コンバイン
【課題】 刈取部が左右に横移動してもナローガイドの張り出し量を一定に保持し,分草性能の向上を図る。
【解決手段】 穀稈を刈り取って掻込搬送する刈取部(4)を刈取横移動用駆動手段(14)を介して左右横方向に移動可能に装備し、横移動可能な刈取部(4)の未刈地側横側部には、外側方に張り出す分草作用姿勢と機体側に収納する収納姿勢とに切替可能なナローガイド(16)を設け、該ナローガイド(16)は横幅方向に伸縮可能な屈伸リンク(17)を介して連係すると共に、運転操作部近くに設けられた操作レバー(18)によって遠隔操作できるように連動構成する。
【解決手段】 穀稈を刈り取って掻込搬送する刈取部(4)を刈取横移動用駆動手段(14)を介して左右横方向に移動可能に装備し、横移動可能な刈取部(4)の未刈地側横側部には、外側方に張り出す分草作用姿勢と機体側に収納する収納姿勢とに切替可能なナローガイド(16)を設け、該ナローガイド(16)は横幅方向に伸縮可能な屈伸リンク(17)を介して連係すると共に、運転操作部近くに設けられた操作レバー(18)によって遠隔操作できるように連動構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、刈取部を左右横方向に移動させる左右横移動手段と、刈取部の未刈地側横側部に設けられたナローガイドを外側方に張り出す分草作用姿勢と機体側に収納する収納姿勢とに切替可能な切替操作手段を備えたコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1には、刈取部の未刈地側横側部に、外側方へ張り出す分草作用姿勢と機体側へ収納する収納姿勢とに切替可能なナローガイドを設け、運転操作部の近くに設けられた操作レバーの操作により、ナローガイドを分草作用姿勢と収納姿勢とに切替遠隔操作できるように構成したものが開示されている。
【特許文献1】特開2007−174955号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
刈取部を左右に横移動させる手段を講じた場合には、この刈取部の横移動に伴ってナローガイドの張り出し量が変化すると、分草作用に支障をきたす問題が生じる。
本発明の課題は、刈取部が左右に横移動してもナローガイドの張り出し量を一定に保持し,分草性能の低下を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の発明は、植立穀稈を左右に分草する分草体(8)と分草後の穀稈を引き起す引起し装置(9)と引起し後の穀稈を刈り取る刈取装置(10)と刈取穀稈を掻込搬送する掻込搬送装置(11)等からなる刈取部(4)を刈取横移動用駆動手段(14)を介して左右方向に移動可能に装備し、該刈取部(4)の未刈地側横側部には、左右外側方に張り出す分草作用姿勢と機体側に収納する収納姿勢とに切替可能なナローガイド(16)を設け、該ナローガイド(16)に左右方向に伸縮自在な屈伸リンク(17)を連結し、運転操作部近くに設けた操作レバー(18)の操作によって屈伸リンク(17)を伸縮作動させてナローガイド(16)を分草作用姿勢と収納姿勢とに切り替える構成としたことを特徴とするコンバインとする。
【0005】
中割作業時には、左右の走行クローラ(2),(2)が未刈稈を踏み込まないように、刈取部を左右のクローラ間に位置させた状態で刈取作業を行う。回り刈り作業時には、未刈地側の走行クローラが未刈稈を踏み込まないようにするため、及び、排ワラや切断ワラが未刈稈上に落下しないようにするため、刈取部をできるだけ未刈地側に横移動させて刈取作業を能率よく行うことができる。
【0006】
ナローガイド16は、操作レバー18の切替操作によって、外側方に張り出す分草作用姿勢と機体側に収納する収納姿勢とに切り替えることができ、運転操作部近くから遠隔操作することができる。
【0007】
作業状況によって刈取部を内側又は外側に横移動させても、これに追従してナローガイドが移動することになり、ナローガイドの張り出し位置の変化がなく、一定の張り出し量を保ち、所期通りの分草性能を維持する。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記刈取装置(10)の後部に横架された刈取横フレーム(26)を中空のパイプ状に形成し、前記ナローガイド(16)の屈伸リンク(17)を伸縮させる伸縮作動機構(20,21)と操作レバー(18)とを操作ワイヤ(22,23)で連繋し、該操作ワイヤ(22,23)を前記刈取横フレーム(26)内に挿通したことを特徴とする請求項1記載のコンバインとする。
