説明

コンバインの穀稈案内板

【課題】穀稈案内板の側辺での摩擦抵抗が減少して、穀稈の引っ掛かりや折れ等の発生を軽減することができ、搬送姿勢が乱れることなくスムーズに穀稈供給口に穀稈を安定して搬送する。
【解決手段】脱穀部5の穀稈供給口91aの前側と、刈取部4から脱穀部5へ搬送する穀稈搬送装置55の後部との間に配設される可撓性素材より構成されるコンバイン1の穀稈案内板102において、前記穀稈案内板102の搬送上流側側辺102dに、表面が滑らかな硬質部材からなる案内体103を付設した。該案内体103が板状の硬質部材で形成され断面視略「コ」字状または略「V」字状に折り曲げて穀稈案内板102の側辺102dを被覆固定した。または、前記案内体103を、硬質合成樹脂を帯板状に形成し、穀稈案内板102の側辺102dに一体的に固定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの穀稈搬送の技術、特に搬送穀稈が受継される穀稈案内板の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインは、刈取部、脱穀部、走行部等で構成され、そのなかでも刈取部は分草体、引起装置、掻込装置、刈刃装置、搬送装置等で構成されている。詳しくは、未刈穀稈からの穀稈の分離や穀稈の一条ごとの分離を行う分草体、分草後の穀稈を起立させる引起装置、引起後の穀稈の株元側を掻き込む掻込装置、掻込時に穀稈の株元を切断する刈刃装置、切断後の刈取穀稈を垂直状態から水平状態に姿勢変更させながら脱穀部まで搬送する搬送装置等で構成されている。
搬送装置の搬送下流端において穀稈の株元側は脱穀部のフィードチェンに受継され、穀稈の穂先は扱室の供給口へ導かれる。該供給口では、穀粒が飛散されることが多く、この箇所には穀稈の受継を容易にする供給漏斗が設けられ、搬送装置の上下動に追随し該搬送装置と供給漏斗の間隙を閉鎖するゴム等で構成された穀稈案内板が設けられている。
【0003】
例えば、特許文献1に示すように、該記案内板が上向き「コ」字状に形成され、穂先搬送装置(搬送装置)のチェンケース終端部下側(下流端下側)に取付けられる取付板と、この取付板に添って断面「コ」字状に折曲げ形成され、さらに一方の立縁が下方へ折返した折曲げ部によって二重に形成された可撓性素材からなる案内板本体とによって構成されているコンバインの穀稈案内板の技術が公知となっている。
【0004】
また、特許文献2に示すように、供給搬送装置(補助搬送装置)に扱ぎ深さ調節用の回動自在の穀稈搬送用の根元チェンと該チェンをガイドするチェンレールと該チェンレールに設けたステーと該ステーに取り付けたカバーと該カバーに取り付けたゴム製の入口漏斗(案内体)を配設し、供給搬送装置から脱穀装置へ穀稈をスムーズに供給する構成となっているコンバインの穀稈案内板の技術が公知となっている。
【特許文献1】実公昭60−3709号公報
【特許文献2】特開2002−305938号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のコンバインの穀稈案内板においては、刈取作業中において、刈取後に搬送装置によって搬送された穀稈が穀稈案内板に位置したときに、穀稈の株元側がゴム製の穀稈案内板側辺に当接しそのときの摩擦抵抗により、穀稈の姿勢の乱れ、停滞、節折れが発生し、扱残しの増加となっていた。また、使用状況により穀稈案内板の端面が波打つと更に抵抗が増加し、正確に扱室の供給口へ穀稈を搬送することが難しくなる場合があった。
【0006】
本発明は以上の状況に鑑み、穀稈案内板の側辺での摩擦抵抗が減少して、穀稈の引っ掛かりや折れ等の発生を軽減することができ、搬送姿勢が乱れることなくスムーズに穀稈供給口に穀稈を安定して搬送することができるコンバインの穀稈案内板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、脱穀部の穀稈供給口の前側と、刈取部から脱穀部へ搬送する穀稈搬送装置の後部との間に配設される可撓性素材より構成されるコンバインの穀稈案内板において、前記穀稈案内板の搬送上流側側辺に、表面が滑らかな硬質部材からなる案内体を付設したものである。
