説明

コンバイン

【課題】セカンドファンをスペースに余裕がある位置に配設し、かつセカンドファンのファン機能を有効活用できるコンバインを提供することを目的とする。
【解決手段】脱穀された穀粒を揺動選別する揺動選別装置6と、揺動選別装置6の後部に選別風を送風するセカンドファン107とを備えるコンバイン100において、セカンドファン107は、二番穀粒を回収する二番コンベア27の後方、かつ脱穀部5終端の三番口5aの下方に配設され、三番口5aから排出される穀粒を吸入して、二番コンベア27上に還元するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀された穀粒を揺動選別する揺動選別装置と、該揺動選別装置の後部に選別風を送風するセカンドファンと、を備えるコンバインの技術に関し、より詳細には、セカンドファンの配置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脱穀された穀粒を揺動選別する揺動選別装置と、該揺動選別装置の後部に選別風を送風するセカンドファンと、を備えるコンバインの技術は公知となっている。
例えば、特許文献1には、扱胴の下方前方から後方の風選室に向けて形成した選別風路内に揺動選別体を架設し、脱穀処理物を機体幅方向に配設した横流ファンの下方からの圧風力で再選するように構成したコンバインにおいて、上記横流ファンの吸い込み側の回転軌跡に沿って上方に伸びる前壁と、吹出し側の回転軌跡に沿って下方に伸びる後壁で吸入空気の入出路を形成し、かつ上記前壁の下端縁を横流ファンの回転軌跡に沿う垂下方向に延出すると共に、上記横流ファンの左右端部の外周回転軌跡に臨む風止部材を、前壁の下端縁から後壁の下端縁に至る吸入開口部の左右側壁に延設したことを特徴とするコンバインにおける横流ファンのケース構造が開示されている。
【特許文献1】特開平11−308921号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に開示されているコンバインにおける横流ファンのケース構造は、横流ファンの吸入、吹出し効率を向上させることができる等の効果を奏するものであるが、いわゆるセカンドファンである横流ファンは、一番樋と二番樋間に設けられており、この一番樋と二番樋間は、構造上スペースを広げることが困難であるため、大径のファンを設けることができない。また、従来のセカンドファンは風選用にしか利用されておらず、ファン機能が十分に活かされているとは言えない。
【0004】
本発明は以上の状況に鑑み、セカンドファンをスペースに余裕がある位置に配設し、かつセカンドファンのファン機能を有効活用できるコンバインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は以上のとおりであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
すなわち、請求項1においては、
脱穀された穀粒を揺動選別する揺動選別装置と、
該揺動選別装置の後部に選別風を送風するセカンドファンと、を備える、
コンバインにおいて、
前記セカンドファンは、
二番穀粒を回収する二番コンベアの後方、かつ脱穀部終端で藁屑を排出する三番口の下方に配設され、
該三番口から排出される穀粒を吸入して、前記二番コンベア上に還元する、
ものである。
【0007】
請求項2においては、
前記セカンドファンは、
選別風を導出して、吹き出す風洞を備え、
該風洞は、
該セカンドファンを覆うファンケース前部が、前記二番コンベアの下側を通って機体前方に延出され、前記一番コンベアの流穀板下面に沿って屈曲されて、前記揺動選別装置のストローラックに向けて選別風を吹き出すように形成されている、ものである。
【0008】
請求項3においては、
前記風洞内に、前記セカンドファンの選別風の風量を調節する風量調節弁が設けられている、ものである。
【0009】
請求項4においては、
前記セカンドファンは、
前記ファンケース上部に、空気吸入口が開口され、
該吸入口の上方に、前記三番口から排出される穀粒を再選別する篩線が配設され、
該篩線で再選別された穀粒を該吸入口から吸入し、前記二番コンベア上に還元する、ものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0011】
請求項1においては、
