説明

コンバイン

【課題】夜間時における清掃やメンテナンスなどの作業の際にも容易にメンテナンスが行え、安全性が確保されるコンバインの提供である。
【解決手段】穀稈を脱穀する脱穀装置10と、該脱穀装置10に隣接し、該脱穀装置10により脱穀選別された穀粒を一時貯溜するグレンタンク13を設けたコンバインにおいて、脱穀装置10のグレンタンク13側の側面又はグレンタンク13の脱穀装置10側の側面に照明部50を設ける。また、穀稈を脱穀する脱穀装置10と、該脱穀装置10内に穀桿から穀粒を分離処理する扱胴69を軸架した扱室66と、該扱室66上面にカバー66aを設けたコンバインにおいて、カバー66aの扱胴69側の面に照明部50を設けても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
脱穀装置とグレンタンクを設けたコンバイン、また脱穀装置内の扱室上面に扱室カバーが取り付けられているコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインは、穀稈を刈取装置により刈り取って搬送し、フィードチェーンから脱穀装置に供給して、脱穀、選別し、脱穀選別された穀粒をグレンタンクに一時貯溜した後、グレンタンク内の穀粒をコンバインの外部に排出する構成である。したがって、コンバイン内には搬送、脱穀する際の藁屑や塵埃等が溜まったり、またこのように溜まった藁屑などが原因となり電気系統に不具合が生じることもある。そのため、溜まった藁屑などを取り除くためにコンバイン内を清掃したり、またメンテナンスが必要となる場合もある。
【0003】
上記問題に鑑みて、グレンタンク下部にバッテリーを配置するコンバインにおいて、バッテリーの上面を覆うカバーパネルをグレンタンク底部に一体に取り付けたバッテリーカバーを設けたコンバインが提案されている。また、脱穀装置内の扱室に内設された扱胴では、脱穀の際に多くの藁屑や塵埃等が発生することや、回転する扱胴に触れないよう脱穀の際の安全性を考慮して、さらに扱室内の被処理物が飛び出さないようにするために、扱室上面には扱室カバーが取り付けられているコンバインが提案されている。
【特許文献1】特開平10−276534号公報
【特許文献2】特開2001−95358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の構成では、一体に取り付けられたカバーパネルがバッテリーの上側面に接近した位置にあるので藁屑や塵埃等がバッテリーの上面に降りかかることが少なく、またメンテナンス時には、カバーパネルがグレンタンク底部に一体に取り付けられているため、グレンタンクを移動させると、バッテリーの上側面が開放されるのでバッテリーのメンテナンスが容易にできる。また、上記特許文献2に記載の構成では、エンジン停止機構に連動して扱室カバーが開放されることから、該扱室カバーとフィードチェーンの間に十分な間隔が得られるため、作業者がメンテナンスなどの手扱作業をする際に、完全に停止していないフィードチェーンに触れることなく安全に作業ができる。
しかし、上記特許文献等のコンバインは、昼間時に清掃やメンテナンスなどの作業をすることが想定されており、昼間時にこれらの作業をする際には、メンテナンス性や安全性が確保されるが、夜間時における作業については考慮されていない。
本発明の課題は、夜間時における清掃やメンテナンスなどの作業の際にも容易にメンテナンスが行え、安全性が確保されるコンバインの提供である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は次の解決手段により解決できる。
請求項1記載の発明は、穀稈を脱穀する脱穀装置(10)と、該脱穀装置(10)に隣接し、該脱穀装置(10)により脱穀選別された穀粒を一時貯溜するグレンタンク(13)とを設けたコンバインにおいて、脱穀装置(10)のグレンタンク(13)側の側面又はグレンタンク(13)の脱穀装置(10)側の側面に照明部(50)を設けたコンバインである。
請求項1記載の発明によれば、グレンタンク(13)を側方側へ回動させて照明部(50)を点灯すると、脱穀装置(10)やグレンタンク(13)が照らされる。
【0006】
