内板12の下面との最小間隔t2が大きいものとなるので、各パッカーアームの先端部で排ワラが紐案内板近くにまで掻き込まれた際、嵩高い排ワラ株元側が過剰な力で紐案内板12およびリブ12aに押付けられることがなくなり、高流量の排ワラ搬送が行われても、掻き込みパッカー6と紐案内板12との間で排ワラ噛み込みロック現象が未然に回避されるようになっている。
【0037】
前記ニードル7は、ドア軸36を中心にして回動可能に装着されるとともに、ニードル駆動軸37に設けられた駆動アーム38とニードル7とが連動リンク39で連動連結されており、ケース内装の図示されない1回転クラッチが入れられることでニードル駆動軸37が起動され、駆動アーム38が1回転する内の前半の回転によってニードル7は待機位置から上方に揺動して集束空間Sを越え紐供給作動を行い、駆動アーム38の後半の回転によってニードル7が下方に揺動して元の待機位置にまで復帰作動するよう構成されている。
【0038】
ここで、前記掻き込みパッカー6とニードル7とは以下のようにその作動タイミングが設定されている。つまり、上記したように、基本的にニードル7は掻き込みパッカー6における左右一対のパッカーアーム31a,31bが排ワラを前後に掻き分けた空隙内を移動するのであるが、図8に示すように、パッカーアーム31aの先端が紐案内板12のリブ12aの下端に相当する位置に到達した時点において、ニードル7が掻き込みパッカー6を越えて紐案内板12のリブ下端に相当する位置に到達するように、ニードル7の作動タイミングが旧来よりも若干早い目に設定されている。
【0039】
このようにすることで、掻き込みパッカー6におけるパッカーアーム31a,31bの前後幅を旧来より小さくしながら、ニードル7の背面が排ワラ搬送通路に大きく露出することを回避し、もって、パッカーアーム31a,31bの湾曲背面とニードル7の背面との間で排ワラを挟み込むことが防止されている。
【0040】
前記放出機構11は、結節機構10を駆動する間欠駆動ギヤ40の駆動軸41に軸心P1周りに回転自在に遊嵌されたクランクアーム42と、固定の支点P2を中心に揺動自在に支持された揺動アーム43と、クランクアー42の先端支点P3と揺動アーム43の先端支点P4に亘って枢支連結された前記放出アーム44とからなり、放出アーム44は、板材からなる複数の放出アーム本体44aをL形に屈曲したパイプ材44bに並列固定して構成されている。そして、クランクアーム42が軸心P1周りに図中反時計回りに回転することによって放出アーム44の先端が、集束空間Sの前部から後部に亘る一定の循環回動軌跡Kを描くように構成されている。
【0041】
また、前記間欠駆動ギヤ40には、クランクアーム42の回転軌跡に干渉する駆動ピン45が設けられており、この駆動ピン45によってクランクアーム42が接当押圧されて前記方向に回転駆動されるようになっている。また、揺動アーム43の支点P2と放出アーム44とに亘って折り込み用バネ46が張設されている。なお、クランクアーム42における駆動ピン受け止め部位には圧縮コイルバ47が装着されており、駆動ピン45による接当駆動が開始される際の衝撃および接当騒音の軽減が図られている。
【0042】
前記放出機構11は以上のように構成されたものであり、以下にその放出作動につて説明する。
【0043】
図3に示すように、排ワラ集束中は間欠駆動ギヤ40は一定回転位相で保持されており、この場合、原点b0 に位置する駆動ピン45に対してクランクアーム42は先行回転した位置にある。つまり、放出アーム44の先端は、循環回動軌跡Kにおける前部下方の格納位置a0 で待機している。
【0044】
結節駆動のために駆動ギヤ40が反時計回りに回転するが、初期一定期間は駆動ピン45がクランクアーム42を押圧しないので、放出機構11は待機姿勢を維持する。そして、結節作動が進んで駆動ピン45が位置b1 に至るとクランクアーム42を押圧回動を開始し、図4に示すように、放出アーム44は格納位置a0 から反時計回りに進行して集束空間Sを後方に移動し、結束ワラを後方に押し出し作用する。
【0045】
図5に示すように、駆動ギヤ40が1回転して駆動ピン45が原点b0 に至ると、放出アーム44等が慣性により先行移動し、駆動ピン45に対してクランクアーム42が離れてゆく。
【0046】
そして、図6に示すように、クランクアーム42の軸心P1、先端支点P3、および、揺動アーム43の先端支点P4が一直線上に並ぶデッドポイントDPに到ると、折り込み用補助バネ46の張力が揺動アーム43と放出アーム11との屈折を促進する方向に働き、クランクアーム42の先端支点P3がデッドポイントDPを越える方向に移動する。この先端支点P3がデッドポイントDPを越えると、折り込み用バネ46の張力が揺動アーム43を先行揺動させる方向(図上では時計回り)に働き、放出機構11全体が折り込み用バネ46によって、図3に示す元の格納状態に折り込まれる。なお、この際、クランクアーム42が停止している駆動ギヤ40のストッパーピン48に接当して、放出アーム44が格納位置a0 に正しく復帰保持される。
