説明

コンバイン

【課題】唐箕側部の吸気口部を開閉して唐箕の選別風量を調節可能となし、同唐箕シャッタが負圧を受けて変形することを防止する。
【解決手段】選別風を送風する唐箕の側部に吸気口部を形成し、同吸気口部の近傍にスライド移動する唐箕シャッタ41,42を設けて、同唐箕シャッタ41,42のスライド移動により吸気口部を開閉して唐箕の選別風量を調節可能となしたコンバインにおいて、唐箕シャッタ41,42は、一側端部を枢支する枢支部41C,42Cを中心にスライド移動可能となし、同唐箕シャッタ41,42の近傍に規制体を設けると共に、同規制体は、唐箕シャッタ41,42のスライド位置にかかわらず吸気口部と直交する方向の唐箕シャッタ41,42の移動を規制するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、唐箕の選別風量を調節可能となしたコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインの一形態として、脱穀された穀粒を選別する選別部において、揺動選別される穀粒をさらに選別風を送風して風選するための唐箕を設けたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、唐箕は、側部に吸気口部を形成し、同吸気口部の下部にスライド移動する唐箕シャッタを設けて、同唐箕シャッタのスライド移動により吸気口部を開閉して唐箕の選別風量を調節可能となしている。
【特許文献1】特開平10−33048号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記した唐箕では、選別風を送風する唐箕により、唐箕シャッタが負圧を受けて、継時的に変形されて、同唐箕シャッタが適正な選別風量調節機能を果たさなくなる虞がある。
【0005】
また、唐箕シャッタが吸気口部の下部に設けられていて、比較的クローラ式の走行部の近傍に配置されている関係上、同クローラ式の走行部により上方に飛散された泥土等が唐箕シャッタに衝突して、同唐箕シャッタが破損・変形され、同唐箕シャッタが適正な選別風量調節機能を果たさなくなる虞もある。
【0006】
さらに、走行クローラによって巻上げられた藁屑が唐箕の中に侵入して選別の妨げになったり、長藁を吸込んでその長藁が唐箕軸に巻付き、吸入気の妨げになったりする虞がある。
【0007】
そして、飛散された泥土等が唐箕の中に侵入して、同唐箕の風選機能を低下させる虞があると共に、そのような場合には、頻繁に唐箕のメンテナンスを行う必要性が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明では、選別風を送風する唐箕の側部に吸気口部を形成し、同吸気口部の近傍にスライド移動する唐箕シャッタを設けて、同唐箕シャッタのスライド移動により吸気口部を開閉して唐箕の選別風量を調節可能となしたコンバインにおいて、唐箕シャッタは、一側端部を枢支する枢支部を中心にスライド移動可能となし、同唐箕シャッタの近傍に規制体を設けると共に、同規制体は、唐箕シャッタのスライド位置にかかわらず吸気口部と直交する方向の唐箕シャッタの移動を規制するようにしたことを特徴とするコンバインを提供するものである。
【0009】
また、本発明では、規制体は、前後方向に伸延する規制体本体を、少なくとも吸気口部の上方近傍ないしは下方近傍に配置し、同規制体本体に上下方向に開口する規制用長孔を形成して、同規制用長孔に唐箕シャッタの一部がスライド自在に嵌入して、吸気口部と直交する方向の唐箕シャッタの移動を規制するようにすると共に、同規制体本体の上面は、外側下方へ向けて下り傾斜状に形成したことにも特徴を有する。
【発明の効果】
【0010】
(1)請求項1記載の本発明では、選別風を送風する唐箕の側部に吸気口部を形成し、同吸気口部の近傍にスライド移動する唐箕シャッタを設けて、同唐箕シャッタのスライド移動により吸気口部を開閉して唐箕の選別風量を調節可能となしたコンバインにおいて、唐箕シャッタは、一側端部を枢支する枢支部を中心にスライド移動可能となし、同唐箕シャッタの近傍に規制体を設けると共に、同規制体は、唐箕シャッタのスライド位置にかかわらず吸気口部と直交する方向の唐箕シャッタの移動を規制するようにしている。
【0011】
このようにして、唐箕シャッタのスライド位置にかかわらず吸気口部と直交する方向の唐箕シャッタの移動を規制するようにしているため、選別風を送風する唐箕により、唐箕シャッタが負圧を受けて、継時的に変形されるという不具合の発生を確実に防止することができて、同唐箕シャッタによる適正な選別風量調節機能を良好に確保することができる。