請求項2記載の発明は、穀稈を脱穀する脱穀装置(10)と、該脱穀装置(10)内に穀桿から穀粒を分離処理する扱胴(69)を軸架した扱室(66)と、該扱室(66)上面にカバー(66a)とを設けたコンバインにおいて、カバー(66a)の扱胴(69)側の面に照明部(50)を設けたコンバインである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、夜間時において照明部(50)でグレンタンク(13)と脱穀装置(10)の間の室間部が明るくなるので、グレンタンク(13)や脱穀装置(10)内の清掃、メンテナンスなどの作業性が向上し、これらの作業が容易で安全に行える。
【0008】
また、請求項2記載の発明によれば、夜間時における脱穀装置(10)内の清掃、メンテナンスなどの作業性が向上し、これらの作業が容易で安全に行える。また、必要に応じて扱室(66)のカバー(66a)を閉めた状態でも照明(50)を入りにすることで、フィードチェーン(14)や穀稈チェーンで搬送される藁の流れが光の漏れにより外部から確認できる(図3参照)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
図1は本実施例のコンバインの右側面図であり、図2は図1のコンバインの平面図である。また、図3は図1コンバインの脱穀装置とグレンタンク部分の正面断面図を示す。なお、本明細書では、左側及び右側とはコンバインが前進する方向に向いたときの方向を言う。
【0010】
図1および図2に示すように、コンバインの車体2の下部側に土壌面を走行する左右一対の走行装置(以下、走行クローラと称す。)3を有する走行装置本体4を配設し、車体2の前端側に分草杆8を備えた刈取装置9が設けられている。刈取装置9は車体2の上方の支点を中心にして上下動する刈取装置支持フレーム(図示せず)で支持されているので、コンバインに搭乗したオペレータが運転台25の操縦席20の操向レバー28を前後に傾倒操作することにより、刈取装置支持フレームと共に上下に昇降する構成である。
【0011】
車体2の上方には、刈取装置9から搬送されてくる穀稈をフィードチェーン14により引き継いで搬送して脱穀、選別する脱穀装置10と該脱穀装置10で脱穀選別された穀粒を一時貯溜するグレンタンク13が載置され、グレンタンク13の後部に縦オーガ16、横オーガ17からなるオーガ15を連接して、グレンタンク13内の穀粒をグレンタンク下部の螺旋13aにより搬送して、横オーガ17の穀粒排出口17cからコンバインの外部に排出する構成としている。
【0012】
すなわち、コンバインはオペレータが操縦席20においてHST主変速レバー22(図12)および副変速レバー23(図12)を操作し、エンジン64(エンジンルームという場合もある)の動力を図示しない走行トランスミッションケース内の主変速機を介して変速し、左右の走行クローラ3、3に伝動して任意の速度で走行する。
【0013】
また、コンバインは、オペレータが操縦席20において操向レバー28を左右に傾倒操作することにより各種旋回走行することができる。すなわち、操向レバー28をコンバインを旋回させようとする方向に傾倒操作することにより、左右の走行クローラ3、3に速度差が与えられて走行方向の変更が行われる構成としている。
【0014】
図4には、本実施例のキャビン付のコンバインのグレンタンク13を回動させた場合のグレンタンク13と脱穀装置10の部分を示した斜視図を示す。
コンバインのグレンタンク13部分は、図2の回動支点Aを中心に矢印B方向に回動可能であり、メンテナンス時には、グレンタンク13を矢印B方向に回動させてグレンタンク13又は脱穀装置10内の清掃、メンテナンス等を行う。図4に示すように、本実施例によるコンバインは、脱穀装置10のグレンタンク13側の側面に照明器具50を構成する。照明器具50は、グレンタンク13の脱穀装置10側の側面に構成しても良い。
【0015】
照明器具50の電源の入切は、グレンタンク13の開閉と連動させれば、わざわざ照明器具50の電源の入り切りを行わなくても、すぐにグレンタンク13又は脱穀装置10内の清掃やメンテナンス等の作業ができ、また電源の入り切りという煩雑な作業をしなくても済むので便利である。すなわち、グレンタンク13を矢印B方向に回動させて開けると電源が入りとなって照明器具50が点灯し、反対に グレンタンク13を閉めると電源が切りとなって照明器具50が消灯するようにすればよい。
【0016】
従来は、グレンタンク13付近に照明器具50がなかったため、夜間など暗闇での清掃やメンテナンス等の作業は、困難で危険であった。
【0017】
しかし、本構成を採用することにより、夜間でのグレンタンク13又は脱穀装置10内の清掃、メンテナンス等の作業が容易で安全となるので、グレンタンク13又は脱穀装置10のメンテナンス性の向上、作業性に優れる。
