コンバインの脱穀装置
【課題】本発明は、脱穀処理物を確実に脱穀処理しながらも、脱穀処理物が扱歯から受ける衝撃的な打撃回数を軽減して、脱穀処理物に悪影響を与えないようにして、良好な品質の穀粒を効率よく回収することを目的とする。
【解決手段】周方向に間隔を隔てて複数配設して支持した扱胴フレームに複数の扱歯44を備えたコンバインの脱穀装置において、周方向複数の扱歯44が同一回転軌跡を描くように配設し、同一回転軌跡を描く複数の扱歯44からなる扱歯44群が前後方向に複数組存在するように構成し、一組の扱歯44群と前側に隣接する組の扱歯44群とのピッチと、前記一組の扱歯44群と後側に隣接する組の扱歯44群とのピッチとが、大小に異なるように設定してある。
【解決手段】周方向に間隔を隔てて複数配設して支持した扱胴フレームに複数の扱歯44を備えたコンバインの脱穀装置において、周方向複数の扱歯44が同一回転軌跡を描くように配設し、同一回転軌跡を描く複数の扱歯44からなる扱歯44群が前後方向に複数組存在するように構成し、一組の扱歯44群と前側に隣接する組の扱歯44群とのピッチと、前記一組の扱歯44群と後側に隣接する組の扱歯44群とのピッチとが、大小に異なるように設定してある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扱室内で扱胴軸の軸心周りで回転する扱胴を、前記扱胴軸の前後に装着した支持部材と、前記前後の支持部材に亘って周方向に間隔を隔てて複数配設して支持した扱胴フレームと、前記各扱胴フレームに扱胴の径方向外方に向けて突出する姿勢で前後方向に間隔を隔てて複数配設した扱歯とを備えて構成してあるコンバインの脱穀装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、扱室14内で扱胴軸(支軸15)の軸心周りで回転する扱胴16を、前記扱胴軸15の前後に装着した支持部材44,46と、前記前後の支持部材44,46に亘って周方向に間隔を隔てて複数配設して支持した扱胴フレーム(棒状部材47)と、前記各扱胴フレーム47に扱胴16の径方向外方に向けて突出する姿勢で前後方向に間隔を隔てて複数配設した扱歯48とを備えて構成してあるコンバインの脱穀装置としては、特許文献1示されているように、周方向複数の扱歯48が同一回転軌跡を描くように配設し、同一回転軌跡を描く複数の扱歯48からなる扱歯群が前後方向に複数組存在するように構成し、一組の扱歯群と前側に隣接する組の扱歯群とのピッチと、前記一組の扱歯群と後側に隣接する組の扱歯群とのピッチとが同一のピッチに設定したものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−167687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のものでは、同一回転軌跡を描く扱歯群どうしの前後方向のピッチが同一に設定されている。同一回転軌跡を描く扱歯群が等ピッチの従来の脱穀機ではピッチ間距離が長くなるので、脱穀処理物が同一回転軌跡を描く扱歯群の組とする前後方向の組数の回数だけ数多く扱歯に叩かれる。脱穀処理物が扱歯に叩かれたとき、或いは扱歯に持ち回されて離れた直後は、高速回転する扱歯の回転速度で放出された脱穀処理物は、受網との接触で急激に速度が低下する。回転速度が低下した脱穀処理物が再度扱歯に叩かれると、瞬間的な衝撃力を受けて再び扱歯の回転速度まで瞬間に上昇する。脱穀処理をする対象物が菜種などの茎部に水分を多く含む作物である場合、強力な打撃を何回も繰り返し受けると茎汁が多く発生する。茎汁が多く発生すると脱穀負荷が増大し、良好な扱き処理が行えず、又、脱粒した脱穀処理物の選別処理も選別不良を起こす不都合が生じる。
【0005】
本発明は、扱胴に多数の扱歯を備えることによって、脱穀処理物を確実に脱穀処理しながらも、脱穀処理物が扱歯から受ける衝撃的な打撃回数を軽減する、或いは、扱歯から受ける衝撃力を緩和するように工夫することによって、脱穀処理物に悪影響を与えないようにして、良好な品質の穀粒を効率よく回収することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔第1発明の構成〕
第1発明の構成は、扱室内で前後向きの扱胴軸回りで回転する扱胴を、前記扱胴軸の前後に装着した支持部材と、前記前後の支持部材に亘って周方向に間隔を隔てて複数配設して支持した扱胴フレームと、前記各扱胴フレームに扱胴の径方向外方に向けて突出する姿勢で前後方向に間隔を隔てて複数配設した扱歯とを備えて構成してある脱穀装置において、周方向複数の扱歯が同一回転軌跡を描くように配設し、同一回転軌跡を描く複数の扱歯からなる扱歯群が前後方向に複数組存在するように構成し、一組の扱歯群と前側に隣接する組の扱歯群とのピッチと、前記一組の扱歯群と後側に隣接する組の扱歯群とのピッチとが、大小に異なるように、前記複数組の扱歯群の前後方向のピッチを設定してある。
【0007】
〔第1発明の作用〕
第1発明によれば、近接した2組の扱歯群と、2組の扱歯群と2組の扱歯群の間に幅の広い空間とが交互に出現することになり、脱穀処理物が脱穀されるときは、前後で近接する2組の扱歯群で扱き処理された後、脱穀処理物が扱胴搬送方向下手側に移動し、幅の広い空間でランダムに転がり姿勢変更されながら、下手側扱歯群で扱き処理されることを繰り返されて順次脱穀処理される。
即ち、近接した2組の扱歯群は近接しているので、脱穀処理物は、近接した2組の扱歯群のうち、概して前側(搬送方向上手側)の扱歯群のうちの扱歯に叩かれる(打撃を受ける)が、脱穀処理物は、近接した2組の扱歯群のうち、
(1)前後いずれかの扱歯群に叩かれる。
(2)前側の扱歯群の扱歯と後側の扱歯群の扱歯に連続して叩かれる。
(3)前後の各扱歯群における前後2個の扱歯に同時に当たって叩かれる。
ことになる。
(1)の場合は、扱胴全長を通過する間の脱穀処理物が扱歯に叩かれる回数が軽減(半減)されるので、打撃が軽減される。
(2)の場合は、前後の扱歯に連続的に叩かれるので、後の扱歯に叩かれるときの脱穀処理物の速度低下が少なく、扱歯の回転速度と脱穀処理物の回転速度との速度差が小さいから、脱穀処理物が後方の扱歯に叩かれるときの衝撃が緩和される。
(3)の場合は、一つの脱穀処理物が前後2個の扱歯に同時に当たるので、衝撃が緩和される。
従って、いずれの場合も全体としての脱穀処理物の衝撃が緩和される。即ち、前後に近接した2組の扱歯群でもって、これらが対となって全体としての脱穀処理物に対する衝撃を緩和するように機能して脱穀処理が行われる。
【0008】
即ち、ピッチの短い前後2組の扱歯群によって、脱穀処理物は、概して、移送方向上手側の扱歯に叩かれる。この打撃作用は間隔を隔てて等ピッチで植設された従来の扱歯と同様、衝撃的に叩かれることになるが、前記(1)の現象が生じる場合は、脱穀処理物は対を成す2組の下手側の扱歯を通り過ぎて、次の2組の近接した扱歯群に脱穀処理されることとなり、扱歯に衝撃的に打撃される回数が少なくなる。
脱穀処理物が、対を成す2組の近接した扱歯群のうち、前側(移送方向上手側)の扱歯に叩かれた後、引き続いて、対を成す後方の扱歯群の扱歯に叩かれる場合(前記(2)の場合)は、前側の扱歯に打撃を受けた後、直ぐに再打撃を受けることとなる。この場合、対を成す前後2組の扱歯群の距離(ピッチ)は短く両者は接近しているから、脱穀処理物は短時間の間に続け様に前後の扱歯に打撃を受けることになる。扱歯に打撃を受けた脱穀処理物は、瞬間的には扱歯と回転速度と略同速度回転する。脱穀処理物が扱歯から離れると速度低下が生じるが、近接した前後の扱歯で続け様に打撃を受けると、対を成す後の扱歯で打撃を受けるときの速度低下は少ないから、後の扱歯で再打撃されるときの衝撃力が小さく、全体として2組の扱歯のピッチを短くした場合は、ピッチの広い2組の衝撃力の総和よりも小さくなる。
脱穀処理物が対を成すピッチの短い2組の扱歯群の前後の扱歯に略同時に当たったときは(前記(3)の場合)、その前後何れか一方の扱歯の回転速度と脱穀処理物の回転速度が同速度で当たったことと同じ、即ち、一方が速度差零で当たったとみなせるから、一対の扱歯に同時叩かれたときは衝撃力が概ね半減する。
以上のように、第1発明によれば、扱歯による脱穀処理物に対する衝撃力が緩和されるから、脱穀処理物の茎汁の発生を抑制でき、総じて脱穀負荷も軽減される。
【0009】
〔第1発明の効果〕
第1発明は、菜種などの脱穀時に茎汁が発生しやすい作物を脱穀する場合の脱穀装置に適し、茎汁の発生を抑制し、脱穀負荷も小さくできながら、良好な脱穀処理並びにその後の選別処理も良好に行うことができる。しかも収穫物によっては、品質の良い作物の収穫が期待できるようになった。
【0010】
〔第2発明の構成〕
第2発明の構成は、第1発明の構成において、隣接する組の前記扱歯群の各扱歯どうしを、互いに周方向に位置をずらせた千鳥状に配設してある。
【0011】
〔第2発明の作用効果〕
第2発明によれば、近接する2組の扱歯群の前後の各扱歯の回転位相が異なるので、回転位相の異なる対を成す前後の扱歯群の何れかの扱歯で確実に脱穀処理物が行われるとともに、衝撃力が緩和されながらも前後の扱歯群の扱歯で、連続的に脱穀される作用も生じやすく、衝撃力が緩和された状態で打撃回数も稼ぐことも可能で、脱穀負荷を軽減できながら、良好な脱穀処理を行うことができる。
【0012】
〔第3発明の構成〕
第3発明の構成は、第2発明の構成において、前記一組の扱歯群と前側に隣接する組の扱歯群とのピッチと、前記一組の扱歯群と後側に隣接する組の扱歯群とのピッチとの前後2つの前記ピッチの比が、1対3またはこれ以上の比となるように設定してある。
【0013】
〔第3発明の作用効果〕
第3発明によれば、隣接する扱歯群どうしが近接し、2組の扱歯群と2組の扱歯群の間のピッチが2組の扱歯群間距離よりも3倍以上広いので、全体として、2組の扱歯群が一つのグループの回転軌跡を形成するように作用させることができるので、扱胴全長に対する扱歯に叩かれる回数が、等距離に配設されているものに比べて半減することになり、より確実に、茎汁の発生を抑制でき、良好な脱穀処理並びに選別処理を行うことができ、より品質の良い作物の収穫が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】コンバインの全体側面図である。
【図2】コンバインの全体平面図である。
【図3】脱穀装置の縦断側面図である。
【図4】唐箕の選別風の風路を示す部分側面図である。
【図5】扱室の縦断正面図である。
【図6】扱胴の側面図である。
【図7】扱胴における扱歯の配置を示す展開図である。
【図8】第1チャフシーブの全開状態を示す一部破断側面図である。
【図9】第1チャフシーブの選別板と操作部材と脱穀装置の左側壁を示す一部縦断正面図である。
【図10】第1チャフシーブの選別板の左半部を示す一部縦断正面図である。
【図11】第1チャフシーブの全閉状態を示す一部破断側面図である。
【図12】第2チャフシーブの最大開度状態を示す一部破断側面図である。
【図13】第2チャフシーブの選別板と開度設定用の操作具を示す一部縦断正面図である。
【図14】第2チャフシーブの選別板の左半部を示す一部縦断正面図である。
【図15】第2チャフシーブの最小開度状態を示す一部破断側面図である。
【図16】別実施の形態を示す選別板の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1、図2に基づいて、普通型コンバインの全体構成について説明する。図1、図2は、コンバインの全体側面図、及び全体平面図を示す。図1、図2に示すように、左右一対のクローラ走行装置1を備えた走行機体2の上部に、軸流型の脱穀装置3及び作物回収部4が左右に並列して配備されており、作物回収部4の前方に運転部5が配備されている。
【0016】
