説明

コンバイン

【課題】前照灯の高さを正確かつ簡単に設定できるコンバインを提供すること。
【解決手段】刈取部3と、脱穀部6とを備えており、刈取部3に前照灯31が設置されているコンバインにおいて、前記前照灯31として、刈取部3が低域の高さ範囲Lで上昇移動している状態では点滅し、刈取部3の高さが低域の高さ範囲の上側に隣接する中間域の範囲Mである場合は常時点灯し、刈取部3の高さが中間域の上側に隣接する高域の範囲Hである場合は点滅するものを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前照灯を備えているコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、機体の前方に昇降可能に設置された刈取部に前照灯が設置されているコンバインがある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3579915号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、コンバインを圃場まで路上走行させる場合は、刈取部を地上から一定高さに上昇させた状態で走行させる。ここで、前照灯を点灯する必要があるときには、前照灯の照射範囲を考慮しつつ刈取部の地上からの高さが調整される。
【0004】
ところが、このようなコンバインでは、コンバインのオペレータごとに、そして同じオペレータでも調整を行なうたびに、前照灯の照射範囲が変化してしまう。したがって、たとえば、刈取部が路面に近接する状態でコンバインを走行させてしまうことが考えられ、この場合、刈取部を路面の突部に衝突させて損傷させるような不具合が生じるおそれがある。また、刈取部が高い位置に位置する状態は、コンバインにとって必ずしもバランスの良い状態ではなく、コンバインの構造部材に過剰な負荷が加わったり、操縦性が低下したりするなどの不具合が生ずるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明では、走行部を備える機体の前方に昇降可能に設置された刈取部と、刈取部で刈取られた穀稈を脱穀する脱穀部と、駆動用の原動機部とを備えていると共に、刈取部に設置された前照灯を備えているコンバインであって、刈取部が低域の高さ範囲で上昇移動している状態では点滅し、刈取部の高さが低域の上側に隣接する中間域の範囲である場合は常時点灯し、刈取部の高さが中間域の上側に隣接する高域の範囲である場合は点滅する点灯部を備えていることを特徴とするコンバインを提供する。
【0006】
そして、本発明は、以下の構成にも特徴を有する。
【0007】
すなわち、前記点灯部は前照灯であることにも特徴を有する。
【0008】
前記点灯部は、少なくとも脱穀部を含む作業部への動力伝達の入り切りに用いられる作業部クラッチが切られた状態で、刈取部が前記低域の高さ範囲にて上昇移動しているときと、刈取部の高さが高域の範囲であるときに点滅するものであることにも特徴を有する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明では、点灯部は、刈取部を中間域より低い低域で上昇移動させているときには点滅しており、刈取部の高さが中間域になると常時点灯状態になる。したがって、点灯部が点滅状態から常時点灯状態に変わったときに、刈取部の上昇動作を停止させることによって、刈取部の高さを簡単かつ安定的に所定の高さに位置させることができる。そして、刈取部の高さが中間域よりも高い高域であっても、低域である場合と同様、点灯部は再び点滅する。したがって、刈取部が中間域より高い高域に位置されるようなことも確実に防止され、刈取部を所定の高さに安定的に位置させることができる。また、刈取部に前照灯が設置されているコンバインにあっては、刈取部の高さ位置を安定させることによって前照灯の高さ位置を安定させることができる。前照灯の高さ位置を安定させることができれば、例えば路上走行時などのコンバインの操縦性が向上する。
【0010】
請求項2に記載の発明では、前記点灯部が前照灯そのものであるので、前照灯を見ながら刈取部の高さ位置を調整できる。つまり、前照灯の点灯状態のみならず前照灯による照射範囲を視認しつつ刈取部の高さ位置を調整することができるので、より簡単かつ安定的に前照灯の照射範囲の調整を行なうことができる。
【0011】
ところで、点灯部が、たとえば運転キャビンに設置されたランプなど前照灯以外の点灯手段である場合は問題にならないが、点灯部が前照灯である場合、刈取部が低域で上昇移動しているときや、高域に位置しているときにも、前照灯を常時点灯させることもできる方が好ましい。
【0012】