【0018】
また、図1に示すように、コンバインのエンジンルーム64の上部に照明器具50を構成しても良い。
照明器具50の電源の入り切りは、エンジンカバー65の開閉に連動させれば、わざわざ照明器具50の電源の入り切りを行わなくても、すぐにエンジンルーム内の清掃やメンテナンス等の作業ができ、また電源の入り切りという煩雑な作業をしなくても済むので便利である。すなわち、エンジンカバー65を開けると電源が入りとなって照明器具50が点灯し、反対に エンジンカバー65を閉めると電源が切りとなって照明器具50が消灯するようにすればよい。
【0019】
従来は、エンジン64付近には照明器具50がなかったため、夜間など暗闇でのエンジンルーム内の清掃やメンテナンス等の作業が困難で危険であった。
【0020】
しかし、本構成を採用することにより、夜間でのエンジンルーム内の作業が容易で安全となるので、エンジンルーム内のメンテナンス性の向上、作業性に優れる。
【0021】
また、図3に示すように、脱穀装置内10の扱室66に内設された扱胴69では、脱穀の際に多くの藁屑や塵埃等が発生することや、回転する扱胴69に触れないよう脱穀の際の安全性を考慮して、扱室66上面には扱室カバー66aが取り付けられている。この扱室カバー66aの内側(扱胴69側)に、照明器具50を構成しても良い。
【0022】
照明器具50の電源の入り切りは、扱室カバー66aの開閉に連動させれば、わざわざ照明器具50の電源の入り切りを行わなくても、脱穀装置10の扱室66内の清掃やメンテナンス等の作業ができ、また電源の入り切りという煩雑な作業をしなくても済むので便利である。すなわち、扱室カバー66aを開けると電源が入りとなって照明器具50が点灯し、反対に、扱室カバー66aを閉めると電源が切りとなって照明器具50が消灯するようにすればよい。
【0023】
従来は、脱穀装置10内部には照明器具50がなかったため、夜間など暗闇での脱穀装置10内部の清掃やメンテナンス等の作業が困難で危険であった。
【0024】
しかし、本構成を採用することにより、夜間での脱穀装置10内の作業が容易で安全となるので、脱穀装置10内のメンテナンス性の向上、作業性に優れる。
また、必要に応じて脱穀装置10の扱室カバー66aを閉めた時でも照明器具50の電源を入りにし、藁屑の流れ等を確認できる。
【0025】
図5には本発明の他の実施例によるコンバインの右前方から見た斜視図を示す。
図5に示すように、コンバインの引き起こし装置56の引き起しケース58の上部に作業用の照明器具50を設けている。照明器具50は、引き起しケース58の上部であればどの様に設けても良いが、図5に示す例では、照明器具50のレンズ部50aがコンバインの取付状態の前面(正面)下方になるように設けている。更にその照明器具50(引き起しケース58の上部)はレンズ部50aの後方を逆U字型にすれば、稲の搬送の邪魔にならない形状となる。
【0026】
この照明器具50(引き起しケース58の上部)は、左右引き起しケース58を補強するフレームとしても機能する。照明器具50の作業ライトケース50bに強度を持たせて引き起しケース58の補強を可能にするため、通常の作業ライトケースよりは肉厚を厚くした樹脂または鉄系の素材を用いても良い。
【0027】
また、この照明器具50で左右の引き起しケース58の上部を繋ぐことで、引き起こし装置56の剛性が増す。
【0028】
本構成を採用することにより、コンバインを操作するオペレータの視界の邪魔にならない位置で、刈取装置9の前方全面を明るく照らすことができる。また、見た目にも良く、デザイン性に優れる。
【0029】
なお、図5には2条刈り用のコンバインを示しているが、2条刈り用のコンバイン以外の、例えば3条や4条刈り用等の、各引き起しケース58の上部が接続されていない、引き起しケース58の上部が開放型のコンバインに応用できる。
【0030】
刈取装置9の上部が前述のように開放型の場合、引き起しケース58は下から駆動力が伝達される伝動フレームであり、上部伝動系ではないため、刈取装置9の上部に補強パイプを設ける必要がある。しかし、本構成によれば、照明器具50が左右引き起しケース58を補強するフレームとして機能するので、刈取装置9の上部は強度を有し剛性を確保できるため補強パイプを設ける必要がない。
【0031】
図6には、本発明の他の実施例によるコンバインの操縦席20のメータパネル部分の斜視図を示し、図7には図6のコンバインの操縦席20部分の右側面図を示す。