脱穀装置3の前部には支点X周りに上下揺動自在に刈取り作物搬送用のフィーダ6が連結され、このフィーダ6の前端に略機体横幅に相当する刈幅を有する刈取り部7が連結されている。
【0017】
刈取り部7は、左右一対の分草フレーム8に亘って設けられたバリカン型の刈取装置9と、左右一対の分草フレーム8に亘って架設されたオーガ10とを備えて構成されており、刈取装置9により刈り取った作物をオーガ10によって左右中央部に横送りしてフィーダ6に供給できるように構成されている。オーガ10は、ドラム状のオーガ本体11の外周部に、掻込み爪12とスクリュー13とを備えて構成されている。
【0018】
フィーダ6には、掻き揚げコンベア14が内装されており、フィーダ6から供給された処理対象作物をフィーダ6の底面に沿って搬送して、脱穀装置3に供給できるように構成されている。
普通型コンバインで収穫される処理対象作物としては、稲麦、稗、粟、豆類、ごま、菜種など種々あるが、ここでは、菜種を収穫する処理対象作物としている。以下において収穫の目的とする菜種を穀粒と称し、茎、及び穀粒を包んでいた鞘を含めて茎部と称し、場合によっては鞘と茎部を分けていうことがある。
【0019】
走行機体2における主デッキ15の前部とフィーダ6の下部とに亘って油圧シリンダ16が配設されており、この油圧シリンダ16を伸縮することにより、刈取り部7及びフィーダ6を支点X周りに上下揺動駆動できる。
【0020】
刈取り部7の前部上方に、植立した作物を後方に掻き込んで引き上げる掻込みリール17が装備されている。左右の分草フレーム8の後端部に、支点Y周りに上下揺動自在な左右の支持アーム18が枢支連結されており、この支持アーム18の前部に掻込みリール17が支持ブラケット19を介して枢支連結されている。
【0021】
分草フレーム8と支持アーム18とに亘って油圧シリンダ20が配設されており、この油圧シリンダ20によって支持アーム18を上下揺動することで掻込みリール17の掻込み作用高さを変更することができるとともに、支持ブラケット19を支持アーム18に沿ってスライド調節して掻込み作用位置を前後に調節することができるように構成されている。
【0022】
図3に示すように、脱穀装置3は、その上部に形成した扱室21に、刈取った処理対象作物の搬送方向に沿って架設した前後向きの扱胴軸22回りに回転する扱胴23を配備し、その扱胴23の下方に、扱胴23の下部側を下方から覆う正面視U字状に形成された受網24を装備し、脱穀装置3の脱穀処理方向下手側端部となる受網23の後方に送塵口25を形成し、受網24の下方に選別部26を設けている。選別部26には、受網24の直ぐ下にシーブケース27を備えた揺動選別機構28を配置し、揺動選別機構28の前下方に唐箕29を配備し、揺動選別機構28の前部側下方に1番回収部30を形成し、揺動選別機構28の後部側下方に2番回収部31を形成し、揺動選別機構28の後方に排塵口32を形成し、扱胴23の上部側を上方から覆う天板33を備えている。
【0023】
扱室21は、扱胴23を覆う受網24や天板33などによって区画形成され、その前端下方部位に供給口34が形成され、その供給口34にフィーダ6の後端部が接続され、そのフィーダ6で搬送された刈取り処理対象作物の全体が脱穀処理物として供給口34から投入供給される。
【0024】
扱胴23は、その扱胴軸22が脱穀装置3の前壁35と後壁36とにわたって回転可能に架設され、唐箕29などを介して伝達されるエンジン(図示せず)からの動力で、扱胴軸22を支点にして正面視右回りに回転駆動されることで、扱室21に供給された処理対象作物に対して脱穀処理を施して、穀粒の単粒化を促しながら、脱穀処理物を脱穀処理方向下手側となる後方に向けて搬送する。
【0025】
受網24は、格子状に形成されたコンケーブ受網であり、扱室21に供給された処理対象作物の茎部を受け止め、脱穀処理で得られた単粒化穀粒や鞘付き穀粒、あるいは、脱穀処理で発生した鞘や茎部の処理屑を下方の揺動選別機構28に向けて漏下させる一方で、茎部の揺動選別機構28への漏下を防止する。受網24の目合いは稲の場合よりも小さくしてあり、稲を脱穀する場合は、稲用の受網と交換する。
【0026】
前記扱胴23は、その前端部に装備した円錐台状の掻込部37と、その掻込部37の後端に連接した扱き処理部38とを備えて構成されている。掻込部37の外周面には、扱胴23の回転作動時に、供給口34から供給された刈取穀稈を後方の扱き処理部38に向けて掻込み搬送する2枚の螺旋歯39が一体装備されている。
【0027】
扱き処理部38は、扱胴軸22の前部に連結されたプレートからなる前部支持部材40、扱胴23の前後中間部に配置された円環状状の中空プレートからなる中間支持部材41、扱胴軸22の後端部に連結されたプレートからなる後部支持部材42を備え、これらの支持部材40〜42によって、扱胴軸22に沿う前後向きの姿勢で、扱胴23の周方向に一定間隔を隔てて並ぶように支持された丸パイプ鋼材などからなる6本の扱胴フレーム43、及び、各扱胴フレーム43に、扱胴フレーム43から扱胴23の径方向外方に向けて突出する姿勢で、前後方向に所定間隔を隔てて並ぶように装備した複数の扱歯44などによって籠状に構成されている。
【0028】
つまり、扱胴23は、その外方に向けて突出する複数の扱歯44が、扱き処理部38の周方向と前後方向とに間隔を隔てて並ぶように整列配備され、又、扱き処理部38の内部空間Sが扱室21に連通して、その内部空間Sへの脱穀処理物の入り込みを許容するようになっている。
【0029】
図5、図6に示すように、前記各支持部材40〜42の外形は、扱胴軸22を中心とする円形で、外周側における扱胴軸22からの等距離の位置に扱胴フレーム43がボルト連結されている。各支持部材40〜42の外周側に、その周方向に一定間隔を隔てて並ぶ状態に6本の扱胴フレーム43を配備して、扱胴23の胴径を大きくするようにしているのであり、これによって、扱胴23に対する脱穀処理作物の茎部の巻き付きを防止することができる。
【0030】
扱歯44は法線に対して先端側が回転方向で遅れる遅れ角をもった傾斜した状態で取付けられている。これによって、扱歯44に引っ掛かった茎部が回転に伴って扱歯44から離脱しやすくなっている。
【0031】
周方向6本の扱胴フレーム43には、周方向で交互に前部支持部材40及び後部支持部材42から距離Lの間隔を隔てた位置から扱歯44が前方向及び後方向に一定ピッチPで並び、最後(交互に前端部又は後端部)の扱歯44が1/2ピッチPで取付けられている。
【0032】
即ち、図6において最上部の扱胴フレーム43及びこれに一つ飛びの計3本の扱胴フレーム43(最上部の扱胴フレーム43から数えて奇数本目の扱胴フレーム43)については、前部支持部材40から距離Lを隔てた位置を基点として後方に向けて一定ピッチPで同一回転軌跡を描くように扱歯44が並び、最後の扱歯44が2分の1ピッチPで配設されている。又、図6において最下部の扱胴フレーム43及びこれに一つ飛びの計3本の扱胴フレーム43(最上部の扱胴フレーム43から数えて偶数本目の扱胴フレーム43)については、後部支持部材42から距離Lを隔てた位置を基点として前方に向けて一定ピッチPで同一回転軌跡を描くように扱歯44が並び、最前の扱歯44が2分の1ピッチPで配設されている。そして、前記扱胴フレーム43の奇数本目の後端の扱歯44群と偶数本目の後端の扱歯44群との前後方向の距離、及び前記扱胴フレーム43の偶数本目の前端の扱歯44群(回転軌跡)と偶数本目の前端の扱歯44群(回転軌跡)との前後方向の距離はそれぞれ4分の1ピッチPだけ離れている。
【0033】
即ち、図6、図7に示すように、奇数本目の扱胴フレーム43に配設された扱歯44群と偶数本目の扱胴フレーム43に配設された扱歯44群との前後方向のピッチは、前端部と後端部では4分の1ピッチP、2分の1ピッチP、4分の1ピッチPとなり、それ以外の前後間では4分の1ピッチPと4分の3ピッチPが交互に繰り返されるピッチで配設されている。
【0034】
これにより、周方向複数の扱歯44(奇数本目と偶数本目の各3本の扱胴フレーム43の扱歯44群)が同一回転軌跡を描くように配設され、同一回転軌跡を描く複数の扱歯44からなる2つの扱歯44群が前後方向に複数組存在するように構成されており、一組(例えば周方向奇数の組)の扱歯44群と前側に隣接する組(例えば周方向偶数の組)の扱歯44群とのピッチと、前記一組(奇数組)の扱歯44群と後側に隣接する組(偶数組)の扱歯44群とのピッチとが、4分の1ピッチPと4分の3ピッチPとに大小異なるように、複数組の扱歯44群の前後方向のピッチを設定してある。
【0035】
結局、扱胴23の前後方向には、4分の3ピッチPの距離毎に、4分の1ピッチPで近接する2組の扱歯44群が存在することになり、脱穀処理物が脱穀されるときは、4分の1ピッチPで前後に近接する2組の扱歯44群で扱き処理され、受網に叩きつけられながら脱穀処理物が扱胴搬送方向下手側に移動し、広い4分の3ピッチPの距離だけ隔てた空間を脱穀処理物が通り抜け、その空間内をランダムに転がって姿勢変更されながら、下手側の扱歯44群で扱き処理されることを繰り返されて順次脱穀処理される。
【0036】
即ち、近接した2組の扱歯44群は近接しているので、脱穀処理物は、近接した2組の扱歯44群のうち、概して前側(搬送方向上手側)の扱歯44群のうちの扱歯44に叩かれる(打撃を受ける)が、脱穀処理物は、近接した2組の扱歯44群のうち、
(1)前後いずれかの扱歯44群に叩かれる。
(2)前側の扱歯44群の扱歯44と後側の扱歯44群の扱歯44に連続して叩かれる。
(3)前後の各扱歯44群における前後2個の扱歯44に同時に当たって叩かれる。
ことになる。
(1)の場合は、扱胴全長を通過する間の脱穀処理物が扱歯44に叩かれる回数が軽減(半減)されるので、打撃が軽減される。
(2)の場合は、前後の扱歯44に連続的に叩かれるので、後の扱歯44に叩かれるときの脱穀処理物の速度低下が少なく、扱歯44の回転速度と脱穀処理物の回転速度との速度差が小さいから、脱穀処理物が後方の扱歯44に叩かれるときの衝撃が緩和される。
(3)の場合は、一つの脱穀処理物が前後2個の扱歯44に同時に当たるので、衝撃が緩和される。
従って、いずれの場合も全体としての脱穀処理物の衝撃が緩和される。即ち、前後に近接した2組の扱歯44群でもって、これらが対となって全体としての脱穀処理物に対する衝撃を緩和するように機能して脱穀処理が行われる。
【0037】
即ち、ピッチの短い前後2組の扱歯44群によって、脱穀処理物は、概して、移送方向上手側の扱歯44に叩かれるが、前記(1)の現象が生じる場合は、脱穀処理物は対を成す2組の下手側の扱歯44を通り過ぎて、次の2組の近接した扱歯44群に脱穀処理されることとなり、扱歯44に衝撃的に打撃される回数が少なくなる。
脱穀処理物が、対を成す2組の近接した扱歯44群のうち、前側(移送方向上手側)の扱歯44に叩かれた後、引き続いて、対を成す後方の扱歯44群の扱歯44に叩かれる場合(前記(2)の場合)は、前側の扱歯44に打撃を受けた後、直ぐに再打撃を受けることとなる。この場合、対を成す前後2組の扱歯44群の距離(ピッチ)は短く両者は接近しているから、脱穀処理物は短時間の間に続け様に前後の扱歯44に打撃を受けることになる。扱歯44に打撃を受けた脱穀処理物は、瞬間的には扱歯と回転速度と略同速度回転する。脱穀処理物が扱歯から離れると速度低下が生じるが、近接した前後の扱歯44で続け様に打撃を受けると、対を成す後の扱歯44で打撃を受けるときの速度低下は少ないから、後の扱歯44で再打撃されるときの衝撃力が小さく、全体として2組の扱歯44のピッチを短くした場合は、ピッチの広い2組の衝撃力の総和よりも小さくなる。
