説明

コンバイン

【課題】脱穀処理により排出される排藁を処理する排藁処理部の駆動に同調して吸引ファンの吐出風量及び唐箕ファンの選別風量を調整することで、調整部の構造を簡単にし、且つ穀粒の選別性能を向上する。
【解決手段】脱穀処理により生じる塵挨を吸収して機外に排出する吸引ファンと、脱穀処理により選別される穀粒をさらに精選するための選別風を送るファンであって、選別風量を調節する選別風量調節部を有する唐箕ファンと、脱穀処理により排出される排藁を処理する排藁処理部と、を具備するコンバインにおいて、吸引ファンが吐出風量を調節する風量調節部を有し、排藁流量に応じて駆動する排藁処理部の駆動に同調して風量調節部が吐出風量を調整し、且つ選別風量調節部が選別風量を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀処理により生じる塵挨を吸収して機外に排出する吸引ファンと、脱穀処理により選別される穀粒をさらに精選するための選別風を送る唐箕ファンと、脱穀処理により排出される排藁を処理する排藁処理部とを具備するコンバインであって、排藁処理部の排藁量に同調して吸引ファンの風量と唐箕ファンの選別風量を調節可能とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
脱穀装置により脱穀されて受網より落下する穀粒や塵埃等は、唐箕ファンより送られる選別風によって、塵埃を除去することでさらに精選される。また除去された塵埃は、機体後部に配設した吸引ファンにより吸引して、機外に排出する。
【0003】
脱穀処理により生じる塵埃の量は、穀稈の量に略比例する。一方、吸引ファンの回転数は作業中において略一定回転となっている。また、唐箕ファンの回転数も作業中においては略一定回転となっているが、唐箕ファンの吸入口にシャッターを設け、さらに、該シャッターとチャフフィンと排藁量検出手段を連動連結して、排藁量に応じて唐箕ファンのシャッターを開閉するようにした技術が公知となっている。
【0004】
しかし、吸引ファンの吐出風量が、塵埃の量に関わらず略一定であるため、刈取穀稈が少なく脱穀量が少なくなると、唐箕ファンの選別風量が減少されるものの、吸引ファンの風量が減少されないため、塵埃とともに二番物までも機外へ排出してしまうという問題点があった。
【0005】
特許文献1では、上記問題点を解決すべく、唐箕ファンの選別風量と排塵ファン(吸引ファン)の吸引力とを同時に調整可能な脱穀機が開示されている。
【特許文献1】特開2001−95362号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、扱胴の駆動負荷をセンサで検知し、その検知結果を電気信号にして制御手段に送り、その信号に基づいて、制御手段が、唐箕ファンに設けたダンパーと、排塵ファンの回転速度とを連動して制御することから、制御方法が複雑である。また、排塵ファンの吸引力は、排塵ファンの回転速度を調整するため、変速装置が必要となり調整部の部品点数が多く、調整部の構造が複雑である。
本発明は、かかる問題を解決すべくなされたものであり、脱穀処理後の排藁量に同調して吸引ファンの吐出風量及び唐箕ファンの選別風量を調整することで、調整部の構造が簡単で、且つ穀粒の選別性能が向上可能なコンバインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、脱穀処理により生じる塵挨を吸収して機外に排出する吸引ファンと、脱穀処理により選別される穀粒をさらに精選するための選別風を送るファンであって、選別風量を調節する選別風量調節部を有する唐箕ファンと、脱穀処理により排出される排藁を処理する排藁処理部と、を具備するコンバインにおいて、前記吸引ファンが吐出風量を調節する風量調節部を有し、排藁流量に応じて駆動する前記排藁処理部の駆動に同調して前記風量調節部が吐出風量を調整し、且つ前記選別風量調節部が選別風量を調整するものである。
【0009】
請求項2においては、前記吸引ファンは横断流ファンで構成されるとともに、前記風量調整部が前記吸引ファンの上部壁の吸引側端部に設けられた板状体であって、前記板状体が片端部を軸として回動するものである。
【0010】
