説明

コンバイン

【課題】穂先の扱深状態を扱深さ移動方向視認用マークによって視認し易くし、扱深さ操作方向視認マークにより扱深手動スイッチの視認操作を行い易くし、手動による扱深調整を適切に行うことができるコンバインを提供する。
【解決手段】前処理部で刈取られた穀稈を、扱深手動スイッチの浅扱ぎ側及び深扱ぎ側への操作によって扱深搬送部を作動させて扱深調整をし、脱穀入口42に適正扱深で供給搬送させるコンバインであって、前記脱穀入口42に、搬送されてくる穀稈の穂先位置に対して浅扱ぎ方向と深扱ぎ方向とを運転部7より視認可能な扱深さ移動方向視認用マーク45を表示すると共に、扱深手動スイッチには、浅扱ぎ操作状態と深扱ぎ操作状態とを扱深さ移動方向視認用マーク45と同じ態様で視認可能に表す扱深さ操作方向視認マークを表示した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扱深調整装置を備えたコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に コンバインは、前処理部で刈取った穀稈を自動制御される扱深調整装置の扱深搬送部により後方に向けて扱深調整搬送し、脱穀部に適正扱深を以って供給搬送して脱穀をする。
また扱深調整装置には自動制御中でも、手動操作による浅扱ぎ作動と深扱ぎ作動を行なわせる扱深手動スイッチとしての浅扱スイッチと深扱スイッチとを備えている。
そして、浅扱スイッチと深扱スイッチには、それぞれのスイッチ種別を表す文字を設置パネル部に表記しており、また脱穀部の脱穀入口には、穀稈の適正扱深位置を表す指標として稲穂の姿を図形化した穂先マークを表記したものが知られている。
【0003】
上記のような扱深調整装置の扱深手動操作手段を備えたコンバインは、略一定長さの穀稈長(標準稈長)の植立穀稈を刈取り搬送しているとき、例えば同一圃場内で生育条件が部分的に異なる等の要因により生育した極めて長い稈長の穀稈(極長稈)や大きく倒伏した穀稈がある場合に、穂先マークと穂先との状態を視認し該穂先マークを指標として、浅扱スイッチを選択しON操作することにより、扱深搬送部を浅扱ぎ側へ移動させて扱深調整をすることができる。また同様に標準稈長のものに対し極めて短い稈長の穀稈(極短稈)がある場合には、深扱スイッチを選択しON操作することにより、扱深搬送部を深扱ぎ側へ移動させて扱深調整をすることができる。
【0004】
一方、コンバインに搭載される穀粒タンクに設けられる穀粒排出用オーガを被操作物体とした手動操作手段は、特許文献1に記載されている。この穀粒排出用オーガの操作装置には、穀粒排出用オーガに左旋回方向と右旋回方向とを外部より視認可能なオーガ移動方向視認用指標が装備され、手動操作式のオーガ操作指令手段には、左旋回指令操作状態と右旋回指令操作状態とをオーガ移動方向視認用指標と同じ態様で視認可能に表すオーガ操作方向視認用指標を装備している。これによりオペレータはオーガ操作指令手段を操作するとき、穀粒排出用オーガに色分けして表示されたオーガ移動方向視認用指標を見て、これに対応したオーガ操作方向視認用指標を備えるオーガ操作指令手段を選択操作することにより、操作ミスの少ない旋回操作を行い易くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−187583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の扱深調整装置の扱深手動操作手段を備えたコンバインは、穂先マークと扱深手動スイッチの文字表記を視認しながら扱深手動操作を行ない穀稈を適正扱深さに調整できる利点がある。然しながら、穀稈の穂先を穂先マークに対してどのように移動させるか、またそのためにどのスイッチを押せばよいのか等の判断を文字表記を視認しながら行なわねばならず、熟練を要しないと即座に判断しかねること、及び特に国外等で使用される初心者等に対し、スイッチ操作による穂先の移動方向並びに穂先と穂先マークとの関係に明瞭さを欠いて当惑させることがある。従って、即時対応が求められる扱深手動作業時に、そのタイミングを逸したり誤操作を伴い易い等の問題がある。