脱穀処理物が対を成すピッチの短い2組の扱歯44群の前後の扱歯44に略同時に当たったときは(前記(3)の場合)、その前後何れか一方の扱歯44の回転速度と脱穀処理物の回転速度が同速度で当たったことと同じ、即ち、一方が速度差零で当たったとみなせるから、一対の扱歯44に略同に時叩かれたときは衝撃力が概ね半減する。又、対を成す2組の前後の扱歯に完全に同時に叩かれたときも衝撃力は半減する。
以上のように、扱歯44による脱穀処理物に対する衝撃力が緩和されるから、脱穀処理物の茎汁の発生を抑制でき、総じて脱穀負荷も軽減される。
【0038】
菜種の茎部は水分が多く含んでおり、高速で何回も強く扱歯で叩かれてすぎると、茎汁が多く出る。扱胴が茎汁でベタベタすると、それが脱穀負荷を増大させるとともに、選別処理も良好に行えず、品質が低下してしまう。しかるに、本実施の形態では、ピッチの短い2組の扱歯44群によって、脱穀処理物が確実に扱き作用を受けることができながら、全体としての扱歯44による扱き処理回数が少なくなる、或いは全体としての打撃力が緩和されるので茎汁の発生も生じ難くなり、しかも、隣接する組の扱歯44群の各扱歯44どうしを、互いに周方向に位置をずらせた千鳥状に配設してあるので、回転位相の異なる対を成す前後の扱歯群の何れかの扱歯で確実に脱穀処理物が行われるとともに、衝撃力が緩和されながらも前後の扱歯群の扱歯で、連続的に脱穀される作用も生じやすく、脱穀負荷を軽減できながら、良好な脱穀処理を行うことができるとともに、選別処理を良好に行え、品質の良い穀粒を回収することができる。
【0039】
図3に示すように、扱室21の後端の送塵口25から排出された大きい茎や鞘などの脱穀処理屑、及び、選別部26の後端から排出された脱穀屑類は、排塵口32の後部に配設された回転刃45と固定刃46を備えた細断装置としてのチョッパ47で細断処理するよう構成されている。
【0040】
図3に示すように、前記シーブケース27は、その前部左右が選別部26における左右の側壁48の内面に固定された前下がり傾斜姿勢の案内レール49に左右のローラ50を介して前後移動可能に係止案内されるとともに、シーブケース27の後部が、左右の側壁48間に亘って横架装着された偏芯回動機構51に脱着可能に連結されている。偏芯回動機構51が偏芯回動作動することで、シーブケース27の前部が斜め前後方向に直線的に往復移動するとともに、シーブケース27の後部が上下前後に循環回動作動し、載置した脱穀処理物の後方送り機能と篩い選別機能が発揮されるよう構成されている。
【0041】
前記案内レール49の後端から脱穀装置後部に亘って、前記ローラ50を載置して転動案内する挿抜用レール(図示せず)が連設されており、偏芯回動機構51との連結を解除したシーブケース27のローラ50を挿抜用レールで案内して後方に導き、シーブケース27を排塵口32から後方に抜き出すことができるようになっている。
【0042】
前記唐箕29は、ベルト式の伝動機構(図示せず)を介して伝達されるエンジン2からの動力で回転駆動されることで選別風を生起し、その選別風が、3つの風路R1〜R3を通って、受網24から漏下した選別処理物や、揺動選別機構28で選別される選別処理物などに向けて供給されることで、選別処理物に対して風力選別処理を施して、選別処理物から比重の小さい稈屑などを吹き分けて、脱穀処理方向下手側の排塵口32に向けて搬送する。
【0043】
図3、図4に示すように、唐箕29からの選別風のうち、上段の風路R1を通る選別風は、シーブケース27に形成された風路R4を通って、扱胴23の中間支持部材41に向けて流動するようになっている。これによって、中間支持部材41によって脱穀処理方向下手側への流動が阻止される脱穀処理物を、扱胴23の周囲に向けて風力搬送することができ、結果、脱穀処理物が中間支持部材41の直前箇所で堆積して、脱穀処理に支障を来す虞を未然に回避することができる。
【0044】
前記風路R1を形成する唐箕ケース29aの後端縁29bと、風路R4の開口60aを形成するグレンパン60の開口前縁60bとの位置関係は、偏芯回動機構51の作動によって揺動するシーブケース27が最前位置において、グレンパン60の開口前縁60bが唐箕ケース29aの後端縁29bよりも後方に位置するようにして、グレンパン60に形成された風路R4の開口60a全体が、常に、唐箕ケース29aの後端縁29bよりも後方に位置するように構成することによって、グレンパン60上に落下した穀粒が跳ねて、開口60aから落下することがあっても、唐箕ケース29aのデッドスペースに落下することなく、当該穀粒を唐箕による選別風によって、1番回収部30に移動させて確実に回収することができる。
【0045】
前記1番回収部30で回収された1番物は横送りスクリュー53で搬送されて装置外に搬出された後、スクリューコンベアからなる揚送装置54によって穀粒回収部4に送り込まれ、回収された2番物は横送りスクリュー55で搬送されて装置外に搬出された後、スクリュー式の還元装置56で搬送されてシーブケース27の前部に還元供給されて再選別処理を受けるようになっている。
【0046】
シーブケース27の前部には受網24の前部から漏下した脱穀処理物及び還元された2番物を後方に揺動移送する波板状の前部グレンパン57、前部グレンパン57の終端に至った処理物をほぐす篩い線58、篩い線58の後端に至った処理物及び受網24の前後中間部位から漏下した脱穀処理物を後方に揺動移送しながら篩い選別する第1チャフシーブ59、篩い線58及び第1チャフシーブ59から漏下した選別処理物を篩い選別する精選別用のグレンパン60及びグレンシーブ61並びに第1チャフシーブ59の終端に至った選別処理物及び受網24から落下してきた脱穀処理物を後方に揺動移送しながら篩い選別して残った処理屑を排塵口32に送り出す第2チャフシーブ62等が装備されている。
【0047】
前部グレンパン57は、その揺動移送中に処理物をその比重差によって上下に層分けする、いわゆる比重差選別を行うものであり、比重の大きい菜種を下層に、茎や鞘の処理屑などの比重の小さい処理物を上層に分けて次の篩い線58に送り出すように構成されている。
【0048】
前部グレンパン57によって凡そ上下2層に仕分けられた処理物が篩い線58上に移動すると、下層の菜種(穀粒)は直ちに落下してグレンパン60及びグレンシーブ61に供給され、篩い線58から落下しなかった上層の処理屑及びこれに紛れ込んでいる穀粒が第1チャフシーブ59に受け渡されてゆく。
【0049】
第1チャフシーブ59の開度を調節する構造は以下のように構成されている。図8に示すように、第1チャフシーブ59は、前後方向に略水平に設けられており、2枚の薄板を接合した多数の選別板63が定ピッチでもって前後に並列配備して構成されている。選別板63は、操作部材68に連結された前後方向中央の選別板63Aと、これ以外の前後の選別板63Bとからなる。図8、図9に示すように、中央の選別板63Aは、下端部に流下してきた選別処理物を受け止める補強を兼ねた折り曲げ片63aを形成した板材63bと、板材63bの上端部に固設した丸棒からなる支点軸67と、板材63bの下端部の左右に配置した下部枢支ピンからなる操作軸65と、板材63bの左右に配置され支点軸67と操作軸65とを保持する保持板63cとを備えている。図8、図10に示すように、前後の選別板63Bは、下端部に流下してきた選別処理物を受け止める補強を兼ねた折り曲げ片63aを形成した板材63bと、板材63bの上端部の左右に配置した上部枢支ピンからなる支点軸67aと、板材63bの下端部の左右に配置した下部枢支ピン65aと、支点軸67aと下部枢支ピン65とを保持し板材63bと重合する補強板63dとを備えている。
【0050】
選別板63A、63Bは、シーブケース27の左右の側板27aに取り付けた左右のチャフシーブ取付枠89に対して支点軸67,67aの横軸芯a周りに前後揺動可能に接続されるとともに、各選別板63A,63Bにおける左右の下端部の下部枢支ピン67,67aが前後に長くほぼ水平に配置された左右一対の支持枠64に接続され、支持枠64の前後移動に連動して複数の選別板63A,63Bの角度が変更されるようになっている。つまり、支持枠64が前方に移動すると各選別板63A,63Bの角度がゆるくなって第1チャフシーブ59の開度が小さくなり、逆に、支持枠64が後方に移動すると各選別板63A,63Bの角度がきつくなって第1チャフシーブ59の開度が大きくなるのである。
【0051】
中央の選別板63Aの下端部と機体左側の支持枠64とを接続する下部枢支ピンからなる操作軸65が、シーブケース27の左側板27aに形成された円弧状の長孔66を貫通してシーブケース27の左側板27aの左外側に突出されている。中央の選別板63Aの上端部の左側のチャフシーブ取付枠89に枢支された支点軸67が、シーブケース27の左側板27aに形成された孔を貫通してシーブケース27の左側板27aの左外側に突出されている。支点軸67の左一端部には雄ネジが形成されており、シーブケース27の左の側板27aの外側で支点軸67に操作部材68を外嵌してある。操作部材68の中間部には選別板63Aに回動自在に保持された操作軸65の一端を固着してある。操作部材68を揺動操作することで支持枠64が前後に移動し、これにより第1チャフシーブ59の開度が変更されるようになっている。
【0052】
複数の選別板63の上端部の支点軸67,67aは、それぞれ左右のチャフシーブ取付枠89に枢着し、選別板63の下端部の操作軸65は支持枠64に接続されて第1チャフシーブ59をユニット化してあり、左右のチャフシーブ取付枠89をシーブケース27の左右の側板27aにボルトで固定することにより、支点軸67,67aをチャフシーブ取付枠89を介してシーブケース27の側板27aに取付けてある。
【0053】
前記操作部材68は、前記シーブケース27の左側板27aに複数(5つ)の操作位置に形成された円形の孔69の内側部分にナット69aを固定し、そのうちの一つに位置決め用固定部材としてのボルト70を螺合して固定することで位置保持可能に構成されており、操作部材68を前方に揺動するほど、第1チャフシーブ59の開度が小さくなる方向に作動される。逆に、操作部材68を後方に揺動するほど、第1チャフシーブ59の開度が大きくなる方向に作動される。
【0054】
前記操作部材68は、幅広の矩形に形成され、中央の選別板63の左下端部に嵌合した操作軸65を貫通した前記円弧状の長孔66は、操作部材68の全範囲の取付け位置の状態で、即ち、操作部材68が5箇所の何れの位置に固定されても操作部材68の板面で全体が閉塞されるように構成されている。つまり、操作部材68は長孔66のカバー部材を兼ねている。
【0055】
図1、図8〜図10に示すように、選別部26の左側壁48には、前記操作部材68の外側部に対応する位置に開口71が形成されており、この開口71を着脱自在な開閉蓋72で閉塞されている。第1チャフシーブ59の開度を変更するときは、開閉蓋72を外して、操作部材68を揺動操作してボルト止め固定する孔69の位置を変更することによって、第1チャフシーブ59の設定角度を変更する。
【0056】
前記第2チャフシーブ62は、次のように構成されている。
前記シーブケース27における2番回収部31の上方からシーブケース27の後端部に亘って第2チャフシーブ62が前部よりも後部が高い後上がりに設けられている。第2チャフシーブ62には多数の選別板73が所定ピッチで前後に並列配備されている。
選別板73は、開口設定用の操作具75に連結された選別板73Aと、これ以外の前後の選別板73Bとからなる。図12、図13に示すように、選別板73Aは、下端部に流下してきた選別処理物を受け止める補強を兼ねた折り曲げ片73aを形成した板材73bと、板材73bの上端部に固設した丸棒からなる支点軸80と、板材73bの下端部の左右に配置した下部枢支ピンからなる操作軸81と、板材73bの左右に配置され支点軸80と操作軸81とを保持する保持板73cとを備えている。図12、図14に示すように、前後の選別板73Bは、下端部に流下してきた選別処理物を受け止める補強を兼ねた折り曲げ片73aを形成した板材73bと、板材73bの上端部の左右に配置した上部枢支ピンからなる支点軸80aと、板材73bの下端部の左右に配置した下部枢支ピン81aと、支点軸80aと下部枢支ピン81aとを保持し板材73bと重合する補強板73dとを備えている。