この点、請求項3に記載の発明では、作業部クラッチが切られた状態で、刈取部が前記低域の高さ範囲にて上昇移動しているときと、刈取部の高さが高域の範囲であるときに前照灯を点滅させるようになっている。したがって、収穫作業時など、作動部クラッチが入っている状態でコンバインを運転しているときに、低域で刈取部を上昇移動させたり、刈取部を高域に位置させたりしても、前照灯が点滅することはない。したがって、前照灯による照明が必要な状況においても作業性が損なわれることがない。
【0013】
脱穀クラッチの入り切りの状態に基づいて、前照灯の高さ設定が必要なコンバイン運転状態を認識させているので、コンバインの状態を作業時と路上走行時とに切替えるための切換手段を設ける必要がなく、構造の簡素化および操縦性の向上に寄与する。また、
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明の最良の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1から図3に示されるように、コンバインAは、機体フレーム1の下部に配設された左右一対のクローラ式の走行部2,2と、機体フレーム1の前端部に昇降機構4を介して昇降回動自在に取り付けられた刈取部3と、昇降機構4の左側後方位置に配置された搬送機構5と、搬送機構の後方位置に配設された脱穀部6と、脱穀部6の直下方位置に配設された選別部7と、昇降機構4の右側後方位置に配置された運転部8と、運転部8の後下方位置に配設された原動機部9と、原動機部9の後方位置に配設された穀粒貯留部10と、穀粒貯留部10の後方に連動連設された穀粒搬出部11とを備えている。
【0016】
このようなコンバインAでは、刈取部3で刈り取られた穀稈は、搬送機構5によって脱穀部6へ搬送されて脱穀され、脱穀された穀粒が選別部7で選別される。選別部7にて選別された一番穀粒は、穀粒貯留部10に搬送されて貯留され、その後、穀粒搬出部11によって搬出される。
【0017】
走行部2は、前後方向に伸延する走行フレームの前端部に駆動輪13を連動連結する一方、同走行フレームの後端部に遊動輪14を回転自在に軸支し、これら駆動輪13と遊動輪14との間に履帯15を巻回している。図中、16は転動輪である。
【0018】
刈取部3は、機体フレーム1の前部に立設した刈取部支持体21(図4参照)に基端部が枢支された刈取部支持フレーム22を備えており、刈取部支持フレーム22は左右方向の軸線廻りに上下方向に昇降回動自在となっている。そして、刈取部支持フレーム22と機体フレーム1との間には刈取部昇降手段としての昇降用シリンダ23が介設されており、昇降用シリンダ23を伸縮作動させると、刈取部支持フレーム22が昇降するようになっている。また、刈取部支持フレーム22の基端部には、刈取部支持フレーム22の昇降回動位置を検出する昇降センサ24が設置されている。なお、本実施形態では、昇降センサ24としてポテンショメータが用いられている。そして、刈取部支持フレーム22は、その前端部に分草体25を備えており、分草体25の後方位置に設けられた穀稈引起体26と、穀稈引起体26の後方に配置された搬送機構5の下方に位置する刈刃27を備えている。
【0019】
図3に示されるように、刈取部3の昇降範囲は、下限位置H1から上限位置H2までの範囲であり、下側である低域の高さ範囲Lと、その上に隣接する中間域の高さ範囲Mと、その上に隣接する高域の高さ範囲Hに区分されている。そして、刈取部の高さがいずれの高さ範囲に位置しているかは、昇降センサ24によって検出される刈取部支持フレーム22の回動位置に基づいて検知することができるようになっている。
【0020】
そして、図1に示されるように、穀稈引起体26の左・右側端部の中途部には、左右一対の前照灯31,31が取り付けてられている。そして、刈取部3の高さが中間域の高さ範囲Mにあるときに、前照灯31,31の照射範囲がちょうど路上走行に適した範囲になるように、前照灯31,31の向きが設定されている。
【0021】
また、各前照灯31,31には、図示しないバッテリ電源からの電力供給用の配線31a(図4参照)が接続されており、この配線31aの途中には、前照灯31,31の点灯状態の制御に用いられる後述の点灯制御部32(図4参照)が配置されている。この点灯制御部は、前照灯31,31への電力供給を制御するものであり、連続給電することで前照灯31,31を常時点灯させ、間欠給電することで前照灯31,31を点滅させるものである。
【0022】
搬送機構5は、刈取部3で刈り取られた穀稈を、その直後方に配置された脱穀部6に搬送する。脱穀部6は、搬送機構5により搬送されてきた穀稈の株元部をフィードチェーン38により受け継いで、脱穀部6内の扱胴39と、扱胴39の直下方位置に配置されたクリンプ網との間にて、穀稈の穂先部を前方から後方に向けて移送させつつ脱穀する。
