コンバインの排ワラ結束部
【課題】 脱穀装置から横倒れ姿勢で搬送されてきた排ワラを所定量づつ結束する排ワラ結束装置の株元側箇所に、集束中の排ワラの株端を往復作動する揃え板で叩き揃える株揃え装置を配備したコンバインの排ワラ結束部において、揃え板の駆動機構にワラ屑や塵埃が付着すること防止して、メンテナンス作業の負担を軽減しながら長期間に亘って良好に下部揃え作動を行わせることができるようにする。
【解決手段】 集束される排ワラの株元側を受け止めるデッキ31を上下に貫通する支軸33を立設し、デッキ31の下方に支軸33を往復回動させる駆動機構35を配備するとともに、デッキ31より上方に突出した支軸部分に揃え板5を連結してある。
【解決手段】 集束される排ワラの株元側を受け止めるデッキ31を上下に貫通する支軸33を立設し、デッキ31の下方に支軸33を往復回動させる駆動機構35を配備するとともに、デッキ31より上方に突出した支軸部分に揃え板5を連結してある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀装置から横倒れ姿勢で搬出されてきた排ワラを排ワラ結束装置で所定量づつ結束して機外に放出するよう構成したコンバインの排ワラ結束部に関する。
【背景技術】
【0002】
排ワラ結束装置としては、排ワラ結束装置の株元側箇所に、集束中の排ワラの株端を往復作動する揃え板で叩き揃える株揃え装置を配備したものが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【特許文献1】特開昭61−195616号公報
【特許文献2】実開昭62−107635号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の株揃え装置においては、集束される排ワラの株元側を受け止めるデッキの上方に揃え板およびこれの駆動機構が配備された構造であったために、駆動機構に排ワラから遊離したワラ屑や塵埃が付着することがあり、付着物が潤滑油など介して固化して駆動機構の作動負荷が大きくなったり作動不良を引起すおそれがあり、頻繁な清掃が必要とされるものであった。
【0004】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、揃え板の駆動機構にワラ屑や塵埃が付着すること防止して、メンテナンス作業の負担を軽減しながら長期間に亘って良好に株揃え作動を行わせることができるようにすることを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明は、脱穀装置から横倒れ姿勢で搬送されてきた排ワラを所定量づつ結束する排ワラ結束装置の株元側箇所に、集束中の排ワラの株端を往復作動する揃え板で叩き揃える株揃え装置を配備したコンバインの排ワラ結束部であって、
集束される排ワラの株元側を受け止めるデッキを上下に貫通する支軸を立設し、前記デッキの下方に前記支軸を往復回動させる駆動機構を配備するとともに、前記デッキより上方に突出した支軸部分に前記揃え板を連結してあることを特徴とする。
【0006】
上記構成によると、排ワラから遊離したワラ屑や塵埃はデッキで受け止められ、デッキの下方に位置する駆動機構に降りかかることが抑制される。
【0007】
従って、第1の発明によると、揃え板の駆動機構にワラ屑や塵埃が付着すること防止して、メンテナンス作業の負担を軽減しながら長期間に亘って良好に株揃え作動を行わせることができるようになった。
【0008】
第2の発明は、上記第1の発明において、
前記駆動機構を、排ワラ稈長方向に沿う横軸心周りに一定方向に回転駆動される回転カムと、前記支軸から延出されたカムフォロアアームと、前記支軸を株端叩き方向に回動付勢するバネとで構成してあるものである。
【0009】
上記構成によると、株端叩きはバネ力で行われることになり、排ワラが無理に叩かれて折れてしまうおそれが軽減され、繰り返して付勢叩きを加えるうちに株端揃えが行われることになり、第1の発明の上記効果をもたらすとともに、無理のない整然とした株揃えを行うことができる。
【0010】
また、一般に脱穀装置の各作動部や排ワラカッタの駆動軸心は横向きであるので、これと平行な横軸心で作動する回転カムへの動力伝達が容易なものもとなる。
【0011】
第3の発明は、上記第1の発明において、
前記駆動機構を、排ワラ稈長方向に沿う横軸心周りに一定方向に回転駆動されるクランクアームと、前記支軸から延出された操作アームと、前記クランクアームと前記操作アームとを連動連結する連係ロッドで構成してあるものである。
【0012】
上記構成によると、例えば、連係ロッドと操作アームの連結位置調整によって支軸の往復回動位相を変更調整することが容易となり、揃え板のストロークエンド位置を排ワラ稈長方向に変更して排ワラ長さに対応した株端叩きを行うことが可能となる。
【0013】
第4の発明は、上記第3の発明において、
前記クランクアームと連係ロッドとの間にストローク吸収バネを介在し、連係ロッドを前記ストローク吸収バネを介して株端叩き方向へ作動させるよう構成してあるものである。
【0014】
上記構成によると、排ワラからの抵抗が大きいとストローク吸収バネに抗して揃え板が後退することになり、排ワラを無理に叩いて折ることなく整然とした株揃えを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1に、自脱型コンバインの後部における排ワラ処理部の側面が、図2にその側面が、また、図3のその背面がそれぞれ示されている。機体後部に搭載された脱穀装置1の後端には円盤型の排ワラカッタCが連結されるとともに、この排ワラカッタCの後方に排ワラ結束装置Bが配備されており、後支点aを中心に上下揺動可能に配備された流路切換え板2を下げて排ワラカッタCの上部入口を閉塞することで、脱穀装置1から搬出されて排ワラ搬送装置3によって搬送されてきた横倒れ姿勢の排ワラを排ワラ結束装置Bに供給し、また、流路切換え板2を上げて排ワラカッタCの上部入口を開放することで、搬送されてきた排ワラを細断して下方に放出することができるようになっている。
