コンバイン
【課題】作業者が運転席から簡単にコイルバネ長さを確認可能なコンバインを提供する。
【解決手段】走行機体の前部位置に運転座席12とエンジンとが配置され、これらの後方に穀粒を貯留するグレンタンク5が配置され、グレンタンク5から穀粒を排出するアンローダと、エンジンからアンローダに伝える駆動力の入り切りを行う排出クラッチCとが備えられ、排出クラッチCは、エンジンによって回転する駆動プーリ45とアンローダ6への入力プーリ46との間に巻回された伝動ベルト47と、伝動ベルト47に張力を加えるテンションローラ48とを備え、運転座席12近傍に配置された入り切り操作部材18,20とテンションローラ48との間に、少なくとも1本の操作ロッド53a,53bとコイルバネ54とが直列状に介装され、コイルバネ54が最も長い操作ロッド53aよりも上方に配置された構成とした。
【解決手段】走行機体の前部位置に運転座席12とエンジンとが配置され、これらの後方に穀粒を貯留するグレンタンク5が配置され、グレンタンク5から穀粒を排出するアンローダと、エンジンからアンローダに伝える駆動力の入り切りを行う排出クラッチCとが備えられ、排出クラッチCは、エンジンによって回転する駆動プーリ45とアンローダ6への入力プーリ46との間に巻回された伝動ベルト47と、伝動ベルト47に張力を加えるテンションローラ48とを備え、運転座席12近傍に配置された入り切り操作部材18,20とテンションローラ48との間に、少なくとも1本の操作ロッド53a,53bとコイルバネ54とが直列状に介装され、コイルバネ54が最も長い操作ロッド53aよりも上方に配置された構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行機体の前部位置に運転座席とエンジンとが配置され、これらの後方に穀粒を貯留するグレンタンクが配置され、このグレンタンクから穀粒を排出するアンローダと、エンジンからアンローダに伝えられる駆動力の入り切りを行う排出クラッチが備えられているコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のコンバインに関連する先行技術文献情報として下記に示す特許文献1がある。この特許文献1に記されたコンバインでは、ベルトテンション式の排出クラッチを電動力によって切り換え操作する電動操作機構と、この電動操作機構に優先して人為操作力によって排出クラッチを切り換え操作する手動操作機構という2つの操作機構が設けられている。
【0003】
したがって、特許文献1に記されたコンバインでは、通常はアンローダの入り切り操作を電動操作機構によって簡単な操作で行いながら、電動操作機構が故障した場合にも、手動操作機構によるアンローダの入り切り操作によって刈取り作業を実施できる。
【0004】
尚、ベルトテンション式の排出クラッチは、エンジンの出力軸によって回転する駆動プーリとアンローダの入力プーリとの間に巻回された伝動ベルトと、電動操作機構または手動操作機構からのクラッチ入り操作に基づいて伝動ベルトに張力を与えるテンションローラとを備える。そして、電動操作機構の電動モータによって回転駆動される回転体の外周付近に長尺の操作ロッドの上端が枢支され、この操作ロッドの下端と、テンションローラを支持するテンションアームの一部とはコイルバネによって連結されている。
【0005】
したがって、エンジンを停止したクラッチ入り操作時におけるコイルバネの長さを観察することで、伝動ベルトの張力が十分か否かを推定することが可能である。そこで、アンローダの駆動前の排出クラッチ点検時に、クラッチ入り操作時におけるコイルバネの長さから、伝動ベルトの伸びなどに起因して伝動ベルトの張力が不十分と推定される場合には、コイルバネの長さが正常な長さとなるように操作ロッドの一部に介装されているターンバックル(長さ調節手段)などの操作によって操作ロッドの実質的な長さを短くすることで、伝動ベルトの張力を適切なレベルまで高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−27827号公報(0006〜0007段落、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記されたコンバインでは、排出クラッチのコイルバネが、伝動ベルトやアンローダの入力プーリと同じく運転席よりも低い位置に配置されているために、作業者は運転座席から地上に降りてコイルバネの長さを確認する必要があり、作業能率が十分でなかった。
【0008】
また、伝動ベルトを少なくとも一方のプーリから外さないとグレンタンクをメンテナンス用の開放位置に切り換えることのできないコンバインでは、閉じ位置とされたグレンタンクとキャビンの間の狭い間隙からコイルバネの長さを確認するという煩雑な作業を強いられた。
【0009】
そこで、本発明の目的は、上に例示した従来技術によるコンバインが与える課題に鑑み、作業者が運転座席から地上に降りるまでもなく運転席から簡単にコイルバネの長さを確認可能なコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によるコンバインの特徴構成は、
走行機体の前部位置に運転座席とエンジンとが配置され、これらの後方に穀粒を貯留するグレンタンクが配置され、このグレンタンクから穀粒を排出するアンローダと、前記エンジンから前記アンローダに伝えられる駆動力の入り切りを行う排出クラッチとが備えられ、
前記排出クラッチは、前記エンジンの出力軸によって回転する駆動プーリと前記アンローダへの入力プーリとの間に巻回された伝動ベルトと、前記伝動ベルトに張力を加えるテンションローラとを備えるコンバインであって、
前記運転座席の近傍に配置された入り切り操作部材と前記テンションローラとの間に、少なくとも1本の操作ロッドと引っ張りコイルバネとが直列状に介装され、且つ、前記引っ張りコイルバネが最も長い前記操作ロッドよりも上方に配置されている点にある。
【0011】
上記の特徴構成によるコンバインでは、引っ張りコイルバネが最も長い操作ロッドよりも上方に配置されていることで、引っ張りコイルバネが高い位置にあるので、運転座席にいる作業者は、運転座席付近から上半身を少しだけ捻ったり身を乗り出したりすることで引っ張りコイルバネの長さを確認することができる。すなわち、アンローダの駆動前の排出クラッチ点検時に、運転座席から地上に降りることなく、目視確認した引っ張りコイルバネの長さから、伝動ベルトの張力が十分かどうかを推定できるため、例えば伝動ベルトの張力が十分と推定された場合は、直ぐにアンローダの駆動を開始でき、高い作業能率が得られる。
【0012】
本発明の他の特徴構成は、前記入り切り操作部材が、前記運転座席の近傍に配置された排出レバーによって揺動操作される操作アームを備え、前記引っ張りコイルバネが前記操作アームの作用部と前記操作ロッドの上端との間に係止されている点にある。
【0013】
本構成であれば、引っ張りコイルバネの一端は排出レバーによって揺動操作される操作アームに係止されており、言い換えれば、引っ張りコイルバネは実質的に運転座席の作業者が操作する操作アームの極近傍に配置されていることになるため、作業者は運転座席に座したまま僅かに上半身または首を捻ったり身を乗り出したりするだけで引っ張りコイルバネの長さを確認することができる。
【0014】
本発明の他の特徴構成は、前記入り切り操作部材と前記テンションローラとの間に、さらに、前記操作ロッドの長さを変更する長さ調節手段が介装されており、前記長さ調節手段及び前記引っ張りコイルバネが前記最も長い操作ロッドよりも上方に配置されている点にある。
【0015】
本構成であれば、長さ調節手段もまた最も長い操作ロッドよりも上方に配置されていることで、長さ調節手段が高い位置にあるので、作業者は運転座席付近から長さ調節手段の操作を実施することができる。すなわち、目視確認した引っ張りコイルバネの長さから伝動ベルトの張力が不十分と判定された場合も、地上に降りることなく引っ張りコイルバネの長さが適切となるように長さ調節手段を操作することで、伝動ベルトに十分な張力を与えることができるため、さらに高い作業能率が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るコンバインの右全体側面図である。
【図2】本発明に係るコンバインの左全体側面図である。
【図3】本発明に係るコンバインの全体平面図である。
【図4】アンローダの排出クラッチ付近を示す正面図である。
【図5】アンローダの排出クラッチ付近を示す平面図である。
【図6】排出クラッチの操作アーム付近を示す正面図である。
【図7】排出クラッチの操作アーム付近を示す右側面図である。
【図8】脱穀装置と回収部の境界付近を示す正面図である。
【図9】コンバインの排気構造などを示す右要部側面図である。
【図10】グレンタンクの連結手段を示す要部正面図である。
【図11】グレンタンクの連結手段を示す要部平面図である。
【図12】グレンタンクの連結手段を示す右要部側面図である。
【図13】排気筒の排気ガイド付近を示す一部分解斜視図である。
【図14】排気筒の排気ガイド付近を示す左要部側面図である。
【図15】図14の排気ガイド付近を示す説明図である。
【図16】排気ガイドの他の取り付け姿勢を示す説明図である。
【図17】穀粒排出用オーガ付近を示す右要部側面図である。
【図18】穀粒排出用オーガ付近を示す要部後面図である。
【図19】穀粒排出用オーガ付近を示す要部平面図である。
【図20】ハンプの取り付け構造を示す斜視図及びハンプの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
〔コンバインの全体構成〕
図1、図2及び図3に示すように、左右一対のクローラ走行装置1によって走行する走行機体2の前端に刈取部3を昇降自在に備えると共に、刈取部3で刈り取られた刈取穀稈が供給される脱穀装置4と、この脱穀装置4から送られる穀粒を貯留するグレンタンク5とを走行機体2の左右位置に並列配置し、グレンタンク5には穀粒を排出するアンローダ6を備え、走行機体2の前部でグレンタンク5の前部位置に作業者が搭乗する運転部10を備えて自脱型のコンバインが構成されている。
【0018】
このコンバインは、運転部10の運転座席の下側にエンジンEを備えており、収穫作業時にはエンジンEの駆動力で刈取部3と脱穀装置4とを駆動すると共に、クローラ走行装置1を駆動して走行機体2を走行させる。これにより、刈取部3で穀稈の株元を切断して穀稈の刈り取りを行い、刈取穀稈を脱穀装置4に搬送して脱穀処理を行い、この脱穀処理により得られた処理物から穀粒を選別してグレンタンク5に貯留する作動が行われる。
【0019】
〔運転部〕
運転部10には、作業者が搭乗するステップ11と、作業者が着座する運転座席12とが備えられると共に、運転座席12の前方位置に作業者が操作する操縦レバー13が備えられている。運転座席12の側部位置のパネル部14に主変速レバー15と、副変速レバー16とが備えられ、パネル部14の後端側部に配置された排出操作パネル14Dには排出レバー18(入り切り操作部材の一例)が備えられている。
【0020】
操縦レバー13は、非操作状態で中立姿勢を維持するように中立付勢され、左右の何れかの方向に揺動操作することで走行機体2の操向・旋回を実現し、前後の何れかの方向に操作することで刈取部3の昇降を行う。主変速レバー15は、走行速度の無段階の変速を行うものであり、走行機体2を停車させる中立位置と、この中立位置から前方側に形成される前進変速域と、中立位置から後方側に形成される後進変速域とに操作自在に構成されている。副変速レバー16は、複数段の変速操作を行う。排出レバー18は、エンジンEからアンローダ6に伝えられる駆動力の入り切りを行う排出クラッチCを操作することで、グレンタンク5に貯留されている穀粒の排出を行う。
【0021】
運転座席12はエンジンEを覆うエンジンカバーの上面に備えられており、運転座席12の後方位置にはエンジンEに供給する吸気の浄化を図るエアークリーナ23が備えられている。このエアークリーナ23には支柱状の吸気パイプを介してプレクリーナ24の吸気が供給される。尚、エアークリーナ23から送られる吸気はエンジンカバーの内部の吸気経路を介してエンジンEに供給される。