【0057】
選別板73A、73Bは、シーブケース27の左右の側板27aに取り付けた左右の上枠86に対して支点軸80,80aの横軸芯b周りに前後揺動可能に接続されるとともに、各選別板73A,73Bにおける左右の下端部の下部枢支ピン81,81aが前後に長く後上がり傾斜に配置された左右一対の支持枠74に接続され、支持枠74の前後移動に連動して複数の選別板73A,73Bの角度が変更されるようになっている。つまり、支持枠74が前方に移動すると各選別板73A,73Bの角度がゆるくなって第2チャフシーブ62の開度が小さくなり、逆に、支持枠74が後方に移動すると各選別板73A,73Bの角度がきつくなって第2チャフシーブ62の開度が大きくなるのである。
【0058】
選別板73Aの下端部と機体左側の支持枠74とを接続する下部枢支ピンからなる操作軸81が、シーブケース27の左側板27aに形成された円弧状の長孔82を貫通してシーブケース27の左側板27aの左外側に突出されている。選別板73Aの上端部の左側の上枠86に枢支された支点軸80が、シーブケース27の左側板27aに形成された孔を貫通してシーブケース27の左側板27aの左外側に突出されている。支点軸80の左一端部には雄ネジが形成されており、シーブケース27の左の側板27aの外側で支点軸80に開度設定用の操作具75を外嵌してある。操作具75の中間部には選別板73Aに回動自在に保持された操作軸81の一端を固着してある。操作具75を揺動操作することで支持枠74が前後に移動し、これにより第2チャフシーブ62の開度が変更されるようになっている。支持枠74をシーブケース27に対して固定することにより開度が設定される。この開度は、第2チャフシーブ62に連結した開度設定用の操作具75を揺動操作して所定の位置に固定することで設定される。
【0059】
複数の選別板73A,73Bの上端部の支点軸80,80aは、それぞれ左右の上枠86に枢着し、選別板73A,73Bの下端部の下部枢支ピン81,81aは支持枠74に接続されて第2チャフシーブ62をユニット化してあり、左右の上枠86をシーブケース27の左右の側板27aにボルトにより、支点軸67,67aを上枠86を介してシーブケース27の側板27aに着脱自在に取付けてある。
【0060】
シーブケース27の後部の左右の側板27aの下端には、第2チャフシーブ62で選別された2番物を2番回収部に流下させるための底板76が備えられている。シーブケース27の左側の側板27aの後部下側に、側板27aに沿う状態で断面L字状の操作具固定用板77がボルト78で前記底板76に固定されている。操作具固定用板77には、開度設定用の操作具75を15度ピッチで固定するためのピン79が3つ付設されている。操作具75の遊端部には前記ピン79に係合して操作具75を位置決め固定するための係合孔83が形成されている。可撓性の樹脂板で形成されており、図13の二点鎖線で示すように、操作具75を湾曲させてピン79に対して係脱して操作具75を位置変更できるようにしてある。
【0061】
前後に並設された選別板73のうちの中央部の選別板73の上端に固定した丸棒からなる支点軸80をシーブケース27の左側板27aを貫通してその外側まで延設し、前記開度設定用の操作具75を側板27aを貫通させた支点軸80に固定し、操作具75の遊端側を脱穀装置3の後端に位置する排塵口32に向けて斜め下方に延出してある。選別板73の下端部に植設してある下部枢支ピン81からなる操作軸を操作具75の中間部に接続し、シーブケース27の側板27aには、操作軸81が揺動できる長孔82を形成してある。操作具75は脱穀装置3の左側の外壁側で、排塵口32から手の届く排塵口32近くに位置する。操作具75の操作は脱穀装置3の排塵口32の後方左側部より操作する。
【0062】
前記第2チャフシーブ62の各選別板73の上端は、上枠86に枢着され、上枠86は、図12、図13に示すように、複数のボルト87でシーブケース27の左右の側板27aに取付けてある。
【0063】
前記チョッパ47は、脱穀装置3の後壁36との間に設けた縦軸の縦軸心Q周りに機体左右横外側を揺動させて排塵口32を開放できるように取付けてあり、チョッパ47を閉じた状態で図示しない固定金具で固定するように構成してある。
【0064】
前記第2チャフシーブ62の開度の変更は、チョッパ47の固定金具を外し、チョッパ47を縦軸心Q周りで開いて排塵口32を開放した状態で、作業者が排塵口32から操作具75を操作してピン79との係合を変更して行う。
第2チャフシーブ62を取外すときは、チョッパ47を大きく開放して、偏芯回動機構51の連結を外して、シーブケース27を後方に引き出してから、ボルト87を外すと取外すことができる。そして、目合いの異なるチャフシーブやストローラックと付け替えることで、異なる種類の収穫物の収穫に対処することができる。
【0065】
尚、第1チャフシーブ59及び第2チャフシーブ62の複数の選別板73の上端部の支点軸67,80と、操作軸65,81をそれぞれ左右のチャフシーブ取付枠89と支持枠64、及び上枠86と支持枠74に枢着して第1チャフシーブ59及び第2チャフシーブ62をそれぞれユニット化し、左右のチャフシーブ取付枠89及び上枠86をシーブケース27の左右の側板27aにボルトにより、支点軸67,80をチャフシーブ取付枠89及び上枠86を介してシーブケース27の側板27aに着脱自在に取付けてある。
【0066】
〔別実施の形態〕
(1)上記実施の形態では、前部支持部材40と、これに隣接する扱歯44との距離Lと、後部支持部材42と、これに隣接する扱歯44との距離Lとを同じにしてあるが、前側の距離Lと後側の距離Lを異ならせてもよい。
【0067】
(2)上記実施の形態では、図7の最上の扱胴フレーム43を含む奇数本目の扱胴フレーム43の後端部2本の扱歯44のピッチ、及び偶数本目の扱胴フレーム43の前端部2本の扱歯44のピッチを中間部の扱歯44のピッチPの2分の1(半ピッチ)としたが、この半ピッチの最後の扱歯44も他のものと同じピッチPにしてもよい。即ち、同一扱胴フレーム43上にある全ての隣接する扱歯44間のピッチPを同一のピッチPとしてもよい。
【0068】
(3)上記実施の形態では、同一回転軌跡を描く複数の扱歯44からなる2つの扱歯44群が前後方向に複数組存在するように構成されており、一組(奇数組)の扱歯44群と前側に隣接する組(偶数組)の扱歯44群とのピッチと、前記一組(奇数組)の扱歯44群と後側に隣接する組(偶数組)の扱歯44群とのピッチとが、同一扱胴フレーム43上にある端部以外の隣接する扱歯44間のピッチPに比して、4分の1ピッチPと4分の3ピッチPとに大小異なるように、扱歯群のピッチを設定した。即ち、長短のピッチ比を1対3に設定したが、このピッチ比を1対3を超える比率にしてもよい。このピッチ比は逆の3対1以下としても同じ内容である。
【0069】
(4)上記実施の形態では、第1チャフシーブ59、第2チャフシーブ62の選別板63,73の上端部の横軸芯a,b周りに下端部を揺動させるようにしてあるが、横軸芯a,bと支持枠64,74を上下逆にして、複数の選別板63,73の下端部の横軸芯a,b周りに揺動自在に支持され、複数の選別板63,73の上端部が前後に長い支持枠64,74に接続され、支持枠64,74の前後移動に連動して複数の選別板63,73の角度が変更されて第1チャフシーブ59又は第2チャフシーブ62の開度が設定されるように構成してもよい。
【0070】
(5)上記実施の形態及び前記(4)に記載のものにおいて、操作部材68及び操作具75をシーブケース27の側板27aに固定する位置決め用固定部材(ナット69a又はピン79)を選別板73の上側に設けてもよい。
【0071】
(6)上記実施の形態では、第1チャフシーブ59の支点軸67と操作軸65、及び、第2チャフシーブ62の支点軸80と操作軸81を、選別板63,73の上端部と下端部における選別板63,73自体に設けてあるが、選別板63,73とは別の位置に、第1チャフシーブ59の支点軸67と操作軸65或いは第2チャフシーブ59の支点軸80と操作軸81を独立して設けてもよい。
【0072】
(7)上記実施の形態では、第1チャフシーブ59及び第2チャフシーブ62の複数の選別板73の上端部の支点軸67,80と、操作軸65,81をそれぞれ左右のチャフシーブ取付枠89と支持枠64、及び上枠86と支持枠74に枢着して第1チャフシーブ及び第2チャフシーブ62をそれぞれユニット化し、左右のチャフシーブ取付枠89及び上枠86をシーブケース27の左右の側板27aにボルトにより、支点軸67,80をチャフシーブ取付枠89及び上枠86を介してシーブケース27の側板27aに着脱自在に取付けてあるが、支点軸67或いは支点軸80の一方又は両方を直接シーブケース27の側板27aに取付けてもよい。
【0073】
(8)上記実施の形態では、選別板63,73全体を角度変更可能に第1チャフシーブ59と第2チャフシーブ62に取付けてあるが、選別板63,73の一部をシーブケース27に固定したものでもよい。
【0074】
(9)第1チャフシーブ59及び第2チャフシーブ62の選別板63B,73Bについては、板材63b,73bと補強板63d,73dとの2枚の板を重合させて選別板63B,73Bの強度アップを図っているが、これらの選別板63B,73Bに代えて、図15に示すように、選別板63B,73Bの上下中間位置に左右全長に亘って「コ」の字状の波形リブ90を形成し、上部枢支ピン67a,80a及び下部枢支ピン65a,81aを保持板91で保持するようにしてもよい。選別板63B,73Bの下端には補強用の折り曲げリブ92を形成してあるが、このリブ92の上面は選別処理物が、選別板63B,73Bを流下してきたときに、リブ92で選別処理物を一旦受け止めて、揺動風選別を受けて、軽い鞘や茎葉が風選別される。選別板63B,73Bの上下中間部に波形リブ90を設ければ、その上面でも揺動風選別を受けるので、選別精度がより向上するとともに、材料の節約にもなる。
【0075】
(10)第1チャフシーブ59と第2チャフシーブ62とを一体にした一つのチャフシーブで構成してもよい。この場合、一部固定の選別板を備えていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、菜種だけでなく、ゴマや豆類を収穫するコンバインの脱穀装置に適用することもできる。
【符号の説明】
【0077】
21 扱室
22 扱胴軸
23 扱胴
40 支持部材(前部支持部材)
42 支持部材(後部支持部材)
43 扱胴フレーム
44 扱歯
【技術分野】
【0001】
