説明

コンバイン

【課題】キャビンからの前方の視認性を確保すると共に、キャビン内に設けるモニタを確認しながらの刈取作業を能率よく行えるものとする。
【解決手段】刈取装置(4)の後側の走行車台(2)の上部右側には、運転操作室(7)を形成するキャビン(7a)を設け、該キャビン(7a)内の後方部には、運転作業者が着座して運転操作する操縦席(9)を設け、該キャビン(7a)の前面壁(10)の上端部を鉄板材よりなる上側壁板(10a)で形成し、該前面壁(10)の上下中間部から下部を硝子材よりなる下側壁板(10b)で形成し、前記上側壁板(10a)に設けるモニタ装置(11)を、該上側壁板(10a)に設けた複数のエアコン吹出口(12a,12a)の間に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンバインの走行車台の後方部を撮影する撮像手段を設け、この撮像情報を運転キャビン内に配置した表示装置のモニタ画面で表示するように構成した該コンバインの後方監視装置である。
【0003】
前記表示装置を該運転キャビン内の前方上部箇所で、かつ運転座席中央の直前方位置よりも、サイドミラーが設けられている、機体横一側部寄り箇所に配置してあるコンバインの該後方監視装置である。
【特許文献1】特開2008−5711号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
立毛穀稈を刈取り脱穀するコンバインの走行車台の上側面には、運転キャビンを載置した構成であり、又、該走行車台の後方部を撮影する撮像手段を設け、この撮像手段で撮像した撮像情報は、該運転キャビン内に配置して設け、表示装置のモニタ画面に表示するように構成した、該コンバインの後方監視装置である。
【0005】
前記撮像手段で撮像した撮像情報を表示する該表示装置のモニタ画面は、公開特許公報2008−5711号公報で示すように、該運転キャビン内の前方上部箇所で、かつ運転座席の直前方位置よりも、サイドミラーが設けられている機体横一側部寄り箇所に配設していることにより、刈取りしようとする穀稈の植付け位置を正確に視認できないことがあり、このために、正確な刈取り作業ができないことがあり、刈り残し穀稈が発生することがあったが、これを解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述のような課題を解決するために、この発明は、次のような技術手段を講じる。
即ち、走行車台(2)の下側に走行装置(3)を設け、該走行車台(2)の前側に立毛穀稈を刈取り後方へ移送する刈取装置(4)を設け、該刈取装置(4)の後側の走行車台(2)の上部右側には、運転操作室(7)を形成するキャビン(7a)を設け、該キャビン(7a)内の後方部には、運転作業者が着座して運転操作する操縦席(9)を設け、該キャビン(7a)の前面壁(10)の上端部を鉄板材よりなる上側壁板(10a)で形成し、該前面壁(10)の上下中間部から下部を硝子材よりなる下側壁板(10b)で形成し、前記上側壁板(10a)に設けるモニタ装置(11)を、該上側壁板(10a)に設けた複数のエアコン吹出口(12a,12a)の間に配置したことを特徴とするコンバインとしたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によると、コンバインによる刈取り作業時に、キャビン(7a)の上側壁板(10a)に設けた複数のエアコン吹出口(12a,12a)の間に配置されるモニタ装置(11)に各種の表示項目が表示されることにより、前方の視認性を確保しながらモニタ装置(11)を確認でき、このモニタ(11)を確認しながらの刈取作業を能率よく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
コンバイン1の走行車台2の下側に走行装置3を設け、該走行車台2の前方部に穀稈を刈取る刈取装置4を設けると共に、該走行車台2の上側の一方側に該刈取装置4から刈取り穀稈を引継ぎ移送しながら脱穀する脱穀装置5と、該脱穀装置5の右横側には、該脱穀装置5から脱穀済み穀粒を受けて、一時貯留する穀粒貯留タンク6とを載置した構成である。
【0009】
前記刈取装置4の後方右側部には、運転操作室7を形成する略箱形状で乗り下り自在なキャビン7aを設け、該キャビン7a内の後方部には、運転作業者が着座して運転操作する操縦席9を設けると共に、該キャビン7aを形成する前側の前面壁10の上部は、鉄板材等よりなる上側壁板10aと、前側の下部は、硝子材等よりなる下側壁板10bとにより形成した構成である。
