説明

コンバイン

【課題】従来の二番処理装置は、揺動選別装置と受網との間の狭い空間に設けられている。この狭い空間においても二番処理装置の被処理物を分散させて揺動選別装置の揺動移送面上に排出できるコンバインを提供する。
【解決手段】選別後の二番物を揺動選別装置106の始端側に還元する二番還元コンベア138の終端に二番処理装置160を配設するコンバイン101であって、前記二番処理装置160に送風ファン161を設け、前記送風ファン161の送風方向の延長上に、扱胴122及び受網124の下前部が位置するように配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの脱穀後の二番物の処理装置の技術に関し、より詳細には、二番処理装置に送風手段を設けて選別装置に送風して選別性能を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
二番処理装置により脱穀後の二番物の処理を行う技術は、従来より公知となっている。例えば、特許文献1に記載の技術の如くである。
【0003】
前記二番処理装置は、揺動選別板と受網との間の狭い空間に設けられている。そして、二番処理装置より排出された籾の送り及び分散は、揺動選別装置の揺動運動にて行われている。
前記空間は限られたものであり二番処理装置と揺動選別装置との間隔は狭いので、二番処理装置より排出の際、排出口の直下に籾が集中しやすい。特に高流量になるとその傾向は顕著である。その為、揺動選別装置による選別が効率よくできず、3番ロスや選別不良の原因となるなどの欠点があった。
【特許文献1】特開2007−111057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は係る課題を鑑みてなされたものであり、送風装置による風力を用いて精度よく二番物を処理できるコンバインの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
即ち、請求項1においては、選別後の二番物を選別装置の始端側に還元する二番還元コンベアの終端に二番処理装置を配設するコンバインであって、前記二番処理装置に送風ファンを設け、前記送風ファンの送風方向の延長上に、扱胴及び受網の下前部が位置するように配置したものである。
【0007】
請求項2においては、前記送風ファンを、前記二番処理装置の二番処理胴軸上に設けたものである。
【0008】
請求項3においては、前記二番処理装置を覆う二番処理胴ケースの外周側に、前記送風ファンを収納するファンケースを設け、前記二番処理胴ケースとファンケースの間に風路を形成したものである。
【0009】
請求項4においては、前記送風ファンの入口側と、エンジンルームの冷却経路下流側との間に、冷却排風を導く風路を形成したものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0011】
請求項1の如く構成すると、排出口より排出される被処理物に送風装置の風があたり、重量の軽いものほど遠くに飛ばされて、揺動移送面上に分散されて排出されるので、排出口の下方近傍の揺動移送面上に被処理物が集中して落ちていくことが防止されて、揺動移送装置による選別がより精度よく行える。また、送風ファンの回転時は、受網に向かって風が吹き付けられるので、湿材時の目詰まりを防止でき、送風ファンの風を、被処理物を分散させる以外にも効率的に利用できる。
【0012】
請求項2の如く構成すると、同一の軸(二番処理同軸)の回転により、二番処理胴で二番物が処理されつつ、送風ファンの風が発生するので、効率性に優れる。また、コンパクトに構成できる。
【0013】
請求項3の如く構成すると、二番処理装置と筐体との間に風路が形成されて、風の拡散が防げられ、より多くの風が被処理物にあたるので、被処理物を揺動移送面上に、より分散させることができ、揺動移送装置による選別の精度が向上する。
【0014】
請求項4の如く構成すると、エンジン冷却後の温かい風を受網に当てることができ、湿材の場合より乾燥させることができて詰まりを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0016】
先ず、コンバイン101の全体構成について、図1及び図2を用いて説明する。
コンバイン101は、クローラ式走行装置102上に機体フレーム103が配設されている。機体フレーム103の前部には、刈取部104が配設されている。機体フレーム103上の左側には、選別部と、その上方にフィードチェーン108や扱胴122等を備える脱穀部105が配設されている。選別部は、揺動選別装置106の前下方に唐箕ファン119が配設され、揺動選別装置106の前方、つまり脱穀部105の前方には、プレファン120が配設されている。