【0022】
図3及び図5に示すように、排出レバー18の基端部は運転座席12の左側部、後方側に配置され、この排出レバー18の操作領域が、側面視においてエアークリーナ23の上方に重なり合う位置に形成されている。また、図4に示すように、排出レバー18が、垂直姿勢にある場合に、この排出レバー18の上端部位がシートバック12Aの上端よりも高い位置にあるように寸法関係が設定されている。
【0023】
〔アンローダ〕
図1に示すように、グレンタンク5の底部には、グレンタンク5に貯留されている穀粒を送り出す排出コンベア31を構成する底スクリュー31Sが配置されている。アンローダ6は、底スクリュー31Sから送られる穀粒を上方に案内するエルボ状の搬出ケース32と、この搬出ケース32から送られる穀粒を上方に搬送する縦搬送コンベア33と、この縦搬送コンベア33から送られる穀粒を水平方向に搬送する中間コンベア34と、この中間コンベア34から送られる穀粒を横方向に送る横搬送コンベア35とを備えている。また、横搬送コンベア35は、中間部分で折り曲げ自在に構成され、排出側の端部に排出部36が形成されている。
【0024】
縦搬送コンベア33は、筒状のケースの内部に縦搬送スクリュー(不図示)を収めた構成を有し、中間コンベア34は、筒状のケースの内部に中間スクリュー(不図示)を収めた構成を有している。横搬送コンベア35は、筒状のケースの内部に横搬送スクリュー35Sを収めた構成を有する。横搬送コンベア35の筒状のケースの中間部分はヒンジを介して折りたたみ自在に連結しており、この折りたたみを許容するように横搬送スクリュー35Sの中間には分離状態と連結状態とに切換自在な嵌合連結部(不図示)を備えている。
【0025】
底スクリュー31Sの搬出側の端部が搬出ケース32の内部に配置され、縦搬送コンベア33の縦搬送スクリュー(不図示)の下端が搬出ケース32の内部に配置されている。このような配置から、搬出ケース32の内部には底スクリュー31Sと縦搬送コンベア33の前記縦搬送スクリューとを連動させる第1ベベルギヤ機構(不図示)が備えられている。
【0026】
縦搬送コンベア33の縦搬送スクリューの上端が中間コンベア34のケースの内部に配置され、横搬送コンベア35の基端側(搬出方向と反対側)の端部が中間コンベア34のケースの内部に配置されている。このような配置から、中間コンベア34の中間スクリューのうち縦搬送コンベア側と、縦搬送コンベア33の縦搬送スクリューの上端とを連動させる第2ベベルギヤ機構(不図示)が中間コンベア34のケースの内部に備えられている。また、この中間コンベア34の中間スクリューのうち横搬送コンベア側と、横搬送スクリュー35Sの基端側とを連動させる第3ベベルギヤ機構(不図示)が中間コンベア34の内部に備えられている。
【0027】
図1に示すように、横搬送コンベア35の基端側と中間コンベア34との間に昇降シリンダ38を備えている。図5に示すように排出レバー18の排出操作パネル14Dには、旋回モータ37と、昇降シリンダ38とを制御する複数の制御ボタン21を備えている。図面には示していないが、複数の制御ボタン21の何れかの操作に対応して昇降シリンダ38と旋回モータ37との何れかを作動させる制御装置を備えている。
【0028】
このような構成から、作業者が複数の制御ボタン21のうち旋回に対応するものを操作することで旋回モータ37が作動し、これにより縦軸芯Yを中心にしてアンローダ6を旋回させて排出部36からの穀粒の搬出方向の設定を行える。また、制御ボタン21のうち昇降に対応するものを操作することで昇降シリンダ38が伸縮作動し、水平軸芯を中心にして横搬送コンベア35の先端側を昇降させて排出部36からの穀粒の搬出高さを設定できる。
【0029】
〔排出クラッチ〕
図4〜図8に示すように、アンローダ6の駆動系は、エンジンEの駆動力を底スクリュー31Sに伝えるベルト式の伝動機構と、駆動力の断続を行う排出クラッチCとを備えている。つまり、エンジンEの出力軸に備えた出力プーリ(不図示)と、ギヤボックス42の入力軸に備えた中間入力プーリ43とに亘って無端ベルトで成る中間ベルト44が巻回されている。ギヤボックス42は入力軸に伝えられる回転動力を、入力軸と直交する姿勢の出力軸に伝えるように一対のベベルギヤを内蔵しており、このギヤボックス42の出力軸に備えた中間出力プーリ45と、底スクリュー31Sの外端の入力軸に備えた入力プーリ46とに亘って無端ベルトで成る伝動ベルト47が巻回され、この伝動ベルト47に張力を作用させるテンションローラ48を備えている。
【0030】
グレンタンク5の前方位置で運転座席12の側部後方位置に、支柱状の支持フレーム51が機体フレーム2Fに立設され、この支持フレーム51に対して前後向き姿勢の軸体49Aを介して揺動自在にテンションアーム49が支持され、このテンションアーム49の揺動端に前述したテンションローラ48が回転自在に支持されている。
【0031】
排出クラッチCは、前述した中間出力プーリ45と入力プーリ46と伝動ベルト47とテンションローラ48とテンションアーム49とで構成され、グレンタンク5の下部の前方位置に配置されている。この排出クラッチCは、テンションアーム49の揺動姿勢の切換によりテンションローラ48が伝動ベルト47に作用する張力を制御して動力を伝える入り状態と、動力を遮断する切り状態とに切換自在に構成されている。
【0032】
〔クラッチ操作機構〕
図4〜図8に示すように、運転座席12の排出レバー18によって排出クラッチCを制御するために、この排出レバー18とテンションアーム49との間にクラッチ操作機構Fが備えられている。
クラッチ操作機構Fは、排出レバー18の揺動操作に基づいて揺動操作される操作アーム20、操作アーム20の先端付近に上端が係止されたコイルバネ54(引っ張りコイルバネの一例)、及び、コイルバネ54の下端とテンションアーム49との間に介装された長尺の操作ロッド53を有する。操作ロッド53とコイルバネ54とは、排出レバー18とテンションローラ48との間で互いに直列状に配置されていることになる。
【0033】
操作ロッド53は、テンションアーム49に連結された下方の第1ロッド53a(最も長い操作ロッドの一例)と、コイルバネ54に連結された上方の第2ロッド53bとを有し、第1ロッド53aと第2ロッド53bとはターンバックル55(長さ調節手段の一例)によって連結されている。
下方の第1ロッド53aは上方の第2ロッド53bよりも長尺とされており、特にここでは、第1ロッド53aは第2ロッド53bの10倍前後の長さを有する。
その結果、排出レバー18の「入」姿勢(図4において実線で示す)と「切」姿勢(図4において二点鎖線で示す)とのいずれにおいても、コイルバネ54は運転座席12のシートバック12Aの上下の中間付近の高さに位置し、ターンバックル55は運転座席12の座部12Bの上面付近の高さに位置することになる。
【0034】
より具体的には、排出レバー18及び操作アーム20は、パネル部14の後方に配置された排出操作パネル14Dに支持されている。排出操作パネル14Dは支持フレーム51の上端付近に固定された函状を呈している。この排出操作パネル14Dの後方側壁に支持された管状支持体19Tの内部に操作ロッド19が前後向きの軸心X1回りで回動自在に挿通支持されており、操作アーム20の基端部は操作ロッド19の後方側の端部に溶接などで固定され、排出レバー18の基端部は操作ロッド19の前方側の端部に外嵌固定されている。排出レバー18と操作アーム20は操作ロッド19から平行に近い方向に延出されている。
【0035】
図4及び図6に示すように、排出レバー18は軸心X1回りで揺動操作可能に構成されているが、その揺動範囲は、排出操作パネル14Dの排出レバー18の上端が軸心X1よりも運転座席12寄りになる「入」姿勢から、排出レバー18の上端が軸心X1よりも運転座席12から車両側方に寄りになる「切」姿勢までの範囲に制限されている。
このような排出レバー18の揺動限界は、図5に示すように、排出操作パネル14Dを構成する天板14Tに排出レバー18を挿通させるべく形成した長孔14Hの両端部によって実現することが可能であるが、排出操作パネル14Dの内部に専用のストッパ部材を設けることで実現してもよい。
長孔14Hの両端付近の天板14Tの表面には排出レバー18の「入」姿勢と「切」姿勢との各位置を示す文字(不図示)がシールまたは印刷などで付されている。
【0036】
クラッチ操作機構Fは、図4及び図6に示すように、排出レバー18が「切」位置にある場合にはテンションローラ48から伝動ベルト47に作用する張力を低下させて排出クラッチCを切り状態に設定する。排出レバー18を「入」位置に操作した場合には、テンションアーム49の揺動端を持ち上げ方向に操作してテンションローラ48から伝動ベルト47に作用する張力を増大させることで、排出クラッチCを入り状態に設定する。
【0037】
特に、排出レバー18を「切」位置から「入」位置に操作した場合には、伝動ベルト47の張力とコイルバネ54の付勢力とが特に有効に作用することになるが、この「入」位置に操作された場合には、排出レバー18が一方(車両内側寄り)の揺動限界に達すると共に、この揺動限界に達する以前に操作アーム20とコイルバネ54との連結点が、操作アーム20が概して鉛直姿勢となりコイルバネ54が最長となるデッドポイントを超えて運転座席12寄りに達することにより、排出レバー18は「入」位置に安定的に保持される。
【0038】
このように排出クラッチCが入り状態に達することでエンジンEの駆動力が伝動ベルト47によって底スクリュー31Sに伝えられ、更に、この底スクリュー31Sからアンローダ6の前記縦搬送スクリューと、前記中間スクリューと、横搬送スクリュー35Sとに伝えられ、グレンタンク5に貯留されている穀粒の搬出が実現する。
【0039】
他方、排出レバー18を「入」位置から「切」位置に操作した場合には、排出レバー18が他方(車両外側寄り)の揺動限界に達すると共に、この揺動限界に達する以前に操作アーム20とコイルバネ54との連結点が、操作アーム20が概して鉛直姿勢となりコイルバネ54が最長となるデッドポイントを超えて運転座席12と反対側に達することにより、排出レバー18は「切」位置に安定的に保持される。
【0040】
このようなクラッチ操作機構Fの構成では、排出レバー18を「入」位置に操作した状態でのコイルバネ54の長さを見ることで、伝動ベルト47の張力が十分か否かを推定することが可能となる。したがって、排出レバー18の「入」位置におけるコイルバネ54の長さから、伝動ベルト47の伸びなどに起因して伝動ベルトの張力が不十分と判定される場合には、コイルバネ54の長さが正常な長さとなるようにターンバックル55の操作で操作ロッド53の実質的な長さを短くすることで、伝動ベルト47の張力を適切なレベルまで高めることができる。
【0041】
本発明によるコンバインでは、前述したように、コイルバネ54が排出レバー18の近傍、具体的には運転座席12の背後で運転座席12のシートバック12Aの上下の中間付近の高さという、運転座席12の作業者が振り向けば簡単に観察できる位置に存在する。
したがって、作業者が運転座席12を離れることなく、排出レバー18の「入」位置におけるコイルバネ54の長さから、伝動ベルトの張力が十分か否かを推定でき、張力が十分と推定できる場合は、エンジンEを駆動後に排出レバー18を再度「入」姿勢に切り替えることで、アンローダ6による穀粒の排出を行えばよい。また、張力が不十分と推定できる場合は、ターンバックル55の操作により、コイルバネ54の長さが適切となるように操作ロッド53の実質的な長さを調整すればよい。
【0042】
また、本実施形態では、ターンバックル55もコイルバネ54の直下で運転座席12の座部12Bの上面付近の高さに位置するので、作業者は運転部10のステップ11を離れることなくターンバックル55を回転させて張力を調整する作業を実施でき、張力の調整後には、引き続き、排出レバー18を「入」姿勢に切り替えることで、アンローダ6による穀粒の排出を行うことができる。
