コンバイン
【課題】刈取搬送装置5側および車体2側のメンテナンスを能率よく行えるものとする。
【解決手段】一対の支持アーム(1,1)の基部を、車体(2)上の支持メタル(3)に設けた一対の支持軸(4,4)に支持させ、該支持アーム(1,1)の先端部に刈取搬送装置(5)を支持させ、該刈取搬送装置(5)を、前記一対の支持アーム(1,1)によって脱穀装置(7)前側の刈取作業位置から車体(2)の前部側方の非刈取作業位置へ移動可能な構成とする。そして、エンジン(10)から入力した回転動力を、脱穀装置(7)と前部受継ぎチェーン(11)と刈取搬送装置(5)とに分岐伝動するギヤケース(12)を、支持メタル(3)と車体(2)と脱穀装置(7)とに連結する。
【解決手段】一対の支持アーム(1,1)の基部を、車体(2)上の支持メタル(3)に設けた一対の支持軸(4,4)に支持させ、該支持アーム(1,1)の先端部に刈取搬送装置(5)を支持させ、該刈取搬送装置(5)を、前記一対の支持アーム(1,1)によって脱穀装置(7)前側の刈取作業位置から車体(2)の前部側方の非刈取作業位置へ移動可能な構成とする。そして、エンジン(10)から入力した回転動力を、脱穀装置(7)と前部受継ぎチェーン(11)と刈取搬送装置(5)とに分岐伝動するギヤケース(12)を、支持メタル(3)と車体(2)と脱穀装置(7)とに連結する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、車体に搭載した脱穀装置の前方に刈取搬送装置を配置して構成したコンバインにおいて、前部の刈取搬送装置とすぐ背後の脱穀装置との間に、広くメンテナンス空間を確保してメンテナンスを容易に行うために、前部の刈取搬送装置を車体の前部側方位置に回動させる、いわゆる、刈取オープン装置に関する公知の技術がある。
【0003】
例えば、特開2005−27543号公開特許公報(特許文献1参照)に開示されているように、コンバインにおいて、脱穀装置の前側にある刈取機を、四点リンク機構で形成した回動装置によって走行車体の側方外側に回動させる構成となっている。
【0004】
そして、上記公報の記載によると、「穀稈を刈取り移送する刈取機を側方外側ヘ回動移動させる回動装置は、四点リンク機構で構成したことにより、刈取機は、二本の前後支持フレームで支持されることになり、回動移動させたときでも、強固に支持することができる。」と述べている。
【特許文献1】特開2005−27543号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の従来技術において、四点リンク機構を構成する支持アームの基部を、車体上に設けた支持メタルに支持させているが、この支持メタルの剛性が十分に確保されていない。このため、刈取搬送装置を非刈取作業位置まで移動させた場合に、この刈取搬送装置の重量によって支持メタルが傾斜して刈取搬送装置の支持高さが下がってしまう。この結果、メンテナンス終了後にこの刈取搬送装置を刈取作業位置まで復帰移動させようとした場合に、刈取搬送装置の下部が車体側に干渉しやすくなり、この刈取搬送装置を刈取作業位置へ円滑に復帰させることができなくなる欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上述の従来技術の課題を解決するために、次のような技術的sh段を講じる。
即ち、一対の支持アーム(1,1)の基部を、車体(2)上の支持メタル(3)に設けた一対の支持軸(4,4)に支持させ、該支持アーム(1,1)の先端部に、穀稈を刈取って搬送する刈取搬送装置(5)を支持させ、該刈取搬送装置(5)を、前記一対の支持アーム(1,1)からなる四点リンク機構形態の回動支持装置(6)によって脱穀装置(7)前側の刈取作業位置から車体(2)の前部側方の非刈取作業位置へ移動可能な構成とし、エンジン(10)から入力した回転動力を、脱穀装置(7)と前部受継ぎチェーン(11)と刈取搬送装置(5)とに分岐伝動するギヤケース(12)を、前記支持メタル(3)と車体(2)と脱穀装置(7)とに連結したことを特徴とするコンバインとしたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によると、ギヤケース12と、前側の支持メタル3と、下側の車体2と、背後の脱穀装置7とを連結して簡潔な支持構成とし、強固で安定した支持機構とすることができる。これによって、刈取搬送装置5を非刈取作業位置へ移動させても、該刈取搬送装置5の重量による支持メタル3の姿勢変化が起こりにくくなり、刈取搬送装置5の支持高さの低下が少なくなって、この刈取搬送装置5を刈取作業位置へ復帰移動させる操作を容易に行うことができ、刈取搬送装置5側および車体2側のメンテナンスを能率よく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