【0023】
選別部7は、脱穀部6のクリンプ網の直下方位置に配設された揺動選別体40を備え、クリンプ網を通して漏下してくる穀粒を一番穀粒を二番穀粒とに選別し、一番穀粒を穀粒貯留部10に搬送する一方、二番穀粒を再度揺動選別体40上に戻して再選別する。
【0024】
穀粒貯留部10は、選別部7において選別された一番穀粒を貯留するところである。ここに貯留された一番穀粒は、穀粒搬出部11によって適宜搬出される。この穀粒搬出部11は、穀粒貯留部10内の下部から前後方向後方に伸延した図示しない横搬出用スクリューコンベア体と、横搬出用スクリューコンベアの後端部に下端部が連通連結されており上下方向に配置された縦搬出用スクリューコンベア41と、縦搬出用スクリューコンベア41の上端部に後端部が連通連結されており前方に向けて伸延したオーガ42とを備えている。そして、オーガ42は後端部を中心に旋回及び上下回動自在になっている。
【0025】
運転部8は、その前部に配置されたフロントコラム43を備え、フロントコラム43の上端部にはステアリングホイール44が設けられている。また、ステアリングホイール44の左側方位置にはサイドコラム45が配置されており、サイドコラム45には、主変速レバー46、刈取部昇降レバー47、前照灯をオン・オフするための前照灯スイッチ48、後述の作業部クラッチ66を入り切りするための作業部クラッチレバー49などが配置されている。なお、符号「50」は運転席を示している。
【0026】
原動機部9は、エンジン52(図2及び図4参照)を備えており、エンジン52には連動機構53を介してミッションケース54(図4参照)が連動連結されている。ミッションケース54には、刈取部伝動機構55を介して刈取部3の刈取部支持フレーム22内に設けられた刈取駆動機構(図示せず)が連動連結されており、脱穀部伝動機構56を介して脱穀部6の扱胴39が連動連結されており、選別部伝動機構57を介して選別部7の揺動選別体40等が連動連結されており、穀粒貯留部伝動機構58を介して穀粒貯留部10の貯留部駆動機構が連動連結されている。
【0027】
このように、刈取部3、搬送機構5、脱穀部6、選別部7、穀粒貯留部10および穀粒搬出部11といった各作業部は、原動機部9に連動連結されており、原動機部9からの動力を受けて、刈取から搬出までが連動しながら作動するようになっている。
【0028】
そして、連動機構53は、図4に示されるように、エンジン52から突出した出力軸60に取り付けられた出力プーリ63と、ミッションケース54から突出した入力軸62に取り付けられた入力プーリ64と、両プーリ間に巻回された伝動ベルト65とを備えており、伝動ベルト65の位置に電動式のテンションクラッチである作業部クラッチ66を設けている。なお、符号「67」は、作業部クラッチ66の入切の状態を検出する作業部クラッチセンサである。
【0029】
また、作業部クラッチ66は、運転部8の作業部クラッチレバー49に連動連結されている。オペレータは作業部クラッチレバー49を操作することで、作業部クラッチ66を入り切りできる。したがって、原動機部9のエンジン52が作動しているときに、作業部クラッチレバー49を操作して作業部クラッチ66を入れると、エンジン52から各伝動機構55,56,57、58を介して刈取駆動機構、扱胴39、揺動選別体40および貯留部駆動機構に動力が伝達され、刈取部3や脱穀部6などの作業部が作動状態になり、作業部クラッチレバー49を操作して作業部クラッチ66を切ると、動力伝達が停止されて刈取部3などが動作停止状態になる。
【0030】
そして、コンバインAは、コンバインAの制御手段としてのコントローラ70を備えており、このコントローラ70を用いて前照灯31,31の点灯状態の制御を行なっている。
【0031】
図4に示されるように、コントローラ70には、前照灯31,31の点灯状態の制御に関して、作業部クラッチ66の入り切り状態を検知する作業部クラッチセンサ67と、刈取部の高さを検出する昇降センサ24と、前照灯スイッチ48とが接続されており、各スイッチやセンサからの信号を検知できるようになっている。また、コントローラ70には、前照灯31,31を常時点灯または点滅させるための点灯制御部32が接続されており、点灯制御部32に、前照灯31,31を常時点灯させる信号や点滅させる信号を出力できるようになっている。
【0032】
次に、このコントローラ70によって行なわれる前照灯の点灯制御について説明する。
【0033】
コントローラ70では、前照灯スイッチ48のオン・オフ状態を検知している(ステップ1)。ここで、前照灯スイッチ48がオンされ、コントローラ70が前照灯スイッチ48のオンを検知すると、続いて、作業部クラッチセンサ67からの信号に基づいて作業部クラッチ66の入り切り状態を検出する(ステップ2)。
