コンバイン
【課題】排気浄化装置であるDPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)は、温度低下すると、DPFの再生を適正に行えないために、排気抵抗が増大し、エンジン出力が低下するという課題がある。
【解決手段】グレンタンク5の前方にはエンジンルーム18を形成し、走行装置2と脱穀装置3と刈取部4とを駆動するエンジンルーム18のエンジン11に接続した排気管14の途中に排気ガス中の粒子状物質を捕集するDPF16を設け、該DPF16は、前記エンジン11の後方であって、前記グレンタンク5と前記脱穀装置3との間の空間17内に、DPF16の内部における排気ガスの流れ方向を機体の前後方向に沿わせて配置し、該DPF16と前記エンジン11とを一体的に包囲したコンバイン。
【解決手段】グレンタンク5の前方にはエンジンルーム18を形成し、走行装置2と脱穀装置3と刈取部4とを駆動するエンジンルーム18のエンジン11に接続した排気管14の途中に排気ガス中の粒子状物質を捕集するDPF16を設け、該DPF16は、前記エンジン11の後方であって、前記グレンタンク5と前記脱穀装置3との間の空間17内に、DPF16の内部における排気ガスの流れ方向を機体の前後方向に沿わせて配置し、該DPF16と前記エンジン11とを一体的に包囲したコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、機体フレームの上方の左側に脱穀装置を、右側にグレンタンクをそれぞれ設け、グレンタンクの前側にエンジンを設け、エンジンの排気ガス中の粒子状物質を除去するDPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)を、グレンタンクの前側に設け、DPFはエンジンルームからグレンタンク内にDPFの熱風を案内するケーシング内に設けた構成は、公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−51216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例のDPFは、ケーシング内に設置されているが、ケーシング内にはグレンタンクへ向けて常時送風されているので、この送風によりDPFが冷やされ、DPFの再生を適正に行えないために、排気抵抗が増大し、エンジン出力が低下するという課題がある。
本願は、コンバインの特性に鑑み、排気浄化装置の設置箇所を工夫し、DPF内における粒子状物質の詰まりを抑制して、排気ガスの浄化効率を向上させたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、下方に走行装置2を設けた機体フレーム1の上方の一側に脱穀装置3を設け、他側にはグレンタンク5を設け、機体フレーム1の前方に刈取部4を設け、前記グレンタンク5の前方にはエンジン11を内部に有するエンジンルーム18を形成し、走行装置2と脱穀装置3と刈取部4とを駆動するエンジン11に接続した排気管14の途中に排気ガス中の粒子状物質を捕集するDPF16を設け、該DPF16は、前記エンジン11の後方であって、前記グレンタンク5と前記脱穀装置3との間の空間17内に、DPF16の内部における排気ガスの流れ方向を機体の前後方向に沿わせて配置し、該DPF16と前記エンジン11とを一体的に包囲したことを特徴とするコンバインとしたものであり、エンジン11を駆動して刈取作業を行い、エンジン11の駆動中に排出される排気ガス中の粒子状物質はDPF16により濾過除去される。
また、DPF16は、グレンタンク5と脱穀装置3との間の、エンジン11のエンジンルーム18と連通するが、風の吹き抜けない空間17内に配置しているので、DPF16の周辺はエンジン11およびDPF16の放熱により高温に保持される。
請求項2の発明は、前記DPF16を、DPF16の下側を覆う下側ケーシング35と、前記DPF16の上側および脱穀装置3側を覆う上側ケーシング36と、DPF16のグレンタンク5側を覆う内側タンク側板20とにより囲う構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、グレンタンク5を外側オープンさせて、DPF16のメンテナンスを行う。
請求項3の発明は、前記機体フレーム1側に固定した左右の縦フレーム46と、縦フレーム46に固定した左右の前後フレーム47を有する取付フレーム45を、前記グレンタンク5と脱穀装置3との間に配置し、該取付フレーム45に前記DPF16を取付け、前記前後フレーム47は前記エンジン11の後側に配置したエンジンフレーム48に連結したことを特徴とするコンバインとしたものであり、グレンタンク5の内側に設けた左右の縦フレーム46に、左右の前後フレーム47を夫々固定して取付フレーム45を組み付け、この取付フレーム45をエンジン11を包囲するエンジンフレーム48に連結固定し、この取付フレーム45にDPF16を取付ける。
請求項4の発明は、前記左右の縦フレーム46は、脱穀装置3側の縦フレーム46を高く、グレンタンク5側の縦フレーム46を低く形成し、該左右の縦フレーム46の上部間を連結する連結フレーム50は、グレンタンク5側に至るに従い低く傾斜させたことを特徴とするコンバインとしたものであり、一対の縦フレーム46うち、脱穀装置3側の縦フレーム46を高く、グレンタンク5側の縦フレーム46を低く形成しているので、グレンタンク5を外側オープンさせて、左右の縦フレーム46の間にDPF16を露出させてメンテナンスを行う。
請求項5の発明は、エンジン11とDPF16の間の排気管14の一部を可撓性配管58としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、負荷変動等により発生したエンジン11の振動を可撓性配管が吸収する。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明では、DPF16をエンジン11の近傍に配置できて、エンジン11からの排気が冷えないうちにDPF16により粒子状物質を除去でき、更に、エンジン11とDPF16を一体的に包囲しているので、DPF16の周辺はエンジン11およびDPF16の放熱により高温に保持することができ、DPF16の再生効率を高めることで、粒子状物質の濾過除去効率を向上させることができる。
請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の発明の効果に加え、グレンタンク5を外側オープンさせると、グレンタンク5の内側タンク側板20が包囲していた部分のDPF16を露出させることができるので、通常では、相反するDPF16の包囲とDPF16のメンテナンスの容易化とを両立させることができる。
請求項3記載の発明では、上記請求項1または請求項2記載の発明の効果に加え、DPF16の取付作業を容易にできると共に、DPF16のメンテナンスを容易にできる。
請求項4記載の発明では、上記請求項3記載の発明の効果に加え、DPF16の支持構成を、メンテナンス考慮した簡素で合理的な構成にすることができる。