まず、コンバインは、図5に示すように、クローラ15,15を装備した車体2上に、穀稈供給口16を前側に位置させた脱穀装置7を搭載し、その前側に刈取搬送装置5を配置して設けた構成としている。そして、上記刈取搬送装置5は、図1、及び図4に示すように、オープンフレーム17の上側に、横向きに刈取伝動ケース18が装備され、その左端に刈取入力プーリー19が軸架されている。
【0009】
そして、刈取フレーム20は、図3に示すように、円筒状の部材からなり、基部を前記刈取伝動ケース18に上下回動自由に枢着連結し、中間部には車体1の前部に装備した刈取上下油圧シリンダ21に連結して支持し、先端側を前方下方に延長して刈取装置22、穀稈引起し装置23、穀稈搬送装置24等を設けて刈取搬送装置5を構成している。そして、前記刈取フレーム20は、前記刈取入力プーリー19によって入力された動力を、回転各部に伝動する刈取伝動軸が内装して軸架されており、走行速度(作業能率)にシンクロされた回転速度によって刈取搬送装置5の各装置を伝動する構成としている。
【0010】
つぎに、前記オープンフレーム17は、図1、及び図4に示すように、中間内部に形成された内空部に四点リンク機構からなる回動支持装置6が構成され、前・後2つの支持アーム1,1の先端部を挿入して上下に枢着した構成としている。そして、該前・後2つの支持アーム1,1は、その基部を、車体2の側部寄りに装置した支持メタル3に軸受け支持した一対の支持軸4,4に連結して支持した構成としている。
【0011】
このように、刈取搬送装置5は、オープンフレーム17上に設けられ、四点リンク機構からなる回動支持装置6によって回動可能に支持されている前記オープンフレーム17と共に、前記脱穀装置7の前側の作業位置(収納位置)と、前記車体2の前部側方のオープン位置(図4の仮想線の位置参照)とに回動可能に支持された構成となっている。
【0012】
そして、オープンレバー8は、図1、及び図2に示すように、下側のオープンフレーム17に軸装されているロックリンク9の上部に横軸8aとして軸受支持され、前記オープンフレーム17の上部に装備したロック装置26のロックピン26aを上下操作すると共に、連動ロット27を介してロック爪28を固定ピン30(車台1に固定されている)にロック操作と、その解除操作とができる構成としている。そして、ロック装置26を構成する前記ロックピン26aは、垂直の状態で上下に操作されてオープンフレーム17から下側の支持フレーム1に抜き差してロックと解除とができる構成となっている。このように、ロックピン26aは、垂直のまま上下動してロックと解除とに切り替わるから、オープンレバー8の支点Pが、その都度、図2に示す実線と仮想線のように、揺動可能とし、前後に変位できるロックリンク9で支持した構成となっている。
【0013】
そして、実施例の場合、オープンレバー8は、図面に示すように、前記オープンフレーム17の上部に装備したロック装置26を上下操作すると共に、連動ロット27を介してロック爪28を固定ピン30(車台1に固定されている)にロックと、その解除操作ができる構成としている。そして、前記ロック装置26は、図4に示すように、上記オープンレバー8に連結されて上下するロックピン26aを、オープンフレーム17から、下側の支持アーム1に設けた収納位置ロック孔31aと、オープン位置ロック孔31bとに挿通できる構成としている。
【0014】
したがって、上記構成のロック装置26は、刈取搬送装置5に設けたオープンレバー8の上下操作によって、刈取搬送装置5を収納した刈取作業位置では、ロックピン26aを収納位置ロック孔31aに挿し通して連結ロックし、刈取搬送装置5を車体2の前部側方のオープン位置に回動した位置では、ロックピン26aを前記オープン位置ロック孔31bに挿し通して連結ロック作用を行い、その解除操作ができるものとしている。
【0015】
つぎに、請求項2に記載しているギヤケース12の取付けに関する実施例を、図3に基づいて説明する。
