コンバイン
【課題】狭い場所でも作業者が操作室へ乗り降りできるものとする。
【解決手段】穀粒貯留タンク(14)の前方に操作室(3)を形成する操作室フレーム(4)を設け、操作室フレーム(4)を枠材で箱形状に形成し、操作室フレーム(4)の一側に樹脂又はガラスよりなる窓(25a)を有した扉(5)を開閉自在に設け、扉(5)の内側に、該扉(5)を外側へ向けて移動させた後に穀粒貯留タンク(14)側へ向けて移動させて開放状態とするスライド式開閉装置(32)を設け、操作室フレーム(4)の下側にエンジン(6)を設け、エンジン(6)の外側にエンジンカバー(7)を開閉自在に設け、前記扉(5)を穀粒貯留タンク(14)側へ向けて移動させて開放した状態で、該扉(5)がエンジンカバー(7)および穀粒貯留タンク(14)と側面視で重なる構成とする。
【解決手段】穀粒貯留タンク(14)の前方に操作室(3)を形成する操作室フレーム(4)を設け、操作室フレーム(4)を枠材で箱形状に形成し、操作室フレーム(4)の一側に樹脂又はガラスよりなる窓(25a)を有した扉(5)を開閉自在に設け、扉(5)の内側に、該扉(5)を外側へ向けて移動させた後に穀粒貯留タンク(14)側へ向けて移動させて開放状態とするスライド式開閉装置(32)を設け、操作室フレーム(4)の下側にエンジン(6)を設け、エンジン(6)の外側にエンジンカバー(7)を開閉自在に設け、前記扉(5)を穀粒貯留タンク(14)側へ向けて移動させて開放した状態で、該扉(5)がエンジンカバー(7)および穀粒貯留タンク(14)と側面視で重なる構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンバインの走行車台の上側前部の操作室フレームで形成した操作室へ作業者が搭乗して、この操作室フレームの下側でこの走行車台の上側へ載置したエンジンを始動させて、このコンバインを走行させ、前部の刈取機で穀稈は刈取りされ、脱穀機へ供給されて脱穀され、脱穀済み穀粒は穀粒貯留タンクへ一時貯留される。
【0003】
前記エンジンに作業中に不具合が発生したとき、及び点検するときには、このエンジンを外側から覆う状態で、操作室フレームの外側面と略同じ位置に、開閉具で開閉自在に設けたエンジンカバーを開操作して、このエンジンの不具合箇所を修理、及び点検する。
【0004】
また、操作室フレームの一側に設けた扉の後端部を回動自在に支持した構成のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平5−80224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の従来の技術では、狭い場所で作業者が操作室へ乗り降りすることが不可能であったが、この発明により、これの問題点を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このために、この発明は、次のような技術的手段を講じる。
即ち、請求項1記載の発明は、車台(2)の下側に走行装置(13)を設け、車台(2)の前部に刈取機(8)を設け、車台(2)の上側に脱穀機(11)を設け、脱穀機(11)の横側に穀粒貯留タンク(14)を設け、穀粒貯留タンク(14)の前方に操作室(3)を形成する操作室フレーム(4)を設け、操作室フレーム(4)を枠材で箱形状に形成し、操作室(3)内に操作装置(22)と操縦席(23)を設け、操作室フレーム(4)の一側に樹脂又はガラスよりなる窓(25a)を有した扉(5)を開閉自在に設け、扉(5)の内側に、該扉(5)を外側へ向けて移動させた後に穀粒貯留タンク(14)側へ向けて移動させて開放状態とするスライド式開閉装置(32)を設け、操作室フレーム(4)の下側にエンジン(6)を設け、エンジン(6)の外側にエンジンカバー(7)を開閉自在に設け、前記扉(5)を穀粒貯留タンク(14)側へ向けて移動させて開放した状態で、該扉(5)がエンジンカバー(7)および穀粒貯留タンク(14)と側面視で重なる構成としたことを特徴とするコンバインとしたものである。
【0008】