請求項5の発明では、エンジン11の振動により、エンジン11と機体フレーム1側に固定したDPF16との間を接続する排気管14が破損することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】排気浄化装置付近の背面図。
【図3】排気浄化装置とエンジン周辺の概略斜視図。
【図4】排気浄化装置の側面図。
【図5】取付フレーム部分の背面図。
【図6】固定部材の背面図。
【図7】フロー図。
【図8】エンジン付近の正面図。
【図9】エンジン付近の平面図。
【図10】同側面図。
【図11】同平面図。
【図12】同側面図。
【図13】同正面図。
【図14】同側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施例を図により説明すると、1は作業機の機体フレームであり、本願はコンバインの実施例である。
機体フレーム1の下方には走行装置2を設け、機体フレーム1の上方の一側には脱穀装置3を設ける。脱穀装置3の前方には刈取部4を設け、脱穀装置3の側部にはグレンタンク5を設ける。6は操縦部である。
操縦部6の運転座席10の下方にはエンジン11を設け(図1)、エンジン11には排気装置12の排気管14を接続し、排気管14の途中に排気浄化装置15を設ける。
排気浄化装置15は、粒子状物質を濾過除去するDPF16(Diesel particulate filter、ディーゼルパティキュレートフィルタ)により構成する。本願はDPF16の配置に関するものであり、DPF16の具体的構成の説明は省略する。
【0009】
前記DPF16は、前後方向に長い形状とし、前記エンジン11の後方であって、前記グレンタンク5と前記脱穀装置3との間に配置し、DPF16を設けた空間17と前記エンジン11を設けた空間であるエンジンルーム18とを連通させる。
即ち、前記エンジン11の後方であって、前記グレンタンク5と前記脱穀装置3との間に略密閉した空間17内に前記DPF16を設置し、空間17とエンジンルーム18とを連通させる。
そのため、空間17内は常時エンジン11の熱気により加温され、DPF16の周囲気温が低下するのを抑制し、粒子状物質によりDPF16が詰まるのを抑制し、その結果、DPF16の濾過除去効率を向上させられる。
また、前記グレンタンク5と前記脱穀装置3との間の空間を有効利用してDPF16を設けられる。
【0010】
エンジンルーム18内にDPF16を設けることはスペースに無理があり、エンジン11からDPF16を離すと、エンジン11からの排気の排気温度がDPF16に至る間に低下することになるが、本願では略密閉された空間17によりDPF16を包囲して冷えるのを抑制し、更に、空間17とエンジンルーム18とを連通させて、DPF16の周囲気温の低下を抑制する。
前記DPF16の下面側は円弧形状に形成した下側ケーシング35により包囲し、前記DPF16の上面側は上側ケーシング36により包囲し、下側ケーシング35および上側ケーシング36とグレンタンク5の内側タンク側板20とにより略密閉して前記空間17を形成する。
前記グレンタンク5の内側タンク側板20は、上側傾斜面21の下方に上側縦板部22を形成し、上側縦板部22の下方に下側傾斜面23を形成し、下側傾斜面23の下方に下側縦板部24を形成して構成し、背面視でこの内側タンク側板20と脱穀装置3の内側脱穀側板25との間に前記空間17を配置する。
【0011】
前記DPF16の上面後側部分には、前記エンジン11に接続した排気管14の一部を構成する上手側接続配管28を接続し、前記DPF16の下面前側部分には、機体後部に設けたマフラー29に接続する排気管14の一部を構成する下手側接続配管30を接続する。
前記DPF16の下面側は円弧形状に形成した下側ケーシング35により包囲し、前記DPF16の上面側は上側ケーシング36により包囲し、下側ケーシング35および上側ケーシング36とグレンタンク5の内側タンク側板20とにより略密閉して前記空間17を形成する。
37は下側ケーシング35の内側上部部分に上方に立ち上がるように設けた上側ケーシング36の内側縦板部、38は内側縦板部37の上部に設けた上側板部であり、上側板部38のグレンタンク5側端部をグレンタンク5の内側タンク側板20の上側縦板部22に接離自在に当接させる。
【0012】
即ち、前記空間17は、前記DPF16の下面側を包囲する下側ケーシング35と、DPF16の上面側を包囲する上側ケーシング36とにより脱穀側カバーCを構成し、背面視で、該脱穀側カバーCとグレンタンク5の内側タンク側板20とにより略密閉して形成する。
したがって、背面視で、前記空間17は下側ケーシング35と上側ケーシング36とグレンタンク5の内側タンク側板20により形成され、下側ケーシング35と上側ケーシング36とグレンタンク5の内側タンク側板20により形成された空間17内にDPF16および上手側接続配管28を配置している。
そのため、下側ケーシング35と上側ケーシング36とグレンタンク5の内側タンク側板20により略密閉された空間17内にDPF16を配置して冷えるのを抑制する。
【0013】
また、空間17はDPF16の下面側を下側ケーシング35により包囲しているので、機体走行中に下から吹き上がる外気を遮断し、DPF16が冷えるのを抑制する。
また、空間17はDPF16の上面側を上側ケーシング36の内側縦板部37と上側板部38により包囲しているので、DPF16の上面に藁屑が堆積するのを防止する。
また、空間17はDPF16の上面側を上側ケーシング36の内側縦板部37と上側板部38により包囲しているので、脱穀装置3の唐箕(図示省略)への吸気風あるいは送風がDPF16に吹き付けて冷却するのを防止する。
また、空間17の前側は連通口40によりエンジンルーム18と連通させているが、空間17の後側は後部縦板41により密閉して風の吹き抜けない空間17に形成している。
【0014】
前記DPF16は、前記グレンタンク5と前記脱穀装置3との間に配置した取付フレーム45に取付ける。取付フレーム45はグレンタンク5の内側に設けた左右一対の縦フレーム46と、縦フレーム46に固定の左右一対の前後フレーム47を有して構成し、前後フレーム47の前側部分をエンジン11を包囲するエンジンフレーム48の後側フレーム49に固定する。
50は前記左右の縦フレーム46を連結する連結フレーム50であり、前記グレンタンク5の下側傾斜面23と下側縦板部24の内側に位置させている。
そのため、DPF16はエンジンフレーム48に連結した取付フレーム45に取り付けているので、DPF16の支持強度を向上させられる。
【0015】
前記左右の縦フレーム46は、脱穀装置3側の縦フレーム46を高く、グレンタンク5側の縦フレーム46を低く形成し、左右の縦フレーム46を連結する前記連結フレーム50は、背面視、外側(走行方向右側)に至るに従い低く傾斜させ、DPF16の外側上部部分より下方に位置させて、左右の前後フレーム47間に開放部52(図5,図6)を形成し、この開放部52により取付フレーム45はDPF16の外側部分を露出させて構成する。
即ち、図示は省略するが、グレンタンク5は後部の回動支点を中心に外側オープン自在に構成し、グレンタンク5を外側オープンさせたとき、取付フレーム45は開放部52によりDPF16の外側部分を露出させてメンテナンスを行うことを想定している。
