コンバインの脱穀部
【課題】コンバインの旋回時や条合わせ時等の非刈取作業時でも、エンジンからの熱気をプレファンにより吸引して有効活用できるコンバインの脱穀部を提供することを目的とする。
【解決手段】揺動選別装置１０６の前下方に配設される唐箕ファン１１９と、揺動選別装置１０６の前方に配設され、エンジン１１２から熱気を吸引して送風するプレファン１２０と、揺動選別装置１０６の前フィードパン１２７と唐箕ファンケース１４２との間に形成され、プレファン１２０からの送風を導く第一送風路１７６と、を備えるコンバイン１０１の脱穀部１０５において、プレファン１２０からの送風を唐箕ファンケース１４２内に導く第二送風路１７７が、唐箕ファンケース１４２の前部に形成されるものである。
【解決手段】揺動選別装置１０６の前下方に配設される唐箕ファン１１９と、揺動選別装置１０６の前方に配設され、エンジン１１２から熱気を吸引して送風するプレファン１２０と、揺動選別装置１０６の前フィードパン１２７と唐箕ファンケース１４２との間に形成され、プレファン１２０からの送風を導く第一送風路１７６と、を備えるコンバイン１０１の脱穀部１０５において、プレファン１２０からの送風を唐箕ファンケース１４２内に導く第二送風路１７７が、唐箕ファンケース１４２の前部に形成されるものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、揺動選別装置の前下方に配設される唐箕ファンと、該揺動選別装置の前方に配設され、エンジンから熱気を吸引して送風するプレファンと、該揺動選別装置のフィードパンと唐箕ファンケースとの間に形成され、該プレファンからの送風を導く第一の送風路と、を備えるコンバインの脱穀部の技術に関し、より詳細には、プレファンからの送風を導く送風路に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、揺動選別装置の前下方に配設される唐箕ファンと、該揺動選別装置の前方に配設され、エンジンから熱気を吸引して送風するプレファンと、該揺動選別装置のフィードパンと唐箕ファンケースとの間に形成され、該プレファンからの送風を導く第一の送風路と、を備えるコンバインの脱穀部の技術は公知となっている。
例えば、特許文献１には、脱穀装置下方に揺動選別装置を配設し、該揺動選別装置の揺動本体の前下方に、側部よりエアーを吸引し揺動本体に選別風を送風する唐箕と、該唐箕の前部において選別風を送風するプレファンを配設し、該プレファンの吸引口を開閉できる第一抵抗板と、唐箕の吸引口を開閉できる第二抵抗板を設け、該第一抵抗板と第二抵抗板を連動連結し、穀稈量に応じて開閉可能に構成したことを特徴とするコンバインの選別装置が開示されている。
【特許文献１】特開平１０−１４３８０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
しかし、特許文献１に開示されているコンバインの選別装置は、脱穀される籾や排藁量に合わせてプレファンと唐箕からの選別風の風量を調整することができ、籾や排藁量が多い場合には、吸引の抵抗を無くして選別風を大量に発生させることで、籾と藁屑との選別効率を高く維持することができ、少ないときには風量を落として精粒まで排出することを防止し、最適な選別風の風量で選別することができるものであるが、コンバインの旋回時や条合わせ時等の刈取穀稈や排藁が発生しない非刈取作業時は、前記第一抵抗板が閉作動されるため、プレファンの吸引が制限され、折角のエンジンからの熱気がプレファンにより有効活用されていない。
【０００４】
本発明は以上の状況に鑑み、コンバインの旋回時や条合わせ時等の非刈取作業時でも、エンジンからの熱気をプレファンにより吸引して有効活用できるコンバインの脱穀部を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
本発明の解決しようとする課題は以上のとおりであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【０００６】
すなわち、請求項１においては、
揺動選別装置の前下方に配設される唐箕ファンと、該揺動選別装置の前方に配設され、エンジンから熱気を吸引して送風するプレファンと、該揺動選別装置のフィードパンと唐箕ファンケースとの間に形成され、該プレファンからの送風を導く第一の送風路と、を備えるコンバインの脱穀部において、
前記プレファンからの送風を前記唐箕ファンケース内に導く第二の送風路が、前記唐箕ファンケースの前部に形成される、ものである。
【０００７】
請求項２においては、
プレファンケースは、回動部が設けられて、吐出部の下面が上下回動可能に構成され、
前記プレファンからの送風を導く送風路を前記第一の送風路または第二の送風路に切り換える切換弁が、前記プレファンの吐出部内に上下回動可能に支持され、
該切換弁及び吐出部の下面が、下方に回動されると、前記第二の送風路が形成される、ものである。
【０００８】
請求項３においては、
前記唐箕ファンの送風力を調節するシャッターと前記切換弁との間に、第一の連動機構が設けられ、
前記切換弁と吐出部の下面との間に、第二の連動機構が設けられ、
排藁量に応じて開閉される前記唐箕ファンのシャッターに連動して、前記切換弁及び吐出部の下面が上下動される、ものである。
【発明の効果】
【０００９】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【００１０】
請求項１においては、
コンバインの旋回時や条合わせ時等の非刈取作業時であっても、プレファンにより吸引されたエンジンからの熱気が、第二の送風路を介して唐箕ファンケース内に導かれるため、エンジンからの熱気を有効活用して唐箕ファンから温かい空気が送風されることにより、脱穀された穀粒を風選別するとともに、揺動選別装置内の乾燥を促すことができる。特に、揺動選別装置のグレンシーブを強制的に乾燥させることにより、選別精度を向上させることができる。
【００１１】
請求項２においては、
コンバインの刈取作業時は、プレファンからの送風を第一の送風路に導くように切換弁及び吐出部の下面を切り換えることにより、脱穀された穀粒を風選別するとともに、揺動選別装置内の乾燥を促すことができる。また、コンバインの旋回時や条合わせ時等の非刈取作業時は、プレファンからの送風を第二の送風路に導くように切換弁及び吐出部の下面を切り換えることにより、プレファンにより吸引されたエンジンからの熱気を有効活用して唐箕ファンから温かい空気が送風されることにより、脱穀された穀粒を風選別するとともに、揺動選別装置内の乾燥を促すことができる。特に、揺動選別装置のグレンシーブを強制的に乾燥させることにより、選別精度を向上させることができる。
【００１２】
請求項３においては、
排藁量、穀稈量に応じて自動的に切換弁及び吐出部の下面が切り換えられることにより、切換弁を切換操作する手間が省ける。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
次に、発明を実施するための最良の形態を説明する。図１はコンバインの側面図、図２は同じく平面図、図３は脱穀部の側面断面図、図４は同じく平面図、図５は脱穀部の駆動構成を示すスケルトン図、図６はプレファンの側面断面図、図７は連動機構の側面図、図８はプレファンの平面断面図、図９は連動機構の平面図、図１０は第一送風路が開放された状態を示した側面断面図、図１１は第二送風路が開放された状態を示した側面断面図である。
【００１４】
先ず、コンバイン１０１の全体構成について説明する。図１及び図２に示すように、コンバイン１０１は、クローラ式走行装置１０２上に機体１０３が配設されている。機体１０３の前部には、刈取部１０４が配設されている。機体１０３上の左側には、揺動選別装置１０６、フィードチェーン１０８、扱胴１２２等を備える脱穀部１０５が配設されている。脱穀部１０５には、揺動選別装置１０６の前下方に、唐箕ファン１１９が配設され、揺動選別装置１０６の前方に、プレファン１２０が配設されている。
【００１５】
機体１０３上の前部右側には、運転席１１０及びステアリングハンドル１１１を備える運転部１０９が配設されている。運転部１０９の下方であって、機体１０３上の前部右側には、エンジン１１２が配設されており、運転部１０９の後方であって、機体１０３上の後部右側には、グレンタンク１１３が配設されている。グレンタンク１１３の底部には、排出コンベア１１４が前後方向に配設されており、グレンタンク１１３の後部には、排出オーガ１１５の縦送りオーガ１１５ａが立設されている。グレンタンク１１３に貯溜された穀粒は、排出コンベア１１４により後方に搬送され、排出オーガ１１５先端部の排出口からトラック等へ排出される。
【００１６】
フィードチェーン１０８の後端には、排藁チェーン１１６が配設されており、この排藁チェーン１１６後部下方には、排藁カッター１１８、拡散コンベア等からなる排藁処理部１１７が配設されており、排藁が切断されて藁片にされた後、拡散されながら圃場に均一に放出される。
【００１７】
次に、脱穀部１０５について説明する。図３及び図４に示すように、脱穀部１０５は、扱室１２１内に、扱胴１２２が機体の前後方向に横架されており、扱胴１２２の下方には、扱胴１２２の下部周囲を覆うように受網１２４が設けられている。そして、扱胴１２２の後方であって、グレンタンク１１３側の処理室１２５内に、処理胴１２３が扱胴１２２と平行に機体の前後方向に横架されている。
【００１８】
脱穀部１０５において、フィードチェーン１０８により、株元部が拘束されて、機体後方に搬送された穀稈は、先端部が扱胴１２２の下方に挿入されて、扱胴１２２の回転により脱穀されて、籾等が受網１２４を通過して下方へ落下される。扱胴１２２で処理できなかった枝梗付着粒等の未処理物は、送塵口（不図示）より処理室１２５内に搬送されて、処理胴１２３の回転により、藁屑に絡まった籾が分離されて下方に落下されて、藁屑等が機外に排出される。
【００１９】
そして、脱穀部１０５は、揺動選別装置１０６による揺動選別と、唐箕ファン１１９及びプレファン１２０による風選別とが行われ、一番物と二番物と藁屑等に分別されるように構成されている。
【００２０】
具体的には、揺動選別装置１０６は、機枠１２６内であって、扱胴１２２及び処理胴１２３の下方に配設されている。揺動選別装置１０６の前後方向の長さは、扱胴１２２の前端から処理胴１２３の後端までの長さと略一致するように構成されている。そして、揺動選別装置１０６の前下部は、前後摺動自在に支持されているとともに、揺動選別装置１０６の後下部には、揺動軸１０６ａ（図５参照）が設けられている。揺動軸１０６ａが偏心駆動されることで揺動駆動機構が構成され、この揺動駆動機構によって、揺動選別装置１０６が機枠１２６に対して揺動される。
【００２１】
揺動選別装置１０６の前部には、前フィードパン１２７が設けられており、前フィードパン１２７の後下方には、後フィードパン１２８が設けられている。前後フィードパン１２７・１２８は、波形に成形された板状部材で構成されており、受網１２４を通過した籾等は、前後フィードパン１２７・１２８上に落下し、揺動選別装置１０６の揺動により後方に搬送される。
【００２２】