【0009】
請求項2においては、前記案内体は、板状の硬質部材を断面視略「コ」字状または略「V」字状に折り曲げて穀稈案内板の側辺を被覆固定したものである。
【0010】
請求項3においては、前記案内体は、硬質合成樹脂を帯板状に形成し、穀稈案内板の側辺に一体的に固定したものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0012】
請求項1においては、ゴム等の可撓性素材で構成した穀稈案内板の側辺での摩擦抵抗が減少して、穀稈の引っ掛かりや折れ等の発生を軽減することができ、搬送姿勢が乱れることなくスムーズに穀稈供給口に穀稈を安定して搬送することができる。また、穀稈案内板の側辺だけが硬質化され、その他の部分は柔軟性が保たれるため、刈取部の昇降や搬送装置の昇降等が行われても穀稈案内板による案内を阻害されることがない。そして、縁の剛性が向上し、耐摩耗性も向上でき、波打ちも防止できる。
【0013】
請求項2においては、板状の硬質部材を折り曲げるだけで容易に案内体を構成することができる。また、硬質部材の案内体を安価に得ることができる。
【0014】
請求項3においては、案内体は安価に得ることができ、射出成形等で容易に得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施例に係るコンバインの全体的な構成を示した側面図、図2は刈取部の構成を示す概略側面図、図3は同じく概略平面図、図4は穀稈案内板付近の構造を示す概略図、図5は穀稈案内板の構成を示す平面図、図6は本発明の実施例1に係る穀稈案内板及び案内体の構成を示す概略図、図7は本発明の実施例2に係る穀稈案内板及び案内体の構成を示す概略図、図8は本発明の実施例3に係る穀稈案内板及び案内体の構成を示す概略図である。
なお、以下コンバインの進行方向は図1中の矢印Aを前方向とし、前後左右方向を決定する。
【0016】
まず、本発明の一実施例に係るコンバインの全体構成について説明する。
【0017】
図1に示すように、コンバイン1は機体フレーム2を走行部であるクローラ式走行装置3で支持し、該クローラ式走行装置3を機体フレーム2上に搭載したエンジンで駆動させることにより、前進または後進走行可能に構成されている。そして、コンバイン1では、機体フレーム2の前部に穀稈を刈取って機体後方へ搬送する刈取部4が設けられ、機体フレーム2の左側前後中途部に刈取部4からの刈取穀稈を脱穀する脱穀部5と、該脱穀部5で脱穀された穀粒を選別する選別部6とが配設されている。機体フレーム2の後部には、脱穀部5で脱穀された穀稈を切断したりそのまま排藁として機外へ排出したりする排藁処理部7が設けられている。
【0018】
また、前記機体フレーム2の右側後部に選別部6から揚穀筒で搬送される穀粒を貯留するグレンタンク8が設けられ、該グレンタンク8の後方から上方にかけてグレンタンク8内の穀粒を機体外部に排出する排出オーガ9が配設されている。前記グレンタンク8の前方で機体フレーム2の右側前部には操向ハンドル11や種々の操作レバー等の操作装置や、運転席12等を備える運転操作部15が設けられ、該運転操作部15の下方にトランスミッションやエンジンが配設されている。
【0019】
次に、刈取部4の構成について説明する。なお、本実施例では四条刈用のコンバインについて説明するが、コンバインの刈取条数は本実施例に限定するものではない。
【0020】
刈取部4は、機体の左右一側、本実施例では左側に支軸21を中心として側方回動可能に構成されており、図2及び図3に示すように、その支軸21は機体フレーム2の前部左側に立設されている。支軸21の上端部には筒形の基部を被嵌して、パイプ保持部材22が回動可能に支持されている。パイプ保持部材22は半割筒形状の上下のパイプ保持部22a・22bを備え、下パイプ保持部22bを基部から半径方向に突出して、該下パイプ保持部22bに上パイプ保持部22aをボルトで固定し、両パイプ保持部22a・22bの間に刈取入力パイプ23の左端側を挿通して挟持できるように構成されている。