【0009】
操作ワイヤ22,23は刈取横フレーム26の内部に挿通させているので、操作ワイヤ22,23を保護することができるばかりでなく、操作ワイヤ22,23を円滑に案内することができ、ナローガイド16の張出し姿勢及び収納姿勢への切替操作も容易に行える。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、作業状況によって刈取部4を左右方向に横移動させても、これに追従してナローガイド16も移動するので、刈取部4に対するナローガイド16の張り出し位置の変化がなく、一定の張り出し量を保持でき、所期通りの分草性能を維持して刈取作業を円滑に行なうことができる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果を奏するものでありながら、操作ワイヤ22,23は刈取横フレーム26の内部に挿通してあるので、外部との干渉がなく操作ワイヤ22,23を確実に保護することができ、しかも、操作ワイヤの操作性が良く円滑に案内することができ、ナローガイド16の切替操作を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は、コンバインの正面図を示すものであり、この走行車体1には、左右一対の走行クローラ2,2を備え、後部に搭載した脱穀装置3の前方部に刈取部4を設置し,刈取部4の横側部には運転席5や操作ボックス6等からなる運転操作部を備え、更に、その運転操作部の後方には脱穀粒を一時的に貯留するグレンタンクGを装備している。
【0013】
刈取部4は、立毛する穀稈を左右に分草する分草体8…と、分草後の穀稈を引き起す穀稈引起し装置9と、引起し後の穀稈を刈り取る刈取装置10と、刈取後の穀稈を掻込搬送する掻込搬送装置11と、掻込搬送後の穀稈を揚上搬送して脱穀装置3のフィードチエン3aに受け継がせる揚上搬送装置12等からなり、車体に対し上下動可能な刈取縦フレーム13を介して昇降する構成としている。
【0014】
また、分草体8、引起し装置9、刈取装置10及び掻込搬送装置11などからなる刈取前処理部4Fは、刈取縦フレーム13に対して左右横方向にスライド可能に装備し、左右横移動用駆動手段の一例であるスライドシリンダ14の伸縮作動によって横移動する構成としている。図2に示すように、刈取前処理部4Fはスライド量Lの範囲において横移動する構成であり、中割作業時は、刈取前処理部が走行幅内に位置するよう内側に移動させて図3の状態位置で刈取作業を行い、回り刈り作業時は、刈取前処理部を図3位置から未刈地側外方に横移動させて図4の状態位置で作業を行う。
【0015】
各分草体8…は、刈取装置10側から前方に突設する分草支持フレーム15の先端に取り付けられている。
横移動可能な刈取前処理部4Fの未刈地側横側部には、外側方に張り出す分草作用姿勢と機体側に収納する収納姿勢とに切替可能なナローガイド16が設けられている。このナローガイド16は、前端部が未刈地側(左側)の分草体8の背部位置で分草支持フレーム15の前端部に回動自在に枢支され、後端が走行フレーム7に前後方向スライド可能に支持されており、そして、第1リンク17aと第2リンク17bからなる横幅方向に伸縮可能な屈伸リンク17を介して張出し・収納自在に連係され、運転操作部近く(脱穀装置の扱胴カバー上でも良い)に設けられた操作レバー18によって遠隔操作できるように連動構成されている。 左側(未刈地側)の分草支持フレーム15の基端側にブラケット19が取り付けられ、ブラケット19には上下方向に立設する回動軸20が軸支され、また、この回動軸20には天秤アーム21と前記屈伸リンク17の第1リンク17aが一体に回動するよう固定されている。天秤アーム21の両端には2本の操作ワイヤ22,23の一端側が連結され、該操作ワイヤ22,23の他端側は前記操作レバー18に連動連結されている。
【0016】