まず、脱穀・定速ギヤケース(ギヤケース)12は、コンバインでは既に公知の技術となっているが、エンジン10(他の実施例を示す図9、及び図10参照)から伝動される回転動力を脱穀装置7に伝達する伝動機構と、走行ミッション装置を経由して伝達される走行動力にシンクロされた回転動力を刈取搬送装置5と、前部受継ぎチエーン11とに伝動する伝動機構とを一体のギヤケースに構成している。なお、前記脱穀・定速ギヤケース12には、既に周知の通り、ワンウエイ・クラッチを伝動途中に装備し、エンジン10側と走行ミッション側との二系統の回転動力が同時に伝動されると、高速側の回転動力によって、前記した前部受継ぎチエーン11と刈取搬送装置5とを伝動する構成とし、高速域では通常、走行速度に応じた作業速度が確保できる構成としている。
【0016】
このように構成されている脱穀・定速ギヤケース12は、前記支持メタル3に設けた取付アーム33と、前記車体2に連結固定している取付台34と、前記脱穀装置7の前側に設けた支持腕35との三部材に連結・支持した構成としている。
【0017】
つぎに、上記構成の実施例について、その作用と効果をまとめて述べる。
まず、実施例に係るコンバインは、刈取搬送装置5を脱穀装置7の前側に収納した位置において、ロック装置26とロック爪28とをロック状態に保持して、刈取脱穀作業を行う。そして、コンバインは、刈取搬送装置5のメンテナンスを行う場合には、まず、オープンレバー8を、図2の実線で示すように、上方に持ち上げて解除操作をすると、ロックピン26aが連動されて図4の実線で示す収納位置ロック孔31aから上に抜けてロック解除され、一方、ロック爪28も連動ロット27によって引き上げられて固定ピン30から離れてロック解除となる。
【0018】
そして、刈取搬送装置5は、オープンフレーム17を支持している四点リンク機構からなる回動支持装置6の前・後2つの支持アーム1,1を、支持軸4,4を支点にして車体2の前部側方に回動してオープン位置まで移動する(図4の仮想線参照)。
【0019】
このように、実施例は、刈取搬送装置5を四点リンク機構による回動支持装置6に支持させ、脱穀装置7の前側に収納した刈取作業位置と、車体2の前部側方のオープン位置とに回動可能に構成した刈取オープン装置において、オープンレバー8を、ロック機構の構成に利用して部品点数を削減しながら構成を簡潔にして、ロックとその解除との操作が簡単にできるものとしている。
【0020】
そして、脱穀・定速ギヤケース12は、脱穀装置7のすぐ前側に配置するにあたり、前側の刈取オープン機構を支持している支持メタル3を利用し、その他、下側に隣接する車体2と、背後の脱穀装置7との三部材を利用して連結し、支持構成を簡潔なものにし、強固で安定した支持構成を作り出している。
【0021】
つぎに、運転席40の支持構成と、それに関連する周辺の構成に関して、図6、乃至図12に基づいて実施例を説明する。
まず、運転席40は、図面に示すように、エンジンルーム41の上方に配置して設けられ、その前方から左側方に沿わせて逆L型にして操作パネル類や操作レバー類を集中的に配列し、その右側を開放して乗降する構成としている。そして、吸気室42は、運転席40の背後に横向きに形成し、エアクリーナー43を内装して右外側から外気を吸引しながら下方のエンジン10に供給する構成としている。そして、穀粒排出オーガー44(図5参照)のオーガー操作部45は、運転席40の左側後方に配置し、オペレーターが後方に向いてオーガー44を監視しながら旋回操作ができる位置に配置した構成をとっている。
【0022】
そして、前記運転席40のシート取付フレーム46,46は、図6、及び図7に示すように、前後2つの部材を左フレーム47と右外側にあるシュラウド取付フレーム48とに架渡した状態にして左右の両端部を連結固定した構成としている。更に、前部のシート取付フレーム46は、図8、及び図9に示すように、支持アーム49を設けて下方のミッションケース50に連結して支持する構成としている。 そして、前記した操作レバー類は、図10に示すように、刈・脱レバー51とスロットルレバー52と主変速レバー53と副変速レバー54とをそれぞれユニット化して別々にサブ組み立てをしておき、その後、運転席40の左側の取付位置に組み付ける手順で製作する構成としている。
【0023】
この場合、刈・脱レバー51は、刈取搬送装置5と脱穀装置7との伝動を、同時に「入」にする操作位置と、両者を共に「切」にする位置と、脱穀装置7を「入」にする位置との3つの操作位置を設けているが、いずれもポジションセンサー55が操作位置を検出して、図外のコントローラを介して制御モーター56を制御操作する構成としている。
【0024】
そして、制御モーター56と関連部材は、図10に示すように、支持ブラケット57に取付けて支持し、そのブラケット57を前部の操作ポスト58と後部の縦フレーム59とに連結して固定・支持した構成としている。
【0025】