そのため、メンテナンス作業のみならず、取付フレーム45の開放部52からDPF16を嵌め込んで取り付けることができ、着脱が容易である。
【0016】
また、グレンタンク5の内側タンク側板20の傾斜部分に合わせて取付フレーム45を形成しているので、グレンタンク5の内側空間を有効利用しつつDPF16の支持強度を向上させている。
55はDPF16を取付フレーム45に固定するための固定部材であり、固定部材55の下側固定部材56は前記取付フレーム45側に固定し、この下側固定部材56に対して上側固定部材57を着脱自在に取付ける。
したがって、上側固定部材57を取り外すと、DPF16を取付フレーム45から外せる。
前記下側固定部材56の外側部56Aは、前後フレーム47に固定すると、支持強度を向上させられて好適である(図2,図5)。
58は排気管14の一部を構成する可撓性配管であり、前記上手側接続配管28とエンジン11からの排気管(符号省略)との間に配置している。
そのため、エンジン11からの排気管の振動を可撓性配管58が吸収する。
【0017】
しかして、DPF16は、所定以上、粒子状物質のうち煤等が付着すると、排気抵抗が増加するので、一旦、刈取脱穀作業を停止させ、エンジン11を空運転して、DPF16内の粒子状物質を燃焼させて付着物を除去する手動再生作業を行う。
一方、エンジン11を冷却する冷却ファン65Aを、専用の変速装置によって、正回転によるエンジン11の冷却と逆回転によるラジエーターカバー65の付着部除去機構を設けることがある。
そこで、ラジエーターカバー65の付着部除去機構を設けた場合、前記DPF16の手動再生作業中は、冷却ファン65Aを逆転させる逆転制御を中止し、エンジン11の冷却を続行する構成とする(図7)。
そのため、DPF16の手動再生作業中は、冷却ファン65Aを逆転させる逆転制御を中止して、エンジン11の冷却を続行するので、エンジン11の回転を安定させ、DPF16の手動再生作業を迅速に行うことができる。
65Bは冷却ファン65Aの専用の正逆転無段変速装置、65Cは出力プーリー、65Dは入力プーリーである。
【0018】
図9は、エンジン11の脱穀装置3への出力機構を示し、66はエンジンプーリー、67はエンジンプーリー66の前後のリヤプレートであり、リヤプレート67にベルトストッパ68を取付部材69により取り付け、ベルトストッパ68と取付部材69は一体構成とする。
そのため、エンジン11に取付けたリヤプレート67に、ベルトストッパ68および取付部材69を一体的に取り付けているので、エンジン11の振動によるベルトラインの位置ずれ発生を防止する。
また、取付部材69はボルト70によりエンジンプーリー66の前後両側のリヤプレート67に固定しているので、ベルトストッパ68および取付部材69の取付強度を向上させ、エンジン11の振動によるベルトラインの位置ずれ発生を防止する。
また、ベルトストッパ68と取付部材69をエンジンプーリー66より下方に設けているので、冷却ファンボルト70等の他のベルトの配置に影響を与えない。
【0019】
操縦部のステップ73の下方に、プレフィルタ74とメインフィルタ75を配置し、プレフィルタ74とメインフィルタ75の何れかに手動燃料フィードポンプ76を設け、この手動燃料フィードポンプ76を設けたフィルタを機体右側に配置構成する。
プレフィルタ74とメインフィルタ75の燃料フィルタをステップ73の下方空間内に集中配置しているので、管理およびメンテナンスが容易である。
ステップ73の下方空間内にプレフィルタ74とメインフィルタ75の燃料フィルタを配置しているので、目視による点検が可能である。
手動燃料フィードポンプ76を設けた燃料フィルタを機体右側に配置しているので、ガス欠のときの手動燃料フィードポンプ76の操作を容易にする。
76Aは手動燃料フィードポンプ76の操作部材である。
【0020】
エンジン11への吸気配管中に設けるエアフローメータ77を、エンジンルーム18内の吸気管78の水平部79に取付け、エアクリーナー80を前記エアフローメータ77より上方に設け、エアクリーナー80と吸気管78を接続する吸気ホース81は、エアクリーナー80側を大径とし、エアフローメータ77側を小径に構成する(図13)。
エアフローメータ77をエンジンルーム18内に設けているので、塵埃・水の影響を受けない。
吸気配管を短くでき、吸気抵抗を抑制する。
吸気ホース81はエアクリーナー80側を大径とし、エアフローメータ77側を小径に構成しているので、吸気ホース81内を流れる空気の流れに乱れの発生を抑制し、吸気効率を向上させられる。
【0021】
(実施例の作用)
エンジン11を始動し、エンジン11の回転により脱穀装置3と刈取部4の各部を駆動し、走行装置2を駆動して走行して刈取脱穀作業を行う。
エンジン11は供給された燃料を燃焼させて得た駆動力を各部に伝達し、燃焼した燃料は排気ガスとして排気装置12を通して機外に排出する。
排気装置12には、排気浄化装置15を設けているので、排気浄化装置15によりエンジン11の排気ガス中の粒子状物質を濾過除去する。
前記DPF16は、前後方向に長い形状とし、前記エンジン11の後方であって、前記グレンタンク5と前記脱穀装置3との間に配置し、DPF16を設けた空間17と前記エンジン11とを設けた空間であるエンジンルームエンジンルーム18とを連通させているので、DPF16をエンジン11の近傍に配置でき、エンジン11からの排気を冷さないうちに、粒子状物質をDPF16により除去でき、DPF16の性能を充分に発揮させられる。
【0022】
即ち、DPF16は略密閉した空間17内に設置され、空間17とエンジンルーム18とが連通されているので、空間17内は常時エンジン11の熱気により加温され、DPF16の周囲気温が低下するのを抑制し、粒子状物質によりDPF16が詰まるのを抑制し、その結果、DPF16の濾過除去効率を向上させられる。
また、DPF16は、グレンタンク5と脱穀装置3との間に配置されているので、空間を有効利用して設けられる。
具体的には、グレンタンク5の内側タンク側板20は、上側傾斜面21の下方に上側縦板部22を形成し、上側縦板部22の下方に下側傾斜面23を形成し、下側傾斜面23の下方に下側縦板部24を形成して構成し、背面視でこの内側タンク側板20と脱穀装置3の内側脱穀側板25との間に空間17を形成しているので、グレンタンク5の側面形状と脱穀装置3の内側脱穀側板25との間にDPF16を配置できて、合理的な配置となる。
【0023】
DPF16の上面後側部分には、エンジン11に接続した上手側接続配管28を接続し、DPF16の下面前側部分には、機体後部に設けたマフラー29に接続する下手側接続配管30を接続し、DPF16の下面側を包囲する下側ケーシング35と、DPF16および上手側接続配管28の脱穀装置3側を包囲する内側縦板部37と、内側縦板部37の上部のDPF16および上手側接続配管28の上部を包囲する上側板部38とにより脱穀カバーCを構成し、該脱穀側カバーCとグレンタンク5の内側タンク側板20とにより前記空間17を構成しているので、背面視で、脱穀側カバーCとグレンタンク5の内側タンク側板20により略密閉された空間17内にDPF16を配置でき、DPF16が冷却されるのを抑制する。