そこで、特許文献1で示される穀粒排出用オーガを被操作物体とした手動操作手段を、扱深調整装置の扱深手動操作手段に適用させるように考察をすると、上記特許文献1のコンバインの手動操作手段には以下のような課題がある。
【0007】
即ち、特許文献1で示されるコンバインは、左右に旋回する穀粒排出用オーガそのもに色分け等のオーガ移動方向視認用指標を設け、オペレータがこれを視認して対応するオーガ操作方向視認用指標が装備されたオーガ操作指令手段を操作することにより旋回操作を行い易くする。然しながらこの発明思想を扱深調整装置の扱深手動操作手段に適応させたとすると、当該オーガ操作方向視認用指標に相当するものは扱深搬送部であり、この扱深搬送部に操作方向視認用指標を設け且つ操作指令手段である扱深手動スイッチに操作方向視認用指標を設けたとしても、扱深搬送部は運転部から見え難い構造であると共に、扱深搬送部で挟持搬送される穀稈の状態を把握して適正扱深に調整することは困難であり、扱深手動スイッチの操作を幾度か繰り返して行なわねばならない等の煩雑な手動操作を要する等の問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明によるコンバインは、第1に、前処理部5で刈取られた穀稈を、扱深手動スイッチ35,36の浅扱ぎ側及び深扱ぎ側への操作によって扱深搬送部11を作動させて扱深調整をし、脱穀入口42に適正扱深で供給搬送させるコンバイン1において、前記脱穀入口42に、搬送されてくる穀稈の穂先位置に対して浅扱ぎ方向と深扱ぎ方向とを運転部7より視認可能な扱深さ移動方向視認用マーク45を表示すると共に、扱深手動スイッチ35,36には、浅扱ぎ操作状態と深扱ぎ操作状態とを扱深さ移動方向視認用マーク45と同じ態様で視認可能に表す扱深さ操作方向視認マーク37を表示したことを特徴としている。
【0009】
第2に、扱深さ移動方向視認用マーク45と扱深さ操作方向視認マーク37のそれぞれのマークに、色又は模様と、方向とを同時に表記したことを特徴としている。
【0010】
第3に、穀稈搬送路に設けた検出センサ56,57による穂先の位置検出に基づき扱深搬送部11を扱深調整作動させる扱深自動制御手段を備え、脱穀入口42に設けられる扱深さ移動方向視認用マーク45と同様な表記からなる扱深センサ調整マーク45aを、稈長方向に移動調整可能とする扱深センサ調整部60に表示したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
上記構成を備えたコンバインは次のような効果を奏する。請求項1の発明によれば、脱穀入口に、搬送されてくる穀稈の穂先位置に対して浅扱ぎ方向と深扱ぎ方向とを運転部より視認可能な扱深さ移動方向視認用マークを表示すると共に、扱深手動スイッチには、浅扱ぎ操作状態と深扱ぎ操作状態とを扱深さ移動方向視認用マークと同じ態様で視認可能に表す扱深さ操作方向視認マークを表示したことにより、オペレータは扱深さ移動方向視認用マークに対する穂先が存在する位置を視認して、当該位置のマークと同じ態様の扱深さ操作方向視認マークが表示されている扱深手動スイッチを視認操作するだけで、扱深搬送部を浅扱ぎ方向又は深扱ぎ方向へ誤操作を生ずることなく適切に作動させることができる。従って、手動による扱深操作を咄嗟に行なうときでも、浅扱ぎと深扱ぎの選択に当惑したり誤らせることなく素早く行うことができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、扱深さ移動方向視認用マークと扱深さ操作方向視認マークのマークに、色又は模様と、方向とを同時に表記したことにより、オペレータは運転部から同じ表示態様の扱深さ移動方向視認用マークと扱深さ移動方向視認用マークとを同じ視線で視認でき、脱穀入口で扱深さ移動方向視認用マークにより穂先の扱深状態を正確に把握しながら、穀稈の穂先をマークに対してどのように移動させるか、またそのスイッチの選択操作等の判断が容易になるため、即時対応が求められる扱深手動操作を速やか且つ正確に行うことができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、脱穀入口の扱深さ移動方向視認用マークと同様な表記