【0021】
また、支軸21の右側において、機体フレーム2に刈取支持台25が支軸21と対向するように立設されて、該刈取支持台25上にパイプ受部材26が設けられている。パイプ受部材26は、半割筒形状の上下のパイプ受部(図示省略)を備え、下パイプ受部を刈取支持台25にボルトで締結し、該下パイプ受部に上パイプ受部を左右方向に延びるボルト軸27を介して上下回動可能に取り付けて、両パイプ受部の間に刈取入力パイプ23の右端側を配置して挟持できるように構成されている。
【0022】
このようにして、刈取部4は刈取入力パイプ23や、縦伝動パイプ33や、横伝動パイプ38等の各パイプを刈取フレームとして一体的に形成し、この刈取フレームに次のように未刈穀稈からの穀稈の分離や穀稈の一条ごとの分離を行う分草体51、分草後の穀稈を起立させる引起装置52、引起後の穀稈の株元側を掻き込む掻込装置53、掻込時に穀稈の株元を切断する刈刃装置54、切断後の刈取穀稈を脱穀部5まで搬送する穀稈搬送装置55等を組み付けることで構成されている。
【0023】
前記刈取部4の刈取フレームにおいては、その前部に分草体51と、引起ケース61に駆動スプロケットにて駆動可能とされるタイン付きのチェン62等により構成されている引起装置52が配設されている。分草体51は各分草フレーム39の先端部に突設されている。
引起装置52は分草体51よりも後方で、引起ケース61の上部を引起駆動ケース42に取り付け、下部を分草フレーム39の前後中途部に立設された分岐フレーム63に固定することで支持されている。
【0024】
引起装置52の後方には、スターホイル64や掻込ベルト65等により構成されている掻込装置53が配設され、該掻込装置53の下方に刈刃66等により構成されている刈刃装置54が配設されている。掻込装置53は横伝動パイプ38に立設された支持フレーム67に支持され、刈刃装置54は分草フレーム39の下側に固設されている。そして、掻込装置53および刈刃装置54の後上方に穀稈搬送装置55が配設されている。
【0025】
穀稈搬送装置55は、右二条分の刈取穀稈を左斜後方搬送する右下部搬送装置71と、左二条分の刈取穀稈を右斜後方へ搬送してその株元部を右下部搬送装置71の搬送終端付近に合流させる左下部搬送装置72と、四条分の刈取穀稈の穂先部を寄せ集めながら左斜後方に搬送する上部搬送装置73と、右下部搬送装置71の搬送終端付近にて合流した四条分の刈取穀稈の株元部を脱穀部5のフィードチェン90へ向けて後斜上方に搬送する縦搬送装置74と、該縦搬送装置74とフィードチェン90との間で刈取穀稈の株元部側の搬送を中継する補助搬送装置75とで構成されている。
【0026】
右下部搬送装置71と左下部搬送装置72とは掻込装置53の後方に配設され、上部搬送装置73は右下部搬送装置71の上方から両下部搬送装置71・72の後上方にわたって配設されている。縦搬送装置74は左下部搬送装置72の後方で、上部搬送装置73の下方に配設されている。そして、補助搬送装置75が側面視で上部搬送装置73の後端部と縦搬送装置74の後端部との間に上下から挟まれて、その位置が上から順に上部搬送装置73、補助搬送装置75、縦搬送装置74となるように配設されている。
【0027】
補助搬送装置75は縦搬送装置74の後端部とフィードチェン90の前端部の右側方で、縦搬送装置74の搬送終端部がフィードチェン90の搬送始端部(前端部)に近接するように配置されて、縦搬送装置74にて横倒しの姿勢で搬送されてくる四条分の刈取穀稈の株元部をフィードチェン90の始端部に受け渡すことができるようになっている。そして、このように構成される穀稈搬送装置55からフィードチェン90に受継がれた刈取穀稈は、当該フィードチェン90及び穀稈押え部95に挟まれる形で機体後方へ搬送されながら脱穀部5の扱室91内に備えられた扱胴92にて脱穀処理されるようになっている。ここで、前記穀稈押え部95は、スプリングの力で穀稈搬送流量の変化及び穀稈の引抜き防止に対応するよう構成されている。