【0047】
以上のように構成された排ワラ結束装置Bは、脱穀装置1、排ワラカッタC、あるいは、排ワラ結束装置B自体のメンテナンス、等のために脱穀装置1に対して脱着自在に連結支持されており、次に、排ワラ結束装置Bの脱着構造に関わる構造について説明する。
【0048】
排ワラ結束装置Bは角パイプ材を主材とする左右に長い支持フレーム51の上に連結支持されており、支持フレーム51から前方に延出した連結アーム52の前端を脱穀装置1の後部に脱着自在に連結するとともに、支持アーム52の基部に備えた連結部53を排ワラカッタCに脱着自在に連結するよう構成されている。
【0049】
そして、丸パイプ材をU形に屈曲してなる左右一対のスタンド55が支持フレーム51の左右から下方に向けて突設され、脱穀装置1から取外した排ワラ結束装置Bを左右のスタンド55を介して地上に降ろし置くことができるようになっている。また、左右のスタンド55で挟まれた空間Rに、内周から結束紐を繰出す、いわゆる内取りタイプの結束巻紐56を前後向きに収容する収納ケース57が、そのケース底面をスタンド55の下端より高く位置させた状態で配備されている。ここで、収納ケース57は、左右のスタンド55で挟まれた空間Rの右端箇所、つまり、排ワラ穂先側に片寄った箇所に配備されており、収納ケース57と左側のスタンド55との間に残された空間Rは、脱穀装置1の後端から排出される排塵の流出通路となっている。
【0050】
収納ケース57は、前方に開口された箱状に構成され、支持フレー51および右側のスタンド55に設けた支持板58に機体後方から抜き差し装着できるよう支持されている。つまり、前記支持板58には後向きの係止溝59が形成されるとともに、収納ケース57の側面には各係止溝59に後方から係入される連結ボルト60が突設されており、各連結ボルト60を対応する軽視溝59に係止した状態で連結ボルト60にナット61を装着して締め込むことで収納ケース57を所定姿勢で固定できるようになっている。
【0051】
なお、支持フレーム51および右側のスタンド55の前部には、装着された収納ケース57の前端開口を閉塞する前側板62が固定配備されており、収納ケース57に前後水平姿勢で収容された結束巻紐56の前方への抜け出しが阻止されるようになっている。また、収納ケース57の後側板57aには紐繰出し孔63が形成されるとともに、この紐繰出し孔63から後方に導出された結束紐に作用する紐ブレーキ64が後側板の外面に装着されている。
【0052】
前記紐ブレーキ64に通された結束紐は図示されない供給管に挿通案内されて、後退位置にあるニードル7の先端部まで導かれることになり、脱穀装置1に排ワラ結束装置Bが連結された状態において、装置後方の広い作業空間からの操で結束巻紐56から繰出した結束紐を紐ブレーキ64に通して所定の供給通路で排ワラ結束装置Bに供給装填することができるようになっている。
【0053】
〔別実施例〕
【0054】
(1)前記スタンド55の強度を高いものにすれば側面形状でL形に構成して実施することもできる。
【0055】
(2)前記スタンド55を板金構造で縦壁状に構成して実施することもできる。
【0056】
(3)前記収納ケース57は、巻回外周から結束紐を繰出す、いわゆる外取りタイプの結束巻紐56を収容するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】コンバイン後部の側面図
【図2】排ワラ結束装置の背面図
【図3】排ワラ結束装置の側面図
【図4】排ワラ結束装置における要部の背面図
【図5】排ワラ結束装置の要部側面図
【図6】放出アームの作動行程を示す側面図
【図7】放出アームの作動行程を示す側面図
【図8】放出アームの作動行程を示す側面図
【図9】放出アームの作動行程を示す側面図
【図10】結束装置搭載用の支持フレームの背面図
【図11】結束装置搭載用の支持フレームの一部切欠き側面図
【図12】結束装置搭載用の支持フレームの斜視図
【符号の説明】
【0058】
1 脱穀装置
51 支持フレーム
55 スタンド
56 結束巻紐
57 収納ケース
57a 後側板
63 紐繰出し孔
64 紐ブレーキ
B 排ワラ結束装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀装置から横倒れ姿勢搬出されてきた排ワラを排ワラ結束装置で所定量づつ結束して機外に放出するよう構成したコンバインの結束部に関する。
【背景技術】
【0002】