【0043】
〔脱穀装置とグレンタンク〕
図9に示すように、脱穀装置4を構成する主ケーシング4Sには扱室4Aが設けてあり、この扱室4A内では、フィードチェーン56(図2を参照)で株元側を挟持搬送される穀稈の穂先側が、エンジンEからの動力によって前後水平の軸心回りで回転駆動される扱胴57によって扱き処理される。
【0044】
扱室4Aにおいて穀稈から分離された処理物は扱室4Aの下部に沿って張設した受網(不図示)で選別され、前記受網を漏下した処理物は扱室4Aの下方に配備された選別部4Bの前半部に落下供給されるとともに、前記受網を漏下しなかった処理物は扱室4Aの終端の送塵口から搬出されて選別部4Bの前後中間部に落下供給される。
【0045】
選別部4Bに落下供給された処理物は前後に長い揺動選別ケース58で受け止められ、処理物は同揺動選別ケース58によって後方に向けて揺動搬送されながらグレンパンで比重差選別されるとともに、粗選別用のチャフシーブ、精選別用のグレンシーブ、ほぐし用の選別ラック、ストローラック等により篩い選別される。また、選別部前端部に備えた唐箕59から後方上方に向けて流動する選別風が、篩い選別されて落下する処理物に供給されて、処理物に含まれている軽いワラ屑や塵埃が後方に飛散排出されるようになっている。
【0046】
そして、穀粒は1番物として1番回収部60に、2番物は2番回収部62にそれぞれ選別回収され、ストローラックで漏下しないワラ屑が選別部後端の排塵口4Cから外部に排出される。また、1番回収部60に回収された1番物の穀粒は、第1横送りスクリューSF1によって機外にまで横送りされた後、スクリュー式の揚穀装置61によって揚送されてグレンタンク5に供給投入され、2番回収部62に回収された2番物は第2横送りスクリューSF7によって横送りされた後、スクリュー式の還元装置63によって還元用案内板63Aを介して揺動選別ケース58の前部に還元供給されて再選別処理を受ける構成になっている。
【0047】
扱室4Aの後方で選別部4Bの後部上方箇所には横断流ファンからなる排塵ファン66が横架されており、扱室4Aの終端から吹き出てきた浮塵やワラ屑、選別風によって選別部4Bの後部上方に吹き上げられた浮塵やワラ屑が排塵ファン66に吸引されて強制的に機体後方に排出されるようになっている。なお、この排塵ファン66の上方には排ワラ搬送装置67が配備されており、扱室4Aから搬出されてきた排ワラがフィードチェーン56から排ワラ搬送装置67に受継がれて後方かつ穂先側に向けて斜め搬送され、脱穀装置4の後端上部に連結装備された排ワラカッタ装置68に供給されて細断されるようになっている。
【0048】
排ワラカッタ装置68の上部には、排ワラカッタ装置68の開口68Aを閉鎖可能な蓋体69が揺動自在に設けられている。実線で示すように蓋体69が開放されているときは、排ワラ搬送装置67の後端部まで挟持搬送されてきた排ワラは、開口68Aを介して排ワラカッタ装置68に供給され細断されて下方に落下放出される。他方、蓋体69が閉じられているときは、排ワラ搬送装置67の後端部から落下放出された排ワラは、蓋体69の傾斜した上面に沿って後方の下方に落下放出される。
【0049】
図3に示すように、グレンタンク5は、その後部に備えた縦軸心X2周りに、全体がエンジンEの後方に位置する作業位置(実線で示す)と、前部側が機体フレーム2Fの右外方に張り出してエンジンEの後方や脱穀装置4の右側壁を開放するメンテナンス位置(二点鎖線で示す)との間で揺動変位可能に構成されている。グレンタンク5の揺動変位に関わらず揚穀装置61は脱穀装置4側の一定位置に維持されており、グレンタンク5の揺動変位に応じて、揚穀装置61の上端に設けられた穀粒供給口61Mがグレンタンク5に対して接続及び離間される。
【0050】
脱穀装置4とグレンタンク5の間には、グレンタンク5を作業位置に位置保持するための機構として、グレンタンク5の高さ方向での中間に位置する第1ロック機構70Aと、グレンタンク5の下端付近に位置する第2ロック機構70Bとが設けられている。
第1ロック機構70Aは、脱穀装置4の側面上方に前方向きに支持されたロックピン71と、グレンタンク5の前方壁面に配置されたクランプ装置72とを有する。クランプ装置72は、グレンタンク5の前方壁面にボルトなどで固定された支持ブラケット73と、支持ブラケット73に対して車体前後向きの軸心X3回りで枢支された揺動クランプ板74とを有する。
【0051】
支持ブラケット73の先端にはロックピン71を受け入れる凹部が形成されており、揺動クランプ板74の先端にはフック状の係止部74Aが設けられている。揺動クランプ板74は、ロックピン71を支持ブラケット73の凹部と係止部74Aとの間で拘束したロック位置と、ロックピン71を凹部から解放する解除位置との間で揺動自在とされている。また、支持ブラケット73と揺動クランプ板74との間には、揺動クランプ板74をロック位置に向けて付勢するコイルバネ75が介装されている。
【0052】
揺動クランプ板74の係止部74Aの脱穀装置4側を向いた面には案内傾斜面が形成されている。そこで、グレンタンク5をメンテナンス位置から作業位置に揺動させていくと、揺動クランプ板74は側方から接近するロックピン71との当接によって、コイルバネ75の付勢力に抗して、解除位置に操作され、ロックピン71が凹部に入り込むと、揺動クランプ板74はコイルバネ75の付勢力によって自動的にロック位置に切り替えられ、ロックピン71の拘束が完了する。
【0053】
ここでさらに、グレンタンク5の下端付近に設けられた第2ロック機構70Bをロック状態にすれば、グレンタンク5の作業位置での位置保持が完了する。第2ロック機構70Bは、グレンタンク5の下端付近に上下に変位自在に支持されたロックピン76を有し、このロックピン76を機体フレーム2Fの上面に形成された係止孔2Hに対して係入/離脱させることで、第2ロック機構70Bのロック操作及びロック解除操作が行われる。
【0054】
尚、図10〜図12に示すように、第1ロック機構70Aのロックピン71は、脱穀装置4の側面に支持された多目的ブラケット80(単一のアセンブリの一例)の一部として設けられている。多目的ブラケット80は、脱穀装置4の側面にボルトなどで固定された板状の基端部80Aと、基端部80Aの後端付近からグレンタンク5に向かって延出された縦フランジ部80Bとを一体的に備え、縦フランジ部80Bの先端には板状の補助ブラケット81がボルトなどで固定されており、ロックピン71はこの補助ブラケット81の先端付近から立設されている。
【0055】
基端部80Aの下端には、唐箕59の風量を開口部の面積によって調整するための唐箕風量調整レバー59Lが横向きの軸心X4回りで揺動自在に枢支されており、基端部80Aの上端からは唐箕風量調整レバー59Lのための板状の風量ガイド82が概して水平に延出されている。風量ガイド82には、風量調整レバー59Lを挿通させると同時に、風量調整レバー59Lを複数の設定角度の一つに選択的に位置決めするための異型溝状のガイド孔82Hが形成されている。唐箕風量調整レバー59Lの下端付近からは操作ロッド59Aが唐箕59の開口部に向かって延出されている。
【0056】
このように、多目的ブラケット80は、グレンタンク5を作業位置に位置保持するためのロックピン71、及び、唐箕59の風量を調整するための風量調整レバー59Lと風量ガイド82を一体的に備えた一つのアセンブリとされているため、コンバインの組み立て作業の効率化が図れる。
【0057】
また、グレンタンク5の前面には、ロック機構70によって作業位置に保持されているグレンタンク5をメンテナンス位置に切り替えるためのロック解除装置83が設けられている。ロック解除装置83は、グレンタンク5の前面下端部に車両前後向きの軸心回りで揺動可能に支持されたロック解除アーム84と、ロック解除アーム84の一部と揺動クランプ板74の一部とを連結するロック解除ロッド85とを有する。
【0058】
グレンタンク5をメンテナンス位置に切り替える際には、先ず、伝動ベルト47を入力プーリ46などから取り外しておき、次に、グレンタンク5と運転部10との間の隙間からロック解除アーム84を車両の側方に倒す。すると、ロック解除ロッド85を介して揺動クランプ板74が解除位置に操作されて、ロックピン71がクランプ装置72から解放されるので、第1ロック機構70Aがロック解除状態となる。そこで、引き続きグレンタンク5の下方に位置するロックピン76を係止孔2Hから離脱した状態に切り替えることで第2ロック機構70Bもロック解除状態とすれば、グレンタンク5をメンテナンス位置に向けて揺動操作することが可能になる。
【0059】
尚、揚穀装置61の供給筒61Tは、脱穀装置4の主ケーシング4Sからグレンタンク5側に離間した位置を上下に延設されているので、グレンタンク5の一側面には、作業位置において揚穀装置61の供給筒61Tの大半を収納するための上下に延びた溝状の凹部5Vが設けられている。
【0060】
〔排気構造の構成〕
図9に示すように、排気管XPは、エンジンマフラー86の排気吐出管86Aから、機体の左右方向において脱穀装置4とグレンタンク5との間を斜め上向きに通され、脱穀装置4の天井部を超える高さまで直線状に延設された第1管部87と、第1管部87の後端から第1管部87よりも緩い勾配で斜め上向きにやはり直線状に延設された第2管部89とを有する。
【0061】
また、第1管部87と第2管部89とは側面視で逆V字状となるように配備され、図1に示すように、平面視では、前後方向に略一直線状となるように配備されている。より詳細には、平面視において、第2管部89は、前後方向に延設された第1管部87の後端への接続箇所からやや機体後方右方へ傾斜した状態で配備されている。
第2管部89の全体が、揚穀装置61の供給筒61Tよりも後方で、且つ、脱穀装置4の天井部の高さよりも上方に配置されるように、第1管部87は比較的急な勾配で斜め上向きに延設され、還元装置63の還元用案内板63Aを上方に十分に迂回した位置を通っている。
【0062】
第2管部89は全長に亘ってグレンタンク5の天井部5Aの高さよりも下方に配置されている。また、第2管部89の後端に位置する排気出口89Eは、排ワラカッタ装置68の上方に配置され、平面視におけるコンバインの外形から突出しないように、排ワラカッタ装置68の後端よりも前側に配置されている。
また、図3に示すように、横搬送コンベア35をオーガ受け台35Hに支持させたオーガ格納状態では、平面視において、第2管部89の大半が横搬送コンベア35と重なり合った状態となる。
【0063】
第2管部89の後端を示す図13や図14から理解されるように、第2管部89は、比較的小径の第2内管89Aと、第2内管89Aの長さの大半を外周から覆う第2外管89Bとを有する。第2外管89Bは第2内管89Aに対して全周に亘ってほぼ均等に離間配置されている。特に図示されていないが、第1管部87も同様の二重管状の構成を備えている。
【0064】
エンジンマフラー86の排気吐出管86Aと第1管部87とは略直線状に連設されており、第2管部89の軸心も第1管部87の軸心に対して45°以下の比較的小さな角度で交差しているので、エンジンマフラー86からの排気は排気管XP内をスムーズに流れ、排気管XPに局所的な温度上昇を生じさせることがない
【0065】
第1管部87の後端と第2管部89の間には、排気管XP内に発生する負圧に基づくエジェクタ効果で外気を第2内管89Aの内部に導入するための環状の間隙(第2導入部)が形成されている。同様に、排気吐出管86Aの後端と第1管部87の間にも、排気管XP内に発生する負圧に基づくエジェクタ効果で外気を第1管部87の内管の内部に導入するための環状の間隙(第1導入部)が形成されている。
【0066】
上記のように第1導入部および第2導入部から排気管XPに外気が吸入され、排気温度を低下させることができる。特に、前記第2導入部は、脱穀装置4とグレンタンク5とで挟まれた閉鎖的な空間にではなく、脱穀装置4の天井部よりも上方の空間に位置するので、比較的低温の外気が第2管部89の第2内管89Aに導入される。
【0067】