また、空間17はDPF16の下面側を下側ケーシング35により包囲しているので、機体走行中に下から吹き上がる外気を遮断し、DPF16が冷却されるのを抑制する。
【0024】
また、空間17はDPF16の上面側を内側縦板部37と上側板部38により包囲しているので、DPF16の上面に藁屑が堆積するのを防止する。
また、空間17はDPF16の側面および上面側を内側縦板部37と上側板部38により包囲しているので、脱穀装置3の唐箕(図示省略)への吸気風あるいは送風がDPF16に吹き付けて冷却するのを防止する。
DPF16は、グレンタンク5と脱穀装置3との間に配置した取付フレーム45に取付け、取付フレーム45はグレンタンク5の内側に設けた左右一対の縦フレーム46と、縦フレーム46に固定の左右一対の前後フレーム47を有して構成し、前後フレーム47の前側部分をエンジン11を包囲するエンジンフレーム48の後側フレーム49に固定しているので、DPF16はエンジンフレーム48と取付フレーム45とにより支持され、DPF16の支持強度を向上させられる。
【0025】
取付フレーム45は、連結する連結フレーム50は、背面視、外側に至るに従い低く傾斜させ、DPF16の外側上部部分より下方に位置させて、左右の前後フレーム47間に開放部52を形成し、この開放部52により取付フレーム45はDPF16の外側部分を露出させて構成しているので、取付フレーム45の開放部52からDPF16をメンテナンスを行うことができ、メンテナンスを容易にする。
取付フレーム45は、一対の縦フレーム46を、脱穀装置3側の縦フレーム46が高く、グレンタンク5側の縦フレーム46を低く形成し、左右の縦フレーム46を連結する連結フレーム50は、背面視、外側に至るに従い低く傾斜させ、DPF16の外側上部部分より下方に位置させて、左右の前後フレーム47間に開放部52を形成しているので、取付フレーム45の開放部52からDPF16を取り付けることができ、着脱が容易である。
【0026】
また、グレンタンク5の内側タンク側板20の傾斜部分に合わせて取付フレーム45を形成しているので、グレンタンク5の内側空間を有効利用しつつDPF16の支持強度を向上させている。
しかして、具体的構成は、省略するが、グレンタンク5は、グレンタンク5の後部の縦回動支点を中心に外側にオープン自在に取り付けており、DPF16は、01に固定の取付フレーム45に取付けられた脱穀装置3側の下側ケーシング35および内側縦板部37ならびに上側板部38と、グレンタンク5の内側タンク側板20とにより形成される空間17内に設けられているので、略密閉された空間17内にDPF16を設置していても、グレンタンク5を外側オープンさせると、直ぐに、DPF16を露出させることができ、容易にメンテナンスを行える。
【0027】
したがって、通常では、相反するDPF16の包囲とDPF16のメンテナンスの容易化とを両立させられる。
この場合、DPF16を取付フレーム45に固定するための固定部材55は、DPF16の下面側の下側固定部材56と上面側の上側固定部材57とにより構成し、下側固定部材56は取付フレーム45側に固定し、この下側固定部材56に対して上側固定部材上側固定部材57を着脱自在に取付けているので、上側固定部材57を取り外すと、DPF16を取付フレーム45から外すことができ、一層、メンテナンスを容易にする。
なお、前記した各実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示および説明しているが、これらの実施例は夫々種々組合せ可能であり、これらの表現によって、構成・作用等が限定されるものではなく、また、相乗効果を奏する場合も勿論存在する。
また、理解を容易にするため、図中、各部に斜線を付しているものがあるが、これにより構成は限定されない。
【符号の説明】
【0028】
1…機体フレーム、2…走行装置、3…脱穀装置、4…刈取部、5…グレンタンク、10…運転座席、11…エンジン、12…排気装置、15…排気浄化装置、16…DPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)、16…DPF、17…空間、20…内側タンク側板、21…上側傾斜面、22…上側縦板部、23…下側傾斜面、24…下側縦板部、25…内側脱穀側板、28…上手側接続配管、29…マフラー、30…下手側接続配管、35…下側ケーシング、36…上側ケーシング、37…内側縦板部、38…上側板部、45…取付フレーム、46…縦フレーム、47…前後フレーム、48…エンジンフレーム、49…後側フレーム、50…連結フレーム、52…開放部、55…固定部材、56…下側固定部材、57…上側固定部材、65…ラジエーターカバー、66…エンジンプーリー、67…リヤプレート、68…ベルトストッパ、69…取付部材、70…ボルト、73…ステップ、74…プレフィルタ、75…メインフィルタ、76…手動燃料フィードポンプ、77…エアフローメータ、78…吸気管、79…水平部、80…エアクリーナー、81…吸気ホース。
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、機体フレームの上方の左側に脱穀装置を、右側にグレンタンクをそれぞれ設け、グレンタンクの前側にエンジンを設け、エンジンの排気ガス中の粒子状物質を除去するDPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)を、グレンタンクの前側に設け、DPFはエンジンルームからグレンタンク内にDPFの熱風を案内するケーシング内に設けた構成は、公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−51216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例のDPFは、ケーシング内に設置されているが、ケーシング内にはグレンタンクへ向けて常時送風されているので、この送風によりDPFが冷やされ、DPFの再生を適正に行えないために、排気抵抗が増大し、エンジン出力が低下するという課題がある。
本願は、コンバインの特性に鑑み、排気浄化装置の設置箇所を工夫し、DPF内における粒子状物質の詰まりを抑制して、排気ガスの浄化効率を向上させたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、下方に走行装置2を設けた機体フレーム1の上方の一側に脱穀装置3を設け、他側にはグレンタンク5を設け、機体フレーム1の前方に刈取部4を設け、前記グレンタンク5の前方にはエンジン11を内部に有するエンジンルーム18を形成し、走行装置2と脱穀装置3と刈取部4とを駆動するエンジン11に接続した排気管14の途中に排気ガス中の粒子状物質を捕集するDPF16を設け、該DPF16は、前記エンジン11の後方であって、前記グレンタンク5と前記脱穀装置3との間の空間17内に、DPF16の内部における排気ガスの流れ方向を機体の前後方向に沿わせて配置し、該DPF16と前記エンジン11とを一体的に包囲したことを特徴とするコンバインとしたものであり、エンジン11を駆動して刈取作業を行い、エンジン11の駆動中に排出される排気ガス中の粒子状物質はDPF16により濾過除去される。