本発明は、扱室内で扱胴軸の軸心周りで回転する扱胴を、前記扱胴軸の前後に装着した支持部材と、前記前後の支持部材に亘って周方向に間隔を隔てて複数配設して支持した扱胴フレームと、前記各扱胴フレームに扱胴の径方向外方に向けて突出する姿勢で前後方向に間隔を隔てて複数配設した扱歯とを備えて構成してあるコンバインの脱穀装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、扱室14内で扱胴軸(支軸15)の軸心周りで回転する扱胴16を、前記扱胴軸15の前後に装着した支持部材44,46と、前記前後の支持部材44,46に亘って周方向に間隔を隔てて複数配設して支持した扱胴フレーム(棒状部材47)と、前記各扱胴フレーム47に扱胴16の径方向外方に向けて突出する姿勢で前後方向に間隔を隔てて複数配設した扱歯48とを備えて構成してあるコンバインの脱穀装置としては、特許文献1示されているように、周方向複数の扱歯48が同一回転軌跡を描くように配設し、同一回転軌跡を描く複数の扱歯48からなる扱歯群が前後方向に複数組存在するように構成し、一組の扱歯群と前側に隣接する組の扱歯群とのピッチと、前記一組の扱歯群と後側に隣接する組の扱歯群とのピッチとが同一のピッチに設定したものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−167687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のものでは、同一回転軌跡を描く扱歯群どうしの前後方向のピッチが同一に設定されている。同一回転軌跡を描く扱歯群が等ピッチの従来の脱穀機ではピッチ間距離が長くなるので、脱穀処理物が同一回転軌跡を描く扱歯群の組とする前後方向の組数の回数だけ数多く扱歯に叩かれる。脱穀処理物が扱歯に叩かれたとき、或いは扱歯に持ち回されて離れた直後は、高速回転する扱歯の回転速度で放出された脱穀処理物は、受網との接触で急激に速度が低下する。回転速度が低下した脱穀処理物が再度扱歯に叩かれると、瞬間的な衝撃力を受けて再び扱歯の回転速度まで瞬間に上昇する。脱穀処理をする対象物が菜種などの茎部に水分を多く含む作物である場合、強力な打撃を何回も繰り返し受けると茎汁が多く発生する。茎汁が多く発生すると脱穀負荷が増大し、良好な扱き処理が行えず、又、脱粒した脱穀処理物の選別処理も選別不良を起こす不都合が生じる。
【0005】
本発明は、扱胴に多数の扱歯を備えることによって、脱穀処理物を確実に脱穀処理しながらも、脱穀処理物が扱歯から受ける衝撃的な打撃回数を軽減する、或いは、扱歯から受ける衝撃力を緩和するように工夫することによって、脱穀処理物に悪影響を与えないようにして、良好な品質の穀粒を効率よく回収することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔第1発明の構成〕
第1発明の構成は、扱室内で前後向きの扱胴軸回りで回転する扱胴を、前記扱胴軸の前後に装着した支持部材と、前記前後の支持部材に亘って周方向に間隔を隔てて複数配設して支持した扱胴フレームと、前記各扱胴フレームに扱胴の径方向外方に向けて突出する姿勢で前後方向に間隔を隔てて複数配設した扱歯とを備えて構成してある脱穀装置において、周方向複数の扱歯が同一回転軌跡を描くように配設し、同一回転軌跡を描く複数の扱歯からなる扱歯群が前後方向に複数組存在するように構成し、一組の扱歯群と前側に隣接する組の扱歯群とのピッチと、前記一組の扱歯群と後側に隣接する組の扱歯群とのピッチとが、大小に異なるように、前記複数組の扱歯群の前後方向のピッチを設定してある。
【0007】
〔第1発明の作用〕
第1発明によれば、近接した2組の扱歯群と、2組の扱歯群と2組の扱歯群の間に幅の広い空間とが交互に出現することになり、脱穀処理物が脱穀されるときは、前後で近接する2組の扱歯群で扱き処理された後、脱穀処理物が扱胴搬送方向下手側に移動し、幅の広い空間でランダムに転がり姿勢変更されながら、下手側扱歯群で扱き処理されることを繰り返されて順次脱穀処理される。
即ち、近接した2組の扱歯群は近接しているので、脱穀処理物は、近接した2組の扱歯群のうち、概して前側(搬送方向上手側)の扱歯群のうちの扱歯に叩かれる(打撃を受ける)が、脱穀処理物は、近接した2組の扱歯群のうち、
(1)前後いずれかの扱歯群に叩かれる。
(2)前側の扱歯群の扱歯と後側の扱歯群の扱歯に連続して叩かれる。
(3)前後の各扱歯群における前後2個の扱歯に同時に当たって叩かれる。
ことになる。
(1)の場合は、扱胴全長を通過する間の脱穀処理物が扱歯に叩かれる回数が軽減(半減)されるので、打撃が軽減される。
(2)の場合は、前後の扱歯に連続的に叩かれるので、後の扱歯に叩かれるときの脱穀処理物の速度低下が少なく、扱歯の回転速度と脱穀処理物の回転速度との速度差が小さいから、脱穀処理物が後方の扱歯に叩かれるときの衝撃が緩和される。
(3)の場合は、一つの脱穀処理物が前後2個の扱歯に同時に当たるので、衝撃が緩和される。
従って、いずれの場合も全体としての脱穀処理物の衝撃が緩和される。即ち、前後に近接した2組の扱歯群でもって、これらが対となって全体としての脱穀処理物に対する衝撃を緩和するように機能して脱穀処理が行われる。
【0008】
即ち、ピッチの短い前後2組の扱歯群によって、脱穀処理物は、概して、移送方向上手側の扱歯に叩かれる。この打撃作用は間隔を隔てて等ピッチで植設された従来の扱歯と同様、衝撃的に叩かれることになるが、前記(1)の現象が生じる場合は、脱穀処理物は対を成す2組の下手側の扱歯を通り過ぎて、次の2組の近接した扱歯群に脱穀処理されることとなり、扱歯に衝撃的に打撃される回数が少なくなる。
脱穀処理物が、対を成す2組の近接した扱歯群のうち、前側(移送方向上手側)の扱歯に叩かれた後、引き続いて、対を成す後方の扱歯群の扱歯に叩かれる場合(前記(2)の場合)は、前側の扱歯に打撃を受けた後、直ぐに再打撃を受けることとなる。この場合、対を成す前後2組の扱歯群の距離(ピッチ)は短く両者は接近しているから、脱穀処理物は短時間の間に続け様に前後の扱歯に打撃を受けることになる。扱歯に打撃を受けた脱穀処理物は、瞬間的には扱歯と回転速度と略同速度回転する。脱穀処理物が扱歯から離れると速度低下が生じるが、近接した前後の扱歯で続け様に打撃を受けると、対を成す後の扱歯で打撃を受けるときの速度低下は少ないから、後の扱歯で再打撃されるときの衝撃力が小さく、全体として2組の扱歯のピッチを短くした場合は、ピッチの広い2組の衝撃力の総和よりも小さくなる。
脱穀処理物が対を成すピッチの短い2組の扱歯群の前後の扱歯に略同時に当たったときは(前記(3)の場合)、その前後何れか一方の扱歯の回転速度と脱穀処理物の回転速度が同速度で当たったことと同じ、即ち、一方が速度差零で当たったとみなせるから、一対の扱歯に同時叩かれたときは衝撃力が概ね半減する。
以上のように、第1発明によれば、扱歯による脱穀処理物に対する衝撃力が緩和されるから、脱穀処理物の茎汁の発生を抑制でき、総じて脱穀負荷も軽減される。
【0009】
〔第1発明の効果〕
第1発明は、菜種などの脱穀時に茎汁が発生しやすい作物を脱穀する場合の脱穀装置に適し、茎汁の発生を抑制し、脱穀負荷も小さくできながら、良好な脱穀処理並びにその後の選別処理も良好に行うことができる。しかも収穫物によっては、品質の良い作物の収穫が期待できるようになった。
【0010】
〔第2発明の構成〕
第2発明の構成は、第1発明の構成において、隣接する組の前記扱歯群の各扱歯どうしを、互いに周方向に位置をずらせた千鳥状に配設してある。
【0011】
〔第2発明の作用効果〕
第2発明によれば、近接する2組の扱歯群の前後の各扱歯の回転位相が異なるので、回転位相の異なる対を成す前後の扱歯群の何れかの扱歯で確実に脱穀処理物が行われるとともに、衝撃力が緩和されながらも前後の扱歯群の扱歯で、連続的に脱穀される作用も生じやすく、衝撃力が緩和された状態で打撃回数も稼ぐことも可能で、脱穀負荷を軽減できながら、良好な脱穀処理を行うことができる。
【0012】
〔第3発明の構成〕
第3発明の構成は、第2発明の構成において、前記一組の扱歯群と前側に隣接する組の扱歯群とのピッチと、前記一組の扱歯群と後側に隣接する組の扱歯群とのピッチとの前後2つの前記ピッチの比が、1対3またはこれ以上の比となるように設定してある。
【0013】
〔第3発明の作用効果〕
第3発明によれば、隣接する扱歯群どうしが近接し、2組の扱歯群と2組の扱歯群の間のピッチが2組の扱歯群間距離よりも3倍以上広いので、全体として、2組の扱歯群が一つのグループの回転軌跡を形成するように作用させることができるので、扱胴全長に対する扱歯に叩かれる回数が、等距離に配設されているものに比べて半減することになり、より確実に、茎汁の発生を抑制でき、良好な脱穀処理並びに選別処理を行うことができ、より品質の良い作物の収穫が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】コンバインの全体側面図である。
【図2】コンバインの全体平面図である。
【図3】脱穀装置の縦断側面図である。
【図4】唐箕の選別風の風路を示す部分側面図である。
【図5】扱室の縦断正面図である。
【図6】扱胴の側面図である。
【図7】扱胴における扱歯の配置を示す展開図である。
【図8】第1チャフシーブの全開状態を示す一部破断側面図である。
【図9】第1チャフシーブの選別板と操作部材と脱穀装置の左側壁を示す一部縦断正面図である。
【図10】第1チャフシーブの選別板の左半部を示す一部縦断正面図である。
【図11】第1チャフシーブの全閉状態を示す一部破断側面図である。
【図12】第2チャフシーブの最大開度状態を示す一部破断側面図である。
【図13】第2チャフシーブの選別板と開度設定用の操作具を示す一部縦断正面図である。
【図14】第2チャフシーブの選別板の左半部を示す一部縦断正面図である。
【図15】第2チャフシーブの最小開度状態を示す一部破断側面図である。
【図16】別実施の形態を示す選別板の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1、図2に基づいて、普通型コンバインの全体構成について説明する。図1、図2は、コンバインの全体側面図、及び全体平面図を示す。図1、図2に示すように、左右一対のクローラ走行装置1を備えた走行機体2の上部に、軸流型の脱穀装置3及び作物回収部4が左右に並列して配備されており、作物回収部4の前方に運転部5が配備されている。
【0016】
脱穀装置3の前部には支点X周りに上下揺動自在に刈取り作物搬送用のフィーダ6が連結され、このフィーダ6の前端に略機体横幅に相当する刈幅を有する刈取り部7が連結されている。
【0017】
刈取り部7は、左右一対の分草フレーム8に亘って設けられたバリカン型の刈取装置9と、左右一対の分草フレーム8に亘って架設されたオーガ10とを備えて構成されており、刈取装置9により刈り取った作物をオーガ10によって左右中央部に横送りしてフィーダ6に供給できるように構成されている。オーガ10は、ドラム状のオーガ本体11の外周部に、掻込み爪12とスクリュー13とを備えて構成されている。
【0018】
フィーダ6には、掻き揚げコンベア14が内装されており、フィーダ6から供給された処理対象作物をフィーダ6の底面に沿って搬送して、脱穀装置3に供給できるように構成されている。
普通型コンバインで収穫される処理対象作物としては、稲麦、稗、粟、豆類、ごま、菜種など種々あるが、ここでは、菜種を収穫する処理対象作物としている。以下において収穫の目的とする菜種を穀粒と称し、茎、及び穀粒を包んでいた鞘を含めて茎部と称し、場合によっては鞘と茎部を分けていうことがある。
【0019】
走行機体2における主デッキ15の前部とフィーダ6の下部とに亘って油圧シリンダ16が配設されており、この油圧シリンダ16を伸縮することにより、刈取り部7及びフィーダ6を支点X周りに上下揺動駆動できる。
【0020】
刈取り部7の前部上方に、植立した作物を後方に掻き込んで引き上げる掻込みリール17が装備されている。左右の分草フレーム8の後端部に、支点Y周りに上下揺動自在な左右の支持アーム18が枢支連結されており、この支持アーム18の前部に掻込みリール17が支持ブラケット19を介して枢支連結されている。
【0021】
分草フレーム8と支持アーム18とに亘って油圧シリンダ20が配設されており、この油圧シリンダ20によって支持アーム18を上下揺動することで掻込みリール17の掻込み作用高さを変更することができるとともに、支持ブラケット19を支持アーム18に沿ってスライド調節して掻込み作用位置を前後に調節することができるように構成されている。
【0022】