の扱深センサ調整マークを、穂先の位置を検出して扱深搬送部を扱深調整作動する稈長検出センサを稈長方向に移動調整可能とする扱深センサ調整部に表示したことにより、オペレータは稈長検出センサを稈長方向に移動調整操作するとき、扱深搬送部が浅扱ぎ寄りと深扱ぎ寄りのいずれの方向に動くかの判断に迷っても、脱穀入口に表示された同じパターンの移動方向視認用マークを対比して見ることができるので、正確な扱深センサ調整作業をスムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明が適用された扱深装置を備えるコンバインの右斜視図である。
【図2】図1の運転部の構成を示す平面図である。
【図3】図1の扱深さ操作方向視認マークと扱深さ移動方向視認用マークの配置構成を示す斜視図である。
【図4】図1の扱深搬送部と扱深センサ調整部の構成を示す後方斜視図である。
【図5】扱深さ操作方向視認マークを有する制御操作パネル部を示す平面図である。
【図6】扱深さ移動方向視認用マークの第1実施形態を示す平面図である。
【図7】扱深さ移動方向視認用マークの第2実施形態を示す平面図である。
【図8】扱深さ移動方向視認用マークの第3実施形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1において符号1は本発明に係わる扱深手動操作手段を備えたコンバインであり、クローラー式の走行装置3を備えた走行機台4に、従来のものと同様に前処理部5と脱穀部6等の作業部を前後方向に配置し、前処理部5の後方で脱穀部6の右側に運転部7とグレンタンク8を配置している。そして、運転部7の運転座席9を支持するエンジンカバー10内にエンジン(図示せず)を搭載している。
【0016】
上記構成からなるコンバイン1は、前処理部5で刈り取った穀稈を扱深搬送部11等を介して脱穀部6のフィードチェン12に扱深調整可能に継送し、脱穀部6によって脱穀選別された穀粒をグレンタンク8に収容し、またグレンタンク8に収容される穀粒は穀粒排出オーガー13を操作することにより機外に排出することができ、一連のコンバイン作業を行うことができる。
このコンバイン1の運転部7は、運転部フロア15の前側で横方向に立設される前部運転パネル部16と、該前部運転パネル部16に連なり運転部フロア15及び運転座席9の左側で前後方向に立設される側部運転パネル部17を平面視でL字状に構成している。
【0017】
図1〜図3で示すように運転部7は、前部運転パネル部16のパネル面に右側からステアリング(ステアリングレバー)19とモニター機器類の表示パネル20等を設置している。そして、側部運転パネル部17には平坦な側部上パネル21に、前側から主変速レバー22とその左右に副変速レバー23とエンジンコントロールレバー25を並設し、その後方に各種作業部の制御操作パネル部26を配設し、且つ制御操作パネル部26の後方に、脱穀部5のクラッチ操作を行う作業部レバー27等を設けている。
【0018】
上記制御操作パネル部26は図5で示すように、前処理部5の刈高さを設定する刈高さダイヤル29の操作位置を指示する刈高さマーク30と、機体の自動操向操舵と手動操向操舵を切り換える方向スイッチ31の方向操作マーク32と、前記扱深搬送部11を自動制御操作と手動操作とに択一的切り換える扱深さ切換スイッチ(扱深自動スイッチ)33の操作部マーク34と、扱深搬送部11を浅扱ぎ方向と深扱ぎ方向とに作動させる、浅扱スイッチ35と深扱スイッチ36との操作態様を表す扱深さ操作方向視認マーク37とを纏めて表示している。さらに扱深さ操作方向視認マーク37の後方に、前記作業部レバー27の操作時に前処理部4の操作を解除可能なオートクラッチスイッチ38の操作を表すオートクラッチ操作マーク39を表示している。
【0019】
図示例の扱深さ操作方向視認マーク37は、扱深手動スイッチとしての浅扱スイッチ35の浅扱操作マーク40と深扱スイッチ36の深扱操作マーク41とを、制御操作パネル部26の左右に振り分けて配置すると共に、両者のマーク表示の差異を一見して明らかとなるようにしている。
即ち、浅扱操作マーク40と深扱操作マーク41は、それぞれのマークに色又は模様(色模様デザインと言う)と、扱深搬送部11の浅扱ぎと深扱ぎの方向を示す図形(方向デザインと言う)を併せて表記している。