このように、運転席40周りの各操作レバー51,52,53,54、及びポジションセンサー55、更に、制御モーター56等は、上述のように、各レバーをユニット化してサブ組を先に行った後、製品として組み立てることによって全工程の組み立て効率を大幅に向上することができた特徴がある。
【0026】
そして、エンジンルーム41は、図10に示すように、後部に配置している吸気室42の底板(エンジンルーム41の天井に相当する)60を、前側より高くして上下に拡げた構成としているから、その拡大されたスペースに各器具のホース類、例えば、エアクリーナー、インタークーラー、ラジエーター等のホースを配策することができる特徴もある。
【0027】
そして、上記した吸気室42の底板60は、図11、及び図12に示すように、右側の前記シュラウド取付フレーム48から左端の前記したオーガー操作部45の下側まで延長し、吸気室42を区画して仕切った構成としており、構成が簡潔となり、遮音効果もある構成となった。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本件発明の要部を示す正面図
【図2】要部の作用側面図
【図3】要部の側面図
【図4】回動支持装置とオープンフレームとの作用を示す平面図
【図5】コンバインの側面図
【図6】別実施例の運転席周辺の側面図
【図7】別実施例の主としてシート取付フレームの平面図
【図8】別実施例の一部破断した正面図
【図9】別実施例の破断側面図
【図10】各操作レバー等の取付状態の側面図
【図11】運転席、エンジンルーム、オーガー操作部の配置を示す正断面図
【図12】主として吸気室の底板の取り付け状態を示す平面図。
【符号の説明】
【0029】
1 支持アーム
2 車体
3 支持メタル
4 支持軸
5 刈取搬送装置
7 脱穀装置
10 エンジン
11 前部受継ぎチェーン
12 脱穀・定速ギヤケース(ギヤケース)
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、車体に搭載した脱穀装置の前方に刈取搬送装置を配置して構成したコンバインにおいて、前部の刈取搬送装置とすぐ背後の脱穀装置との間に、広くメンテナンス空間を確保してメンテナンスを容易に行うために、前部の刈取搬送装置を車体の前部側方位置に回動させる、いわゆる、刈取オープン装置に関する公知の技術がある。
【0003】
例えば、特開2005−27543号公開特許公報(特許文献1参照)に開示されているように、コンバインにおいて、脱穀装置の前側にある刈取機を、四点リンク機構で形成した回動装置によって走行車体の側方外側に回動させる構成となっている。
【0004】
そして、上記公報の記載によると、「穀稈を刈取り移送する刈取機を側方外側ヘ回動移動させる回動装置は、四点リンク機構で構成したことにより、刈取機は、二本の前後支持フレームで支持されることになり、回動移動させたときでも、強固に支持することができる。」と述べている。
【特許文献1】特開2005−27543号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の従来技術において、四点リンク機構を構成する支持アームの基部を、車体上に設けた支持メタルに支持させているが、この支持メタルの剛性が十分に確保されていない。このため、刈取搬送装置を非刈取作業位置まで移動させた場合に、この刈取搬送装置の重量によって支持メタルが傾斜して刈取搬送装置の支持高さが下がってしまう。この結果、メンテナンス終了後にこの刈取搬送装置を刈取作業位置まで復帰移動させようとした場合に、刈取搬送装置の下部が車体側に干渉しやすくなり、この刈取搬送装置を刈取作業位置へ円滑に復帰させることができなくなる欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上述の従来技術の課題を解決するために、次のような技術的sh段を講じる。
