説明

コンバイン

【課題】エンジンのメンテナンスの容易化、運転座席の移動構成の簡素化、開放空間の大型化。
【解決手段】グレンタンク5の前側にエンジン11を設ける。エンジン11を覆うエンジンカバー9と一体のキャビン12を設ける。キャビン12はリンク機構15により移動自在にする。リンク機構15は、内側アーム16と外側アーム17の先端部をキャビン12に回動自在に取付ける。外側アーム17は、機体フレーム1に出入り自在に設けた支持アーム30により支持する構成としたことを特徴とするコンバイン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、走行装置を有する機体フレームにエンジンを設け、該エンジンの上方に運転部の運転座席を設けたものにおいて、前記運転座席は縦軸の軸周りに外側方に向けて回動自在にした構成は、公知である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−28941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例は、単に、運転座席は縦軸の軸周りに外側方に向けて回動させる構成のため、縦軸とキャビンの側面との部分は、外側方に向けて回動させても、機体フレーム上に残ってしまいエンジンの周辺の開放できる空間が狭く限られるという課題がある。
本願は、キャビンの移動支持構成を工夫し、エンジンの周辺を大きく開放すると共に、キャビンを移動させて行うメンテナンスの他のメンテナンス作業をも容易にできるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明では、下方に走行装置2を備えた機体フレーム1の上部に脱穀装置3を設け、該脱穀装置3の前側に刈取装置4を設け、前記脱穀装置3の横側にグレンタンク5を設け、該グレンタンク5の前側の機体フレーム1上にエンジン11を設け、該エンジン11を覆うエンジンカバーCと一体のキャビン12を設け、該キャビン12はグレンタンク5の前側に位置する閉鎖位置とキャビン12の一部または全部が機体フレーム1の外側方へ移動した開放位置との間にわたりリンク機構15により移動自在に支持し、該リンク機構15を、内側アーム16と外側アーム17により構成し、該内側アーム16および外側アーム17の基部を前記エンジン11よりも後方の機体フレーム1側の固定部に内側基部取付軸18と外側基部取付軸19で夫々回動自在に取付け、内側アーム16と外側アーム17の先端部は、キャビン12の運転座席7よりも前側の所定部分に内側先端取付軸21と外側先端取付軸22により夫々回動自在に取付け、前記外側アーム17は、前記機体フレーム1に出入り自在に設けた支持アーム30により支持し、該支持アーム30には支持アーム30の長さ方向に沿う軸芯で回転自在に支持する支持ローラ33を設けたことを特徴とするコンバインとしたものであり、キャビン12を開放位置に外側回動させるとき、横枠31から支持アーム30を引き出し、次に、キャビン12の一部または全部を機体フレーム1の外側方に移動させるときに、外側アーム17を支持アーム30が支持するので、外側アーム17の変形を防止し、キャビン12の外側オープン時に強固に支持し、エンジン11の周辺を大きく開放できて、メンテナンス作業が容易になる。
この場合、外側アーム17は支持アーム30の支持ローラ33の上面を、支持ローラ33を回転させながら移動するので、支持アーム30に対する外側アーム17の摺動抵抗が小さくなる。
請求項2記載の発明では、前記支持アーム30は、前記機体フレーム1の左右方向の横枠31内に左右方向に摺動自在に内蔵し、キャビン12が閉鎖位置のときは横枠31内に収納し、キャビン12を開放位置に外側回動させるとき、横枠31から支持アーム30を引き出して外側アーム17を支持する構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、キャビン12が閉鎖位置のとき支持アーム30を横枠31内に収納し、キャビン12を開放位置に外側回動させるとき、横枠31から支持アーム30を引き出して外側アーム17を支持する。
