説明

コンバイン

【課題】茎を取り除いたりチェンをスプロケットに巻き掛け直したりする必要を無くして、刈取作業の作業能率を高めたコンバインを提供する。
【解決手段】作物の巻き付きを防止する巻付防止カラー(45)が、フィーダハウス(18)の枠体(32)の側壁(32B)と各スプロケット(40)との間の駆動軸(34)の部分に配置され、この巻付防止カラー(45)に先端側が近接してガイド板(50)を取り付けた構成により解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈取作業の作業能率を高めたコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンバインは、走行装置を備えた機台の左右一側に脱穀装置を設け、脱穀装置の横側に穀粒貯留装置を設け、穀粒貯留装置の前側に操縦部を設け、前端部に植立穀稈を分草する分草体を設け、操縦部および脱穀装置の前側で分草体の後側に穀稈を引起す刈取装置を設け、刈取装置の後側に穀稈を刈り取る刈刃と刈取後の穀稈を後方の合流部まで搬送する搬送装置を設け、この搬送装置からの穀稈を脱穀装置に送るフィーダハウスを設けたものがある。特に該フィーダハウスでは、その内部の駆動軸にスプロケットが軸支されると共に該スプロケットにチェンが巻き掛けられて構成され、駆動軸の駆動回転によりこのチェンが回転されてこのチェンに固着された多数のスラットが移動することで、穀稈が脱穀装置に送り込まれる。
【0003】
フィーダハウス内を穀稈が搬送された後、脱穀装置で脱穀されると共に穀粒貯留装置に穀粒が貯留される。このフィーダハウス内を穀稈が搬送されるときに、スラットによって持ち回る茎が、駆動軸の外周に配置された巻付防止カラーとフィーダハウスを補強する為のフレームとの間に入ったり、或いは該巻付防止カラーに巻付いたりして、穀稈の詰まりや巻付きによりスプロケットからのチェンが外れる脱線等の不具合を生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−87064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上の結果として、スプロケットとフレームの間に入り詰まった茎を取り除いたり、チェンをスプロケットに巻き掛け直したりする必要が生じることで、作業が中断されて刈取作業に多大な時間を要していた。
【0006】
そこで、本発明の目的は、茎を取り除いたりチェンをスプロケットに巻き掛け直したりする必要を無くして、刈取作業の作業能率を高めたコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
請求項1に係る発明は、刈取装置(5)側から脱穀装置(7)側に作物を搬送するフィーダハウス(18)を有したコンバインであって、
前記フィーダハウス(18)後部左右両側の側壁(32B,32B)間に駆動軸(34)を軸架し、フィーダハウス(18)前部の左右両側の側壁(32B,32B)間には従動軸(36a)を軸架し、
前記駆動軸(34)の左右両端部に2つのスプロケット(40,40)を駆動軸(34)の軸心方向に所定間隔をおいて夫々取付け、該各スプロケット(40,40)と前記従動軸(36a)の左右両端部に取付けた2つの従動輪(36)とに無端状のチェン(42)を夫々掛け回し、該左右のチェン(42)の間には、多数のスラット(44)を夫々間隔をおいて掛け渡し、
該スラット(44)が、前記フィーダハウス(18)の下面を成す案内壁(32A)に近接又は接触した状態で該フィーダハウス(18)の前部から後部へ移動することで作物を搬送する構成とし、
側壁(32B)とスプロケット(40)との間の駆動軸(34)の部位に、該駆動軸(34)への作物の巻き付きを防止する巻付防止カラー(45)を設け、
該巻付防止カラー(45)に先端を臨ませたガイド板(50)を設けたことを特徴とするコンバインである。
【0008】
請求項2に係る発明は、前記左右の側壁(32B)間を、前記駆動軸(34)の前側の部位において連結するフレーム(48)を設け、
該フレーム(48)の上部に前記ガイド板(50)を取り付けると共に、該ガイド板(50)の先端部を前記巻付防止カラー(45)の外周面に近接する部位まで延出させたことを特徴とする請求項1記載のコンバインである。
【0009】
請求項3に係る発明は、前記スラット(44)における側壁(32B)とスプロケット(40)との間に臨む部位が、前記駆動軸(34)を中心に円弧軌跡を描く移動行程において前記巻付防止カラー(45)の外周面に近接する構成としたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンバインである。