【0010】
上記の構成において、前記上側壁板10aに設けるモニタ装置11は、該上側壁板10aに設けたエアコン吹出口12a、12a間に設けた構成である。
前記コンバイン1の走行車台2の下側には、図2で示すように、土壌面を走行する左右一対の走行クローラ3aを張設した走行装置3を配設し、該走行車台2の上側面に脱穀装置5を載置している。該走行車台2の前方部の刈取装置4で立毛穀稈を刈取りして、後方上部に移送し、該脱穀装置5のフィードチェン5aと、挟持杆5bとで引継いで挟持移送しながら脱穀する。脱穀済みで選別済み穀粒は、該脱穀装置5の右横側へ配設した穀粒貯留タンク6内へ供給され、一時貯留される。
【0011】
前記刈取装置4後部の該走行車台2上側の右側部には、図1で示すように、運転作業者が乗り降り自在で開閉自在な扉7bを設けて、キャビン7を形成する略箱形状のキャビン7aを載置した構成である。
【0012】
前記キャビン7a内の後方部には、運転作業者が着座して運転操作する操縦席9を設けると共に、該キャビン7aを形成する前側の前面壁10の上部は、鉄板材等よりなる上側壁板10aと、前側の下部は、硝子材等よりなる下側壁板10bとにより形成した構成である。
【0013】
前記キャビン7aの該上側壁板10aに設けるモニタ装置11は、図1で示すように、該上側壁板10aに設けたエアコン吹出口12a、12a間に設けた構成である。
前記コンバイン1で、立毛穀稈を刈取り作業の時は、キャビン7を形成するキャビン7aの前面壁10の上側壁板10aで、運転作業者が着座する操縦席9の前側部に設けたエアコン吹出口12a、12a間に設けたモニタ装置11に、各種の表示項目が表示されることにより、前方の視界性の確保が容易である。又、運転作業者の直前部に、該モニタ装置11が設けられていることにより、直前の視認性が良好であり、運転操作性が良い。
【0014】
前記モニタ装置11は、図3で示すように、運転作業者の前左角部で、左前のスピーカ13の下方部で、運転作業者の方向向きに配置すると共に、該モニタ装置11の取付けは、左前のスピーカ13と共締めに取付けた構成である。
【0015】
上記構成により、前記スピーカ13の取付け部に共締めにする構成としたことにより、オプション設定に対応が可能である。又、ななめ下方(運転作業者向き)のために、直射日光を防げ、視認性の向上を図ることができる。
【0016】
前記運転操作室7を形成するキャビン7a内に、モニタ装置11を図4で示すように、左前部のスピーカ13部に取付けした構成において、左天井部のエアコン装置12の配管部11aのガスもれ点検用穴部11bより、該モニタ装置11用のハーネス11cを取り出しする構成である。
【0017】
これにより、前記点検用穴部11bと、該ハーネス11cを取り出す穴とが同一のために、外観向上を図ることができる。又、オプションを設定するときに、該ハーネス11cの配策が可能になる。
【0018】
前記運転操作室7を形成するキャビン7aが回動する構成において、回動を収納させた状態において、図5、及び図6で示すように、該キャビン7aに設けたアーム8aの上下ラインと同一部の該キャビン7aにストッパ8bを設けた構成である。
【0019】
これにより、前記キャビン7aを固定する時に、位置決めの確実化を図ることができる。
前記運転操作室7を形成するキャビン7aが回動すべく形成した構成において、該キャビン7aに接続して設けた各種のホース15類は、図7で示すように、該キャビン7aの後側面の左側部より出し、該キャビン7aの後側部に設けた操作フレーム8c上側面の左側部に設けたホース用孔8dを通してエンジン14のエンジンルーム14a内を経て、各部へ配策して設けた構成である。
【0020】
これにより、前記キャビン7aを回動方式に容易することが可能になる。又、各種のホース15類を一本化することにより、外観の向上を図ることができる。
前記運転操作室7を形成するキャビン7aを設け、該キャビン7aの後方下部には、図8で示すように、外気導入口8eを設けた構成である。
【0021】
これにより、メンテナンスが容易である。又、洗車時圧力水飛散の軽減が可能である。
前記運転操作室7を形成するキャビン7aの扉16は、図9で示すように、上部は硝子板を前後スライド式サッシ16a、16aとし、下部は硝子板1枚で形成した扉板16bとし、開閉用のハンドル16cは、図10で示すように、設けた構成である。
【0022】
これにより、サッシフレームを強度部材としたことにより、該扉16の重量を軽減することができる。又、視認性、及び作業性を大巾に向上させることができる。