即ち、一対の支持アーム(1,1)の基部を、車体(2)上の支持メタル(3)に設けた一対の支持軸(4,4)に支持させ、該支持アーム(1,1)の先端部に、穀稈を刈取って搬送する刈取搬送装置(5)を支持させ、該刈取搬送装置(5)を、前記一対の支持アーム(1,1)からなる四点リンク機構形態の回動支持装置(6)によって脱穀装置(7)前側の刈取作業位置から車体(2)の前部側方の非刈取作業位置へ移動可能な構成とし、エンジン(10)から入力した回転動力を、脱穀装置(7)と前部受継ぎチェーン(11)と刈取搬送装置(5)とに分岐伝動するギヤケース(12)を、前記支持メタル(3)と車体(2)と脱穀装置(7)とに連結したことを特徴とするコンバインとしたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によると、ギヤケース12と、前側の支持メタル3と、下側の車体2と、背後の脱穀装置7とを連結して簡潔な支持構成とし、強固で安定した支持機構とすることができる。これによって、刈取搬送装置5を非刈取作業位置へ移動させても、該刈取搬送装置5の重量による支持メタル3の姿勢変化が起こりにくくなり、刈取搬送装置5の支持高さの低下が少なくなって、この刈取搬送装置5を刈取作業位置へ復帰移動させる操作を容易に行うことができ、刈取搬送装置5側および車体2側のメンテナンスを能率よく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
まず、コンバインは、図5に示すように、クローラ15,15を装備した車体2上に、穀稈供給口16を前側に位置させた脱穀装置7を搭載し、その前側に刈取搬送装置5を配置して設けた構成としている。そして、上記刈取搬送装置5は、図1、及び図4に示すように、オープンフレーム17の上側に、横向きに刈取伝動ケース18が装備され、その左端に刈取入力プーリー19が軸架されている。
【0009】
そして、刈取フレーム20は、図3に示すように、円筒状の部材からなり、基部を前記刈取伝動ケース18に上下回動自由に枢着連結し、中間部には車体1の前部に装備した刈取上下油圧シリンダ21に連結して支持し、先端側を前方下方に延長して刈取装置22、穀稈引起し装置23、穀稈搬送装置24等を設けて刈取搬送装置5を構成している。そして、前記刈取フレーム20は、前記刈取入力プーリー19によって入力された動力を、回転各部に伝動する刈取伝動軸が内装して軸架されており、走行速度(作業能率)にシンクロされた回転速度によって刈取搬送装置5の各装置を伝動する構成としている。
【0010】
つぎに、前記オープンフレーム17は、図1、及び図4に示すように、中間内部に形成された内空部に四点リンク機構からなる回動支持装置6が構成され、前・後2つの支持アーム1,1の先端部を挿入して上下に枢着した構成としている。そして、該前・後2つの支持アーム1,1は、その基部を、車体2の側部寄りに装置した支持メタル3に軸受け支持した一対の支持軸4,4に連結して支持した構成としている。
【0011】
このように、刈取搬送装置5は、オープンフレーム17上に設けられ、四点リンク機構からなる回動支持装置6によって回動可能に支持されている前記オープンフレーム17と共に、前記脱穀装置7の前側の作業位置(収納位置)と、前記車体2の前部側方のオープン位置(図4の仮想線の位置参照)とに回動可能に支持された構成となっている。
【0012】
そして、オープンレバー8は、図1、及び図2に示すように、下側のオープンフレーム17に軸装されているロックリンク9の上部に横軸8aとして軸受支持され、前記オープンフレーム17の上部に装備したロック装置26のロックピン26aを上下操作すると共に、連動ロット27を介してロック爪28を固定ピン30(車台1に固定されている)にロック操作と、その解除操作とができる構成としている。そして、ロック装置26を構成する前記ロックピン26aは、垂直の状態で上下に操作されてオープンフレーム17から下側の支持フレーム1に抜き差してロックと解除とができる構成となっている。このように、ロックピン26aは、垂直のまま上下動してロックと解除とに切り替わるから、オープンレバー8の支点Pが、その都度、図2に示す実線と仮想線のように、揺動可能とし、前後に変位できるロックリンク9で支持した構成となっている。
【0013】
そして、実施例の場合、オープンレバー8は、図面に示すように、前記オープンフレーム17の上部に装備したロック装置26を上下操作すると共に、連動ロット27を介してロック爪28を固定ピン30(車台1に固定されている)にロックと、その解除操作ができる構成としている。そして、前記ロック装置26は、図4に示すように、上記オープンレバー8に連結されて上下するロックピン26aを、オープンフレーム17から、下側の支持アーム1に設けた収納位置ロック孔31aと、オープン位置ロック孔31bとに挿通できる構成としている。
【0014】
したがって、上記構成のロック装置26は、刈取搬送装置5に設けたオープンレバー8の上下操作によって、刈取搬送装置5を収納した刈取作業位置では、ロックピン26aを収納位置ロック孔31aに挿し通して連結ロックし、刈取搬送装置5を車体2の前部側方のオープン位置に回動した位置では、ロックピン26aを前記オープン位置ロック孔31bに挿し通して連結ロック作用を行い、その解除操作ができるものとしている。