請求項3においては、前記吸引ファンは横断流ファンで構成されるとともに、前記風量
調整部が前記吸引ファンの上部壁の吸引側端部に設けられた板状体であって、前記板状体
が前記上部壁に沿ってスライド移動するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0012】
請求項1においては、脱穀量と連関する排藁流量に応じて吸引ファンの吐出風量と唐箕ファンの選別風量を同時に調整するため、脱穀量に応じたきめ細かい吐出風量の調整ができるともに、穀粒の精選効率が向上する。
【0013】
請求項2においては、吸引ファンの上部壁の吸引側端部に設けられた板状体によって、吸引ファンの吸引側開口部の開口面積が調整可能であるため、脱穀量に応じたきめ細かい吐出風量の調整ができる。また、板状体が片端部を軸として回動するため、構造が簡単である。
【0014】
請求項3においては、吸引ファンの上部壁の吸引側端部に設けられた板状体によって、吸引ファンの吸引側開口部の開口面積が調整可能であるため、脱穀量に応じたきめ細かい吐出風量の調整ができる。また、当該板状体が吸引ファンの外周壁面に沿って略平面的に動くため、機内が省スペースであっても設置ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係るコンバイン1について図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るコンバイン1の側面図である。なお、本発明は、本実施例に係るコンバイン1に限定されず、排藁処理部、唐箕ファン及び吸引ファンを備えるコンバインに広く適用可能である。また、以下の説明では、コンバイン1の進行方向に対して左側を単に左側とし、コンバイン1の進行方向に対して右側を単に右側とする。
【0016】
図1に示すように、コンバイン1は、走行機体10が左右一対の走行クローラ2によって支持されており、走行機体10の前端部に刈取部3を昇降機構を介して昇降可能に配設し、走行機体10上の右側前部に運転部5を配設し、走行機体10の右側後部に脱穀後の穀粒を貯留する穀粒タンク6を配設し、走行機体10上の左側に脱穀部7を配設し、その後部に排藁処理部8を配設している。
【0017】
刈取部3で刈り取った穀稈はフィードチェン110により脱穀部7へ搬送され、脱穀部7で扱胴の回転により脱粒され、受網を漏下した穀粒や藁屑等は選別により選別され、一番物(籾)は穀粒タンク6に貯留する一方、排藁は排藁処理部8で細断またはそのまま機外へ排出する。
【0018】
図2は、本発明の実施形態に係るコンバイン1の脱穀部7、排藁処理部8の側面図、図3は、揺動選別装置720、唐箕ファン730、吸引ファン740、及び排藁量検出機構820の連動機構の側面図である。
【0019】
図2に示すように、脱穀部7は、扱胴710と扱胴710の外周下方に配設される受網712を備え、該脱穀部7の下方に選別部が配設され、該選別部は揺動選別装置720や唐箕ファン730や風向板等を備え、揺動選別装置720の後上方には塵埃を吸引して機外に排出する吸引ファン740が配設されている。また、揺動選別装置720の下方には、一番物を取り出す1番コンベア750と、二番物を揺動選別装置720に還元する2番コンベア760が配設されている。
【0020】
前記扱胴710は、円筒状に形成され、軸心を前後方向に配置し、外周面に複数のこぎ歯711を配列している。
【0021】
前記揺動選別装置720は、フィードパン721と、チャフシーブ722と、グレンシーブ723と、ストローラック724等を具備し、扱胴710の下方に張設された受網712から漏下した脱穀物が、フィードパン721及びチャフシーブ722等によって揺動選別されるように構成されている。
【0022】
図3に示すように、チャフシーブ722は、複数の選別板725を所定の間隔ごとに前後方向に配列し、選別板725を回動して選別間隔を調整可能とすることで、穀稈量に応じて選別板725と選別板725の間隔を変更し、フィードパン721より送られた穀粒と藁屑、及び受網712から漏下した穀粒と藁屑、を粗選別する。
【0023】