排ワラ結束装置としては、脱穀装置から搬送されてきた排ワラを横倒れ姿勢で収集する集束空間の上側にノッタ・ビル方式の結節機構および放出アームを配備するとともに、集束空間の下側に掻き込みパッカーおよび紐供給用のニードルを配備し、かつ、集束空間の出口側に集束圧感知用のドアを配備した仕様のものと、各機構の配置を集束空間に対して上下逆にした仕様のものとがあり、集束空間の下側にニードルを配備した前者の仕様では結束紐を先ずニードルに供給する関係で結束装置の下方に結束巻紐を収容配備する形態が採用される。
【0003】
排ワラ結束装置は脱穀装置における選別部のメンテナンス、あるいは、排ワラ結束装置自体のメンテナンスを行う場合などにおいて取外されることになり、その際、排ワラ結束装置を脱穀装置の連結するためのフレームを結束巻紐の収納ケースより下方に位置させて配備したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開昭54−177342号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
提案されている上記排ワラ結束装置は、連結用のフレームが最下部に在るので、脱穀装置から取外して地上に降ろしても収納ケースに荷重をかけないようにしておくことができるのであるが、パイプ材などを平面的に屈曲して前後方向および左右方向に充分な長さをもった直線状の接地部を有するフレームに構成したものであるために、凹凸のある場所で排ワラ結束装置を降ろすと、地上の隆起部に乗りあがって安定性が悪くなることがあった。また、排ワラ結束装置は横長の構造物であって、上記構成のフレームは前後方向長さに比べて左右に長いものになるので、フレームの左右方向直線部が地上の隆起に乗り上がることがないように、左右方向に長く扁平な場所に降ろす必要があった。特に、排ワラ結束装置自体のメンテナンスを行う場合には、メンテナンス中に排ワラ結束装置がぐらつくことがないように、降ろす場所や降ろす向きを充分考慮する必要があった。
【0005】
また、フレームが最下部に配備されているので、取外した排ワラ結束装置を圃場や露地に直に降ろすと、フレーム前端部における脱穀装置への連結部に土や泥が付着し、連結の際に土落とし処理を行わなければならなくなることもあった。
【0006】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、排ワラ結束装置を任意の場所で降ろして安定良く載置しておくことができるとともに、取外した排ワラ結束装置を脱穀装置に速やかに連結することができるようにすることを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、脱穀装置の後部に脱着可能に連結される支持フレームの上方に排ワラ結束装置を連結支持するとともに、前記支持フレームの左右から一対のスタンドを下向きに突設し、両スタンドの間に形成された空間に結束巻紐の収納ケースを、そのケース底面がスタンドの下端より高く位置するように支持してあることを特徴とする。
【0008】
上記構成によると、排ワラ結束装置を脱穀装置から取外して地上に降ろす場合、左右のスタンドは大きい間隔をもって独立して接地するので、左右方向に長く扁平でない場所でも安定よく降ろすことができる。また、左右のスタンドは、排ワラ結束装置の下方に配備される結束巻紐の収納ケースを保護するように支持フレームから下方に突設されているので、排ワラ結束装置を圃場や露地に降ろした場合、スタンドの下端接地部に土や泥が付着しても支持フレームに付着することはなく、再び排ワラ結束装置を脱穀装置に連結する際に連結箇所の土落としを行うような必要はない。
【0009】
従って、第1の発明によると、排ワラ結束装置を任意の場所で降ろして安定良く載置しておくことができるとともに、取外した排ワラ結束装置を脱穀装置に速やかに連結することができるようになった。
【0010】
第2の発明は、上記第1の発明において、
前記収納ケースを排ワラ穂先側に片寄るように一方のスタンドに接近して配備してあるものである。
【0011】
上記構成によると、他方のスタンドと収納ケースとの間には空間が形成されることになり、脱穀装置から後方に排出される排塵の通路が充分確保される。
【0012】
第3の発明は、上記第1または2の発明において、
前記収納ケースを装置後方から前後に抜き差し可能に係止するケース支持部を前記支持フレーム側に固設してあるものである。
【0013】
上記構成によると、脱穀装置の後部に排ワラ結束装置が連結された状態で、収納ケースを後方から挿抜して結束巻紐の交換、等を容易に行うことができる。
【0014】
第4の発明は、上記第1から3のいずれか一つの発明において、