図3に示すように、脱穀装置3は、その上部に形成した扱室21に、刈取った処理対象作物の搬送方向に沿って架設した前後向きの扱胴軸22回りに回転する扱胴23を配備し、その扱胴23の下方に、扱胴23の下部側を下方から覆う正面視U字状に形成された受網24を装備し、脱穀装置3の脱穀処理方向下手側端部となる受網23の後方に送塵口25を形成し、受網24の下方に選別部26を設けている。選別部26には、受網24の直ぐ下にシーブケース27を備えた揺動選別機構28を配置し、揺動選別機構28の前下方に唐箕29を配備し、揺動選別機構28の前部側下方に1番回収部30を形成し、揺動選別機構28の後部側下方に2番回収部31を形成し、揺動選別機構28の後方に排塵口32を形成し、扱胴23の上部側を上方から覆う天板33を備えている。
【0023】
扱室21は、扱胴23を覆う受網24や天板33などによって区画形成され、その前端下方部位に供給口34が形成され、その供給口34にフィーダ6の後端部が接続され、そのフィーダ6で搬送された刈取り処理対象作物の全体が脱穀処理物として供給口34から投入供給される。
【0024】
扱胴23は、その扱胴軸22が脱穀装置3の前壁35と後壁36とにわたって回転可能に架設され、唐箕29などを介して伝達されるエンジン(図示せず)からの動力で、扱胴軸22を支点にして正面視右回りに回転駆動されることで、扱室21に供給された処理対象作物に対して脱穀処理を施して、穀粒の単粒化を促しながら、脱穀処理物を脱穀処理方向下手側となる後方に向けて搬送する。
【0025】
受網24は、格子状に形成されたコンケーブ受網であり、扱室21に供給された処理対象作物の茎部を受け止め、脱穀処理で得られた単粒化穀粒や鞘付き穀粒、あるいは、脱穀処理で発生した鞘や茎部の処理屑を下方の揺動選別機構28に向けて漏下させる一方で、茎部の揺動選別機構28への漏下を防止する。受網24の目合いは稲の場合よりも小さくしてあり、稲を脱穀する場合は、稲用の受網と交換する。
【0026】
前記扱胴23は、その前端部に装備した円錐台状の掻込部37と、その掻込部37の後端に連接した扱き処理部38とを備えて構成されている。掻込部37の外周面には、扱胴23の回転作動時に、供給口34から供給された刈取穀稈を後方の扱き処理部38に向けて掻込み搬送する2枚の螺旋歯39が一体装備されている。
【0027】
扱き処理部38は、扱胴軸22の前部に連結されたプレートからなる前部支持部材40、扱胴23の前後中間部に配置された円環状状の中空プレートからなる中間支持部材41、扱胴軸22の後端部に連結されたプレートからなる後部支持部材42を備え、これらの支持部材40〜42によって、扱胴軸22に沿う前後向きの姿勢で、扱胴23の周方向に一定間隔を隔てて並ぶように支持された丸パイプ鋼材などからなる6本の扱胴フレーム43、及び、各扱胴フレーム43に、扱胴フレーム43から扱胴23の径方向外方に向けて突出する姿勢で、前後方向に所定間隔を隔てて並ぶように装備した複数の扱歯44などによって籠状に構成されている。
【0028】
つまり、扱胴23は、その外方に向けて突出する複数の扱歯44が、扱き処理部38の周方向と前後方向とに間隔を隔てて並ぶように整列配備され、又、扱き処理部38の内部空間Sが扱室21に連通して、その内部空間Sへの脱穀処理物の入り込みを許容するようになっている。
【0029】
図5、図6に示すように、前記各支持部材40〜42の外形は、扱胴軸22を中心とする円形で、外周側における扱胴軸22からの等距離の位置に扱胴フレーム43がボルト連結されている。各支持部材40〜42の外周側に、その周方向に一定間隔を隔てて並ぶ状態に6本の扱胴フレーム43を配備して、扱胴23の胴径を大きくするようにしているのであり、これによって、扱胴23に対する脱穀処理作物の茎部の巻き付きを防止することができる。
【0030】
扱歯44は法線に対して先端側が回転方向で遅れる遅れ角をもった傾斜した状態で取付けられている。これによって、扱歯44に引っ掛かった茎部が回転に伴って扱歯44から離脱しやすくなっている。
【0031】
周方向6本の扱胴フレーム43には、周方向で交互に前部支持部材40及び後部支持部材42から距離Lの間隔を隔てた位置から扱歯44が前方向及び後方向に一定ピッチPで並び、最後(交互に前端部又は後端部)の扱歯44が1/2ピッチPで取付けられている。
【0032】
即ち、図6において最上部の扱胴フレーム43及びこれに一つ飛びの計3本の扱胴フレーム43(最上部の扱胴フレーム43から数えて奇数本目の扱胴フレーム43)については、前部支持部材40から距離Lを隔てた位置を基点として後方に向けて一定ピッチPで同一回転軌跡を描くように扱歯44が並び、最後の扱歯44が2分の1ピッチPで配設されている。又、図6において最下部の扱胴フレーム43及びこれに一つ飛びの計3本の扱胴フレーム43(最上部の扱胴フレーム43から数えて偶数本目の扱胴フレーム43)については、後部支持部材42から距離Lを隔てた位置を基点として前方に向けて一定ピッチPで同一回転軌跡を描くように扱歯44が並び、最前の扱歯44が2分の1ピッチPで配設されている。そして、前記扱胴フレーム43の奇数本目の後端の扱歯44群と偶数本目の後端の扱歯44群との前後方向の距離、及び前記扱胴フレーム43の偶数本目の前端の扱歯44群(回転軌跡)と偶数本目の前端の扱歯44群(回転軌跡)との前後方向の距離はそれぞれ4分の1ピッチPだけ離れている。
【0033】
即ち、図6、図7に示すように、奇数本目の扱胴フレーム43に配設された扱歯44群と偶数本目の扱胴フレーム43に配設された扱歯44群との前後方向のピッチは、前端部と後端部では4分の1ピッチP、2分の1ピッチP、4分の1ピッチPとなり、それ以外の前後間では4分の1ピッチPと4分の3ピッチPが交互に繰り返されるピッチで配設されている。
【0034】
これにより、周方向複数の扱歯44(奇数本目と偶数本目の各3本の扱胴フレーム43の扱歯44群)が同一回転軌跡を描くように配設され、同一回転軌跡を描く複数の扱歯44からなる2つの扱歯44群が前後方向に複数組存在するように構成されており、一組(例えば周方向奇数の組)の扱歯44群と前側に隣接する組(例えば周方向偶数の組)の扱歯44群とのピッチと、前記一組(奇数組)の扱歯44群と後側に隣接する組(偶数組)の扱歯44群とのピッチとが、4分の1ピッチPと4分の3ピッチPとに大小異なるように、複数組の扱歯44群の前後方向のピッチを設定してある。
【0035】
結局、扱胴23の前後方向には、4分の3ピッチPの距離毎に、4分の1ピッチPで近接する2組の扱歯44群が存在することになり、脱穀処理物が脱穀されるときは、4分の1ピッチPで前後に近接する2組の扱歯44群で扱き処理され、受網に叩きつけられながら脱穀処理物が扱胴搬送方向下手側に移動し、広い4分の3ピッチPの距離だけ隔てた空間を脱穀処理物が通り抜け、その空間内をランダムに転がって姿勢変更されながら、下手側の扱歯44群で扱き処理されることを繰り返されて順次脱穀処理される。
【0036】
即ち、近接した2組の扱歯44群は近接しているので、脱穀処理物は、近接した2組の扱歯44群のうち、概して前側(搬送方向上手側)の扱歯44群のうちの扱歯44に叩かれる(打撃を受ける)が、脱穀処理物は、近接した2組の扱歯44群のうち、
(1)前後いずれかの扱歯44群に叩かれる。
(2)前側の扱歯44群の扱歯44と後側の扱歯44群の扱歯44に連続して叩かれる。
(3)前後の各扱歯44群における前後2個の扱歯44に同時に当たって叩かれる。
ことになる。
(1)の場合は、扱胴全長を通過する間の脱穀処理物が扱歯44に叩かれる回数が軽減(半減)されるので、打撃が軽減される。
(2)の場合は、前後の扱歯44に連続的に叩かれるので、後の扱歯44に叩かれるときの脱穀処理物の速度低下が少なく、扱歯44の回転速度と脱穀処理物の回転速度との速度差が小さいから、脱穀処理物が後方の扱歯44に叩かれるときの衝撃が緩和される。
(3)の場合は、一つの脱穀処理物が前後2個の扱歯44に同時に当たるので、衝撃が緩和される。
従って、いずれの場合も全体としての脱穀処理物の衝撃が緩和される。即ち、前後に近接した2組の扱歯44群でもって、これらが対となって全体としての脱穀処理物に対する衝撃を緩和するように機能して脱穀処理が行われる。
【0037】
即ち、ピッチの短い前後2組の扱歯44群によって、脱穀処理物は、概して、移送方向上手側の扱歯44に叩かれるが、前記(1)の現象が生じる場合は、脱穀処理物は対を成す2組の下手側の扱歯44を通り過ぎて、次の2組の近接した扱歯44群に脱穀処理されることとなり、扱歯44に衝撃的に打撃される回数が少なくなる。
脱穀処理物が、対を成す2組の近接した扱歯44群のうち、前側(移送方向上手側)の扱歯44に叩かれた後、引き続いて、対を成す後方の扱歯44群の扱歯44に叩かれる場合(前記(2)の場合)は、前側の扱歯44に打撃を受けた後、直ぐに再打撃を受けることとなる。この場合、対を成す前後2組の扱歯44群の距離(ピッチ)は短く両者は接近しているから、脱穀処理物は短時間の間に続け様に前後の扱歯44に打撃を受けることになる。扱歯44に打撃を受けた脱穀処理物は、瞬間的には扱歯と回転速度と略同速度回転する。脱穀処理物が扱歯から離れると速度低下が生じるが、近接した前後の扱歯44で続け様に打撃を受けると、対を成す後の扱歯44で打撃を受けるときの速度低下は少ないから、後の扱歯44で再打撃されるときの衝撃力が小さく、全体として2組の扱歯44のピッチを短くした場合は、ピッチの広い2組の衝撃力の総和よりも小さくなる。
脱穀処理物が対を成すピッチの短い2組の扱歯44群の前後の扱歯44に略同時に当たったときは(前記(3)の場合)、その前後何れか一方の扱歯44の回転速度と脱穀処理物の回転速度が同速度で当たったことと同じ、即ち、一方が速度差零で当たったとみなせるから、一対の扱歯44に略同に時叩かれたときは衝撃力が概ね半減する。又、対を成す2組の前後の扱歯に完全に同時に叩かれたときも衝撃力は半減する。
以上のように、扱歯44による脱穀処理物に対する衝撃力が緩和されるから、脱穀処理物の茎汁の発生を抑制でき、総じて脱穀負荷も軽減される。
【0038】
菜種の茎部は水分が多く含んでおり、高速で何回も強く扱歯で叩かれてすぎると、茎汁が多く出る。扱胴が茎汁でベタベタすると、それが脱穀負荷を増大させるとともに、選別処理も良好に行えず、品質が低下してしまう。しかるに、本実施の形態では、ピッチの短い2組の扱歯44群によって、脱穀処理物が確実に扱き作用を受けることができながら、全体としての扱歯44による扱き処理回数が少なくなる、或いは全体としての打撃力が緩和されるので茎汁の発生も生じ難くなり、しかも、隣接する組の扱歯44群の各扱歯44どうしを、互いに周方向に位置をずらせた千鳥状に配設してあるので、回転位相の異なる対を成す前後の扱歯群の何れかの扱歯で確実に脱穀処理物が行われるとともに、衝撃力が緩和されながらも前後の扱歯群の扱歯で、連続的に脱穀される作用も生じやすく、脱穀負荷を軽減できながら、良好な脱穀処理を行うことができるとともに、選別処理を良好に行え、品質の良い穀粒を回収することができる。
【0039】
図3に示すように、扱室21の後端の送塵口25から排出された大きい茎や鞘などの脱穀処理屑、及び、選別部26の後端から排出された脱穀屑類は、排塵口32の後部に配設された回転刃45と固定刃46を備えた細断装置としてのチョッパ47で細断処理するよう構成されている。
【0040】
図3に示すように、前記シーブケース27は、その前部左右が選別部26における左右の側壁48の内面に固定された前下がり傾斜姿勢の案内レール49に左右のローラ50を介して前後移動可能に係止案内されるとともに、シーブケース27の後部が、左右の側壁48間に亘って横架装着された偏芯回動機構51に脱着可能に連結されている。偏芯回動機構51が偏芯回動作動することで、シーブケース27の前部が斜め前後方向に直線的に往復移動するとともに、シーブケース27の後部が上下前後に循環回動作動し、載置した脱穀処理物の後方送り機能と篩い選別機能が発揮されるよう構成されている。