第1管部87と第2管部89とには保護カバー87C,89Cが各々設けられている。保護カバー87C,89Cは、第1管部87と第2管部89が周囲の空気によって放冷されるのを妨げないように、多数の丸孔がパンチングメタル状に貫通形成され、第1外管87B及び第2外管89Bの外周面に溶接されたブラケットにボルトナットなどで取り付けられている。
【0068】
各保護カバー87C,89Cは、断面が円弧状で全体として樋状を呈し、第1管部87と第2管部89の外周面のうちの約半分、すなわちグレンタンク5と面する領域を覆うように取り付けられている。したがって、オペレータがグレンタンク5をメンテナンス位置に揺動操作すると、脱穀装置4の右側壁と共に排気管XPが開放されるが、オペレータからは排気管XPがほぼ全長に亘って保護カバー87C,89Cで覆われた状態となる。但し、排気管XPは、上下方向に延設された揚穀装置61と脱穀装置4の右側壁との間隙を通っており、この揚穀装置61の背後に相当する箇所では保護カバー87Cが省略されている。
【0069】
保護カバー87C,89Cは、第1管部87の外管及び第2管部89の第2外管89Bの外周面とから離間配置されている。尚、保護カバー87C,89Cはパンチングメタル状に限らず、例えばメッシュ状としてもよい。
排気管XPは、グレンタンク5と脱穀装置4の双方の側面から概して等距離となるように支持されている。グレンタンク5を、縦軸心X2周りに作業位置とメンテナンス位置との間で自由に揺動操作できる構成とするため、排気管XPはグレンタンク5ではなく脱穀装置4の側面に支持されている。より具体的には、排気管XPは脱穀装置4の側面に固定された4つのステーを介して支持されている。
【0070】
〔排気制御カバー〕
図13〜図16に示すように、第2管部89の後端に位置する排気出口89Eの付近には、排気管XPから排出される排気の向きを制御する排気制御カバー90が設けられている。排気制御カバー90は概して円筒を軸心に沿った平面によって2つに切り分けた片側からなる、断面が半円形の形状を呈し、第2管部89の後端付近に対して揺動操作可能に取り付けられる基端部90Aと、基端部90Aの後端から後方に延出された先端部90Bとを有する。基端部90Aは部分円筒状を呈するが、先端部90Bは後方の部位ほど半径が次第に小さくなる部分円錐台状を呈している。
【0071】
排気制御カバー90の基端部90Aの周方向に関する両端付近には一対の貫通孔HR,HLが形成されている。貫通孔HR,HLは、排気制御カバー90を上方が開放された姿勢で配置した場合に、後方から見て右側に位置する第1貫通孔HRと、後方から見て左側に位置する第2貫通孔HLとからなる。
【0072】
他方、第2管部89の後端には排気制御カバー90を取り付けるための2組の取り付けブラケットが溶接などで設けられている。取り付けブラケットは、第2管部89を後方から見たときに水平に対して反時計方向に45°の角度で傾斜した方向で対峙する第1ブラケット対91A,91Bと、上下方向で対峙する第2ブラケット対92A,92Bとからなる。
【0073】
第1ブラケット対91A,91Bは、第2管部89の第2内管89A及び第2外管89Bの後端付近に溶接などで固定された基端部Mbと基端部の径方向外側の端部から後方向きに延出された係止部Meとからなる。第2管部89を後方から見て右上寄りに位置する第1ブラケット91Aと、下方に位置する第2ブラケット92Aの係止部Meには、径方向内側に向かって突出した係止ピン93が取り付けられている。他方、第2管部89を後方から見て左下寄りに位置する第1ブラケット91Bと、上方に位置する第2ブラケット92Bの係止部Meには雌ネジの軸心が径方向に沿って延びたナット部材94が取り付けられている。
【0074】
図15は、排気制御カバー90を第1ブラケット対91A,91Bに取り付けた状態を示しているが、先ず、排気制御カバー90の第1貫通孔HRを第1ブラケット91Aの係止ピン93に径方向内側から外嵌状に係止させ、次に、排気制御カバー90の第2貫通孔HL付近を第1ブラケット91Bの径方向外側に重ね、径方向外側から挿通したボルト95をナット部材94に螺合することで、排気制御カバー90は第2管部89の開口部のうち右下寄りの半円領域をカバーした状態となっている。ボルト95を少し緩めた状態では、排気制御カバー90を、第1ブラケット91Aの係止ピン93と第1ブラケット91Bのナット部材94との各中心を結ぶ軸心回りで揺動操作可能になる。そこで、例えば先端部90Bを第2管部89の径方向内側に変位させた状態で再びボルト95を締め付けると、排気が左上向きに案内されることになり、排気制御カバー90の揺動角度によって排気方向を適宜細かく制御できる。
【0075】
図16(a)は、図15の状態とは逆に、先ず、排気制御カバー90の第2貫通孔HLを第1ブラケット91Aの係止ピン93に径方向内側から外嵌状に係止させ、次に、排気制御カバー90の第1貫通孔HR付近を第1ブラケット91Bの径方向外側に重ね、径方向外側から挿通したボルト95をナット部材94に螺合することで、排気制御カバー90は第2管部89の開口部のうち左上寄りの半円領域をカバーした状態となっている。
【0076】
図16(b)は、排気制御カバー90の第2貫通孔HLを下方の第2ブラケット92Aの係止ピン93に径方向内側から外嵌状に係止させ、次に、排気制御カバー90の第1貫通孔HR付近を上方の第2ブラケット92Bの径方向外側に重ね、径方向外側から挿通したボルト95をナット部材94に螺合することで、排気制御カバー90は第2管部89の開口部のうち右側の半円領域をカバーした状態となっている。
【0077】
同様に、図16(c)は、排気制御カバー90の第1貫通孔HRを下方の第2ブラケット92Aの係止ピン93に径方向内側から外嵌状に係止させ、次に、排気制御カバー90の第2貫通孔HL付近を上方の第2ブラケット92Bの径方向外側に重ね、径方向外側から挿通したボルト95をナット部材94に螺合することで、排気制御カバー90は第2管部89の開口部のうち左側の半円領域をカバーした状態となっている。
【0078】
図14〜図16では、第1ブラケット対91A,91Bが第2管部89を後方から見たときに水平に対して反時計方向に45°の角度で傾斜した方向で対峙し、第2ブラケット対92A,92Bが上下方向で対峙しているが、第1ブラケット対91A,91B及び第2ブラケット対92A,92Bの各対峙角度はこれに限らず様々な変形が可能である。例えば、第1ブラケット対91A,91Bが後方から見たときに水平方向で対峙し、第2ブラケット対92A,92Bが上下方向で対峙した形態で実施してもよい。
【0079】
〔アンローダの下部覆い構造〕
図17〜図20に示すように、グレンタンク5の後方には金属製のサイドカバー5Bが設けられており、アンローダ6の付近を右側方と後方から覆っているが、アンローダ6の最下端に位置するエルボ状の搬出ケース32の付近は、サイドカバー5Bの下端に取り付けたゴム製のハンプ96によって右側方と後方から覆われている。
【0080】
図20(b)に示すように、取り付け前の状態のハンプ96は概して矩形の板状を呈しており、ハンプ96の上縁部には4つの主取り付け孔96Hが、前方の下端付近には1つの補助長孔96Lが形成されている。
また、機体フレーム2Fの一部に固定されたステー97からは棒状の取り付けピン5Pが前方向きに延出され、サイドカバー5Bの下端付近にもハンプ96の4つの主取り付け孔に対応した4つの取り付け孔が形成されている。
【0081】
図20(a)から理解されるように、ハンプ96を取り付ける際は、先ず、ハンプ96の補助長孔96Lに取り付けピン5Pを挿通し、引き続き、ハンプ96の後端部などを後方に引っ張りながら、ハンプ96の上辺部位をサイドカバー5Bの下端内側に配置し、ハンプ96の4つの主取り付け孔96Hとサイドカバー5B側の4つの取り付け孔とに挿通したボルト98とナットなどで固定する。
【0082】
尚、ハンプ96の上縁部は、概して下縁部と平行に延びた前方寄りの主上縁部96Aと、主上縁部96Aから後に行くに従って次第に下縁部に近付くように下向きに傾斜した補助上縁部96Bとを備えている。取り付け前の状態において、最も後方の主取り付け孔96Hは、傾斜した補助上縁部96Bの後端の上端付近に配置されている。他方、サイドカバー5Bの下端付近に形成されている4つの取り付け孔は全てが概して水平に並べられている。そこで、ハンプ96の最も後方の主取り付け孔96Hをサイドカバー5Bの下端付近の対応した取り付け孔に合わせてボルト98とナットなどで固定すると、ハンプ96は、平面視における右後方端部付近の角部においてハンプ96の下端が内側(アンローダ6寄り)に引き寄せられた形態で装着される。
【0083】
〔別実施形態〕
〈1〉伝動ベルト47の上側辺をテンションローラ48が下方に押し入込むことで伝動ベルト47の張力を増大させる形態で実施してもよい。
【0084】
〈2〉本発明は、エンジンEから排出コンベア31の底スクリュー31Sへの動力の伝達を、底スクリュー31Sと一体回転する入力プーリ46に巻回された伝動ベルト47によってではなく、エンジンEの動力で回転駆動される横向きの最終出力軸と底スクリュー31Sとを1組のベベルギヤによって連結する形態のコンバインにも適用できる。
この形態では、前記横向きの最終出力軸の途中に、互いに横向きに係入離脱可能なスプライン構造を設けておくことで、伝動ベルト47を入力プーリ46から外すなどの操作を要することなく、グレンタンク5をメンテナンス位置に切り替えることができる。
この形態のコンバインでは、エンジンEの出力軸と一体回転する出力プーリ(駆動プーリの一例)と前記最終出力軸と一体回転する入力プーリとを連結する伝動ベルトに、本発明に係る排出クラッチを設ければよい。
【0085】
〈3〉操作ロッド53を上方の短い操作ロッド53と下方の長い操作ロッド53とに分割し、操作アーム20の先端に上方の短い操作ロッド53を係止させ、この短い操作ロッド53と下方の最も長い操作ロッド53との間にコイルバネ54とターンバックル55を直列に介装した構成で実施することも可能である。この場合のコイルバネ54とターンバックル55の上下の順序は特に問わない。
【産業上の利用可能性】
【0086】
走行機体の前部位置に運転座席とエンジンとが配置され、これらの後方に穀粒を貯留するグレンタンクが配置され、このグレンタンクから穀粒を排出するアンローダと、前記エンジンから前記アンローダに伝えられる駆動力の入り切りを行う排出クラッチとが備えられ、排出クラッチは、エンジンの出力軸によって回転する駆動プーリと前記アンローダへの入力プーリとの間に巻回された伝動ベルトと、前記伝動ベルトに張力を加えるテンションローラとを備えるコンバインの技術として利用でき、普通型のコンバインにも利用できる。
【符号の説明】
【0087】
2 走行機体
5 グレンタンク
6 アンローダ
12 運転座席
18 排出レバー(入り切り操作部材)
20 操作アーム(入り切り操作部材)
45 中間出力プーリ(駆動プーリ)
46 入力プーリ
47 伝動ベルト
48 テンションローラ
53 操作ロッド
53a 第1ロッド(最も長い操作ロッド)
53b 第2ロッド
54 コイルバネ(引っ張りコイルバネ)
55 ターンバックル(長さ調節手段)
C 排出クラッチ
E エンジン
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行機体の前部位置に運転座席とエンジンとが配置され、これらの後方に穀粒を貯留するグレンタンクが配置され、このグレンタンクから穀粒を排出するアンローダと、エンジンからアンローダに伝えられる駆動力の入り切りを行う排出クラッチが備えられているコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のコンバインに関連する先行技術文献情報として下記に示す特許文献1がある。この特許文献1に記されたコンバインでは、ベルトテンション式の排出クラッチを電動力によって切り換え操作する電動操作機構と、この電動操作機構に優先して人為操作力によって排出クラッチを切り換え操作する手動操作機構という2つの操作機構が設けられている。
【0003】