【0017】
機体フレーム103上の前部右側には、運転席110やステアリングハンドル111等を備える運転部109が配設されている。運転部109の下方であって、機体フレーム103上の前部右側には、エンジン112が配設されており、運転部109の後方であって、機体フレーム103上の後部右側には、グレンタンク113が配設されている。グレンタンク113の底部には、排出コンベア114が前後方向に配設されており、グレンタンク113の後部には、排出オーガ115の縦送りオーガ115aが立設されている。グレンタンク113に貯溜された穀粒は、排出コンベア114により後方に搬送され、排出オーガ115先端部の排出口からトラック等へ排出される。
【0018】
フィードチェーン108の後方には、排藁チェーン116が配設されており、この排藁チェーン116後部下方には、排藁カッター118、拡散コンベア等からなる排藁処理部117が配設されており、排藁が切断されて藁片にされた後、拡散されながら圃場に均一に放出される。
【0019】
次に、脱穀部105について、図3を用いて説明する。
脱穀部105は、扱室121内に、扱胴122が機体の前後方向に横架されており、扱胴122の下方には、扱胴122の下部周囲を覆うようにクリンプ網等で構成した受網124が設けられている。そして、扱胴122の右後方であって、グレンタンク113側の処理室125内に、処理胴123が扱胴122と平行に機体の前後方向に横架されている。
【0020】
脱穀部105において、フィードチェーン108により、株元部が拘束されて、機体後方に搬送された穀稈は、先端部が扱胴122の下方に挿入されて、扱胴122の回転により脱穀されて、籾等が受網124を通過して下方へ落下される。扱胴122で処理できなかった枝梗付着粒等の未処理物は、送塵口(不図示)より処理室125内に搬送されて、処理胴123の回転により、藁屑に絡まった籾が分離されて下方に落下されて、藁屑等が機外に排出される。
【0021】
そして、選別部は、揺動選別装置106による揺動選別と、唐箕ファン119及びプレファン120による風選別とが行われ、一番物と二番物と藁屑等に分別されるように構成されている。
【0022】
具体的には、揺動選別装置106は、機枠126内であって、扱胴122及び処理胴123の下方に配設されている。揺動選別装置106の前後方向の長さは、扱胴122の前端から処理胴123の後端までの長さと略一致するように構成されている。そして、揺動選別装置106の前下部は、前後摺動自在に支持されているとともに、揺動選別装置106の後下部には揺動軸(不図示)が設けられている。揺動軸が偏心駆動されることで揺動駆動機構が構成され、この揺動駆動機構によって、揺動選別装置106が機枠126に対して揺動されるように構成されている。
【0023】
揺動選別装置106の前部には、前フィードパン127が設けられており、前フィードパン127の後下方には、後フィードパン128が設けられている。前後フィードパン127・128は、車輌前後方向に複数並列された波状部からなる板状部材で構成されており、受網124を通過した籾等は、前後フィードパン127・128上(揺動移送面106c)に落下し、揺動選別装置106の揺動により後方に搬送される。
【0024】
前フィードパン127の後部には、第一選別部であるチャフシーブ129が配設されており、チャフシーブ129の下方であって、後フィードパン128の後部には、第二選別部である網状のグレンシーブ130が配設されており、チャフシーブ129の後方には、ストローラック131が配設されている。チャフシーブ129は、チャフシーブ129の開度を調節するチャフレバー(不図示)が、ワイヤー等を介して、排藁チェーン116のチェーンガイド(不図示)と連結されており、排藁量に応じてチャフシーブ129の開度が調節されるように構成されている。
【0025】
そして、揺動選別装置106の前下方には、唐箕ファン119が配設されており、揺動選別装置106の前方には、プレファン120が配設されており、チャフシーブ129及びグレンシーブ130に選別風を送風するように構成されている。
【0026】
また、揺動選別装置106の後部上方には、吸引ファン132が揺動選別装置106の全幅(左右方向)に横設されており、唐箕ファン119及びプレファン120からの選別風に乗ってきた塵埃が吸引されて機外に排出される。
【0027】