請求項3記載の発明では、前記リンク機構15の内側アーム16と外側アーム17のそれぞれの基部は、前記機体フレーム1側の固定側フレーム35に取付け、該固定側フレーム35は、左右一対の後側縦フレーム37、38を有し、内側後側縦フレーム37には前後方向の内側側部フレーム39を接続し、前記外側後側縦フレーム38には前後方向の外側側部フレーム40を接続した構成とし、前記内側側部フレーム39の前部の前側縦杆50には、走行装置2のミッションケースMとキャビン12との間を仕切る仕切り部材51を着脱自在に取付けたことを特徴とするコンバインとしたものであり、仕切り部材51を外してミッションケースMのメンテナンスを行う。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明では、特許文献1に記載の従来技術に比較して、エンジン11の周辺をより大きく開放できて、メンテナンス作業を容易に行うことができるだけでなく、外側アーム17を支持アーム30が支持するので外側アーム17の変形を防止し、キャビン12の移動を円滑にでき、しかも、外側アーム17は支持アーム30の支持ローラ33の上面を、支持ローラ33を回転させながら移動するので、キャビン12の外側オープンするときの抵抗を支持ローラ33が減少させることができ、オープン作業を軽く行え、オープン作業を容易にする。
請求項2記載の発明では、前記効果に加え、キャビン12が閉鎖位置のとき支持アーム30を横枠31内に収納すればよく、支持アーム30の持ち運びおよび設置に特別な装備は不要となって、コンバインの機体幅をコンパクトにすることができる。
請求項3記載の発明では、前記効果に加え、仕切り部材51を外して行うミッションケースMのメンテナンスを容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】キャビンの開放状態平面図。
【図3】キャビンの側面図。
【図4】支持アーム付近の側面図。
【図5】同正面図。
【図6】キャビンの開放状態平面図。
【図7】同一部拡大図。
【図8】キャビンの開放状態の概略斜視図。
【図9】固定側フレームにリンク機構を組付たキャビンの側面図。
【図10】キャビンの組付状態側面図。
【図11】キャビンの一部側面図。
【図12】ミッションケースのカバーの側面図。
【図13】同正側面図。
【図14】エンジンのカバーの平面図。
【図15】伝動機構概略図。
【図16】刈取搬送用無段変速装置のテンションプーリー付近の展開状態平面図。
【図17】テンションプーリーの操作機構概略図。
【図18】同側面図。
【図19】同一部拡大側面図。
【図20】エンジンカバーの側面図。
【図21】同背面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施例を図面により説明すると、1はコンバインの機体フレーム、2は走行装置、3は走行装置2の上方の一側に設けた脱穀装置、4は刈取装置、5は脱穀装置4の側方に設けたグレンタンク、6は操縦部である。
操縦部6には作業者の立つステップ(図示省略)および作業者の着座する運転座席7および運転座席7の前側に設けたスイッチやレバー類を有する操作ボックス8等により構成する。
前記操縦部6は機体フレーム1の上方に設けたエンジン11の一部または全部を包囲するエンジンカバー(ラジエターカバー)9と一体の任意形状のキャビン12内に設ける。
即ち、キャビン12はエンジン11の上方に設けられ、エンジンカバー9と一体に構成されるが、本願はこのキャビン12の移動構成に関するものであり、キャビン12とエンジンカバー9との構成および形状は任意であり、実施例に限定されず、具体的構成の説明は省略する。
【0009】
キャビン12は、グレンタンク5の前側に位置する閉鎖位置と平面視キャビン12の一部または全部が機体フレーム1の側部よりも側方にはみ出た開放位置との間、リンク機構15により移動自在に構成する。
前記リンク機構15の一例を示すと、内側アーム16と外側アーム17の二本のアームにより構成し、内側アーム16および外側アーム17の基部は前記エンジン11よりも後方の機体フレーム1の任意の固定部に内側基部取付軸18と外側基部取付軸19で回動自在に取付ける。
内側アーム16と外側アーム17の先端は、それぞれ運転座席7よりも前方に位置させ、キャビン12の所定部分に内側先端取付軸21と外側先端取付軸22により回動自在に取付ける。
そのため、内側基部取付軸18および外側基部取付軸19と内側先端取付軸21および外側先端取付軸22の四点を回動中心とするリンク機構15によりキャビン12が移動するように構成されることになり、エンジン11の後側まで略開放できて、メンテナンス作業が容易になる。
【0010】
この場合、内側アーム16の内側基部取付軸18はキャビン12の左端(内側部分)よりキャビン12の左右方向の中央部分までの中間位置に配置し、外側アーム17の外側基部取付軸19はキャビン12の左右方向の中央部分よりキャビン12の右端(外側部分)までの中間位置あるいはキャビン12の右端側に位置するように配置すると、キャビン12の移動範囲を大きくすることができ、好適である。