刈取装置10の後部に横架され、且つ、各分草支持フレーム15,15…を下側から連結保持する刈取横フレーム26は、中空の角パイプで構成してあり、このフレーム26内には前記2本の操作ワイヤ22,23を挿通して該ワイヤの操作レバー側への引き操作及び反操作レバー側への戻し操作をガイドする構成としている。
【0017】
しかして、操作レバー18を一方向に回動操作すると、天秤アーム21の一端側に接続されたワイヤ22が操作レバー18側に引っ張られると同時に、天秤アーム21の他端側に接続されたワイヤ23が反操作レバー側に引き戻される。これにより、天秤アーム21が反時計方向に揺動し、回動軸20と一体の第1リンク17aが図5の状態から外方に向けて回動する。かかる回動により、屈折状態の屈伸リンク17が図6に示すように直線状に伸び切ってナローガイド16を外方に押し出し、ナローガイドが外方に張り出して分草作用姿勢に切り替えられる。また、操作レバー18を他方向に回動操作すると、ワイヤ23が操作レバー18側に引っ張られると同時に、ワイヤ22が反操作レバー側に引き戻されることにより、天秤アーム21が時計方向に揺動し、回動軸20が同方向に回動して、これと一体の第1リンク17aが内方に向けて回動する。これにより、直線状態にあるリンク17a,17bが縮む方向に折れ曲がりナローガイド16を内方に引き込み、ナローガイドが内方へ引退して図5に示す収納姿勢に切り替えられる。
【0018】
なお、ナローガイドの外方への張り出し時における第1リンク17aと第2リンク17bとの連結ピン24による連結部には、この連結部が若干後方へ凸となる折れ曲がり状態で保持されるようにストッパ25を設けることで、ナローガイドが強力な分草作用力を受けても収納方向への戻りを確実に阻止することができる。
【0019】
操作ワイヤ22,23を接続する天秤アーム21を、刈取横フレーム26の上下幅内に配置することによって、このフレーム26内に挿通する操作ワイヤ22,23の過度の屈曲防止が図られ、ワイヤの案内作用がスムースに行える。
【0020】
また、天秤アーム21と刈取横フレーム26端部との間にはワイヤ22,23の屈曲部分をガイドするL型のエルボガイド金具27が設けられている。このエルボガイド金具27は、この端部をフレーム26の角パイプ入口端部に挿入固定することによってワイヤの屈曲部がガイドされるので、ワイヤの移動がスムースに行え、ナローガイドの押し出し、引き戻し操作を容易に行うことができる。
【0021】
図9に示すように、エンジンから入力される刈取入力軸30を内装軸架した入力伝動ケース31を車体側から立設する懸架台上に架設し、入力伝動ケースの中間部位から前方下方に延びる刈取縦フレーム13の前端部から左右横方向に延びる刈取伝動ケース32には、刈取部4の刈取装置10や掻込搬送装置11等を架設して伝動可能に設け、この刈取部全体が前記刈取入力軸30を回動支点として上下に昇降する構成としている。また、刈取入力軸30からは、右側の引起し装置9を回転駆動すべく駆動スプロケット9aに連動連結する引起し伝動軸33が前方に向けて突設されている。引起し伝動軸33は、伸縮可能なスプライン軸部34と、左右上下に屈折可能なユニバーサルジョイント35,35を介して左右上下揺動及び前後伸縮自在に構成されている。引起し伝動軸33の途中部より右引起し伝動パイプ36内の伝動軸37、刈取伝動ケース32内の伝動軸及び左引起し伝動ケース38内の伝動軸を経て左引起し装置9を駆動すべく連動構成している。この図例(図9)における前記操作ワイヤ22,23は、刈取横フレーム26内を左端側から挿通して右端側に引き出し、これより右引起し伝動パイプ36上へ配策し引起し伝動軸33上を通して前記操作レバー18に連絡すべく構成している。これにより、ワイヤのたるみや屈曲を防止でき操作性が向上する。
【0022】
図10及び図11に示す実施例は、多条刈(4条刈)コンバインにおいて、中央側の引起し装置9C,9Cの背部に設けられた合流搬送カバー40の上部にナローガイド16の操作レバー18を配置した構成を示すものである。図例の操作レバー18は、左右方向に設けられたガイド溝41より上方に突出させ、操作レバーの支点軸42や操作アーム43、この操作アームに連結する操作ワイヤ22,23の操作アーム側端部をカバー40内に内装して外部より保護する構成としている。また、操作レバーは左右横方向の操作で、ナローガイド16を機体より外方への分草作用姿勢と機体側内方への収納姿勢とに切り替えできるように、操作レバーの操作方向とナローガイドの作動方向を一致させる構成としている。つまり、操作レバー18を左方向に操作すると、ナローガイドは左外方に張り出し、操作レバーを右方向に操作すると、ナローガイドは右内方に収納する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】コンバインの正面図