【0010】
請求項4に係る発明は、前記ガイド板(50)の内側となるスプロケット(40)と駆動軸(34)とフレーム(48)とで囲まれた部分に作物の落下用の空間(K)を形成したことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のコンバインである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、枠体(32)の側壁(32B)と各スプロケット(40)との間に配置される巻付防止カラー(45)により、駆動軸(34)への作物の巻き付きが防止され、巻付防止カラー(45)の外周に巻付いた作物もガイド板(50)により取り除かれる。
穀稈の詰まりや巻付きが防止され、スプロケット(40)からチェン(42)が外れて作業が中断することによる作業能率の低下を防止することができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、スラット(44)によって持ち回る茎のフレーム(48)への巻付きや詰まりが生ぜず、これによっても刈取作業の能率が高められて連続作業が可能となる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、請求項1及び請求項2記載の発明の効果に加えて、スラット(44)が駆動軸(34)を中心に円弧軌跡を描いて移動する行程において、通過することで、巻付防止カラー(45)の外周に巻付いた茎をスラット(44)でそぎ落とすことができるので、チェン(42)のスプロケット(40)からの脱線を効果的に防止でき、これによっても刈取作業の能率が高められて連続作業が可能となる。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、請求項2及び請求項3記載の発明の効果に加えて、ガイド板(50)に隣り合って位置するスプロケット(40)に茎がひっかかり下方へ茎が持ち込まれても、スプロケット(40)と駆動軸(34)とフレーム(48)で囲まれた部分に形成された空間(K)から茎を排出できる結果、連続作業性が高まって刈取作業の能率が一層高められる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態に係るコンバインの側面図である。
【図2】第1実施形態に係るコンバインの平面図である。
【図3】第1実施形態に係るコンバインの前側寄りの拡大側面図である。
【図4】第1実施形態に係るコンバインの前側寄りの拡大平面図である。
【図5】フィーダハウスの要部断面図である。
【図6】フィーダハウスの要部平面図である。
【図7】第2実施形態に係るコンバインの前側寄りの拡大側面図である。
【図8】第2実施形態に係るコンバインの前側寄りの拡大平面図である。
【図9】第3実施形態に係るコンバインの側面図である。
【図10】第3実施形態に係るコンバインの平面図である。
【図11】第4実施形態に係るコンバインの側面図である。
【図12】第4実施形態に係るコンバインの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
汎用コンバインを例示し本発明の実施形態について説明する。以下、操縦部に着座する操縦者から見て右手側を「右側」、左手側を「左側」、上方側を「上方」、下方側を「下方」、コンバインの進行方向を「前側」と、後退方向を「後側」という。
【0017】
<第1実施形態>
図1〜図6は、本発明の第1実施形態を示している。図1は本発明の第1実施形態である穀類の収穫作業を行う為の掻込リールを有するコンバインの側面図、図2は図1のコンバインの平面図である。図1に示すコンバイン1の走行フレーム2の下部には、ゴムなどの可撓性材料を素材として無端帯状に成型したクローラ4を駆動スプロケット4Aと複数の遊動転輪4Bとで巻回し、乾田だけでなく湿田においても大きく沈下しないで走行できる構成の走行装置3を備えている。
【0018】
走行フレーム2の上部のコンバイン1の進行方向に向かって左半分の側には脱穀装置7が搭載され、走行フレーム2の前部には掻込リール6を有する刈取装置5が搭載されている。この掻込リール式の刈取装置5の両脇には分草桿8が配置され、該分草桿8で掻き分けられて、回転する掻込リール6により掻き込まれた圃場の植立穀稈は、図3、図4に示す如く刈刃とされる切断装置12の回転刃13でその根元が刈り取られて引起し搬送装置14により搬送されることで、横移送装置16内にこの穀稈が送り込まれる。