【0034】
ここで、作業部クラッチ66が入りの状態すなわち作業中の状態であれば、前照灯31,31を常時点灯させる信号を点灯制御部32に出力する(ステップ3)。これにより、前照灯31,31は常時点灯状態になる。
【0035】
他方、作業部クラッチ66が切りの状態すなわち作業中の状態でなければ、続いて、刈取部の昇降センサ24からの信号に基づいて、刈取部3の高さが高域の高さ範囲Hであるか否かを検知する(ステップ4)。
【0036】
ここで、刈取部3の高さが高域の高さ範囲Hにあれば、前照灯31,31を点滅させる信号が点灯制御部32に出力される(ステップ5)。これにより、前照灯31,31は点滅状態になる。
【0037】
他方、刈取部3の高さが高域の高さ範囲Hでなければ、次に、刈取部3の高さが中間域の高さ範囲Mであるか否かを検知する(ステップ6)。
【0038】
ここで、刈取部3の高さが中間域の高さ範囲Mにあれば、前照灯31,31を常時点灯させる信号が点灯制御部32に出力される(ステップ7)。これにより、前照灯31,31は常時点灯状態になる。
【0039】
他方、刈取部3の高さが中間域の高さ範囲Mでなければ、刈取部3の高さは低域の高さ範囲Lであることになる。そこで、次に、刈取部3が上昇移動しているか否かを、昇降センサ24からの信号に基づいて検出する(ステップ8)。
【0040】
ここで、刈取部3が上昇移動中であれば、前照灯31,31を点滅させる信号が点灯制御部32に出力される(ステップ9)。これにより、前照灯31,31は点滅状態になる。
【0041】
他方、刈取部3が上昇移動中でなければ、前照灯31,31を暗い状態で常時点灯させる信号が点灯制御部32に出力される(ステップ10)。これにより、前照灯31,31は暗い状態であるが常時点灯点滅状態になる。
【0042】
このように、本実施形態のコンバインAでは、作業部クラッチ66が切られている場合、刈取部3の高さが中間域の高さ範囲Mにあるときだけ、前照灯31,31が通常の明るさで常時点灯するようになっている。そして、刈取部3の高さが中間域の高さ範囲Mにあるときに、前照灯31,31の照射範囲がちょうど路上走行に適した範囲になるように、前照灯31,31の向きが設定されている。したがって、オペレータは、路上走行する際、前照灯が通常の明るさで常時点灯する状態になるように、刈取部3を昇降させるだけで、簡単に前照灯31,31の高さを調整することができる。
【0043】
次に、このようなコンバインAで路上走行する場合のコンバインの操作を説明する。
【0044】
例えば、コンバインの車庫と圃場との間を行き来するために、路上走行をすることがあある。ここで、前照灯31,31を点灯する必要が生じた場合、オペレータは、前照灯スイッチ48をオンにする。
【0045】
すると、コントローラ70は、前照灯スイッチ48のオンを検知し(ステップ1)、続いて、作業部クラッチ66の状態を検知する(ステップ2)。
【0046】
このとき、オペレータはこれから路上走行をしようとしているので、作業部クラッチ66は切られている。したがって、コントローラ70には、作業部クラッチセンサ67からの信号に基づいて作業部クラッチ66が切られた状態であることを検知する。そして、コントローラ70は、次に、刈取部の昇降センサ24からの信号に基づいて、刈取部3の高さが高域の高さ範囲Hであるか否かを検知する(ステップ4)。
【0047】
ここで、刈取部3の高さが中間域の高さ範囲Mであれば、前照灯31,31は路上走行に適した位置にあることになり、常時点灯する状態になる(ステップ7)。この場合、オペレータは、そのまま、路上走行を開始できる。
【0048】
他方、刈取部3の高さが中間域の高さ範囲Mになければ、前照灯31,31は点滅するか、暗い状態で常時点灯することになる(ステップ5,10)。
【0049】
この場合、オペレータは刈取部昇降レバー47を操作して、刈取部3の高さを移動させる。例えば、高域の高さ範囲Hにある刈取部3を移動させた結果、刈取部3の高さが中間域の高さ範囲Mになると、前照灯31,31が点滅状態から常時点灯状態に変わる。また、低域の高さ範囲Lにある刈取部3を移動させた結果、刈取部3の高さが中間域の高さ範囲Mになると、前照灯31,31が暗い常時点灯状態から点滅状態になり、さらに常時点灯状態に変わる。
【0050】
オペレータは、前照灯31,31が常時点灯状態になったことを検知すると、刈取部3の昇降レバーの操作を終了する。これにより、刈取部3が中間域の高さ範囲Mに位置され、前照灯31,31が路上走行に適した高さ位置に調整される。
【0051】
このように、本実施形態のコンバインによれば、刈取部昇降レバーを操作することによって、前照灯の高さ位置を簡単に路上走行時に適した位置に設定することができる。
