説明

コンバインの穀稈供給深さ調節用搬送装置

【課題】穀稈供給調節用搬送装置の着脱を簡単に行えるものとし、メンテナンスの能率を向上させる。
【解決手段】入力軸(21)を内装した入力側伝動ケース(22)と、穀稈供給深さ調節用搬送装置(12)への出力軸(23)を入力軸(21)と平行に内装した出力側伝動ケース(24)とからなり、穀稈供給深さ調節用搬送装置(12)は、出力軸(23)を回動中心として回動可能に構成し、入力側伝動ケース(22)と出力側伝動ケース(24)は、入力軸(21)と出力軸(23)との間で分割されて左右横方向に接合分離自在に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインの穀稈供給深さ調節用搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、刈取部を支持する支持部材の上部の支持パイプへ内装軸架した入力軸から変速パイプへ内装軸架した変速出力軸へ回転動力を入力させて、根元搬送装置や穂先搬送装置などを回転駆動すると共に、これら根元搬送装置、穂先搬送装置を支持ステー等で接続して一体で着脱できるように構成したコンバインの穀稈搬送装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−228804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来構成のものでは、搬送装置の取外しに際し、重量のある搬送装置を上方に持ち上げなければならず、着脱作業が困難で、一人作業では容易にし難い問題がある。
本発明の課題は、搬送装置の着脱が簡単に行え、一人作業でも容易にでき、メンテナンスの向上、詰まった穀稈や雑草類の除去容易化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、回転動力が入力される入力軸(21)を内装した入力側伝動ケース(22)と、穀稈供給深さ調節用搬送装置(12)への出力軸(23)を前記入力軸(21)と平行に内装した出力側伝動ケース(24)とからなり、穀稈供給深さ調節用搬送装置(12)は、前記出力軸(23)を回動中心として回動可能に構成し、入力側伝動ケース(22)と出力側伝動ケース(24)は、入力軸(21)と出力軸(23)との間で分割されて左右横方向に接合分離自在に構成すると共に、該入力側伝動ケース(22)と出力側伝動ケース(24)の接合時には入力軸(21)に軸支した平歯車(25)と出力軸(23)に軸支した平歯車(26)との噛み合いによって伝動可能に構成したことを特徴とするコンバインの穀稈供給深さ調節用搬送装置としたものである。
【0006】
供給深さ調節用搬送装置(12)は、出力軸(23)を回動中心として揺動変位させることによって脱穀部の扱室内への穀稈供給深さが調整される。
供給深さ調節用搬送装置(12)の着脱に際し、これを取外す場合には、入力側伝動ケース(22)と出力側伝動ケース(24)のロック状態を解除し、出力側伝動ケース(24)を入力側伝動ケース(22)から引き抜いて、未刈地側方向に取り出すことができる。このとき、入力側伝動ケース(22)内の平歯車と出力側伝動ケース(24)内の平歯車との噛み合いが離脱して動力伝達が切れた状態となる。また、供給深さ調節用搬送装置(12)を取付ける場合には、出力側伝動ケース(24)を入力側伝動ケース(22)に接合して両者をロックするが、このとき、両ケース内の平歯車が噛み合って動力伝達が可能な状態となる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、入力側伝動ケース(22)と出力側伝動ケース(24)は、入力軸(21)と出力軸(23)との間で分割されて左右横方向に接合分離自在に構成しているので、特に、供給深さ調節用搬送装置(12)の取外しに際しては、未刈地側方向の外側方に向けて簡単に抜き外すことができ、着脱作業が一人作業でも容易に行える。
【0008】
また、着脱時における動力伝達の入り切りは、平歯車の噛合、非噛合によるため、スプライン軸による係合、離脱に比べ、嵌脱操作が迅速に行える。
従って、着脱作業が簡単に行えるので、詰まり除去作業や、メンテナンスを速やかに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】コンバインの正面図
【図2】コンバイン要部の平面図
【図3】刈取部の要部の平面図
【図4】供給深さ調節用搬送装置への動力伝達経路を示す展開切断面図
【図5】同上要部の一部破断せる側面図
【図6】刈取部の要部の一部破断せる平面図
【図7】供給深さ調節用搬送装置の伝動機構図
【図8】同上一部の変形例図
【図9】供給深さ調節用搬送装置の扱深さ調節制御機構図
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
コンバインの走行車体1には、左右一対の走行クローラ2,2を備え、後部に搭載した脱穀装置(脱穀部)3の前方部に刈取部4を設置し,刈取部4の横側部には運転席5や操作ボックス6等を有する運転操作部を備え、更に、その運転操作部の後方には脱穀粒を一時的に貯留するグレンタンクGを装備している。
【0011】