したがって、特許文献1に記されたコンバインでは、通常はアンローダの入り切り操作を電動操作機構によって簡単な操作で行いながら、電動操作機構が故障した場合にも、手動操作機構によるアンローダの入り切り操作によって刈取り作業を実施できる。
【0004】
尚、ベルトテンション式の排出クラッチは、エンジンの出力軸によって回転する駆動プーリとアンローダの入力プーリとの間に巻回された伝動ベルトと、電動操作機構または手動操作機構からのクラッチ入り操作に基づいて伝動ベルトに張力を与えるテンションローラとを備える。そして、電動操作機構の電動モータによって回転駆動される回転体の外周付近に長尺の操作ロッドの上端が枢支され、この操作ロッドの下端と、テンションローラを支持するテンションアームの一部とはコイルバネによって連結されている。
【0005】
したがって、エンジンを停止したクラッチ入り操作時におけるコイルバネの長さを観察することで、伝動ベルトの張力が十分か否かを推定することが可能である。そこで、アンローダの駆動前の排出クラッチ点検時に、クラッチ入り操作時におけるコイルバネの長さから、伝動ベルトの伸びなどに起因して伝動ベルトの張力が不十分と推定される場合には、コイルバネの長さが正常な長さとなるように操作ロッドの一部に介装されているターンバックル(長さ調節手段)などの操作によって操作ロッドの実質的な長さを短くすることで、伝動ベルトの張力を適切なレベルまで高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−27827号公報(0006〜0007段落、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記されたコンバインでは、排出クラッチのコイルバネが、伝動ベルトやアンローダの入力プーリと同じく運転席よりも低い位置に配置されているために、作業者は運転座席から地上に降りてコイルバネの長さを確認する必要があり、作業能率が十分でなかった。
【0008】
また、伝動ベルトを少なくとも一方のプーリから外さないとグレンタンクをメンテナンス用の開放位置に切り換えることのできないコンバインでは、閉じ位置とされたグレンタンクとキャビンの間の狭い間隙からコイルバネの長さを確認するという煩雑な作業を強いられた。
【0009】
そこで、本発明の目的は、上に例示した従来技術によるコンバインが与える課題に鑑み、作業者が運転座席から地上に降りるまでもなく運転席から簡単にコイルバネの長さを確認可能なコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によるコンバインの特徴構成は、
走行機体の前部位置に運転座席とエンジンとが配置され、これらの後方に穀粒を貯留するグレンタンクが配置され、このグレンタンクから穀粒を排出するアンローダと、前記エンジンから前記アンローダに伝えられる駆動力の入り切りを行う排出クラッチとが備えられ、
前記排出クラッチは、前記エンジンの出力軸によって回転する駆動プーリと前記アンローダへの入力プーリとの間に巻回された伝動ベルトと、前記伝動ベルトに張力を加えるテンションローラとを備えるコンバインであって、
前記運転座席の近傍に配置された入り切り操作部材と前記テンションローラとの間に、少なくとも1本の操作ロッドと引っ張りコイルバネとが直列状に介装され、且つ、前記引っ張りコイルバネが最も長い前記操作ロッドよりも上方に配置されている点にある。
【0011】
上記の特徴構成によるコンバインでは、引っ張りコイルバネが最も長い操作ロッドよりも上方に配置されていることで、引っ張りコイルバネが高い位置にあるので、運転座席にいる作業者は、運転座席付近から上半身を少しだけ捻ったり身を乗り出したりすることで引っ張りコイルバネの長さを確認することができる。すなわち、アンローダの駆動前の排出クラッチ点検時に、運転座席から地上に降りることなく、目視確認した引っ張りコイルバネの長さから、伝動ベルトの張力が十分かどうかを推定できるため、例えば伝動ベルトの張力が十分と推定された場合は、直ぐにアンローダの駆動を開始でき、高い作業能率が得られる。
【0012】
本発明の他の特徴構成は、前記入り切り操作部材が、前記運転座席の近傍に配置された排出レバーによって揺動操作される操作アームを備え、前記引っ張りコイルバネが前記操作アームの作用部と前記操作ロッドの上端との間に係止されている点にある。
【0013】
本構成であれば、引っ張りコイルバネの一端は排出レバーによって揺動操作される操作アームに係止されており、言い換えれば、引っ張りコイルバネは実質的に運転座席の作業者が操作する操作アームの極近傍に配置されていることになるため、作業者は運転座席に座したまま僅かに上半身または首を捻ったり身を乗り出したりするだけで引っ張りコイルバネの長さを確認することができる。
【0014】
本発明の他の特徴構成は、前記入り切り操作部材と前記テンションローラとの間に、さらに、前記操作ロッドの長さを変更する長さ調節手段が介装されており、前記長さ調節手段及び前記引っ張りコイルバネが前記最も長い操作ロッドよりも上方に配置されている点にある。
【0015】
本構成であれば、長さ調節手段もまた最も長い操作ロッドよりも上方に配置されていることで、長さ調節手段が高い位置にあるので、作業者は運転座席付近から長さ調節手段の操作を実施することができる。すなわち、目視確認した引っ張りコイルバネの長さから伝動ベルトの張力が不十分と判定された場合も、地上に降りることなく引っ張りコイルバネの長さが適切となるように長さ調節手段を操作することで、伝動ベルトに十分な張力を与えることができるため、さらに高い作業能率が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るコンバインの右全体側面図である。
【図2】本発明に係るコンバインの左全体側面図である。
【図3】本発明に係るコンバインの全体平面図である。
【図4】アンローダの排出クラッチ付近を示す正面図である。
【図5】アンローダの排出クラッチ付近を示す平面図である。
【図6】排出クラッチの操作アーム付近を示す正面図である。
【図7】排出クラッチの操作アーム付近を示す右側面図である。
【図8】脱穀装置と回収部の境界付近を示す正面図である。
【図9】コンバインの排気構造などを示す右要部側面図である。
【図10】グレンタンクの連結手段を示す要部正面図である。
【図11】グレンタンクの連結手段を示す要部平面図である。
【図12】グレンタンクの連結手段を示す右要部側面図である。
【図13】排気筒の排気ガイド付近を示す一部分解斜視図である。
【図14】排気筒の排気ガイド付近を示す左要部側面図である。
【図15】図14の排気ガイド付近を示す説明図である。
【図16】排気ガイドの他の取り付け姿勢を示す説明図である。
【図17】穀粒排出用オーガ付近を示す右要部側面図である。
【図18】穀粒排出用オーガ付近を示す要部後面図である。
【図19】穀粒排出用オーガ付近を示す要部平面図である。
【図20】ハンプの取り付け構造を示す斜視図及びハンプの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
〔コンバインの全体構成〕
図1、図2及び図3に示すように、左右一対のクローラ走行装置1によって走行する走行機体2の前端に刈取部3を昇降自在に備えると共に、刈取部3で刈り取られた刈取穀稈が供給される脱穀装置4と、この脱穀装置4から送られる穀粒を貯留するグレンタンク5とを走行機体2の左右位置に並列配置し、グレンタンク5には穀粒を排出するアンローダ6を備え、走行機体2の前部でグレンタンク5の前部位置に作業者が搭乗する運転部10を備えて自脱型のコンバインが構成されている。
【0018】
このコンバインは、運転部10の運転座席の下側にエンジンEを備えており、収穫作業時にはエンジンEの駆動力で刈取部3と脱穀装置4とを駆動すると共に、クローラ走行装置1を駆動して走行機体2を走行させる。これにより、刈取部3で穀稈の株元を切断して穀稈の刈り取りを行い、刈取穀稈を脱穀装置4に搬送して脱穀処理を行い、この脱穀処理により得られた処理物から穀粒を選別してグレンタンク5に貯留する作動が行われる。
【0019】
〔運転部〕
運転部10には、作業者が搭乗するステップ11と、作業者が着座する運転座席12とが備えられると共に、運転座席12の前方位置に作業者が操作する操縦レバー13が備えられている。運転座席12の側部位置のパネル部14に主変速レバー15と、副変速レバー16とが備えられ、パネル部14の後端側部に配置された排出操作パネル14Dには排出レバー18(入り切り操作部材の一例)が備えられている。
【0020】
操縦レバー13は、非操作状態で中立姿勢を維持するように中立付勢され、左右の何れかの方向に揺動操作することで走行機体2の操向・旋回を実現し、前後の何れかの方向に操作することで刈取部3の昇降を行う。主変速レバー15は、走行速度の無段階の変速を行うものであり、走行機体2を停車させる中立位置と、この中立位置から前方側に形成される前進変速域と、中立位置から後方側に形成される後進変速域とに操作自在に構成されている。副変速レバー16は、複数段の変速操作を行う。排出レバー18は、エンジンEからアンローダ6に伝えられる駆動力の入り切りを行う排出クラッチCを操作することで、グレンタンク5に貯留されている穀粒の排出を行う。
【0021】
運転座席12はエンジンEを覆うエンジンカバーの上面に備えられており、運転座席12の後方位置にはエンジンEに供給する吸気の浄化を図るエアークリーナ23が備えられている。このエアークリーナ23には支柱状の吸気パイプを介してプレクリーナ24の吸気が供給される。尚、エアークリーナ23から送られる吸気はエンジンカバーの内部の吸気経路を介してエンジンEに供給される。
【0022】
図3及び図5に示すように、排出レバー18の基端部は運転座席12の左側部、後方側に配置され、この排出レバー18の操作領域が、側面視においてエアークリーナ23の上方に重なり合う位置に形成されている。また、図4に示すように、排出レバー18が、垂直姿勢にある場合に、この排出レバー18の上端部位がシートバック12Aの上端よりも高い位置にあるように寸法関係が設定されている。
【0023】
〔アンローダ〕
図1に示すように、グレンタンク5の底部には、グレンタンク5に貯留されている穀粒を送り出す排出コンベア31を構成する底スクリュー31Sが配置されている。アンローダ6は、底スクリュー31Sから送られる穀粒を上方に案内するエルボ状の搬出ケース32と、この搬出ケース32から送られる穀粒を上方に搬送する縦搬送コンベア33と、この縦搬送コンベア33から送られる穀粒を水平方向に搬送する中間コンベア34と、この中間コンベア34から送られる穀粒を横方向に送る横搬送コンベア35とを備えている。また、横搬送コンベア35は、中間部分で折り曲げ自在に構成され、排出側の端部に排出部36が形成されている。
【0024】
縦搬送コンベア33は、筒状のケースの内部に縦搬送スクリュー(不図示)を収めた構成を有し、中間コンベア34は、筒状のケースの内部に中間スクリュー(不図示)を収めた構成を有している。横搬送コンベア35は、筒状のケースの内部に横搬送スクリュー35Sを収めた構成を有する。横搬送コンベア35の筒状のケースの中間部分はヒンジを介して折りたたみ自在に連結しており、この折りたたみを許容するように横搬送スクリュー35Sの中間には分離状態と連結状態とに切換自在な嵌合連結部(不図示)を備えている。
【0025】
底スクリュー31Sの搬出側の端部が搬出ケース32の内部に配置され、縦搬送コンベア33の縦搬送スクリュー(不図示)の下端が搬出ケース32の内部に配置されている。このような配置から、搬出ケース32の内部には底スクリュー31Sと縦搬送コンベア33の前記縦搬送スクリューとを連動させる第1ベベルギヤ機構(不図示)が備えられている。
【0026】
縦搬送コンベア33の縦搬送スクリューの上端が中間コンベア34のケースの内部に配置され、横搬送コンベア35の基端側(搬出方向と反対側)の端部が中間コンベア34のケースの内部に配置されている。このような配置から、中間コンベア34の中間スクリューのうち縦搬送コンベア側と、縦搬送コンベア33の縦搬送スクリューの上端とを連動させる第2ベベルギヤ機構(不図示)が中間コンベア34のケースの内部に備えられている。また、この中間コンベア34の中間スクリューのうち横搬送コンベア側と、横搬送スクリュー35Sの基端側とを連動させる第3ベベルギヤ機構(不図示)が中間コンベア34の内部に備えられている。