選別板725は、左右一側端部をチャフ連動板726に連結されている。チャフ連動板726は、一端部にチャフシーブ調整アーム727が接続されており、チャフシーブ調整アーム727が回動されることで、チャフ連動板726が一体となって前後方向に移動して、チャフ連動板726に連結した選別板725・725・・・が回動されて、傾斜角度が変更されるとともに、隙間も変更される。
【0024】
前記チャフシーブ調整アーム727は、端部に同調ワイヤ728が接続されており、該同調ワイヤ728の他端は、後述する排藁処理部8の検出アーム821に接続されている。さらに、チャフシーブ調整アーム727は、端部にバネ(図示せず)が接続されて同調ワイヤ728の引っ張り方向と反対方向に付勢している。
【0025】
図2に示すように、グレンシーブ723は、チャフシーブ722の下方に設置され、チャフシーブ722で選別されて落下した穀粒等を、唐箕ファン730から送風される選別風とともに精選別する。
【0026】
ストローラック724は、チャフシーブ722の端部に設置され、揺動により藁屑をほぐして、藁屑に混じる穀粒を2番コンベア760に落下させ、再選別を行う。
【0027】
唐箕ファン730は、揺動選別装置720の前下方に配置して、揺動選別装置720の全幅(左右方向)で横設されており、チャフシーブ722より落下してくる穀粒等に選別風を当て、穀粒を1番コンベア750へ、比重の小さい軽い物を2番コンベア760へ飛ばすことで精選別を行う。また、唐箕ファン730は、唐箕ファンケース731内に設けられており、唐箕ファンケース731の側部壁に吸引風量を調整するシャッター732(図3)を有する。
【0028】
図3に示すように、シャッター732は、端部にシャッター軸733を有し、シャッター軸733を中心に上下方向に回動して唐箕ファン730の吸入口を開閉する。シャッター軸733は、端部を唐箕ファンケース731に固定されて、該シャッター軸733にシャッター732の端部が回転自在に枢支されている。シャッター732の一端にシャッターレバー734の一端が固設され、該シャッターレバー734の他端に同調ワイヤ735の一端が接続されており、該同調ワイヤ735の他端が後述する排藁処理部8の検出アーム821に接続されている。さらに、シャッターレバー734の他端にバネ(図示せず)が接続されて、同調ワイヤ735の引っ張り方向と反対方向に付勢している。このように、唐箕ファン730は、シャッター732と、シャッター軸733と、シャッターレバー734と、バネ(図示せず)等、で構成される選別風量調整部を有する。
【0029】
吸引ファン740は、揺動選別装置720の後部上方に、揺動選別装置720の全幅(左右方向)で横設されており、唐箕ファン730からの選別風に乗ってきた塵埃を吸引して機外に排出する。また、吸引ファン740は、吸引ファンケース741内に設けられた横断流ファンであり、吸引ファンケース741の上部壁に風量を調整する開閉板742(図3)を有する。
【0030】
図3に示すように、開閉板742は、吸引ファン740の全幅(左右方向)で横設された板状体であり、吸引ファンケース741の上部に固定された支点軸743に開閉板742の後部が枢支され、支点軸743を中心に前部が上下方向に回動可能とされて開閉できるようにしている。また、開閉板742は、支点軸743と反対側の端部745に同調ワイヤ744が接続されており、同調ワイヤ744を介して、後述する排藁処理部8の検出アーム821に接続されている。さらに、開閉板742は、端部745にバネ746(図4)が接続されて同調ワイヤ744の引っ張り方向と反対方向に付勢している。但し、開閉板742の回動基部側よりアームを突設して、同調ワイヤ744と接続する構成とすることも可能である。このように、吸引ファン740は、開閉板742と、支点軸743と、バネ746等、で構成される風量調節部を有する。
【0031】
図2に示すように、1番コンベア750は、揺動選別装置720下方であって、唐箕ファン730の後方に左右方向に横設されており、揺動選別装置720によって選別された穀粒(一番物)を取り出し、1番コンベア750の右側端で連通接続した揚穀筒751に搬送する。搬送した穀粒は、揚穀筒751を介して穀粒タンク6へ搬入する。
【0032】