そして、揺動選別装置106下方の前後中途部であって、唐箕ファン119の後方には、一番コンベア133が左右方向に横設されており、この一番コンベア133の後方には、二番コンベア134が左右方向に横設されている。一番コンベア133は、唐箕ファンケース142の後端から流穀板を介して連設されている凹状の一番回収樋136内に横設されており、二番コンベア134は、この一番回収樋136の後端に連設されている凹状の二番回収樋137内に横設されている。
【0028】
一番コンベア133には、搬送方向が略上下方向とされる揚穀コンベア135が連結されており、この揚穀コンベア135の上端は、グレンタンク113内と連通されている。二番コンベア134には、搬送方向が略前後方向とされる二番還元コンベア138が連結されている。二番還元コンベア138の前端には、二番処理装置160の二番処理胴139が連結されて、揺動移送面106c上に処理後の二番物(被処理物)が放出されるように構成されている。
【0029】
このような構成により、チャフシーブ129の隙間を通過した籾や細かい藁屑等は、グレンシーブ130上に落下される。一方、チャフシーブ129の隙間を通過しなかった藁屑等は、揺動選別装置106の揺動により後方に搬送されて、ストローラック131を経て機外に排出される。そして、グレンシーブ130上に落下した穀粒、未熟穀粒、枝梗付着粒及び細かい藁屑等の内、穀粒、未熟穀粒、細かい藁屑等は、グレンシーブ130を通過して下方に落下される。その際、チャフシーブ129及びグレンシーブ130には、唐箕ファン119及びプレファン120から選別風が送風されており、細かい藁屑の一部は、後方に吹き飛ばされて穀粒と分離される。
【0030】
ここで、重量が大きい穀粒は、前記選別風により後方に吹き飛ばされずに、手前側の一番回収樋136に回収され、一番コンベア133、揚穀コンベア135を経て、グレンタンク113に搬送される。一方、未熟穀粒や未処理粒等(二番物)は、前記選別風により後方に吹き飛ばされて、奥側の二番回収樋137に回収されるとともに、チャフシーブ129の隙間を通過した枝梗付着粒等も二番回収樋137に回収され、二番コンベア134、二番還元コンベア138を経て、二番処理胴139に搬送され、二番処理胴139により枝梗が除去された後、揺動移送面上106c上に放出される。
【0031】
次に、脱穀部105や選別部等の駆動構成の一例について説明する。図4に示す如く、エンジン112には、出力軸112aが左右方向に突設されており、この出力軸112aの左軸上には、第一出力プーリ112b、右軸上には、第二出力プーリ112c、ファン出力プーリ112dが固設されている。エンジン112より右側に取付ステー等を介してファン出力軸112eが突設されている。このファン出力軸112eの中途部にはプーリ112fが固設されており、右端には、ラジエータファン112gが固設される。ファン出力プーリ112dと、プーリ112fとには、ベルトが巻回されている。
【0032】
唐箕ファン119の唐箕軸140の右軸上には、プーリ140a、140b、左軸上には、プーリ140c、140dが固設されている。プーリ140aと、前記第一出力プーリ112bとには、ベルトが巻回されて、テンションクラッチが配設されている。
【0033】
第一フィードチェーン軸108a上の左端には、プーリ108dが固設され、右端には、プーリ108eが固設され、中途部上には、ウォーム108fが固設されている。プーリ108dと前記プーリ140dとの間には、ベルトが巻回されて、テンションクラッチが配設されている。第二フィードチェーン軸108b上の前端には、ウォームホィール108hが固設されており、このウォームホィール108hは、ウォーム108fと噛合されている。フィードチェーン108を駆動するための第三フィードチェーン軸108cの右端からは、ベベルギア108gを介して、第二フィードチェーン軸108bと動力伝達可能とされている。
【0034】
プレファン120のプレファン軸120a上の左端には、プーリ120bが固設されている。プーリ120bと、前記プーリ108eとには、ベルトが巻回されている。
【0035】
一番コンベア133の一番コンベア軸133a上の左端には、プーリ133bが固設されている。一番コンベア軸133aの右端からは、ベベルギア150を介して、揚穀コンベア135の揚穀コンベア軸135aと動力伝達可能とされている。
【0036】
二番コンベア134の二番コンベア軸134a上の左端には、プーリ134bが固設されている。二番コンベア軸134aの右端からは、ベベルギア151を介して、二番還元コンベア138の二番還元コンベア軸138aと動力伝達可能とされている。
【0037】
二番処理胴軸139a上の右端には送風ファン161が、左端には二番処理胴139が、それぞれ固設されている。二番還元コンベア138の二番還元コンベア軸138aの前端からは、ベベルギア149を介して、二番処理胴軸123aと動力伝達可能とされている。