脱穀部終端はスペースに余裕があるため、大径のセカンドファンを設けることができ、選別するのに十分な風量を発生させることができる。
また、吸入した穀粒を二番コンベアで回収できるため、三番ロスを低減できる。
【0012】
請求項2においては、
脱穀部終端のスペースを有効活用して、セカンドファンを設けることができる。
また、二番コンベア及びストローラック付近での選別精度が向上するとともに、ストローラック上の藁屑の移送を促進し、滞留を防ぐことができる。
【0013】
請求項3においては、
穀稈量に応じて、セカンドファンの選別風の風量を適正に調節できる。
【0014】
請求項4においては、
セカンドファンが藁屑を吸入することなく、穀粒のみを吸入して二番コンベアで回収できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1はコンバインの側面図、図2は同じく平面図、図3は脱穀部の側面断面図、図4はセカンドファン及び風洞の側面断面図、図5は第一実施例のセカンドファン及び穀稈量検出手段の側面図、図6は第二実施例のセカンドファン及び穀稈量検出手段の側面図、図7は第三実施例のセカンドファン及び穀稈量検出手段の側面図である。
【0016】
先ず、本発明の一実施例に係るコンバイン100の全体構成について、図1及び図2を用いて説明する。
なお、以下の説明では、機体3の進行方向に向かって左側を単に「左側」とし、同じく進行方向に向かって右側を単に「右側」とする。
【0017】
図1及び図2に示すように、コンバイン100は、クローラ式走行装置2上に機体3が配設され、この機体3の前部には、刈取部4が配設されている。機体3上の左側には、扱胴22、揺動選別装置6、唐箕ファン19、プレファン20、セカンドファン107等を備える脱穀部5が配設されている。機体3上の前部右側には、運転席10及びステアリングハンドル11等を備える運転部9が配設されている。
【0018】
運転部9の下方で機体3上の前部右側には、エンジン12が配設され、運転部9の後方で機体3上の後部右側には、グレンタンク13が配設されている。グレンタンク13の底部には、排出コンベア14が機体前後方向に配設され、グレンタンク13の後部には、排出オーガ15の縦送りオーガ15aが立設され、グレンタンク13に貯溜された穀粒は、排出コンベア14で機体後方に搬送され、排出オーガ15先端部の排出口からトラック等へ排出される。
【0019】
フィードチェーン8の後端(搬送方向終端)には、排藁チェーン16が配設されている。
排藁チェーン16後下方には、排藁カッター18、拡散コンベア等を備える排藁処理部17が配設されているとともに、排藁チェーン16の下側には、伸縮可能に構成された排藁ガイド棒16a(図5参照)が配設され、排藁を「切断」と「非切断」とに切換可能とする。フィードチェーン8の後端側から排藁チェーン16に受け継がれた排藁は、排藁ガイド棒16aが伸長されて、長い状態のまま機体3の後方に排出されるか、または排藁ガイド棒16aが縮長されて、排藁カッター18にて適宜長さに短く切断された後、機体3の後方に排出される。
【0020】
次に、脱穀部5について、図3を用いて説明する。
図3に示すように、脱穀部5は、扱室21内に穀稈脱穀用の扱胴22が機体前後方向に架設されている。扱胴22の下方周囲には、受網23が配設され、脱穀された穀粒等を通過して荒選別する。
そして、扱胴22の後方でグレンタンク13側の処理室24内には、扱室21より搬送された枝梗付着粒を脱粒する処理胴25が、扱胴22と平行に機体前後方向に架設されている。扱室21(後部右側)と処理室24(前部左側)とは、送塵口37を介して連通され、扱室21内の枝梗付着粒及び藁屑等が送塵口37から、処理室24内に搬送される。処理胴25の下方周囲には、ろ過網25aが配設され、脱粒された穀粒等を通過して選別する。
【0021】
そして、前記受網23の下方には、脱穀された穀粒を揺動選別する揺動選別装置6が配設されている。揺動選別装置6の前下方及び前方には、揺動選別された穀粒に選別風を送風する唐箕ファン19及びプレファン20が配設されている。脱穀部5終端で揺動選別装置6の後下方には、揺動選別装置6の後部に選別風を送風するセカンドファン107(横断流ファン)が配設されている。
【0022】