扉(5)を開操作すると、該扉(5)が外側へ向けて移動し、その後に穀粒貯留タンク(14)側へ向けて移動して開状態となり、この扉(5)がエンジンカバー(7)および穀粒貯留タンク(14)と側面視で重なる。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記操作室(3)に備える冷暖房装置(40)用のコンデンサ装置(34)を設けたことを特徴とする請求項1記載のコンバインとしたものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によると、扉(5)を開操作すると、該扉(5)が外側へ向けて移動し、その後にエンジンカバー(7)および穀粒貯留タンク(14)と側面視で重なるまで該穀粒貯留タンク(14)側へ向けて移動して開状態となり、狭い場所でも作業者が操作室(3)へ乗り降りすることが可能となる。また、コンバインを納屋へ出し入れする際に、低速で走行しながら側方の視界を保つことができる。
【0011】
請求項2記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果に加え、冷暖房装置(40)によって操作室(30)内での作業を快適に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】参考例の要部の拡大平面図
【図2】参考例の要部の右側部の側面図
【図3】参考例の要部の平面図
【図4】コンバインの全体側面図
【図5】コンバインの全体正面図
【図6】実施例を示す図で、開閉扉部の右側部の側面図
【図7】実施例を示す図で、開閉扉部の平面図
【図8】実施例を示す図で、コンデンサ装置部の拡大側面図
【図9】実施例を示す図で、コンデンサ装置部の拡大平面図
【図10】実施例を示す図で、排風ダクト部の拡大側面図
【図11】実施例を示す図で、排風ダクト部の拡大正面図
【図12】実施例を示す図で、排風ダクト部の拡大平面図
【図13】実施例を示す図で、切換レバー取付部の拡大正面斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の参考例および一実施例を図面に基づいて説明する。
コンバイン1の走行車台(車台)2の上側の前部には、操作室3を形成する操作室フレーム4を設け、この操作室フレーム4の一方側(右側)には、操作者が操作室3内へ昇降するときに開閉操作する開閉扉(扉)5を開閉自在に設けた構成である。この操作室フレーム4の下側で該走行車台2の上側面には、エンジン6を載置した構成であり、このエンジン6の右外側には、エンジンカバー7を開閉自在に設けた構成である。これら操作室フレーム4、及びエンジンカバー7等を主に図示して説明する。
【0014】
前記コンバイン1の走行車台2の前部には、図4、及び図5で示す如く刈取機8を設け、この刈取機8の刈刃装置9で刈取られた刈取り穀稈は、この刈取機8の穀稈掻込移送装置10で後方上部へ移送され、脱穀機11のフィードチエン12aと挟持杆12bとへ受渡しされ、これらフィードチエン12aと挟持杆12bとで引継ぎ移送して、この移送中にこの脱穀機11内で脱穀する構成である。
【0015】
前記コンバイン1の走行車台2の下側には、土壌面を走行する左右一対の走行クローラ13aを張設した走行装置13を配設し、該走行車台2の上側に載置した脱穀機11の平面視右横側には、脱穀済みで選別済みの穀粒を回収して、一時貯留する穀粒貯留タンク14を装着した構成である。
【0016】
前記穀粒貯留タンク14の後側には、この穀粒貯留タンク14内に貯留した穀粒を機外へ排出する縦移送螺旋15aを内装した排出支持筒15を略垂直姿勢で回動自在に支承して設け、この排出支持筒15の上端部には、その全長がコンバイン1の前後長に亘る機外へ穀粒を排出する排出螺旋16aを収縮自在に内装した排出オーガ16を収縮自在、上下回動自在、左右旋回自在に前後方向に配設した構成である。
【0017】
前記脱穀機11の前部で走行車台2の前側に設けた刈取機8は、前端部から順次刈取る立毛穀稈を分離するナローガイド17a、及び分草体17bと、分離された穀稈を引起す引起装置18と、引起された穀稈を掻込みする穀稈掻込移送装置10の掻込装置19と、掻込みされた穀稈を刈取る刈刃装置9と、刈取られた穀稈を後方上部へ移送する該穀稈掻込移送装置10の移送装置20と、この刈取機8には、油圧駆動による伸縮シリンダ21等を設けてなる構成である。該伸縮シリンダ21の作動により、この刈取機8を土壌面に対して昇降自在に作用させる構成である。
【0018】
前記脱穀機11側で走行車台2の上側前部には、操作室3を操作室フレーム4で形成し、この操作室3内には、コンバイン1を始動、停止、各部を操作、及び調節操作する操作装置22と、操縦作業者が搭乗する操縦席23等を設け、この操作室フレーム4の下側で走行車台2の上側面には、エンジン6を載置すると共に、後方には、穀粒貯留タンク14を配設した構成である。これら脱穀機11と、刈取機8と、エンジン6と、走行装置13等により、該コンバイン1の機体1aを構成している。