前フィードパン１２７の後部には、第一選別部であるチャフシーブ１２９が配設されており、チャフシーブ１２９の下方であって、後フィードパン１２８の後部には、第二選別部である網状のグレンシーブ１３０が配設されており、チャフシーブ１２９の後方には、ストローラック１３１が配設されている。チャフシーブ１２９は、チャフシーブ１２９の開度を調節するチャフレバー（不図示）が、ワイヤー等を介して、排藁チェーン１１６のチェーンガイド１６５と連結されており（図６参照）、排藁量に応じてチャフシーブ１２９の開度が調節されるように構成されている。
【００２３】
そして、エンジン１１２の左後方であって、揺動選別装置１０６の前下方には、唐箕ファン１１９が配設されており、揺動選別装置１０６の前方には、プレファン１２０が配設されており、詳しくは後述するが、チャフシーブ１２９及びグレンシーブ１３０に選別風を送風するように構成されている。
【００２４】
また、揺動選別装置１０６の後部上方には、吸引ファン１３２が揺動選別装置１０６の全幅（左右方向）に横設されており、唐箕ファン１１９及びプレファン１２０からの選別風に乗ってきた塵埃が吸引されて機外に排出される。
【００２５】
そして、揺動選別装置１０６下方の前後中途部であって、唐箕ファン１１９の後方には、一番コンベア１３３が左右方向に横設されており、この一番コンベア１３３の後方には、二番コンベア１３４が左右方向に横設されている。一番コンベア１３３は、唐箕ファンケース１４２の後端から流穀板を介して連設されている凹状の一番回収樋１３６内に横設されており、二番コンベア１３４は、この一番回収樋１３６の後部に連設されている凹状の二番回収樋１３７内に横設されている。
【００２６】
一番コンベア１３３には、搬送方向が略上下方向とされる揚穀コンベア１３５が連結されており、この揚穀コンベア１３５の上端は、グレンタンク１１３内と連通されている。二番コンベア１３４には、搬送方向が略前後方向とされる二番還元コンベア１３８が連結されている。二番還元コンベア１３８の前端には、枝梗処理胴１３９が連結されて、前フィードパン１２７上に処理後の二番物が放出されるように構成されている。
【００２７】
このような構成により、チャフシーブ１２９の隙間を通過した籾や細かい藁屑等は、グレンシーブ１３０上に落下される。一方、チャフシーブ１２９の隙間を通過しなかった藁屑等は、揺動選別装置１０６の揺動により後方に搬送されて、ストローラック１３１を経て機外に排出される。そして、グレンシーブ１３０上に落下した穀粒、未熟穀粒、枝梗付着粒及び細かい藁屑等の内、穀粒、未熟穀粒、細かい藁屑等は、グレンシーブ１３０を通過して下方に落下される。その際、チャフシーブ１２９及びグレンシーブ１３０には、唐箕ファン１１９及びプレファン１２０から選別風が送風されており、細かい藁屑の一部は、後方に吹き飛ばされて穀粒と分離される。
【００２８】
ここで、重量が大きい穀粒は、前記選別風により後方に吹き飛ばされずに、手前側の一番回収樋１３６に回収され、一番コンベア１３３、揚穀コンベア１３５を経て、グレンタンク１１３に搬送される。一方、未熟穀粒や未処理粒等は、前記選別風により後方に吹き飛ばされて、奥側の二番回収樋１３７に回収されるとともに、チャフシーブ１２９の隙間を通過した枝梗付着粒等も二番回収樋１３７に回収され、二番コンベア１３４、二番還元コンベア１３８を経て、枝梗処理胴１３９に搬送され、枝梗処理胴１３９により枝梗が除去された後、前フィードパン１２７上に放出される。
【００２９】
次に、脱穀部１０５の駆動構成について説明する。図５に示すように、エンジン１１２には、出力軸１１２ａが左右方向に突設されており、この出力軸１１２ａの左軸上には、第一出力プーリ１１２ｂ、右軸上には、第二出力プーリ１１２ｃが固設されている。
【００３０】
唐箕ファン１１９の唐箕軸１４０の右軸上には、プーリ１４０ａ、１４０ｂ、左軸上には、プーリ１４０ｃ、１４０ｄが固設されている。プーリ１４０ａと、前記第一出力プーリ１１２ｂとには、ベルトが巻回されて、テンションクラッチが配設されている。
【００３１】
第一フィードチェーン軸１０８ａ上の左端には、プーリ１０８ｄが固設され、右端には、プーリ１０８ｅが固設され、中途部上には、ウォーム１０８ｆが固設されている。プーリ１０８ｄと前記プーリ１４０ｄとの間には、ベルトが巻回されて、テンションクラッチが配設されている。第二フィードチェーン軸１０８ｂ上の前端には、ウォームホィール１０８ｈが固設されており、このウォームホィール１０８ｈは、ウォーム１０８ｆと噛合されている。フィードチェーン１０８を駆動するための第三フィードチェーン軸１０８ｃの右端からは、ベベルギア１０８ｇを介して、第二フィードチェーン軸１０８ｂと動力伝達可能とされている。
【００３２】
プレファン１２０のプレファン軸１２０ａ上の左端には、プーリ１２０ｂが固設されている。プーリ１２０ｂと、前記プーリ１０８ｅとには、ベルトが巻回されている。
【００３３】
一番コンベア１３３の一番コンベア軸１３３ａ上の左端には、プーリ１３３ｂが固設されている。一番コンベア軸１３３ａの右端からは、ベベルギア１５０を介して、揚穀コンベア１３５の揚穀コンベア軸１３５ａと動力伝達可能とされている。
【００３４】
二番コンベア１３４の二番コンベア軸１３４ａ上の左端には、プーリ１３４ｂが固設されている。二番コンベア軸１３４ａの右端からは、ベベルギア１５１を介して、二番還元コンベア１３８の二番還元コンベア軸１３８ａと動力伝達可能とされている。
【００３５】
揺動選別装置１０６の揺動軸１０６ａ上の左端には、プーリ１０６ｂが固設されている。揺動駆動軸１０７上の左端には、プーリ１０７ａが固設され、右端には、プーリ１０７ｂが固設されている。プーリ１０７ｂと、プーリ１０６ｂとには、ベルトが巻回されている。
【００３６】
吸引ファン１３２の吸引軸１３２ａは、ギア等を介して、プーリ１３２ｂと動力伝達可能とされている。カウンター軸１５２上の右端には、プーリ１５２ａが固設され、左端には、プーリ１５２ｂ（１５２ｃ）が固設されている。プーリ１５２ｂ（１５２ｃ）と、プーリ１３２ｂとには、ベルトが巻回されている。
【００３７】
また、前記プーリ１４０ｃと、プーリ１３３ｂと、プーリ１３４ｂと、プーリ１０７ａと、プーリ１５２ａとには、ベルトが巻回されている。
【００３８】
扱胴１２２の扱胴軸１２２ａの前端からは、ベベルギア１４７を介して、扱胴入力軸１２２ｂと動力伝達可能とされている。扱胴入力軸１２２ｂ上の右端には、プーリ１２２ｃが固設され、このプーリ１２２ｃの左方には、プーリ１２２ｄが固設されている。プーリ１２２ｄと、前記プーリ１４０ｂとには、ベルトが巻回されている。また、扱胴軸１２２ａ上の後端には、プーリ１２２ｅが固設されている。
【００３９】
排藁チェーン１１６の第二排藁軸１１６ｂの右端からは、ベベルギア１４８を介して、第一排藁軸１１６ａと動力伝達可能とされている。第一排藁軸１１６ａ上の前端には、プーリ１１６ｃが固設されている。プーリ１１６ｃと、前記プーリ１２２ｅとには、ベルトが巻回されている。
【００４０】
処理胴１２３の処理胴軸１２３ａの前端からは、ベベルギア１４９を介して、処理胴入力軸１２３ｂと動力伝達可能とされている。処理胴入力軸１２３ｂ上の右端には、プーリ１２３ｄが固設され、中途部には、プーリ１２３ｃが固設されている。プーリ１２３ｃと、前記プーリ１２２ｃとには、ベルトが巻回されている。枝梗処理胴１３９の枝梗処理胴軸１３９ａ上の右端には、プーリ１３９ｂが固設されている。プーリ１３９ｂと、プーリ１２３ｄとには、ベルトが巻回されている。
【００４１】
排出コンベア１１４のコンベア軸１１４ａ上の前端には、プーリ１１４ｂが固設されている。第二グレン入力軸１５４上の後端には、プーリ１５４ａが固設されている。プーリ１５４ａと、プーリ１１４ｂとには、ベルトが巻回されて、テンションクラッチが配設されている。そして、第二グレン入力軸１５４の前端からは、ベベルギア１５５を介して、第一グレン入力軸１５３と動力伝達可能とされている。第一グレン入力軸１５３上の右端には、プーリ１５３ａが固設されている。プーリ１５３ａと、前記第二出力プーリ１１２ｃとには、ベルトが巻回されている。
【００４２】
縦送りオーガ１１５ａの縦コンベア軸１１５ｂの左端からは、ベベルギア１５６を介して、排出コンベア１１４のコンベア軸１１４ａと動力伝達可能とされている。縦コンベア軸１１５ｂの右端からは、ベベルギア１５７、受継コンベア軸１５８、ベベルギア１５９を介して、排出オーガ１１５の排出コンベア軸１１５ｃと動力伝達可能とされている。
【００４３】
このような構成により、エンジン１１２の駆動力は、出力軸１１２ａ、第一出力プーリ１１２ｂ、プーリ１４０ａ、唐箕軸１４０を経て、唐箕ファン１１９に伝達される。
【００４４】
そして、唐箕軸１４０に伝達されたエンジン１１２の駆動力は、プーリ１４０ｄ、プーリ１０８ｄ、第一フィードチェーン軸１０８ａ、ウォーム１０８ｆ、ウォームホィール１０８ｈ、第二フィードチェーン軸１０８ｂ、ベベルギア１０８ｇ、第三フィードチェーン軸１０８ｃを経て、フィードチェーン１０８に伝達される。
【００４５】
そして、第一フィードチェーン軸１０８ａに伝達されたエンジン１１２の駆動力は、プーリ１０８ｅ、プーリ１２０ｂ、プレファン軸１２０ａを経て、プレファン１２０に伝達される。
【００４６】
また、唐箕軸１４０に伝達されたエンジン１１２の駆動力は、プーリ１４０ｃ、プーリ１３３ｂ、一番コンベア軸１３３ａを経て、一番コンベア１３３に伝達される。また、一番コンベア軸１３３ａに伝達されたエンジン１１２の駆動力は、ベベルギア１５０、揚穀コンベア軸１３５ａを経て、揚穀コンベア１３５に伝達される。
【００４７】
また、唐箕軸１４０に伝達されたエンジン１１２の駆動力は、プーリ１４０ｃ、プーリ１３４ｂ、二番コンベア軸１３４ａを経て、二番コンベア１３４に伝達される。また、二番コンベア軸１３４ａに伝達されたエンジン１１２の駆動力は、ベベルギア１５１、二番還元コンベア軸１３８ａを経て、二番還元コンベア１３８に伝達される。
【００４８】
また、唐箕軸１４０に伝達されたエンジン１１２の駆動力は、プーリ１４０ｃ、プーリ１０７ａ、振動駆動軸１０７、プーリ１０７ｂ、プーリ１０６ｂを経て揺動軸１０６ａに伝達される。
【００４９】
また、唐箕軸１４０に伝達されたエンジン１１２の駆動力は、プーリ１４０ｃ、プーリ１５２ａ、カウンター軸１５２、プーリ１５２ｂ（１５２ｃ）、プーリ１３２ｂ、吸引軸１３２ａを経て、吸引ファン１３２に伝達される。
【００５０】
また、唐箕軸１４０に伝達されたエンジン１１２の駆動力は、プーリ１４０ｂ、プーリ１２２ｄ、扱胴入力軸１２２ｂ、ベベルギア１４７、扱胴軸１２２ａを経て、扱胴１２２に伝達される。
【００５１】
そして、扱胴軸１２２ａに伝達されたエンジン１１２の駆動力は、プーリ１２２ｅ、プーリ１１６ｃ、第一排藁軸１１６ａ、ベベルギア１４８、第二排藁軸１１６ｂを経て、排藁チェーン１１６に伝達される。
【００５２】
そして、扱胴入力軸１２２ｂに伝達されたエンジン１１２の駆動力は、プーリ１２２ｃ、プーリ１２３ｃ、処理胴入力軸１２３ｂ、ベベルギア１４９、処理胴軸１２３ａを経て、処理胴１２３に伝達される。また、処理胴入力軸１２３ｂに伝達されたエンジン１１２の駆動力は、プーリ１２３ｄ、プーリ１３９ｂ、枝梗処理胴軸１３９ａを経て、枝梗処理胴１３９に伝達される。