【0020】
図5の浅扱操作マーク40は、浅扱スイッチ35を囲む方形状の区画を例えば青色とした色模様デザインとし、且つ浅扱スイッチ35の上に白色で扱深搬送部11の浅扱ぎ作動と同じ左向き三角形の指向性を有する方向デザインとして表記している。そして、深扱操作マーク41は深扱スイッチ36を囲む方形状の区画を赤色とした色模様デザインとし、且つ深扱スイッチ36の上に白色で深扱ぎ作動方向と同じ右向き三角形の方向デザインを表記している。
【0021】
一方、脱穀部6の脱穀入口42に設けられる入口カバー43には、図6で示すような扱深さ移動方向視認用マーク45を、上記脱穀入口42に搬送されてくる穀稈が適正扱深である穂先位置に対応させ、且つ運転部7より視認し易い位置に設けている。
即ち、図示例の扱深さ移動方向視認用マーク45は、前記入口カバー43に貼着される1枚状のシール面に、穀稈穂先を分かりやすくデザイン化した穂先マーク(穂先図)46と、該穂先マーク46の中央下方において、矢印中心が適正扱深位置を示す穂先設定マーク(矢印図)47と、穀稈が深扱ぎ方向位置と浅扱ぎ方向位置のいずれかであることを示す深扱ぎ方向マーク48と浅扱ぎ方向マーク49とを、前記穂先設定マーク47の左右に振り分けてプリント表記している。
【0022】
また上記浅扱ぎ方向マーク49と深扱ぎ方向マーク48は、それぞれ前記浅扱操作マーク40と深扱操作マーク41の青と赤の色模様デザイン及び三角形の方向デザインを同一的にパターン化させている。尚、浅扱ぎ方向マーク49と深扱ぎ方向マーク48の色模様デザインは、縦向きバー状の複数の図柄となし、この図柄を前記穂先設定マーク47から遠くなるほど順次太くなるように表記すると、当該太い図柄の位置にある穀稈穂先は適正扱深位置からより外れた浅扱ぎ状態又は深扱ぎ状態であることを、容易に視認することができて注意を喚起することができる。
【0023】
次に図7,図8を参照し扱深さ移動方向視認用マーク45の別実施形態について説明する。尚、前記実施形態と同様な構成及び作用については説明を省略する。先ず図7に示す第2実施形態は、穂先設定マーク47の両側に表記される浅扱ぎ方向マーク49と深扱ぎ方向マーク48とを、穂先設定マーク47より遠くなる側を先鋭な形状にしている。これによれば、前記第1実施形態のものに表記される三角形の図柄を省略しシンプルな形状にしながらも、浅扱ぎと深扱ぎの種別及び方向性を離れた位置からも良好に視認することができる。これによりオペレータは、穂先がいずれかにあるとき、この穂先を移動修正したい側にある浅扱ぎ方向マーク49又は深扱ぎ方向マーク48と同じ表示態様の浅扱スイッチ35又は深扱スイッチ36を押すことにより、穂先を穂先設定マーク47の位置に合わせることができる。
【0024】
図8に示す第3実施形態は、穂先設定マーク47の両側に表記する浅扱ぎ方向マーク49と深扱ぎ方向マーク48とを、前記図6,図7に表記される浅扱ぎ方向マーク49と深扱ぎ方向マーク48に対し、色及び形状を真逆の態様で表示したものである。そして、この実施形態の両マーク48,49は縦向きバー状の図柄が、穂先設定マーク47に近い側を太い図柄となし先鋭な方向性を有する形状にしている。
さらに、前記図6,図7の浅扱ぎ方向マーク49と深扱ぎ方向マーク48が、穂先を修正したい側の浅扱スイッチ35又は深扱スイッチ36を押すように指示するものであるのに対し、この第3実施形態による表示態様では、穂先が浅扱ぎ方向マーク49又は深扱ぎ方向マーク48のいずれかにあるとき、この穂先が位置する表示と同じ表示態様の浅扱スイッチ35又は深扱スイッチ36を押すことにより、穂先を穂先設定マーク47に合わせることができて適正扱深に調節することができるものである。
【0025】
次に、図1,図4を参照し前処理部5及び扱深搬送部11並びに扱深調整装置2等について説明する。前処理部5は圃場に植立する穀稈を引起装置50で引起しながら刈取部51で刈取り、刈取った穀稈を扱深搬送部11の始端部に受け継がせ、該扱深搬送部11によって挟持した穀稈を後方に向けて扱深調整搬送し、脱穀部6のフィードチェン12に適正扱深を以って継送し脱穀入口42に供給搬送して脱穀させる。