本実施例では、コンバインを操縦するオペレータの体型及びオペレータが座り作業、立ち作業、そして乗降する際のスペースを確保して、操縦操作の作業性を大幅に向上可能なメータパネル36を設置している。
【0032】
図6及び図7に示すように、運転台25の操縦席20に座ったオペレータの前方にメータパネル36を設け、該メータパネル36が前後に回動して移動するように支点Cを設けている。
【0033】
そしてメータパネル36が前方・後方及び必要に応じて途中で止まるようにロック装置を設けている。ロック装置は例えば一般的なラチェット方式ロック装置で良く、ロック解除レバー51を操作することでワンタッチで解除でき、自動でロック状態にできるような構成にすれば、簡単にロック解除やロック状態にすることができるので便利である。
【0034】
本構成を採用することにより、コンバインの前方にある刈取装置9や、稲株元などの視界性が向上し、刈り取り作業などの作業性に優れる。そして、オペレータの体型に合ったメータ位置にすることができるため、どのような体型のオペレータが作業する場合でも、コンバインの前方の視界を確保できる。また、作業の種類に応じて、例えば立ち作業や座り作業などのオペレータの動作に合ったメータ位置にすることができ、どのような作業状態においてもコンバインの前方の視界が確保できる。更にオペレータがコンバインに乗降する際、メータパネル36を前方に移動させて操縦スペースを確保できるので、スムーズな乗降が可能となる。
【0035】
図8には、本発明の他の実施例によるコンバインの横オーガ17の縦側断面図を示し、図9には、本発明の他の実施例によるコンバインのオーガ15の排出口17c付近の斜視図を示す。
本実施例によるコンバインは、横オーガ17が筒状の固定オーガ17aと、該固定オーガ17aに伸縮自在に取付けた筒状の移動オーガ17bとにより分割形成する構成である。前記固定オーガ17aの基部と縦オーガ16との接続部分は公知であり、横排出オーガ17が上下動自在および縦オーガ16の軸心を中心に旋回するように構成する。固定オーガ17aには固定オーガ螺旋7を設けている。固定オーガ螺旋17は、固定オーガ17aに設けた中間側軸受部11に軸装している。
【0036】
前記移動オーガ17bを移動させるための構成は任意であり、一例を示すと、固定オーガ17aの外周部分には外側軸受部材12を設け、外側軸受部材12には伸縮作動軸部材6の先端を軸装し、伸縮作動軸部材6には移動オーガ17bの任意部分に設けた伸縮用受部材18を螺合させ、前記伸縮作動軸部材6の基部側は前記固定オーガ17aの外周に設けたモータ等により構成する駆動部材5に接続し、駆動部材5により伸縮作動軸部材6を回転させて伸縮用受部材18を長さ方向(図8の矢印D方向)に往復移動させて移動オーガ17bを固定オーガ17aに対して伸縮させる。
【0037】
そして、前記移動オーガ17bには伸縮螺旋19を設けており、該伸縮螺旋19が回動することにより穀粒を搬送する。前記横オーガ17は、その先端に軸心方向に対する円周方向(図9の矢印E方向)に所定範囲の角度以内で左右回動するオーガ穀粒排出口17cを有するオーガ先端排出部21を回動自在に設けている。
【0038】
オーガ先端排出部21は、横オーガ17と同心状の筒部材を、横オーガ17の先端に左右回動のみ自在に取付け、この横オーガ17の軸心に対して交差する方向の排出口17cを有する。オーガ先端排出部21全体が横オーガ17に対して回動する。
【0039】
穀粒排出作業停止中にオーガ先端排出部21は例えば横オーガ17に対して真上の位置まで回動可能であり、所定角度以上オーガ先端排出部21を左右回動させると、機体移動中にオーガ穀粒排出口17cから穀粒が漏れるのを防止でき、また穀粒排出方向を変更できる。
【0040】
そして図9に示すように、横オーガ17の先端排出部21の前方・左右方向の合計3カ所に照明器具50を構成している。上記オーガ15の伸縮・左右回動機構を利用することでコンバインの周囲の全方向の範囲を照らすことが可能となる。
【0041】
従来は、コンバインの全周囲を照射することは、不可能であった。
【0042】
しかし、本構成を採用することにより、オーガ15の旋回や、伸縮、左右回動等をさせることでコンバインの全周囲が照射可能となるため、コンバインの内部の作業以外の、すなわちその他のコンバインの周辺作業も可能になる。したがってオーガ15の穀粒排出作業のみならず、コンバインの全周囲が照らされるため、収穫作業全体においても照明器具50が利用でき、収穫作業全体のスムーズ化、効率化が図れる。