【００５３】
一方、エンジン１１２の駆動力は、出力軸１１２ａ、第二出力プーリ１１２ｃ、プーリ１５３ａ、第一グレン入力軸１５３、ベベルギア１５５、第二グレン入力軸１５４、プーリ１５４ａ、プーリ１１４ｂ、コンベア軸１１４ａを経て、排出コンベア１１４に伝達される。
【００５４】
そして、コンベア軸１１４ａに伝達されたエンジン１１２の駆動力は、ベベルギア１５６、縦コンベア軸１１５ｂを経て、縦送りオーガ１１５ａに伝達される。縦コンベア軸１１５ｂに伝達されたエンジン１１２の駆動力は、ベベルギア１５７、受継コンベア軸１５８、ベベルギア１５９、排出コンベア軸１１５ｃを経て、排出オーガ１１５に伝達される。
【００５５】
次に、唐箕ファン１１９について説明する。図３及び図４に示すように、唐箕ファン１１９は、揺動選別装置１０６の前下方（エンジン１１２の左後方）に配設されており、左右方向に軸心を有する唐箕軸１４０と、この唐箕軸１４０から半径方向に放射状に突設する羽根体１４１・１４１・・・とを備えている。唐箕ファン１１９は、唐箕ファンケース１４２により覆われており、この唐箕ファンケース１４２は、後部が開放されて選別風を送風するための吐出口１４２ａが形成されているとともに、側部が開放されて空気を導入するための吸入口１４２ｂ（図６参照）が形成されている。唐箕ファンケース１４２の側部には、プレート１４３（図６参照）が固定されており、このプレート１４３に唐箕軸１４０が軸支されている。
【００５６】
図６から図８に示すように、唐箕ファン１１９は、送風力を調節するためのシャッター１４４を備えている。シャッター１４４は、吸入口１４２ｂの上部を開閉するように構成されている。シャッター１４４は、排藁量検出機構１６８を介して、排藁チェーン１１６の下方に配設されているチェーンガイド１６５と連結されており、排藁量に応じてシャッター１４４の開度が調節されるように構成されている。
【００５７】
具体的には、左右方向に軸心を有するシャッター軸１４５が、唐箕ファンケース１４２の側面に軸支されており、シャッター１４４は、このシャッター軸１４５の端部に、取付部材１４４ａを介して、ボルト１６０により固設されている。取付部材１４４ａには、シャッターレバー１４６の一端が固設されており、このシャッターレバー１４６の他端には、バネ１６６の一端が係止されている。バネ１６６の他端には、排藁量検出機構１６８の検出ワイヤー１６８ａの一端（前端）が係止されている。
【００５８】
図６に示すように、排藁量検出機構１６８は、検出ワイヤー１６８ａと、検出ロッド１６８ｂと、検出プレート１６８ｃと、回動軸１６８ｄと、検出アーム１６８ｅとを備えている。排藁量検出機構１６８は、左右方向に軸心を有する回動軸１６８ｄが、コンバイン１０１の機体に枢支されており、この回動軸１６８ｄに、検出プレート１６８ｃの端部（後端）及び検出アーム１６８ｅの一端（上端）が固定されている。検出プレート１６８ｃの上面には、チェーンガイド１６５の下面に垂設されている検出ロッド１６８ｂの下端が当接されている。検出アーム１６８ｅの他端（下端）には、検出ワイヤー１６８ａの他端（後端）が取り付けられている。
【００５９】
このような構成により、排藁チェーン１１６により、機体後部に搬送される排藁（穀稈）の量が増加すると、チェーンガイド１６５が下方に押し下げられて、検出プレート１６８ｃ及び検出アーム１６８ｅが回動軸１６８ｄを中心として反時計回りに回動されて、検出アーム１６８ｅの他端（下端）に取り付けられている検出ワイヤー１６８ａが、後方に引っ張られる。
【００６０】
検出ワイヤー１６８ａが、後方に引っ張られると、検出ワイヤー１６８ａの一端（前端）に係止されているバネ１６６を介して、シャッターレバー１４６がシャッター軸１４５を中心として、反時計回りに回動される（図６及び図７に示す二点鎖線位置）。シャッターレバー１４６が反時計回りに回動されると、取付部材１４４ａを介して、シャッター１４４が反時計回りに回動されて（図６及び図７に示す二点鎖線位置）、シャッター１４４の開度が大きくされて、吸入口１４２ｂからの空気の導入量が増加される。
【００６１】
なお、詳細な説明は省略するが、排藁チェーン１１６により、機体後部に搬送される排藁（穀稈）の量が減少すると、これとは反対の動作により、シャッター１４４の開度が小さくされて、吸入口１４２ｂからの空気の導入量が減少される。
【００６２】
次に、プレファン１２０について説明する。図３及び図４に示すように、プレファン１２０は、揺動選別装置１０６の前方（エンジン１１２の左後方）に配設されており、左右方向に軸心を有するプレファン軸１２０ａと、このプレファン軸１２０ａから半径方向に放射状に突設する羽根体１６２・１６２・・・とを備えている。プレファン１２０は、プレファンケース１６３により覆われており、このプレファンケース１６３は、側部が開放されて空気を導入するための吸入口１６３ｂ（図６参照）が形成されているとともに、ケースの後下部が後方に延設されてプレファン１２０からの送風を吐出する吐出部１６３ｃが形成されている。図６及び図８に示すように、プレファンケース１６３の側部には、プレート１６４が固定されており、このプレート１６４にプレファン軸１２０ａが軸支されている。プレファン軸１２０ａ上の左端には、エンジン１１２の駆動力が伝達されるプーリ１２０ｂが固設されている。
【００６３】
そして、揺動選別装置１０６の前フィードパン１２７と唐箕ファン１１９の唐箕ファンケース１４２との間には、プレファン１２０からの送風を導く第一送風路１７６（図１０参照）が形成されるとともに、唐箕ファンケース１４２の前部には、プレファン１２０からの送風を唐箕ファンケース１４２内に導く第二送風路１７７（図１１参照）が形成されるように構成されている。
【００６４】
次に、第一送風路１７６及び第二送風路１７７について説明する。図６及び図７に示すように、プレファンケース１６３の下面には、回動部１６３ｄが設けられ、吐出部１６３ｃの下面の吐出部下面部材１７８が上下回動可能に構成されている。
すなわち、プレファンケース１６３の後下部に形成されている吐出部１６３ｃの下面に、蝶番または枢支軸等よりなる回動部１６３ｄが設けられ、この回動部１６３ｄに吐出部下面部材１７８が上下回動可能に支持されている。そして、切換弁１６１の前部に切換弁軸１６１ａが設けられ、この切換弁軸１６１ａが吐出部１６３ｃ内の上部に配置されて切換弁１６１を上下回動可能に支持し、切換弁１６１及び吐出部下面部材１７８が、下方に回動されると、第二送風路１７７が形成されるように構成されている。
【００６５】
唐箕ファンケース１４２の前面上部には、プレファン１２０からの送風を導くための開口部１４２ｃが開口されている（図１０及び図１１参照）。開口部１４２ｃは、プレファンケース１６３の左右方向の長さと略一致する開口幅（左右方向）とされている。
開口部１４２ｃの上部には、第一送風路１７６及び第二送風路１７７の一部を形成し、プレファン１２０からの送風を分岐して、第一送風路１７６または第二送風路１７７に導くための送風板１６３ｅが設けられている。送風板１６３ｅは、開口部１４２ｃの開口幅（左右方向）と略一致する長さ（左右方向）を有する板状部材であって、側面視略く字状に形成されている。
すなわち、送風板１６３ｅは、唐箕ファンケース１４２の開口部１４２ｃの開口上端から、前上方に延設されて下辺１６３ｇが形成され、下辺１６３ｇが折曲されて、後方に延設されて上辺１６３ｆが形成され、上辺１６３ｆが延出されて、端部（後端）が唐箕ファンケース１４２の上部に接続されて形成されている。
【００６６】
吐出部下面部材１７８は、吐出部１６３ｃの下面を構成する板状部材である。吐出部下面部材１７８は、側面視略へ字状に形成され、一端（前端）がプレファンケース１６３の下面に設けられている回動部１６３ｄに上下回動可能に軸支されている。
吐出部下面部材１７８は、図１０に示す第一送風路１７６が開放された状態において、回動部１６３ｄから送風板１６３ｅ（上辺１６３ｆと下辺１６３ｇとの角部）まで延設されて後下方に折曲され、下辺１６３ｇの下面に沿って略平行に所定長さ延設されて下方に折曲され（第一角部Ｐ１）、開口部１４２ｃの開口上端まで延設されて前下方に折曲され（第二角部Ｐ２）、さらに所定長さ延出されて形成されている。そして、第一送風路１７６が形成された状態において、吐出部下面部材１７８は、斜辺１７８ａと送風板１６３ｅの下辺１６３ｇとが当接されることにより、吐出部下面部材１７８の前部と上辺１６３ｆとが同一平面上に位置して、送風が乱れることなく流れるように構成されている。また、第二角部Ｐ２と開口部１４２ｃの開口下端とが当接されることにより、唐箕ファンケース１４２の開口部１４２ｃを閉じて唐箕ファン１１９からの送風が漏れないように構成されている。
また、図１１に示す第二送風路１７７が開放された状態において、第一角部Ｐ１と開口部１４２ｃの開口下端とが当接されて、第二送風路１７７を形成するように構成されている。そして、吐出部下面部材１７８の上下回動途中においては、下方に折曲された部分により、唐箕ファンケース１４２の開口部１４２ｃを閉じるようにして唐箕ファン１１９からの送風が漏れないように構成されている。
【００６７】
切換弁１６１は、プレファン１２０からの送風を導く送風路を第一送風路１７６または第二送風路１７７に切り換える板状部材であって、吐出部１６３ｃ内に上下回動可能に軸支されている。図８に示すように、切換弁１６１は、吐出部１６３ｃの開口幅（左右方向）と略一致する長さ（左右方向）を有し、端部（前端）が左右方向に軸心を有する切換弁軸１６１ａに固定されている。切換弁軸１６１ａは、吐出部１６３ｃ内に配設され、吐出部１６３ｃの側面に軸支されている。
【００６８】
そして、図１０及び図１１に示すように、吐出部下面部材１７８が回動部１６３ｄを回動軸として下方（時計回り）に回動されて、吐出部下面部材１７８（第一角部Ｐ１）と唐箕ファンケース１４２の開口部１４２ｃの開口下端とが当接され、切換弁１６１が切換弁軸１６１ａを回動軸として下方（時計回り）に回動されて、切換弁１６１の端部（後端）と、送風板１６３ｅ（上辺１６３ｆ）とが当接されることにより、第二送風路１７７が開放されて、プレファンケース１６３と唐箕ファンケース１４２とが連通される一方、第一送風路１７６が遮断される。
【００６９】
一方、吐出部下面部材１７８が回動部１６３ｄを回動軸として上方（反時計回り）に回動されて、吐出部下面部材１７８（斜辺１７８ａ）と送風板１６３ｅ（下辺１６３ｇ）とが当接され、切換弁１６１が切換弁軸１６１ａを回動軸として上方（反時計回り）に回動されることにより、第一送風路１７６が開放される一方、第二送風路１７７が遮断される。
【００７０】
そして、唐箕ファン１１９の送風力を調節するシャッター１４４と切換弁１６１との間に、第一連動機構１６９が設けられ、切換弁１６１とプレファンケース１６３の吐出部下面部材１７８との間に、第二連動機構１７９が設けられ、排藁量に応じて開閉される唐箕ファン１１９のシャッター１４４に連動して、切換弁１６１及び吐出部下面部材１７８が上下動されるように構成されている。
【００７１】