【0038】
揺動選別装置106の振動軸106a上の左端には、プーリ106bが固設されている。振動駆動軸107上の左端には、プーリ107aが固設され、右端には、プーリ107bが固設されている。プーリ107bと、プーリ106bとには、ベルトが巻回されている。
【0039】
吸引ファン132の吸引軸132aは、ギア等を介して、プーリ132bと動力伝達可能とされている。カウンター軸152上の右端には、プーリ152aが固設され、左端には、プーリ152b(152c)が固設されている。プーリ152b(152c)と、プーリ132bとには、ベルトが巻回されている。
【0040】
また、前記プーリ140cと、プーリ133bと、プーリ134bと、プーリ107aと、プーリ152aとには、ベルトが巻回されている。
【0041】
扱胴122の扱胴軸122aの前端からは、ベベルギア147を介して、扱胴入力軸122bと動力伝達可能とされている。扱胴入力軸122b上の右端には、プーリ122cが固設され、このプーリ122cの左方には、プーリ122dが固設されている。プーリ122dと、前記プーリ140bとには、ベルトが巻回されている。また、扱胴軸122a上の後端には、プーリ122eが固設されている。
【0042】
排藁チェーン116の第二排藁軸116bの右端からは、ベベルギア148を介して、第一排藁軸116aと動力伝達可能とされている。第一排藁軸116a上の前端には、プーリ116cが固設されている。プーリ116cと、前記プーリ122eとには、ベルトが巻回されている。
【0043】
排出コンベア114のコンベア軸114a上の前端には、プーリ114bが固設されている。第二グレン入力軸154上の後端には、プーリ154aが固設されている。プーリ154aと、プーリ114bとには、ベルトが巻回されて、テンションクラッチが配設されている。そして、第二グレン入力軸154の前端からは、ベベルギア155を介して、第一グレン入力軸153と動力伝達可能とされている。第一グレン入力軸153上の右端には、プーリ153aが固設されている。プーリ153aと、前記第二出力プーリ112cとには、ベルトが巻回されている。
【0044】
縦送りオーガ115aの縦コンベア軸115bの下端からは、ベベルギア156を介して、排出コンベア114のコンベア軸114aと動力伝達可能とされている。縦コンベア軸115bの右端からは、ベベルギア157、受継コンベア軸158、ベベルギア159を介して、排出オーガ115の排出コンベア軸115cと動力伝達可能とされている。
【0045】
このような構成により、エンジン112の駆動力は、出力軸112a、ファン出力軸112d、プーリ112f、ファン出力軸112eを経て、ラジエータファン112gに伝達される。
【0046】
また、エンジン112の駆動力は、出力軸112a、第一出力プーリ112b、プーリ140a、唐箕軸140を経て、唐箕ファン119に伝達される。
【0047】
そして、唐箕軸140に伝達されたエンジン112の駆動力は、プーリ140d、プーリ108d、第一フィードチェーン軸108a、ウォーム108f、ウォームホィール108h、第二フィードチェーン軸108b、ベベルギア108g、第三フィードチェーン軸108cを経て、フィードチェーン108に伝達される。
【0048】
そして、第一フィードチェーン軸108aに伝達されたエンジン112の駆動力は、プーリ108e、プーリ120b、プレファン軸120aを経て、プレファン120に伝達される。
【0049】
また、唐箕軸140に伝達されたエンジン112の駆動力は、プーリ140c、プーリ133b、一番コンベア軸133aを経て、一番コンベア133に伝達される。また、一番コンベア軸133aに伝達されたエンジン112の駆動力は、ベベルギア150、揚穀コンベア軸135aを経て、揚穀コンベア135に伝達される。
【0050】
また、唐箕軸140に伝達されたエンジン112の駆動力は、プーリ140c、プーリ134b、二番コンベア軸134aを経て、二番コンベア134に伝達される。また、二番コンベア軸134aに伝達されたエンジン112の駆動力は、ベベルギア151、二番還元コンベア軸138aを経て、二番還元コンベア138に伝達される。
【0051】
そして、二番還元コンベア軸138aに伝達されたエンジン112の駆動力は、ベベルギア149、二番処理胴軸139aを経て、二番処理胴139及び送風ファン161に伝達される。
【0052】
また、唐箕軸140に伝達されたエンジン112の駆動力は、プーリ140c、プーリ107a、振動駆動軸107、プーリ107b、プーリ106bを経て振動軸106aに伝達される。