【0043】
図10には、本発明の他の実施例によるコンバインの右前方から見た場合の前方部分の斜視図を示す。
図10に示すように、キャビン型のコンバインの場合は、コンバインのルーフの側方に照明器具50を多目的灯として設けても良い。
【0044】
照明器具50の取り付け位置は、右側方でも左側方でも良いが、ドア29のある右側方に取り付けて、照明器具50の電源をドア29の開閉に連動させれば、コンバインの乗降の際に便利である。例えばドア29を開けると電源が入って照明器具50が点灯し、ドア29を閉めると照明器具50が消灯するようにすればよい。また、コンバインに乗る前に、リモコンを使用して照明器具50を点灯させても良いし、作業時には照明器具50の電源を手動にしても良い。
【0045】
従来は、夜間の乗降時は、暗く危険であり、また作業時には、コンバインの側方の状態の視認が困難であった。
【0046】
しかし、本構成を採用することにより、夜間の乗降時でも、安全に乗降でき、また、見た目にも良く、デザイン性に優れる。そして夜間の作業時においても、コンバインの側方の状態が容易に視認可能である。
【0047】
図11には、本発明の他の実施例によるコンバインの前方部分の右側面図を示す。
キャビン型のコンバインのガラスドア29を丸くしてルーフまで延長しても良い。伸縮するオーガ15を備えたコンバインの最大の長所は、籾の排出時に、トラックの荷台とオーガ穀粒排出口17cとの位置合わせが、コンバインの機体を前後進させることなくオーガ15を伸縮させることで調整できることである。そのため、伸縮するオーガ15を備えたコンバインはトラックに対して後付しなくても、オーガ15を旋回させて回り刈りの流れに合わせてトラックを横付けすることで効率よく排出作業ができる。
【0048】
本構成を採用することにより、コンバインの右側方の視界性に優れるため、上記横付け可能であるという長所を更に生かすことができる。また、ルーフ部分の構成が簡素化されるため、経済的にも低コストで良い。そしてコンバインの側面上方の、例えば農道が田圃に対して高い位置にある場合は視界を確保できるため、安全である。
【0049】
図12には、本発明の他の実施例によるコンバインの運転台25の上方から見た斜視図を示す。
運転台25はフロント側の壁面パネル32と左サイド壁面パネル33を備え、運転台25の右側面はオペレータの乗降用の空間が設けられている。前記フロント側の壁面パネル32の右寄り部分にはパワステレバーと略称される操向レバー28、その後方に近接する位置に、操向レバー28を操作する時に操作腕や操作手を置くための受台(ハンドレスト)30と該受台30を支持し、かつオペレータが乗降する時の支えバーとなるアーム35が機体に設けられている。また受台30の左側には走行速度、グレンタンク内の穀粒の貯留量などを表示するフロントメータパネル36が設けられ、またメータパネル36の後方には刈取装置9や走行用の機器を操縦したり、自動制御関係の操作パネル37が設けられている。これら受台30、アーム35、メータパネル36及び操作パネル37は一体成形した合成樹脂から得られる。
【0050】
また、操作パネル37の右側の左サイド側壁面パネル33には、主変速レバー22、旋回モード切換レバー23、刈取・脱穀レバー24、作業部分の回転数を調節するスロットルレバー26、副変速レバー27、及び、これらのレバーを前後左右に操作するためのレバーガイドを備えたガイド板52が設けられている。
【0051】
さらに、前記操縦席20の後方には作業機切換レバー38やオーガコントロールレバー34、オーガ15の伸縮・左右回動レバー31などを搭載したオーガ操作パネル40の設置部42が設けられている。
【0052】
そして、図12に示すように、コンバインのオーガ15の操作パネル部40に、オーガ15の操作状態が確認できる様に、情報液晶モニター39が設けられている。
従来は、オーガ15の旋回方向や位置、左右回動状態等が操作パネル部40のレバー類の操作位置状態を見るだけでは確認しにくかった。特にオーガ15の排出口17cが遠方に位置する場合は、操縦席20から確認しにくい。
【0053】
しかし、本構成を採用することにより、オーガ15の排出口17cが遠方に位置する場合でも、レバー類の操作とオーガ15の旋回方向や位置、左右回動状態等が確認し易くなり、更にオーガ15の旋回方向や位置等の微調整も可能となる。
【0054】