【0015】
つぎに、請求項2に記載しているギヤケース12の取付けに関する実施例を、図3に基づいて説明する。
まず、脱穀・定速ギヤケース(ギヤケース)12は、コンバインでは既に公知の技術となっているが、エンジン10(他の実施例を示す図9、及び図10参照)から伝動される回転動力を脱穀装置7に伝達する伝動機構と、走行ミッション装置を経由して伝達される走行動力にシンクロされた回転動力を刈取搬送装置5と、前部受継ぎチエーン11とに伝動する伝動機構とを一体のギヤケースに構成している。なお、前記脱穀・定速ギヤケース12には、既に周知の通り、ワンウエイ・クラッチを伝動途中に装備し、エンジン10側と走行ミッション側との二系統の回転動力が同時に伝動されると、高速側の回転動力によって、前記した前部受継ぎチエーン11と刈取搬送装置5とを伝動する構成とし、高速域では通常、走行速度に応じた作業速度が確保できる構成としている。
【0016】
このように構成されている脱穀・定速ギヤケース12は、前記支持メタル3に設けた取付アーム33と、前記車体2に連結固定している取付台34と、前記脱穀装置7の前側に設けた支持腕35との三部材に連結・支持した構成としている。
【0017】
つぎに、上記構成の実施例について、その作用と効果をまとめて述べる。
まず、実施例に係るコンバインは、刈取搬送装置5を脱穀装置7の前側に収納した位置において、ロック装置26とロック爪28とをロック状態に保持して、刈取脱穀作業を行う。そして、コンバインは、刈取搬送装置5のメンテナンスを行う場合には、まず、オープンレバー8を、図2の実線で示すように、上方に持ち上げて解除操作をすると、ロックピン26aが連動されて図4の実線で示す収納位置ロック孔31aから上に抜けてロック解除され、一方、ロック爪28も連動ロット27によって引き上げられて固定ピン30から離れてロック解除となる。
【0018】
そして、刈取搬送装置5は、オープンフレーム17を支持している四点リンク機構からなる回動支持装置6の前・後2つの支持アーム1,1を、支持軸4,4を支点にして車体2の前部側方に回動してオープン位置まで移動する(図4の仮想線参照)。
【0019】
このように、実施例は、刈取搬送装置5を四点リンク機構による回動支持装置6に支持させ、脱穀装置7の前側に収納した刈取作業位置と、車体2の前部側方のオープン位置とに回動可能に構成した刈取オープン装置において、オープンレバー8を、ロック機構の構成に利用して部品点数を削減しながら構成を簡潔にして、ロックとその解除との操作が簡単にできるものとしている。
【0020】
そして、脱穀・定速ギヤケース12は、脱穀装置7のすぐ前側に配置するにあたり、前側の刈取オープン機構を支持している支持メタル3を利用し、その他、下側に隣接する車体2と、背後の脱穀装置7との三部材を利用して連結し、支持構成を簡潔なものにし、強固で安定した支持構成を作り出している。
【0021】
つぎに、運転席40の支持構成と、それに関連する周辺の構成に関して、図6、乃至図12に基づいて実施例を説明する。
まず、運転席40は、図面に示すように、エンジンルーム41の上方に配置して設けられ、その前方から左側方に沿わせて逆L型にして操作パネル類や操作レバー類を集中的に配列し、その右側を開放して乗降する構成としている。そして、吸気室42は、運転席40の背後に横向きに形成し、エアクリーナー43を内装して右外側から外気を吸引しながら下方のエンジン10に供給する構成としている。そして、穀粒排出オーガー44(図5参照)のオーガー操作部45は、運転席40の左側後方に配置し、オペレーターが後方に向いてオーガー44を監視しながら旋回操作ができる位置に配置した構成をとっている。
【0022】
そして、前記運転席40のシート取付フレーム46,46は、図6、及び図7に示すように、前後2つの部材を左フレーム47と右外側にあるシュラウド取付フレーム48とに架渡した状態にして左右の両端部を連結固定した構成としている。更に、前部のシート取付フレーム46は、図8、及び図9に示すように、支持アーム49を設けて下方のミッションケース50に連結して支持する構成としている。 そして、前記した操作レバー類は、図10に示すように、刈・脱レバー51とスロットルレバー52と主変速レバー53と副変速レバー54とをそれぞれユニット化して別々にサブ組み立てをしておき、その後、運転席40の左側の取付位置に組み付ける手順で製作する構成としている。
【0023】