また、DPF16は、グレンタンク5と脱穀装置3との間の、エンジン11のエンジンルーム18と連通するが、風の吹き抜けない空間17内に配置しているので、DPF16の周辺はエンジン11およびDPF16の放熱により高温に保持される。
請求項2の発明は、前記DPF16を、DPF16の下側を覆う下側ケーシング35と、前記DPF16の上側および脱穀装置3側を覆う上側ケーシング36と、DPF16のグレンタンク5側を覆う内側タンク側板20とにより囲う構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、グレンタンク5を外側オープンさせて、DPF16のメンテナンスを行う。
請求項3の発明は、前記機体フレーム1側に固定した左右の縦フレーム46と、縦フレーム46に固定した左右の前後フレーム47を有する取付フレーム45を、前記グレンタンク5と脱穀装置3との間に配置し、該取付フレーム45に前記DPF16を取付け、前記前後フレーム47は前記エンジン11の後側に配置したエンジンフレーム48に連結したことを特徴とするコンバインとしたものであり、グレンタンク5の内側に設けた左右の縦フレーム46に、左右の前後フレーム47を夫々固定して取付フレーム45を組み付け、この取付フレーム45をエンジン11を包囲するエンジンフレーム48に連結固定し、この取付フレーム45にDPF16を取付ける。
請求項4の発明は、前記左右の縦フレーム46は、脱穀装置3側の縦フレーム46を高く、グレンタンク5側の縦フレーム46を低く形成し、該左右の縦フレーム46の上部間を連結する連結フレーム50は、グレンタンク5側に至るに従い低く傾斜させたことを特徴とするコンバインとしたものであり、一対の縦フレーム46うち、脱穀装置3側の縦フレーム46を高く、グレンタンク5側の縦フレーム46を低く形成しているので、グレンタンク5を外側オープンさせて、左右の縦フレーム46の間にDPF16を露出させてメンテナンスを行う。
請求項5の発明は、エンジン11とDPF16の間の排気管14の一部を可撓性配管58としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、負荷変動等により発生したエンジン11の振動を可撓性配管が吸収する。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明では、DPF16をエンジン11の近傍に配置できて、エンジン11からの排気が冷えないうちにDPF16により粒子状物質を除去でき、更に、エンジン11とDPF16を一体的に包囲しているので、DPF16の周辺はエンジン11およびDPF16の放熱により高温に保持することができ、DPF16の再生効率を高めることで、粒子状物質の濾過除去効率を向上させることができる。
請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の発明の効果に加え、グレンタンク5を外側オープンさせると、グレンタンク5の内側タンク側板20が包囲していた部分のDPF16を露出させることができるので、通常では、相反するDPF16の包囲とDPF16のメンテナンスの容易化とを両立させることができる。
請求項3記載の発明では、上記請求項1または請求項2記載の発明の効果に加え、DPF16の取付作業を容易にできると共に、DPF16のメンテナンスを容易にできる。
請求項4記載の発明では、上記請求項3記載の発明の効果に加え、DPF16の支持構成を、メンテナンス考慮した簡素で合理的な構成にすることができる。
請求項5の発明では、エンジン11の振動により、エンジン11と機体フレーム1側に固定したDPF16との間を接続する排気管14が破損することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】排気浄化装置付近の背面図。
【図3】排気浄化装置とエンジン周辺の概略斜視図。
【図4】排気浄化装置の側面図。
【図5】取付フレーム部分の背面図。
【図6】固定部材の背面図。
【図7】フロー図。
【図8】エンジン付近の正面図。
【図9】エンジン付近の平面図。
【図10】同側面図。
【図11】同平面図。
【図12】同側面図。
【図13】同正面図。
【図14】同側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施例を図により説明すると、1は作業機の機体フレームであり、本願はコンバインの実施例である。
機体フレーム1の下方には走行装置2を設け、機体フレーム1の上方の一側には脱穀装置3を設ける。脱穀装置3の前方には刈取部4を設け、脱穀装置3の側部にはグレンタンク5を設ける。6は操縦部である。
操縦部6の運転座席10の下方にはエンジン11を設け(図1)、エンジン11には排気装置12の排気管14を接続し、排気管14の途中に排気浄化装置15を設ける。
排気浄化装置15は、粒子状物質を濾過除去するDPF16(Diesel particulate filter、ディーゼルパティキュレートフィルタ)により構成する。本願はDPF16の配置に関するものであり、DPF16の具体的構成の説明は省略する。
【0009】
前記DPF16は、前後方向に長い形状とし、前記エンジン11の後方であって、前記グレンタンク5と前記脱穀装置3との間に配置し、DPF16を設けた空間17と前記エンジン11を設けた空間であるエンジンルーム18とを連通させる。
即ち、前記エンジン11の後方であって、前記グレンタンク5と前記脱穀装置3との間に略密閉した空間17内に前記DPF16を設置し、空間17とエンジンルーム18とを連通させる。
そのため、空間17内は常時エンジン11の熱気により加温され、DPF16の周囲気温が低下するのを抑制し、粒子状物質によりDPF16が詰まるのを抑制し、その結果、DPF16の濾過除去効率を向上させられる。
また、前記グレンタンク5と前記脱穀装置3との間の空間を有効利用してDPF16を設けられる。
【0010】
エンジンルーム18内にDPF16を設けることはスペースに無理があり、エンジン11からDPF16を離すと、エンジン11からの排気の排気温度がDPF16に至る間に低下することになるが、本願では略密閉された空間17によりDPF16を包囲して冷えるのを抑制し、更に、空間17とエンジンルーム18とを連通させて、DPF16の周囲気温の低下を抑制する。
前記DPF16の下面側は円弧形状に形成した下側ケーシング35により包囲し、前記DPF16の上面側は上側ケーシング36により包囲し、下側ケーシング35および上側ケーシング36とグレンタンク5の内側タンク側板20とにより略密閉して前記空間17を形成する。
前記グレンタンク5の内側タンク側板20は、上側傾斜面21の下方に上側縦板部22を形成し、上側縦板部22の下方に下側傾斜面23を形成し、下側傾斜面23の下方に下側縦板部24を形成して構成し、背面視でこの内側タンク側板20と脱穀装置3の内側脱穀側板25との間に前記空間17を配置する。