図13には、本発明の他の実施例によるコンバインの横オーガ17の排出口17cの斜視図を示す。図13(a)には、横オーガ17の両側方への一対の開閉型シャッタ41(41a,41a)が閉じている状態を表し、図13(b)には、シャッタ41が開いている状態を表す。
【0055】
横オーガ17の排出口17cにモータ43を設け、シャッタ41(41a,41a)を開閉可能にすることにより、コンバインの移動時にはシャッタ41を閉めて排出口17cから籾がこぼれる、いわゆる籾こぼれをなくす構成である。シャッタ41は、図13(c)の横オーガ排出口17cの正面図に示すように、モータ43に直結するモータギア43aとシャッタ41a,41aの開閉アームとしての機能を兼ねる照明器具50a,50aの一端に直結したアームギア50b、50bがギア43b、43b,43cを介して連動する構成であるので、モータ43を矢印Hに回動させることで、シャッタ41を開くことができる。
【0056】
図13(a)に示すように、シャッタが閉じている場合は照明器具50を排出口17c下に設置して排出口17c下方を照らすようにして、図13(b)に示すように、シャッタを開けた場合はシャッタ41の外部に半円状に照明器具50を並べれば、オーガ15の排出口17c全体を照らすことができ、穀粒の排出作業を行い易くなる。また、照明器具50をプラチックカバーにより覆うことで、障害物と干渉しても照明器具50の損傷を防ぐことができる。
そして、本構成を採用することにより、横オーガ17の排出口17cからフレキシブルコンテナ等に籾を移して籾を運搬する際に、シャッタ41が閉じている状態で籾袋の口を広げてから、シャッタ41を開ければ、籾こぼれをなくすことができる。また、照明器具50は夜間時における刈り取り等の作業の作業灯として使用することが可能である。
【0057】
図14(a)は、本発明の他の実施例によるコンバインの右前方から見た場合の前方部分の斜視図を示す。図14(b)は、燃料タンク45を二本のステップフレーム48に載置して係止する部分の拡大図である。図14(b)に示すように、燃料タンク45には燃料タンク45の底面にはステップフレーム48が入り込む凹部を形成しておき、凹部先端にはステップフレーム48にビス止め可能なタンクフランジ45aを設けているので、燃料タンク45の凹部にステップフレーム48を嵌め込み、タンクフランジ45aでビス止めすることで両者を結合できる。
【0058】
本実施例では、比較的小型なコンバインの燃料タンク45を塑性加工成形により構成し、この燃料タンク45の上面部をステップマット46を兼ねた形状にしている。そして図14(a)に示すように、従来はステップマット46上の足下にあった燃料タンク45の給油口45bをエンジンカバー65側の位置に配置している。そのため、従来は給油口45bが足元部分にあることで、操縦席20に着席した際にオペレータの足元部分が狭く窮屈であったが、本構成を採用することにより、操縦席20にオペレータが着席した際に足元部分が広くなる。
【0059】
また、ステップマット46はその縦断面を凹凸形状にして燃料タンク45と一体でブロー成形しすると高強度のステップマット46が得られる。また、縦断面が凹凸形状のステップマット46を燃料タンク45とは別体で作製し、燃料タンク45の上面に固定しても良い。
また、図14に示す例では、ステップマット46のパターンをストライプ型(リブ形状)にしているが、波形や、市松模様など、どのような模様でも良い。
【0060】
このように図14に示す構成を採用することにより、給油タンク45とステップマット46とステップフレーム48を、これらの部品の周辺のカバー類と共に一体化することで、組立、取付などの構成の簡素化が達成され、これらの部品をそれぞれ製造する場合に比べて部品点数の削減を図ることができ、低コストで製造できる。更にコンバイン全体の軽量化も達成できる。また、これらの部品をそれぞれ製造して接合させる場合は錆等の問題も発生するが、できるだけ接合部分をなくして一体化することで耐腐食性が向上し、錆等にも強くなる。また、燃料タンク45を製造するときに給油口45bの位置等も見直すことで、コンバインを操縦するオペレータの足元部分が広くなりオペレータが操縦する際の快適性も向上する。また、ステップフレーム48の上に燃料タンク45をおいて、そこからホースで給油できるので給油性も良くなる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明はトラクタやコンバインを含む農業用作業車両だけでなく、工業用作業車両においても利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施例のコンバインの右側面図である。