次に、第一連動機構及び第二連動機構１７９について説明する。図７及び図９に示すように、第一連動機構１６９は、第一アーム部材１７０と、第二アーム部材１７１と、第一連結部材１７２と、第二連結部材１７３とを備えて構成されている。
第一アーム部材１７０の一端が、第一取付部材１７０ａを介して、切換弁軸１６１ａに第一ボルト１７０ｂにより固定されている。第一アーム部材１７０の中途部には、バネ１７５の一端が係止されており、このバネ１７５の他端は、プレファンケース１６３側（機体側）に係止されて、第一送風路１７６を閉じるように付勢している。そして、第二アーム部材１７１の一端が、第二取付部材１７１ａを介して、シャッター１４４のシャッター軸１４５に第二ボルト１７１ｂにより固定されている。第一連結部材１７２及び第二連結部材１７３は、略Ｌ型に形成された板状部材であり、それぞれ長辺の端部が、第一アーム部材１７０（第二アーム部材１７１）の他端に、第一ピン１７２ａ（第二ピン１７３ａ）により回動可能に取り付けられている。第一連結部材１７２及び第二連結部材１７３は、互いの短辺１７２ｂ、１７３ｂ同士が対向するように配設されている。
【００７２】
第二連動機構１７９は、切換弁１６１の先端（後端）の上面に設けられた第一連結軸１８０と、吐出部下面部材１７８の下面に設けられた第二連結軸１８１と、切換弁１６１の第一連結軸１８０と吐出部下面部材１７８の第二連結軸１８１とを上下方向に回動可能に軸支して連結する連結部材１８２とを備えて構成されている。
第一連結軸１８０は、吐出部１６３ｃの側面に開口されたガイド溝１６３ａ内に配設され、プレファンケース１６３の左右方向の長さよりも長く構成され、端部がガイド溝１６３ａ（図７参照）から突出するよう配設されている。ガイド溝１６３ａは、切換弁軸１６１ａを回動軸とする同一半径軌跡上に開口され、溝端面に沿って第一連結軸１８０を上下方向に摺動可能に支持している。第二連結軸１８１は、第一連結軸１８０と同様にプレファンケース１６３の左右方向の長さよりも長く構成され、端部が吐出部下面部材１７８の端部から突出するよう配設されている。連結部材１８２は、第一連結軸１８０の端部と第二連結軸１８１とを上下方向に回動可能に軸支して連結する部材である。
【００７３】
そして、次のようにして、排藁量に応じて開閉される唐箕ファン１１９のシャッター１４４に連動して、切換弁１６１及び吐出部下面部材１７８が上下動される。
【００７４】
前述のように、唐箕ファン１１９のシャッター１４４は、排藁量検出機構１６８を介して、チェーンガイド１６５と連結されており、排藁量に応じてシャッター１４４の開度が調節されるように構成されている。排藁チェーン１１６により、機体後部に搬送される排藁（穀稈）の量が増加すると、シャッター１４４の開度が大きくされて、吸入口１４２ｂからの空気の導入量が増加される。ここで、シャッターレバー１４６がシャッター軸１４５を中心として、反時計回りに回動されると、シャッター軸１４５に固定されている第二アーム部材１７１が、シャッター軸１４５を中心として、反時計回りに回動される。
【００７５】
第二アーム部材１７１が、反時計回りに回動されると、第一連結部材１７２、第二連結部材１７３、長さ調節機構１７４を介して、第二アーム部材１７１と連結されている第一アーム部材１７０が、バネ１７５の付勢力に抗して第二アーム部材１７１と連動して、切換弁軸１６１ａを中心として、反時計回りに回動される。
【００７６】
第一アーム部材１７０が、反時計回りに回動されると、切換弁軸１６１ａに固定されている切換弁１６１が、切換弁軸１６１ａを中心として、上方（反時計回り）に回動される（図６及び図７に示す二点鎖線位置）。
【００７７】
そして、切換弁１６１が、上方（反時計回り）に回動されると、切換弁１６１の先端（後端）の第一連結軸１８０が、ガイド溝１６３ａの溝端面に沿って上方（反時計回り）に摺動され、連結部材１８２及び第二連結軸１８１を介して、吐出部下面部材１７８も上方（反時計回り）に回動される。
【００７８】
なお、詳細な説明は省略するが、排藁チェーン１１６により、機体後部に搬送される排藁（穀稈）の量が減少すると、これとは反対の動作により、切換弁１６１及び吐出部下面部材１７８が下方（時計回り）に回動される。
【００７９】
また、第一連動機構１６９は、第一連結部材１７２と第二連結部材１７３との間に、切換弁１６１とシャッター１４４との連動量を調節可能とするための長さ調節手段（長さ調節機構１７４）が介設されており、第一連結部材１７２と第二連結部材１７３とは、長さ調節機構１７４を介して、連結されている。
【００８０】
具体的には、図７及び図９に示すように、長さ調節機構１７４は、長さ調節ボルト１７４ａと、第一長さ調節ナット１７４ｂと、第二長さ調節ナット１７４ｃとを備える。長さ調節ボルト１７４ａが、第一連結部材１７２の短辺１７２ｂと第二連結部材１７３の短辺１７３ｂとの間に差し込まれている。長さ調節ボルト１７４ａの先端には、第一長さ調節ナット１７４ｂ及び第二長さ調節ナット１７４ｃが螺合されており、この第一長さ調節ナット１７４ｂと第二長さ調節ナット１７４ｃとにより、第一連結部材１７２の短辺１７２ｂが挟持されている。第一連結部材１７２の短辺１７２ｂと第二連結部材１７３の短辺１７３ｂとの間には、間隔Ｌ（図７及び図９参照）が形成されている。
【００８１】
また、長さ調節機構１７４において、長さ調節ボルト１７４ａに螺合されている第一長さ調節ナット１７４ｂ及び第二長さ調節ナット１７４ｃを緩めて、間隔Ｌ（図７及び図９参照）が長くされると、切換弁軸１６１ａとシャッター軸１４５との軸間距離に対する、第一連動機構１６９の長さ（第一ピン１７２ａと第二ピン１７３ａとの軸間距離）の比が大きくされる。これにより、シャッター１４４に連動される切換弁１６１の回動角度が、小さくされる。一方、第一長さ調節ナット１７４ｂ及び第二長さ調節ナット１７４ｃを締めて、間隔Ｌ（図７及び図９参照）が短くされると、切換弁軸１６１ａとシャッター軸１４５との軸間距離に対する、第一連動機構１６９の長さ（第一ピン１７２ａと第二ピン１７３ａとの軸間距離）の比が小さくされる。これにより、シャッター１４４に連動される切換弁１６１の回動角度が大きくされる。
【００８２】
以上のように、コンバイン１０１の脱穀部１０５は、揺動選別装置１０６の前下方に配設される唐箕ファン１１９と、揺動選別装置１０６の前方に配設され、エンジン１１２から熱気を吸引して送風するプレファン１２０と、揺動選別装置１０６の前フィードパン１２７と唐箕ファンケース１４２との間に形成され、プレファン１２０からの送風を導く第一送風路１７６と、を備えるコンバイン１０１の脱穀部１０５において、プレファン１２０からの送風を唐箕ファンケース１４２内に導く第二送風路１７７が、唐箕ファンケース１４２の前部に形成されるものである。
このような構成により、コンバイン１０１の旋回時や条合わせ時等の非刈取作業時であっても、プレファン１２０により吸引されたエンジン１１２からの熱気が、第二送風路１７７を介して唐箕ファンケース１４２内に導かれるため、エンジン１１２からの熱気を有効活用して唐箕ファン１１９から温かい空気が送風されることにより、脱穀された穀粒を風選別するとともに、揺動選別装置１０６内の乾燥を促すことができる。特に、揺動選別装置１０６のグレンシーブ１３０を強制的に乾燥させることにより、選別精度を向上させることができる。
【００８３】
そして、プレファンケース１６３は、回動部１６３ｄが設けられて、吐出部下面部材１７８が上下回動可能に構成され、プレファン１２０からの送風を導く送風路を第一送風路１７６または第二送風路１７７に切り換える切換弁１６１が、吐出部１６３ｃ内に上下回動可能に支持され、切換弁１６１及び吐出部下面部材１７８が、下方に回動されると、第二送風路１７７が形成されるものである。
このような構成により、コンバイン１０１の刈取作業時は、プレファン１２０からの送風を第一送風路１７６に導くように切換弁１６１及び吐出部下面部材１７８を切り換えることにより、脱穀された穀粒を風選別するとともに、揺動選別装置１０６内の乾燥を促すことができる。また、コンバイン１０１の旋回時や条合わせ時等の非刈取作業時は、プレファン１２０からの送風を第二送風路１７７に導くように切換弁１６１及び吐出部下面部材１７８を切り換えることにより、プレファン１２０により吸引されたエンジン１１２からの熱気を有効活用して唐箕ファン１１９から温かい空気が送風されることにより、脱穀された穀粒を風選別するとともに、揺動選別装置１０６内の乾燥を促すことができる。特に、揺動選別装置１０６のグレンシーブ１３０を強制的に乾燥させることにより、選別精度を向上させることができる。
また、吐出部下面部材１７８をさらに下方（時計回り）に回動するように構成して、第二送風路１７７を脱穀部１０５の下方に開放することにより、プレファン１２０からの送風により、機体上の塵埃等を吹き飛ばすように構成することもできる。
【００８４】
また、唐箕ファン１１９の送風力を調節するシャッター１４４と切換弁１６１との間に、第一連動機構１６９が設けられ、切換弁１６１と吐出部下面部材１７８との間に、第二連動機構１７９が設けられ、排藁量に応じて開閉されるシャッター１４４に連動して、切換弁１６１及び吐出部下面部材１７８が上下動されるものであるため、排藁量、穀稈量に応じて自動的に切換弁１６１及び吐出部下面部材１７８が切り換えられることにより、切換弁１６１を切換操作する手間が省ける。
【図面の簡単な説明】
【００８５】
【図１】コンバインの側面図。
【図２】同じく平面図。
【図３】脱穀部の側面断面図。
【図４】同じく平面図。
【図５】脱穀部の駆動構成を示すスケルトン図。
【図６】プレファンの側面断面図。
【図７】連動機構の側面図。
【図８】プレファンの平面断面図。
【図９】連動機構の平面図。
【図１０】第一送風路が開放された状態を示した側面断面図。
【図１１】第二送風路が開放された状態を示した側面断面図。
【符号の説明】
【００８６】
１０１ コンバイン
１０５ 脱穀部
１０６ 揺動選別装置
１１２ エンジン
１１９ 唐箕ファン
１２０ プレファン
１２７ 前フィードパン
１４２ 唐箕ファンケース
１７６ 第一送風路
１７７ 第二送風路
【技術分野】
【０００１】
本発明は、揺動選別装置の前下方に配設される唐箕ファンと、該揺動選別装置の前方に配設され、エンジンから熱気を吸引して送風するプレファンと、該揺動選別装置のフィードパンと唐箕ファンケースとの間に形成され、該プレファンからの送風を導く第一の送風路と、を備えるコンバインの脱穀部の技術に関し、より詳細には、プレファンからの送風を導く送風路に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、揺動選別装置の前下方に配設される唐箕ファンと、該揺動選別装置の前方に配設され、エンジンから熱気を吸引して送風するプレファンと、該揺動選別装置のフィードパンと唐箕ファンケースとの間に形成され、該プレファンからの送風を導く第一の送風路と、を備えるコンバインの脱穀部の技術は公知となっている。
例えば、特許文献１には、脱穀装置下方に揺動選別装置を配設し、該揺動選別装置の揺動本体の前下方に、側部よりエアーを吸引し揺動本体に選別風を送風する唐箕と、該唐箕の前部において選別風を送風するプレファンを配設し、該プレファンの吸引口を開閉できる第一抵抗板と、唐箕の吸引口を開閉できる第二抵抗板を設け、該第一抵抗板と第二抵抗板を連動連結し、穀稈量に応じて開閉可能に構成したことを特徴とするコンバインの選別装置が開示されている。