【0019】
前記操作室3を形成する操作室フレーム4は、図1〜図3で示す如く枠材で箱形状に枠具24で形成し、この枠具24には、鉄板材よりなる塞板24aを装着して設けると共に、右側部には、窓枠25を設け、この窓枠25には、枠板25aと樹脂材、又はガラス材等よりなる複数個の窓25aとよりなる開閉扉5を設けた構成であり、この開閉扉5の後端部には、開閉具26を上下に所定間隔で装着して設け、この開閉具26は該操作フレーム4の枠具24の後側の該塞板24aに設けた受具27で回動自在に支持させた構成である。これら開閉具26、及び受具27は右外側へ所定距離突出させて設けた構成である。
【0020】
前記操作室3を形成する操作室フレーム4の後端部と、穀粒貯留タンク14の前端部との間には、所定幅の空間(イ)部を設けた構成である。
前記エンジン6の右外側部には、このエンジン6のラジエータ部を覆う状態に、エンジン用カバー装置28を設け、このエンジン用カバー28は所定幅のエンジンカバー7を開閉自在に設け、このエンジンカバー7の後端部の内側には、開閉用のカバー開閉具29を上下に所定間隔で装着して設け、このカバー開閉具29は穀粒貯留タンク14の前端部に設けたL字形状の取付板30aのL字部の先端に設けたカバー受具30で回動自在に支持させた構成である。このエンジンカバー7には、各部品31等を装着した構成である。
【0021】
前記エンジンカバー7のカバー開閉具29の回動中心(ロ)は、図1で示す如く操作室フレーム4の開閉具26の回動中心(ハ)より、内側に位置させて設けた構成である。該操作室フレーム4の開閉扉5が開状態のときに、エンジンカバー7を開状態に開操作可能な構成である。
【0022】
これにより、前記操作室フレーム4の開閉扉5を開放時に、エンジンカバー7を開放出来ことにより、メンテナンス性が向上する。又、該エンジンカバー7を開放時に、該開閉扉5は略180度に開放状態にすることができて便利である。
【0023】
前記エンジンカバー7を開操作したときには、図1〜図3で示す如くこのエンジンカバー7の後端部は、操作室フレーム4の後端部と、穀粒貯留タンク14の前端部との間に形成した空間(イ)部へ回動進入する構成である。
【0024】
これにり、前記エンジンカバー7の開放角度を大きくすることができて、メンテナンス性を向上させることができた。
前記操作室フレーム4の開閉扉5の開閉具26の装着位置は、図2で示す如くエンジンカバー7の上方部に位置させて設けた構成である。
【0025】
これにより、前記操作室フレーム4の開閉扉5を開放時に、エンジンカバー7の開閉操作が可能であり、便利である。
しかして、前記操作室フレーム4の開閉扉5の内側面には、図6、及び図7で示す如くスライド開閉装置(スライド式開閉装置)32を設けた構成である。
【0026】
該開閉扉5を開操作により、この開閉扉5は油圧用シリンダ32a等よりなるスライド開閉装置32により、外側へ向けて開移動し、その後に穀粒貯留タンク14側へ向けて開移動して、この開閉扉5は開状態になる構成である。
【0027】
これにより、狭まい場所で作業者が前記操作室3への乗降が可能になる。又、納屋への出入れ時の超低速で走行時に、側方の視界を保つことができる。
前記刈取機8の穀稈掻込移送装置10の移送装置20によって、形成される穀稈搬送経路中には、刈取られて移送される刈取り穀稈に接触作用することにより、脱穀機11へ穀稈供給の有無を検出する穀稈センサ8aを設けた構成である。走行車台2の先端部に装架された走行用のミッションケース33内の伝動経路中には、その出力回転数に基づく走行車速を検出する車速センサ33aを設けた構成である。
【0028】
前記操作フレーム4で形成した操作室3内で作業者が快適に収穫作業が行えるように、この操作室3内へ熱風、又は冷風等を送風する冷暖房装置40のコンデンサ装置34は、図8で示す如く穀粒貯留タンク14の上側面へ各取付板14aを介してボルト、及びナット等で装着した構成である。
【0029】
前記コンデンサ装置34は、図8、及び図9で示す如く箱形状の上・下ケース35a,35b内には、コンデンサ36を内装して設けた箱形状の上・下コンデンサケース36a,36bを内装した構成である。上ケース35aの内側面には、目合いの大きい網材よりなる大網目部材37aを固着して設け、又、上コンデンサケース36aの内側面には、目合の小さい網材よりなる小網目部材37bを固着して設けた構成である。
【0030】