【0016】
前記排ワラ結束装置Bは、横倒れ姿勢で供給されてきた排ワラを所定量づつ収集して結束し、形成されたワラ束を機体後方に放出するものであり、排ワラ穂先側に配備された伝動ケース4の上下中間部位に集束空間Sが形成されている。また、排ワラ結束装置Bの株元側には、搬入されてくる排ワラの株端を左右に揺動する揃え板5によって叩き揃える株揃え装置Dが配備されている。
【0017】
前記集束空間Sの下側となる伝動ケース4下部には、搬送されてきた排ワラを集束空間Sに向けて送り込むクランク式の掻き込みパッカー6、結束紐供給用のニードル7、集束空間Sに集められた排ワラの集束圧を感知する感知ドア8、等が装備されるとともに、集束空間Sの上側となる伝動ケース4上部には、搬送されてきた排ワラを掻き込みパッカー6の作用域に送り込むクランク式の送込みパッカー9、集束空間Sの上壁を構成する紐案内板12、ノッタ・ビル方式の周知の結節機構10、クランク式の放出機構11が装備されている。前記送込みパッカー9および掻き込みパッカー6は常時駆動されるとともに、下部のニードル7と上部の結節機構10、および、放出機構11は集束圧感知に基づいて間欠的に同調駆動されるようになっている。
【0018】
上記排ワラ結束装置Bの基本的な結束作動を以下に説明する。つまり、搬送されてきた排ワラは、先ず送込みパッカー9によって後方に送り込まれ、引き続き掻き込みパッカー6の掻き込み作用を受けて集束空間Sに送り込まれる。感知ドア8に作用する集束圧が設定値未満の間は、ケース内装の1回転クラッチ(図示せず)が切られており、ニードル7は集束空間Sの下方に退避した待機位置で停止している。また、このニードル7に同調連動されている結節機構10および放出機構11も待機状態で停止している。
【0019】
集束空間Sに所定量の排ワラが集束されると、掻き込みパッカー6の掻き込み作動に伴って発生した設定値以上の集束圧を受けて感知ドア8が後退変位し、これによって1回転クラッチが起動可能状態になる。そして、次回の掻き込みパッカー6の掻き込み作動(最終回の掻き込み作動)に同調して所定のタイミングで1回転クラッチが入り作動してニードル7が駆動開始されるとともに結節機構10への駆動力伝達が開始される。
【0020】
掻き込みパッカー6が最終回の掻き込み作動を行うと、排ワラ搬送通路を横断する掻き込みパッカー6で排ワラを前後に押し分けた空間を通ってニードル7が排ワラ搬入経路を下から上に横断移動し、結節機構10の下方に配備されている紐案内板12を通過し、結節機構10の紐ホルダー10bに先端部が保持されている結束紐を集束空間Sの排ワラに前方から巻き付けながら結節機構10に供給する。そして、このニードル7による紐供給作動に同調して結節機構10が作動し、結節ビル10aによる紐の結節、紐ホルダ10bによる供給紐の切断および切断端の保持、等の結節作動が順次行われる。
【0021】
その後、結節機構10と同調作動する放出機構11の放出アーム13が結束ワラを後方に押し出し移動させ、これに伴って結束紐が結節ビル10aから抜き出されて結び目が形成され、引き続く放出アーム13の後方移動によってワラ束が集束空間Sから後方に放出されてゆく。なお、この時点では感知ドア8は下方に後退して集束空間Sの後部出口を開放している。
【0022】
結節機構10で結節作動が完了して結束紐の新しい切断端が紐ホルダー10bにくわえ込み保持されるとニードル7は後退移動し、ニードル7が集束空間Sの下方の待機位置に戻った時点で1回転クラッチが自動的に切られ、ニードル7の駆動、結節機構10の駆動、および、放出機構11の駆動が停止されるとともに、感知ドア8が集束空間Sの後端を閉じる元の感知位置に上昇復帰し、これで1回の結束作動が完了し、後続の排ワラが引き続き集束されてゆく。
【0023】
なお、前記集束空間Sの下側には、供給されてきた排ワラを下方から受け止めるように丸棒材からなる排ワラ支持部材15がニードル7の移動軌跡の横側に近接して配備固定されている。この排ワラ支持部材15は集束空間Sの後部出口から前部入口を越えて前方にまで延出されるとともに、排ワラ支持部材15の収束空間始端部に相当する部位で、かつ、ニードル7の通過軌跡の直後に位置させて落込み段差部15aが屈曲形成されている。
【0024】
この構成によると、排ワラ結束装置Bの入口部に供給されてきた排ワラの稈長方向中間部位は下方から排ワラ支持部材15で受け止め支持され、その後、掻き込みパッカー6の掻き込み作用を受けて集束空間Sに押し込み供給されることになるが、集束空間Sは、排ワラ支持部材15の落込み段差部15aよって上下幅が大きくなっているので、掻き込みパッカー6で集束空間Sに押し込み供給された排ワラは落込み段差部15aにおいて落ち込むことになり、それより前方(集束空間Sの入口方向)への逆流が落込み段差部15aによって阻止される。
【0025】
また、前記ニードル7には待機位置に向けて復帰回動させる戻しバネ16が装着されており、待機位置に戻って駆動が解除されたニードル7がその復帰作動の反動で上方に回動することが抑制されている。そして、前記排ワラ支持部材15における落込み段差部15aの前部、つまり、ニードル7と交差する部位には、落込み段差部15aに連なるように後上がり傾斜する突片15bがリブ状に設けられており、ニードル7が復帰反動によって前記戻しバネ16に打ち勝って上方に変位しても、ニードル先端が排ワラ通路に飛び出て排ワラに引っかかることが防止されるようになっている。