【0053】
また、唐箕軸140に伝達されたエンジン112の駆動力は、プーリ140c、プーリ152a、カウンター軸152、プーリ152b(152c)、プーリ132b、吸引軸132aを経て、吸引ファン132に伝達される。
【0054】
また、唐箕軸140に伝達されたエンジン112の駆動力は、プーリ140b、プーリ122d、扱胴入力軸122b、ベベルギア147、扱胴軸122aを経て、扱胴122に伝達される。
【0055】
そして、扱胴軸122aに伝達されたエンジン112の駆動力は、プーリ122e、プーリ116c、第一排藁軸116a、ベベルギア148、第二排藁軸116bを経て、排藁チェーン116に伝達される。
【0056】
一方、エンジン112の駆動力は、出力軸112a、第二出力プーリ112c、プーリ153a、第一グレン入力軸153、ベベルギア155、第二グレン入力軸154、プーリ154a、プーリ114b、コンベア軸114aを経て、排出コンベア114に伝達される。
【0057】
そして、コンベア軸114aに伝達されたエンジン112の駆動力は、ベベルギア156、縦コンベア軸115bを経て、縦送りオーガ115aに伝達される。縦コンベア軸115bに伝達されたエンジン112の駆動力は、ベベルギア157、受継コンベア軸158、ベベルギア159、排出コンベア軸115cを経て、排出オーガ115に伝達される。
【0058】
次に、二番処理装置160について、図5乃至図7を用いて説明する。
二番処理装置160は二番処理胴139を二番還元コンベア138の前側の終端側方に配置し、二番処理装置160は扱室121内であってグレンタンク113の裏側、つまり、正面視グレンタンク113の右側で揺動選別装置106の左側上に位置している(図6)。よって、グレンタンク113を開放することによって二番処理装置160をメンテナンスすることができる。
【0059】
前記二番処理胴139の外周面には、処理歯162・162・・・が、適宜間隔を開けて配置されている。前記二番処理胴139は、二番処理胴ケース167内に収納され、前記二番処理胴ケース167の右側(進行方向)下後部に供給口169が開口されて、二番還元コンベア138と連通されている。但し、前記供給口の開口位置は、前記位置に限定されるものではなく、二番処理胴ケース167の右側上後部等であってもよい。
前記二番処理胴ケース167の内側面には、ツースバー(固定側処理刃)163・163・・・が軸心方向に適宜間隔をあけて、回転時に前記処理歯162と当接しないように突設されている。また、二番処理胴ケース167の左側に排出口164が設けられている。
前記排出口164の下方位置には揺動選別装置106が設けられている。そして、前記排出口164は、前記揺動選別装置106の開始部に臨ませて配置されている。
【0060】
二番処理胴ケース167の右側には開口部165が設けてあり、前記開口部165を貫通して二番処理胴軸139aが設けられている。二番処理胴軸139aの右端には送風ファン161が、左端には二番処理胴139が、それぞれ固設されている。
このように、二番処理胴139と送風ファン161は同一軸(二番処理同軸139a)上に設けられており、二番処理装置160とは独立して送風ファン161を設置する必要がないので、揺動選別装置106と受網124との間の狭い空間を有効に活用できる。
送風ファン161の近傍に開口部165が設けられており、開口部165より送風ファン161の風が二番処理胴ケース167内に吹き込まれ、排出口164より排気される。
本実施例では、エンジン112の駆動力により送風ファン161を回転させているが、モータ等の駆動力を用いて回転させてもよい。また、二番処理胴ケース167と送風ファン161の駆動力を唐箕軸140から伝達してもよく、動力伝達経路も限定するものではなく、また、別々に(それぞれ別系統で)駆動する構成とすることもできる。
【0061】
前記二番処理装置160を覆うように筒状のファンケース168が設けられている。つまり、ファンケース168は二番処理胴ケース167よりも大きな筒状として同軸上に配置されている。また、送風ファン161の直径も二番処理胴ケース167よりも大きく構成している。前記ファンケース168の左端側及び右端側には、それぞれ開口部170、166が設けられている。但し、ファンケース168の形状については、筒状のものに限定されない。
前記開口部166に送風ファン161が設けられており、ファンケース168の内壁(内周)と二番処理装置160の外壁(外周)との間には、送風ファン161の風路171が形成されている。つまり、送風ファン161の風は、開口部166より吹き込まれて、前記風路171を通過して、開口部170より排気される。