【0012】
(2)請求項2記載の本発明では、規制体は、前後方向に伸延する規制体本体を、少なくとも吸気口部の上方近傍ないしは下方近傍に配置し、同規制体本体に上下方向に開口する規制用長孔を形成して、同規制用長孔に唐箕シャッタの一部がスライド自在に嵌入して、吸気口部と直交する方向の唐箕シャッタの移動を規制するようにすると共に、同規制体本体の上面は、外側下方へ向けて下り傾斜状に形成している。
【0013】
このようにして、例えば、吸気口部の上方近傍に規制体を配置した場合には、同規制体の上面を外側下方へ向けて下り傾斜状に形成しているため、上方から降下してくる塵や埃を規制体の上面に沿わせて外側下方へ滑動させることができ、塵や埃が唐箕に吸引され難いようにすることができる。その結果、唐箕による風選効率を良好に確保することができる。
【0014】
また、吸気口部の下方近傍に規制体を配置した場合には、クローラ式の走行部により下方から飛散される泥土等が唐箕シャッタに衝突して、同唐箕シャッタが破損・変形されるという不具合の発生を防止することができる。その結果、唐箕による風選効率を良好に確保することができる。
【0015】
さらに、走行クローラによって巻上げられた藁屑が唐箕の中に侵入することを防止して選別機能を良好に確保できるし、唐箕の吸気口から長藁を吸込むことを防止して唐箕の風選機能を良好に確保することができる。
【0016】
しかも、飛散された泥土等が唐箕の中に侵入するのを防止することができて、同唐箕の風選機能を良好に確保することができると共に、同唐箕のメンテナンスの頻度を大幅に低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、本発明に係る実施の一形態であるコンバインAの左側面図であり、図2の(a)は、図1に示したコンバインA内の要部構成を示す模式的背面図であり、(b)は、図1に示したコンバインA内の要部構成を示す模式的側面図であり、また、図3は、図2に示した唐箕部分の背面図である。なお、本発明は本実施の形態に係るコンバインAに限定されず、選別部内に唐箕を備えるコンバイン(自脱型・汎用型)に広く適用可能である。
【0018】
すなわち、コンバインAは、機体フレーム1の下方に左右一対のクローラ式の走行部2,2を設け、機体フレーム1の前端部に刈取部3を取り付け、機体フレーム1上の左側後部に脱穀部4を配設すると共に、同脱穀部4の下方に選別部5を配設する一方、後方に排藁処理部6を配設し、機体フレーム1上の右側前部に運転部7を配設すると共に、同運転部7の後方に穀粒貯留部8を配設している。
【0019】
刈取部3は、図1に示すように、機体フレーム1の左側前端部に立設した左右一対の支柱10,10の上端部間に、刈取フレーム11の基端部を枢支して、同刈取フレーム11を上下方向に回動させて昇降自在となしている。
【0020】
そして、刈取フレーム11には、穀稈を複数条(本実施の形態では四条)に分草する分草体12と、同分草体12により分草された四条の穀稈を引き起こす穀稈引起し装置13と、同穀稈引起し装置13により引き起こされた四条の穀稈の株元部を掻き込む株元部掻込み装置14と、同掻込み装置14により掻き込まれた穀稈の株元部を刈り取る刈刃装置15と、同刈刃装置15により刈り取られた四条の穀稈の下部を脱穀部4側へ搬送する下部搬送装置16と、同穀稈の上部を脱穀部4側へ搬送する上部搬送装置17と、同穀稈の穂先部を脱穀部4側へ搬送する穂先部搬送装置18と、上・下部搬送装置17,16から後述するフィードチェン22に穀稈を受け渡す際の補助をする補助搬送装置19とを設けている。
【0021】
脱穀部4は、図1に示すように、扱室20内に扱胴21を前後方向の軸線廻りに回動自在に配置して、同脱穀部4の左側方に配設したフィードチェン22により、上記扱室20内に穀稈の穂先部を挿入した状態にて、同穀稈を前方から後方へ移送させながら、穂先部を扱胴21により脱穀するようにしている。
【0022】
選別部5は、前記扱胴21の下方に揺動選別体23を配設し、同揺動選別体23の前部下方に唐箕24を配設し、同唐箕24の後方位置に一番コンベア25と二番コンベア26を配設しており、前記脱穀部4において脱穀された穀粒を、揺動選別体23により揺動選別すると共に、唐箕24により風選別して、一番穀粒を一番コンベア25により回収して前記穀粒貯留部8に貯留すると共に、二番穀粒を二番コンベア26により回収して前記脱穀部4に戻すようにしている。
【0023】