【0026】
以上のように構成された排ワラ結束装置Bは、脱穀装置1、排ワラカッタC、あるいは、排ワラ結束装置B自体のメンテナンス、等のために脱穀装置1に対して脱着自在に連結支持されており、次に、排ワラ結束装置Bの脱着構造に関わる構造について説明する。
【0027】
図3に示すように、排ワラ結束装置Bは左右に長い支持フレーム21の上に右側(排ワラ穂先側)に片寄せて搭載支持されており、支持フレーム21の右端から前方に延出した連結アーム22の前端を脱穀装置1の後部に脱着自在に連結するとともに、支持フレーム21の左端に備えた連結部23を排ワラカッタCに脱着自在に連結するよう構成されている。
【0028】
図10に示すように、前記支持フレーム21は、前後に間隔もって対向配備された一対の主フレーム杆21a,21bと、排ワラ稈長方向に大きい間隔をもって対向配備された左右一対のサイドフレーム杆21c,21dとで構成されている。前方の主フレーム杆21aは角パイプ材で、また、右側のサイドフレーム杆21dはチャンネル材でそれぞれ構成されるとともに、後側の主フレーム杆21bと左側のサイドフレーム杆21cが丸パイプ材で構成されている。
【0029】
後側の主フレーム杆21bにおける排ワラ株元側部部分がクランク状に下方に屈折されて株元側スタンド24が形成されている。また、左側(株元側)のサイドフレーム杆21cにおける後方の一部が下方に屈折されて、前記株元側スタンド24における左端部に連設されて、株元側スタンド24の下端が平面視でL形に接地するようになっている。また、右側(穂先側)のサイドフレーム杆21dから下方に丸パイプ材を前後方向に幅広のU形に屈曲してなる穂先側スタンド25が連結されている。このように、支持フレーム21の左右に株元側スタンド24と穂先側スタンド25を備えることで、取外した排ワラ結束装置Bを地上に安定良く載置することができるようになっている。
【0030】
後側の主フレーム杆21bを屈曲してなる前記株元側スタンド53の上方には凹入空間eが形成され、この凹入空間eに円筒状の巻紐26を収容する収納ケース27が配置されて支持フレーム21に連結固定されている。この収納ケース27は、巻紐26を前後向き姿勢で後方から出し入れできるように後向きに開放された箱形に構成されており、その開口を開閉する揺動自在な後カバー28に、紐繰出し孔29と、この紐繰出し孔29から導出された結束紐に作用する紐ブレーキ30とが備えられている。
【0031】
前記収納ケース27の上面は集束される排ワラの株元側を受けるデッキ31に構成されており、前記株揃え装置Dの揃え板5が、このデッキ31の上で左右に往復作動するよう配備されている。なお、デッキ31は後下がりに傾斜配備されており、デッキ31上の排ワラやワラ屑などの後方移動が円滑に行われるようになっている。
【0032】
次に、前記株揃え装置Dについて説明する。
【0033】
図3,4に示すように、前記デッキ31は収納ケース27の主部より株元側および後方に張り出して設けられており、その株元側への張り出し箇所の前方部位に開口32が形成されている。この開口32にはデッキ31を上下に貫通する支軸33が立設されており、この支軸33の上端から片持ち状に延出された支持アーム34に樹脂製の前記揃え板5が脱着自在にボルト連結されるとともに、デッキ31の下方に支軸33を所定角度で往復回動させる駆動機構35が配備されている。
【0034】
支持フレーム21における左端部には前記連結部23を備えた側板36が立設固定されており、この側板36に排ワラ結束装置Bへ動力を伝達する伝動軸37と株揃え用の駆動軸38が、それぞれ軸心を横向きにして貫通支承されている。前記伝動軸37は六角軸からなり、その外端部には結束装置駆動用の動力を受けるボス部材39が遊転自在に軸受け支持されるとともに、このボス部材39と伝動軸37とが任意に入り切り操作可能なクラッチ40を介して連動連結されている。
【0035】
クラッチ40には、伝動軸37に相対回転不能かつ軸心方向にスライド可能に外嵌装着された爪付きのクラッチボス41とこれを前記ボス部材39の端面に付勢咬合させるバネ42が装備されており、クラッチ40を切って伝動軸37を自由にすることで、排ワラ結束装置Bを手回しすることができ、詰まり除去や清掃、当のメンテナンスを行う場合に利用される。
【0036】
また、ボス部材39には排ワラカッタCの駆動部にチェーン43を介して連動された入力スプロケット44が遊嵌されており、この入力スプロケット44のボス部44aと前記ボス部材39との間に、伝動軸37への伝達トルクを制限するトルクリミッタ45が装備されている。
【0037】
図8,9に示すように、前記トルクリミッタ45はシヤピン方式で過大トルクの伝達を遮断する仕様のものが採用されており、前記ボス部材39の外端面、および、ボス部44aの外端面にそれぞれ径方向に係止溝46,47が形成され、この係止溝46,47に亘って安全ピン48が係入されてピン外れ止め部材49で保持されることで、入力スプロケット44に伝達された動力が安全ピン48を介してボス部材39および伝動軸37に伝達されるようになっている。このように、トルクリミッタ45を介した伝動を行うことで、排ワラ結束装置Bに設定以上の負荷が作用すると安全ピン48がボス部材39とボス部44aとの嵌合部位で剪断されて動力伝達が遮断され、排ワラ結束装置Bが過負荷によって損傷することが回避されるようになっている。