【0019】
前記横移送装置16は、刈取装置5の左右幅に相当する長さのオーガ(外周に螺旋を備えた回転胴)が、左右方向の軸芯周りに駆動回転するように設けられ、この横移送装置16の後方には、穀稈を脱穀装置7に送り込むためのフィーダハウス18が配置される。該横移送装置16のオーガにおけるフィーダハウス18の始端部との対応位置には、該オーガによって左右一側へ移送されてきた作物である穀稈をフィーダハウス18の始端部へ引き継がせる掻込杆17が設けられる。
【0020】
以上より、前記穀稈は、図1、図2に示す如く、フィーダハウス18により脱穀装置7に送り込まれて脱穀されると共にふるいに掛けられる。この後、ふるいに掛けられて落下する穀稈に含まれる藁類は、送風選別により吹き飛ばされ、前側の一番移送樋に落下した大部分が穀粒からなる被処理物は、グレンタンク20に接続した揚穀筒(図示せず)に送られ、該揚穀筒によりグレンタンク20に投入される。
【0021】
該脱穀装置7で脱穀されて、藁などと選別された穀粒は、コンバイン1の進行方向に向かって右半分の側に配置されたグレンタンク20に一時貯留されてグレンタンク20内に蓄積される。穀粒は、図示しないブロアからの圧風によって排出筒22へと搬送され、排出筒22の先端の排出口からコンバイン1の外部へ排出される。尚、前記走行フレーム2の上方側部であって刈取装置5と脱穀装置7との間の部分には、オペレータが搭乗してコンバイン1を操縦する為の操作席25を内部に有したキャビン24が設置されている。
【0022】
本実施形態では、刈取装置5と脱穀装置7との間に配置されて、作物を内部で搬送するフィーダハウス18の外枠を図5、図6に示す枠体32が形成している。該枠体32は、少なくとも底面とされて穀稈を案内する案内壁32A及び、この案内壁32Aの両側に直立されて設けられている両側壁32Bとを有している。脱穀装置7側寄りの箇所とされるフィーダハウス18後部左右両側の側壁32B,32Bの部分には、それぞれ駆動軸34の両端部寄りの箇所が軸受33を介して回転可能に軸架される。この駆動軸34の一端側にはプーリ35が取り付けられ、図示しない駆動源であるエンジンからの駆動力がベルトを介してこのプーリ35に伝達されて、駆動軸34が駆動回転される。
【0023】
該駆動軸34の両端部寄りの箇所には、2つのスプロケット40が駆動軸34の軸心方向に所定間隔をおいて夫々取付けられ、これら一対のスプロケット40にそれぞれ無端状のチェン42が巻き掛けられる。これら一対のチェン42相互間には、鋼製で断面がL字形にそれぞれ形成されて案内壁32Aに近接又は接触しているスラット44が複数等間隔に掛け渡されている。
【0024】
尚、このフィーダハウス18の刈取装置5側の部分とされる前部の左右両側には、図3に示す従動輪36を備える従動軸36aが側壁32B間に回転可能に軸架されて掛け渡され、2つのチェン42がそれぞれこの従動輪36にも巻き掛けられる。この為、フィーダハウス18は、チェン42に多数のスラット44が夫々間隔をおいて取り付けられて横移送装置16から斜め上向きに駆動されて、穀稈をフィーダハウス18の前部から後部へ移動することで、矢印の如く穀稈が案内壁32Aとチェン42との間を通過して脱穀装置7に送り込まれる。
【0025】
他方、図5、図6に示す該枠体32を形成する両側壁32Bと各スプロケット40との間には、穀稈の駆動軸34への巻き付きを防止する為の円筒形の巻付防止カラー45が、スプロケット40と同軸上の位置関係で配置される。該駆動軸34の中央部分にも、穀稈の駆動軸34への巻き付きを防止する為の円筒形の中央部カラー46がスプロケット40と同軸上の位置関係で配置されている。各スラット44の両端部は、スプロケット40の位置より外側とされる該巻付防止カラー45の外周面に近接する部分にまで伸びている。
この結果、スラット44における側壁32Bとスプロケット40との間に臨む部位が、駆動軸34を中心に円弧軌跡を描く移動行程において前記巻付防止カラー45の外周面に近接する。
【0026】
枠体32の両壁部間には、円管状に形成されて駆動軸34の前側の部位において左右の側壁32B間を連結する前方フレーム48が駆動軸34と並行に伸びる形で配置される。前方フレーム48の長手方向中央部に、板状の第1ブラケット51がねじ止められ、前方フレーム48と平行に伸びる同じく板状の第2ブラケット52が、該第1ブラケット51を介して前方フレーム48に連結される。