排藁処理部6には排藁搬送機構27と排藁カッター27aとを設けて、脱穀部4にて脱穀処理された排藁を排藁搬送機構27で後方へ搬送すると共に、排藁カッター27aにより排藁を短寸に切断し、外部へ排出するようにしている。そして、揺動選別体23の後上方には排塵ファン28を配設しており、揺動選別作業により不要となった塵・藁屑等を同排塵ファン28により吸込み、外部へ排出するようにしている。
【0024】
次に、唐箕24における選別風量の調整機構について説明する。
【0025】
まず、コンバインAによる収穫作業においては、刈取作業と脱穀・選別作業とを同時に行うため、収穫作業時のコンバインの走行速度に比例して、単位時間当たりの収穫面積(刈取速度)が増加する。そのため、脱穀・選別作業の処理速度(すなわち選別部5での処理能力)も増加させる必要がある。すなわち、脱穀部4に投入される穀稈量が増加すれば、揺動選別体23に設けたチャフシーブ23a(図1参照)の開度を大きくしてチャフシーブ23aの下方へ落下する被処理物の量を多くすると共に、選別風を送風する唐箕24による選別風量を増大させ、風選別の能力を上げる操作を行う必要がある。
【0026】
ここで、チャフシーブ23aの開度と唐箕24の選別風量については、排藁搬送機構27により搬送される穀稈量に応じてチャフシーブ23aの開度と唐箕24の選別風量を調整すべく、図2(a)に示すように、排藁搬送機構27の下側に、排藁を挟持するために排藁搬送機構27との間の距離を拡縮可能に配置した搬送ガイド体(挟扼杆)29の移動量を取り出し、チャフシーブ23aの開度を調整する調整レバー(図示せず)を、図2(a)に示すチャフシーブ用ワイヤ30を介して作動させて調整すると共に、唐箕24の選別風量を調整する後述の唐箕シャッタ41,41,42,42を、図2(a)に示す唐箕シャッタ用ワイヤ31を介して作動させて調整する調整機構52を設けている。なお、図2(a)のワイヤ31と図2(b)のワイヤ31は、途中が一点鎖線で示されていると共に省略されているがつながっているものである。
【0027】
すなわち、調整機構52は、図2(a)に示すように、排藁処理部6に設けたロッド支持体53に、上下方向に伸延する摺動ロッド54を上下摺動自在に取り付け、同摺動ロッド54の上端を前記搬送ガイド体(挟扼杆)29の中途部に連結する一方、同摺動ロッド54の下端に押圧ローラ55を転動自在に取り付け、同押圧ローラ55の下方に受動アーム56を配置すると共に、前後方向に軸線を向けて支持板体60に取り付けた枢軸57に、ボス部58を介して上記受動アーム56の基端を取り付け、同ボス部58にワイヤ作用アーム59の基端を取り付けて、同ワイヤ作用アーム59に前記チャフシーブ用ワイヤ30と唐箕シャッタ用ワイヤ31の各基端を連結している。61,62はワイヤ受体、63はストッパー体、64は、摺動ロッド54を上方へ復元させるべく弾性付勢する復元用押圧スプリングである。
【0028】
このようにして、排藁の量が多い場合には、搬送ガイド体(挟扼杆)29が下方へ押圧されて、排藁搬送機構27との間の距離が拡張されることより、摺動ロッド54が下方へ摺動移動し、押圧ローラ55を介して受動アーム56を下方へ押圧して、同受動アーム56を枢軸57を中心に時計回りに回動させる。
【0029】
そうすると、ボス部58を介して受動アーム56に連動連設したワイヤ作用アーム59も枢軸57を中心に時計回りに回動されて、同ワイヤ作用アーム59に連結しているチャフシーブ用ワイヤ30と唐箕シャッタ用ワイヤ31を引張して、チャフシーブ23aの開度を増大させると共に、唐箕24の選別風量を増大させるべく適度に調整する。
【0030】
また、排藁の量が少ない場合には、搬送ガイド体(挟扼杆)29が復元用押圧スプリング64により摺動ロッド54を介して上方へ復元されて、排藁搬送機構27との間の距離が縮少されることより、受動アーム56は枢軸57を中心に反時計回りに回動される。
【0031】
そうすると、ボス部58を介して受動アーム56に連動連設したワイヤ作用アーム59も枢軸57を中心に反時計回りに回動されて、同ワイヤ作用アーム59に連結しているチャフシーブ用ワイヤ30と唐箕シャッタ用ワイヤ31を押して、チャフシーブ23aの開度を減少させると共に、唐箕24の選別風量を減少させるべく適度に調整する。
【0032】
次に、唐箕24における選別風量の調整構造について、より具体的に説明する。
【0033】
唐箕24は、図2、図3に示すように、ファンケース32の左右側部に設けた左右一対の唐箕枢支体33,33間に、軸支片34,34を介して左右方向に軸線を向けた唐箕支軸35をその軸線廻りに回動自在に横架し、同唐箕支軸35の周囲に複数(本実施の形態では4枚)のファン36を円周方向に等間隔を開けて取り付けている。