【図2】図1のコンバインの平面図である。
【図3】図1のコンバインの脱穀装置とグレンタンク部分の正面断面図である。
【図4】本発明の一実施例のコンバインのグレンタンクを回動させた場合のグレンタンクと脱穀装置の部分を示した斜視図である。
【図5】本発明の他の実施例によるコンバインの右前方から見た場合の斜視図である。
【図6】本発明の他の実施例によるコンバインの操縦席のメータパネル部分の斜視図である。
【図7】図6のコンバインの操縦席部分の右側面図を示す。
【図8】本発明の他の実施例によるコンバインの横オーガの縦断面図である
【図9】本発明の他の実施例によるコンバインのオーガの排出口付近の斜視図である。
【図10】本発明の他の実施例によるコンバインの右前方から見た場合の前方部分の斜視図である。
【図11】本発明の他の実施例によるコンバインの前方部分の右側面図である。
【図12】本発明の他の実施例によるコンバインの運転台の上方から見た斜視図である。
【図13】本発明の他の実施例によるコンバインのオーガの排出口の斜視図である。図13(a)は、シャッタが閉じている横オーガ排出口斜視図を示し、図13(b)は、シャッタが開いている横オーガ排出口斜視図を示し、図13(c)はモータの回動によりシャッタが開く構成を示す横オーガ排出口正面図である。
【図14】図14(a)本発明の他の実施例によるコンバインの右前方から見た場合の前方部分の斜視図である。図14(b)は、燃料タンク45を二本のステップフレーム48に載置して係止する部分の拡大図である。
【符号の説明】
【0063】
2 車体 3 走行装置(走行クローラ)
4 走行装置本体 5 駆動部材
6 伸縮作動軸部材 7 固定オーガ螺旋
8 分草杆 9 刈取装置
10 脱穀装置 11 中間側軸受部
12 外側軸受部材 13 グレンタンク
13a グレンタンク螺旋 14 フィードチェーン
15 オーガ 16 縦オーガ
17 横オーガ 17a 固定オーガ
17b 移動オーガ 17c 穀粒排出口
18 伸縮用受部材 19 伸縮螺旋
20 操縦席 21 オーガ先端排出部
22 主変速レバー 23 副変速レバー
24 刈取・脱穀レバー 25 運転台
26 アクセルレバー 27 スロットルレバー
28 操向レバー 29 ドア
30 受台 31 伸縮・回動レバー
32 フロント側壁面パネル 33 サイド側壁面パネル
34 オーガコントロールレバー
35 受台支えアーム 36 フロントメータパネル
37 操作パネル 38 作業機切換レバー
39 モニター
40 オーガ操作パネル 41 シャッタ
42 オーガ操作パネル設置部 43 モータ
45 燃料タンク 45a タンクフランジ
45b 給油口 46 ステップマット
48 ステップフレーム 50 照明器具
50a レンズ部 50b 作業ライトケース
51 ロック解除レバー 52 ガイド板
56 引き起こし装置 58 引き起こしケース
64 エンジン 65 エンジンカバー
66 扱室 66a 扱室カバー
69 扱胴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀稈を脱穀する脱穀装置(10)と、該脱穀装置(10)に隣接し、該脱穀装置(10)により脱穀選別された穀粒を一時貯溜するグレンタンク(13)とを設けたコンバインにおいて、
脱穀装置(10)のグレンタンク(13)側の側面又はグレンタンク(13)の脱穀装置(10)側の側面に照明部(50)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
穀稈を脱穀する脱穀装置(10)と、該脱穀装置(10)内に穀桿から穀粒を分離処理する扱胴(69)を軸架した扱室(66)と、該扱室(66)上面にカバー(66a)とを設けたコンバインにおいて、
カバー(66a)の扱胴(69)側の面に照明部(50)を設けたことを特徴とするコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−202474(P2007−202474A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−25395(P2006−25395)
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】