【0011】
前記DPF16の上面後側部分には、前記エンジン11に接続した排気管14の一部を構成する上手側接続配管28を接続し、前記DPF16の下面前側部分には、機体後部に設けたマフラー29に接続する排気管14の一部を構成する下手側接続配管30を接続する。
前記DPF16の下面側は円弧形状に形成した下側ケーシング35により包囲し、前記DPF16の上面側は上側ケーシング36により包囲し、下側ケーシング35および上側ケーシング36とグレンタンク5の内側タンク側板20とにより略密閉して前記空間17を形成する。
37は下側ケーシング35の内側上部部分に上方に立ち上がるように設けた上側ケーシング36の内側縦板部、38は内側縦板部37の上部に設けた上側板部であり、上側板部38のグレンタンク5側端部をグレンタンク5の内側タンク側板20の上側縦板部22に接離自在に当接させる。
【0012】
即ち、前記空間17は、前記DPF16の下面側を包囲する下側ケーシング35と、DPF16の上面側を包囲する上側ケーシング36とにより脱穀側カバーCを構成し、背面視で、該脱穀側カバーCとグレンタンク5の内側タンク側板20とにより略密閉して形成する。
したがって、背面視で、前記空間17は下側ケーシング35と上側ケーシング36とグレンタンク5の内側タンク側板20により形成され、下側ケーシング35と上側ケーシング36とグレンタンク5の内側タンク側板20により形成された空間17内にDPF16および上手側接続配管28を配置している。
そのため、下側ケーシング35と上側ケーシング36とグレンタンク5の内側タンク側板20により略密閉された空間17内にDPF16を配置して冷えるのを抑制する。
【0013】
また、空間17はDPF16の下面側を下側ケーシング35により包囲しているので、機体走行中に下から吹き上がる外気を遮断し、DPF16が冷えるのを抑制する。
また、空間17はDPF16の上面側を上側ケーシング36の内側縦板部37と上側板部38により包囲しているので、DPF16の上面に藁屑が堆積するのを防止する。
また、空間17はDPF16の上面側を上側ケーシング36の内側縦板部37と上側板部38により包囲しているので、脱穀装置3の唐箕(図示省略)への吸気風あるいは送風がDPF16に吹き付けて冷却するのを防止する。
また、空間17の前側は連通口40によりエンジンルーム18と連通させているが、空間17の後側は後部縦板41により密閉して風の吹き抜けない空間17に形成している。
【0014】
前記DPF16は、前記グレンタンク5と前記脱穀装置3との間に配置した取付フレーム45に取付ける。取付フレーム45はグレンタンク5の内側に設けた左右一対の縦フレーム46と、縦フレーム46に固定の左右一対の前後フレーム47を有して構成し、前後フレーム47の前側部分をエンジン11を包囲するエンジンフレーム48の後側フレーム49に固定する。
50は前記左右の縦フレーム46を連結する連結フレーム50であり、前記グレンタンク5の下側傾斜面23と下側縦板部24の内側に位置させている。
そのため、DPF16はエンジンフレーム48に連結した取付フレーム45に取り付けているので、DPF16の支持強度を向上させられる。
【0015】
前記左右の縦フレーム46は、脱穀装置3側の縦フレーム46を高く、グレンタンク5側の縦フレーム46を低く形成し、左右の縦フレーム46を連結する前記連結フレーム50は、背面視、外側(走行方向右側)に至るに従い低く傾斜させ、DPF16の外側上部部分より下方に位置させて、左右の前後フレーム47間に開放部52(図5,図6)を形成し、この開放部52により取付フレーム45はDPF16の外側部分を露出させて構成する。
即ち、図示は省略するが、グレンタンク5は後部の回動支点を中心に外側オープン自在に構成し、グレンタンク5を外側オープンさせたとき、取付フレーム45は開放部52によりDPF16の外側部分を露出させてメンテナンスを行うことを想定している。
そのため、メンテナンス作業のみならず、取付フレーム45の開放部52からDPF16を嵌め込んで取り付けることができ、着脱が容易である。
【0016】
また、グレンタンク5の内側タンク側板20の傾斜部分に合わせて取付フレーム45を形成しているので、グレンタンク5の内側空間を有効利用しつつDPF16の支持強度を向上させている。
55はDPF16を取付フレーム45に固定するための固定部材であり、固定部材55の下側固定部材56は前記取付フレーム45側に固定し、この下側固定部材56に対して上側固定部材57を着脱自在に取付ける。
したがって、上側固定部材57を取り外すと、DPF16を取付フレーム45から外せる。
前記下側固定部材56の外側部56Aは、前後フレーム47に固定すると、支持強度を向上させられて好適である(図2,図5)。
58は排気管14の一部を構成する可撓性配管であり、前記上手側接続配管28とエンジン11からの排気管(符号省略)との間に配置している。
そのため、エンジン11からの排気管の振動を可撓性配管58が吸収する。
【0017】
しかして、DPF16は、所定以上、粒子状物質のうち煤等が付着すると、排気抵抗が増加するので、一旦、刈取脱穀作業を停止させ、エンジン11を空運転して、DPF16内の粒子状物質を燃焼させて付着物を除去する手動再生作業を行う。
一方、エンジン11を冷却する冷却ファン65Aを、専用の変速装置によって、正回転によるエンジン11の冷却と逆回転によるラジエーターカバー65の付着部除去機構を設けることがある。
そこで、ラジエーターカバー65の付着部除去機構を設けた場合、前記DPF16の手動再生作業中は、冷却ファン65Aを逆転させる逆転制御を中止し、エンジン11の冷却を続行する構成とする(図7)。
そのため、DPF16の手動再生作業中は、冷却ファン65Aを逆転させる逆転制御を中止して、エンジン11の冷却を続行するので、エンジン11の回転を安定させ、DPF16の手動再生作業を迅速に行うことができる。
65Bは冷却ファン65Aの専用の正逆転無段変速装置、65Cは出力プーリー、65Dは入力プーリーである。
【0018】
図9は、エンジン11の脱穀装置3への出力機構を示し、66はエンジンプーリー、67はエンジンプーリー66の前後のリヤプレートであり、リヤプレート67にベルトストッパ68を取付部材69により取り付け、ベルトストッパ68と取付部材69は一体構成とする。
そのため、エンジン11に取付けたリヤプレート67に、ベルトストッパ68および取付部材69を一体的に取り付けているので、エンジン11の振動によるベルトラインの位置ずれ発生を防止する。
また、取付部材69はボルト70によりエンジンプーリー66の前後両側のリヤプレート67に固定しているので、ベルトストッパ68および取付部材69の取付強度を向上させ、エンジン11の振動によるベルトラインの位置ずれ発生を防止する。
また、ベルトストッパ68と取付部材69をエンジンプーリー66より下方に設けているので、冷却ファンボルト70等の他のベルトの配置に影響を与えない。
【0019】
操縦部のステップ73の下方に、プレフィルタ74とメインフィルタ75を配置し、プレフィルタ74とメインフィルタ75の何れかに手動燃料フィードポンプ76を設け、この手動燃料フィードポンプ76を設けたフィルタを機体右側に配置構成する。