【0028】
なお、該縦搬送装置74は、前方を支点として左右方向に回動し、フィードチェン90への株元部の受継ぎ位置を調整することによって、脱穀部5へ搬送される穀稈の扱深さを変更可能としている。
【0029】
前記刈取部4では、刈取入力パイプ23内の刈取入力軸に伝達された動力は、縦伝動パイプ33内の縦伝動軸に伝達され、ついで縦伝動軸から横伝動パイプ38内の横伝動軸に伝達されるように構成されている。そして、この横伝動軸から引起装置52と、掻込装置53と、刈刃装置54と、穀稈搬送装置55のうちの右下部搬送装置71および左下部搬送装置72とに動力が伝達されて、各装置が駆動されるようになっている。
【0030】
刈取入力パイプ23内の刈取入力軸から縦伝動パイプ33内の縦伝動軸に伝達された動力は、当該縦伝動軸の中途部に設けられたベベルギヤ機構により分岐され、その一部が前方斜上向きに延びる縦搬送駆動軸78に伝達されるように構成されている。この縦搬送駆動軸78から縦搬送装置74に動力が伝達されて、縦搬送装置74が駆動されるようになっている。
【0031】
また、刈取入力軸に伝達された動力は、当該刈取入力軸の中途部に設けられたベベルギヤ機構により分岐され、その一部が右斜上向きに延びる搬送駆動軸79に伝達されるように構成されている。そして、この搬送駆動軸79から上部搬送装置73と、補助搬送装置75とに動力が伝達されて、上部搬送装置73と補助搬送装置75とが駆動されるようになっている。
【0032】
また、刈取部4において、フィードチェン90側(左側)に位置した引起縦伝動パイプ40の上下中途部には、丸パイプ製の支持フレーム81の前端部が取り付けられている。支持フレーム81は、側面視で上向き凸状に湾曲または屈曲した状態に形成され、引起縦伝動パイプ40から後方へ向かって補助搬送装置75の左側方付近まで延出されて、その後端部がフィードチェン90の前方で、且つ、補助搬送装置75よりも上方に位置するように配置されている。
【0033】
支持フレーム81の後端部には、挟持ガイド部材82が補助搬送装置75の搬送側と対向するように吊支されて、この挟持ガイド部材82と補助搬送装置75とで刈取穀稈の株元部を挟持することができるように構成されている。また、株元をガイドする穀稈案内板102及び穂先をガイドする穂先穀稈案内板108は補助搬送装置75後端側から穀稈供給口91aの手前付近にかけて配設されている。
【0034】
また、穀稈案内板102は板状のゴム等の可撓性素材から構成される。図4及び図5に示すように、前端側を補助搬送装置75の上面側に配置された補助搬送装置カバー75a上部後端側と穀稈案内板102の左前端部102aがボルト等の締結具で締結され、補助搬送装置75に取り付けられている。同様に、上部搬送装置73の上部後端側と穀稈案内板102の右前端部102bがボルト等の締結具で締結され、上部搬送装置73に取り付けられている。そして、穀稈案内板102は補助搬送装置75及び上部搬送装置73の後端側から後方へ広がるように延出されて、後部が脱穀部5の扱室91前方で穂先穀稈案内板108の左側部が上方から重複するように載置されている。
【0035】
穂先穀稈案内板108は穀稈案内板102と同様に板状のゴム等の可撓性素材から構成され、前端側を上部搬送装置73の上面側に配置された上部搬送装置カバー73aの後端部に締結具にて締結することで、上部搬送装置73に取り付けられている。そして、上部搬送装置73の後端部から後方へ向かって延出されて、周りの部材に当接し変形されながら後端側が脱穀部5の扱室91の前側に形成された穀稈供給口91aの手前付近に位置するように配置されている。こうして、穂先穀稈案内板108は穀稈案内板102の上部に平面視で重複して配置される。