これにより、外側の目合の大きい前記大網目部材37aで大きい塵埃が除去され、更に内の目合の小さい小網目部材37bで小さい塵埃が除去されることにより、コンデンサ36に目詰りの発生を防止することができる。
【0031】
前記上・下ケース35a,35b、及び上・下コンデンサケース36a,36b内には、図8、及び図9で示す如く正逆回転するモータ38の一部を内装して設け、このモータ38の軸端部で、これら上・下ケース35a,35b内の上・下コンデンサケース36a,36b内には、ファン羽根39を内装して設けた構成である。該下コンデンサケース36bは下方へ突出させて、該下ケース35bから突出させ、この下コンデンサケース36bの突出部には、排風口36cを設けた構成である。又、該上ケース35aには、吸風口35cを設けた構成である。
【0032】
前記モータ38は所定時間の経過により、逆回転駆動され、大・小網目部材37a,37bに付着した塵埃を逆方向へ吹き出す構成である。
前記モータ38、及びファン羽根39を上・下ケース35a,35bに内装して設けたことより、部品点数が減少してコスト低減になると共に、塵埃がコンデンサ36、及びファン羽根39部に入りにくくなり、該コンデンサ36の効率を向上させることができる。
【0033】
前記冷暖房装置40は、図10〜図13で示す如く操作室3内の操縦席23の後側に設け、冷風、及び熱風を上方、又は下方へ切換する吹出口切換ダクト41は該冷暖房装置40の前側の出口へ直接接続させて設けた構成である。この吹出口切換ダクト41の上側には、上方へ向けて上ダクト42を設け、この上ダクト42の上端部には、左右両側へ分割する左・右分割ダクト42a,42bを設けて、冷風、又は熱風を左右両側に分割して、該操作室3内の天井部へ向けて供給する構成である。
【0034】
前記吹出口切換ダクト41の下側には、下ダクト43を設け、この下ダクト43は該吹出口切換ダクト41の下側から、クラッチボックス47に沿って、操縦席23の下側部へと設けた構成であり、冷風、又は熱風を該操作室3内の操縦席23の下部で作業者の足元部へ向けて供給する構成である。
【0035】
前記吹出口切換ダクト41には、冷風、又は熱風を上ダクト42、又は下ダクト43へ切換する切換レバー44は、冷暖房装置40を内装した吸気ボックス40aと、排出オーガ16を旋回、及び上下回動操作する各排出オーガレバー45a、45b、及び各操作スイッチ45c等を装着したレバーボックス46との間に設け、この切換レバー44の操作により、排風方向を上方、又は下方へ切換する構成である。
【0036】
前記切換レバー44をレバーボックス46の近傍に設けたことにより、これら各レバー44、45a、45b、及び操作スイッチ45c等を集中化させることができ、操作性が良好になった。
【0037】
前記吹出口切換ダクト41を冷暖房装置40の出口に直接連接させたことにより、この吹出口切換ダクト41部で供給風のロスを低減させて、吹出し効率のアップを図ることができた。
【0038】
前記下ダクト43は、クラッチボックス47に沿って、操縦席23の下側部へ向けて設けたことにより、この操縦席23を上下、及び前後移動させるときにも、問題になることがなくなった。
【符号の説明】
【0039】
2 走行車台(車台)
3 操作室
4 操作室フレーム
5 開閉扉(扉)
6 エンジン
7 エンジンカバー
8 刈取機
11 脱穀機
13 走行装置
14 穀粒貯留タンク
22 操作装置
23 操縦席
25a 窓
32 スライド開閉装置(スライド式開閉装置)
34 コンデンサ装置
40 冷暖房装置
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンバインの走行車台の上側前部の操作室フレームで形成した操作室へ作業者が搭乗して、この操作室フレームの下側でこの走行車台の上側へ載置したエンジンを始動させて、このコンバインを走行させ、前部の刈取機で穀稈は刈取りされ、脱穀機へ供給されて脱穀され、脱穀済み穀粒は穀粒貯留タンクへ一時貯留される。
【0003】
前記エンジンに作業中に不具合が発生したとき、及び点検するときには、このエンジンを外側から覆う状態で、操作室フレームの外側面と略同じ位置に、開閉具で開閉自在に設けたエンジンカバーを開操作して、このエンジンの不具合箇所を修理、及び点検する。
【0004】
また、操作室フレームの一側に設けた扉の後端部を回動自在に支持した構成のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平5−80224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の従来の技術では、狭い場所で作業者が操作室へ乗り降りすることが不可能であったが、この発明により、これの問題点を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このために、この発明は、次のような技術的手段を講じる。