【0052】
なお、本発明のコンバインは、上記実施形態のものに限られるものではなく、種々改変できる。
【0053】
作業部クラッチが切られた状態で、刈取部高さの位置に応じて、常時点灯状態になったり、点灯状態になったりする点灯部は、前照灯に限られない。
【0054】
例えば、運転部のサイドパネルに、前照灯の高さ位置の設定に用いる前照灯高さ設定ランプを設置し、このランプを刈取部の高さに応じて、上記前照灯と同様に常時点灯状態にしたり、点滅状態にしてもよい。この場合、オペレータは、この前照灯高さ設定ランプの点灯状態を見ながら、昇降レバーを操作して刈取部の高さを中間域の高さ範囲に設定する。このようにして刈取部の高さ位置を設定することで、前照灯の高さ位置を路上走行時に適した位置に簡単に設定できる。
【0055】
そして、前照灯に、メインのライト以外に、スモールランプやフォグランプなどの補助ランプが設置されている場合は、この補助ランプを刈取部の高さに応じて、上記前照灯と同様に常時点灯状態にしたり、点滅状態にしてもよい。この場合、オペレータは前照灯を常時点灯させたり、点滅させたりする場合と同様の感覚で前照灯の高さ設定を行なうことができる。しかも、このようにして前照灯の高さ設定に補助ランプを用いれば、前照灯については常に常時点灯させることができる。
【0056】
また、各高さ範囲の幅は任意に設定できるものである。たとえば、前照灯31,31の高さ位置をできるだけ正確な位置に設定できるようにするためには、中間域の高さ範囲Mの幅を狭く設定する。このようにすると、前照灯31,31が常時点灯する高さ範囲が狭くなるので、前照灯31,31の高さをより正確に設定できるようになる。
【0057】
また、上記実施形態では、刈取部3が低域の高さ範囲Lに位置しているとき、刈取部3が停止していれば前照灯31,31を暗い状態で常時点灯させ、上昇移動中は点滅させているが、停止している状態も点滅させるよういしてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、作業部クラッチ66が切られた状態で、刈取部3が中間域の高さ範囲Mにないとき、前照灯31,31を点滅させたり、暗い状態で常時点灯させたりしているが、作業部クラッチ66の状態が入っていると切られているとにかかわらず、上記実施形態と同様、刈取部3が中間域の高さ範囲Mにないときに前照灯31,31を点滅させたり、暗い状態で常時点灯させたりしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係るコンバインの正面説明図である。
【図2】同コンバインの右側面説明図である。
【図3】同コンバインの左側面説明図である。
【図4】同コンバインの前照灯の点灯制御に関する制御ブロック図である。。
【図5】前照灯の点灯制御のフローチャート図である。
【符号の説明】
【0060】
A コンバイン
1 機体フレーム
2 走行部
3 刈取部
4 昇降機構
5 搬送機構
6 脱穀部
7 選別部
8 運転部
9 原動機部
10 穀粒貯留部
11 穀粒搬出部
31 前照灯(点灯部)
66 作業部クラッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行部を備える機体の前方に昇降可能に設置された刈取部と、刈取部で刈取られた穀稈を脱穀する脱穀部と、駆動用の原動機部とを備えていると共に、刈取部に設置された前照灯を備えているコンバインであって、
刈取部が低域の高さ範囲で上昇移動している状態では点滅し、刈取部の高さが低域の上側に隣接する中間域の範囲である場合は常時点灯し、刈取部の高さが中間域の上側に隣接する高域の範囲である場合は点滅する点灯部を備えていることを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記点灯部は前照灯である請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記点灯部は、少なくとも脱穀部を含む作業部への動力伝達の入り切りに用いられる作業部クラッチが切られた状態で、刈取部が前記低域の高さ範囲にて上昇移動しているときと、刈取部の高さが高域の範囲であるときに点滅するものである請求項2に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−244345(P2007−244345A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−76173(P2006−76173)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】