【0027】
第2ブラケット52の両端部に一対のガイド板50の基端側がそれぞれねじ止めされて支持される。該第2ブラケット52の両端部となる枠体32の側壁32Bとスプロケット40との間に、前方フレーム48より図5、図6の右側に基端側が位置しつつ、ガイド板50が穀稈の図5の上側である非搬送側に配置されることで、スクレーパであるガイド板50の先端側が、巻付防止カラー45の中心線Cより上方の部分に近接して配置される。
【0028】
他方、一対のスプロケット40間の駆動軸34の図5、図6における右側部分には、中央部カラー46、第1ブラケット51、第2ブラケット52、前方フレーム48等により区画されて作物の落下用とされた2つの空間Kが存在する。
【0029】
以上の結果、巻付防止カラー45の外周に巻付いた穀稈の茎もガイド板50により取り除かれる。他方、巻付防止カラー45の外周に仮に茎が巻付いたときでもスラット44がこれをそぎ落とし、また、スプロケット40に茎がひっかかり下方へ茎が持ち込まれた場合でも、スプロケット40と駆動軸34と前方フレーム48で囲まれた部分に設けた空間Kから茎を排出できる。この結果、本実施形態では、穀稈の詰まりや巻付きがなくなり、スプロケット40からチェン42が外れる脱線等を生じず、刈取作業の能率が高められる。
【0030】
この一方、図3、図4に示すようにこのコンバイン1の前部には、前方の刈取対象の作物を掻き込んで分離する側面視六角形状の前記掻込リール式の刈取装置5が備えられている。該刈取装置5の掻込リール6は、左右両側の支持カバー62に設けられた支持軸62Aへ回転自在に軸支された構造とされ、六箇所の各隅部にコンバイン1の左右方向に伸びるスラットバー64を有し、各スラットバー64に所定間隔でリールタイン65が複数取り付けられる。
【0031】
リールタイン65は、平行リンク機構により前記掻込リール6全体が回転しても、略一定の下向き姿勢を保ったまま周回移動する構成とされる。この各リールタイン65で、穀稈を引き起こすと共にこの穀稈を分離して掻き込むことになる。尚、このリール装置7は、上下伸縮シリンダ(図示せず)の作動により、刈取装置5に対して独立して昇降させる。この掻込リール6の下部には、図3、図4に示すように引き起こされた穀稈を茎部と共に後方の横移送装置16へ移送する為のチェン駆動方式の引起し搬送装置14が4基並列に設けられる。
【0032】
該引起し搬送装置14は、前端部の回転軸66に設けた図示しない従動スプロケットと後端部の伝動軸67に設けた図示しない駆動スプロケットとにわたって移送チェンを巻き掛け、該移送チェン間に多数の移送ラグ68を所定間隔ごとに取り付けて構成される。尚、本実施形態では、この引起し搬送装置14が2基ずつ対となるように配置されるが、他の配列であっても良く、また、本実施形態では、引起し搬送装置14を4基設ける構成としたが、状況に応じて4基以外の数を設けるように構成してもよい。
【0033】
図3、図4に示す如く該引起し搬送装置14の駆動スプロケットの伝動軸67となる回動支点は、山型のカバー70で覆われる為、回動支点に茎の巻付きや搬送の阻害が生じない。
【0034】
さらに、これら引起し搬送装置14は、図3に示す如くスラットバー64が最下位置に降りても、スラットバー64がこれら引起し搬送装置14に干渉しない位置に構成される。例えば、低い位置に掻込リール6を下げた時にスラットバー64が引起し搬送装置14に干渉することが考えられる。この場合、倒れた作物が掻き込まれずヘッドロスとなるのに対して、スラットバー64の最下位置より低い位置に引起し搬送装置14を配置することで、倒伏した作物もロスなく掻き込むことが可能となる。
【0035】
4基の該引起し搬送装置14の下部には、図4に示すごとく切断装置12が2台並んで設置される。この切断装置12は、穀稈の茎を切断する回転刃13と、この回転刃13の下方に設けられてこの回転刃13の回転軸13Aを回転する伝動ケース72と、動力源となる油圧モータ74と、伝動ケース72と油圧モータ74との間を繋いで油圧モータ74から回転刃13に動力を伝達する伝動チェン73とにより構成する。但し、駆動源は油圧モータ74とする替りに電気的なモータでも良い。各回転刃13の回転軸13Aは、それぞれ2基の引起し搬送装置14間に配置される為、これら2基の引起し搬送装置14により搬送される穀稈の茎をこの回転刃13で確実に切断できる構成とさる。
【0036】