刈取部4は、立毛する穀稈を左右に分草する分草体7,7…と、分草後の穀稈を引き起す穀稈引起し装置8…と、引起し後の穀稈を刈り取るバリカン式の刈取装置9と、刈取後の穀稈を掻込搬送する掻込搬送装置10と、掻込搬送後の穀稈を引き継いで穀稈の株元側と穂先側を挟持及び係止搬送しながら後方の脱穀部3に向けて合流搬送する穀稈合流搬送装置11と、左右の穀稈合流搬送装置の終端部と脱穀部3との間に設けられていて脱穀部の扱室内への穀稈供給深さを調節する穀稈挟持位置変更可能な穀稈供給深さ調節用搬送装置12と、これらより送られてきた穀稈を引き継いで揚上搬送し横倒し状態に姿勢変更しながら脱穀部3のフィードチエン14に受け渡す上下2段の揚上搬送装置13等からなり、車体に対して上下に昇降可能で前後方向に沿わせて設けた刈取縦フレーム16及び該刈取縦フレームの先端に左右横方向に沿わせて設けた刈取横フレーム17に装備している。
【0012】
なお、図1及び図2に示す実施例では、4条分の穀稈を引き起す形態を示し、図3に示す実施例では、7条分の穀稈を刈り取る刈取搬送形態を示しているが、この場合には、当然ながら7条分の引起し装置が設置されることになる。
【0013】
図4に示すように、刈取縦フレーム16の途中部から上方に向けて搬送伝動軸19を取り出し、この搬送伝動軸19により前記合流搬送装置11の穂先搬送チエンを駆動し、刈取縦フレーム16内の刈取伝動軸18からベベルギヤG1,G2を介して回転駆動すべく連動構成している。エンジンからの回転動力が前記刈取伝動軸18、ベベルギヤG1,G2、搬送伝動軸19を介して入力される入力軸21を内装軸架した入力側伝動ケース22と、前記穀稈供給深さ調節用搬送装置12への出力軸23を前記入力軸21と平行して内装軸架した出力側伝動ケース24を設け、入力側伝動ケース22は搬送伝動ケース20と一体形成してあり、搬送伝動軸19からベベルギヤG3,G4を介して入力軸21を駆動する構成とし、また、入力側伝動ケース22と出力側伝動ケース24とは、前記入力軸21と出力軸23との間において分割してあると共に、両ケースを左右横方向に接合分離自在に構成している。そして、両ケース22,24の接合時には、入力軸21に軸支した平歯車25と出力軸23に軸支した平歯車26との噛み合いによって動力伝達する構成としている。更に、出力軸23から搬送装置12へは、ベベルギヤG5,G6及び駆動スプロケット軸27を介して回転駆動すべく連動構成している。そして、供給深さ調節用搬送装置12は、制御モ−タMの正逆転駆動により連結ロッド30を介して出力軸23を中心に回動するようになっており、搬送される穀稈の稈身方向に沿って揺動変位する構成としている。
【0014】
また、両ケース22,24の着脱は、数個の位置決めピン28とロックハンドル29とによってワンタッチで着脱できる構成としている。ロックハンドル29は、図2、図5、図6に示すように、両ケース22,24の鍔部22a,24aを左右から挟む挟圧ロック状態と、この挟圧ロック状態を解除する挟圧ロック解除状態とに回動切替自在に構成されている。
【0015】
次に、図7に示す実施例について説明する。
供給深さ調節用搬送装置12は、この終端側下部を支持する支持ケース31を刈取支持フレーム16から突設する支持筒32に外嵌して該支持筒32の外周回りに回動自在に装着している。搬送チエン12aを巻回するスプロケット12bの上部には、搬送チエン12aを駆動する電動モータ33をスプロケット軸27に直結して搬送装置12を回転駆動すべく連動構成している。電動モータ33のハーネス34は刈取支持フレーム16に沿わせて延設し、バッテリに接続する構成としている。ハーネス34の途中部でモータ33近くにはカプラ35を設けて搬送装置12の着脱を容易にしている。また、電動モータ33は、スプロケット12bの下部に設置して下側から駆動する構成をとってもよく、更に、始端側のスプロケット12cの上部又は下部に電動モータを設置して搬送チエン12aを始端側から駆動する構成としても良い。
【0016】
電動モータ33の配置に関し、他の機構と干渉しないようにモータを横方向に寝かせて設置(図8)した場合には、ベベルギヤ機構36を介して搬送チエン12aを駆動するように構成すればよい。
【0017】
図9に示す実施例では、供給深さ調節用搬送装置12を制御モータMによって上下に調節するものにおいて、この搬送装置12の適所には、これの上下位置を手動的に位置変更するボタンスイッチ37を設けることによって、着脱時や整備時に適宜位置変更し、着脱、整備作業の容易化を図るようにしている。なお、これらの電動ハーネス38a,38bはメインハーネスに接続している。
【0018】
また、整備用カプラ39を刈取部に備え、整備時には簡易コントローラ40を接続して刈取部の操作を行うように構成しておくと便利である。
【符号の説明】
【0019】
12 穀稈供給深さ調節用搬送装置
21 入力軸
22 入力側伝動ケース
23 出力軸
24 出力側伝動ケース
25 平歯車
26 平歯車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転動力が入力される入力軸(21)を内装した入力側伝動ケース(22)と、穀稈供給深さ調節用搬送装置(12)への出力軸(23)を前記入力軸(21)と平行に内装した出力側伝動ケース(24)とからなり、穀稈供給深さ調節用搬送装置(12)は、前記出力軸(23)を回動中心として回動可能に構成し、入力側伝動ケース(22)と出力側伝動ケース(24)は、入力軸(21)と出力軸(23)との間で分割されて左右横方向に接合分離自在に構成すると共に、該入力側伝動ケース(22)と出力側伝動ケース(24)の接合時には入力軸(21)に軸支した平歯車(25)と出力軸(23)に軸支した平歯車(26)との噛み合いによって伝動可能に構成したことを特徴とするコンバインの穀稈供給深さ調節用搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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