【0038】
前記ピン外れ止め部材49は、ボス部材39の外端面に1本のボルト50で連結されており、ピン外れ止め部材49に一列に穿設した複数個(この例では5個)の係止孔60のいずれかに、前記安全ピン48の一端に屈曲形成した支持部48aを係止して、安全ピン48が係止溝46,47から外れるのが阻止されている。
【0039】
図9(イ)は、新品の安全ピン48を装填した状態が示されており、支持部48aはボルト50から最も遠い係止孔60に支持されている。この状態で過負荷によって安全ピン48が切断されると、ピン外れ止め部材49を取外し、短くなった安全ピン48の支持部48aをボルト50に近い側の係止穴60に支持させる。この場合、支持部48aを係止した係止穴60が係止溝46,47の延長線上にあるようにピン外れ止め部材49のボルト50周りの姿勢を調整することになる。このようにピン切断ごとにピン支持用の係止穴60をずらすことで、図9(ロ)に示すように、短くなるまで安全ピン48を繰り返し使用することができ、1本の安全ピン48で5回の動力遮断を行うことができる。
【0040】
図5に示すように、株揃え装置Dの前記駆動軸38はギヤ51,52を介して伝動軸37に減速連動されるとともに、駆動軸38の右端部に回転カム53が設けられている。この回転カム53は、横向きのドラム状に構成されたものであって、その株元側に向かう端縁が傾斜カム面kに構成されている。他方、デッキ31より下方に位置する支軸33には、遊端にローラ54を備えたカムフォロアアーム55が設けられ、ローラ54が回転カム53の前記傾斜カム面kに対向配備されている。また、支軸33から突設したバネ受けアーム56と側板36の後端とに亘ってバネ57が張設され、このバネ57の張力によって支軸33が株端叩き方向に回動付勢されるとともに、カムフォロアアーム55のローラ54が回転カム53の傾斜カム面kに押圧追従するようになっている。
【0041】
図7に示すように、前記傾斜カム面kにはローラ54の相対移動方向に対して緩い登り傾斜部kaとこれよりきつい下り傾斜部kbが備えられており、ローラ55が登り傾斜部kaに沿って移動することで揃え板5が低速で後退揺動され、ローラ55が下り傾斜部kbに沿って速く移動することでバネ力による素早い株端叩き作用が行われるようになっている。
【0042】
図11に、前記駆動機構35の他の実施例が示されている。
【0043】
この実施例では、前記駆動軸38の端部にクランクアーム61が備えられ、このクランクアーム61の遊端部に備えた回動ピン62と前記支軸33から延出された操作アーム63とが連係ロッド64で伝動連結されている。ここで、連係ロッド64は回動ピン62に対して貫通支持されるとともに、連係ロッド64に固設したストッパフランジ64aが回動ピン62に前方から接当するよう構成されている。また、連係ロッド64の後方延出部に外嵌装着したストローク吸収バネ65によって連係ロッド64が回動ピン62に対して後方にスライド付勢されている。
【0044】
上記構成によると、クランクアーム61が一定方向に回転することで、連係ロッド64が前後に押し引き操作されて支軸33およびこれに連結された揃え板5が往復回動される。この場合、連係ロッド64はストローク吸収バネ65を介して前方(株端叩き方向)に作動するので、排ワラからの叩き反力が大きいとストローク吸収バネ65が圧縮変形することで揃え板5の叩き方向へのストロークが制限されて無理な叩きが回避され、無理のない叩きを繰り返し行うことで排ワラを折ることなく良好な株端揃えを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】コンバイン後部の側面図
【図2】排ワラ結束装置の側面図
【図3】排ワラ結束装置の背面図
【図4】下部揃え装置の平面図
【図5】揃え板駆動機構の横断平面図
【図6】揃え板駆動機構の側面図
【図7】揃え板駆動機構の要部を示す斜視図
【図8】排ワラ結束装置駆動系のトルクリミッタを示す分解斜視図
【図9】トルクリミッタの縦断側面図
【図10】結束装置搭載用の支持フレームの斜視図
【図11】揃え板駆動機構の別実施例を示す横断平面図
【符号の説明】
【0046】
1 脱穀装置
5 揃え板
31 デッキ
33 支軸
35 駆動機構
53 回転カム
55 カムフォロアアーム
61 クランクアーム
63 操作アーム
64 連係ロッド
65 ストローク吸収バネ
B 排ワラ結束装置
D 株揃え装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀装置から横倒れ姿勢で搬出されてきた排ワラを排ワラ結束装置で所定量づつ結束して機外に放出するよう構成したコンバインの排ワラ結束部に関する。
【背景技術】
【0002】
排ワラ結束装置としては、排ワラ結束装置の株元側箇所に、集束中の排ワラの株端を往復作動する揃え板で叩き揃える株揃え装置を配備したものが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【特許文献1】特開昭61−195616号公報
【特許文献2】実開昭62−107635号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の株揃え装置においては、集束される排ワラの株元側を受け止めるデッキの上方に揃え板およびこれの駆動機構が配備された構造であったために、駆動機構に排ワラから遊離したワラ屑や塵埃が付着することがあり、付着物が潤滑油など介して固化して駆動機構の作動負荷が大きくなったり作動不良を引起すおそれがあり、頻繁な清掃が必要とされるものであった。