これに伴い、本実施形態では、回転刃13の伝動ケース72を回転刃13の下方に先端を図3の寸法Hの如く薄くして設けた。例えば回転刃13の上に伝動ケース72があった場合、回転刃13で切断した後の作物の通過の際に伝動ケース72が障害となり、ヘッドロスの原因となる。他方、伝動ケース72を回転刃13の下に単純に配置した場合、伝動ケース72により土押しがあり、回転刃13が浮き上がって刈高さが不安定になる。
【0037】
これに対して、伝動ケース72は回転刃13の下方に配置されているものの先端が薄く構成される為、作物の通過の際に伝動ケース72が障害とならないだけでなく、伝動ケース72による土押しが無くなり、安定した刈高さが得られる。
【0038】
さらに、本実施形態では、図4に示すごとく油圧モータ74を回転刃13の上方に設けたものの、油圧モータ74に対応する部分Pのリールタイン65を除去する構成とした。この為、油圧モータ74上に作物が通過せず問題が生ぜず、リールタイン65が回転刃13に近接して作用できることから、リールタイン65により作物が確実に掻き込まれる。
【0039】
他方、本実施形態では、リールタイン65先端軌跡の図3に示す最下点Sを回転刃13の外径の前方近辺とした。例えば回転刃13の中央寄りにリールタイン65先端軌跡の最下点Sがあった場合、作物が回転刃13により切断された後にリールタイン65で掻き込まれる為、穀稈が落下してヘッドロスが生じる。これに対して、本実施の形態では、回転刃13の前方部分で切断されると共に掻き込みされる為、確実に穀稈がリールタイン65で後方に搬送され、ヘッドロスの解消となる。
【0040】
<第2実施形態>
本実施形態では、図7、図8に示すごとく4基の引起し搬送装置14の中央にある隙間部分にゲージ輪76が設けられている。このゲージ輪76の支持部材77は、中央の2基の引起し搬送装置14に連結フレーム78を介して揺動可能に支持され、油圧シリンダである上下シリンダ79によりこの支持部材77が揺動されることで、ゲージ輪76が上下動する。
【0041】
この結果、本実施形態では、回転刃13及び引起し搬送装置14がゲージ輪76の上下動にて上下動可能される構成とされる。ゲージ輪76が無い場合、畦の凹凸により回転刃13及び引起し搬送装置14の高さが安定せず、刈残しや作物の拾い不良が生じていたが、ゲージ輪76にて溝の深さに関係なく高さを検知し調整できる結果、地面に接した刈高さが得られると共に調整が可能となる。
【0042】
尚、ゲージ輪76が最上部に位置し且つ掻込リール6が最下側に位置した時であっても、スラットバー64とゲージ輪76を干渉させない為、本実施形態ではゲージ輪76に対応する部分Pにスラットバー64を配置しない構成とした。例えば、スラットバー64とゲージ輪76とが干渉して掻込リール6を下げることが出来ない場合には、低位置の作物が掻き込まれずヘッドロスとなるが、本実施形態では、ゲージ輪76にスラットバー64が干渉しない為、低位置の作物が掻き込まれてヘッドロスが減少する。
【0043】
<第3実施形態>
本実施形態では、図9、図10に示すごとく切断装置12の回転刃13を駆動するための油圧タンク82をフィルタ81と共にフィーダハウス18の左側で脱穀装置7の前側に配置し、この油圧タンク82に配管83で繋がって切断装置12の油圧モータ74に作動油を送り込むバルブユニット84を刈取装置5のプラットフォーム88の左後面下側に配置した。これに伴い、該バルブユニット84の上に面状に形成されたステップ86を設けた。
【0044】
従来は、油圧タンクが脱穀装置7の後方に位置すると共に、バルブユニットがプラットフォーム88の上側に位置していた為、油圧タンクからバルブユニットまでの配管が長くなり、配管抵抗により回転刃13の駆動力が低下し、結果として回転刃13に負荷がかかると停止することがあった。他方、従来は、プラットフォーム88の上側にバルブユニットが設けられていたことから、収穫作業の際に生じる埃がバルブユニットに溜まり易く、バルブユニットのごみ詰まりの原因となっていた。また、バルブユニットがプラットフォーム88の上側に位置していたことで、このバルブユニットが作業者の視界の妨げにもなっていた。
【0045】
これに対して、本実施の形態では、油圧タンク82とバルブユニット84との位置が相互に近くなり、配管抵抗がほとんどなくなると共に、油圧関係の装置類が1箇所に集中配置されることで、メンテナンス性が向上するだけでなく、バルブユニット84が作業者の視界の妨げにもならない。さらに、油圧タンク82及びバルブユニット84がコンバイン1の機体左側に配置されることで、機体バランスが良くなって畦作業に有利ともなる。
【0046】