2番コンベア760は、1番コンベア750の後方に左右方向に横設されており、揺動選別装置720によって選別された枝梗付き穀粒等(二番物)を取り出し、2番コンベア760の右側端で連通接続した還元筒761に搬送する。搬送した枝梗付き穀粒等は、還元筒761を介して揺動選別盤720のフィードパン721の上面側に戻して再選別する。
【0033】
次に、排藁処理部8について、図2及び3に基づいて説明する。排藁処理部8は、排藁チェーン810と、チェーンガイド825と、排藁量検出機構820と、排藁カッター830と、を具備する。
【0034】
排藁チェーン810は、フィードチェン110の後端側(送り終端側)に配置され、フィードチェン110の後端側から受け継がれた排藁を、排藁カッター830に搬送して切断し、または切断せずに機外へ排出する。
【0035】
図3に示すように、排藁量検出機構820は、チェーンガイド825の下面に固設して下方へ突設される検出ロッド822と、該検出ロッド822の下端に当接(または連結)される検出プレート823と、該検出プレート823の回動基部を固設(または枢支)する回動軸824と、該検出プレート823に連設して前記同調ワイヤと連結する検出アーム821等を具備する。
【0036】
排藁量検出機構820は、左右方向に軸心を有する回動軸824が、コンバイン1の機体に枢支されており、この回動軸824に、検出プレート823の端部(後端)及び検出アーム821の一端(上端)が固定されている。検出プレート823の上面には、チェーンガイド825の下面に垂設されている検出ロッド822の下端が当接されている。検出アーム821の他端(下端)には、同調ワイヤ728、735、744の他端(後端)が取り付けられている。同調ワイヤ728、735、744の一端部(前端)は、チャフシーブ722のチャフシーブ調整アーム727、唐箕ファン730のシャッターレバー734、及び吸引ファン740の開閉板742にそれぞれ取り付けられている。
【0037】
次に、排藁量検出機構820と、揺動選別装置720、唐箕ファン730、及び吸引ファン740との連動機構について、図3に基づいて説明する。
【0038】
図3に示すように、揺動選別装置720、唐箕ファン730、及び吸引ファン740は、排藁量検出機構820と同調ワイヤ728、735、744を介してそれぞれ接続されており、排藁量検出機構820により検出した穀稈量に応じて、揺動選別装置720のチャフシーブ722、唐箕ファン730のシャッター732、及び吸引ファン740の開閉板742がそれぞれ動作する。
【0039】
排藁量検出機構820は、排藁が、排藁チェーン810とチェーンガイド825との間を搬送されることで、チェーンガイド825が上下方向に動作する。すなわち、排藁流量(排藁が搬送される量)が増加すると、排藁によって、チェーンガイド825が下方に押し下げられ、排藁流量が減少すると、チェーンガイド825は上方に上がる。
【0040】
排藁量が増加すると、つまり、刈取穀稈が増加して脱穀量が増加すると、チェーンガイド825が押し下げられ、チェーンガイド825の下面に垂設されている検出ロッド822が下方に下がる。検出ロッド822が下がると、検出ロッド822の下端に当接された検出プレート823が回動軸824を中心として半時計回りに回動する。検出プレート823が回動すると、それに伴って、検出アーム821も回動軸824を中心として半時計回りに回動する。検出アーム821が回動することで、検出アーム821の他端(下端)に取り付けられた同調ワイヤ728、735、744が引っ張られ、同時に、揺動選別装置720のチャフシーブ722、唐箕ファン730のシャッター732、及び吸引ファン740の開閉板742がそれぞれ動作する。
【0041】
一方、前記と逆に排藁量が減少すると、チェーンガイド825が上方に上がり、検出ロッド822も上方に上がる。検出ロッド822が上がると、検出プレート823が回動軸824を中心として時計回りに回動する。検出プレート823が回動すると、それに伴って、検出アーム821も回動軸824を中心として時計回りに回動する。検出アーム821が回動することで、同調ワイヤ728、735、744が弛み状態となり、同時に、揺動選別装置720のチャフシーブ722、唐箕ファン730のシャッター732、及び吸引ファン740の開閉板742が前記と逆方向に動作する。