そして、揺動選別装置6の下方で唐箕ファン19の後方には、一番穀粒を搬送する一番コンベア26が機体左右方向に横設されている。一番コンベア26の右端には、一番コンベア26で搬送された一番穀粒をグレンタンク13に搬送する揚穀コンベア28が連設されている。
そして、一番コンベア26の後方には、二番穀粒を搬送する二番コンベア27が機体左右方向に横設されている。二番コンベア27の右端には、二番コンベア27で搬送された二番穀粒を搬送して揺動選別装置6の前部(フィードパン32)上に還元する二番縦コンベア29が連設されている。二番縦コンベア29の前端(搬送終端部)には、搬送された被処理物の枝梗を除去する枝梗処理装置30が設けられている。
そして、揺動選別装置6の後上方には、唐箕ファン19及びプレファン20の選別風に乗ってきた塵埃等を吸引して機外に排出する吸引ファン31(横断流ファン)が配設されている。
【0023】
次に、揺動選別装置6について、図3を用いて説明する。
図3に示すように、揺動選別装置6は、揺動選別装置6の前部に配設されるフィードパン32、33と、このフィードパン32の後部に配設されるチャフシーブ34と、このチャフシーブ34の下方でフィードパン33の後部に配設されるグレンシーブ35と、揺動選別装置6の後部に配設されるストローラック36とを備える。
【0024】
フィードパン32、33は、前部がフィードパン32、このフィードパン32の後下部がフィードパン33とされて揺動選別装置6の前部に配設され、受網23を通過した穀粒を均平、比重選別する。
【0025】
チャフシーブ34は、フィードパン32の後部に配設され、フィードパン32より送られた穀粒と藁屑、及び受網23を通過した穀粒と藁屑を粗選別する角度可変式横棧チャフシーブである。チャフシーブ34は、機体前後方向に所定の間隔で配列された複数の選別板34a・34a・・・を備え、詳細な説明は省略するが穀稈量検出手段41(図5参照)により穀稈量に連動して選別板34a・34a・・・の間隔が変更されて粗選別する。
【0026】
グレンシーブ35は、チャフシーブ34の下方に配設され、チャフシーブ34で粗選別された穀粒を唐箕ファン19及びプレファン20の選別風と合いまって精選別を行う。
【0027】
ストローラック36は、揺動選別装置6の後部に配設され、藁屑をほぐして穀粒を二番コンベア27に落下させて再選別を行い、藁屑を脱穀部5終端の三番口5aから排出する。
【0028】
次に、唐箕ファン19及びプレファン20について、図3を用いて説明する。
図3に示すように、唐箕ファン19は、揺動選別装置6の前下方に配設され、プレファン20は、揺動選別装置6の前方に配設され、チャフシーブ34で粗選別された穀粒等に選別風を送風して精選別を行うとともに、脱穀部5内の塵埃等を機体後方に吹き飛ばす。
【0029】
すなわち、唐箕ファン19及びプレファン20は、チャフシーブ34及びグレンシーブ35を通過した穀粒等に選別風を送風し、この選別風に逆らって落下する穀粒を一番コンベア26へ、比重の小さい軽い物を二番コンベア27上に飛ばす。二番コンベア27上に飛ばされた穀粒等の内、比較的重い物は、二番コンベア27に落下し、前記二番縦コンベア29で搬送されて枝梗処理装置30で枝梗除去された後、フィードパン32上に還元されて再選別される。
【0030】
唐箕ファン19は、唐箕ファンケース38に覆われており、この唐箕ファンケース38は、側部が開放されて空気を吸入する吸入口(図示省略)が形成されているとともに、後部が開放されてグレンシーブ35の下方から選別風を送風する第一風路38aが形成され、さらに上部が開放されてチャフシーブ34とグレンシーブ35との間に選別風を送風する第二風路38bが形成されている。
そして、唐箕ファン19は、前記吸入口を開閉して送風力を調節するためのシャッター(図示省略)を備え、詳細な説明は省略するが穀稈量検出手段41(図5参照)により穀稈量に連動して前記吸入口が開閉されて送風力が調節される。
【0031】
プレファン20は、プレファンケース39に覆われており、このプレファンケース39は、側部が開放されて空気を吸入する吸入口(図示省略)が形成されているとともに、後部が開放されて唐箕ファンケース38の上部からフィードパン32とチャフシーブ34との間に選別風を送風する風路39aが形成されている。
そして、プレファン20は、前記吸入口からエンジン12の熱気を吸引して、温風をチャフシーブ34へ送風するとともに、前記吸入口を開閉して送風力を調節するシャッター(図示省略)を備え、詳細な説明は省略するが穀稈量検出手段41(図5参照)により穀稈量に連動して前記吸入口が開閉されて送風力が調節される。