前記収納ケースの後側板に紐繰出し孔を設けるとともに、この紐繰出し孔から導出された結束紐に作用する紐ブレーキを前記後側板の外面に備えてあるものである。
【0015】
上記構成によると、脱穀装置の後部に排ワラ結束装置が連結された状態において、装置後方の広い作業空間から操作して、結束巻紐から繰出した結束紐を紐ブレーキに通して所定の供給通路で排ワラ結束装置に供給装填することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1に、自脱型コンバインの後部における側面が、図2にその平面が、また、図3に排ワラ処理部の側面がそれぞれ示されている。機体後部に搭載された脱穀装置1の後端には円盤型の排ワラカッタCが連結されるとともに、この排ワラカッタCの後方に排ワラ結束装置Bが配備されており、後支点aを中心に上下揺動可能に配備された流路切換え板2を下げて排ワラカッタCの上部入口を閉塞することで、脱穀装置1から搬出され排ワラ搬送装置3によって搬送されてきた横倒れ姿勢の排ワラを排ワラ結束装置Bに供給し、また、流路切換え板2を上げて排ワラカッタCの上部入口を開放することで、搬送されてきた排ワラを細断して下方に放出することができるようになっている。
【0017】
前記排ワラ結束装置Bは、横倒れ姿勢で供給されてきた排ワラを所定量づつ収集して結束し、形成されたワラ束を機体後方に放出するもであり、排ワラ穂先側に配備された伝動ケース4の上下中間部位に集束空間Sが形成されている。なお、図2に示すように、排ワラ結束装置Bの株元側には、搬入されてくる排ワラの株端を左右揺動する叩き板5によって叩き揃える株揃え装置Dが配備されている。
【0018】
前記集束空間Sの下側となる伝動ケース4下部には、搬送されてきた排ワラを集束空間Sに向けて送り込むクランク式の掻き込みパッカー6、結束紐供給用のニードル7、集束空間Sに集められた排ワラの集束圧を感知する感知ドア8、等が装備されるとともに、集束空間Sの上側となる伝動ケース上部には、搬送されてきた排ワラを掻き込みパッカー6の作用域に送り込むクランク式の補助パッカー9、集束空間Sに面する紐案内板12、ノッタ・ビル方式の周知の結節機構10、クランク式の放出機構11が装備されており、掻き込みパッカー6および補助パッカー9は常時駆動されるとともに、下部のニードル7と上部の結節機構10、および、放出機構11は集束圧感知に基づいて間欠的に同調駆動されるようになっている。
【0019】
上記排ワラ結束装置Bの基本的な結束作動を以下に説明する。つまり、搬送されてきた排ワラは、先ず補助パッカー9によって後方に掻き込まれ、引き続き掻き込みパッカー6の掻き込み作用を受けて集束空間Sに送込まれる。感知ドア8に作用する集束圧が設定値未満の間は、ケース内装の1回転クラッチ(図示せず)が切られており、ニードル7は集束空間Sの下方に退避した待機位置で停止している。また、このニードル7に同調連動されている結節機構10および放出機構11も待機状態で停止している。
【0020】
集束空間Sに所定量の排ワラが集束されると、掻き込みパッカー6の掻き込み作動に伴って発生した設定値以上の集束圧を受けて感知ドア8が後退変位し、これによって1回転クラッチが起動可能状態になる。そして、次回の掻き込みパッカー6の掻き込み作動(最終回の掻き込み作動)に同調して所定のタイミングで1回転クラッチが入り作動してニードル7が駆動開始されるとともに結節機構10への駆動力伝達が開始される。
【0021】
掻き込みパッカー6が最終回の掻き込み作動を行うと、掻き込みパッカー6で排ワラを前後に押し分けた空間を通ってニードル7が排ワラ搬入経路を下から上に横断し、結節機構10の下方に配備されている紐案内板12を通過し、一端が結節機構10の紐ホルダー10bに先端部が保持されている結束紐を集束空間Sの排ワラに前方から巻き付けながら結節機構10に供給する。そして、このニードル7による紐供給作動に同調して結節機構10が作動し、結節ビル10aによる紐の結節、紐ホルダー10bによる供給紐の切断および切断端の保持、等の結節作動が順次行われる。
【0022】
その後、結節機構10と同調作動する放出機構11の放出アーム13が結束ワラを後方に押し出し移動させ、これに伴って結束紐が結節ビル10aから抜き出されて結び目が形成され、引き続く放出アーム13の後方移動によってワラ束Rが集束空間Sから後方に放出されてゆく。なお、この時点では感知ドア8は下方に後退して集束空間Sの後部出口を開放している。
【0023】
また、結節機構10で結節作動が完了して結束紐の新しい切断端が紐ホルダー10bにくわえ込み保持されるとニードル7は後退移動し、ニードル7が集束空間Sの下方の待機位置に戻った時点で1回転クラッチが自動的に切られてニードル駆動が停止されるとともに、感知ドア8が元の感知位置に上昇復帰し、これで1回の結束作動が完了し、後続の排ワラが引き続き集束されてゆく。