【0042】
このように、排藁流量に応じて排藁量検出機構820が駆動することにより、揺動選別装置720のチャフシーブ722、唐箕ファン730のシャッター732、及び吸引ファン740の開閉板742も同時に動作する。すなわち、排藁流量に応じて揺動選別装置720のチャフシーブ722、唐箕ファン730のシャッター732、及び吸引ファン740の開閉板742の動作を制御することが可能となる。
【0043】
次に、排藁量検出機構820の駆動と、揺動選別装置720のチャフシーブ722の動作との関係について説明する。
チャフシーブ722は、排藁量が多い場合、つまり脱穀量が多い場合には、チャフシーブ722の選別板725の選別間隔を広くする(選別板725の角度を立てる)ように作動する。一方、排藁量が少ない場合、つまり脱穀量が少ない場合には、チャフシーブ722の選別板725の選別間隔を狭くする(選別板725の角度を寝かせる)ように作動する。このようにして、チャフシーブ722を通過する穀粒の量を調整する。
【0044】
排藁量検出機構820は、上述のように、排藁量が増加すると、検出アーム821が半時計回りに回動することで、同調ワイヤ728を引っ張る。同調ワイヤ728が引っ張られることで、チャフシーブ722のチャフシーブ調整アーム727が機体後方へ引っ張られる。チャフシーブ調整アーム727が引っ張られることにより、チャフ連動板726が一体となって動作するとともに、チャフ連動板726に枢結した選別板725が動作する。この時、選別板725は、選別間隔を広くする(選別板725の角度を立てる)方向に回動する。これにより、大量の穀粒や藁屑等が落下してきても、詰まることなく選別処理することができる。
【0045】
一方、排藁量が減少すると、排藁量検出機構820は、検出アーム821が時計回りに回動することで、同調ワイヤ728が弛み状態となる。同調ワイヤ728が弛み状態となることで、チャフシーブ調整アーム727が、端部に接続されているバネ(図示せず)の張力により、当該バネの縮み方向へ回動する。チャフシーブ調整アーム727が回動することにより、チャフ連動板726が一体となって動作するとともに、選別板725が動作する。この時、選別板725は、選別間隔を狭くする(選別板725の角度を寝かせる)方向に回動する。これにより、漏下量を制限し、藁屑の混入を防ぐことができる。
【0046】
このように、排藁量に応じて駆動する排藁量検出機構820と同調して、チャフシーブ722の選別板725の選別間隔を調整することで、排藁量、すなわち脱穀量に応じた選別量の調整ができる。
【0047】
次に、排藁量検出機構820の駆動と、唐箕ファン730のシャッター732の動作との関係について説明する。
唐箕ファン730のシャッター732は、排藁量が多い場合には、選別風量を多くするために、シャッター732を開く方向(上方向)に回動する。一方、排藁量が少ない場合には、選別風量を少なくするために、シャッター732を閉じる方向(下方向)に回動する。
【0048】
排藁量検出機構820は、排藁量が増加すると、検出アーム821が半時計回りに回動することで、検出アーム821の他端(下端)に取り付けられた同調ワイヤ735を引っ張る。同調ワイヤ735が引っ張られることで、シャッターレバー734が機体後方へ引っ張られる。シャッターレバー734が引っ張られることにより、シャッター732が開く方向(上方向)に回動する。これにより、唐箕ファン730の選別風量を多くすることができる。
【0049】
一方、排藁量が減少すると、排藁量検出機構820は、検出アーム821が時計回りに回動することで、同調ワイヤ735が弛み状態となる。同調ワイヤ735が弛み状態となることで、シャッターレバー734が、端部に接続されているバネ(図示せず)の張力により、当該バネの縮み方向へ回動する。シャッターレバー734が回動することにより、シャッター732が閉じる方向(下方向)に回動する。これにより、唐箕ファン730の選別風量を小さくすることができる。
【0050】
このように、排藁量に応じて駆動する排藁量検出機構820と同調して、シャッター732の開閉を調整することで、排藁量、すなわち脱穀量に応じた選別風量の調整ができる。