【0004】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、揃え板の駆動機構にワラ屑や塵埃が付着すること防止して、メンテナンス作業の負担を軽減しながら長期間に亘って良好に株揃え作動を行わせることができるようにすることを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明は、脱穀装置から横倒れ姿勢で搬送されてきた排ワラを所定量づつ結束する排ワラ結束装置の株元側箇所に、集束中の排ワラの株端を往復作動する揃え板で叩き揃える株揃え装置を配備したコンバインの排ワラ結束部であって、
集束される排ワラの株元側を受け止めるデッキを上下に貫通する支軸を立設し、前記デッキの下方に前記支軸を往復回動させる駆動機構を配備するとともに、前記デッキより上方に突出した支軸部分に前記揃え板を連結してあることを特徴とする。
【0006】
上記構成によると、排ワラから遊離したワラ屑や塵埃はデッキで受け止められ、デッキの下方に位置する駆動機構に降りかかることが抑制される。
【0007】
従って、第1の発明によると、揃え板の駆動機構にワラ屑や塵埃が付着すること防止して、メンテナンス作業の負担を軽減しながら長期間に亘って良好に株揃え作動を行わせることができるようになった。
【0008】
第2の発明は、上記第1の発明において、
前記駆動機構を、排ワラ稈長方向に沿う横軸心周りに一定方向に回転駆動される回転カムと、前記支軸から延出されたカムフォロアアームと、前記支軸を株端叩き方向に回動付勢するバネとで構成してあるものである。
【0009】
上記構成によると、株端叩きはバネ力で行われることになり、排ワラが無理に叩かれて折れてしまうおそれが軽減され、繰り返して付勢叩きを加えるうちに株端揃えが行われることになり、第1の発明の上記効果をもたらすとともに、無理のない整然とした株揃えを行うことができる。
【0010】
また、一般に脱穀装置の各作動部や排ワラカッタの駆動軸心は横向きであるので、これと平行な横軸心で作動する回転カムへの動力伝達が容易なものもとなる。
【0011】
第3の発明は、上記第1の発明において、
前記駆動機構を、排ワラ稈長方向に沿う横軸心周りに一定方向に回転駆動されるクランクアームと、前記支軸から延出された操作アームと、前記クランクアームと前記操作アームとを連動連結する連係ロッドで構成してあるものである。
【0012】
上記構成によると、例えば、連係ロッドと操作アームの連結位置調整によって支軸の往復回動位相を変更調整することが容易となり、揃え板のストロークエンド位置を排ワラ稈長方向に変更して排ワラ長さに対応した株端叩きを行うことが可能となる。
【0013】
第4の発明は、上記第3の発明において、
前記クランクアームと連係ロッドとの間にストローク吸収バネを介在し、連係ロッドを前記ストローク吸収バネを介して株端叩き方向へ作動させるよう構成してあるものである。
【0014】
上記構成によると、排ワラからの抵抗が大きいとストローク吸収バネに抗して揃え板が後退することになり、排ワラを無理に叩いて折ることなく整然とした株揃えを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1に、自脱型コンバインの後部における排ワラ処理部の側面が、図2にその側面が、また、図3のその背面がそれぞれ示されている。機体後部に搭載された脱穀装置1の後端には円盤型の排ワラカッタCが連結されるとともに、この排ワラカッタCの後方に排ワラ結束装置Bが配備されており、後支点aを中心に上下揺動可能に配備された流路切換え板2を下げて排ワラカッタCの上部入口を閉塞することで、脱穀装置1から搬出されて排ワラ搬送装置3によって搬送されてきた横倒れ姿勢の排ワラを排ワラ結束装置Bに供給し、また、流路切換え板2を上げて排ワラカッタCの上部入口を開放することで、搬送されてきた排ワラを細断して下方に放出することができるようになっている。
【0016】
前記排ワラ結束装置Bは、横倒れ姿勢で供給されてきた排ワラを所定量づつ収集して結束し、形成されたワラ束を機体後方に放出するものであり、排ワラ穂先側に配備された伝動ケース4の上下中間部位に集束空間Sが形成されている。また、排ワラ結束装置Bの株元側には、搬入されてくる排ワラの株端を左右に揺動する揃え板5によって叩き揃える株揃え装置Dが配備されている。
【0017】
前記集束空間Sの下側となる伝動ケース4下部には、搬送されてきた排ワラを集束空間Sに向けて送り込むクランク式の掻き込みパッカー6、結束紐供給用のニードル7、集束空間Sに集められた排ワラの集束圧を感知する感知ドア8、等が装備されるとともに、集束空間Sの上側となる伝動ケース4上部には、搬送されてきた排ワラを掻き込みパッカー6の作用域に送り込むクランク式の送込みパッカー9、集束空間Sの上壁を構成する紐案内板12、ノッタ・ビル方式の周知の結節機構10、クランク式の放出機構11が装備されている。前記送込みパッカー9および掻き込みパッカー6は常時駆動されるとともに、下部のニードル7と上部の結節機構10、および、放出機構11は集束圧感知に基づいて間欠的に同調駆動されるようになっている。
【0018】
上記排ワラ結束装置Bの基本的な結束作動を以下に説明する。つまり、搬送されてきた排ワラは、先ず送込みパッカー9によって後方に送り込まれ、引き続き掻き込みパッカー6の掻き込み作用を受けて集束空間Sに送り込まれる。感知ドア8に作用する集束圧が設定値未満の間は、ケース内装の1回転クラッチ(図示せず)が切られており、ニードル7は集束空間Sの下方に退避した待機位置で停止している。また、このニードル7に同調連動されている結節機構10および放出機構11も待機状態で停止している。