【0036】
穀稈をガイドする穂先穀稈案内板108と穀稈案内板102を別体として構成しているが一体的に構成してもよく限定するものではない。
【0037】
前記までは、コンバイン1の基本構成、及び穀稈の刈取、搬送の方法であり、後述する各実施例において共通である。
次に、本発明の特徴である案内体103について、各実施例にて詳細に説明する。
【実施例1】
【0038】
図4及び図5に示すように、前記穀稈案内板102の左側の側辺102dは、平面視「へ」字状に形成されて、搬送上流側側辺の角度は補助搬送装置75の搬送方向と合わせ、搬送下流側側辺の角度はフィードチェン90の搬送方向と合わせて構成されている。そして、前記穀稈案内板102の側辺102dの搬送上流側側辺には、表面が滑らかな金属や合成樹脂等の硬質部材からなる案内体103がその側辺形状に合わせて付設されている。
【0039】
実施例1の案内体103は、図6に示すように、略搬送上流側側辺の長さに合わせた硬質部材である金属板等が折り曲げられて、または、合成樹脂が射出成形され、断面視略「コ」字状または略「V」字状に形成されている。この案内体103により、穀稈案内板102の側辺102dの搬送上流側端部が被覆固定される。穀稈案内板102の側辺102d近傍には複数箇所ボルト孔102gが開口されている。また、案内体103下部側には、固定する際の前記ボルト孔102gに合せて複数箇所にボルト孔103dが開口されている。
また、案内体103が被覆される箇所を上下肉薄化して案内体103と穀稈案内板102の表面に段差ができないようにし、側辺102dを含むその近傍が案内体103によって挟み込まれ、穀稈案内板102下部側よりボルト孔103dにボルト200等で螺設され固定される。但し、案内体103の固定方法は限定するものではなく、接着やかしめ等で固定することもできる。
【0040】
このような構成により、ゴム等の可撓性素材で構成した穀稈案内板102の側辺102dの搬送上流側側辺での摩擦抵抗を、案内体103を付設することで減少することができる。よって、従来の側辺102dの搬送上流側側辺での摩擦抵抗による穀稈の引っ掛かりによる搬送姿勢の乱れ、停滞、節折れ等の発生を軽減することができ、穀稈搬送姿勢がスムーズに安定して穀稈供給口91aに穀稈を搬送させることができる。また、穀稈案内板102の側辺だけが硬質化され、その他の部分は可撓性素材(柔軟性)が保たれるため、刈取部4の昇降や穀稈搬送装置55の昇降等が行われても穀稈案内板102による案内が阻害されることがなく、補助搬送装置75とフィードチェン90との間隙を柔軟に塞ぎ、刈取穀稈が落下するのを防止することができる。そして、案内体103を付設することで側辺102dの剛性が向上し、耐摩耗性も向上でき、余分な抵抗によりもたらされる穀稈案内板102全体の波打ち及び皺の形成も防止できる。
【0041】
また、金属板等を折り曲げるだけ、または合成樹脂等の射出成形により容易に案内体103を構成することができ、硬質部材の案内体を安価に得ることができる。
【実施例2】
【0042】
実施例2の案内体103は、硬質合成樹脂性を帯板状に形成して穀稈案内板102の側辺102dの搬送上流側側辺に一体的に固定しても構わない。
つまり、図7に示すように、穀稈案内板102の側辺102dの搬送上流側端部に長手方向に沿って溝部102eが形成されている。該溝部102eが形成された上下部側の複数箇所に開口部102h・102iが開口されている。一方、帯板状に形成された案内体103の穀稈案内板102側端部には前記溝部102eに係合するように、突起部103aが形成される。