前記外側アーム17は、前記機体フレーム1に出入り自在に設けた支持アーム30により支持するように構成する。
支持アーム30は、前記機体フレーム1の左右方向の横枠31内に左右方向に摺動自在に内蔵し、キャビン12が閉鎖位置のときは横枠31内に収納し、キャビン12を開放位置に外側回動させるとき、横枠31から支持アーム30を手作業により引き出して外側アーム17を支持する。
そのため、外側アーム17を下方から支持アーム30が支持するので、外側アーム17の変形を防止でき、キャビン12の外側オープン時の支持強度を向上させる。
【0011】
また、支持アーム30は機体フレーム1の横枠31内に内蔵するので、支持アーム30の全長を長くすることができ、キャビン12の外側オープン量を大きくできる。
前記支持アーム30は、底板32Aと前後板32Bにより上面を開放した上向きコ型形状に形成し、前後板32Bの間には支持アーム30の長さ方向に長い支持ローラ33を設ける。支持ローラ33は前記外側アーム17の下面に当接して下方から支持する。
そのため、キャビン12の外側オープンを支持ローラ33により軽く行え、オープン作業を容易にする。
34は支持アーム30の先端に設けたストッパ部材、34Aは外側アーム17の外面に当接する当接部、34Bはボルト、34Cは機体フレーム1に固定状態に設けた取付部材である。
支持アーム30は、キャビン12が閉鎖位置のとき、ストッパ部材34の当接部34Aが外側アーム17の外面に当接する。キャビン12を開放位置に外側オープンさせるとき、横枠31から支持アーム30を手作業により引き出し、図5の取付部材34Cは機体フレーム1に固定状態のまま位置し、ストッパ部材34の当接部34Aが図5の左側に移動し、外側アーム17の下方に支持ローラ33が位置し、支持ローラ33上に外側アーム17を支持させて、キャビン12を外側オープンさせる。
【0012】
そのため、支持ローラ33は、支持アーム30内に回転自在に設ければよい。
なお、支持アーム30は機体フレーム1の横枠31に対して左右方向の中間所望位置にて出し入れ自在に構成し、ジャッキアップおよび吊り治具と兼用する構成してもよい。
しかして、リンク機構15の内側アーム16と外側アーム17の基部を取付ける固定側フレーム35は機体フレーム1に取付け、固定側フレーム35に内側アーム16と外側アーム17の基部を取付けて、リンク機構15を予め固定側フレーム35側に取付け、固定側フレーム35に取付けた内側アーム16と外側アーム17にキャビン12のキャビンフレーム36を取付ける。
即ち、キャビン12を支持する固定側フレーム35に予めリンク機構15を取り付けて組立品として構成し、固定側フレーム35とリンク機構15の組立品を機体フレーム1に取付け、リンク機構15にキャビン12のキャビンフレーム36を取付ける。
【0013】
また、反対に、図9は、機体フレーム1に取付ける前の固定側フレーム35に、リンク機構15を介してキャビン12のキャビンフレーム36を予め取付けた状態を示し、この固定側フレーム35をキャビン12ごと機体フレーム1に組み付けてもよい(図10)。
そのため、移動するリンク機構15を固定側フレーム35に組み付けているので、組み付け誤差がなく、調整も不要で、組付性が良い。
また、リンク機構15にキャビン12のキャビンフレーム36を取付後に、各部に接続したハーネスをキャビン12の操作部に接続でき、ハーネスを固定側とキャビン12側とに分断する必要がなく、接続作業が容易であると共に、電気的故障の発生を防止する。
固定側フレーム35の構成は、任意であるが、一例を示すと、左右一対(内外一対)の後側縦フレーム37、38を有し、内側後側縦フレーム37には前後方向の内側側部フレーム39を設ける。また、外側後側縦フレーム38には前後方向の外側側部フレーム40を設ける。
【0014】
後側縦フレーム37と後側縦フレーム38の間に後側中間縦フレーム41を設け、後側中間縦フレーム41に内側アーム16の基部を取付ける。
また、前記内側側部フレーム39は、その後部を後側縦フレーム37に着脱自在に取付け、内側側部フレーム39の前部は機体フレーム1に着脱自在に取付け、エンジン11の内側周辺を開放できるように構成している。
また、内側側部フレーム39と外側側部フレーム40との間には支持フレーム42を設け、支持フレーム42の上面を前記内側アーム16が移動するようにし、内側アーム16の移動を支持フレーム42が支持するように構成する。