【0024】
以上のように構成された排ワラ結束装置Bにおける各部の詳細な構成を以下に説明する。
【0025】
最初に排ワラを掻き込み搬送する補助パッカー9は、図4に示すように、結束作用位置に対して排ワラ株元側に適当距離だけ離れた位置に配備されており、横向きに支架されて図5中反時計回りに常時回転駆動されるクランク軸16、このクランク軸16の両端に連結された左右一対のクランクアーム17、装置固定部に支点bを中心にして前後揺動可能に装着された揺動アーム18、および、クランクアーム17の遊端と揺動アーム18の遊端とに亘って枢支連結された板材製のパッカーアーム19とから構成されている。そして、クランクアーム17の回転に伴うクランク作動によってパッカーアーム19の先端が前後に長い回動軌跡をもって循環回動することで、排ワラを掻き込みパッカー6の作用域に向けて搬送するようになっている。なお、左右一対のパッカーアーム19の内、排ワラ穂先側に位置するパッカーアーム19は左右2連式に構成されている。
【0026】
そして、前記クランク軸16には、クランクアーム径よりも大径に構成された円形ドラム状の回転体20が取り付けられ、クランク機構にワラ屑などが巻き付くことが阻止されている。また、回転体20がクランク軸16と一体に回転することで、回転体20の外周面が排ワラを後方に送込む機能を発揮する。
【0027】
なお、左右のパッカーアーム19の間には、リミットスイッチからなる排ワラ存否センサ21が回転体20の外径内に隠されて配備されている。この排ワラ存否センサ21は、排ワラ搬入経路に突入して前後に揺動偏位する感知レバー22によって操作されるようになっており、感知レバー22が搬送排ワラに押されて後方に揺動することで排ワラの存在が感知され、排ワラの存在が感知されている間は、搬入されてくる排ワラの株端位置検出に基づいて前記株揃え装置Dの叩き板5が自動的に排ワラ稈長に対応した最適な叩き位置となるように電動モータ23によって左右ネジ送り制御され、また、排ワラ搬入が途絶えたことが感知レバー22の前方復帰によって感知されると、株端位置の検出情報に関係なく叩き板5は現在位置に保持されるようになっている。つまり、コンバイン本機が枕地に至って後続の排ワラ搬入が途絶えると、株端位置検出手段が短稈と判断して叩き板5が穂先側の移動限界まで移動制御されることになるが、上記のように排ワラが存在しなくなると叩き板5の作用位置制御を停止することで、次に排ワラが搬入されてきた初期から好適な位置での株端叩きを行うことができるのである。
【0028】
図5に示すように、前記収束空間Sの下側に、供給されてきた排ワラを下方から受け止めるように丸棒材からなる排ワラ支持部材25がニードル7の移動軌跡の横側に近接して配備固定されている。この排ワラ支持部材25は集束空間Sの後後部出口から前部入口を越えて前方にまで延出されるとともに、排ワラ支持部材25の収束空間始端部に相当する部位で、かつ、ニードル7の通過軌跡の直後に位置させて落込み段差部25aが屈曲形成されている。
【0029】
この構成によると、排ワラ結束装置Bの入口部に供給されてきた排ワラは下方から排ワラ支持部材25で受け止め支持され、その後、掻き込みパッカー6の掻き込み作用を受けて集束空間Sに押し込み供給されることになるが、集束空間Sは、排ワラ支持部材25の落込み段差部25aよって上下幅が大きくなっているので、掻き込みパッカー6で集束空間Sに押し込み供給された排ワラは落込み段差部25aにおいて落ち込むことになり、それより前方(集束空間の入口方向)への逆流が落込み段差部25aによって阻止される。
【0030】
また、この排ワラ支持部材25より排ワラ株元側には平板からなる搬送デッキ26が配備されるとともに、この搬送デッキ26の排ワラ受け止め高さが、排ワラ支持部材25の落込み段差部25aの底面よりも更に低い位置に設定されており、落込み段差部25aを越えて集束空間Sに送込まれた排ワラの株元側が低い搬送デッキ26で下方から受け止め支持される。このように、穂先側に比べて嵩高い株元側が搬送デッキ26で低く受け止められることで、大量の排ワラを崩れ動くことなく安定して集束することができるようになっている。
【0031】
なお、集束空間Sの上方には、湾曲板バネ材からなる分離バネ27と支持バネ28がそれぞれ後ろ向き片持ち状に配備されている。支持バネ28は搬送デッキ26に対向して配備されて、集束中の排ワラを集束空間Sの後部において受け止めるものであり、集束作動中は排ワラが集束空間Sから後方に逃げるのを阻止するとともに、ワラ束放出時には上方に撓んで逃げることができる。また、分離バネ27は支持バネ28よりも株端側に配備されており、集束空間Sに掻き込み供給される排ワラの通過を上方への弾性変形によって許容するが、ワラ束が放出される際に、結束されていない後続の排ワラがワラ束に引きずられて出て行くのをバネ先端で掻き取り阻止する。