即ち、請求項1記載の発明は、車台(2)の下側に走行装置(13)を設け、車台(2)の前部に刈取機(8)を設け、車台(2)の上側に脱穀機(11)を設け、脱穀機(11)の横側に穀粒貯留タンク(14)を設け、穀粒貯留タンク(14)の前方に操作室(3)を形成する操作室フレーム(4)を設け、操作室フレーム(4)を枠材で箱形状に形成し、操作室(3)内に操作装置(22)と操縦席(23)を設け、操作室フレーム(4)の一側に樹脂又はガラスよりなる窓(25a)を有した扉(5)を開閉自在に設け、扉(5)の内側に、該扉(5)を外側へ向けて移動させた後に穀粒貯留タンク(14)側へ向けて移動させて開放状態とするスライド式開閉装置(32)を設け、操作室フレーム(4)の下側にエンジン(6)を設け、エンジン(6)の外側にエンジンカバー(7)を開閉自在に設け、前記扉(5)を穀粒貯留タンク(14)側へ向けて移動させて開放した状態で、該扉(5)がエンジンカバー(7)および穀粒貯留タンク(14)と側面視で重なる構成としたことを特徴とするコンバインとしたものである。
【0008】
扉(5)を開操作すると、該扉(5)が外側へ向けて移動し、その後に穀粒貯留タンク(14)側へ向けて移動して開状態となり、この扉(5)がエンジンカバー(7)および穀粒貯留タンク(14)と側面視で重なる。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記操作室(3)に備える冷暖房装置(40)用のコンデンサ装置(34)を設けたことを特徴とする請求項1記載のコンバインとしたものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によると、扉(5)を開操作すると、該扉(5)が外側へ向けて移動し、その後にエンジンカバー(7)および穀粒貯留タンク(14)と側面視で重なるまで該穀粒貯留タンク(14)側へ向けて移動して開状態となり、狭い場所でも作業者が操作室(3)へ乗り降りすることが可能となる。また、コンバインを納屋へ出し入れする際に、低速で走行しながら側方の視界を保つことができる。
【0011】
請求項2記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果に加え、冷暖房装置(40)によって操作室(30)内での作業を快適に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】参考例の要部の拡大平面図
【図2】参考例の要部の右側部の側面図
【図3】参考例の要部の平面図
【図4】コンバインの全体側面図
【図5】コンバインの全体正面図
【図6】実施例を示す図で、開閉扉部の右側部の側面図
【図7】実施例を示す図で、開閉扉部の平面図
【図8】実施例を示す図で、コンデンサ装置部の拡大側面図
【図9】実施例を示す図で、コンデンサ装置部の拡大平面図
【図10】実施例を示す図で、排風ダクト部の拡大側面図
【図11】実施例を示す図で、排風ダクト部の拡大正面図
【図12】実施例を示す図で、排風ダクト部の拡大平面図
【図13】実施例を示す図で、切換レバー取付部の拡大正面斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の参考例および一実施例を図面に基づいて説明する。
コンバイン1の走行車台(車台)2の上側の前部には、操作室3を形成する操作室フレーム4を設け、この操作室フレーム4の一方側(右側)には、操作者が操作室3内へ昇降するときに開閉操作する開閉扉(扉)5を開閉自在に設けた構成である。この操作室フレーム4の下側で該走行車台2の上側面には、エンジン6を載置した構成であり、このエンジン6の右外側には、エンジンカバー7を開閉自在に設けた構成である。これら操作室フレーム4、及びエンジンカバー7等を主に図示して説明する。
【0014】
前記コンバイン1の走行車台2の前部には、図4、及び図5で示す如く刈取機8を設け、この刈取機8の刈刃装置9で刈取られた刈取り穀稈は、この刈取機8の穀稈掻込移送装置10で後方上部へ移送され、脱穀機11のフィードチエン12aと挟持杆12bとへ受渡しされ、これらフィードチエン12aと挟持杆12bとで引継ぎ移送して、この移送中にこの脱穀機11内で脱穀する構成である。