内側アーム16は支持フレーム42により前後中間部が支持されるので、内側アーム16の支持強度および取付強度を向上させ、内側アーム16の変形を抑制する。
前記内側アーム16には横軸回転のローラ45を設け、ローラ45を支持フレーム42の上面に当接させる。
【0015】
そのため、内側アーム16の移動が円滑になり、キャビン12のオープン作業を容易にする。
前記支持フレーム42は、内側アーム16を固定側フレーム35に取付ける内側基部取付軸18を略中心とする円弧形状に形成する。
この支持フレーム42も、固定側フレーム35側に対して着脱自在に構成すると、支持フレーム42を外すことによりエンジン11の上方周辺を開放させられ、エンジン11を吊り上げて行うメンテナンス作業が可能になり、エンジン11のメンテナンス作業を容易にする。
内側側部フレーム39の前側縦杆50には、走行装置2のミッションケース(走行用無段変速装置65)Mとキャビン12とを仕切る仕切り部材51を着脱自在に取付ける(図7、なお、図7では理解を容易にするため、キャビン12をオープンさせている)。仕切り部材51は後起立板52と内側起立板53と略水平の横板54により形成し、後起立板52を内側側部フレーム39の前側縦杆50に着脱自在に固定し、横板54の前側下面を縦杆55に着脱自在に取付ける(図7,図11)。56は枠体である。
【0016】
仕切り部材51は内側側部フレーム39と共に機体フレーム1に着脱自在に取付ける。
この場合、仕切り部材51の着脱構成は任意であり、仕切り部材51を内側側部フレーム39から外してから、内側側部フレーム39を機体フレーム1より外す場合と、仕切り部材51と内側側部フレーム39を一緒に着脱する構成でも良い。
仕切り部材51と内側側部フレーム39とを機体フレーム1から取り外すことで、エンジン11の内側周辺を開放でき、エンジン11の載せ替え等のメンテナンス作業を容易にする。
また、内側側部フレーム39に仕切り部材51を取付け、仕切り部材51を機体フレーム1に固定しているので、固定側フレーム35の全体の剛性も向上させられる。
また、キャビン12内から仕切り部材51を外すことにより、ミッションケースMの周辺を開放でき、ミッションケースMのメンテナンス作業を容易にする。
58は駐車ペダルであり、前記仕切り部材51に取付ける。
【0017】
しかして、前記固定側フレーム35には、ミッションケースMの前面を包囲する前側カバー60(図12)とミッションケースMの上面を包囲する上面カバー61(図13)とミッションケースMの側面を包囲する側部カバー62(図13)を設ける。
そのため、ミッションケースMからの騒音および熱気の遮断効果を向上させられる。
62Aは上側側部カバー、62Bは下側側部カバー、64はエンジン11の前側に設けた前側カバーである。
なお、前側カバー60等は理解を容易にするため、図12〜図14において斜線を付しているが、これにより構成は限定されない。
図15は、エンジン11から走行用無段変速装置65および刈取搬送用無段変速装置66までの回転伝達機構の概略図であり、構成は任意であるが、一例を示すと、67Aは走行用出力プーリー、67Bは刈取脱穀用出力プーリー,68は走行用無段変速装置65の入力プーリー、70は刈取脱穀用出力プーリー67Bの回転が伝達される中間プーリー,71は中間軸、72は中間歯車、75は中間伝動軸、76は扱胴、77は処理胴、78は刈取用中間歯車、79は刈取搬送用無段変速装置66の刈取入力軸、80は刈取搬送用無段変速装置66の刈取出力軸、81は刈取用中間出力軸、82は搬送用出力軸、83は刈取・脱穀側中間出力軸(穀稈供給搬送中間出力軸)、84は脱穀室に穀稈を供給する穀稈供給搬送装置に引き継ぐ前側供給搬送装置である。
【0018】
刈取部4および前側供給搬送装置84は、刈取搬送専用の刈取搬送用無段変速装置(静油圧式無段変速装置)66により走行速度に同調させて変速する。
刈取用中間出力軸81には出力プーリ88を固定し、出力プーリ88には刈取入力中間プーリ89との間にベルト90を掛け回し、ベルト90にはテンションプーリ91を当接させる。
テンションプーリ91は、アーム92の先端に設け、アーム92の基部はギヤケース93に軸94により取付ける(図16、図17)。軸94には別にアーム95を固定し、アーム95にはバネ96の前端を係止し、バネ96の後端にはロッド97の前端を取付ける。ロッド97の後端は中間部材97Aに軸心方向に移動自在に螺合させ、中間部材97Aにはアーム98の先端を軸99により取付ける。アーム98の基部は操作レバー100を固定した取付軸101に固定する。