前記運転操作室7を形成するキャビン7aの右前柱8fの上部から下部の間には、図11で示すように、把持具17を運転作業者の視野に、右前柱8fと該把持具17とが重合状態にならないように設けると共に、上下方向の略中間位置には、中間取付具17aを設けた構成である。
【0023】
これにより、視野の確保が容易であると共に、前記把持具17の強度確保が容易にできる。
前記走行車台2の前方部には、図2で示すように、立毛穀稈を分離するナローガイド18、及び各分草体19と、立毛穀稈を引起す引起装置20と、引起された穀稈を掻込みする穀稈掻込移送装置21の各掻込装置22と、掻込された穀稈を刈取る刈刃装置23と、刈取りされた穀稈を挟持移送して、該脱穀装置5の該フィードチェン5aと、該挟持杆5bとへ受渡しする穀稈掻込移送装置21の根元・穂先移送装置24・25等からなる刈取装置4を設けている。該刈取装置4は、油圧駆動による伸縮シリンダ26により、土壌面に対して昇降する。
【0024】
前記刈取装置4の前方下部から後方上部へ傾斜する支持杆27の上端部に設ける支持パイプ杆28を、走行車台2の上側面に設けた支持装置29で回動自在に支持させている。該伸縮シリンダ26を作動させると支持杆27と共に、該刈取装置4が上下回動する。
【0025】
前記刈取装置4の穀稈掻込移送装置21によって形成される穀稈移送経路中には、刈取られて移送する穀稈に接触作用することにより、脱穀装置5への穀稈の供給の有無を検出する穀稈センサ30を設けている。
【0026】
前記穀粒貯留タンク6側の前部のキャビン7を形成するキャビン7a内には、図2で示すように、コンバイン1を始動、停止、及び各部を調節等の操作を行う操作装置31と、操縦席32とを設け、この操縦席32の下側にエンジン14を載置している。
【0027】
前記走行車台2の前端部に装架した走行用ミッションケース33内の伝動機構33aの伝動経路中には、その出力に基づいて、走行車速を検出するポテンションメータ方式の車速センサ33bを設けている。
【0028】
前記穀粒貯留タンク6内へ貯留した穀粒を機外へ排出する、この穀粒貯留タンク6の後側には、図2で示すように、縦移送螺旋34aを内装した排出支持筒34を略垂直姿勢で旋回自在に装着して設け、この排出支持筒34の上端部には、その全長がコンバイン1の前後長に亘る機外へ穀粒を排出する排出螺旋35aを伸縮自在に内装した排出オーガ35を伸縮自在、上下回動自在、及び左右旋回自在に前後方向に配設している。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】キャビンの正面図
【図2】コンバインの左側の全体側面図
【図3】キャビンの正面図
【図4】キャビンの正面図
【図5】キャビンとエンジン部との背面斜視図
【図6】アーム取付部の側面図
【図7】ホース配策部の背面斜視図
【図8】キャビンの外気導入口部の背面図
【図9】キャビンの扉部の構成図
【図10】キャビンの右側扉部の側面図
【図11】キャビンの把持具取付部の側面図
【符号の説明】
【0030】
2 走行車台
3 走行装置
4 刈取装置
7 運転操作室
7a キャビン
9 操縦席
10 前面壁
10a 上側壁板
10b 下側壁板
11 モニタ装置
12a エアコン吹出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車台(2)の下側に走行装置(3)を設け、該走行車台(2)の前側に立毛穀稈を刈取り後方へ移送する刈取装置(4)を設け、該刈取装置(4)の後側の走行車台(2)の上部右側には、運転操作室(7)を形成するキャビン(7a)を設け、該キャビン(7a)内の後方部には、運転作業者が着座して運転操作する操縦席(9)を設け、該キャビン(7a)の前面壁(10)の上端部を鉄板材よりなる上側壁板(10a)で形成し、該前面壁(10)の上下中間部から下部を硝子材よりなる下側壁板(10b)で形成し、前記上側壁板(10a)に設けるモニタ装置(11)を、該上側壁板(10a)に設けた複数のエアコン吹出口(12a,12a)の間に配置したことを特徴とするコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−75124(P2010−75124A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−249349(P2008−249349)
【出願日】平成20年9月27日(2008.9.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】