【0019】
集束空間Sに所定量の排ワラが集束されると、掻き込みパッカー6の掻き込み作動に伴って発生した設定値以上の集束圧を受けて感知ドア8が後退変位し、これによって1回転クラッチが起動可能状態になる。そして、次回の掻き込みパッカー6の掻き込み作動(最終回の掻き込み作動)に同調して所定のタイミングで1回転クラッチが入り作動してニードル7が駆動開始されるとともに結節機構10への駆動力伝達が開始される。
【0020】
掻き込みパッカー6が最終回の掻き込み作動を行うと、排ワラ搬送通路を横断する掻き込みパッカー6で排ワラを前後に押し分けた空間を通ってニードル7が排ワラ搬入経路を下から上に横断移動し、結節機構10の下方に配備されている紐案内板12を通過し、結節機構10の紐ホルダー10bに先端部が保持されている結束紐を集束空間Sの排ワラに前方から巻き付けながら結節機構10に供給する。そして、このニードル7による紐供給作動に同調して結節機構10が作動し、結節ビル10aによる紐の結節、紐ホルダ10bによる供給紐の切断および切断端の保持、等の結節作動が順次行われる。
【0021】
その後、結節機構10と同調作動する放出機構11の放出アーム13が結束ワラを後方に押し出し移動させ、これに伴って結束紐が結節ビル10aから抜き出されて結び目が形成され、引き続く放出アーム13の後方移動によってワラ束が集束空間Sから後方に放出されてゆく。なお、この時点では感知ドア8は下方に後退して集束空間Sの後部出口を開放している。
【0022】
結節機構10で結節作動が完了して結束紐の新しい切断端が紐ホルダー10bにくわえ込み保持されるとニードル7は後退移動し、ニードル7が集束空間Sの下方の待機位置に戻った時点で1回転クラッチが自動的に切られ、ニードル7の駆動、結節機構10の駆動、および、放出機構11の駆動が停止されるとともに、感知ドア8が集束空間Sの後端を閉じる元の感知位置に上昇復帰し、これで1回の結束作動が完了し、後続の排ワラが引き続き集束されてゆく。
【0023】
なお、前記集束空間Sの下側には、供給されてきた排ワラを下方から受け止めるように丸棒材からなる排ワラ支持部材15がニードル7の移動軌跡の横側に近接して配備固定されている。この排ワラ支持部材15は集束空間Sの後部出口から前部入口を越えて前方にまで延出されるとともに、排ワラ支持部材15の収束空間始端部に相当する部位で、かつ、ニードル7の通過軌跡の直後に位置させて落込み段差部15aが屈曲形成されている。
【0024】
この構成によると、排ワラ結束装置Bの入口部に供給されてきた排ワラの稈長方向中間部位は下方から排ワラ支持部材15で受け止め支持され、その後、掻き込みパッカー6の掻き込み作用を受けて集束空間Sに押し込み供給されることになるが、集束空間Sは、排ワラ支持部材15の落込み段差部15aよって上下幅が大きくなっているので、掻き込みパッカー6で集束空間Sに押し込み供給された排ワラは落込み段差部15aにおいて落ち込むことになり、それより前方(集束空間Sの入口方向)への逆流が落込み段差部15aによって阻止される。
【0025】
また、前記ニードル7には待機位置に向けて復帰回動させる戻しバネ16が装着されており、待機位置に戻って駆動が解除されたニードル7がその復帰作動の反動で上方に回動することが抑制されている。そして、前記排ワラ支持部材15における落込み段差部15aの前部、つまり、ニードル7と交差する部位には、落込み段差部15aに連なるように後上がり傾斜する突片15bがリブ状に設けられており、ニードル7が復帰反動によって前記戻しバネ16に打ち勝って上方に変位しても、ニードル先端が排ワラ通路に飛び出て排ワラに引っかかることが防止されるようになっている。
【0026】
以上のように構成された排ワラ結束装置Bは、脱穀装置1、排ワラカッタC、あるいは、排ワラ結束装置B自体のメンテナンス、等のために脱穀装置1に対して脱着自在に連結支持されており、次に、排ワラ結束装置Bの脱着構造に関わる構造について説明する。
【0027】
図3に示すように、排ワラ結束装置Bは左右に長い支持フレーム21の上に右側(排ワラ穂先側)に片寄せて搭載支持されており、支持フレーム21の右端から前方に延出した連結アーム22の前端を脱穀装置1の後部に脱着自在に連結するとともに、支持フレーム21の左端に備えた連結部23を排ワラカッタCに脱着自在に連結するよう構成されている。
【0028】
図10に示すように、前記支持フレーム21は、前後に間隔もって対向配備された一対の主フレーム杆21a,21bと、排ワラ稈長方向に大きい間隔をもって対向配備された左右一対のサイドフレーム杆21c,21dとで構成されている。前方の主フレーム杆21aは角パイプ材で、また、右側のサイドフレーム杆21dはチャンネル材でそれぞれ構成されるとともに、後側の主フレーム杆21bと左側のサイドフレーム杆21cが丸パイプ材で構成されている。
【0029】
後側の主フレーム杆21bにおける排ワラ株元側部部分がクランク状に下方に屈折されて株元側スタンド24が形成されている。また、左側(株元側)のサイドフレーム杆21cにおける後方の一部が下方に屈折されて、前記株元側スタンド24における左端部に連設されて、株元側スタンド24の下端が平面視でL形に接地するようになっている。また、右側(穂先側)のサイドフレーム杆21dから下方に丸パイプ材を前後方向に幅広のU形に屈曲してなる穂先側スタンド25が連結されている。このように、支持フレーム21の左右に株元側スタンド24と穂先側スタンド25を備えることで、取外した排ワラ結束装置Bを地上に安定良く載置することができるようになっている。