【0032】
次に、セカンドファン107について、図3から図5を用いて説明する。
図3に示すように、セカンドファン107は、脱穀部5終端の揺動選別装置6の後下方、具体的には前記二番コンベア27の後方、かつ前記三番口5aの下方に配設されている。そして、セカンドファン107は、吸入口72が上方に向けて配設されているとともに、吐出口に後述する風洞74が連通されて吹出口73が二番コンベア27の上方に配設されて、揺動選別装置6の後部に選別風を送風するとともに、三番口5aから排出される穀粒を吸入して、二番コンベア27上に還元する。
【0033】
セカンドファン107は、横断流ファンにより構成され、ファンケース71に覆われており、このファンケース71は、空気を吸入する吸入口72と、選別風を導出して吹出口73から吹き出す風洞74とを備える。
吸入口72の上方には、三番口5aから排出される穀粒を再選別する篩線75が設けられている。風洞74内には、セカンドファン107の選別風の風量を調節する風量調節弁76が設けられている。
【0034】
セカンドファン107は、機体左右方向に軸心を有するファン軸107aがストローラック36の後端付近で三番口5aの下方に配設されている。
【0035】
ファンケース71は、セカンドファン107の機体左右方向の全幅を覆うケーシングであり、セカンドファン107の前部を覆う前部カバー71aと、同じく後部を覆う後部カバー71bとを備える。
前部カバー71aは、側面視略円弧状に形成されてセカンドファン107の前部を覆う。後部カバー71bは、下部が側面視略円弧状に形成されてセカンドファン107の後下部を覆い、上部が円弧上端から略垂直に上方に延設されてセカンドファン107の後上部を覆うように側面視J字状に形成されて、セカンドファン107の後部を覆う。
【0036】
吸入口72は、ファンケース71上部に開口されて空気を吸入し、前部カバー71aの上端と後部カバー71bの上端との間に所定の開口長(機体前後方向の長さ)を有するように形成されている。
【0037】
風洞74は、ファンケース71前部(前部カバー71aの下端及び下部カバー71bの下端(前端))が、二番コンベア27の下側を通って機体前方に延出され(第一延設部74a)、一番コンベア26の流穀板26aの下面に沿って後上方に斜めに屈曲され(屈曲部74b)、先端(送風方向終端)が二番コンベア27の上方まで延設され(第二延設部74c)、吹出口73をストローラック36に向けて選別風を吹き出すように形成されている。
そして、風洞74(第二延設部74c)は、送風方向にやや先細り状に形成されているとともに、先端(送風方向終端)が開放されて選別風を吹き出す吹出口73が形成されている。
【0038】
吹出口73は、二番コンベア27の上方に配設され、風洞74を介して導出された選別風を吹き出す。
そして、吹出口73内には、ストローラック36前部に選別風を送風する風向板77が設けられ、ストローラック36に向けて選別風を確実に送風する。
【0039】
風量調節弁76は、風洞74内の送風路の途中において機体左右方向の略全幅に横設される板状部材であり、風洞74内に機体左右方向に軸支されている回動軸76aを介して上下回動可能に軸支され、上下回動されて風洞74の開度(開口面積)を調節して、セカンドファン107の選別風の風量を調節する。
そして、風量調節弁76は、穀稈量検出手段41(検出アーム45)に一端が連結されている同調ワイヤ76bの他端が連結されているとともに、バネ76cが取り付けられて同調ワイヤ76bの引張方向と反対方向に付勢されている。
【0040】
穀稈量検出手段41は、検出ロッド42と、検出プレート43と、回動軸44と、検出アーム45とを備える。左右方向に軸心を有する回動軸44が機体に枢支され、検出プレート43の後端及び検出アーム45の上端が、この回動軸44に固定されている。検出アーム45の下端には、前記同調ワイヤ76bの一端が連結され、排藁ガイド棒16aの下面に垂設されている検出ロッド42の下端が、検出プレート43の上面に当接されている。
【0041】
篩線75は、吸入口72の上方に設けられた櫛状の部材であり、三番口5aの開口下端から機体後方に側面視湾曲状に延設され、後端が吸入口72(ファンケース71)の後端よりもさらに機体後方まで延設されて形成されている。