【0032】
また、前記感知ドア8の前面には板バネ材からなるワラ受け板14が装着されている。このワラ受け板14は通常は前方上方に向けて片持ち状に張り出した姿勢にあり、この前方張り出し姿勢で集束排ワラを受け止めて集束圧を感知ドア8へ伝達するが、感知ドア8が所定の集束圧を感知してニードルが紐供給作動する際の掻きこみパッカー6による最後の掻き込み作動によって集束された排ワラの量が多いとワラ受け板14が弾性後退変形して集束圧の異常な上昇が吸収抑制されるようになっている。
【0033】
図6に示すように、集束空間Sの上方に位置する紐案内板12の下面には排ワラ持ち込み防止用のリブ12aが左右一対突設され、この一対のリブの間にニードル通過孔12bが形成されている。そして、この紐案内板12に下方から対向するように前記掻き込みパッカー6が配備されている。
【0034】
掻き込みパッカー6は、前後幅広に形成された左右一対のパッカーアーム31a,31bと、棒材からなる掻き込みアーム32を備えており、両パッカーアーム31a,31bが紐案内板12における左右の前記リブ12aの外側において案内板下面に対向配備されるとともに、掻き込みアーム32は前記搬送デッキ26よりも排ワラ株元側に離れた位置で作用するように株元側のパッカーアーム31bから延出されている。
【0035】
パッカーアーム31a,31bの中間部が、常時回転するパッカー駆動軸33に固着したクランクアーム34の遊端部に枢支連結されるとともに、装置固定部に支点c回りに揺動可能に装着した揺動アーム35の遊端部とパッカーアーム31a,31bの下端部とが枢支連結され、クランクアーム34の連続回転によってパッカーアーム31a,31bの先端が所定の軌跡Pa,Pbをもって循環回動して、前記補助パッカー9で送込まれてきた排ワラを集束空間Sに向けて送り込むよう構成されている。
【0036】
ここで、株元側パッカーアーム31bの先端が穂先側パッカーアーム31aの先端よりも低く設定され、穂先側パッカーアーム31aの先端軌跡Paが紐案内板12のリブ12aの下端より上方にまで及ぶのに対して、株元側パッカーアーム31bの先端軌跡Pbは紐案内板12のリブ12aの下端近くを通過するようになっている。これによると、穂先側パッカーアーム31aの先端軌跡Paと紐案内板12の下面との最小間隔t1よりも、株元側パッカーアーム31bの先端軌跡Pbと紐案内板12の下面との最小間隔t2が大きいものとなるので、各パッカーアームの先端部で排ワラが紐案内板近くにまで掻き込まれた際、嵩高い排ワラ株元側が過剰な力で紐案内板12およびリブ12aに押付けられることがなくなり、高流量の排ワラ搬送が行われても、掻き込みパッカー6と紐案内板12との間で排ワラ噛み込みロック現象が未然に回避されるようになっている。
【0037】
前記ニードル7は、ドア軸36を中心にして回動可能に装着されるとともに、ニードル駆動軸37に設けられた駆動アーム38とニードル7とが連動リンク39で連動連結されており、ケース内装の図示されない1回転クラッチが入れられることでニードル駆動軸37が起動され、駆動アーム38が1回転する内の前半の回転によってニードル7は待機位置から上方に揺動して集束空間Sを越え紐供給作動を行い、駆動アーム38の後半の回転によってニードル7が下方に揺動して元の待機位置にまで復帰作動するよう構成されている。
【0038】
ここで、前記掻き込みパッカー6とニードル7とは以下のようにその作動タイミングが設定されている。つまり、上記したように、基本的にニードル7は掻き込みパッカー6における左右一対のパッカーアーム31a,31bが排ワラを前後に掻き分けた空隙内を移動するのであるが、図8に示すように、パッカーアーム31aの先端が紐案内板12のリブ12aの下端に相当する位置に到達した時点において、ニードル7が掻き込みパッカー6を越えて紐案内板12のリブ下端に相当する位置に到達するように、ニードル7の作動タイミングが旧来よりも若干早い目に設定されている。
【0039】
このようにすることで、掻き込みパッカー6におけるパッカーアーム31a,31bの前後幅を旧来より小さくしながら、ニードル7の背面が排ワラ搬送通路に大きく露出することを回避し、もって、パッカーアーム31a,31bの湾曲背面とニードル7の背面との間で排ワラを挟み込むことが防止されている。
【0040】
前記放出機構11は、結節機構10を駆動する間欠駆動ギヤ40の駆動軸41に軸心P1周りに回転自在に遊嵌されたクランクアーム42と、固定の支点P2を中心に揺動自在に支持された揺動アーム43と、クランクアー42の先端支点P3と揺動アーム43の先端支点P4に亘って枢支連結された前記放出アーム44とからなり、放出アーム44は、板材からなる複数の放出アーム本体44aをL形に屈曲したパイプ材44bに並列固定して構成されている。そして、クランクアーム42が軸心P1周りに図中反時計回りに回転することによって放出アーム44の先端が、集束空間Sの前部から後部に亘る一定の循環回動軌跡Kを描くように構成されている。