【0041】
前記案内レール49の後端から脱穀装置後部に亘って、前記ローラ50を載置して転動案内する挿抜用レール(図示せず)が連設されており、偏芯回動機構51との連結を解除したシーブケース27のローラ50を挿抜用レールで案内して後方に導き、シーブケース27を排塵口32から後方に抜き出すことができるようになっている。
【0042】
前記唐箕29は、ベルト式の伝動機構(図示せず)を介して伝達されるエンジン2からの動力で回転駆動されることで選別風を生起し、その選別風が、3つの風路R1〜R3を通って、受網24から漏下した選別処理物や、揺動選別機構28で選別される選別処理物などに向けて供給されることで、選別処理物に対して風力選別処理を施して、選別処理物から比重の小さい稈屑などを吹き分けて、脱穀処理方向下手側の排塵口32に向けて搬送する。
【0043】
図3、図4に示すように、唐箕29からの選別風のうち、上段の風路R1を通る選別風は、シーブケース27に形成された風路R4を通って、扱胴23の中間支持部材41に向けて流動するようになっている。これによって、中間支持部材41によって脱穀処理方向下手側への流動が阻止される脱穀処理物を、扱胴23の周囲に向けて風力搬送することができ、結果、脱穀処理物が中間支持部材41の直前箇所で堆積して、脱穀処理に支障を来す虞を未然に回避することができる。
【0044】
前記風路R1を形成する唐箕ケース29aの後端縁29bと、風路R4の開口60aを形成するグレンパン60の開口前縁60bとの位置関係は、偏芯回動機構51の作動によって揺動するシーブケース27が最前位置において、グレンパン60の開口前縁60bが唐箕ケース29aの後端縁29bよりも後方に位置するようにして、グレンパン60に形成された風路R4の開口60a全体が、常に、唐箕ケース29aの後端縁29bよりも後方に位置するように構成することによって、グレンパン60上に落下した穀粒が跳ねて、開口60aから落下することがあっても、唐箕ケース29aのデッドスペースに落下することなく、当該穀粒を唐箕による選別風によって、1番回収部30に移動させて確実に回収することができる。
【0045】
前記1番回収部30で回収された1番物は横送りスクリュー53で搬送されて装置外に搬出された後、スクリューコンベアからなる揚送装置54によって穀粒回収部4に送り込まれ、回収された2番物は横送りスクリュー55で搬送されて装置外に搬出された後、スクリュー式の還元装置56で搬送されてシーブケース27の前部に還元供給されて再選別処理を受けるようになっている。
【0046】
シーブケース27の前部には受網24の前部から漏下した脱穀処理物及び還元された2番物を後方に揺動移送する波板状の前部グレンパン57、前部グレンパン57の終端に至った処理物をほぐす篩い線58、篩い線58の後端に至った処理物及び受網24の前後中間部位から漏下した脱穀処理物を後方に揺動移送しながら篩い選別する第1チャフシーブ59、篩い線58及び第1チャフシーブ59から漏下した選別処理物を篩い選別する精選別用のグレンパン60及びグレンシーブ61並びに第1チャフシーブ59の終端に至った選別処理物及び受網24から落下してきた脱穀処理物を後方に揺動移送しながら篩い選別して残った処理屑を排塵口32に送り出す第2チャフシーブ62等が装備されている。
【0047】
前部グレンパン57は、その揺動移送中に処理物をその比重差によって上下に層分けする、いわゆる比重差選別を行うものであり、比重の大きい菜種を下層に、茎や鞘の処理屑などの比重の小さい処理物を上層に分けて次の篩い線58に送り出すように構成されている。
【0048】
前部グレンパン57によって凡そ上下2層に仕分けられた処理物が篩い線58上に移動すると、下層の菜種(穀粒)は直ちに落下してグレンパン60及びグレンシーブ61に供給され、篩い線58から落下しなかった上層の処理屑及びこれに紛れ込んでいる穀粒が第1チャフシーブ59に受け渡されてゆく。
【0049】
第1チャフシーブ59の開度を調節する構造は以下のように構成されている。図8に示すように、第1チャフシーブ59は、前後方向に略水平に設けられており、2枚の薄板を接合した多数の選別板63が定ピッチでもって前後に並列配備して構成されている。選別板63は、操作部材68に連結された前後方向中央の選別板63Aと、これ以外の前後の選別板63Bとからなる。図8、図9に示すように、中央の選別板63Aは、下端部に流下してきた選別処理物を受け止める補強を兼ねた折り曲げ片63aを形成した板材63bと、板材63bの上端部に固設した丸棒からなる支点軸67と、板材63bの下端部の左右に配置した下部枢支ピンからなる操作軸65と、板材63bの左右に配置され支点軸67と操作軸65とを保持する保持板63cとを備えている。図8、図10に示すように、前後の選別板63Bは、下端部に流下してきた選別処理物を受け止める補強を兼ねた折り曲げ片63aを形成した板材63bと、板材63bの上端部の左右に配置した上部枢支ピンからなる支点軸67aと、板材63bの下端部の左右に配置した下部枢支ピン65aと、支点軸67aと下部枢支ピン65とを保持し板材63bと重合する補強板63dとを備えている。
【0050】
選別板63A、63Bは、シーブケース27の左右の側板27aに取り付けた左右のチャフシーブ取付枠89に対して支点軸67,67aの横軸芯a周りに前後揺動可能に接続されるとともに、各選別板63A,63Bにおける左右の下端部の下部枢支ピン67,67aが前後に長くほぼ水平に配置された左右一対の支持枠64に接続され、支持枠64の前後移動に連動して複数の選別板63A,63Bの角度が変更されるようになっている。つまり、支持枠64が前方に移動すると各選別板63A,63Bの角度がゆるくなって第1チャフシーブ59の開度が小さくなり、逆に、支持枠64が後方に移動すると各選別板63A,63Bの角度がきつくなって第1チャフシーブ59の開度が大きくなるのである。
【0051】
中央の選別板63Aの下端部と機体左側の支持枠64とを接続する下部枢支ピンからなる操作軸65が、シーブケース27の左側板27aに形成された円弧状の長孔66を貫通してシーブケース27の左側板27aの左外側に突出されている。中央の選別板63Aの上端部の左側のチャフシーブ取付枠89に枢支された支点軸67が、シーブケース27の左側板27aに形成された孔を貫通してシーブケース27の左側板27aの左外側に突出されている。支点軸67の左一端部には雄ネジが形成されており、シーブケース27の左の側板27aの外側で支点軸67に操作部材68を外嵌してある。操作部材68の中間部には選別板63Aに回動自在に保持された操作軸65の一端を固着してある。操作部材68を揺動操作することで支持枠64が前後に移動し、これにより第1チャフシーブ59の開度が変更されるようになっている。
【0052】
複数の選別板63の上端部の支点軸67,67aは、それぞれ左右のチャフシーブ取付枠89に枢着し、選別板63の下端部の操作軸65は支持枠64に接続されて第1チャフシーブ59をユニット化してあり、左右のチャフシーブ取付枠89をシーブケース27の左右の側板27aにボルトで固定することにより、支点軸67,67aをチャフシーブ取付枠89を介してシーブケース27の側板27aに取付けてある。
【0053】
前記操作部材68は、前記シーブケース27の左側板27aに複数(5つ)の操作位置に形成された円形の孔69の内側部分にナット69aを固定し、そのうちの一つに位置決め用固定部材としてのボルト70を螺合して固定することで位置保持可能に構成されており、操作部材68を前方に揺動するほど、第1チャフシーブ59の開度が小さくなる方向に作動される。逆に、操作部材68を後方に揺動するほど、第1チャフシーブ59の開度が大きくなる方向に作動される。
【0054】
前記操作部材68は、幅広の矩形に形成され、中央の選別板63の左下端部に嵌合した操作軸65を貫通した前記円弧状の長孔66は、操作部材68の全範囲の取付け位置の状態で、即ち、操作部材68が5箇所の何れの位置に固定されても操作部材68の板面で全体が閉塞されるように構成されている。つまり、操作部材68は長孔66のカバー部材を兼ねている。
【0055】
図1、図8〜図10に示すように、選別部26の左側壁48には、前記操作部材68の外側部に対応する位置に開口71が形成されており、この開口71を着脱自在な開閉蓋72で閉塞されている。第1チャフシーブ59の開度を変更するときは、開閉蓋72を外して、操作部材68を揺動操作してボルト止め固定する孔69の位置を変更することによって、第1チャフシーブ59の設定角度を変更する。
【0056】
前記第2チャフシーブ62は、次のように構成されている。
前記シーブケース27における2番回収部31の上方からシーブケース27の後端部に亘って第2チャフシーブ62が前部よりも後部が高い後上がりに設けられている。第2チャフシーブ62には多数の選別板73が所定ピッチで前後に並列配備されている。
選別板73は、開口設定用の操作具75に連結された選別板73Aと、これ以外の前後の選別板73Bとからなる。図12、図13に示すように、選別板73Aは、下端部に流下してきた選別処理物を受け止める補強を兼ねた折り曲げ片73aを形成した板材73bと、板材73bの上端部に固設した丸棒からなる支点軸80と、板材73bの下端部の左右に配置した下部枢支ピンからなる操作軸81と、板材73bの左右に配置され支点軸80と操作軸81とを保持する保持板73cとを備えている。図12、図14に示すように、前後の選別板73Bは、下端部に流下してきた選別処理物を受け止める補強を兼ねた折り曲げ片73aを形成した板材73bと、板材73bの上端部の左右に配置した上部枢支ピンからなる支点軸80aと、板材73bの下端部の左右に配置した下部枢支ピン81aと、支点軸80aと下部枢支ピン81aとを保持し板材73bと重合する補強板73dとを備えている。
【0057】
選別板73A、73Bは、シーブケース27の左右の側板27aに取り付けた左右の上枠86に対して支点軸80,80aの横軸芯b周りに前後揺動可能に接続されるとともに、各選別板73A,73Bにおける左右の下端部の下部枢支ピン81,81aが前後に長く後上がり傾斜に配置された左右一対の支持枠74に接続され、支持枠74の前後移動に連動して複数の選別板73A,73Bの角度が変更されるようになっている。つまり、支持枠74が前方に移動すると各選別板73A,73Bの角度がゆるくなって第2チャフシーブ62の開度が小さくなり、逆に、支持枠74が後方に移動すると各選別板73A,73Bの角度がきつくなって第2チャフシーブ62の開度が大きくなるのである。
【0058】
選別板73Aの下端部と機体左側の支持枠74とを接続する下部枢支ピンからなる操作軸81が、シーブケース27の左側板27aに形成された円弧状の長孔82を貫通してシーブケース27の左側板27aの左外側に突出されている。選別板73Aの上端部の左側の上枠86に枢支された支点軸80が、シーブケース27の左側板27aに形成された孔を貫通してシーブケース27の左側板27aの左外側に突出されている。支点軸80の左一端部には雄ネジが形成されており、シーブケース27の左の側板27aの外側で支点軸80に開度設定用の操作具75を外嵌してある。操作具75の中間部には選別板73Aに回動自在に保持された操作軸81の一端を固着してある。操作具75を揺動操作することで支持枠74が前後に移動し、これにより第2チャフシーブ62の開度が変更されるようになっている。支持枠74をシーブケース27に対して固定することにより開度が設定される。この開度は、第2チャフシーブ62に連結した開度設定用の操作具75を揺動操作して所定の位置に固定することで設定される。