そして、篩線75は、ストローラック36に移送されて三番口5aから排出される藁屑中に含まれる穀粒を選別し、この篩線75で選別された穀粒は、セカンドファン107の吸入口72から吸入される。
【0042】
このような構成により、図4に示すように、セカンドファン107は、ファンケース71上部の吸入口72から空気を吸入して選別風を発生させ、この選別風を風洞74を介して機体前方に導出し、二番コンベア27の上方に配設されている吹出口73からストローラック36に向けて吹き出す(図4に示す太実線矢印)。
【0043】
一方、ストローラック36に移送された藁屑(図4に示す太二点鎖線矢印)は、三番口5aから排出されて篩線75上に落下され、篩線75で藁屑中に含まれる穀粒が選別される。すなわち、藁屑中に含まれる穀粒だけが篩線75を通過してファンケース71上部の吸入口72から吸入され(図4に示す細点線矢印)、藁屑は篩線75を通過せずに機体後方に排出される(図4に示す細二点鎖線矢印)。
【0044】
そして、吸入口72から吸入された穀粒は、セカンドファン107の選別風に乗って風洞74を介して導出され、吹出口73から選別風とともに吹き出されて二番コンベア27上に放出される。この二番コンベア27上に放出された穀粒は、二番コンベア27に回収されて、前述のようにして二番縦コンベア29で搬送されて枝梗処理装置30で枝梗除去された後、フィードパン32上に還元されて再選別される。
【0045】
また、図5に示すように、排藁チェーン16で搬送される排藁(穀稈)の量が増加すると、排藁ガイド棒16aが下方に押し下げられる。排藁ガイド棒16aが下方に押し下げられると、検出ロッド42を介して検出プレート43及び検出アーム45が回動軸44を軸に下方(反時計回り)に回動されるとともに、検出アーム45の下端に連結されている同調ワイヤ76bが後方に押される。
同調ワイヤ76bが後方に押されると、同調ワイヤ76bの他端に連結されている風量調節弁76が、バネ76cの付勢力により回動軸76aを軸に上方(時計回り)に回動される。風量調節弁76が上方に回動されると、風洞74の開度(開口面積)が大きくなり、セカンドファン107の選別風の風量が大きくなる。
【0046】
反対に、排藁チェーン16で搬送される排藁(穀稈)の量が減少すると、上記とは反対の動作により同調ワイヤ76bが前方に引っ張られる。
同調ワイヤ76bが前方に引っ張られると、風量調節弁76がバネ76cの付勢力に抗して回動軸76aを軸に下方(反時計回り)に回動される。風量調節弁76が下方に回動されると、風洞74の開度(開口面積)が小さくなり、セカンドファン107の選別風の風量が小さくなる。
【0047】
以上のように、第一実施例のコンバイン100は、脱穀された穀粒を揺動選別する揺動選別装置6と、揺動選別装置6の後部に選別風を送風するセカンドファン107とを備えるコンバイン100において、セカンドファン107は、二番穀粒を回収する二番コンベア27の後方、かつ脱穀部5終端の三番口5aの下方に配設され、三番口5aから排出される穀粒を吸入して、二番コンベア27上に還元するものである。
このような構成により、脱穀部5終端はスペースに余裕があるため、大径のセカンドファン107を設けることができ、選別するのに十分な風量を発生させることができる。
また、吸入した穀粒を二番コンベア27で回収できるため、三番ロスを低減できる。
【0048】
そして、セカンドファン107は、選別風を導出して、吹き出す風洞74を備え、風洞74は、ファンケース71前部が二番コンベア27の下側を通って機体前方に延出され、一番コンベア26の流穀板26a下面に沿って屈曲されて、揺動選別装置6のストローラック36に向けて選別風を吹き出すように形成されているものである。
このような構成により、脱穀部5終端のスペースを有効活用して、セカンドファン107を設けることができる。
また、二番コンベア27及びストローラック36付近での選別精度が向上するとともに、ストローラック36上の藁屑の移送を促進し、滞留を防ぐことができる。
【0049】
また、風洞74内に、セカンドファン107の選別風の風量を調節する風量調節弁76が設けられているものである。
このような構成により、穀稈量に応じて、セカンドファン107の選別風の風量を適正に調節できるとともに、穀稈量に連動して自動的にセカンドファン107の選別風の風量が調節されるため風量調節弁76を操作する手間が省ける。