【0041】
また、前記間欠駆動ギヤ40には、クランクアーム42の回転軌跡に干渉する駆動ピン45が設けられており、この駆動ピン45によってクランクアーム42が接当押圧されて前記方向に回転駆動されるようになっている。また、揺動アーム43の支点P2と放出アーム44とに亘って折り込み用バネ46が張設されている。なお、クランクアーム42における駆動ピン受け止め部位には圧縮コイルバ47が装着されており、駆動ピン45による接当駆動が開始される際の衝撃および接当騒音の軽減が図られている。
【0042】
前記放出機構11は以上のように構成されたものであり、以下にその放出作動につて説明する。
【0043】
図3に示すように、排ワラ集束中は間欠駆動ギヤ40は一定回転位相で保持されており、この場合、原点b0 に位置する駆動ピン45に対してクランクアーム42は先行回転した位置にある。つまり、放出アーム44の先端は、循環回動軌跡Kにおける前部下方の格納位置a0 で待機している。
【0044】
結節駆動のために駆動ギヤ40が反時計回りに回転するが、初期一定期間は駆動ピン45がクランクアーム42を押圧しないので、放出機構11は待機姿勢を維持する。そして、結節作動が進んで駆動ピン45が位置b1 に至るとクランクアーム42を押圧回動を開始し、図4に示すように、放出アーム44は格納位置a0 から反時計回りに進行して集束空間Sを後方に移動し、結束ワラを後方に押し出し作用する。
【0045】
図5に示すように、駆動ギヤ40が1回転して駆動ピン45が原点b0 に至ると、放出アーム44等が慣性により先行移動し、駆動ピン45に対してクランクアーム42が離れてゆく。
【0046】
そして、図6に示すように、クランクアーム42の軸心P1、先端支点P3、および、揺動アーム43の先端支点P4が一直線上に並ぶデッドポイントDPに到ると、折り込み用補助バネ46の張力が揺動アーム43と放出アーム11との屈折を促進する方向に働き、クランクアーム42の先端支点P3がデッドポイントDPを越える方向に移動する。この先端支点P3がデッドポイントDPを越えると、折り込み用バネ46の張力が揺動アーム43を先行揺動させる方向(図上では時計回り)に働き、放出機構11全体が折り込み用バネ46によって、図3に示す元の格納状態に折り込まれる。なお、この際、クランクアーム42が停止している駆動ギヤ40のストッパーピン48に接当して、放出アーム44が格納位置a0 に正しく復帰保持される。
【0047】
以上のように構成された排ワラ結束装置Bは、脱穀装置1、排ワラカッタC、あるいは、排ワラ結束装置B自体のメンテナンス、等のために脱穀装置1に対して脱着自在に連結支持されており、次に、排ワラ結束装置Bの脱着構造に関わる構造について説明する。
【0048】
排ワラ結束装置Bは角パイプ材を主材とする左右に長い支持フレーム51の上に連結支持されており、支持フレーム51から前方に延出した連結アーム52の前端を脱穀装置1の後部に脱着自在に連結するとともに、支持アーム52の基部に備えた連結部53を排ワラカッタCに脱着自在に連結するよう構成されている。
【0049】
そして、丸パイプ材をU形に屈曲してなる左右一対のスタンド55が支持フレーム51の左右から下方に向けて突設され、脱穀装置1から取外した排ワラ結束装置Bを左右のスタンド55を介して地上に降ろし置くことができるようになっている。また、左右のスタンド55で挟まれた空間Rに、内周から結束紐を繰出す、いわゆる内取りタイプの結束巻紐56を前後向きに収容する収納ケース57が、そのケース底面をスタンド55の下端より高く位置させた状態で配備されている。ここで、収納ケース57は、左右のスタンド55で挟まれた空間Rの右端箇所、つまり、排ワラ穂先側に片寄った箇所に配備されており、収納ケース57と左側のスタンド55との間に残された空間Rは、脱穀装置1の後端から排出される排塵の流出通路となっている。
【0050】
収納ケース57は、前方に開口された箱状に構成され、支持フレー51および右側のスタンド55に設けた支持板58に機体後方から抜き差し装着できるよう支持されている。つまり、前記支持板58には後向きの係止溝59が形成されるとともに、収納ケース57の側面には各係止溝59に後方から係入される連結ボルト60が突設されており、各連結ボルト60を対応する軽視溝59に係止した状態で連結ボルト60にナット61を装着して締め込むことで収納ケース57を所定姿勢で固定できるようになっている。