【特許文献１】特開平１０−１４３８０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
しかし、特許文献１に開示されているコンバインの選別装置は、脱穀される籾や排藁量に合わせてプレファンと唐箕からの選別風の風量を調整することができ、籾や排藁量が多い場合には、吸引の抵抗を無くして選別風を大量に発生させることで、籾と藁屑との選別効率を高く維持することができ、少ないときには風量を落として精粒まで排出することを防止し、最適な選別風の風量で選別することができるものであるが、コンバインの旋回時や条合わせ時等の刈取穀稈や排藁が発生しない非刈取作業時は、前記第一抵抗板が閉作動されるため、プレファンの吸引が制限され、折角のエンジンからの熱気がプレファンにより有効活用されていない。
【０００４】
本発明は以上の状況に鑑み、コンバインの旋回時や条合わせ時等の非刈取作業時でも、エンジンからの熱気をプレファンにより吸引して有効活用できるコンバインの脱穀部を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
本発明の解決しようとする課題は以上のとおりであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【０００６】
すなわち、請求項１においては、
揺動選別装置の前下方に配設される唐箕ファンと、該揺動選別装置の前方に配設され、エンジンから熱気を吸引して送風するプレファンと、該揺動選別装置のフィードパンと唐箕ファンケースとの間に形成され、該プレファンからの送風を導く第一の送風路と、を備えるコンバインの脱穀部において、
前記プレファンからの送風を前記唐箕ファンケース内に導く第二の送風路が、前記唐箕ファンケースの前部に形成される、ものである。
【０００７】
請求項２においては、
プレファンケースは、回動部が設けられて、吐出部の下面が上下回動可能に構成され、
前記プレファンからの送風を導く送風路を前記第一の送風路または第二の送風路に切り換える切換弁が、前記プレファンの吐出部内に上下回動可能に支持され、
該切換弁及び吐出部の下面が、下方に回動されると、前記第二の送風路が形成される、ものである。
【０００８】
請求項３においては、
前記唐箕ファンの送風力を調節するシャッターと前記切換弁との間に、第一の連動機構が設けられ、
前記切換弁と吐出部の下面との間に、第二の連動機構が設けられ、
排藁量に応じて開閉される前記唐箕ファンのシャッターに連動して、前記切換弁及び吐出部の下面が上下動される、ものである。
【発明の効果】
【０００９】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【００１０】
請求項１においては、
コンバインの旋回時や条合わせ時等の非刈取作業時であっても、プレファンにより吸引されたエンジンからの熱気が、第二の送風路を介して唐箕ファンケース内に導かれるため、エンジンからの熱気を有効活用して唐箕ファンから温かい空気が送風されることにより、脱穀された穀粒を風選別するとともに、揺動選別装置内の乾燥を促すことができる。特に、揺動選別装置のグレンシーブを強制的に乾燥させることにより、選別精度を向上させることができる。
【００１１】
請求項２においては、
コンバインの刈取作業時は、プレファンからの送風を第一の送風路に導くように切換弁及び吐出部の下面を切り換えることにより、脱穀された穀粒を風選別するとともに、揺動選別装置内の乾燥を促すことができる。また、コンバインの旋回時や条合わせ時等の非刈取作業時は、プレファンからの送風を第二の送風路に導くように切換弁及び吐出部の下面を切り換えることにより、プレファンにより吸引されたエンジンからの熱気を有効活用して唐箕ファンから温かい空気が送風されることにより、脱穀された穀粒を風選別するとともに、揺動選別装置内の乾燥を促すことができる。特に、揺動選別装置のグレンシーブを強制的に乾燥させることにより、選別精度を向上させることができる。
【００１２】
請求項３においては、
排藁量、穀稈量に応じて自動的に切換弁及び吐出部の下面が切り換えられることにより、切換弁を切換操作する手間が省ける。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
次に、発明を実施するための最良の形態を説明する。図１はコンバインの側面図、図２は同じく平面図、図３は脱穀部の側面断面図、図４は同じく平面図、図５は脱穀部の駆動構成を示すスケルトン図、図６はプレファンの側面断面図、図７は連動機構の側面図、図８はプレファンの平面断面図、図９は連動機構の平面図、図１０は第一送風路が開放された状態を示した側面断面図、図１１は第二送風路が開放された状態を示した側面断面図である。
【００１４】
先ず、コンバイン１０１の全体構成について説明する。図１及び図２に示すように、コンバイン１０１は、クローラ式走行装置１０２上に機体１０３が配設されている。機体１０３の前部には、刈取部１０４が配設されている。機体１０３上の左側には、揺動選別装置１０６、フィードチェーン１０８、扱胴１２２等を備える脱穀部１０５が配設されている。脱穀部１０５には、揺動選別装置１０６の前下方に、唐箕ファン１１９が配設され、揺動選別装置１０６の前方に、プレファン１２０が配設されている。
【００１５】
機体１０３上の前部右側には、運転席１１０及びステアリングハンドル１１１を備える運転部１０９が配設されている。運転部１０９の下方であって、機体１０３上の前部右側には、エンジン１１２が配設されており、運転部１０９の後方であって、機体１０３上の後部右側には、グレンタンク１１３が配設されている。グレンタンク１１３の底部には、排出コンベア１１４が前後方向に配設されており、グレンタンク１１３の後部には、排出オーガ１１５の縦送りオーガ１１５ａが立設されている。グレンタンク１１３に貯溜された穀粒は、排出コンベア１１４により後方に搬送され、排出オーガ１１５先端部の排出口からトラック等へ排出される。
【００１６】
フィードチェーン１０８の後端には、排藁チェーン１１６が配設されており、この排藁チェーン１１６後部下方には、排藁カッター１１８、拡散コンベア等からなる排藁処理部１１７が配設されており、排藁が切断されて藁片にされた後、拡散されながら圃場に均一に放出される。
【００１７】
次に、脱穀部１０５について説明する。図３及び図４に示すように、脱穀部１０５は、扱室１２１内に、扱胴１２２が機体の前後方向に横架されており、扱胴１２２の下方には、扱胴１２２の下部周囲を覆うように受網１２４が設けられている。そして、扱胴１２２の後方であって、グレンタンク１１３側の処理室１２５内に、処理胴１２３が扱胴１２２と平行に機体の前後方向に横架されている。
【００１８】
脱穀部１０５において、フィードチェーン１０８により、株元部が拘束されて、機体後方に搬送された穀稈は、先端部が扱胴１２２の下方に挿入されて、扱胴１２２の回転により脱穀されて、籾等が受網１２４を通過して下方へ落下される。扱胴１２２で処理できなかった枝梗付着粒等の未処理物は、送塵口（不図示）より処理室１２５内に搬送されて、処理胴１２３の回転により、藁屑に絡まった籾が分離されて下方に落下されて、藁屑等が機外に排出される。
【００１９】
そして、脱穀部１０５は、揺動選別装置１０６による揺動選別と、唐箕ファン１１９及びプレファン１２０による風選別とが行われ、一番物と二番物と藁屑等に分別されるように構成されている。
【００２０】
具体的には、揺動選別装置１０６は、機枠１２６内であって、扱胴１２２及び処理胴１２３の下方に配設されている。揺動選別装置１０６の前後方向の長さは、扱胴１２２の前端から処理胴１２３の後端までの長さと略一致するように構成されている。そして、揺動選別装置１０６の前下部は、前後摺動自在に支持されているとともに、揺動選別装置１０６の後下部には、揺動軸１０６ａ（図５参照）が設けられている。揺動軸１０６ａが偏心駆動されることで揺動駆動機構が構成され、この揺動駆動機構によって、揺動選別装置１０６が機枠１２６に対して揺動される。
【００２１】
揺動選別装置１０６の前部には、前フィードパン１２７が設けられており、前フィードパン１２７の後下方には、後フィードパン１２８が設けられている。前後フィードパン１２７・１２８は、波形に成形された板状部材で構成されており、受網１２４を通過した籾等は、前後フィードパン１２７・１２８上に落下し、揺動選別装置１０６の揺動により後方に搬送される。
【００２２】
前フィードパン１２７の後部には、第一選別部であるチャフシーブ１２９が配設されており、チャフシーブ１２９の下方であって、後フィードパン１２８の後部には、第二選別部である網状のグレンシーブ１３０が配設されており、チャフシーブ１２９の後方には、ストローラック１３１が配設されている。チャフシーブ１２９は、チャフシーブ１２９の開度を調節するチャフレバー（不図示）が、ワイヤー等を介して、排藁チェーン１１６のチェーンガイド１６５と連結されており（図６参照）、排藁量に応じてチャフシーブ１２９の開度が調節されるように構成されている。
【００２３】
そして、エンジン１１２の左後方であって、揺動選別装置１０６の前下方には、唐箕ファン１１９が配設されており、揺動選別装置１０６の前方には、プレファン１２０が配設されており、詳しくは後述するが、チャフシーブ１２９及びグレンシーブ１３０に選別風を送風するように構成されている。
【００２４】
また、揺動選別装置１０６の後部上方には、吸引ファン１３２が揺動選別装置１０６の全幅（左右方向）に横設されており、唐箕ファン１１９及びプレファン１２０からの選別風に乗ってきた塵埃が吸引されて機外に排出される。
【００２５】
そして、揺動選別装置１０６下方の前後中途部であって、唐箕ファン１１９の後方には、一番コンベア１３３が左右方向に横設されており、この一番コンベア１３３の後方には、二番コンベア１３４が左右方向に横設されている。一番コンベア１３３は、唐箕ファンケース１４２の後端から流穀板を介して連設されている凹状の一番回収樋１３６内に横設されており、二番コンベア１３４は、この一番回収樋１３６の後部に連設されている凹状の二番回収樋１３７内に横設されている。
【００２６】
一番コンベア１３３には、搬送方向が略上下方向とされる揚穀コンベア１３５が連結されており、この揚穀コンベア１３５の上端は、グレンタンク１１３内と連通されている。二番コンベア１３４には、搬送方向が略前後方向とされる二番還元コンベア１３８が連結されている。二番還元コンベア１３８の前端には、枝梗処理胴１３９が連結されて、前フィードパン１２７上に処理後の二番物が放出されるように構成されている。
【００２７】
このような構成により、チャフシーブ１２９の隙間を通過した籾や細かい藁屑等は、グレンシーブ１３０上に落下される。一方、チャフシーブ１２９の隙間を通過しなかった藁屑等は、揺動選別装置１０６の揺動により後方に搬送されて、ストローラック１３１を経て機外に排出される。そして、グレンシーブ１３０上に落下した穀粒、未熟穀粒、枝梗付着粒及び細かい藁屑等の内、穀粒、未熟穀粒、細かい藁屑等は、グレンシーブ１３０を通過して下方に落下される。その際、チャフシーブ１２９及びグレンシーブ１３０には、唐箕ファン１１９及びプレファン１２０から選別風が送風されており、細かい藁屑の一部は、後方に吹き飛ばされて穀粒と分離される。