この場合、刈・脱レバー51は、刈取搬送装置5と脱穀装置7との伝動を、同時に「入」にする操作位置と、両者を共に「切」にする位置と、脱穀装置7を「入」にする位置との3つの操作位置を設けているが、いずれもポジションセンサー55が操作位置を検出して、図外のコントローラを介して制御モーター56を制御操作する構成としている。
【0024】
そして、制御モーター56と関連部材は、図10に示すように、支持ブラケット57に取付けて支持し、そのブラケット57を前部の操作ポスト58と後部の縦フレーム59とに連結して固定・支持した構成としている。
【0025】
このように、運転席40周りの各操作レバー51,52,53,54、及びポジションセンサー55、更に、制御モーター56等は、上述のように、各レバーをユニット化してサブ組を先に行った後、製品として組み立てることによって全工程の組み立て効率を大幅に向上することができた特徴がある。
【0026】
そして、エンジンルーム41は、図10に示すように、後部に配置している吸気室42の底板(エンジンルーム41の天井に相当する)60を、前側より高くして上下に拡げた構成としているから、その拡大されたスペースに各器具のホース類、例えば、エアクリーナー、インタークーラー、ラジエーター等のホースを配策することができる特徴もある。
【0027】
そして、上記した吸気室42の底板60は、図11、及び図12に示すように、右側の前記シュラウド取付フレーム48から左端の前記したオーガー操作部45の下側まで延長し、吸気室42を区画して仕切った構成としており、構成が簡潔となり、遮音効果もある構成となった。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本件発明の要部を示す正面図
【図2】要部の作用側面図
【図3】要部の側面図
【図4】回動支持装置とオープンフレームとの作用を示す平面図
【図5】コンバインの側面図
【図6】別実施例の運転席周辺の側面図
【図7】別実施例の主としてシート取付フレームの平面図
【図8】別実施例の一部破断した正面図
【図9】別実施例の破断側面図
【図10】各操作レバー等の取付状態の側面図
【図11】運転席、エンジンルーム、オーガー操作部の配置を示す正断面図
【図12】主として吸気室の底板の取り付け状態を示す平面図。
【符号の説明】
【0029】
1 支持アーム
2 車体
3 支持メタル
4 支持軸
5 刈取搬送装置
7 脱穀装置
10 エンジン
11 前部受継ぎチェーン
12 脱穀・定速ギヤケース(ギヤケース)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の支持アーム(1,1)の基部を、車体(2)上の支持メタル(3)に設けた一対の支持軸(4,4)に支持させ、該支持アーム(1,1)の先端部に、穀稈を刈取って搬送する刈取搬送装置(5)を支持させ、該刈取搬送装置(5)を、前記一対の支持アーム(1,1)からなる四点リンク機構形態の回動支持装置(6)によって脱穀装置(7)前側の刈取作業位置から車体(2)の前部側方の非刈取作業位置へ移動可能な構成とし、エンジン(10)から入力した回転動力を、脱穀装置(7)と前部受継ぎチェーン(11)と刈取搬送装置(5)とに分岐伝動するギヤケース(12)を、前記支持メタル(3)と車体(2)と脱穀装置(7)とに連結したことを特徴とするコンバイン。
【請求項1】
一対の支持アーム(1,1)の基部を、車体(2)上の支持メタル(3)に設けた一対の支持軸(4,4)に支持させ、該支持アーム(1,1)の先端部に、穀稈を刈取って搬送する刈取搬送装置(5)を支持させ、該刈取搬送装置(5)を、前記一対の支持アーム(1,1)からなる四点リンク機構形態の回動支持装置(6)によって脱穀装置(7)前側の刈取作業位置から車体(2)の前部側方の非刈取作業位置へ移動可能な構成とし、エンジン(10)から入力した回転動力を、脱穀装置(7)と前部受継ぎチェーン(11)と刈取搬送装置(5)とに分岐伝動するギヤケース(12)を、前記支持メタル(3)と車体(2)と脱穀装置(7)とに連結したことを特徴とするコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−77673(P2009−77673A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−250549(P2007−250549)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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