操作レバー100は、通常作業状態では軸99が取付軸101に対して所謂死点越えして、テンションプーリ91を入り状態とし、操作レバー100を前側に回動操作すると、バネ96を弛めて、アーム92を図17において時計回転させて、テンション切りにし、メンテナンス作業を行う。
【0019】
そのため、テンションプーリ91と操作レバー100はリンク機構Lを介して連結しているので、操作レバー100の取付位置の選択範囲を広げられる。その結果、操作荷重を軽減し、操作方向等の操作性および作業性を向上させられる。また、メンテナンス作業を容易にする。
この場合、操作レバー100は、唐箕(図示省略)の吸引口103より前側に設ける。
そのため、脱穀装置3の前方の空間を有効利用できる。
また、操作レバー100の近傍の吸引口103により藁屑が吸引されるので、操作レバー100への藁溜まり防止にもなる。
前記操作レバー100の取付軸101は、脱穀装置3の前方部左側板104のステー105に設ける。
そのため、脱穀装置3の前方部左側板左側板104に取付軸101を設けるので、簡素な構成で強度を確保できる。
左側板104に設けているので、操作レバー100およびリンク機構L等の着脱が容易になり、組立・メンテナンス性が向上する。
【0020】
前記ステー105には、前記ギヤケース93に取付ける支持部材106を設ける。
そのため、取付軸101はステー105と支持部材106により脱穀装置3とギヤケース93の両方に支持される。
また、ギヤケース93は、ステー105と支持部材106により脱穀装置3に支持される。
この場合、支持部材106は、平面視において取付軸101より前側に位置させる。
そのため、ステー105と支持部材106により支持を一層強固にする。
しかして、図20は、エンジンカバー9の側面図であり、エンジンカバー9は枠体111に防塵ネット112を設ける。
【0021】
防塵ネット112の内側には所定の幅(前後幅)を有して縦長の遮風プレート113をエンジンカバー9の幅方向(機体進行方向・前後方向)に往復移動自在に設ける。遮風プレート113は、エンジンカバー9の幅方向に移動する行程において、エンジン冷却用ファン(図示省略)の吸引作用で防塵ネット112に付着している付着物のうちの一部を遮風プレート113により一時的にエンジン冷却用ファンの吸引風を遮断することで付着力を失わせて(低下させて)落下させると共に、その余の付着物は他の防塵ネット112の部分を通過する吸引風よりも流速が高く(速く)強い吸引力の吸引風が通る遮風プレート113の端縁付近の防塵ネット112部分に付着させたまま遮風プレート113と一緒に移動(連れ動ごか)させて防塵ネット112の目詰まりを除去し、連れ動ごかされた付着物は枠体111に設けた吸引口(図示省略)から吸引除去される。
【0022】
即ち、遮風プレート113は一時的にエンジン冷却用ファンの吸引風を遮断して防塵ネット112に付着している付着物のうちの一部の付着力を低下させて落下させるが、遮風プレート113の移動方向上手側の端縁付近に他の防塵ネット112を通過する外気より吸引力の強い吸引風を積極的に通して、遮風プレート113の端縁と一緒に防塵ネット112の付着物を移動させて防塵ネット112の目詰まりを除去する。
前記枠体枠体111は、上下中間に上側中間枠115と下側中間枠116を有して構成し、遮風プレート113は、例えば、枠体111に左右方向の伝動軸(リードカム軸)117を回転自在に軸装し、伝動軸117に伝動軸117の回転により軸心方向に移動する移動部材118を取付け、移動部材118を遮風プレート113に取付ける。
この場合、遮風プレート113の内側には縦軸回転の案内ローラ120を取付け、案内ローラ120の移動軌跡となる部分の枠体111には案内プレート121を設ける。
【0023】
そのため、案内ローラ120が案内プレート121に当接しながら回転し、防塵ネット112に対して遮風プレート113は常時同じ間隔で移動させることができ、遮風プレート113の移動による付着物の吸引除去効果を向上させられる。
【0024】
(実施例の作用)
操縦部6の運転座席7に着座し、エンジン11を始動させ、走行装置2により機体を走行させ、刈取装置4で刈取り、刈り取った穀稈を脱穀装置により脱穀する。
所定期間作業を作業すると、キャビン12を移動させてエンジン11の周囲を開放し、メンテナンス作業を行う。
キャビン12は、グレンタンク5の前側に位置する閉鎖位置と平面視キャビン12の一部または全部が機体フレーム1より側方にはみ出るように移動する開放位置との間、リンク機構15により移動自在に構成しているから、エンジン11の後側まで略開放できて、メンテナンス作業が容易になる。