【００２８】
ここで、重量が大きい穀粒は、前記選別風により後方に吹き飛ばされずに、手前側の一番回収樋１３６に回収され、一番コンベア１３３、揚穀コンベア１３５を経て、グレンタンク１１３に搬送される。一方、未熟穀粒や未処理粒等は、前記選別風により後方に吹き飛ばされて、奥側の二番回収樋１３７に回収されるとともに、チャフシーブ１２９の隙間を通過した枝梗付着粒等も二番回収樋１３７に回収され、二番コンベア１３４、二番還元コンベア１３８を経て、枝梗処理胴１３９に搬送され、枝梗処理胴１３９により枝梗が除去された後、前フィードパン１２７上に放出される。
【００２９】
次に、脱穀部１０５の駆動構成について説明する。図５に示すように、エンジン１１２には、出力軸１１２ａが左右方向に突設されており、この出力軸１１２ａの左軸上には、第一出力プーリ１１２ｂ、右軸上には、第二出力プーリ１１２ｃが固設されている。
【００３０】
唐箕ファン１１９の唐箕軸１４０の右軸上には、プーリ１４０ａ、１４０ｂ、左軸上には、プーリ１４０ｃ、１４０ｄが固設されている。プーリ１４０ａと、前記第一出力プーリ１１２ｂとには、ベルトが巻回されて、テンションクラッチが配設されている。
【００３１】
第一フィードチェーン軸１０８ａ上の左端には、プーリ１０８ｄが固設され、右端には、プーリ１０８ｅが固設され、中途部上には、ウォーム１０８ｆが固設されている。プーリ１０８ｄと前記プーリ１４０ｄとの間には、ベルトが巻回されて、テンションクラッチが配設されている。第二フィードチェーン軸１０８ｂ上の前端には、ウォームホィール１０８ｈが固設されており、このウォームホィール１０８ｈは、ウォーム１０８ｆと噛合されている。フィードチェーン１０８を駆動するための第三フィードチェーン軸１０８ｃの右端からは、ベベルギア１０８ｇを介して、第二フィードチェーン軸１０８ｂと動力伝達可能とされている。
【００３２】
プレファン１２０のプレファン軸１２０ａ上の左端には、プーリ１２０ｂが固設されている。プーリ１２０ｂと、前記プーリ１０８ｅとには、ベルトが巻回されている。
【００３３】
一番コンベア１３３の一番コンベア軸１３３ａ上の左端には、プーリ１３３ｂが固設されている。一番コンベア軸１３３ａの右端からは、ベベルギア１５０を介して、揚穀コンベア１３５の揚穀コンベア軸１３５ａと動力伝達可能とされている。
【００３４】
二番コンベア１３４の二番コンベア軸１３４ａ上の左端には、プーリ１３４ｂが固設されている。二番コンベア軸１３４ａの右端からは、ベベルギア１５１を介して、二番還元コンベア１３８の二番還元コンベア軸１３８ａと動力伝達可能とされている。
【００３５】
揺動選別装置１０６の揺動軸１０６ａ上の左端には、プーリ１０６ｂが固設されている。揺動駆動軸１０７上の左端には、プーリ１０７ａが固設され、右端には、プーリ１０７ｂが固設されている。プーリ１０７ｂと、プーリ１０６ｂとには、ベルトが巻回されている。
【００３６】
吸引ファン１３２の吸引軸１３２ａは、ギア等を介して、プーリ１３２ｂと動力伝達可能とされている。カウンター軸１５２上の右端には、プーリ１５２ａが固設され、左端には、プーリ１５２ｂ（１５２ｃ）が固設されている。プーリ１５２ｂ（１５２ｃ）と、プーリ１３２ｂとには、ベルトが巻回されている。
【００３７】
また、前記プーリ１４０ｃと、プーリ１３３ｂと、プーリ１３４ｂと、プーリ１０７ａと、プーリ１５２ａとには、ベルトが巻回されている。
【００３８】
扱胴１２２の扱胴軸１２２ａの前端からは、ベベルギア１４７を介して、扱胴入力軸１２２ｂと動力伝達可能とされている。扱胴入力軸１２２ｂ上の右端には、プーリ１２２ｃが固設され、このプーリ１２２ｃの左方には、プーリ１２２ｄが固設されている。プーリ１２２ｄと、前記プーリ１４０ｂとには、ベルトが巻回されている。また、扱胴軸１２２ａ上の後端には、プーリ１２２ｅが固設されている。
【００３９】
排藁チェーン１１６の第二排藁軸１１６ｂの右端からは、ベベルギア１４８を介して、第一排藁軸１１６ａと動力伝達可能とされている。第一排藁軸１１６ａ上の前端には、プーリ１１６ｃが固設されている。プーリ１１６ｃと、前記プーリ１２２ｅとには、ベルトが巻回されている。
【００４０】
処理胴１２３の処理胴軸１２３ａの前端からは、ベベルギア１４９を介して、処理胴入力軸１２３ｂと動力伝達可能とされている。処理胴入力軸１２３ｂ上の右端には、プーリ１２３ｄが固設され、中途部には、プーリ１２３ｃが固設されている。プーリ１２３ｃと、前記プーリ１２２ｃとには、ベルトが巻回されている。枝梗処理胴１３９の枝梗処理胴軸１３９ａ上の右端には、プーリ１３９ｂが固設されている。プーリ１３９ｂと、プーリ１２３ｄとには、ベルトが巻回されている。
【００４１】
排出コンベア１１４のコンベア軸１１４ａ上の前端には、プーリ１１４ｂが固設されている。第二グレン入力軸１５４上の後端には、プーリ１５４ａが固設されている。プーリ１５４ａと、プーリ１１４ｂとには、ベルトが巻回されて、テンションクラッチが配設されている。そして、第二グレン入力軸１５４の前端からは、ベベルギア１５５を介して、第一グレン入力軸１５３と動力伝達可能とされている。第一グレン入力軸１５３上の右端には、プーリ１５３ａが固設されている。プーリ１５３ａと、前記第二出力プーリ１１２ｃとには、ベルトが巻回されている。
【００４２】
縦送りオーガ１１５ａの縦コンベア軸１１５ｂの左端からは、ベベルギア１５６を介して、排出コンベア１１４のコンベア軸１１４ａと動力伝達可能とされている。縦コンベア軸１１５ｂの右端からは、ベベルギア１５７、受継コンベア軸１５８、ベベルギア１５９を介して、排出オーガ１１５の排出コンベア軸１１５ｃと動力伝達可能とされている。
【００４３】
このような構成により、エンジン１１２の駆動力は、出力軸１１２ａ、第一出力プーリ１１２ｂ、プーリ１４０ａ、唐箕軸１４０を経て、唐箕ファン１１９に伝達される。
【００４４】
そして、唐箕軸１４０に伝達されたエンジン１１２の駆動力は、プーリ１４０ｄ、プーリ１０８ｄ、第一フィードチェーン軸１０８ａ、ウォーム１０８ｆ、ウォームホィール１０８ｈ、第二フィードチェーン軸１０８ｂ、ベベルギア１０８ｇ、第三フィードチェーン軸１０８ｃを経て、フィードチェーン１０８に伝達される。
【００４５】
そして、第一フィードチェーン軸１０８ａに伝達されたエンジン１１２の駆動力は、プーリ１０８ｅ、プーリ１２０ｂ、プレファン軸１２０ａを経て、プレファン１２０に伝達される。
【００４６】
また、唐箕軸１４０に伝達されたエンジン１１２の駆動力は、プーリ１４０ｃ、プーリ１３３ｂ、一番コンベア軸１３３ａを経て、一番コンベア１３３に伝達される。また、一番コンベア軸１３３ａに伝達されたエンジン１１２の駆動力は、ベベルギア１５０、揚穀コンベア軸１３５ａを経て、揚穀コンベア１３５に伝達される。
【００４７】
また、唐箕軸１４０に伝達されたエンジン１１２の駆動力は、プーリ１４０ｃ、プーリ１３４ｂ、二番コンベア軸１３４ａを経て、二番コンベア１３４に伝達される。また、二番コンベア軸１３４ａに伝達されたエンジン１１２の駆動力は、ベベルギア１５１、二番還元コンベア軸１３８ａを経て、二番還元コンベア１３８に伝達される。
【００４８】
また、唐箕軸１４０に伝達されたエンジン１１２の駆動力は、プーリ１４０ｃ、プーリ１０７ａ、振動駆動軸１０７、プーリ１０７ｂ、プーリ１０６ｂを経て揺動軸１０６ａに伝達される。
【００４９】
また、唐箕軸１４０に伝達されたエンジン１１２の駆動力は、プーリ１４０ｃ、プーリ１５２ａ、カウンター軸１５２、プーリ１５２ｂ（１５２ｃ）、プーリ１３２ｂ、吸引軸１３２ａを経て、吸引ファン１３２に伝達される。
【００５０】
また、唐箕軸１４０に伝達されたエンジン１１２の駆動力は、プーリ１４０ｂ、プーリ１２２ｄ、扱胴入力軸１２２ｂ、ベベルギア１４７、扱胴軸１２２ａを経て、扱胴１２２に伝達される。
【００５１】
そして、扱胴軸１２２ａに伝達されたエンジン１１２の駆動力は、プーリ１２２ｅ、プーリ１１６ｃ、第一排藁軸１１６ａ、ベベルギア１４８、第二排藁軸１１６ｂを経て、排藁チェーン１１６に伝達される。
【００５２】
そして、扱胴入力軸１２２ｂに伝達されたエンジン１１２の駆動力は、プーリ１２２ｃ、プーリ１２３ｃ、処理胴入力軸１２３ｂ、ベベルギア１４９、処理胴軸１２３ａを経て、処理胴１２３に伝達される。また、処理胴入力軸１２３ｂに伝達されたエンジン１１２の駆動力は、プーリ１２３ｄ、プーリ１３９ｂ、枝梗処理胴軸１３９ａを経て、枝梗処理胴１３９に伝達される。
【００５３】
一方、エンジン１１２の駆動力は、出力軸１１２ａ、第二出力プーリ１１２ｃ、プーリ１５３ａ、第一グレン入力軸１５３、ベベルギア１５５、第二グレン入力軸１５４、プーリ１５４ａ、プーリ１１４ｂ、コンベア軸１１４ａを経て、排出コンベア１１４に伝達される。
【００５４】
そして、コンベア軸１１４ａに伝達されたエンジン１１２の駆動力は、ベベルギア１５６、縦コンベア軸１１５ｂを経て、縦送りオーガ１１５ａに伝達される。縦コンベア軸１１５ｂに伝達されたエンジン１１２の駆動力は、ベベルギア１５７、受継コンベア軸１５８、ベベルギア１５９、排出コンベア軸１１５ｃを経て、排出オーガ１１５に伝達される。
【００５５】
次に、唐箕ファン１１９について説明する。図３及び図４に示すように、唐箕ファン１１９は、揺動選別装置１０６の前下方（エンジン１１２の左後方）に配設されており、左右方向に軸心を有する唐箕軸１４０と、この唐箕軸１４０から半径方向に放射状に突設する羽根体１４１・１４１・・・とを備えている。唐箕ファン１１９は、唐箕ファンケース１４２により覆われており、この唐箕ファンケース１４２は、後部が開放されて選別風を送風するための吐出口１４２ａが形成されているとともに、側部が開放されて空気を導入するための吸入口１４２ｂ（図６参照）が形成されている。唐箕ファンケース１４２の側部には、プレート１４３（図６参照）が固定されており、このプレート１４３に唐箕軸１４０が軸支されている。
【００５６】
図６から図８に示すように、唐箕ファン１１９は、送風力を調節するためのシャッター１４４を備えている。シャッター１４４は、吸入口１４２ｂの上部を開閉するように構成されている。シャッター１４４は、排藁量検出機構１６８を介して、排藁チェーン１１６の下方に配設されているチェーンガイド１６５と連結されており、排藁量に応じてシャッター１４４の開度が調節されるように構成されている。
【００５７】
具体的には、左右方向に軸心を有するシャッター軸１４５が、唐箕ファンケース１４２の側面に軸支されており、シャッター１４４は、このシャッター軸１４５の端部に、取付部材１４４ａを介して、ボルト１６０により固設されている。取付部材１４４ａには、シャッターレバー１４６の一端が固設されており、このシャッターレバー１４６の他端には、バネ１６６の一端が係止されている。バネ１６６の他端には、排藁量検出機構１６８の検出ワイヤー１６８ａの一端（前端）が係止されている。
【００５８】