また、風量調節弁76を簡易に構成して、セカンドファン107の選別風の風量を適正に調節できる。
【0050】
そして、ファンケース71上部に、空気吸入口72が開口され、吸入口72の上方に、三番口5aから排出される穀粒を再選別する篩線75が配設され、篩線75で再選別された穀粒を吸入口72から吸入し、二番コンベア27上に還元するものである。
このような構成により、セカンドファン107が藁屑を吸入することなく、穀粒のみを吸入して二番コンベア27で回収できる。
【0051】
また、ファンケース71の空気吹出口73に、揺動選別装置6のストローラック36前部に選別風を送風する風向板77が設けられているものであるため、ストローラック36に向けてセカンドファン107の選別風を確実に送風して藁屑が滞留し易いストローラック36前部上の移送を促進し、滞留を防ぐことができる。
【0052】
次に、別実施例のセカンドファン207、307について、図6及び図7を用いて説明する。
なお、図6及び図7に示した第一実施例と同一符号の部材は、各実施例において略同一の構成であるため詳細な説明は省略する。
図6及び図7に示すように、第二及び第三実施例のセカンドファン207(307)は、ファンケース71の空気吸入側で、選別風の風量を調節する吸入側風量調節弁278(378)と、ファンケース71の空気吹出側で、選別風の風量を調節する前記風量調節弁(吹出側風量調節弁)76とを備え、吸入側風量調節弁278(378)及び吹出側風量調節弁76は、穀稈量に連動して風量を調節する。
【0053】
図6に示すように、第二実施例のセカンドファン207は、吸入側風量調節弁278がファンケース71の空気吸入口72の開口端部に上下回動可能に設けられ、穀稈量検出手段41により穀稈量に連動して上下回動されて吸入口72を開閉し、選別風の風量を調節する。
【0054】
吸入側風量調節弁278は、長手方向(機体左右方向)の長さがファンケース71と略同幅とされ、短手方向(機体前後方向)の長さが吸入口72の略半分を覆う程度の長さに形成された板状部材である。ファンケース71の前部カバー71aの端部(空気吸入口72の開口端部)には、枢支軸等よりなる回動部278aが設けられ、吸入側風量調節弁278は、この回動部278aを介して前部カバー71aの端部に一端が支持され、上下回動可能とされている。
【0055】
吸入側風量調節弁278の他端には、穀稈量検出手段41(検出アーム45)に一端が連結されている同調ワイヤ278bの他端が連結されているとともに、バネ278cが取り付けられて同調ワイヤ278bの引張方向と反対方向に付勢されている。
【0056】
このような構成により、図6に示すように、排藁チェーン16で搬送される排藁(穀稈)の量が増加すると、排藁ガイド棒16aが下方に押し下げられる。排藁ガイド棒16aが下方に押し下げられると、検出ロッド42を介して検出プレート43及び検出アーム45が回動軸44を軸に下方(反時計回り)に回動されるとともに、検出アーム45の下端に連結されている同調ワイヤ278bが後方に引っ張られ、同調ワイヤ76bが後方に押される。
【0057】
同調ワイヤ278bが後方に引っ張られると、同調ワイヤ278bの他端に連結されている吸入側風量調節弁278が、バネ278cの付勢力に抗して回動部278aを軸に上方(時計回り)に回動されて、吸入口72の開度(開口面積)が小さくなる。
【0058】
一方、同調ワイヤ76bが後方に押されると、前述のように同調ワイヤ76bの他端に連結されている風量調節弁76が、バネ76cの付勢力により回動軸76aを軸に上方(時計回り)に回動される。風量調節弁76が上方に回動されると、風洞74の開度(開口面積)が大きくなる。
【0059】
こうして、吸入口72の開度(開口面積)が小さくなり、風洞74の開度(開口面積)が大きくなることにより、セカンドファン207の選別風の風量が大きくなる。
【0060】
反対に、排藁チェーン16で搬送される排藁(穀稈)の量が減少すると、上記とは反対の動作により同調ワイヤ278bが前方に押されるとともに、同調ワイヤ76bが前方に引っ張られる。
【0061】
同調ワイヤ278bが前方に押されると、吸入側風量調節弁278がバネ278cの付勢力により回動部278aを軸に下方(反時計回り)に回動されて、吸入口72の開度(開口面積)が大きくなる。
【0062】