プレフィルタ74とメインフィルタ75の燃料フィルタをステップ73の下方空間内に集中配置しているので、管理およびメンテナンスが容易である。
ステップ73の下方空間内にプレフィルタ74とメインフィルタ75の燃料フィルタを配置しているので、目視による点検が可能である。
手動燃料フィードポンプ76を設けた燃料フィルタを機体右側に配置しているので、ガス欠のときの手動燃料フィードポンプ76の操作を容易にする。
76Aは手動燃料フィードポンプ76の操作部材である。
【0020】
エンジン11への吸気配管中に設けるエアフローメータ77を、エンジンルーム18内の吸気管78の水平部79に取付け、エアクリーナー80を前記エアフローメータ77より上方に設け、エアクリーナー80と吸気管78を接続する吸気ホース81は、エアクリーナー80側を大径とし、エアフローメータ77側を小径に構成する(図13)。
エアフローメータ77をエンジンルーム18内に設けているので、塵埃・水の影響を受けない。
吸気配管を短くでき、吸気抵抗を抑制する。
吸気ホース81はエアクリーナー80側を大径とし、エアフローメータ77側を小径に構成しているので、吸気ホース81内を流れる空気の流れに乱れの発生を抑制し、吸気効率を向上させられる。
【0021】
(実施例の作用)
エンジン11を始動し、エンジン11の回転により脱穀装置3と刈取部4の各部を駆動し、走行装置2を駆動して走行して刈取脱穀作業を行う。
エンジン11は供給された燃料を燃焼させて得た駆動力を各部に伝達し、燃焼した燃料は排気ガスとして排気装置12を通して機外に排出する。
排気装置12には、排気浄化装置15を設けているので、排気浄化装置15によりエンジン11の排気ガス中の粒子状物質を濾過除去する。
前記DPF16は、前後方向に長い形状とし、前記エンジン11の後方であって、前記グレンタンク5と前記脱穀装置3との間に配置し、DPF16を設けた空間17と前記エンジン11とを設けた空間であるエンジンルームエンジンルーム18とを連通させているので、DPF16をエンジン11の近傍に配置でき、エンジン11からの排気を冷さないうちに、粒子状物質をDPF16により除去でき、DPF16の性能を充分に発揮させられる。
【0022】
即ち、DPF16は略密閉した空間17内に設置され、空間17とエンジンルーム18とが連通されているので、空間17内は常時エンジン11の熱気により加温され、DPF16の周囲気温が低下するのを抑制し、粒子状物質によりDPF16が詰まるのを抑制し、その結果、DPF16の濾過除去効率を向上させられる。
また、DPF16は、グレンタンク5と脱穀装置3との間に配置されているので、空間を有効利用して設けられる。
具体的には、グレンタンク5の内側タンク側板20は、上側傾斜面21の下方に上側縦板部22を形成し、上側縦板部22の下方に下側傾斜面23を形成し、下側傾斜面23の下方に下側縦板部24を形成して構成し、背面視でこの内側タンク側板20と脱穀装置3の内側脱穀側板25との間に空間17を形成しているので、グレンタンク5の側面形状と脱穀装置3の内側脱穀側板25との間にDPF16を配置できて、合理的な配置となる。
【0023】
DPF16の上面後側部分には、エンジン11に接続した上手側接続配管28を接続し、DPF16の下面前側部分には、機体後部に設けたマフラー29に接続する下手側接続配管30を接続し、DPF16の下面側を包囲する下側ケーシング35と、DPF16および上手側接続配管28の脱穀装置3側を包囲する内側縦板部37と、内側縦板部37の上部のDPF16および上手側接続配管28の上部を包囲する上側板部38とにより脱穀カバーCを構成し、該脱穀側カバーCとグレンタンク5の内側タンク側板20とにより前記空間17を構成しているので、背面視で、脱穀側カバーCとグレンタンク5の内側タンク側板20により略密閉された空間17内にDPF16を配置でき、DPF16が冷却されるのを抑制する。
また、空間17はDPF16の下面側を下側ケーシング35により包囲しているので、機体走行中に下から吹き上がる外気を遮断し、DPF16が冷却されるのを抑制する。
【0024】
また、空間17はDPF16の上面側を内側縦板部37と上側板部38により包囲しているので、DPF16の上面に藁屑が堆積するのを防止する。
また、空間17はDPF16の側面および上面側を内側縦板部37と上側板部38により包囲しているので、脱穀装置3の唐箕(図示省略)への吸気風あるいは送風がDPF16に吹き付けて冷却するのを防止する。
DPF16は、グレンタンク5と脱穀装置3との間に配置した取付フレーム45に取付け、取付フレーム45はグレンタンク5の内側に設けた左右一対の縦フレーム46と、縦フレーム46に固定の左右一対の前後フレーム47を有して構成し、前後フレーム47の前側部分をエンジン11を包囲するエンジンフレーム48の後側フレーム49に固定しているので、DPF16はエンジンフレーム48と取付フレーム45とにより支持され、DPF16の支持強度を向上させられる。
【0025】
取付フレーム45は、連結する連結フレーム50は、背面視、外側に至るに従い低く傾斜させ、DPF16の外側上部部分より下方に位置させて、左右の前後フレーム47間に開放部52を形成し、この開放部52により取付フレーム45はDPF16の外側部分を露出させて構成しているので、取付フレーム45の開放部52からDPF16をメンテナンスを行うことができ、メンテナンスを容易にする。
取付フレーム45は、一対の縦フレーム46を、脱穀装置3側の縦フレーム46が高く、グレンタンク5側の縦フレーム46を低く形成し、左右の縦フレーム46を連結する連結フレーム50は、背面視、外側に至るに従い低く傾斜させ、DPF16の外側上部部分より下方に位置させて、左右の前後フレーム47間に開放部52を形成しているので、取付フレーム45の開放部52からDPF16を取り付けることができ、着脱が容易である。
【0026】
また、グレンタンク5の内側タンク側板20の傾斜部分に合わせて取付フレーム45を形成しているので、グレンタンク5の内側空間を有効利用しつつDPF16の支持強度を向上させている。
しかして、具体的構成は、省略するが、グレンタンク5は、グレンタンク5の後部の縦回動支点を中心に外側にオープン自在に取り付けており、DPF16は、01に固定の取付フレーム45に取付けられた脱穀装置3側の下側ケーシング35および内側縦板部37ならびに上側板部38と、グレンタンク5の内側タンク側板20とにより形成される空間17内に設けられているので、略密閉された空間17内にDPF16を設置していても、グレンタンク5を外側オープンさせると、直ぐに、DPF16を露出させることができ、容易にメンテナンスを行える。
【0027】
したがって、通常では、相反するDPF16の包囲とDPF16のメンテナンスの容易化とを両立させられる。
この場合、DPF16を取付フレーム45に固定するための固定部材55は、DPF16の下面側の下側固定部材56と上面側の上側固定部材57とにより構成し、下側固定部材56は取付フレーム45側に固定し、この下側固定部材56に対して上側固定部材上側固定部材57を着脱自在に取付けているので、上側固定部材57を取り外すと、DPF16を取付フレーム45から外すことができ、一層、メンテナンスを容易にする。