【0034】
そして、唐箕支軸35の右側端部に入力プーリ37を取り付けて、同入力プーリ37に原動機部(図示せず)から伝達される回動力を取り入れて、唐箕24を図2(b)に示す側面図において、反時計回りに回転させて揺動選別体23の下方に選別風を送風するようにしている。38は、唐箕支軸35の左側端部に取り付けた出力プーリであり、同出力プーリ38より前記した一番コンベア25と二番コンベア26、さらには、排藁処理部6に動力を伝達するようにしている。
【0035】
また、唐箕24の左右側部には吸気口部40,40を形成し、各吸気口部40,40の近傍に上下方向にスライド移動する左右一対の上部唐箕シャッタ41,41と、左右一対の下部唐箕シャッタ42,42を設けて、これら唐箕シャッタ41,41,42,42のスライド移動により吸気口部40,40を開閉して唐箕24の選別風量を調節可能となしている。
【0036】
すなわち、左右一対の上部唐箕シャッタ41,41は、前後方向に伸延する薄肉板状体の側面を吸気口部40,40の上部に沿わせて配置すると共に、上端縁部に上方へ膨出状の被規制片41a,41aを形成する一方、下端縁中央部に唐箕支軸35との干渉を回避するための干渉回避用凹部41b,41bを形成し、さらに、前端部に枢支部41c,41cを形成して、同枢支部41c,41cを左右方向に伸延させて形成した枢軸43により唐箕枢支体33,33の前側上部に一体的に枢支している。
【0037】
そして、左側の枢支部41cより下方へ向けてワイヤ連結片41dを延設し、同ワイヤ連結片41dに唐箕シャッタ用ワイヤ31の先端部を連結している。
【0038】
また、左右一対の下部唐箕シャッタ42,42は、前後方向に伸延する薄肉板状体の側面を吸気口部40,40の下部に沿わせて配置すると共に、下端縁部に下方へ膨出状の被規制片42a,42aを形成する一方、上端縁中央部に唐箕支軸35との干渉を回避するための干渉回避用凹部42b,42bを形成し、さらに、後端部に枢支部42c,42cを形成して、同枢支部42c,42cを左右方向に伸延させて形成した枢軸44により唐箕枢支体33,33の後側下部に一体的に枢支している。
【0039】
そして、左右側の枢支部42c,42cより後上方へ向けて回動作用片42d,42dを延設し、右側の回動作用片42dと右側の上部唐箕シャッタ41の前部とを、側面視く字状に湾曲させて形成した連動連結片45により連動連結する一方、左側の回動作用片42dとその後方に配置したスプリング連結体46との間に引張スプリング47を介設している。
【0040】
このようにして、脱穀部4に投入される穀稈量が増加すると、前記唐箕シャッタ用ワイヤ31が左側のワイヤ連結片41dを介して左側の上部唐箕シャッタ41を、図2(b)に示す側面視において、左側の枢支部41cを中心に反時計回りに回動(スライド移動)させると共に、枢軸43を介して一体的に取り付けた右側の上部唐箕シャッタ41も、右側の枢支部41cを中心に反時計回りに回動(スライド移動)させて、左右側の吸気口部40,40の上部の開口度を増大させるようにしている。
【0041】
この際、右側の上部唐箕シャッタ41は、右側の下部唐箕シャッタ42と連動連結片45により連動連結して、右側の下部唐箕シャッタ42が右側の上部唐箕シャッタ41と一体的に反時計回りに回動(スライド移動)すると共に、枢軸44を介して一体的に取り付けた左側の下部唐箕シャッタ42も、左側の枢支部42cを中心に反時計回りに回動(スライド移動)させて、左右側の吸気口部40,40の開口度を増大させるようにしている。
【0042】
また、脱穀部4に投入される穀稈量が減少すると、左側の下部唐箕シャッタ42が引張スプリング47の引張弾性付勢力により時計回りに回動(スライド移動)されると共に、右側の下部唐箕シャッタ42も枢軸44を介して一体的に時計回りに回動(スライド移動)される。
【0043】
しかも、右側の下部唐箕シャッタ42は、右側の上部唐箕シャッタ41と連動連結片45により連動連結して、右側の上部唐箕シャッタ41が右側の下部唐箕シャッタ42と一体的に時計回りに回動されると共に、枢軸43を介して一体的に取り付けた左側の上部唐箕シャッタ42も、左側の枢支部41cを中心に時計回りに回動(スライド移動)されて、左右側の吸気口部40,40の開口度を減少させるようにしている。
【0044】
また、左右一対の上部唐箕シャッタ41,41の上方近傍には上部規制体48,48を設ける一方、左右一対の下部唐箕シャッタ42,42の下方近傍には下部規制体49,49を設けており、各規制体48,48,49,49は、唐箕シャッタ41,41,42,42の回動位置(スライド位置)にかかわらず吸気口部40,40と直交する方向、本実施の形態では左右方向への唐箕シャッタ41,41,42,42の移動を規制するようにしている。