一方、同調ワイヤ76bが前方に引っ張られると、風量調節弁76がバネ76cの付勢力に抗して回動軸76aを軸に下方(反時計回り)に回動される。風量調節弁76が下方に回動されると、風洞74の開度(開口面積)が小さくなる。
【0063】
こうして、吸入口72の開度(開口面積)が大きくなり、風洞74の開度(開口面積)が小さくなることにより、セカンドファン207の選別風の風量が小さくなる。
【0064】
次に、第三実施例のセカンドファン307について、図7を用いて説明する。
図7に示すように、第三実施例のセカンドファン307は、吸入側風量調節弁378がファンケース71の空気吸入口72の開口端部にファンケース71の外周(前面)に沿って摺動可能に設けられ、穀稈量検出手段41により穀稈量に連動して摺動されて吸入口72を開閉し、選別風の風量を調節する。
【0065】
吸入側風量調節弁378は、ファンケース71の前部カバー71a(前面側)の形状に沿って側面視略円弧状に形成され、長手方向(機体左右方向)の長さがファンケース71と略同幅とされ、短手方向(機体前後方向)の長さが吸入口72の略半分を覆う程度の長さに形成されている。セカンドファン307のファン軸307aには、回動アーム378aの一端が前後回動可能に支持されているとともに、この回動アーム378aの他端には、吸入側風量調節弁378の端部(上端)がファンケース71の外周(前面)に沿って回動可能に支持されている。
【0066】
回動アーム378aの中途部には、穀稈量検出手段41(検出アーム45)に一端が連結されている同調ワイヤ378bの他端が連結されているとともに、バネ378cが取り付けられて同調ワイヤ378bの引張方向と反対方向に付勢されている。
【0067】
このような構成により、図7に示すように、排藁チェーン16で搬送される排藁(穀稈)の量が増加すると、排藁ガイド棒16aが下方に押し下げられる。排藁ガイド棒16aが下方に押し下げられると、検出ロッド42を介して検出プレート43及び検出アーム45が回動軸44を軸に下方(反時計回り)に回動されるとともに、検出アーム45の下端に連結されている同調ワイヤ378bが後方に引っ張られ、同調ワイヤ76bが後方に押される。
【0068】
同調ワイヤ378bが後方に引っ張られると、同調ワイヤ378bの他端に連結されている吸入側風量調節弁378が、バネ378cの付勢力に抗してファン軸307aを軸に回動アーム378aを介して上方(時計回り)に回動されて、吸入口72の開度(開口面積)が小さくなる。
【0069】
一方、同調ワイヤ76bが後方に押されると、前述のように同調ワイヤ76bの他端に連結されている風量調節弁76が、バネ76cの付勢力により回動軸76aを軸に上方(時計回り)に回動される。風量調節弁76が上方に回動されると、風洞74の開度(開口面積)が大きくなる。
【0070】
こうして、吸入口72の開度(開口面積)が小さくなり、風洞74の開度(開口面積)が大きくなることにより、セカンドファン307の選別風の風量が大きくなる。
【0071】
反対に、排藁チェーン16で搬送される排藁(穀稈)の量が減少すると、上記とは反対の動作により同調ワイヤ378bが前方に押されるとともに、同調ワイヤ76bが前方に引っ張られる。
【0072】
同調ワイヤ378bが前方に押されると、吸入側風量調節弁378がバネ378cの付勢力によりファン軸307aを軸に回動アーム378aを介して下方(反時計回り)に回動されて、吸入口72の開度(開口面積)が大きくなる。
【0073】
一方、同調ワイヤ76bが前方に引っ張られると、風量調節弁76がバネ76cの付勢力に抗して回動軸76aを軸に下方(反時計回り)に回動される。風量調節弁76が下方に回動されると、風洞74の開度(開口面積)が小さくなる。
【0074】
こうして、吸入口72の開度(開口面積)が大きくなり、風洞74の開度(開口面積)が小さくなることにより、セカンドファン307の選別風の風量が小さくなる。
【0075】
以上のように、第二及び第三実施例のコンバイン100は、脱穀された穀粒を揺動選別する揺動選別装置6と、揺動選別装置6の後部に選別風を送風するセカンドファン207(307)とを備えるコンバイン100において、セカンドファン207(307)は、ファンケース71の空気吸入側で、選別風の風量を調節する吸入側風量調節弁278(378)と、ファンケース71の空気吹出側で、選別風の風量を調節する吹出側風量調節弁76とを備え、吸入側風量調節弁278(378)及び吹出側風量調節弁76は、穀稈量に連動して風量を調節するものである。