【0027】
図1に示すように、横搬送コンベア35の基端側と中間コンベア34との間に昇降シリンダ38を備えている。図5に示すように排出レバー18の排出操作パネル14Dには、旋回モータ37と、昇降シリンダ38とを制御する複数の制御ボタン21を備えている。図面には示していないが、複数の制御ボタン21の何れかの操作に対応して昇降シリンダ38と旋回モータ37との何れかを作動させる制御装置を備えている。
【0028】
このような構成から、作業者が複数の制御ボタン21のうち旋回に対応するものを操作することで旋回モータ37が作動し、これにより縦軸芯Yを中心にしてアンローダ6を旋回させて排出部36からの穀粒の搬出方向の設定を行える。また、制御ボタン21のうち昇降に対応するものを操作することで昇降シリンダ38が伸縮作動し、水平軸芯を中心にして横搬送コンベア35の先端側を昇降させて排出部36からの穀粒の搬出高さを設定できる。
【0029】
〔排出クラッチ〕
図4〜図8に示すように、アンローダ6の駆動系は、エンジンEの駆動力を底スクリュー31Sに伝えるベルト式の伝動機構と、駆動力の断続を行う排出クラッチCとを備えている。つまり、エンジンEの出力軸に備えた出力プーリ(不図示)と、ギヤボックス42の入力軸に備えた中間入力プーリ43とに亘って無端ベルトで成る中間ベルト44が巻回されている。ギヤボックス42は入力軸に伝えられる回転動力を、入力軸と直交する姿勢の出力軸に伝えるように一対のベベルギヤを内蔵しており、このギヤボックス42の出力軸に備えた中間出力プーリ45と、底スクリュー31Sの外端の入力軸に備えた入力プーリ46とに亘って無端ベルトで成る伝動ベルト47が巻回され、この伝動ベルト47に張力を作用させるテンションローラ48を備えている。
【0030】
グレンタンク5の前方位置で運転座席12の側部後方位置に、支柱状の支持フレーム51が機体フレーム2Fに立設され、この支持フレーム51に対して前後向き姿勢の軸体49Aを介して揺動自在にテンションアーム49が支持され、このテンションアーム49の揺動端に前述したテンションローラ48が回転自在に支持されている。
【0031】
排出クラッチCは、前述した中間出力プーリ45と入力プーリ46と伝動ベルト47とテンションローラ48とテンションアーム49とで構成され、グレンタンク5の下部の前方位置に配置されている。この排出クラッチCは、テンションアーム49の揺動姿勢の切換によりテンションローラ48が伝動ベルト47に作用する張力を制御して動力を伝える入り状態と、動力を遮断する切り状態とに切換自在に構成されている。
【0032】
〔クラッチ操作機構〕
図4〜図8に示すように、運転座席12の排出レバー18によって排出クラッチCを制御するために、この排出レバー18とテンションアーム49との間にクラッチ操作機構Fが備えられている。
クラッチ操作機構Fは、排出レバー18の揺動操作に基づいて揺動操作される操作アーム20、操作アーム20の先端付近に上端が係止されたコイルバネ54(引っ張りコイルバネの一例)、及び、コイルバネ54の下端とテンションアーム49との間に介装された長尺の操作ロッド53を有する。操作ロッド53とコイルバネ54とは、排出レバー18とテンションローラ48との間で互いに直列状に配置されていることになる。
【0033】
操作ロッド53は、テンションアーム49に連結された下方の第1ロッド53a(最も長い操作ロッドの一例)と、コイルバネ54に連結された上方の第2ロッド53bとを有し、第1ロッド53aと第2ロッド53bとはターンバックル55(長さ調節手段の一例)によって連結されている。
下方の第1ロッド53aは上方の第2ロッド53bよりも長尺とされており、特にここでは、第1ロッド53aは第2ロッド53bの10倍前後の長さを有する。
その結果、排出レバー18の「入」姿勢(図4において実線で示す)と「切」姿勢(図4において二点鎖線で示す)とのいずれにおいても、コイルバネ54は運転座席12のシートバック12Aの上下の中間付近の高さに位置し、ターンバックル55は運転座席12の座部12Bの上面付近の高さに位置することになる。
【0034】
より具体的には、排出レバー18及び操作アーム20は、パネル部14の後方に配置された排出操作パネル14Dに支持されている。排出操作パネル14Dは支持フレーム51の上端付近に固定された函状を呈している。この排出操作パネル14Dの後方側壁に支持された管状支持体19Tの内部に操作ロッド19が前後向きの軸心X1回りで回動自在に挿通支持されており、操作アーム20の基端部は操作ロッド19の後方側の端部に溶接などで固定され、排出レバー18の基端部は操作ロッド19の前方側の端部に外嵌固定されている。排出レバー18と操作アーム20は操作ロッド19から平行に近い方向に延出されている。
【0035】
図4及び図6に示すように、排出レバー18は軸心X1回りで揺動操作可能に構成されているが、その揺動範囲は、排出操作パネル14Dの排出レバー18の上端が軸心X1よりも運転座席12寄りになる「入」姿勢から、排出レバー18の上端が軸心X1よりも運転座席12から車両側方に寄りになる「切」姿勢までの範囲に制限されている。
このような排出レバー18の揺動限界は、図5に示すように、排出操作パネル14Dを構成する天板14Tに排出レバー18を挿通させるべく形成した長孔14Hの両端部によって実現することが可能であるが、排出操作パネル14Dの内部に専用のストッパ部材を設けることで実現してもよい。
長孔14Hの両端付近の天板14Tの表面には排出レバー18の「入」姿勢と「切」姿勢との各位置を示す文字(不図示)がシールまたは印刷などで付されている。
【0036】
クラッチ操作機構Fは、図4及び図6に示すように、排出レバー18が「切」位置にある場合にはテンションローラ48から伝動ベルト47に作用する張力を低下させて排出クラッチCを切り状態に設定する。排出レバー18を「入」位置に操作した場合には、テンションアーム49の揺動端を持ち上げ方向に操作してテンションローラ48から伝動ベルト47に作用する張力を増大させることで、排出クラッチCを入り状態に設定する。
【0037】
特に、排出レバー18を「切」位置から「入」位置に操作した場合には、伝動ベルト47の張力とコイルバネ54の付勢力とが特に有効に作用することになるが、この「入」位置に操作された場合には、排出レバー18が一方(車両内側寄り)の揺動限界に達すると共に、この揺動限界に達する以前に操作アーム20とコイルバネ54との連結点が、操作アーム20が概して鉛直姿勢となりコイルバネ54が最長となるデッドポイントを超えて運転座席12寄りに達することにより、排出レバー18は「入」位置に安定的に保持される。
【0038】
このように排出クラッチCが入り状態に達することでエンジンEの駆動力が伝動ベルト47によって底スクリュー31Sに伝えられ、更に、この底スクリュー31Sからアンローダ6の前記縦搬送スクリューと、前記中間スクリューと、横搬送スクリュー35Sとに伝えられ、グレンタンク5に貯留されている穀粒の搬出が実現する。
【0039】
他方、排出レバー18を「入」位置から「切」位置に操作した場合には、排出レバー18が他方(車両外側寄り)の揺動限界に達すると共に、この揺動限界に達する以前に操作アーム20とコイルバネ54との連結点が、操作アーム20が概して鉛直姿勢となりコイルバネ54が最長となるデッドポイントを超えて運転座席12と反対側に達することにより、排出レバー18は「切」位置に安定的に保持される。
【0040】
このようなクラッチ操作機構Fの構成では、排出レバー18を「入」位置に操作した状態でのコイルバネ54の長さを見ることで、伝動ベルト47の張力が十分か否かを推定することが可能となる。したがって、排出レバー18の「入」位置におけるコイルバネ54の長さから、伝動ベルト47の伸びなどに起因して伝動ベルトの張力が不十分と判定される場合には、コイルバネ54の長さが正常な長さとなるようにターンバックル55の操作で操作ロッド53の実質的な長さを短くすることで、伝動ベルト47の張力を適切なレベルまで高めることができる。
【0041】
本発明によるコンバインでは、前述したように、コイルバネ54が排出レバー18の近傍、具体的には運転座席12の背後で運転座席12のシートバック12Aの上下の中間付近の高さという、運転座席12の作業者が振り向けば簡単に観察できる位置に存在する。
したがって、作業者が運転座席12を離れることなく、排出レバー18の「入」位置におけるコイルバネ54の長さから、伝動ベルトの張力が十分か否かを推定でき、張力が十分と推定できる場合は、エンジンEを駆動後に排出レバー18を再度「入」姿勢に切り替えることで、アンローダ6による穀粒の排出を行えばよい。また、張力が不十分と推定できる場合は、ターンバックル55の操作により、コイルバネ54の長さが適切となるように操作ロッド53の実質的な長さを調整すればよい。
【0042】
また、本実施形態では、ターンバックル55もコイルバネ54の直下で運転座席12の座部12Bの上面付近の高さに位置するので、作業者は運転部10のステップ11を離れることなくターンバックル55を回転させて張力を調整する作業を実施でき、張力の調整後には、引き続き、排出レバー18を「入」姿勢に切り替えることで、アンローダ6による穀粒の排出を行うことができる。
【0043】
〔脱穀装置とグレンタンク〕
図9に示すように、脱穀装置4を構成する主ケーシング4Sには扱室4Aが設けてあり、この扱室4A内では、フィードチェーン56(図2を参照)で株元側を挟持搬送される穀稈の穂先側が、エンジンEからの動力によって前後水平の軸心回りで回転駆動される扱胴57によって扱き処理される。
【0044】
扱室4Aにおいて穀稈から分離された処理物は扱室4Aの下部に沿って張設した受網(不図示)で選別され、前記受網を漏下した処理物は扱室4Aの下方に配備された選別部4Bの前半部に落下供給されるとともに、前記受網を漏下しなかった処理物は扱室4Aの終端の送塵口から搬出されて選別部4Bの前後中間部に落下供給される。
【0045】
選別部4Bに落下供給された処理物は前後に長い揺動選別ケース58で受け止められ、処理物は同揺動選別ケース58によって後方に向けて揺動搬送されながらグレンパンで比重差選別されるとともに、粗選別用のチャフシーブ、精選別用のグレンシーブ、ほぐし用の選別ラック、ストローラック等により篩い選別される。また、選別部前端部に備えた唐箕59から後方上方に向けて流動する選別風が、篩い選別されて落下する処理物に供給されて、処理物に含まれている軽いワラ屑や塵埃が後方に飛散排出されるようになっている。
【0046】
そして、穀粒は1番物として1番回収部60に、2番物は2番回収部62にそれぞれ選別回収され、ストローラックで漏下しないワラ屑が選別部後端の排塵口4Cから外部に排出される。また、1番回収部60に回収された1番物の穀粒は、第1横送りスクリューSF1によって機外にまで横送りされた後、スクリュー式の揚穀装置61によって揚送されてグレンタンク5に供給投入され、2番回収部62に回収された2番物は第2横送りスクリューSF7によって横送りされた後、スクリュー式の還元装置63によって還元用案内板63Aを介して揺動選別ケース58の前部に還元供給されて再選別処理を受ける構成になっている。
【0047】
扱室4Aの後方で選別部4Bの後部上方箇所には横断流ファンからなる排塵ファン66が横架されており、扱室4Aの終端から吹き出てきた浮塵やワラ屑、選別風によって選別部4Bの後部上方に吹き上げられた浮塵やワラ屑が排塵ファン66に吸引されて強制的に機体後方に排出されるようになっている。なお、この排塵ファン66の上方には排ワラ搬送装置67が配備されており、扱室4Aから搬出されてきた排ワラがフィードチェーン56から排ワラ搬送装置67に受継がれて後方かつ穂先側に向けて斜め搬送され、脱穀装置4の後端上部に連結装備された排ワラカッタ装置68に供給されて細断されるようになっている。