【0045】
すなわち、上・下部規制体48,48,49,49は、前後方向に伸延する規制体本体48a,48a,49a,49aを、吸気口部40,40の上方近傍と下方近傍にそれぞれ配置し、各規制体本体48a,48a,49a,49aに上下方向に開口する規制用長孔50,50,51,51を形成して、各規制用長孔50,50,51,51に各唐箕シャッタ41,41,42,42の被規制片41a,41a,42a,42aをスライド自在に嵌入させて、各唐箕シャッタ41,41,42,42の、吸気口部40,40と直交する方向(左右方向)の移動を唐箕シャッタ41,41,42,42の回動位置(スライド位置)にかかわらず規制することができるようにしている。
【0046】
しかも、各規制体本体48a,48a,49a,49aの上面は、外側下方へ向けて下り傾斜状に形成している。
【0047】
このようにして、左右一対の上部規制体48,48の各規制体本体48a,48aの上面を、外側下方へ向けて下り傾斜状に形成しているため、上方から降下してくる塵や埃を各規制体本体48a,48aの上面に沿わせて外側下方へ滑動させることができ、規制体本体48a,48aの上面に塵や埃がたまりにくくすることができ、塵や埃が唐箕に吸引され難いようにすることができる。その結果、唐箕による風選効率を良好に確保することができる。
【0048】
また、左右一対の下部規制体49,49の各規制体本体49a,49aの上面を外側下方へ向けて下り傾斜状に形成しているため、クローラ式の走行部2,2により下方から飛散される泥土等が唐箕シャッタ41,41,42,42に衝突して、同唐箕シャッタ41,41,42,42が破損・変形されるという不具合の発生を防止することができるし、下方から飛散される泥土等が入力プーリ37や出力プーリ38に付着してベルトが滑ったり、ベルトが損傷したり、プーリが錆びついたりすることを防止でき、さらに規制体本体の上面に塵や埃がたまりにくくなる。その結果、唐箕24による風選効率を良好に確保することができる。
【0049】
しかも、飛散された泥土等が唐箕24の中に侵入するのを防止することができて、同唐箕24の風選機能を良好に確保することができると共に、同唐箕24のメンテナンスの頻度を大幅に低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係るコンバインの側面図。
【図2】(a)は同要部の背面説明図、(b)は同要部の側面説明図。
【図3】唐箕の断面背面説明図。
【符号の説明】
【0051】
A コンバイン
1 機体フレーム
2 走行部
3 刈取部
4 穀部
5選別部
6 排藁処理部
7 運転部
8 穀粒貯留部
24 唐箕
40 吸気口部
41 上部唐箕シャッタ
41a 被規制片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
選別風を送風する唐箕の側部に吸気口部を形成し、同吸気口部の近傍にスライド移動する唐箕シャッタを設けて、同唐箕シャッタのスライド移動により吸気口部を開閉して唐箕の選別風量を調節可能となしたコンバインにおいて、
唐箕シャッタは、一側端部を枢支する枢支部を中心にスライド移動可能となし、同唐箕シャッタの近傍に規制体を設けると共に、同規制体は、唐箕シャッタのスライド位置にかかわらず吸気口部と直交する方向の唐箕シャッタの移動を規制するようにしたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
規制体は、前後方向に伸延する規制体本体を、少なくとも吸気口部の上方近傍ないしは下方近傍に配置し、同規制体本体に上下方向に開口する規制用長孔を形成して、同規制用長孔に唐箕シャッタの一部がスライド自在に嵌入して、吸気口部と直交する方向の唐箕シャッタの移動を規制するようにすると共に、同規制体本体の上面は、外側下方へ向けて下り傾斜状に形成したことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−181428(P2007−181428A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−1830(P2006−1830)
【出願日】平成18年1月6日(2006.1.6)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】