【0051】
なお、支持フレーム51および右側のスタンド55の前部には、装着された収納ケース57の前端開口を閉塞する前側板62が固定配備されており、収納ケース57に前後水平姿勢で収容された結束巻紐56の前方への抜け出しが阻止されるようになっている。また、収納ケース57の後側板57aには紐繰出し孔63が形成されるとともに、この紐繰出し孔63から後方に導出された結束紐に作用する紐ブレーキ64が後側板の外面に装着されている。
【0052】
前記紐ブレーキ64に通された結束紐は図示されない供給管に挿通案内されて、後退位置にあるニードル7の先端部まで導かれることになり、脱穀装置1に排ワラ結束装置Bが連結された状態において、装置後方の広い作業空間からの操で結束巻紐56から繰出した結束紐を紐ブレーキ64に通して所定の供給通路で排ワラ結束装置Bに供給装填することができるようになっている。
【0053】
〔別実施例〕
【0054】
(1)前記スタンド55の強度を高いものにすれば側面形状でL形に構成して実施することもできる。
【0055】
(2)前記スタンド55を板金構造で縦壁状に構成して実施することもできる。
【0056】
(3)前記収納ケース57は、巻回外周から結束紐を繰出す、いわゆる外取りタイプの結束巻紐56を収容するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】コンバイン後部の側面図
【図2】排ワラ結束装置の背面図
【図3】排ワラ結束装置の側面図
【図4】排ワラ結束装置における要部の背面図
【図5】排ワラ結束装置の要部側面図
【図6】放出アームの作動行程を示す側面図
【図7】放出アームの作動行程を示す側面図
【図8】放出アームの作動行程を示す側面図
【図9】放出アームの作動行程を示す側面図
【図10】結束装置搭載用の支持フレームの背面図
【図11】結束装置搭載用の支持フレームの一部切欠き側面図
【図12】結束装置搭載用の支持フレームの斜視図
【符号の説明】
【0058】
1 脱穀装置
51 支持フレーム
55 スタンド
56 結束巻紐
57 収納ケース
57a 後側板
63 紐繰出し孔
64 紐ブレーキ
B 排ワラ結束装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱穀装置の後部に脱着可能に連結される支持フレームの上方に排ワラ結束装置を連結支持するとともに、前記支持フレームの左右から一対のスタンドを下向きに突設し、両スタンドの間に形成された空間に結束巻紐の収納ケースを、そのケース底面がスタンドの下端より高く位置するように支持してあることを特徴とするコンバインの排ワラ結束部。
【請求項2】
前記収納ケースを排ワラ穂先側に片寄るように一方のスタンドに接近して配備してある請求項1記載のコンバインの排ワラ結束部。
【請求項3】
前記収納ケースを装置後方から前後に抜き差し可能に係止するケース支持部を前記支持フレーム側に固設してある請求項1または2記載のコンバインの排ワラ結束部。
【請求項4】
前記収納ケースの後側板に紐繰出し孔を設けるとともに、この紐繰出し孔から導出された結束紐に作用する紐ブレーキを前記後側板の外面に備えてある請求項1〜3のいずれか一項に記載のコンバインの排ワラ結束部。
【請求項1】
脱穀装置の後部に脱着可能に連結される支持フレームの上方に排ワラ結束装置を連結支持するとともに、前記支持フレームの左右から一対のスタンドを下向きに突設し、両スタンドの間に形成された空間に結束巻紐の収納ケースを、そのケース底面がスタンドの下端より高く位置するように支持してあることを特徴とするコンバインの排ワラ結束部。
【請求項2】
前記収納ケースを排ワラ穂先側に片寄るように一方のスタンドに接近して配備してある請求項1記載のコンバインの排ワラ結束部。
【請求項3】
前記収納ケースを装置後方から前後に抜き差し可能に係止するケース支持部を前記支持フレーム側に固設してある請求項1または2記載のコンバインの排ワラ結束部。
【請求項4】
前記収納ケースの後側板に紐繰出し孔を設けるとともに、この紐繰出し孔から導出された結束紐に作用する紐ブレーキを前記後側板の外面に備えてある請求項1〜3のいずれか一項に記載のコンバインの排ワラ結束部。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−230240(P2006−230240A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−47286(P2005−47286)
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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