【0059】
複数の選別板73A,73Bの上端部の支点軸80,80aは、それぞれ左右の上枠86に枢着し、選別板73A,73Bの下端部の下部枢支ピン81,81aは支持枠74に接続されて第2チャフシーブ62をユニット化してあり、左右の上枠86をシーブケース27の左右の側板27aにボルトにより、支点軸67,67aを上枠86を介してシーブケース27の側板27aに着脱自在に取付けてある。
【0060】
シーブケース27の後部の左右の側板27aの下端には、第2チャフシーブ62で選別された2番物を2番回収部に流下させるための底板76が備えられている。シーブケース27の左側の側板27aの後部下側に、側板27aに沿う状態で断面L字状の操作具固定用板77がボルト78で前記底板76に固定されている。操作具固定用板77には、開度設定用の操作具75を15度ピッチで固定するためのピン79が3つ付設されている。操作具75の遊端部には前記ピン79に係合して操作具75を位置決め固定するための係合孔83が形成されている。可撓性の樹脂板で形成されており、図13の二点鎖線で示すように、操作具75を湾曲させてピン79に対して係脱して操作具75を位置変更できるようにしてある。
【0061】
前後に並設された選別板73のうちの中央部の選別板73の上端に固定した丸棒からなる支点軸80をシーブケース27の左側板27aを貫通してその外側まで延設し、前記開度設定用の操作具75を側板27aを貫通させた支点軸80に固定し、操作具75の遊端側を脱穀装置3の後端に位置する排塵口32に向けて斜め下方に延出してある。選別板73の下端部に植設してある下部枢支ピン81からなる操作軸を操作具75の中間部に接続し、シーブケース27の側板27aには、操作軸81が揺動できる長孔82を形成してある。操作具75は脱穀装置3の左側の外壁側で、排塵口32から手の届く排塵口32近くに位置する。操作具75の操作は脱穀装置3の排塵口32の後方左側部より操作する。
【0062】
前記第2チャフシーブ62の各選別板73の上端は、上枠86に枢着され、上枠86は、図12、図13に示すように、複数のボルト87でシーブケース27の左右の側板27aに取付けてある。
【0063】
前記チョッパ47は、脱穀装置3の後壁36との間に設けた縦軸の縦軸心Q周りに機体左右横外側を揺動させて排塵口32を開放できるように取付けてあり、チョッパ47を閉じた状態で図示しない固定金具で固定するように構成してある。
【0064】
前記第2チャフシーブ62の開度の変更は、チョッパ47の固定金具を外し、チョッパ47を縦軸心Q周りで開いて排塵口32を開放した状態で、作業者が排塵口32から操作具75を操作してピン79との係合を変更して行う。
第2チャフシーブ62を取外すときは、チョッパ47を大きく開放して、偏芯回動機構51の連結を外して、シーブケース27を後方に引き出してから、ボルト87を外すと取外すことができる。そして、目合いの異なるチャフシーブやストローラックと付け替えることで、異なる種類の収穫物の収穫に対処することができる。
【0065】
尚、第1チャフシーブ59及び第2チャフシーブ62の複数の選別板73の上端部の支点軸67,80と、操作軸65,81をそれぞれ左右のチャフシーブ取付枠89と支持枠64、及び上枠86と支持枠74に枢着して第1チャフシーブ59及び第2チャフシーブ62をそれぞれユニット化し、左右のチャフシーブ取付枠89及び上枠86をシーブケース27の左右の側板27aにボルトにより、支点軸67,80をチャフシーブ取付枠89及び上枠86を介してシーブケース27の側板27aに着脱自在に取付けてある。
【0066】
〔別実施の形態〕
(1)上記実施の形態では、前部支持部材40と、これに隣接する扱歯44との距離Lと、後部支持部材42と、これに隣接する扱歯44との距離Lとを同じにしてあるが、前側の距離Lと後側の距離Lを異ならせてもよい。
【0067】
(2)上記実施の形態では、図7の最上の扱胴フレーム43を含む奇数本目の扱胴フレーム43の後端部2本の扱歯44のピッチ、及び偶数本目の扱胴フレーム43の前端部2本の扱歯44のピッチを中間部の扱歯44のピッチPの2分の1(半ピッチ)としたが、この半ピッチの最後の扱歯44も他のものと同じピッチPにしてもよい。即ち、同一扱胴フレーム43上にある全ての隣接する扱歯44間のピッチPを同一のピッチPとしてもよい。
【0068】
(3)上記実施の形態では、同一回転軌跡を描く複数の扱歯44からなる2つの扱歯44群が前後方向に複数組存在するように構成されており、一組(奇数組)の扱歯44群と前側に隣接する組(偶数組)の扱歯44群とのピッチと、前記一組(奇数組)の扱歯44群と後側に隣接する組(偶数組)の扱歯44群とのピッチとが、同一扱胴フレーム43上にある端部以外の隣接する扱歯44間のピッチPに比して、4分の1ピッチPと4分の3ピッチPとに大小異なるように、扱歯群のピッチを設定した。即ち、長短のピッチ比を1対3に設定したが、このピッチ比を1対3を超える比率にしてもよい。このピッチ比は逆の3対1以下としても同じ内容である。
【0069】
(4)上記実施の形態では、第1チャフシーブ59、第2チャフシーブ62の選別板63,73の上端部の横軸芯a,b周りに下端部を揺動させるようにしてあるが、横軸芯a,bと支持枠64,74を上下逆にして、複数の選別板63,73の下端部の横軸芯a,b周りに揺動自在に支持され、複数の選別板63,73の上端部が前後に長い支持枠64,74に接続され、支持枠64,74の前後移動に連動して複数の選別板63,73の角度が変更されて第1チャフシーブ59又は第2チャフシーブ62の開度が設定されるように構成してもよい。
【0070】
(5)上記実施の形態及び前記(4)に記載のものにおいて、操作部材68及び操作具75をシーブケース27の側板27aに固定する位置決め用固定部材(ナット69a又はピン79)を選別板73の上側に設けてもよい。
【0071】
(6)上記実施の形態では、第1チャフシーブ59の支点軸67と操作軸65、及び、第2チャフシーブ62の支点軸80と操作軸81を、選別板63,73の上端部と下端部における選別板63,73自体に設けてあるが、選別板63,73とは別の位置に、第1チャフシーブ59の支点軸67と操作軸65或いは第2チャフシーブ59の支点軸80と操作軸81を独立して設けてもよい。
【0072】
(7)上記実施の形態では、第1チャフシーブ59及び第2チャフシーブ62の複数の選別板73の上端部の支点軸67,80と、操作軸65,81をそれぞれ左右のチャフシーブ取付枠89と支持枠64、及び上枠86と支持枠74に枢着して第1チャフシーブ及び第2チャフシーブ62をそれぞれユニット化し、左右のチャフシーブ取付枠89及び上枠86をシーブケース27の左右の側板27aにボルトにより、支点軸67,80をチャフシーブ取付枠89及び上枠86を介してシーブケース27の側板27aに着脱自在に取付けてあるが、支点軸67或いは支点軸80の一方又は両方を直接シーブケース27の側板27aに取付けてもよい。
【0073】
(8)上記実施の形態では、選別板63,73全体を角度変更可能に第1チャフシーブ59と第2チャフシーブ62に取付けてあるが、選別板63,73の一部をシーブケース27に固定したものでもよい。
【0074】
(9)第1チャフシーブ59及び第2チャフシーブ62の選別板63B,73Bについては、板材63b,73bと補強板63d,73dとの2枚の板を重合させて選別板63B,73Bの強度アップを図っているが、これらの選別板63B,73Bに代えて、図15に示すように、選別板63B,73Bの上下中間位置に左右全長に亘って「コ」の字状の波形リブ90を形成し、上部枢支ピン67a,80a及び下部枢支ピン65a,81aを保持板91で保持するようにしてもよい。選別板63B,73Bの下端には補強用の折り曲げリブ92を形成してあるが、このリブ92の上面は選別処理物が、選別板63B,73Bを流下してきたときに、リブ92で選別処理物を一旦受け止めて、揺動風選別を受けて、軽い鞘や茎葉が風選別される。選別板63B,73Bの上下中間部に波形リブ90を設ければ、その上面でも揺動風選別を受けるので、選別精度がより向上するとともに、材料の節約にもなる。
【0075】
(10)第1チャフシーブ59と第2チャフシーブ62とを一体にした一つのチャフシーブで構成してもよい。この場合、一部固定の選別板を備えていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、菜種だけでなく、ゴマや豆類を収穫するコンバインの脱穀装置に適用することもできる。
【符号の説明】
【0077】
21 扱室
22 扱胴軸
23 扱胴
40 支持部材(前部支持部材)
42 支持部材(後部支持部材)
43 扱胴フレーム
44 扱歯
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱室内で前後向きの扱胴軸回りで回転する扱胴を、前記扱胴軸の前後に装着した支持部材と、前記前後の支持部材に亘って周方向に間隔を隔てて複数配設して支持した扱胴フレームと、前記各扱胴フレームに扱胴の径方向外方に向けて突出する姿勢で前後方向に間隔を隔てて複数配設した扱歯とを備えて構成してあるコンバインの脱穀装置において、
周方向複数の扱歯が同一回転軌跡を描くように配設し、同一回転軌跡を描く複数の扱歯からなる扱歯群が前後方向に複数組存在するように構成し、一組の扱歯群と前側に隣接する組の扱歯群とのピッチと、前記一組の扱歯群と後側に隣接する組の扱歯群とのピッチとが、大小に異なるように、前記複数組の扱歯群の前後方向のピッチを設定してあるコンバインの脱穀装置。
【請求項2】
隣接する組の前記扱歯群の各扱歯どうしを、互いに周方向に位置をずらせた千鳥状に配設してある請求項1記載のコンバインの脱穀装置。
【請求項3】
前記一組の扱歯群と前側に隣接する組の扱歯群とのピッチと、前記一組の扱歯群と後側に隣接する組の扱歯群とのピッチとの前後2つの前記ピッチの比が、1対3またはこれ以上の比となるように設定してある請求項1または2記載のコンバインの脱穀装置。
【請求項1】
扱室内で前後向きの扱胴軸回りで回転する扱胴を、前記扱胴軸の前後に装着した支持部材と、前記前後の支持部材に亘って周方向に間隔を隔てて複数配設して支持した扱胴フレームと、前記各扱胴フレームに扱胴の径方向外方に向けて突出する姿勢で前後方向に間隔を隔てて複数配設した扱歯とを備えて構成してあるコンバインの脱穀装置において、
周方向複数の扱歯が同一回転軌跡を描くように配設し、同一回転軌跡を描く複数の扱歯からなる扱歯群が前後方向に複数組存在するように構成し、一組の扱歯群と前側に隣接する組の扱歯群とのピッチと、前記一組の扱歯群と後側に隣接する組の扱歯群とのピッチとが、大小に異なるように、前記複数組の扱歯群の前後方向のピッチを設定してあるコンバインの脱穀装置。
【請求項2】
隣接する組の前記扱歯群の各扱歯どうしを、互いに周方向に位置をずらせた千鳥状に配設してある請求項1記載のコンバインの脱穀装置。
【請求項3】
前記一組の扱歯群と前側に隣接する組の扱歯群とのピッチと、前記一組の扱歯群と後側に隣接する組の扱歯群とのピッチとの前後2つの前記ピッチの比が、1対3またはこれ以上の比となるように設定してある請求項1または2記載のコンバインの脱穀装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−233475(P2010−233475A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−83204(P2009−83204)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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