リンク機構15は、内側アーム16と外側アーム17の二本のアームにより構成し、内側アーム16および外側アーム17の基部はエンジン11よりも後方の機体フレーム1の任意の固定部に内側基部取付軸18と外側基部取付軸19で回動自在に取付け、内側アーム16と外側アーム17の先端は、それぞれ運転座席7よりも前方に位置させ、キャビン12の所定部分に内側先端取付軸21と外側先端取付軸22により回動自在に取付けているので、内側基部取付軸18および外側基部取付軸19と内側先端取付軸21および外側先端取付軸22の四点を回動中心とするリンク機構15によりキャビン12が移動し、エンジン11の後側まで略開放できて、メンテナンス作業が容易になる。
【0025】
この場合、内側アーム16の内側基部取付軸18はキャビン12の左端(内側部分)よりキャビン12の左右方向の中央部分までの中間位置に配置し、外側アーム17の外側基部取付軸19はキャビン12の左右方向の中央部分よりキャビン12の右端(外側部分)までの中間位置あるいはキャビン12の右端側に位置するように配置しているので、キャビン12の移動範囲を大きくすることができる。
しかして、リンク機構15の外側アーム17は、前記機体フレーム1に出入り自在に設けた支持アーム30により支持するように構成しているので、外側アーム17を支持アーム30が支持するので、外側アーム17の変形を防止でき、キャビン12の外側オープン時の支持強度を向上させる。
【0026】
支持アーム30は、機体フレーム1の左右方向の横枠31内に左右方向に摺動自在に内蔵し、キャビン12が閉鎖位置のときは横枠31内に収納し、キャビン12を開放位置に外側回動させるとき、横枠31から支持アーム30を手作業により引き出して外側アーム17を支持するように構成しているので、支持アーム30は外側アーム17を下方から支持でき、支持強度を向上させられるので、外側アーム17の変形を防止でき、キャビン12の外側オープン時の支持強度を向上させる。
また、支持アーム30は機体フレーム1の横枠31内に内蔵して格納しているので、支持アーム30の全長を長くすることができ、キャビン12の外側オープン量を大きくできる。
前記支持アーム30は、底板32Aと前後板32Bを有して形成し、前後板32Bの間には支持アーム30の長さ方向に長い支持ローラ33を設けているので、キャビン12を開放位置に外側回動させるとき、横枠31から支持アーム30を手作業により引き出すと、支持ローラ33は外側アーム17の下面に当接して下方から支持する。
【0027】
そのため、キャビン12の外側オープンするとき、外側アーム17の下面と支持アーム30との接触抵抗を支持ローラ33が減少させるので、オープン作業を軽く行え、オープン作業を容易にする。
しかして、内側側部フレーム39と外側側部フレーム40との間には支持フレーム42を設け、支持フレーム42の上面を前記内側アーム16が移動するようにし、内側アーム16の移動を支持フレーム42が支持するように構成しているので、内側アーム16は支持フレーム42により前後中間部が支持されるので、内側アーム16の支持強度および取付強度を向上させ、内側アーム16の変形を抑制する。
前記内側アーム16には横軸回転のローラ45を設け、ローラ45を支持フレーム42の上面に当接させるので、内側アーム16の移動が円滑になり、キャビン12のオープン作業を容易にする。
【0028】
そのため、キャビン12は、リンク機構15の内側アーム16と外側アーム17に支持されて外側オープンするが、キャビン12の外側オープンするとき、内側アーム16と外側アーム17は、夫々ローラ45と支持ローラ33により夫々移動抵抗を減少させるので、キャビン12の左右側が内側アーム16と外側アーム17により支持して外側オープンすることができ、荷重を分散させ、しかも移動抵抗を軽減させてオープン作業を軽く行え、オープン作業を容易にする。
しかして、リンク機構15の内側アーム16と外側アーム17の基部を取付ける固定側フレーム35は機体フレーム1に取付け、固定側フレーム35に内側アーム16と外側アーム17の基部を取付けて、リンク機構15を固定側フレーム35側に取付け、固定側フレーム35に取付けた内側アーム16と外側アーム17にキャビン12のキャビンフレーム36を取付けるので、組み付け誤差がなく、調整も不要で、組付性が良い。
【0029】