【0015】
前記コンバイン1の走行車台2の下側には、土壌面を走行する左右一対の走行クローラ13aを張設した走行装置13を配設し、該走行車台2の上側に載置した脱穀機11の平面視右横側には、脱穀済みで選別済みの穀粒を回収して、一時貯留する穀粒貯留タンク14を装着した構成である。
【0016】
前記穀粒貯留タンク14の後側には、この穀粒貯留タンク14内に貯留した穀粒を機外へ排出する縦移送螺旋15aを内装した排出支持筒15を略垂直姿勢で回動自在に支承して設け、この排出支持筒15の上端部には、その全長がコンバイン1の前後長に亘る機外へ穀粒を排出する排出螺旋16aを収縮自在に内装した排出オーガ16を収縮自在、上下回動自在、左右旋回自在に前後方向に配設した構成である。
【0017】
前記脱穀機11の前部で走行車台2の前側に設けた刈取機8は、前端部から順次刈取る立毛穀稈を分離するナローガイド17a、及び分草体17bと、分離された穀稈を引起す引起装置18と、引起された穀稈を掻込みする穀稈掻込移送装置10の掻込装置19と、掻込みされた穀稈を刈取る刈刃装置9と、刈取られた穀稈を後方上部へ移送する該穀稈掻込移送装置10の移送装置20と、この刈取機8には、油圧駆動による伸縮シリンダ21等を設けてなる構成である。該伸縮シリンダ21の作動により、この刈取機8を土壌面に対して昇降自在に作用させる構成である。
【0018】
前記脱穀機11側で走行車台2の上側前部には、操作室3を操作室フレーム4で形成し、この操作室3内には、コンバイン1を始動、停止、各部を操作、及び調節操作する操作装置22と、操縦作業者が搭乗する操縦席23等を設け、この操作室フレーム4の下側で走行車台2の上側面には、エンジン6を載置すると共に、後方には、穀粒貯留タンク14を配設した構成である。これら脱穀機11と、刈取機8と、エンジン6と、走行装置13等により、該コンバイン1の機体1aを構成している。
【0019】
前記操作室3を形成する操作室フレーム4は、図1〜図3で示す如く枠材で箱形状に枠具24で形成し、この枠具24には、鉄板材よりなる塞板24aを装着して設けると共に、右側部には、窓枠25を設け、この窓枠25には、枠板25aと樹脂材、又はガラス材等よりなる複数個の窓25aとよりなる開閉扉5を設けた構成であり、この開閉扉5の後端部には、開閉具26を上下に所定間隔で装着して設け、この開閉具26は該操作フレーム4の枠具24の後側の該塞板24aに設けた受具27で回動自在に支持させた構成である。これら開閉具26、及び受具27は右外側へ所定距離突出させて設けた構成である。
【0020】
前記操作室3を形成する操作室フレーム4の後端部と、穀粒貯留タンク14の前端部との間には、所定幅の空間(イ)部を設けた構成である。
前記エンジン6の右外側部には、このエンジン6のラジエータ部を覆う状態に、エンジン用カバー装置28を設け、このエンジン用カバー28は所定幅のエンジンカバー7を開閉自在に設け、このエンジンカバー7の後端部の内側には、開閉用のカバー開閉具29を上下に所定間隔で装着して設け、このカバー開閉具29は穀粒貯留タンク14の前端部に設けたL字形状の取付板30aのL字部の先端に設けたカバー受具30で回動自在に支持させた構成である。このエンジンカバー7には、各部品31等を装着した構成である。
【0021】
前記エンジンカバー7のカバー開閉具29の回動中心(ロ)は、図1で示す如く操作室フレーム4の開閉具26の回動中心(ハ)より、内側に位置させて設けた構成である。該操作室フレーム4の開閉扉5が開状態のときに、エンジンカバー7を開状態に開操作可能な構成である。
【0022】
これにより、前記操作室フレーム4の開閉扉5を開放時に、エンジンカバー7を開放出来ことにより、メンテナンス性が向上する。又、該エンジンカバー7を開放時に、該開閉扉5は略180度に開放状態にすることができて便利である。
【0023】
前記エンジンカバー7を開操作したときには、図1〜図3で示す如くこのエンジンカバー7の後端部は、操作室フレーム4の後端部と、穀粒貯留タンク14の前端部との間に形成した空間(イ)部へ回動進入する構成である。
【0024】
これにり、前記エンジンカバー7の開放角度を大きくすることができて、メンテナンス性を向上させることができた。
前記操作室フレーム4の開閉扉5の開閉具26の装着位置は、図2で示す如くエンジンカバー7の上方部に位置させて設けた構成である。
【0025】
これにより、前記操作室フレーム4の開閉扉5を開放時に、エンジンカバー7の開閉操作が可能であり、便利である。