【0051】
次に、排藁量検出機構820の駆動と、吸引ファン740の開閉板742の動作との関係について説明する。
吸引ファン740の開閉板742は、排藁量が多い場合には、吐出風量を多くするために、開閉板742を閉じる方向(下方向)に回動する。一方、排藁量が少ない場合には、吐出風量を少なくするために、開閉板742を開く方向(上方向)に回動する。
【0052】
排藁量検出機構820は、排藁量が増加すると、検出アーム821が半時計回りに回動することで、検出アーム821の他端(下端)に取り付けられた同調ワイヤ744を引っ張る。同調ワイヤ744が引っ張られることで、開閉板742が引っ張られ、開閉板742が閉じる方向(下方向)に回動する。これにより、吸引ファン740の吐出風量を多くすることができる。
【0053】
一方、排藁量が減少すると、排藁量検出機構820は、検出アーム821が時計回りに回動することで、同調ワイヤ744が弛み状態となる。同調ワイヤ744が弛み状態となることで、開閉板742が端部745に接続されているバネ746(図4)の張力により、バネ746の縮み方向へ引っ張られ、開閉板742が開く方向(上方向)に回動する。これにより、吸引ファン740の吐出風量を小さくすることができる。
【0054】
このように、排藁量に応じて駆動する排藁量検出機構820と同調して、開閉板742の開閉を調整することで、排藁量、すなわち脱穀量に応じた吐出風量の調整ができる。
【0055】
ここで、吸引ファン740の変形例について、図4に基づいて説明する。図4は、吸引ファン740、740bの側面図である。図4(a)は、上述した実施例の吸引ファン740の側面図、図4(b)は、以下に説明する吸引ファン740の変形例である吸引ファン740bの側面図である。
【0056】
図4に示すように、吸引ファン740bは、前述の吸引ファン740と同様に、吸引ファンケース741b内に設けられた横断流ファンであり、吸引ファンケース741bの上部壁に吐出風量を調整する開閉板742bを有する。
【0057】
開閉板742bは、吸引ファン740bの全幅(左右方向)で横設された側面視円弧状の板状体であり、該開閉板742bと上部吸引ファンケース741bを側面視で同心円状に構成して、開閉板742bが吸引ファンケース741bの外周に沿ってスライド可能に構成している。該開閉板742bの前端側の端部にシャッター調整アーム747の先端が連結されている。該シャッター調整アーム747の基端側(開閉板742bを接続した端部と反対側の端部)は、吸引ファンケース741bの中心、つまり、吸引ファン740bの回転軸心に配設された支点軸743bに枢支され、支点軸743bを中心に回動する。シャッター調整アーム747が回動することで、開閉板742bが、吸引ファンケース741bに沿ってスライド移動する。また、シャッター調整アーム747の長手方向中途部748に同調ワイヤ744の一端が連結されており、該同調ワイヤ744の他端が排藁処理部8の検出アーム821に接続されている。さらに、シャッター調整アーム747の中途部748にバネ746bが接続されている。このように、吸引ファン740は、開閉板742bと、支点軸743bと、バネ746bと、シャッター調整アーム747と、で構成される風量調節部を有する。
【0058】
図4に示すように、吸引ファン740の開閉板742は、上下方向にシャッター自体が開閉するが(図4(a))、吸引ファン740bの開閉板742bは、シャッター自体が吸引ファンケース741bに沿ってスライド移動をすることにより開閉する(図4(b))。従って、吸引ファン740bの場合には、吸引ファンの上部にシャッター開閉用のスペースを設ける必要はなく、比較的狭いスペースに吸引ファンを設置することができる。
【0059】
吸引ファン740bは、排藁量が多い場合には、吐出風量を多くするために、開閉板742bを閉じる方向(下方向)に吸引ファンケース741bに沿ってスライド移動する。一方、排藁量が少ない場合には、吐出風量を少なくするために、開閉板742bを開く方向(上方向)に吸引ファンケース741bに沿ってスライド移動する。また、開閉板742bは、開閉板742と同様に、排藁処理部8の駆動に同調して動作する。以下、排藁量検出機構820の駆動と、開閉板742bの動作との関係について説明する。