【図2】刈取部の左右横移動範囲を示した平面図
【図3】コンバイン要部の平面図
【図4】同上要部の平面図
【図5】刈取部要部の平面図
【図6】同上要部の平面図
【図7】刈取部の要部の側面図
【図8】同上要部の正面図
【図9】刈取部要部の側面図、
【図10】別実施例のコンバインの正面図
【図11】同上要部の平面図
【符号の説明】
【0024】
1 走行車体
4 刈取部
4F 刈取前処理部
8 分草体
9 引起し装置
10 刈取装置
11 掻込搬送装置
14 刈取横移動用駆動手段(スライドシリンダ)
16 ナローガイド
17 屈伸リンク
18 操作レバー
20 伸縮作動機構(回動軸)
21 伸縮作動機構(天秤アーム)
22 操作ワイヤ
23 操作ワイヤ
26 刈取横フレーム
【技術分野】
【0001】
この発明は、刈取部を左右横方向に移動させる左右横移動手段と、刈取部の未刈地側横側部に設けられたナローガイドを外側方に張り出す分草作用姿勢と機体側に収納する収納姿勢とに切替可能な切替操作手段を備えたコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1には、刈取部の未刈地側横側部に、外側方へ張り出す分草作用姿勢と機体側へ収納する収納姿勢とに切替可能なナローガイドを設け、運転操作部の近くに設けられた操作レバーの操作により、ナローガイドを分草作用姿勢と収納姿勢とに切替遠隔操作できるように構成したものが開示されている。
【特許文献1】特開2007−174955号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
刈取部を左右に横移動させる手段を講じた場合には、この刈取部の横移動に伴ってナローガイドの張り出し量が変化すると、分草作用に支障をきたす問題が生じる。
本発明の課題は、刈取部が左右に横移動してもナローガイドの張り出し量を一定に保持し,分草性能の低下を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の発明は、植立穀稈を左右に分草する分草体(8)と分草後の穀稈を引き起す引起し装置(9)と引起し後の穀稈を刈り取る刈取装置(10)と刈取穀稈を掻込搬送する掻込搬送装置(11)等からなる刈取部(4)を刈取横移動用駆動手段(14)を介して左右方向に移動可能に装備し、該刈取部(4)の未刈地側横側部には、左右外側方に張り出す分草作用姿勢と機体側に収納する収納姿勢とに切替可能なナローガイド(16)を設け、該ナローガイド(16)に左右方向に伸縮自在な屈伸リンク(17)を連結し、運転操作部近くに設けた操作レバー(18)の操作によって屈伸リンク(17)を伸縮作動させてナローガイド(16)を分草作用姿勢と収納姿勢とに切り替える構成としたことを特徴とするコンバインとする。
【0005】
中割作業時には、左右の走行クローラ(2),(2)が未刈稈を踏み込まないように、刈取部を左右のクローラ間に位置させた状態で刈取作業を行う。回り刈り作業時には、未刈地側の走行クローラが未刈稈を踏み込まないようにするため、及び、排ワラや切断ワラが未刈稈上に落下しないようにするため、刈取部をできるだけ未刈地側に横移動させて刈取作業を能率よく行うことができる。
【0006】
ナローガイド16は、操作レバー18の切替操作によって、外側方に張り出す分草作用姿勢と機体側に収納する収納姿勢とに切り替えることができ、運転操作部近くから遠隔操作することができる。
【0007】
作業状況によって刈取部を内側又は外側に横移動させても、これに追従してナローガイドが移動することになり、ナローガイドの張り出し位置の変化がなく、一定の張り出し量を保ち、所期通りの分草性能を維持する。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記刈取装置(10)の後部に横架された刈取横フレーム(26)を中空のパイプ状に形成し、前記ナローガイド(16)の屈伸リンク(17)を伸縮させる伸縮作動機構(20,21)と操作レバー(18)とを操作ワイヤ(22,23)で連繋し、該操作ワイヤ(22,23)を前記刈取横フレーム(26)内に挿通したことを特徴とする請求項1記載のコンバインとする。