しかして、前記操作室フレーム4の開閉扉5の内側面には、図6、及び図7で示す如くスライド開閉装置(スライド式開閉装置)32を設けた構成である。
【0026】
該開閉扉5を開操作により、この開閉扉5は油圧用シリンダ32a等よりなるスライド開閉装置32により、外側へ向けて開移動し、その後に穀粒貯留タンク14側へ向けて開移動して、この開閉扉5は開状態になる構成である。
【0027】
これにより、狭まい場所で作業者が前記操作室3への乗降が可能になる。又、納屋への出入れ時の超低速で走行時に、側方の視界を保つことができる。
前記刈取機8の穀稈掻込移送装置10の移送装置20によって、形成される穀稈搬送経路中には、刈取られて移送される刈取り穀稈に接触作用することにより、脱穀機11へ穀稈供給の有無を検出する穀稈センサ8aを設けた構成である。走行車台2の先端部に装架された走行用のミッションケース33内の伝動経路中には、その出力回転数に基づく走行車速を検出する車速センサ33aを設けた構成である。
【0028】
前記操作フレーム4で形成した操作室3内で作業者が快適に収穫作業が行えるように、この操作室3内へ熱風、又は冷風等を送風する冷暖房装置40のコンデンサ装置34は、図8で示す如く穀粒貯留タンク14の上側面へ各取付板14aを介してボルト、及びナット等で装着した構成である。
【0029】
前記コンデンサ装置34は、図8、及び図9で示す如く箱形状の上・下ケース35a,35b内には、コンデンサ36を内装して設けた箱形状の上・下コンデンサケース36a,36bを内装した構成である。上ケース35aの内側面には、目合いの大きい網材よりなる大網目部材37aを固着して設け、又、上コンデンサケース36aの内側面には、目合の小さい網材よりなる小網目部材37bを固着して設けた構成である。
【0030】
これにより、外側の目合の大きい前記大網目部材37aで大きい塵埃が除去され、更に内の目合の小さい小網目部材37bで小さい塵埃が除去されることにより、コンデンサ36に目詰りの発生を防止することができる。
【0031】
前記上・下ケース35a,35b、及び上・下コンデンサケース36a,36b内には、図8、及び図9で示す如く正逆回転するモータ38の一部を内装して設け、このモータ38の軸端部で、これら上・下ケース35a,35b内の上・下コンデンサケース36a,36b内には、ファン羽根39を内装して設けた構成である。該下コンデンサケース36bは下方へ突出させて、該下ケース35bから突出させ、この下コンデンサケース36bの突出部には、排風口36cを設けた構成である。又、該上ケース35aには、吸風口35cを設けた構成である。
【0032】
前記モータ38は所定時間の経過により、逆回転駆動され、大・小網目部材37a,37bに付着した塵埃を逆方向へ吹き出す構成である。
前記モータ38、及びファン羽根39を上・下ケース35a,35bに内装して設けたことより、部品点数が減少してコスト低減になると共に、塵埃がコンデンサ36、及びファン羽根39部に入りにくくなり、該コンデンサ36の効率を向上させることができる。
【0033】
前記冷暖房装置40は、図10〜図13で示す如く操作室3内の操縦席23の後側に設け、冷風、及び熱風を上方、又は下方へ切換する吹出口切換ダクト41は該冷暖房装置40の前側の出口へ直接接続させて設けた構成である。この吹出口切換ダクト41の上側には、上方へ向けて上ダクト42を設け、この上ダクト42の上端部には、左右両側へ分割する左・右分割ダクト42a,42bを設けて、冷風、又は熱風を左右両側に分割して、該操作室3内の天井部へ向けて供給する構成である。
【0034】
前記吹出口切換ダクト41の下側には、下ダクト43を設け、この下ダクト43は該吹出口切換ダクト41の下側から、クラッチボックス47に沿って、操縦席23の下側部へと設けた構成であり、冷風、又は熱風を該操作室3内の操縦席23の下部で作業者の足元部へ向けて供給する構成である。
【0035】
前記吹出口切換ダクト41には、冷風、又は熱風を上ダクト42、又は下ダクト43へ切換する切換レバー44は、冷暖房装置40を内装した吸気ボックス40aと、排出オーガ16を旋回、及び上下回動操作する各排出オーガレバー45a、45b、及び各操作スイッチ45c等を装着したレバーボックス46との間に設け、この切換レバー44の操作により、排風方向を上方、又は下方へ切換する構成である。
【0036】
前記切換レバー44をレバーボックス46の近傍に設けたことにより、これら各レバー44、45a、45b、及び操作スイッチ45c等を集中化させることができ、操作性が良好になった。