なお、前記した各実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示および説明しているが、これらの実施例は夫々種々組合せ可能であり、これらの表現によって、構成・作用等が限定されるものではなく、また、相乗効果を奏する場合も勿論存在する。
また、理解を容易にするため、図中、各部に斜線を付しているものがあるが、これにより構成は限定されない。
【符号の説明】
【0028】
1…機体フレーム、2…走行装置、3…脱穀装置、4…刈取部、5…グレンタンク、10…運転座席、11…エンジン、12…排気装置、15…排気浄化装置、16…DPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)、16…DPF、17…空間、20…内側タンク側板、21…上側傾斜面、22…上側縦板部、23…下側傾斜面、24…下側縦板部、25…内側脱穀側板、28…上手側接続配管、29…マフラー、30…下手側接続配管、35…下側ケーシング、36…上側ケーシング、37…内側縦板部、38…上側板部、45…取付フレーム、46…縦フレーム、47…前後フレーム、48…エンジンフレーム、49…後側フレーム、50…連結フレーム、52…開放部、55…固定部材、56…下側固定部材、57…上側固定部材、65…ラジエーターカバー、66…エンジンプーリー、67…リヤプレート、68…ベルトストッパ、69…取付部材、70…ボルト、73…ステップ、74…プレフィルタ、75…メインフィルタ、76…手動燃料フィードポンプ、77…エアフローメータ、78…吸気管、79…水平部、80…エアクリーナー、81…吸気ホース。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方に走行装置(2)を設けた機体フレーム(1)の上方の一側に脱穀装置(3)を設け、他側にはグレンタンク(5)を設け、機体フレーム(1)の前方に刈取部(4)を設け、前記グレンタンク(5)の前方にはエンジン(11)を内部に有するエンジンルーム18を形成し、走行装置(2)と脱穀装置(3)と刈取部(4)とを駆動するエンジン(11)に接続した排気管(14)の途中に排気ガス中の粒子状物質を捕集するDPF(16)を設け、該DPF(16)は、前記エンジン(11)の後方であって、前記グレンタンク(5)と前記脱穀装置(3)との間の空間(17)内に、DPF(16)の内部における排気ガスの流れ方向を機体の前後方向に沿わせて配置し、該DPF(16)と前記エンジン(11)とを一体的に包囲したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
請求項1において、前記DPF(16)を、DPF(16)の下側を覆う下側ケーシング(35)と、前記DPF(16)の上側および脱穀装置(3)側を覆う上側ケーシング(36)と、DPF(16)のグレンタンク(5)側を覆う内側タンク側板(20)とにより囲う構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記機体フレーム(1)側に固定した左右の縦フレーム(46)と、縦フレーム(46)に固定した左右の前後フレーム(47)を有する取付フレーム(45)を、前記グレンタンク(5)と脱穀装置(3)との間に配置し、該取付フレーム(45)に前記DPF(16)を取付け、前記前後フレーム(47)は前記エンジン(11)の後側に配置したエンジンフレーム(48)に連結したことを特徴とするコンバイン。
【請求項4】
請求項3において、前記左右の縦フレーム(46)は、脱穀装置(3)側の縦フレーム(46)を高く、グレンタンク(5)側の縦フレーム(46)を低く形成し、該左右の縦フレーム(46)の上部間を連結する連結フレーム(50)は、グレンタンク(5)側に至るに従い低く傾斜させたことを特徴とするコンバイン。
【請求項5】
請求項1または請求項2または請求項3または請求項4において、エンジン(11)とDPF(16)の間の排気管(14)の一部を可撓性配管58としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項1】
下方に走行装置(2)を設けた機体フレーム(1)の上方の一側に脱穀装置(3)を設け、他側にはグレンタンク(5)を設け、機体フレーム(1)の前方に刈取部(4)を設け、前記グレンタンク(5)の前方にはエンジン(11)を内部に有するエンジンルーム18を形成し、走行装置(2)と脱穀装置(3)と刈取部(4)とを駆動するエンジン(11)に接続した排気管(14)の途中に排気ガス中の粒子状物質を捕集するDPF(16)を設け、該DPF(16)は、前記エンジン(11)の後方であって、前記グレンタンク(5)と前記脱穀装置(3)との間の空間(17)内に、DPF(16)の内部における排気ガスの流れ方向を機体の前後方向に沿わせて配置し、該DPF(16)と前記エンジン(11)とを一体的に包囲したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
請求項1において、前記DPF(16)を、DPF(16)の下側を覆う下側ケーシング(35)と、前記DPF(16)の上側および脱穀装置(3)側を覆う上側ケーシング(36)と、DPF(16)のグレンタンク(5)側を覆う内側タンク側板(20)とにより囲う構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記機体フレーム(1)側に固定した左右の縦フレーム(46)と、縦フレーム(46)に固定した左右の前後フレーム(47)を有する取付フレーム(45)を、前記グレンタンク(5)と脱穀装置(3)との間に配置し、該取付フレーム(45)に前記DPF(16)を取付け、前記前後フレーム(47)は前記エンジン(11)の後側に配置したエンジンフレーム(48)に連結したことを特徴とするコンバイン。
【請求項4】
請求項3において、前記左右の縦フレーム(46)は、脱穀装置(3)側の縦フレーム(46)を高く、グレンタンク(5)側の縦フレーム(46)を低く形成し、該左右の縦フレーム(46)の上部間を連結する連結フレーム(50)は、グレンタンク(5)側に至るに従い低く傾斜させたことを特徴とするコンバイン。
【請求項5】
請求項1または請求項2または請求項3または請求項4において、エンジン(11)とDPF(16)の間の排気管(14)の一部を可撓性配管58としたことを特徴とするコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−27346(P2013−27346A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165482(P2011−165482)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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