こうして、開口部166の断面積は風路171の断面積よりも大きく構成して、開口部170から排気されるときには、排出口164において負圧が発生して、二番処理装置160で処理された枝梗や塵埃等は吸い出される如く排出されて、処理物の流れを迅速として詰まり等を防止できるようにしている。
【0062】
図6に示すようにファンケース168の開口部170と対向する位置に受網124が設けられている。つまり、送風ファン161の排出方向延長上に、扱胴122の前下部と受網124前下部が位置するように配設されている。
【0063】
次に、二番還元コンベア138からの二番物の流れについて説明する。
二番物は、供給口169より二番処理胴ケース167内へ投入された後、二番処理胴139の回転により、前記二番処理胴139の外周に備える処理歯162・162・・・と、二番処理装置160の外枠を構成する二番処理胴ケース167の内側面に突設したツースバー163・163・・・とにより、枝梗を除去されつつ排出口164まで搬送さる。
【0064】
二番処理胴139の回転と同時に二番処理同軸139aを介して送風ファン161も回転する。そして、開口部165より二番処理胴ケース167内に送風ファン161の風が吹き込まれて、二番処理胴ケース167内の二番物に直接、前記風があたる。
結果として、二番処理胴ケース167内を二番物がより早く通過し、除去された枝梗や塵埃等が吹き飛ばされて、処理歯162・162・・・やツースバー163・163・・・で処理されるので、2番物の処理が迅速に行われる。
また、前記送風ファン161の風により、二番物は排出口164に向かう推進力を得るので、処理歯162・162・・・やツースバー163・163・・・などに引っかかって詰まることを防止できる。
【0065】
そして、前記排出口164から、二番物より枝梗が除去された被処理物が排出される。
その際、風路171を通過した送風ファン161の風が、排出口164より排出された直後の被処理物にあたり、被処理物は前記風の方向に推進力を得て排出される。つまり、送風ファン161は、被処理物に排出方向の風172を吹き付けている。
前記排出方向の風172は、図7に示すように揺動移送面106cに略平行方向の風172である。
【0066】
言い換えれば、コンバイン101は、二番物を処理し、処理された二番物である被処理物を排出する排出口164を有する二番処理装置160と、前記排出口164の下方位置にあって、前記被処理物を波状部が複数並列に形成された揺動移送面に沿って揺動移送することにより選別する揺動選別装置106と、前記排出口164から排出された被処理物に排出方向の風を吹き付けると共に、前記揺動選別装置106の揺動移送面106cに略平行方向の風を吹き付ける送風ファン161とを具備する。
【0067】
このように、被処理物に送風ファン161の風172があたり、重量の軽いものほど遠くに飛ばされて、揺動移送面106c上に分散されて排出されるので、排出口164の下方近傍の揺動移送面106c上に被処理物が集中して落ちていくことが防止され、更に、受網124より落下する籾等の漏下物も穂先側から株元側へ飛ばされ分散され、揺動移送装置106による選別がより精度よく行える。
【0068】
また、前記二番処理装置160は、二番処理胴軸139aを中心に回転することにより二番物を処理する二番処理胴139を具備しており、前記二番処理胴軸139aの左端は、前記二番処理胴139を固設しており、右端は、送風ファン161を固設しており、左端側には前記排出口164があるので、同一の軸(二番処理同軸139a)の回転により、二番処理胴139で二番物が処理されつつ、送風ファン161の風が発生する。結果として効率性に優れる。
【0069】
前記送風ファンの風172は、風路171を通ってきたものである。
このように、前記コンバイン101は、前記二番処理装置160を覆い、前記二番処理胴軸139aの左端側及び右端側に、開口部170、166を有するファンケース168を具備しているので、二番処理装置160とファンケース168との間に風路171が形成されて、風の拡散が防げられ、より多くの風が被処理物にあたる。結果として、被処理物を揺動移送面106c上により分散させることができ、揺動移送装置106による選別の精度が向上する。
【0070】
送風ファン161の風は、開口部170より排出されて、開口部170と対向する位置にある受網124にあたる。
このように、送風ファン161回転時は、受網124に向かって風が吹き付けているので、刈取穀稈が湿材時には乾燥させて目詰まりを防止でき、送風ファン161の風を、被処理物を分散させる以外にも効率的に利用できる。