したがって、キャビン12を支持する固定側フレーム35にリンク機構15を取り付けて組立品として構成しているので、固定側フレーム35とリンク機構15の組立品を機体フレーム1に取付け、リンク機構15にキャビン12のキャビンフレーム36を取付けられ、組付・組立作業を容易にする。
また、リンク機構15にキャビン12のキャビンフレーム36を取付ることができるので、キャビン12をリンク機構15に取付けた後に、各部に接続したハーネスをキャビン12の操作部に接続すれば良く、ハーネスを固定側とキャビン12側とに分断する必要がなく、接続作業が容易であると共に、電気的故障の発生を防止する。
また、図9のキャビン12は固定側フレーム35に、リンク機構15を介してキャビン12のキャビンフレーム36を取付け、図10のように固定側フレーム35をキャビン12ごと機体フレーム1に組み付けてもよく、組付・組立作業を容易にする。
【0030】
固定側フレーム35の構成は、任意であるが、一例を示すと、左右一対(内外一対)の後側縦フレーム37、38を有し、内側後側縦フレーム37には前後方向の内側側部フレーム39を設け、また、外側後側縦フレーム38には前後方向の外側側部フレーム40を設け、内側側部フレーム39は、その後部を後側縦フレーム37に着脱自在に取付け、内側側部フレーム39の前部は機体フレーム1に着脱自在に取付け、エンジン11の内側周辺を開放できるように構成しているので、エンジン11のメンテナンス作業を容易にする。
前記支持フレーム42も、内側側部フレーム39に対して着脱自在に構成すると、支持フレーム42を外すことによりエンジン11の上方周辺を開放させられ、エンジン11を吊り上げて行うメンテナンス作業が可能になり、エンジン11のメンテナンス作業を容易にする。
【0031】
前記支持フレーム42は、内側側部フレーム39と共に取り外すと、エンジン11の上方周辺のみならず、エンジン11の内側付近空間を開放でき、エンジン11を吊り上げて行うメンテナンス作業を一層容易にする。
内側側部フレーム39の前側縦杆50には、走行装置2のミッションケース(油圧式無段変速装置)Mとキャビン12とを仕切る仕切り部材51を着脱自在に取付けているので、操縦部6から仕切り部材51を取り外すと、ミッションケース(油圧式無段変速装置)Mのメンテナンスをキャビン12内からも行え、ミッションケース(油圧式無段変速装置)Mのメンテナンス作業を容易にする。
仕切り部材51は後起立板52と内側起立板53と略水平の横板54を有して形成し、後起立板52を内側側部フレーム39の前側縦杆50に着脱自在に固定し、横板54を縦杆55に着脱自在に取付けているので、内側側部フレーム39から仕切り部材51を外して、ミッションケース(油圧式無段変速装置)Mのメンテナンスを行う。
【0032】
この場合、仕切り部材51の着脱構成は任意であり、仕切り部材51を内側側部フレーム39から外してから、内側側部フレーム39を機体フレーム1より外す場合と、仕切り部材51と内側側部フレーム39を一緒に着脱する構成でも良く、仕切り部材51と内側側部フレーム39とを機体フレーム1から取り外すことで、エンジン11の内側周辺を開放でき、エンジン11の載せ替え等のメンテナンス作業を容易にする。
また、内側側部フレーム39に仕切り部材51を取付け、仕切り部材51を機体フレーム1に固定しているので、固定側フレーム35の全体の剛性も向上させられる。
また、仕切り部材51を外すことにより、ミッションケースMの周辺を開放でき、ミッションケースMのメンテナンス作業を容易にする。
【0033】
しかして、前記固定側フレーム35には、ミッションケースMの前面を包囲する前側カバー60とミッションケースMの上面を包囲する上面カバー61とミッションケースMの側面を包囲する側部カバー62を設けているので、ミッションケースMからの騒音および熱気の遮断効果を向上させられる。
なお、前記した各実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示および説明しているが、これらの実施例は夫々種々組合せ可能であり、これらの表現によって、構成・作用等が限定されるものではなく、また、相乗効果を奏する場合も勿論存在する。
【符号の説明】
【0034】