図示例の扱深搬送部11は在来のものと同様な扱深調整装置の構成によって、穀稈の株元側を挟持して搬送する株元搬送チェン52と、穀稈の穂先側を係合搬送する搬送ラグ付の穂元搬送体53とを、逆向きU字状の連結杆55によって一体的に連結した状態で、後部の回動支点を中心に前方側を上下回動可能に支持されている。
【0026】
また扱深搬送部11は前記扱深さ切換スイッチ33が自動制御側に操作されているとき、穀稈搬送経路に臨み稈長検出センサとして対をなす上検出センサ56と下検出センサ57の穂先検出により、図示しない制御部(マイコン)及び該制御部の信号に基づき扱深モータを正逆回転させて扱深調整作動する。即ち、扱深モータの正逆回転により扱深搬送部11を、下向き回動の深扱ぎ作動と上向き回動の浅扱ぎ作動をさせることができる。そして、下検出センサ57に穂先が接触した検出状態において、上検出センサ56に穂先が接触しない非検出状態になるとき、扱深搬送部11を作動停止し穀稈をフィードチェン12に適正扱深を以って継送し、穂先を前記扱深さ移動方向視認用マーク45の穂先設定マーク47に一致させて脱穀入口42内に供給する。
また上記のような扱深自動制御手段中に浅扱スイッチ35又は深扱スイッチ36をON操作すると、扱深搬送部11を任意に浅扱ぎ作動又は深扱ぎ作動させることができる。
【0027】
そして、上記のように構成される扱深搬送部11は、連結杆55の中途に調整ブラケット59を設け、該調整ブラケット59に前記上検出センサ56と下検出センサ57を上下方向(稈身方向)に移動調整可能する扱深センサ調整部60を構成している。
図示例の扱深センサ調整部60は、上検出センサ56と下検出センサ57とを互いの基部側を連結した状態で、上記調整ブラケット59に穿設される上下方向の長孔に螺挿した取付ノブ61の操作により、上下方向に移動調整することができる。また調整ブラケット59の板面には、前記扱深さ移動方向視認用マーク45のパターンと同様な表記からなる扱深センサ調整マーク45aを表示している。
【0028】
この扱深センサ調整マーク45aは工場出荷時において、その穂先設定マーク(矢印図)47を標準的な穀稈長を適正扱深調整する位置に合致させていると共に、その上下方向に深扱ぎ方向マーク48と浅扱ぎ方向マーク49とを表示した状態で設けられる。
これにより扱深センサ調整部60は、上記標準扱深調整位置から取付ノブ61を操作し深扱ぎ方向マーク48側の上方にセットすることにより、上検出センサ56と下検出センサ57の間隔を保持したまま上方で扱深検出し、穀稈を脱穀部6に向けて深扱ぎ寄りに調整して供給することができる。
【0029】
また扱深センサ調整部60は、上記標準扱深調整位置から浅扱ぎ側の下方にセットすると、上検出センサ56と下検出センサ57の間隔を保持したまま下方で扱深検出し、穀稈を脱穀部6に向けて浅扱ぎ寄りに調整して供給することができる。
上記のように扱深センサ調整作業をするとき地上に立つオペレータは、扱深センサ調整部60に目線高さで表示される扱深センサ調整マーク45aを容易に視認することができる。
【0030】
そして、オペレータは取付ノブ61を上方又は下方に操作するとき、扱深搬送部11が浅扱ぎ寄りと深扱ぎ寄りのいずれの方向に動くかの判断に迷ったとしても、色模様デザインや方向デザインが同じパターンで表示される、脱穀入口42の移動方向視認用マーク45と対比して視認することができるので、例え初心者であっても浅扱ぎ方向と深扱ぎ方向の判断が容易になり、正確な扱深センサ調整作業をスムーズに行うことができる。
【0031】
以上のように構成される扱深手動操作表示手段を設けたコンバイン1は、脱穀入口42に、搬送されてくる穀稈の穂先位置に対して浅扱ぎ方向と深扱ぎ方向とを運転部7より視認可能な扱深さ移動方向視認用マーク45を表示し、扱深手動スイッチ35,36には、浅扱ぎ操作状態と深扱ぎ操作状態とを扱深さ移動方向視認用マーク45と同じ態様で視認可能に表す扱深さ操作方向視認マーク37を表示しているので、オペレータは脱穀入口42に搬送供給される穀稈を扱深さ移動方向視認用マーク45を基準に穂先を見て、適正な扱深状態か又は手動操作によって浅扱ぎ方向にするべきか深扱ぎ方向にするべきかの判断、及び手動による扱深さ調整をする際の浅扱スイッチ35と深扱スイッチ36の選択操作、並びに操作の程度等を正確に把握して手動による扱深調整を行うことができる。