【0037】
前記吹出口切換ダクト41を冷暖房装置40の出口に直接連接させたことにより、この吹出口切換ダクト41部で供給風のロスを低減させて、吹出し効率のアップを図ることができた。
【0038】
前記下ダクト43は、クラッチボックス47に沿って、操縦席23の下側部へ向けて設けたことにより、この操縦席23を上下、及び前後移動させるときにも、問題になることがなくなった。
【符号の説明】
【0039】
2 走行車台(車台)
3 操作室
4 操作室フレーム
5 開閉扉(扉)
6 エンジン
7 エンジンカバー
8 刈取機
11 脱穀機
13 走行装置
14 穀粒貯留タンク
22 操作装置
23 操縦席
25a 窓
32 スライド開閉装置(スライド式開閉装置)
34 コンデンサ装置
40 冷暖房装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車台(2)の下側に走行装置(13)を設け、車台(2)の前部に刈取機(8)を設け、車台(2)の上側に脱穀機(11)を設け、脱穀機(11)の横側に穀粒貯留タンク(14)を設け、穀粒貯留タンク(14)の前方に操作室(3)を形成する操作室フレーム(4)を設け、操作室フレーム(4)を枠材で箱形状に形成し、操作室(3)内に操作装置(22)と操縦席(23)を設け、操作室フレーム(4)の一側に樹脂又はガラスよりなる窓(25a)を有した扉(5)を開閉自在に設け、扉(5)の内側に、該扉(5)を外側へ向けて移動させた後に穀粒貯留タンク(14)側へ向けて移動させて開放状態とするスライド式開閉装置(32)を設け、操作室フレーム(4)の下側にエンジン(6)を設け、エンジン(6)の外側にエンジンカバー(7)を開閉自在に設け、前記扉(5)を穀粒貯留タンク(14)側へ向けて移動させて開放した状態で、該扉(5)がエンジンカバー(7)および穀粒貯留タンク(14)と側面視で重なる構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記操作室(3)に備える冷暖房装置(40)用のコンデンサ装置(34)を設けたことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項1】
車台(2)の下側に走行装置(13)を設け、車台(2)の前部に刈取機(8)を設け、車台(2)の上側に脱穀機(11)を設け、脱穀機(11)の横側に穀粒貯留タンク(14)を設け、穀粒貯留タンク(14)の前方に操作室(3)を形成する操作室フレーム(4)を設け、操作室フレーム(4)を枠材で箱形状に形成し、操作室(3)内に操作装置(22)と操縦席(23)を設け、操作室フレーム(4)の一側に樹脂又はガラスよりなる窓(25a)を有した扉(5)を開閉自在に設け、扉(5)の内側に、該扉(5)を外側へ向けて移動させた後に穀粒貯留タンク(14)側へ向けて移動させて開放状態とするスライド式開閉装置(32)を設け、操作室フレーム(4)の下側にエンジン(6)を設け、エンジン(6)の外側にエンジンカバー(7)を開閉自在に設け、前記扉(5)を穀粒貯留タンク(14)側へ向けて移動させて開放した状態で、該扉(5)がエンジンカバー(7)および穀粒貯留タンク(14)と側面視で重なる構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記操作室(3)に備える冷暖房装置(40)用のコンデンサ装置(34)を設けたことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−240333(P2009−240333A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177636(P2009−177636)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【分割の表示】特願2000−222477(P2000−222477)の分割
【原出願日】平成12年7月24日(2000.7.24)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【分割の表示】特願2000−222477(P2000−222477)の分割
【原出願日】平成12年7月24日(2000.7.24)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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