図６に示すように、排藁量検出機構１６８は、検出ワイヤー１６８ａと、検出ロッド１６８ｂと、検出プレート１６８ｃと、回動軸１６８ｄと、検出アーム１６８ｅとを備えている。排藁量検出機構１６８は、左右方向に軸心を有する回動軸１６８ｄが、コンバイン１０１の機体に枢支されており、この回動軸１６８ｄに、検出プレート１６８ｃの端部（後端）及び検出アーム１６８ｅの一端（上端）が固定されている。検出プレート１６８ｃの上面には、チェーンガイド１６５の下面に垂設されている検出ロッド１６８ｂの下端が当接されている。検出アーム１６８ｅの他端（下端）には、検出ワイヤー１６８ａの他端（後端）が取り付けられている。
【００５９】
このような構成により、排藁チェーン１１６により、機体後部に搬送される排藁（穀稈）の量が増加すると、チェーンガイド１６５が下方に押し下げられて、検出プレート１６８ｃ及び検出アーム１６８ｅが回動軸１６８ｄを中心として反時計回りに回動されて、検出アーム１６８ｅの他端（下端）に取り付けられている検出ワイヤー１６８ａが、後方に引っ張られる。
【００６０】
検出ワイヤー１６８ａが、後方に引っ張られると、検出ワイヤー１６８ａの一端（前端）に係止されているバネ１６６を介して、シャッターレバー１４６がシャッター軸１４５を中心として、反時計回りに回動される（図６及び図７に示す二点鎖線位置）。シャッターレバー１４６が反時計回りに回動されると、取付部材１４４ａを介して、シャッター１４４が反時計回りに回動されて（図６及び図７に示す二点鎖線位置）、シャッター１４４の開度が大きくされて、吸入口１４２ｂからの空気の導入量が増加される。
【００６１】
なお、詳細な説明は省略するが、排藁チェーン１１６により、機体後部に搬送される排藁（穀稈）の量が減少すると、これとは反対の動作により、シャッター１４４の開度が小さくされて、吸入口１４２ｂからの空気の導入量が減少される。
【００６２】
次に、プレファン１２０について説明する。図３及び図４に示すように、プレファン１２０は、揺動選別装置１０６の前方（エンジン１１２の左後方）に配設されており、左右方向に軸心を有するプレファン軸１２０ａと、このプレファン軸１２０ａから半径方向に放射状に突設する羽根体１６２・１６２・・・とを備えている。プレファン１２０は、プレファンケース１６３により覆われており、このプレファンケース１６３は、側部が開放されて空気を導入するための吸入口１６３ｂ（図６参照）が形成されているとともに、ケースの後下部が後方に延設されてプレファン１２０からの送風を吐出する吐出部１６３ｃが形成されている。図６及び図８に示すように、プレファンケース１６３の側部には、プレート１６４が固定されており、このプレート１６４にプレファン軸１２０ａが軸支されている。プレファン軸１２０ａ上の左端には、エンジン１１２の駆動力が伝達されるプーリ１２０ｂが固設されている。
【００６３】
そして、揺動選別装置１０６の前フィードパン１２７と唐箕ファン１１９の唐箕ファンケース１４２との間には、プレファン１２０からの送風を導く第一送風路１７６（図１０参照）が形成されるとともに、唐箕ファンケース１４２の前部には、プレファン１２０からの送風を唐箕ファンケース１４２内に導く第二送風路１７７（図１１参照）が形成されるように構成されている。
【００６４】
次に、第一送風路１７６及び第二送風路１７７について説明する。図６及び図７に示すように、プレファンケース１６３の下面には、回動部１６３ｄが設けられ、吐出部１６３ｃの下面の吐出部下面部材１７８が上下回動可能に構成されている。
すなわち、プレファンケース１６３の後下部に形成されている吐出部１６３ｃの下面に、蝶番または枢支軸等よりなる回動部１６３ｄが設けられ、この回動部１６３ｄに吐出部下面部材１７８が上下回動可能に支持されている。そして、切換弁１６１の前部に切換弁軸１６１ａが設けられ、この切換弁軸１６１ａが吐出部１６３ｃ内の上部に配置されて切換弁１６１を上下回動可能に支持し、切換弁１６１及び吐出部下面部材１７８が、下方に回動されると、第二送風路１７７が形成されるように構成されている。
【００６５】
唐箕ファンケース１４２の前面上部には、プレファン１２０からの送風を導くための開口部１４２ｃが開口されている（図１０及び図１１参照）。開口部１４２ｃは、プレファンケース１６３の左右方向の長さと略一致する開口幅（左右方向）とされている。
開口部１４２ｃの上部には、第一送風路１７６及び第二送風路１７７の一部を形成し、プレファン１２０からの送風を分岐して、第一送風路１７６または第二送風路１７７に導くための送風板１６３ｅが設けられている。送風板１６３ｅは、開口部１４２ｃの開口幅（左右方向）と略一致する長さ（左右方向）を有する板状部材であって、側面視略く字状に形成されている。
すなわち、送風板１６３ｅは、唐箕ファンケース１４２の開口部１４２ｃの開口上端から、前上方に延設されて下辺１６３ｇが形成され、下辺１６３ｇが折曲されて、後方に延設されて上辺１６３ｆが形成され、上辺１６３ｆが延出されて、端部（後端）が唐箕ファンケース１４２の上部に接続されて形成されている。
【００６６】
吐出部下面部材１７８は、吐出部１６３ｃの下面を構成する板状部材である。吐出部下面部材１７８は、側面視略へ字状に形成され、一端（前端）がプレファンケース１６３の下面に設けられている回動部１６３ｄに上下回動可能に軸支されている。
吐出部下面部材１７８は、図１０に示す第一送風路１７６が開放された状態において、回動部１６３ｄから送風板１６３ｅ（上辺１６３ｆと下辺１６３ｇとの角部）まで延設されて後下方に折曲され、下辺１６３ｇの下面に沿って略平行に所定長さ延設されて下方に折曲され（第一角部Ｐ１）、開口部１４２ｃの開口上端まで延設されて前下方に折曲され（第二角部Ｐ２）、さらに所定長さ延出されて形成されている。そして、第一送風路１７６が形成された状態において、吐出部下面部材１７８は、斜辺１７８ａと送風板１６３ｅの下辺１６３ｇとが当接されることにより、吐出部下面部材１７８の前部と上辺１６３ｆとが同一平面上に位置して、送風が乱れることなく流れるように構成されている。また、第二角部Ｐ２と開口部１４２ｃの開口下端とが当接されることにより、唐箕ファンケース１４２の開口部１４２ｃを閉じて唐箕ファン１１９からの送風が漏れないように構成されている。
また、図１１に示す第二送風路１７７が開放された状態において、第一角部Ｐ１と開口部１４２ｃの開口下端とが当接されて、第二送風路１７７を形成するように構成されている。そして、吐出部下面部材１７８の上下回動途中においては、下方に折曲された部分により、唐箕ファンケース１４２の開口部１４２ｃを閉じるようにして唐箕ファン１１９からの送風が漏れないように構成されている。
【００６７】
切換弁１６１は、プレファン１２０からの送風を導く送風路を第一送風路１７６または第二送風路１７７に切り換える板状部材であって、吐出部１６３ｃ内に上下回動可能に軸支されている。図８に示すように、切換弁１６１は、吐出部１６３ｃの開口幅（左右方向）と略一致する長さ（左右方向）を有し、端部（前端）が左右方向に軸心を有する切換弁軸１６１ａに固定されている。切換弁軸１６１ａは、吐出部１６３ｃ内に配設され、吐出部１６３ｃの側面に軸支されている。
【００６８】
そして、図１０及び図１１に示すように、吐出部下面部材１７８が回動部１６３ｄを回動軸として下方（時計回り）に回動されて、吐出部下面部材１７８（第一角部Ｐ１）と唐箕ファンケース１４２の開口部１４２ｃの開口下端とが当接され、切換弁１６１が切換弁軸１６１ａを回動軸として下方（時計回り）に回動されて、切換弁１６１の端部（後端）と、送風板１６３ｅ（上辺１６３ｆ）とが当接されることにより、第二送風路１７７が開放されて、プレファンケース１６３と唐箕ファンケース１４２とが連通される一方、第一送風路１７６が遮断される。
【００６９】
一方、吐出部下面部材１７８が回動部１６３ｄを回動軸として上方（反時計回り）に回動されて、吐出部下面部材１７８（斜辺１７８ａ）と送風板１６３ｅ（下辺１６３ｇ）とが当接され、切換弁１６１が切換弁軸１６１ａを回動軸として上方（反時計回り）に回動されることにより、第一送風路１７６が開放される一方、第二送風路１７７が遮断される。
【００７０】
そして、唐箕ファン１１９の送風力を調節するシャッター１４４と切換弁１６１との間に、第一連動機構１６９が設けられ、切換弁１６１とプレファンケース１６３の吐出部下面部材１７８との間に、第二連動機構１７９が設けられ、排藁量に応じて開閉される唐箕ファン１１９のシャッター１４４に連動して、切換弁１６１及び吐出部下面部材１７８が上下動されるように構成されている。
【００７１】
次に、第一連動機構及び第二連動機構１７９について説明する。図７及び図９に示すように、第一連動機構１６９は、第一アーム部材１７０と、第二アーム部材１７１と、第一連結部材１７２と、第二連結部材１７３とを備えて構成されている。
第一アーム部材１７０の一端が、第一取付部材１７０ａを介して、切換弁軸１６１ａに第一ボルト１７０ｂにより固定されている。第一アーム部材１７０の中途部には、バネ１７５の一端が係止されており、このバネ１７５の他端は、プレファンケース１６３側（機体側）に係止されて、第一送風路１７６を閉じるように付勢している。そして、第二アーム部材１７１の一端が、第二取付部材１７１ａを介して、シャッター１４４のシャッター軸１４５に第二ボルト１７１ｂにより固定されている。第一連結部材１７２及び第二連結部材１７３は、略Ｌ型に形成された板状部材であり、それぞれ長辺の端部が、第一アーム部材１７０（第二アーム部材１７１）の他端に、第一ピン１７２ａ（第二ピン１７３ａ）により回動可能に取り付けられている。第一連結部材１７２及び第二連結部材１７３は、互いの短辺１７２ｂ、１７３ｂ同士が対向するように配設されている。
【００７２】
第二連動機構１７９は、切換弁１６１の先端（後端）の上面に設けられた第一連結軸１８０と、吐出部下面部材１７８の下面に設けられた第二連結軸１８１と、切換弁１６１の第一連結軸１８０と吐出部下面部材１７８の第二連結軸１８１とを上下方向に回動可能に軸支して連結する連結部材１８２とを備えて構成されている。
第一連結軸１８０は、吐出部１６３ｃの側面に開口されたガイド溝１６３ａ内に配設され、プレファンケース１６３の左右方向の長さよりも長く構成され、端部がガイド溝１６３ａ（図７参照）から突出するよう配設されている。ガイド溝１６３ａは、切換弁軸１６１ａを回動軸とする同一半径軌跡上に開口され、溝端面に沿って第一連結軸１８０を上下方向に摺動可能に支持している。第二連結軸１８１は、第一連結軸１８０と同様にプレファンケース１６３の左右方向の長さよりも長く構成され、端部が吐出部下面部材１７８の端部から突出するよう配設されている。連結部材１８２は、第一連結軸１８０の端部と第二連結軸１８１とを上下方向に回動可能に軸支して連結する部材である。
【００７３】
そして、次のようにして、排藁量に応じて開閉される唐箕ファン１１９のシャッター１４４に連動して、切換弁１６１及び吐出部下面部材１７８が上下動される。
【００７４】