【0048】
排ワラカッタ装置68の上部には、排ワラカッタ装置68の開口68Aを閉鎖可能な蓋体69が揺動自在に設けられている。実線で示すように蓋体69が開放されているときは、排ワラ搬送装置67の後端部まで挟持搬送されてきた排ワラは、開口68Aを介して排ワラカッタ装置68に供給され細断されて下方に落下放出される。他方、蓋体69が閉じられているときは、排ワラ搬送装置67の後端部から落下放出された排ワラは、蓋体69の傾斜した上面に沿って後方の下方に落下放出される。
【0049】
図3に示すように、グレンタンク5は、その後部に備えた縦軸心X2周りに、全体がエンジンEの後方に位置する作業位置(実線で示す)と、前部側が機体フレーム2Fの右外方に張り出してエンジンEの後方や脱穀装置4の右側壁を開放するメンテナンス位置(二点鎖線で示す)との間で揺動変位可能に構成されている。グレンタンク5の揺動変位に関わらず揚穀装置61は脱穀装置4側の一定位置に維持されており、グレンタンク5の揺動変位に応じて、揚穀装置61の上端に設けられた穀粒供給口61Mがグレンタンク5に対して接続及び離間される。
【0050】
脱穀装置4とグレンタンク5の間には、グレンタンク5を作業位置に位置保持するための機構として、グレンタンク5の高さ方向での中間に位置する第1ロック機構70Aと、グレンタンク5の下端付近に位置する第2ロック機構70Bとが設けられている。
第1ロック機構70Aは、脱穀装置4の側面上方に前方向きに支持されたロックピン71と、グレンタンク5の前方壁面に配置されたクランプ装置72とを有する。クランプ装置72は、グレンタンク5の前方壁面にボルトなどで固定された支持ブラケット73と、支持ブラケット73に対して車体前後向きの軸心X3回りで枢支された揺動クランプ板74とを有する。
【0051】
支持ブラケット73の先端にはロックピン71を受け入れる凹部が形成されており、揺動クランプ板74の先端にはフック状の係止部74Aが設けられている。揺動クランプ板74は、ロックピン71を支持ブラケット73の凹部と係止部74Aとの間で拘束したロック位置と、ロックピン71を凹部から解放する解除位置との間で揺動自在とされている。また、支持ブラケット73と揺動クランプ板74との間には、揺動クランプ板74をロック位置に向けて付勢するコイルバネ75が介装されている。
【0052】
揺動クランプ板74の係止部74Aの脱穀装置4側を向いた面には案内傾斜面が形成されている。そこで、グレンタンク5をメンテナンス位置から作業位置に揺動させていくと、揺動クランプ板74は側方から接近するロックピン71との当接によって、コイルバネ75の付勢力に抗して、解除位置に操作され、ロックピン71が凹部に入り込むと、揺動クランプ板74はコイルバネ75の付勢力によって自動的にロック位置に切り替えられ、ロックピン71の拘束が完了する。
【0053】
ここでさらに、グレンタンク5の下端付近に設けられた第2ロック機構70Bをロック状態にすれば、グレンタンク5の作業位置での位置保持が完了する。第2ロック機構70Bは、グレンタンク5の下端付近に上下に変位自在に支持されたロックピン76を有し、このロックピン76を機体フレーム2Fの上面に形成された係止孔2Hに対して係入/離脱させることで、第2ロック機構70Bのロック操作及びロック解除操作が行われる。
【0054】
尚、図10〜図12に示すように、第1ロック機構70Aのロックピン71は、脱穀装置4の側面に支持された多目的ブラケット80(単一のアセンブリの一例)の一部として設けられている。多目的ブラケット80は、脱穀装置4の側面にボルトなどで固定された板状の基端部80Aと、基端部80Aの後端付近からグレンタンク5に向かって延出された縦フランジ部80Bとを一体的に備え、縦フランジ部80Bの先端には板状の補助ブラケット81がボルトなどで固定されており、ロックピン71はこの補助ブラケット81の先端付近から立設されている。
【0055】
基端部80Aの下端には、唐箕59の風量を開口部の面積によって調整するための唐箕風量調整レバー59Lが横向きの軸心X4回りで揺動自在に枢支されており、基端部80Aの上端からは唐箕風量調整レバー59Lのための板状の風量ガイド82が概して水平に延出されている。風量ガイド82には、風量調整レバー59Lを挿通させると同時に、風量調整レバー59Lを複数の設定角度の一つに選択的に位置決めするための異型溝状のガイド孔82Hが形成されている。唐箕風量調整レバー59Lの下端付近からは操作ロッド59Aが唐箕59の開口部に向かって延出されている。
【0056】
このように、多目的ブラケット80は、グレンタンク5を作業位置に位置保持するためのロックピン71、及び、唐箕59の風量を調整するための風量調整レバー59Lと風量ガイド82を一体的に備えた一つのアセンブリとされているため、コンバインの組み立て作業の効率化が図れる。
【0057】
また、グレンタンク5の前面には、ロック機構70によって作業位置に保持されているグレンタンク5をメンテナンス位置に切り替えるためのロック解除装置83が設けられている。ロック解除装置83は、グレンタンク5の前面下端部に車両前後向きの軸心回りで揺動可能に支持されたロック解除アーム84と、ロック解除アーム84の一部と揺動クランプ板74の一部とを連結するロック解除ロッド85とを有する。
【0058】
グレンタンク5をメンテナンス位置に切り替える際には、先ず、伝動ベルト47を入力プーリ46などから取り外しておき、次に、グレンタンク5と運転部10との間の隙間からロック解除アーム84を車両の側方に倒す。すると、ロック解除ロッド85を介して揺動クランプ板74が解除位置に操作されて、ロックピン71がクランプ装置72から解放されるので、第1ロック機構70Aがロック解除状態となる。そこで、引き続きグレンタンク5の下方に位置するロックピン76を係止孔2Hから離脱した状態に切り替えることで第2ロック機構70Bもロック解除状態とすれば、グレンタンク5をメンテナンス位置に向けて揺動操作することが可能になる。
【0059】
尚、揚穀装置61の供給筒61Tは、脱穀装置4の主ケーシング4Sからグレンタンク5側に離間した位置を上下に延設されているので、グレンタンク5の一側面には、作業位置において揚穀装置61の供給筒61Tの大半を収納するための上下に延びた溝状の凹部5Vが設けられている。
【0060】
〔排気構造の構成〕
図9に示すように、排気管XPは、エンジンマフラー86の排気吐出管86Aから、機体の左右方向において脱穀装置4とグレンタンク5との間を斜め上向きに通され、脱穀装置4の天井部を超える高さまで直線状に延設された第1管部87と、第1管部87の後端から第1管部87よりも緩い勾配で斜め上向きにやはり直線状に延設された第2管部89とを有する。
【0061】
また、第1管部87と第2管部89とは側面視で逆V字状となるように配備され、図1に示すように、平面視では、前後方向に略一直線状となるように配備されている。より詳細には、平面視において、第2管部89は、前後方向に延設された第1管部87の後端への接続箇所からやや機体後方右方へ傾斜した状態で配備されている。
第2管部89の全体が、揚穀装置61の供給筒61Tよりも後方で、且つ、脱穀装置4の天井部の高さよりも上方に配置されるように、第1管部87は比較的急な勾配で斜め上向きに延設され、還元装置63の還元用案内板63Aを上方に十分に迂回した位置を通っている。
【0062】
第2管部89は全長に亘ってグレンタンク5の天井部5Aの高さよりも下方に配置されている。また、第2管部89の後端に位置する排気出口89Eは、排ワラカッタ装置68の上方に配置され、平面視におけるコンバインの外形から突出しないように、排ワラカッタ装置68の後端よりも前側に配置されている。
また、図3に示すように、横搬送コンベア35をオーガ受け台35Hに支持させたオーガ格納状態では、平面視において、第2管部89の大半が横搬送コンベア35と重なり合った状態となる。
【0063】
第2管部89の後端を示す図13や図14から理解されるように、第2管部89は、比較的小径の第2内管89Aと、第2内管89Aの長さの大半を外周から覆う第2外管89Bとを有する。第2外管89Bは第2内管89Aに対して全周に亘ってほぼ均等に離間配置されている。特に図示されていないが、第1管部87も同様の二重管状の構成を備えている。
【0064】
エンジンマフラー86の排気吐出管86Aと第1管部87とは略直線状に連設されており、第2管部89の軸心も第1管部87の軸心に対して45°以下の比較的小さな角度で交差しているので、エンジンマフラー86からの排気は排気管XP内をスムーズに流れ、排気管XPに局所的な温度上昇を生じさせることがない
【0065】
第1管部87の後端と第2管部89の間には、排気管XP内に発生する負圧に基づくエジェクタ効果で外気を第2内管89Aの内部に導入するための環状の間隙(第2導入部)が形成されている。同様に、排気吐出管86Aの後端と第1管部87の間にも、排気管XP内に発生する負圧に基づくエジェクタ効果で外気を第1管部87の内管の内部に導入するための環状の間隙(第1導入部)が形成されている。
【0066】
上記のように第1導入部および第2導入部から排気管XPに外気が吸入され、排気温度を低下させることができる。特に、前記第2導入部は、脱穀装置4とグレンタンク5とで挟まれた閉鎖的な空間にではなく、脱穀装置4の天井部よりも上方の空間に位置するので、比較的低温の外気が第2管部89の第2内管89Aに導入される。
【0067】
第1管部87と第2管部89とには保護カバー87C,89Cが各々設けられている。保護カバー87C,89Cは、第1管部87と第2管部89が周囲の空気によって放冷されるのを妨げないように、多数の丸孔がパンチングメタル状に貫通形成され、第1外管87B及び第2外管89Bの外周面に溶接されたブラケットにボルトナットなどで取り付けられている。
【0068】
各保護カバー87C,89Cは、断面が円弧状で全体として樋状を呈し、第1管部87と第2管部89の外周面のうちの約半分、すなわちグレンタンク5と面する領域を覆うように取り付けられている。したがって、オペレータがグレンタンク5をメンテナンス位置に揺動操作すると、脱穀装置4の右側壁と共に排気管XPが開放されるが、オペレータからは排気管XPがほぼ全長に亘って保護カバー87C,89Cで覆われた状態となる。但し、排気管XPは、上下方向に延設された揚穀装置61と脱穀装置4の右側壁との間隙を通っており、この揚穀装置61の背後に相当する箇所では保護カバー87Cが省略されている。
【0069】
保護カバー87C,89Cは、第1管部87の外管及び第2管部89の第2外管89Bの外周面とから離間配置されている。尚、保護カバー87C,89Cはパンチングメタル状に限らず、例えばメッシュ状としてもよい。
排気管XPは、グレンタンク5と脱穀装置4の双方の側面から概して等距離となるように支持されている。グレンタンク5を、縦軸心X2周りに作業位置とメンテナンス位置との間で自由に揺動操作できる構成とするため、排気管XPはグレンタンク5ではなく脱穀装置4の側面に支持されている。より具体的には、排気管XPは脱穀装置4の側面に固定された4つのステーを介して支持されている。
【0070】
〔排気制御カバー〕
図13〜図16に示すように、第2管部89の後端に位置する排気出口89Eの付近には、排気管XPから排出される排気の向きを制御する排気制御カバー90が設けられている。排気制御カバー90は概して円筒を軸心に沿った平面によって2つに切り分けた片側からなる、断面が半円形の形状を呈し、第2管部89の後端付近に対して揺動操作可能に取り付けられる基端部90Aと、基端部90Aの後端から後方に延出された先端部90Bとを有する。基端部90Aは部分円筒状を呈するが、先端部90Bは後方の部位ほど半径が次第に小さくなる部分円錐台状を呈している。
【0071】
排気制御カバー90の基端部90Aの周方向に関する両端付近には一対の貫通孔HR,HLが形成されている。貫通孔HR,HLは、排気制御カバー90を上方が開放された姿勢で配置した場合に、後方から見て右側に位置する第1貫通孔HRと、後方から見て左側に位置する第2貫通孔HLとからなる。