【0032】
また運転部7に座着した姿勢のオペレータが扱深さ操作方向視認マーク37を見るとき、該扱深さ操作方向視認マーク37と扱深さ移動方向視認用マーク45とは、視線方向で一致させているため両者を同じ視界内で見ることができると共に、マークの色又は模様と方向とが同時に示されていることにより、扱深さ操作方向視認マーク37の表示に対応した扱深さ移動方向視認用マーク45の扱深手動スイッチ35,36を択一的、且つ即座に操作することができる。従って、扱深手動スイッチ35,36の操作判断に当惑し操作タイミングを逸したり誤りを生ずることなく、速やか且つ正確に浅扱ぎと深扱ぎの手動操作を行うことができ、コンバイン作業の能率を向上させることができる。
【0033】
また扱深さ移動方向視認用マーク45と扱深さ操作方向視認マーク37は、浅扱ぎ側と深扱ぎ側との色や方向等の表記に識別性を持たせて一見して分かり易くしているので、日本語や各国の文字を省略しても誤操作を防止することができるようになり、海外に輸出する際の製品に対してもマーク等を統一することができ、生産性及び管理性を向上させることができる等の利点がある。
【0034】
尚、実施形態の扱深手動スイッチ35,36は共に押しボタンスイッチ式の浅扱スイッチ35と深扱スイッチ36とにしたが、例えば1つのレバー式のスイッチ又は1本のレバーで扱深搬送部11を機械的に作動させることもでき、この場合にも前記した各マークは適応させることができるものである。また実施形態の各マークの浅扱ぎ側と深扱ぎ側の色は青と赤等の色違いにしたものを示したが、これに限ることなく同系色の例えば青色と水色等の複数の色を用いることもできる。この場合に色の色調や濃度は浅扱ぎ及び深扱ぎの程度が大きくなる方向に対して順次濃くなるように表示することが望ましい。
【符号の説明】
【0035】
1 コンバイン
5 前処理部
7 運転部
11 扱深搬送部
35 浅扱スイッチ(扱深手動スイッチ)
36 深扱スイッチ(扱深手動スイッチ)
37 扱深さ操作方向視認マーク
42 脱穀入口
45 扱深さ移動方向視認用マーク
45a 扱深センサ調整マーク
56,57 稈長検出センサ
60 扱深センサ調整部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
前処理部(5)で刈取られた穀稈を、扱深手動スイッチ(35),(36)の浅扱ぎ側及び深扱ぎ側への操作によって扱深搬送部(11)を作動させて扱深調整をし、脱穀入口(42)に適正扱深で供給搬送させるコンバイン(1)において、前記脱穀入口(42)に、搬送されてくる穀稈の穂先位置に対して浅扱ぎ方向と深扱ぎ方向とを運転部(7)より視認可能な扱深さ移動方向視認用マーク(45)を表示すると共に、扱深手動スイッチ(35),(36)には、浅扱ぎ操作状態と深扱ぎ操作状態とを扱深さ移動方向視認用マーク(45)と同じ態様で視認可能に表す扱深さ操作方向視認マーク(37)を表示したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
扱深さ移動方向視認用マーク(45)と扱深さ操作方向視認マーク(37)のそれぞれのマークに、色又は模様と、方向とを同時に表記した請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
穀稈搬送路に設けた検出センサ(56),(57)による穂先の位置検出に基づき扱深搬送部(11)を扱深調整作動させる扱深自動制御手段を備え、脱穀入口(42)に設けられる扱深さ移動方向視認用マーク(45)と同様な表記からなる扱深センサ調整マーク(45a)を、稈長方向に移動調整可能とする扱深センサ調整部(60)に表示した請求項1又は2記載のコンバイン。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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