前述のように、唐箕ファン１１９のシャッター１４４は、排藁量検出機構１６８を介して、チェーンガイド１６５と連結されており、排藁量に応じてシャッター１４４の開度が調節されるように構成されている。排藁チェーン１１６により、機体後部に搬送される排藁（穀稈）の量が増加すると、シャッター１４４の開度が大きくされて、吸入口１４２ｂからの空気の導入量が増加される。ここで、シャッターレバー１４６がシャッター軸１４５を中心として、反時計回りに回動されると、シャッター軸１４５に固定されている第二アーム部材１７１が、シャッター軸１４５を中心として、反時計回りに回動される。
【００７５】
第二アーム部材１７１が、反時計回りに回動されると、第一連結部材１７２、第二連結部材１７３、長さ調節機構１７４を介して、第二アーム部材１７１と連結されている第一アーム部材１７０が、バネ１７５の付勢力に抗して第二アーム部材１７１と連動して、切換弁軸１６１ａを中心として、反時計回りに回動される。
【００７６】
第一アーム部材１７０が、反時計回りに回動されると、切換弁軸１６１ａに固定されている切換弁１６１が、切換弁軸１６１ａを中心として、上方（反時計回り）に回動される（図６及び図７に示す二点鎖線位置）。
【００７７】
そして、切換弁１６１が、上方（反時計回り）に回動されると、切換弁１６１の先端（後端）の第一連結軸１８０が、ガイド溝１６３ａの溝端面に沿って上方（反時計回り）に摺動され、連結部材１８２及び第二連結軸１８１を介して、吐出部下面部材１７８も上方（反時計回り）に回動される。
【００７８】
なお、詳細な説明は省略するが、排藁チェーン１１６により、機体後部に搬送される排藁（穀稈）の量が減少すると、これとは反対の動作により、切換弁１６１及び吐出部下面部材１７８が下方（時計回り）に回動される。
【００７９】
また、第一連動機構１６９は、第一連結部材１７２と第二連結部材１７３との間に、切換弁１６１とシャッター１４４との連動量を調節可能とするための長さ調節手段（長さ調節機構１７４）が介設されており、第一連結部材１７２と第二連結部材１７３とは、長さ調節機構１７４を介して、連結されている。
【００８０】
具体的には、図７及び図９に示すように、長さ調節機構１７４は、長さ調節ボルト１７４ａと、第一長さ調節ナット１７４ｂと、第二長さ調節ナット１７４ｃとを備える。長さ調節ボルト１７４ａが、第一連結部材１７２の短辺１７２ｂと第二連結部材１７３の短辺１７３ｂとの間に差し込まれている。長さ調節ボルト１７４ａの先端には、第一長さ調節ナット１７４ｂ及び第二長さ調節ナット１７４ｃが螺合されており、この第一長さ調節ナット１７４ｂと第二長さ調節ナット１７４ｃとにより、第一連結部材１７２の短辺１７２ｂが挟持されている。第一連結部材１７２の短辺１７２ｂと第二連結部材１７３の短辺１７３ｂとの間には、間隔Ｌ（図７及び図９参照）が形成されている。
【００８１】
また、長さ調節機構１７４において、長さ調節ボルト１７４ａに螺合されている第一長さ調節ナット１７４ｂ及び第二長さ調節ナット１７４ｃを緩めて、間隔Ｌ（図７及び図９参照）が長くされると、切換弁軸１６１ａとシャッター軸１４５との軸間距離に対する、第一連動機構１６９の長さ（第一ピン１７２ａと第二ピン１７３ａとの軸間距離）の比が大きくされる。これにより、シャッター１４４に連動される切換弁１６１の回動角度が、小さくされる。一方、第一長さ調節ナット１７４ｂ及び第二長さ調節ナット１７４ｃを締めて、間隔Ｌ（図７及び図９参照）が短くされると、切換弁軸１６１ａとシャッター軸１４５との軸間距離に対する、第一連動機構１６９の長さ（第一ピン１７２ａと第二ピン１７３ａとの軸間距離）の比が小さくされる。これにより、シャッター１４４に連動される切換弁１６１の回動角度が大きくされる。
【００８２】
以上のように、コンバイン１０１の脱穀部１０５は、揺動選別装置１０６の前下方に配設される唐箕ファン１１９と、揺動選別装置１０６の前方に配設され、エンジン１１２から熱気を吸引して送風するプレファン１２０と、揺動選別装置１０６の前フィードパン１２７と唐箕ファンケース１４２との間に形成され、プレファン１２０からの送風を導く第一送風路１７６と、を備えるコンバイン１０１の脱穀部１０５において、プレファン１２０からの送風を唐箕ファンケース１４２内に導く第二送風路１７７が、唐箕ファンケース１４２の前部に形成されるものである。
このような構成により、コンバイン１０１の旋回時や条合わせ時等の非刈取作業時であっても、プレファン１２０により吸引されたエンジン１１２からの熱気が、第二送風路１７７を介して唐箕ファンケース１４２内に導かれるため、エンジン１１２からの熱気を有効活用して唐箕ファン１１９から温かい空気が送風されることにより、脱穀された穀粒を風選別するとともに、揺動選別装置１０６内の乾燥を促すことができる。特に、揺動選別装置１０６のグレンシーブ１３０を強制的に乾燥させることにより、選別精度を向上させることができる。
【００８３】
そして、プレファンケース１６３は、回動部１６３ｄが設けられて、吐出部下面部材１７８が上下回動可能に構成され、プレファン１２０からの送風を導く送風路を第一送風路１７６または第二送風路１７７に切り換える切換弁１６１が、吐出部１６３ｃ内に上下回動可能に支持され、切換弁１６１及び吐出部下面部材１７８が、下方に回動されると、第二送風路１７７が形成されるものである。
このような構成により、コンバイン１０１の刈取作業時は、プレファン１２０からの送風を第一送風路１７６に導くように切換弁１６１及び吐出部下面部材１７８を切り換えることにより、脱穀された穀粒を風選別するとともに、揺動選別装置１０６内の乾燥を促すことができる。また、コンバイン１０１の旋回時や条合わせ時等の非刈取作業時は、プレファン１２０からの送風を第二送風路１７７に導くように切換弁１６１及び吐出部下面部材１７８を切り換えることにより、プレファン１２０により吸引されたエンジン１１２からの熱気を有効活用して唐箕ファン１１９から温かい空気が送風されることにより、脱穀された穀粒を風選別するとともに、揺動選別装置１０６内の乾燥を促すことができる。特に、揺動選別装置１０６のグレンシーブ１３０を強制的に乾燥させることにより、選別精度を向上させることができる。
また、吐出部下面部材１７８をさらに下方（時計回り）に回動するように構成して、第二送風路１７７を脱穀部１０５の下方に開放することにより、プレファン１２０からの送風により、機体上の塵埃等を吹き飛ばすように構成することもできる。
【００８４】
また、唐箕ファン１１９の送風力を調節するシャッター１４４と切換弁１６１との間に、第一連動機構１６９が設けられ、切換弁１６１と吐出部下面部材１７８との間に、第二連動機構１７９が設けられ、排藁量に応じて開閉されるシャッター１４４に連動して、切換弁１６１及び吐出部下面部材１７８が上下動されるものであるため、排藁量、穀稈量に応じて自動的に切換弁１６１及び吐出部下面部材１７８が切り換えられることにより、切換弁１６１を切換操作する手間が省ける。
【図面の簡単な説明】
【００８５】
【図１】コンバインの側面図。
【図２】同じく平面図。
【図３】脱穀部の側面断面図。
【図４】同じく平面図。
【図５】脱穀部の駆動構成を示すスケルトン図。
【図６】プレファンの側面断面図。
【図７】連動機構の側面図。
【図８】プレファンの平面断面図。
【図９】連動機構の平面図。
【図１０】第一送風路が開放された状態を示した側面断面図。
【図１１】第二送風路が開放された状態を示した側面断面図。
【符号の説明】
【００８６】
１０１ コンバイン
１０５ 脱穀部
１０６ 揺動選別装置
１１２ エンジン
１１９ 唐箕ファン
１２０ プレファン
１２７ 前フィードパン
１４２ 唐箕ファンケース
１７６ 第一送風路
１７７ 第二送風路
【特許請求の範囲】
【請求項１】
揺動選別装置の前下方に配設される唐箕ファンと、該揺動選別装置の前方に配設され、エンジンから熱気を吸引して送風するプレファンと、該揺動選別装置のフィードパンと唐箕ファンケースとの間に形成され、該プレファンからの送風を導く第一の送風路と、を備えるコンバインの脱穀部において、
前記プレファンからの送風を前記唐箕ファンケース内に導く第二の送風路が、前記唐箕ファンケースの前部に形成される、
ことを特徴とするコンバインの脱穀部。
【請求項２】
プレファンケースは、回動部が設けられて、吐出部の下面が上下回動可能に構成され、
前記プレファンからの送風を導く送風路を前記第一の送風路または第二の送風路に切り換える切換弁が、前記プレファンの吐出部内に上下回動可能に支持され、
該切換弁及び吐出部の下面が、下方に回動されると、前記第二の送風路が形成される、
ことを特徴とする請求項１に記載のコンバインの脱穀部。
【請求項３】
前記唐箕ファンの送風力を調節するシャッターと前記切換弁との間に、第一の連動機構が設けられ、
前記切換弁と吐出部の下面との間に、第二の連動機構が設けられ、
排藁量に応じて開閉される前記唐箕ファンのシャッターに連動して、前記切換弁及び吐出部の下面が上下動される、
ことを特徴とする請求項２に記載のコンバインの脱穀部。
【請求項１】
揺動選別装置の前下方に配設される唐箕ファンと、該揺動選別装置の前方に配設され、エンジンから熱気を吸引して送風するプレファンと、該揺動選別装置のフィードパンと唐箕ファンケースとの間に形成され、該プレファンからの送風を導く第一の送風路と、を備えるコンバインの脱穀部において、
前記プレファンからの送風を前記唐箕ファンケース内に導く第二の送風路が、前記唐箕ファンケースの前部に形成される、
ことを特徴とするコンバインの脱穀部。
【請求項２】
プレファンケースは、回動部が設けられて、吐出部の下面が上下回動可能に構成され、
前記プレファンからの送風を導く送風路を前記第一の送風路または第二の送風路に切り換える切換弁が、前記プレファンの吐出部内に上下回動可能に支持され、
該切換弁及び吐出部の下面が、下方に回動されると、前記第二の送風路が形成される、
ことを特徴とする請求項１に記載のコンバインの脱穀部。
【請求項３】
前記唐箕ファンの送風力を調節するシャッターと前記切換弁との間に、第一の連動機構が設けられ、
前記切換弁と吐出部の下面との間に、第二の連動機構が設けられ、
排藁量に応じて開閉される前記唐箕ファンのシャッターに連動して、前記切換弁及び吐出部の下面が上下動される、
ことを特徴とする請求項２に記載のコンバインの脱穀部。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【公開番号】特開２００８−２８９３８２（Ｐ２００８−２８９３８２Ａ）
【公開日】平成２０年１２月４日（２００８．１２．４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−１３５９７４（Ｐ２００７−１３５９７４）
【出願日】平成１９年５月２２日（２００７．５．２２）
【出願人】（０００００６７８１）ヤンマー株式会社 (3,810)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年１２月４日（２００８．１２．４）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年５月２２日（２００７．５．２２）
【出願人】（０００００６７８１）ヤンマー株式会社 (3,810)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]