【0009】
操作ワイヤ22,23は刈取横フレーム26の内部に挿通させているので、操作ワイヤ22,23を保護することができるばかりでなく、操作ワイヤ22,23を円滑に案内することができ、ナローガイド16の張出し姿勢及び収納姿勢への切替操作も容易に行える。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、作業状況によって刈取部4を左右方向に横移動させても、これに追従してナローガイド16も移動するので、刈取部4に対するナローガイド16の張り出し位置の変化がなく、一定の張り出し量を保持でき、所期通りの分草性能を維持して刈取作業を円滑に行なうことができる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果を奏するものでありながら、操作ワイヤ22,23は刈取横フレーム26の内部に挿通してあるので、外部との干渉がなく操作ワイヤ22,23を確実に保護することができ、しかも、操作ワイヤの操作性が良く円滑に案内することができ、ナローガイド16の切替操作を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は、コンバインの正面図を示すものであり、この走行車体1には、左右一対の走行クローラ2,2を備え、後部に搭載した脱穀装置3の前方部に刈取部4を設置し,刈取部4の横側部には運転席5や操作ボックス6等からなる運転操作部を備え、更に、その運転操作部の後方には脱穀粒を一時的に貯留するグレンタンクGを装備している。
【0013】
刈取部4は、立毛する穀稈を左右に分草する分草体8…と、分草後の穀稈を引き起す穀稈引起し装置9と、引起し後の穀稈を刈り取る刈取装置10と、刈取後の穀稈を掻込搬送する掻込搬送装置11と、掻込搬送後の穀稈を揚上搬送して脱穀装置3のフィードチエン3aに受け継がせる揚上搬送装置12等からなり、車体に対し上下動可能な刈取縦フレーム13を介して昇降する構成としている。
【0014】
また、分草体8、引起し装置9、刈取装置10及び掻込搬送装置11などからなる刈取前処理部4Fは、刈取縦フレーム13に対して左右横方向にスライド可能に装備し、左右横移動用駆動手段の一例であるスライドシリンダ14の伸縮作動によって横移動する構成としている。図2に示すように、刈取前処理部4Fはスライド量Lの範囲において横移動する構成であり、中割作業時は、刈取前処理部が走行幅内に位置するよう内側に移動させて図3の状態位置で刈取作業を行い、回り刈り作業時は、刈取前処理部を図3位置から未刈地側外方に横移動させて図4の状態位置で作業を行う。
【0015】
各分草体8…は、刈取装置10側から前方に突設する分草支持フレーム15の先端に取り付けられている。
横移動可能な刈取前処理部4Fの未刈地側横側部には、外側方に張り出す分草作用姿勢と機体側に収納する収納姿勢とに切替可能なナローガイド16が設けられている。このナローガイド16は、前端部が未刈地側(左側)の分草体8の背部位置で分草支持フレーム15の前端部に回動自在に枢支され、後端が走行フレーム7に前後方向スライド可能に支持されており、そして、第1リンク17aと第2リンク17bからなる横幅方向に伸縮可能な屈伸リンク17を介して張出し・収納自在に連係され、運転操作部近く(脱穀装置の扱胴カバー上でも良い)に設けられた操作レバー18によって遠隔操作できるように連動構成されている。 左側(未刈地側)の分草支持フレーム15の基端側にブラケット19が取り付けられ、ブラケット19には上下方向に立設する回動軸20が軸支され、また、この回動軸20には天秤アーム21と前記屈伸リンク17の第1リンク17aが一体に回動するよう固定されている。天秤アーム21の両端には2本の操作ワイヤ22,23の一端側が連結され、該操作ワイヤ22,23の他端側は前記操作レバー18に連動連結されている。
【0016】