このような構成により、セカンドファン207(307)の選別風の風量を適正に調節できる。特に、二つの調整弁(吸入側風量調節弁278(378)、吹出側風量調節弁76)で調節するため、風量をきめ細かく調節できる。
そして、穀稈量に連動して自動的にセカンドファン207(307)の選別風の風量が調節されるため吹出側風量調節弁76、吸入側風量調節弁278(378)を操作する手間が省ける。
また、既存の穀稈量の連動機構(穀稈量検出手段41)を利用することにより安価に構成できる。
【0076】
そして、第二実施例の吸入側風量調節弁278は、ファンケース71の空気吸入口72の開口端部に、上下回動可能に設けられ、穀稈量に連動して上下回動されて吸入口72を開閉し、選別風の風量を調節するものである。
このような構成により、吸入側風量調節弁278を簡易に構成して、セカンドファン207の選別風の風量を適正に調節できる。
【0077】
そして、第三実施例の吸入側風量調節弁378は、ファンケース71の空気吸入口72の開口端部に、ファンケース71に沿って摺動可能に設けられ、穀稈量に連動して摺動されて吸入口72を開閉し、選別風の風量を調節するものである。
このような構成により、吸入側風量調節弁378を簡易に構成して、セカンドファン307の選別風の風量を適正に調節できるとともに、吸入側風量調節弁378の動きが平面的であるため、狭いスペースでも設置できる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】同じく平面図。
【図3】脱穀部の側面断面図。
【図4】セカンドファン及び風洞の側面断面図。
【図5】第一実施例のセカンドファン及び穀稈量検出手段の側面図。
【図6】第二実施例のセカンドファン及び穀稈量検出手段の側面図。
【図7】第三実施例のセカンドファン及び穀稈量検出手段の側面図。
【符号の説明】
【0079】
5 脱穀部
5a 三番口
6 揺動選別装置
26 一番コンベア
26a 流穀板
27 二番コンベア
36 ストローラック
71 ファンケース
72 吸入口
74 風洞
75 篩線
76 風量調節弁
100 コンバイン
107 セカンドファン
207 セカンドファン
278 吸入側風量調節弁
307 セカンドファン
378 吸入側風量調節弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱穀された穀粒を揺動選別する揺動選別装置と、
該揺動選別装置の後部に選別風を送風するセカンドファンと、を備える、
コンバインにおいて、
前記セカンドファンは、
二番穀粒を回収する二番コンベアの後方、かつ脱穀部終端で藁屑を排出する三番口の下方に配設され、
該三番口から排出される穀粒を吸入して、前記二番コンベア上に還元する、
ことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記セカンドファンは、
選別風を導出して、吹き出す風洞を備え、
該風洞は、
該セカンドファンを覆うファンケース前部が、前記二番コンベアの下側を通って機体前方に延出され、前記一番コンベアの流穀板下面に沿って屈曲されて、前記揺動選別装置のストローラックに向けて選別風を吹き出すように形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記風洞内に、前記セカンドファンの選別風の風量を調節する風量調節弁が設けられている、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記セカンドファンは、
前記ファンケース上部に、空気吸入口が開口され、
該吸入口の上方に、前記三番口から排出される穀粒を再選別する篩線が配設され、
該篩線で再選別された穀粒を該吸入口から吸入し、前記二番コンベア上に還元する、
ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−65846(P2009−65846A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−234619(P2007−234619)
【出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】