1…機体フレーム、2…走行装置、3…脱穀装置、4…刈取装置、5…グレンタンク、6…操縦部、7…運転座席、8…操作ボックス、9…エンジンカバー、11…エンジン、12…キャビン、15…リンク機構、16…内側アーム、17…外側アーム、18…内側基部取付軸、19…外側基部取付軸、21…内側先端取付軸、22…外側先端取付軸、30…支持アーム、31…横枠、32A…底板、32B…前後板、33…支持ローラ、34…ストッパ部材、34A…当接部、34B…ボルト、34C…取付部材、35…固定側フレーム、36…キャビンフレーム、37…後側縦フレーム、38…後側縦フレーム、39…内側側部フレーム、40…外側側部フレーム、50…前側縦杆、51…仕切り部材、52…後起立板、53…内側起立板、54…横板、55…縦杆、60…前側カバー、61…上面カバー、62…側部カバー、65…走行用無段変速装置、66…刈取搬送用無段変速装置、67A…走行用出力プーリー、67B…刈取脱穀用出力プーリー,68…入力プーリー、70…中間プーリー,71…中間軸、72…中間歯車、75…中間伝動軸、76…扱胴、77…処理胴、78…刈取用中間歯車、79…刈取入力軸、80…刈取出力軸、81…刈取用中間出力軸、82…搬送用出力軸、83…刈取・脱穀側中間出力軸、84…前側供給搬送装置、88…出力プーリ、89…刈取入力中間プーリ、90…ベルト、91…テンションプーリ、92…アーム、93…ギヤケース、94…軸、95…アーム、96…バネ、97…ロッド、98…アーム、99…軸、100…操作レバー、101…取付軸、103…吸引口、104…左側板、105…ステー、106…支持部材、111…枠体、112…防塵ネット、113…遮風プレート、115…上側中間枠、116…下側中間枠、117…伝動軸、118…移動部材、120…案内ローラ、121…案内プレート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方に走行装置(2)を備えた機体フレーム(1)の上部に脱穀装置(3)を設け、該脱穀装置(3)の前側に刈取装置(4)を設け、前記脱穀装置(3)の横側にグレンタンク(5)を設け、該グレンタンク(5)の前側の機体フレーム(1)上にエンジン(11)を設け、該エンジン(11)を覆うエンジンカバー(C)と一体のキャビン(12)を設け、該キャビン(12)はグレンタンク(5)の前側に位置する閉鎖位置とキャビン(12)の一部または全部が機体フレーム(1)の外側方へ移動した開放位置との間にわたりリンク機構(15)により移動自在に支持し、該リンク機構(15)を、内側アーム(16)と外側アーム(17)により構成し、該内側アーム(16)および外側アーム(17)の基部を前記エンジン(11)よりも後方の機体フレーム(1)側の固定部に内側基部取付軸(18)と外側基部取付軸(19)で夫々回動自在に取付け、内側アーム(16)と外側アーム(17)の先端部は、キャビン(12)の運転座席(7)よりも前側の所定部分に内側先端取付軸(21)と外側先端取付軸(22)により夫々回動自在に取付け、前記外側アーム(17)は、前記機体フレーム(1)に出入り自在に設けた支持アーム(30)により支持し、該支持アーム(30)には支持アーム(30)の長さ方向に沿う軸芯で回転自在に支持する支持ローラ(33)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
請求項1において、前記支持アーム(30)は、前記機体フレーム(1)の左右方向の横枠(31)内に左右方向に摺動自在に内蔵し、キャビン(12)が閉鎖位置のときは横枠(31)内に収納し、キャビン(12)を開放位置に外側回動させるとき、横枠(31)から支持アーム(30)を引き出して外側アーム(17)を支持する構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記リンク機構(15)の内側アーム(16)と外側アーム(17)のそれぞれの基部は、前記機体フレーム(1)側の固定側フレーム(35)に取付け、該固定側フレーム(35)は、左右一対の後側縦フレーム(37)、(38)を有し、内側後側縦フレーム(37)には前後方向の内側側部フレーム(39)を接続し、前記外側後側縦フレーム(38)には前後方向の外側側部フレーム(40)を接続した構成とし、前記内側側部フレーム(39)の前部の前側縦杆(50)には、走行装置(2)のミッションケース(M)とキャビン(12)との間を仕切る仕切り部材(51)を着脱自在に取付けたことを特徴とするコンバイン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2011−152099(P2011−152099A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−16787(P2010−16787)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】