また、前記ファンケース168の入口側と、エンジン112を収納したエンジンルーム(図示せず)の冷却経路下流側との間に、冷却排風を導く風路を形成して、温かい空気を二番処理装置160に導くことも可能である。つまり、開口部166にダクトの一端を連通し、前記ダクトの他端をエンジンルームの排風路に連通する。または、エンジンルームの排風路からファンケース168の入口側となる開口部166に冷却後の熱風が流れるように風向板を設けるのである。但し、この場合、送風ファン161をエンジン112の近傍に設けて前記ダクトにより熱風を導く構成とすることも可能である。こうして、エンジン112の熱気を送風ファン161が吸入するように構成して、前記熱気を受網124に当てることにより、更に湿材の乾燥を早めて目詰まりの防止を図ることもできる。
【0071】
以上のように、選別後の二番物を揺動選別装置106の始端側に還元する二番還元コンベア138の終端に二番処理装置160を配設するコンバイン101であって、前記二番処理装置160に送風ファン161を設け、前記送風ファン161の送風方向の延長上に、扱胴122及び受網124の下前部が位置するように配置したので、排出口164より排出される被処理物に送風ファン161の風172があたり、重量の軽いものほど遠くに飛ばされて、揺動移送面106c上に分散されて排出される。結果として、排出口164の下方近傍の揺動移送面106c上に被処理物が集中して落ちていくことが防止されて、揺動移送装置106による選別がより精度よく行える。
【0072】
また、前記送風ファン161を、前記二番処理装置160の二番処理同軸139aに設けたので、同一の軸(二番処理同軸139a)の回転により、二番処理胴139で二番物が処理されつつ、送風ファン161の風が発生する。結果として、効率性に優れる。また、コンパクトに構成できる。
【0073】
また、前記二番処理装置160を覆う二番処理胴ケース167の外周側に、前記送風ファン161を収納するファンケース168を設け、前記二番処理胴ケース167とファンケース168の間に風路171を形成したので、風の拡散が防げられ、より多くの風が被処理物にあたる。結果として、被処理物を揺動移送面106c上により分散させることができ、揺動移送装置106による選別の精度が向上する。
【0074】
前記送風ファン161の入口側と、エンジンルームの冷却経路下流側との間に、冷却排風を導く風路を形成したので、エンジン112冷却後の温かい風を受網124に当てることができ、湿材の場合より乾燥させることができて詰まりを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】同じく平面図。
【図3】脱穀部の側面断面図。
【図4】脱穀部の駆動構成を示すスケルトン図。
【図5】二番処理装置の側面図。
【図6】同じく正面断面図。
【図7】風及び被処理物の流れを表す概略図。
【符号の説明】
【0076】
101 コンバイン
105 脱穀部
106 揺動選別装置
106c 揺動移送面
112 エンジン
124 受網
139 二番処理胴
139a 二番処理胴軸
160 二番処理装置
161 送風ファン
164 排出口
167 二番処理胴ケース
168 ファンケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
選別後の二番物を選別装置の始端側に還元する二番還元コンベアの終端に二番処理装置を配設するコンバインであって、前記二番処理装置に送風ファンを設け、前記送風ファンの送風方向の延長上に、扱胴及び受網の下前部が位置するように配置したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記送風ファンを、前記二番処理装置の二番処理胴軸上に設けた
ことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記二番処理装置を覆う二番処理胴ケースの外周側に、前記送風ファンを収納するファンケースを設け、前記二番処理胴ケースとファンケースの間に風路を形成した
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記送風ファンの入口側と、エンジンルームの冷却経路下流側との間に、冷却排風を導く風路を形成した
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−40(P2009−40A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−163198(P2007−163198)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】