【0060】
排藁量検出機構820は、排藁量が増加すると、検出アーム821が半時計回りに回動することで、同調ワイヤ744を引っ張る。同調ワイヤ744が引っ張られることで、シャッター調整アーム747が引っ張られて下方向に回動するとともに、開閉板742bが閉じる方向(下方向)にスライド移動する。これにより、吸引ファン740bの吐出風量を多くすることができる。
【0061】
一方、排藁量が減少すると、排藁量検出機構820は、検出アーム821が時計回りに回動することで、同調ワイヤ744が弛み状態となる。同調ワイヤ744が弛み状態となることで、シャッター調整アーム747が、中途部748に接続されているバネ746bの張力により、バネ746bの縮む方向に回動するとともに、開閉板742bが開く方向(上方向)にスライド移動する。これにより、吸引ファン740bの吐出風量を小さくすることができる。
【0062】
以上のように、揺動選別装置720のチャフシーブ722、唐箕ファン730のシャッター732、及び吸引ファン740の開閉板742は、排藁流量に応じて動作する排藁量検出機構820と同調して調節されるが、各部位の調節は、独立して個別に行われるのものではなく、排藁量検出機構820の動作とともに、全ての部位の調整が同時に行われる。従って、排藁流量、すなわち脱穀量に応じて、全ての部位の調節が行われるため、穀粒の精選効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施形態に係るコンバイン1の側面図。
【図2】本発明の実施形態に係るコンバイン1の脱穀部7、排藁処理部8の側面図。
【図3】揺動選別装置720、唐箕ファン730、吸引ファン740、及び排藁量検出機構820の連動機構の側面図。
【図4】本発明の実施形態に係るコンバイン1の吸引ファン740、740bの側面図
【符号の説明】
【0064】
720 揺動選別装置
722 チャフシーブ
725 選別板
726 チャフ連動板
727 チャフシーブ調整アーム
728、735、744 同調ワイヤ
730 唐箕ファン
732 シャッター
742 開閉板
733 シャッター軸
734 シャッターレバー
740 吸引ファン
741 吸引ファンケース
743 支点軸
810 排藁チェーン
820 排藁量検出機構
821 検出アーム
822 検出ロッド
823 検出プレート
824 回動軸
825 チェーンガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱穀処理により生じる塵挨を吸収して機外に排出する吸引ファンと、
脱穀処理により選別される穀粒をさらに精選するための選別風を送るファンであって、選別風量を調節する選別風量調節部を有する唐箕ファンと、
脱穀処理により排出される排藁を処理する排藁処理部と、
を具備するコンバインにおいて、
前記吸引ファンに風量を調節する風量調節部を設け、
前記排藁処理部に排藁量検出機構を設け、該排藁量検出機構と前記風量調節部とを連動連結して、排藁流量に応じて風量調節部を調整する
ことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記吸引ファンを横断流ファンで構成し、前記風量調整部は前記吸引ファンの上部壁の吸引側端部に設けられた板状体を排藁流量に応じて回動することを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記吸引ファンは横断流ファンで構成されるとともに、前記風量調整部が前記吸引ファ
ンの上部壁の吸引側端部に設けられた板状体を排藁流量に応じて前記上部壁に沿ってスラ
イド移動することを特徴とする請求項1記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−283919(P2008−283919A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−133324(P2007−133324)
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】