刈取装置10の後部に横架され、且つ、各分草支持フレーム15,15…を下側から連結保持する刈取横フレーム26は、中空の角パイプで構成してあり、このフレーム26内には前記2本の操作ワイヤ22,23を挿通して該ワイヤの操作レバー側への引き操作及び反操作レバー側への戻し操作をガイドする構成としている。
【0017】
しかして、操作レバー18を一方向に回動操作すると、天秤アーム21の一端側に接続されたワイヤ22が操作レバー18側に引っ張られると同時に、天秤アーム21の他端側に接続されたワイヤ23が反操作レバー側に引き戻される。これにより、天秤アーム21が反時計方向に揺動し、回動軸20と一体の第1リンク17aが図5の状態から外方に向けて回動する。かかる回動により、屈折状態の屈伸リンク17が図6に示すように直線状に伸び切ってナローガイド16を外方に押し出し、ナローガイドが外方に張り出して分草作用姿勢に切り替えられる。また、操作レバー18を他方向に回動操作すると、ワイヤ23が操作レバー18側に引っ張られると同時に、ワイヤ22が反操作レバー側に引き戻されることにより、天秤アーム21が時計方向に揺動し、回動軸20が同方向に回動して、これと一体の第1リンク17aが内方に向けて回動する。これにより、直線状態にあるリンク17a,17bが縮む方向に折れ曲がりナローガイド16を内方に引き込み、ナローガイドが内方へ引退して図5に示す収納姿勢に切り替えられる。
【0018】
なお、ナローガイドの外方への張り出し時における第1リンク17aと第2リンク17bとの連結ピン24による連結部には、この連結部が若干後方へ凸となる折れ曲がり状態で保持されるようにストッパ25を設けることで、ナローガイドが強力な分草作用力を受けても収納方向への戻りを確実に阻止することができる。
【0019】
操作ワイヤ22,23を接続する天秤アーム21を、刈取横フレーム26の上下幅内に配置することによって、このフレーム26内に挿通する操作ワイヤ22,23の過度の屈曲防止が図られ、ワイヤの案内作用がスムースに行える。
【0020】
また、天秤アーム21と刈取横フレーム26端部との間にはワイヤ22,23の屈曲部分をガイドするL型のエルボガイド金具27が設けられている。このエルボガイド金具27は、この端部をフレーム26の角パイプ入口端部に挿入固定することによってワイヤの屈曲部がガイドされるので、ワイヤの移動がスムースに行え、ナローガイドの押し出し、引き戻し操作を容易に行うことができる。
【0021】
図9に示すように、エンジンから入力される刈取入力軸30を内装軸架した入力伝動ケース31を車体側から立設する懸架台上に架設し、入力伝動ケースの中間部位から前方下方に延びる刈取縦フレーム13の前端部から左右横方向に延びる刈取伝動ケース32には、刈取部4の刈取装置10や掻込搬送装置11等を架設して伝動可能に設け、この刈取部全体が前記刈取入力軸30を回動支点として上下に昇降する構成としている。また、刈取入力軸30からは、右側の引起し装置9を回転駆動すべく駆動スプロケット9aに連動連結する引起し伝動軸33が前方に向けて突設されている。引起し伝動軸33は、伸縮可能なスプライン軸部34と、左右上下に屈折可能なユニバーサルジョイント35,35を介して左右上下揺動及び前後伸縮自在に構成されている。引起し伝動軸33の途中部より右引起し伝動パイプ36内の伝動軸37、刈取伝動ケース32内の伝動軸及び左引起し伝動ケース38内の伝動軸を経て左引起し装置9を駆動すべく連動構成している。この図例(図9)における前記操作ワイヤ22,23は、刈取横フレーム26内を左端側から挿通して右端側に引き出し、これより右引起し伝動パイプ36上へ配策し引起し伝動軸33上を通して前記操作レバー18に連絡すべく構成している。これにより、ワイヤのたるみや屈曲を防止でき操作性が向上する。
【0022】
図10及び図11に示す実施例は、多条刈(4条刈)コンバインにおいて、中央側の引起し装置9C,9Cの背部に設けられた合流搬送カバー40の上部にナローガイド16の操作レバー18を配置した構成を示すものである。図例の操作レバー18は、左右方向に設けられたガイド溝41より上方に突出させ、操作レバーの支点軸42や操作アーム43、この操作アームに連結する操作ワイヤ22,23の操作アーム側端部をカバー40内に内装して外部より保護する構成としている。また、操作レバーは左右横方向の操作で、ナローガイド16を機体より外方への分草作用姿勢と機体側内方への収納姿勢とに切り替えできるように、操作レバーの操作方向とナローガイドの作動方向を一致させる構成としている。つまり、操作レバー18を左方向に操作すると、ナローガイドは左外方に張り出し、操作レバーを右方向に操作すると、ナローガイドは右内方に収納する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】コンバインの正面図