【0030】
後側の主フレーム杆21bを屈曲してなる前記株元側スタンド53の上方には凹入空間eが形成され、この凹入空間eに円筒状の巻紐26を収容する収納ケース27が配置されて支持フレーム21に連結固定されている。この収納ケース27は、巻紐26を前後向き姿勢で後方から出し入れできるように後向きに開放された箱形に構成されており、その開口を開閉する揺動自在な後カバー28に、紐繰出し孔29と、この紐繰出し孔29から導出された結束紐に作用する紐ブレーキ30とが備えられている。
【0031】
前記収納ケース27の上面は集束される排ワラの株元側を受けるデッキ31に構成されており、前記株揃え装置Dの揃え板5が、このデッキ31の上で左右に往復作動するよう配備されている。なお、デッキ31は後下がりに傾斜配備されており、デッキ31上の排ワラやワラ屑などの後方移動が円滑に行われるようになっている。
【0032】
次に、前記株揃え装置Dについて説明する。
【0033】
図3,4に示すように、前記デッキ31は収納ケース27の主部より株元側および後方に張り出して設けられており、その株元側への張り出し箇所の前方部位に開口32が形成されている。この開口32にはデッキ31を上下に貫通する支軸33が立設されており、この支軸33の上端から片持ち状に延出された支持アーム34に樹脂製の前記揃え板5が脱着自在にボルト連結されるとともに、デッキ31の下方に支軸33を所定角度で往復回動させる駆動機構35が配備されている。
【0034】
支持フレーム21における左端部には前記連結部23を備えた側板36が立設固定されており、この側板36に排ワラ結束装置Bへ動力を伝達する伝動軸37と株揃え用の駆動軸38が、それぞれ軸心を横向きにして貫通支承されている。前記伝動軸37は六角軸からなり、その外端部には結束装置駆動用の動力を受けるボス部材39が遊転自在に軸受け支持されるとともに、このボス部材39と伝動軸37とが任意に入り切り操作可能なクラッチ40を介して連動連結されている。
【0035】
クラッチ40には、伝動軸37に相対回転不能かつ軸心方向にスライド可能に外嵌装着された爪付きのクラッチボス41とこれを前記ボス部材39の端面に付勢咬合させるバネ42が装備されており、クラッチ40を切って伝動軸37を自由にすることで、排ワラ結束装置Bを手回しすることができ、詰まり除去や清掃、当のメンテナンスを行う場合に利用される。
【0036】
また、ボス部材39には排ワラカッタCの駆動部にチェーン43を介して連動された入力スプロケット44が遊嵌されており、この入力スプロケット44のボス部44aと前記ボス部材39との間に、伝動軸37への伝達トルクを制限するトルクリミッタ45が装備されている。
【0037】
図8,9に示すように、前記トルクリミッタ45はシヤピン方式で過大トルクの伝達を遮断する仕様のものが採用されており、前記ボス部材39の外端面、および、ボス部44aの外端面にそれぞれ径方向に係止溝46,47が形成され、この係止溝46,47に亘って安全ピン48が係入されてピン外れ止め部材49で保持されることで、入力スプロケット44に伝達された動力が安全ピン48を介してボス部材39および伝動軸37に伝達されるようになっている。このように、トルクリミッタ45を介した伝動を行うことで、排ワラ結束装置Bに設定以上の負荷が作用すると安全ピン48がボス部材39とボス部44aとの嵌合部位で剪断されて動力伝達が遮断され、排ワラ結束装置Bが過負荷によって損傷することが回避されるようになっている。
【0038】
前記ピン外れ止め部材49は、ボス部材39の外端面に1本のボルト50で連結されており、ピン外れ止め部材49に一列に穿設した複数個(この例では5個)の係止孔60のいずれかに、前記安全ピン48の一端に屈曲形成した支持部48aを係止して、安全ピン48が係止溝46,47から外れるのが阻止されている。
【0039】
図9(イ)は、新品の安全ピン48を装填した状態が示されており、支持部48aはボルト50から最も遠い係止孔60に支持されている。この状態で過負荷によって安全ピン48が切断されると、ピン外れ止め部材49を取外し、短くなった安全ピン48の支持部48aをボルト50に近い側の係止穴60に支持させる。この場合、支持部48aを係止した係止穴60が係止溝46,47の延長線上にあるようにピン外れ止め部材49のボルト50周りの姿勢を調整することになる。このようにピン切断ごとにピン支持用の係止穴60をずらすことで、図9(ロ)に示すように、短くなるまで安全ピン48を繰り返し使用することができ、1本の安全ピン48で5回の動力遮断を行うことができる。
【0040】
図5に示すように、株揃え装置Dの前記駆動軸38はギヤ51,52を介して伝動軸37に減速連動されるとともに、駆動軸38の右端部に回転カム53が設けられている。この回転カム53は、横向きのドラム状に構成されたものであって、その株元側に向かう端縁が傾斜カム面kに構成されている。他方、デッキ31より下方に位置する支軸33には、遊端にローラ54を備えたカムフォロアアーム55が設けられ、ローラ54が回転カム53の前記傾斜カム面kに対向配備されている。また、支軸33から突設したバネ受けアーム56と側板36の後端とに亘ってバネ57が張設され、このバネ57の張力によって支軸33が株端叩き方向に回動付勢されるとともに、カムフォロアアーム55のローラ54が回転カム53の傾斜カム面kに押圧追従するようになっている。
【0041】
図7に示すように、前記傾斜カム面kにはローラ54の相対移動方向に対して緩い登り傾斜部kaとこれよりきつい下り傾斜部kbが備えられており、ローラ55が登り傾斜部kaに沿って移動することで揃え板5が低速で後退揺動され、ローラ55が下り傾斜部kbに沿って速く移動することでバネ力による素早い株端叩き作用が行われるようになっている。