該突起部103aの上下部の上面および下面には固定する際に前記開口部102h・102iに合せた複数箇所に円柱状の係合部103e・103fが配設されている。また、案内体103の他端(外側面)103bは、断面上部を円弧状とする滑らかな摺接面として形成される。そして、開口部102h・102iと係合部103e・103fがそれぞれ嵌合され、前記溝部102eと突起部103aが嵌合されることによって、穀稈案内板102と案内体103が固定される。なお、案内体103と穀稈案内板102の表面には前記同様に段差ができないようにし、また、固定方法、も限定するものではなく、係合部103e・103f及び嵌合される開口部102h・102iは上部若しくは下部の一側だけでもよく、限定するものではない。
【実施例3】
【0043】
また、実施例3の案内体103は図8に示すように、穀稈案内板102の側辺102dの搬送上流側側辺近傍には二段の階段状に形成した段差面102fが形成される。該段差面102f下部側には複数箇所にボルト孔102gが開口されている。
一方、帯板状に形成された案内体103は穀稈案内板102側を前記二段の階段状に係合するように、側辺102dの上下逆である段差面103cが形成される。
該段差面102c上部側には固定する際の前記ボルト孔102gに合せて複数箇所にボルト孔103dが開口されている。
【0044】
案内体103の他端103bは、断面上部を円弧状とする摺接面として形成される。そして、前記段差面102f・103cを係合させ、係合された箇所を穀稈案内板102下部よりボルト孔102g・103dにボルト200で螺設されることによって、穀稈案内板102と案内体103が固定される。なお、案内体103と穀稈案内板102の表面には前記同様に段差ができないようにし、また、固定方法、も限定するものではない。
【0045】
実施例2及び実施例3の構成により、案内体103は硬質合成樹脂によって形成されているため、安価に得ることができ、射出成形等で容易に形成されることができる。
また従来、穀稈が当接し無理な圧力が掛かる角がある側辺102dが、円弧状の摺接面として形成されているため、無理な当接圧力が減少し、それに伴い穀稈の節折れ等を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施例に係るコンバインの全体的な構成を示した側面図。
【図2】刈取部の構成を示す概略側面図。
【図3】同じく概略平面図。
【図4】穀稈案内板付近の構造を示す概略図。
【図5】穀稈案内板の構成を示す平面図。
【図6】本発明の実施例1に係る穀稈案内板及び案内体の構成を示す概略図。
【図7】本発明の実施例2に係る穀稈案内板及び案内体の構成を示す概略図。
【図8】本発明の実施例3に係る穀稈案内板及び案内体の構成を示す概略図。
【符号の説明】
【0047】
1 コンバイン
4 刈取部
5 脱穀部
54 刈刃装置
55 穀稈搬送装置
74 縦搬送装置
75 補助搬送装置
90 フィードチェン
102 穀稈案内板
103 案内体
108 穂先穀稈案内板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱穀部の穀稈供給口の前側と、刈取部から脱穀部へ搬送する穀稈搬送装置の後部との間に配設される可撓性素材より構成されるコンバインの穀稈案内板において、
前記穀稈案内板の搬送上流側側辺に、表面が滑らかな硬質部材からなる案内体を付設したことを特徴とするコンバインの穀稈案内板。
【請求項2】
前記案内体は、板状の硬質部材を断面視略「コ」字状または略「V」字状に折り曲げて穀稈案内板の側辺を被覆固定したことを特徴とする請求項1に記載のコンバインの穀稈案内板。
【請求項3】
前記案内体は、硬質合成樹脂を帯板状に形成し、穀稈案内板の側辺に一体的に固定したことを特徴とする請求項1に記載のコンバインの穀稈案内板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−219450(P2009−219450A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−68335(P2008−68335)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】