【図2】刈取部の左右横移動範囲を示した平面図
【図3】コンバイン要部の平面図
【図4】同上要部の平面図
【図5】刈取部要部の平面図
【図6】同上要部の平面図
【図7】刈取部の要部の側面図
【図8】同上要部の正面図
【図9】刈取部要部の側面図、
【図10】別実施例のコンバインの正面図
【図11】同上要部の平面図
【符号の説明】
【0024】
1 走行車体
4 刈取部
4F 刈取前処理部
8 分草体
9 引起し装置
10 刈取装置
11 掻込搬送装置
14 刈取横移動用駆動手段(スライドシリンダ)
16 ナローガイド
17 屈伸リンク
18 操作レバー
20 伸縮作動機構(回動軸)
21 伸縮作動機構(天秤アーム)
22 操作ワイヤ
23 操作ワイヤ
26 刈取横フレーム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植立穀稈を左右に分草する分草体(8)と分草後の穀稈を引き起す引起し装置(9)と引起し後の穀稈を刈り取る刈取装置(10)と刈取穀稈を掻込搬送する掻込搬送装置(11)等からなる刈取部(4)を刈取横移動用駆動手段(14)を介して左右方向に移動可能に装備し、該刈取部(4)の未刈地側横側部には、左右外側方に張り出す分草作用姿勢と機体側に収納する収納姿勢とに切替可能なナローガイド(16)を設け、該ナローガイド(16)に左右方向に伸縮自在な屈伸リンク(17)を連結し、運転操作部近くに設けた操作レバー(18)の操作によって屈伸リンク(17)を伸縮作動させてナローガイド(16)を分草作用姿勢と収納姿勢とに切り替える構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記刈取装置(10)の後部に横架された刈取横フレーム(26)を中空のパイプ状に形成し、前記ナローガイド(16)の屈伸リンク(17)を伸縮させる伸縮作動機構(20,21)と操作レバー(18)とを操作ワイヤ(22,23)で連繋し、該操作ワイヤ(22,23)を前記刈取横フレーム(26)内に挿通したことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項1】
植立穀稈を左右に分草する分草体(8)と分草後の穀稈を引き起す引起し装置(9)と引起し後の穀稈を刈り取る刈取装置(10)と刈取穀稈を掻込搬送する掻込搬送装置(11)等からなる刈取部(4)を刈取横移動用駆動手段(14)を介して左右方向に移動可能に装備し、該刈取部(4)の未刈地側横側部には、左右外側方に張り出す分草作用姿勢と機体側に収納する収納姿勢とに切替可能なナローガイド(16)を設け、該ナローガイド(16)に左右方向に伸縮自在な屈伸リンク(17)を連結し、運転操作部近くに設けた操作レバー(18)の操作によって屈伸リンク(17)を伸縮作動させてナローガイド(16)を分草作用姿勢と収納姿勢とに切り替える構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記刈取装置(10)の後部に横架された刈取横フレーム(26)を中空のパイプ状に形成し、前記ナローガイド(16)の屈伸リンク(17)を伸縮させる伸縮作動機構(20,21)と操作レバー(18)とを操作ワイヤ(22,23)で連繋し、該操作ワイヤ(22,23)を前記刈取横フレーム(26)内に挿通したことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−261301(P2009−261301A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113840(P2008−113840)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]