他方、バルブユニット84の上にステップ86を設けたことにより、バルブユニット84に埃の滞留がなくなるだけでなく、開放された機体左側からステップ86を利用して脱穀装置7上に上がることが可能となり、脱穀装置7のロータカバー7Aが開け易く、メンテナンス性が向上する。
【0047】
<第4実施形態>
本実施形態では、図11、図12に示すごとく切断装置12の回転刃13の圧力を表示する圧力計90を操作席25の前方に配置し、この圧力計90で得られた圧力の程度に合わせてロークロップの刈取装置5のゲージ輪76の上下動を自動制御させる構成である。例えば、多条刈りのコンバインでは、ロークロップの刈取装置5の詰まりにしばしば気づかず、作業停止による作業能率の低下となっていた。
【0048】
これに対して、本実施の形態では、圧力計90で得られた圧力が、所定圧力以上になるとゲージ輪76が下降して回転刃13が上昇する。また、所定圧力以下になるとゲージ輪76が上昇して回転刃13が下降するという、回転刃13の圧力を一定に保持する為の上下方向自動制御を行う。
【0049】
この結果、圧力計90から得られた圧力度合いによりロークロップの刈取装置5が上下方向自動制御可能となり、詰まりを生じずロスがなく連続作業可能となる。また、操作席25から目視で圧力計90が見える位置にあり、安心して作業出来る。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、2条〜7条刈りコンバインに利用できるものである。
【符号の説明】
【0051】
1 コンバイン
5 刈取装置
7 脱穀装置
18 フィーダハウス
32 枠体
32A 案内壁
32B 側壁
34 駆動軸
40 スプロケット
42 チェン
44 スラット
45 巻付防止カラー
48 前方フレーム
50 ガイド板
K 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取装置(5)側から脱穀装置(7)側に作物を搬送するフィーダハウス(18)を有したコンバインであって、
前記フィーダハウス(18)後部左右両側の側壁(32B,32B)間に駆動軸(34)を軸架し、フィーダハウス(18)前部の左右両側の側壁(32B,32B)間には従動軸(36a)を軸架し、
前記駆動軸(34)の左右両端部に2つのスプロケット(40,40)を駆動軸(34)の軸心方向に所定間隔をおいて夫々取付け、該各スプロケット(40,40)と前記従動軸(36a)の左右両端部に取付けた2つの従動輪(36)とに無端状のチェン(42)を夫々掛け回し、該左右のチェン(42)の間には、多数のスラット(44)を夫々間隔をおいて掛け渡し、
該スラット(44)が、前記フィーダハウス(18)の下面を成す案内壁(32A)に近接又は接触した状態で該フィーダハウス(18)の前部から後部へ移動することで作物を搬送する構成とし、
側壁(32B)とスプロケット(40)との間の駆動軸(34)の部位に、該駆動軸(34)への作物の巻き付きを防止する巻付防止カラー(45)を設け、
該巻付防止カラー(45)に先端を臨ませたガイド板(50)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記左右の側壁(32B)間を、前記駆動軸(34)の前側の部位において連結するフレーム(48)を設け、
該フレーム(48)の上部に前記ガイド板(50)を取り付けると共に、該ガイド板(50)の先端部を前記巻付防止カラー(45)の外周面に近接する部位まで延出させたことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記スラット(44)における側壁(32B)とスプロケット(40)との間に臨む部位が、前記駆動軸(34)を中心に円弧軌跡を描く移動行程において前記巻付防止カラー(45)の外周面に近接する構成としたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記ガイド板(50)の内側となるスプロケット(40)と駆動軸(34)とフレーム(48)とで囲まれた部分に作物の落下用の空間(K)を形成したことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−157280(P2012−157280A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18959(P2011−18959)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】