【0042】
図11に、前記駆動機構35の他の実施例が示されている。
【0043】
この実施例では、前記駆動軸38の端部にクランクアーム61が備えられ、このクランクアーム61の遊端部に備えた回動ピン62と前記支軸33から延出された操作アーム63とが連係ロッド64で伝動連結されている。ここで、連係ロッド64は回動ピン62に対して貫通支持されるとともに、連係ロッド64に固設したストッパフランジ64aが回動ピン62に前方から接当するよう構成されている。また、連係ロッド64の後方延出部に外嵌装着したストローク吸収バネ65によって連係ロッド64が回動ピン62に対して後方にスライド付勢されている。
【0044】
上記構成によると、クランクアーム61が一定方向に回転することで、連係ロッド64が前後に押し引き操作されて支軸33およびこれに連結された揃え板5が往復回動される。この場合、連係ロッド64はストローク吸収バネ65を介して前方(株端叩き方向)に作動するので、排ワラからの叩き反力が大きいとストローク吸収バネ65が圧縮変形することで揃え板5の叩き方向へのストロークが制限されて無理な叩きが回避され、無理のない叩きを繰り返し行うことで排ワラを折ることなく良好な株端揃えを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】コンバイン後部の側面図
【図2】排ワラ結束装置の側面図
【図3】排ワラ結束装置の背面図
【図4】下部揃え装置の平面図
【図5】揃え板駆動機構の横断平面図
【図6】揃え板駆動機構の側面図
【図7】揃え板駆動機構の要部を示す斜視図
【図8】排ワラ結束装置駆動系のトルクリミッタを示す分解斜視図
【図9】トルクリミッタの縦断側面図
【図10】結束装置搭載用の支持フレームの斜視図
【図11】揃え板駆動機構の別実施例を示す横断平面図
【符号の説明】
【0046】
1 脱穀装置
5 揃え板
31 デッキ
33 支軸
35 駆動機構
53 回転カム
55 カムフォロアアーム
61 クランクアーム
63 操作アーム
64 連係ロッド
65 ストローク吸収バネ
B 排ワラ結束装置
D 株揃え装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱穀装置から横倒れ姿勢で搬送されてきた排ワラを所定量づつ結束する排ワラ結束装置の株元側箇所に、集束中の排ワラの株端を往復作動する揃え板で叩き揃える株揃え装置を配備したコンバインの排ワラ結束部であって、
集束される排ワラの株元側を受け止めるデッキを上下に貫通する支軸を立設し、前記デッキの下方に前記支軸を往復回動させる駆動機構を配備するとともに、前記デッキより上方に突出した支軸部分に前記揃え板を連結してあることを特徴とするコンバインの排ワラ結束部。
【請求項2】
前記駆動機構を、排ワラ稈長方向に沿う横軸心周りに一定方向に回転駆動される回転カムと、前記支軸から延出されたカムフォロアアームと、前記支軸を株端叩き方向に回動付勢するバネとで構成してある請求項1記載のコンバインの排ワラ結束部。
【請求項3】
前記駆動機構を、排ワラ稈長方向に沿う横軸心周りに一定方向に回転駆動されるクランクアームと、前記支軸から延出された操作アームと、前記クランクアームと前記操作アームとを連動連結する連係ロッドで構成してある請求項1記載のコンバインの排ワラ結束部。
【請求項4】
前記クランクアームと連係ロッドとの間にストローク吸収バネを介在し、連係ロッドを前記ストローク吸収バネを介して株端叩き方向へ作動させるよう構成してある請求項3記載のコンバインの排ワラ結束部。
【請求項1】
脱穀装置から横倒れ姿勢で搬送されてきた排ワラを所定量づつ結束する排ワラ結束装置の株元側箇所に、集束中の排ワラの株端を往復作動する揃え板で叩き揃える株揃え装置を配備したコンバインの排ワラ結束部であって、
集束される排ワラの株元側を受け止めるデッキを上下に貫通する支軸を立設し、前記デッキの下方に前記支軸を往復回動させる駆動機構を配備するとともに、前記デッキより上方に突出した支軸部分に前記揃え板を連結してあることを特徴とするコンバインの排ワラ結束部。
【請求項2】
前記駆動機構を、排ワラ稈長方向に沿う横軸心周りに一定方向に回転駆動される回転カムと、前記支軸から延出されたカムフォロアアームと、前記支軸を株端叩き方向に回動付勢するバネとで構成してある請求項1記載のコンバインの排ワラ結束部。
【請求項3】
前記駆動機構を、排ワラ稈長方向に沿う横軸心周りに一定方向に回転駆動されるクランクアームと、前記支軸から延出された操作アームと、前記クランクアームと前記操作アームとを連動連結する連係ロッドで構成してある請求項1記載のコンバインの排ワラ結束部。
【請求項4】
前記クランクアームと連係ロッドとの間にストローク吸収バネを介在し、連係ロッドを前記ストローク吸収バネを介して株端叩き方向へ作動させるよう構成してある請求項3記載のコンバインの排ワラ結束部。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−345808(P2006−345808A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−178345(P2005−178345)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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