【0072】
他方、第2管部89の後端には排気制御カバー90を取り付けるための2組の取り付けブラケットが溶接などで設けられている。取り付けブラケットは、第2管部89を後方から見たときに水平に対して反時計方向に45°の角度で傾斜した方向で対峙する第1ブラケット対91A,91Bと、上下方向で対峙する第2ブラケット対92A,92Bとからなる。
【0073】
第1ブラケット対91A,91Bは、第2管部89の第2内管89A及び第2外管89Bの後端付近に溶接などで固定された基端部Mbと基端部の径方向外側の端部から後方向きに延出された係止部Meとからなる。第2管部89を後方から見て右上寄りに位置する第1ブラケット91Aと、下方に位置する第2ブラケット92Aの係止部Meには、径方向内側に向かって突出した係止ピン93が取り付けられている。他方、第2管部89を後方から見て左下寄りに位置する第1ブラケット91Bと、上方に位置する第2ブラケット92Bの係止部Meには雌ネジの軸心が径方向に沿って延びたナット部材94が取り付けられている。
【0074】
図15は、排気制御カバー90を第1ブラケット対91A,91Bに取り付けた状態を示しているが、先ず、排気制御カバー90の第1貫通孔HRを第1ブラケット91Aの係止ピン93に径方向内側から外嵌状に係止させ、次に、排気制御カバー90の第2貫通孔HL付近を第1ブラケット91Bの径方向外側に重ね、径方向外側から挿通したボルト95をナット部材94に螺合することで、排気制御カバー90は第2管部89の開口部のうち右下寄りの半円領域をカバーした状態となっている。ボルト95を少し緩めた状態では、排気制御カバー90を、第1ブラケット91Aの係止ピン93と第1ブラケット91Bのナット部材94との各中心を結ぶ軸心回りで揺動操作可能になる。そこで、例えば先端部90Bを第2管部89の径方向内側に変位させた状態で再びボルト95を締め付けると、排気が左上向きに案内されることになり、排気制御カバー90の揺動角度によって排気方向を適宜細かく制御できる。
【0075】
図16(a)は、図15の状態とは逆に、先ず、排気制御カバー90の第2貫通孔HLを第1ブラケット91Aの係止ピン93に径方向内側から外嵌状に係止させ、次に、排気制御カバー90の第1貫通孔HR付近を第1ブラケット91Bの径方向外側に重ね、径方向外側から挿通したボルト95をナット部材94に螺合することで、排気制御カバー90は第2管部89の開口部のうち左上寄りの半円領域をカバーした状態となっている。
【0076】
図16(b)は、排気制御カバー90の第2貫通孔HLを下方の第2ブラケット92Aの係止ピン93に径方向内側から外嵌状に係止させ、次に、排気制御カバー90の第1貫通孔HR付近を上方の第2ブラケット92Bの径方向外側に重ね、径方向外側から挿通したボルト95をナット部材94に螺合することで、排気制御カバー90は第2管部89の開口部のうち右側の半円領域をカバーした状態となっている。
【0077】
同様に、図16(c)は、排気制御カバー90の第1貫通孔HRを下方の第2ブラケット92Aの係止ピン93に径方向内側から外嵌状に係止させ、次に、排気制御カバー90の第2貫通孔HL付近を上方の第2ブラケット92Bの径方向外側に重ね、径方向外側から挿通したボルト95をナット部材94に螺合することで、排気制御カバー90は第2管部89の開口部のうち左側の半円領域をカバーした状態となっている。
【0078】
図14〜図16では、第1ブラケット対91A,91Bが第2管部89を後方から見たときに水平に対して反時計方向に45°の角度で傾斜した方向で対峙し、第2ブラケット対92A,92Bが上下方向で対峙しているが、第1ブラケット対91A,91B及び第2ブラケット対92A,92Bの各対峙角度はこれに限らず様々な変形が可能である。例えば、第1ブラケット対91A,91Bが後方から見たときに水平方向で対峙し、第2ブラケット対92A,92Bが上下方向で対峙した形態で実施してもよい。
【0079】
〔アンローダの下部覆い構造〕
図17〜図20に示すように、グレンタンク5の後方には金属製のサイドカバー5Bが設けられており、アンローダ6の付近を右側方と後方から覆っているが、アンローダ6の最下端に位置するエルボ状の搬出ケース32の付近は、サイドカバー5Bの下端に取り付けたゴム製のハンプ96によって右側方と後方から覆われている。
【0080】
図20(b)に示すように、取り付け前の状態のハンプ96は概して矩形の板状を呈しており、ハンプ96の上縁部には4つの主取り付け孔96Hが、前方の下端付近には1つの補助長孔96Lが形成されている。
また、機体フレーム2Fの一部に固定されたステー97からは棒状の取り付けピン5Pが前方向きに延出され、サイドカバー5Bの下端付近にもハンプ96の4つの主取り付け孔に対応した4つの取り付け孔が形成されている。
【0081】
図20(a)から理解されるように、ハンプ96を取り付ける際は、先ず、ハンプ96の補助長孔96Lに取り付けピン5Pを挿通し、引き続き、ハンプ96の後端部などを後方に引っ張りながら、ハンプ96の上辺部位をサイドカバー5Bの下端内側に配置し、ハンプ96の4つの主取り付け孔96Hとサイドカバー5B側の4つの取り付け孔とに挿通したボルト98とナットなどで固定する。
【0082】
尚、ハンプ96の上縁部は、概して下縁部と平行に延びた前方寄りの主上縁部96Aと、主上縁部96Aから後に行くに従って次第に下縁部に近付くように下向きに傾斜した補助上縁部96Bとを備えている。取り付け前の状態において、最も後方の主取り付け孔96Hは、傾斜した補助上縁部96Bの後端の上端付近に配置されている。他方、サイドカバー5Bの下端付近に形成されている4つの取り付け孔は全てが概して水平に並べられている。そこで、ハンプ96の最も後方の主取り付け孔96Hをサイドカバー5Bの下端付近の対応した取り付け孔に合わせてボルト98とナットなどで固定すると、ハンプ96は、平面視における右後方端部付近の角部においてハンプ96の下端が内側(アンローダ6寄り)に引き寄せられた形態で装着される。
【0083】
〔別実施形態〕
〈1〉伝動ベルト47の上側辺をテンションローラ48が下方に押し入込むことで伝動ベルト47の張力を増大させる形態で実施してもよい。
【0084】
〈2〉本発明は、エンジンEから排出コンベア31の底スクリュー31Sへの動力の伝達を、底スクリュー31Sと一体回転する入力プーリ46に巻回された伝動ベルト47によってではなく、エンジンEの動力で回転駆動される横向きの最終出力軸と底スクリュー31Sとを1組のベベルギヤによって連結する形態のコンバインにも適用できる。
この形態では、前記横向きの最終出力軸の途中に、互いに横向きに係入離脱可能なスプライン構造を設けておくことで、伝動ベルト47を入力プーリ46から外すなどの操作を要することなく、グレンタンク5をメンテナンス位置に切り替えることができる。
この形態のコンバインでは、エンジンEの出力軸と一体回転する出力プーリ(駆動プーリの一例)と前記最終出力軸と一体回転する入力プーリとを連結する伝動ベルトに、本発明に係る排出クラッチを設ければよい。
【0085】
〈3〉操作ロッド53を上方の短い操作ロッド53と下方の長い操作ロッド53とに分割し、操作アーム20の先端に上方の短い操作ロッド53を係止させ、この短い操作ロッド53と下方の最も長い操作ロッド53との間にコイルバネ54とターンバックル55を直列に介装した構成で実施することも可能である。この場合のコイルバネ54とターンバックル55の上下の順序は特に問わない。
【産業上の利用可能性】
【0086】
走行機体の前部位置に運転座席とエンジンとが配置され、これらの後方に穀粒を貯留するグレンタンクが配置され、このグレンタンクから穀粒を排出するアンローダと、前記エンジンから前記アンローダに伝えられる駆動力の入り切りを行う排出クラッチとが備えられ、排出クラッチは、エンジンの出力軸によって回転する駆動プーリと前記アンローダへの入力プーリとの間に巻回された伝動ベルトと、前記伝動ベルトに張力を加えるテンションローラとを備えるコンバインの技術として利用でき、普通型のコンバインにも利用できる。
【符号の説明】
【0087】
2 走行機体
5 グレンタンク
6 アンローダ
12 運転座席
18 排出レバー(入り切り操作部材)
20 操作アーム(入り切り操作部材)
45 中間出力プーリ(駆動プーリ)
46 入力プーリ
47 伝動ベルト
48 テンションローラ
53 操作ロッド
53a 第1ロッド(最も長い操作ロッド)
53b 第2ロッド
54 コイルバネ(引っ張りコイルバネ)
55 ターンバックル(長さ調節手段)
C 排出クラッチ
E エンジン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体の前部位置に運転座席とエンジンとが配置され、これらの後方に穀粒を貯留するグレンタンクが配置され、このグレンタンクから穀粒を排出するアンローダと、前記エンジンから前記アンローダに伝えられる駆動力の入り切りを行う排出クラッチとが備えられ、
前記排出クラッチは、前記エンジンによって回転する駆動プーリと前記アンローダへの入力プーリとの間に巻回された伝動ベルトと、前記伝動ベルトに張力を加えるテンションローラとを備えるコンバインであって、
前記運転座席の近傍に配置された入り切り操作部材と前記テンションローラとの間に、少なくとも1本の操作ロッドと引っ張りコイルバネとが直列状に介装され、且つ、前記引っ張りコイルバネが最も長い前記操作ロッドよりも上方に配置されているコンバイン。
【請求項2】
前記入り切り操作部材が、前記運転座席に配置された排出レバーによって揺動操作される操作アームを備え、前記引っ張りコイルバネが前記操作アームの作用部と前記操作ロッドの上端との間に係止されている請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記入り切り操作部材と前記テンションローラとの間に、さらに、前記操作ロッドの長さを変更する長さ調節手段が介装されており、前記長さ調節手段及び前記引っ張りコイルバネが前記最も長い操作ロッドよりも上方に配置されている請求項1または2に記載のコンバイン。
【請求項1】
走行機体の前部位置に運転座席とエンジンとが配置され、これらの後方に穀粒を貯留するグレンタンクが配置され、このグレンタンクから穀粒を排出するアンローダと、前記エンジンから前記アンローダに伝えられる駆動力の入り切りを行う排出クラッチとが備えられ、
前記排出クラッチは、前記エンジンによって回転する駆動プーリと前記アンローダへの入力プーリとの間に巻回された伝動ベルトと、前記伝動ベルトに張力を加えるテンションローラとを備えるコンバインであって、
前記運転座席の近傍に配置された入り切り操作部材と前記テンションローラとの間に、少なくとも1本の操作ロッドと引っ張りコイルバネとが直列状に介装され、且つ、前記引っ張りコイルバネが最も長い前記操作ロッドよりも上方に配置されているコンバイン。
【請求項2】
前記入り切り操作部材が、前記運転座席に配置された排出レバーによって揺動操作される操作アームを備え、前記引っ張りコイルバネが前記操作アームの作用部と前記操作ロッドの上端との間に係止されている請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記入り切り操作部材と前記テンションローラとの間に、さらに、前記操作ロッドの長さを変更する長さ調節手段が介装されており、前記長さ調節手段及び前記引っ張りコイルバネが前記最も長い操作ロッドよりも上方に配置されている請求項1または2に記載のコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−228229(P2012−228229A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100024(P2011−100024)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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