説明

サセプタ及びこれを用いた半導体製造装置

【課題】基板保持部品の交換に掛かるコストの削減を実現できると共に半導体製造のスループットを向上させることができるサセプタ及びこれを用いた半導体製造装置を提供する。
【解決手段】基板の表面をその下方の反応ガス流路に臨ませて基板の表面に半導体膜を気相成長させるフェースダウン型の半導体製造装置に用いられるサセプタにおいて、基板を支えるツメ部品が着脱自在に設けられるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェースダウン型の半導体製造装置に用いられるサセプタ及びこれを用いた半導体製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板の表面をその下方の反応ガス流路に臨ませて基板の表面に半導体膜を気相成長させるフェースダウン型の半導体製造装置は、気相成長中のデポ(生成物が堆積したもの)が基板の表面に付き難く、半導体の製造に際して良く採用されている構造である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この半導体製造装置では、基板の表面を反応ガス中に曝すために、基板はサセプタ本体に載置された基板保持部品によって保持される。また、図3に示すように、気相成長の際にサセプタ本体31が公転すると、基板保持部品32のギヤ構造33が固定された自転発生部品34のギヤ構造35に噛み合い、基板保持部品32がサセプタ本体31とは別に自転する自公転式のサセプタ30が用いられることもある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−344758号公報
【特許文献2】特許第4537566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図4に示すように、基板保持部品32は、半導体膜36の気相成長領域を稼ぐために、基板37の外周を細いツメ部38のみによって支えるが、基板保持部品32が窒化硼素(BN)のような機械的に加工しやすいが脆い材質からなる場合には、細いツメ部38が欠けて基板37を載置することができなくなり、ツメ部38が欠ける毎に基板保持部品32を交換するためのコストが掛かる。
【0006】
特に、図3で示した自公転式のサセプタ30を用いる場合には、基板保持部品32が自転のための複雑なギヤ構造33を有しているため、基板保持部品32自体のコストが高く、基板保持部品32の交換に掛かるコストが増大してしまう。
【0007】
また、基板保持部品32の底部39は、基板37の表面と共に反応ガス中に曝されて生成物が付着するため、この生成物がある程度堆積すると、この生成物を蒸発させて取り除くためのベーク処理を行う必要があり、それが連続的な半導体製造を妨げ、スループットを落としている。
【0008】
そこで、本発明の目的は、基板保持部品の交換に掛かるコストの削減を実現できると共に半導体製造のスループットを向上させることができるサセプタ及びこれを用いた半導体製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために創案された本発明は、基板の表面をその下方の反応ガス流路に臨ませて前記基板の表面に半導体膜を気相成長させるフェースダウン型の半導体製造装置に用いられるサセプタにおいて、前記基板を支えるツメ部品が着脱自在に設けられるサセプタである。
【0010】
また本発明は、基板の表面をその下方の反応ガス流路に臨ませて前記基板の表面に半導体膜を気相成長させるフェースダウン型の半導体製造装置に用いられるサセプタにおいて、サセプタ本体と前記サセプタ本体に載置され前記基板を保持するための基板保持部品とを備え、前記基板保持部品は、基板保持部品本体と前記基板保持部品本体に対して連結部材で着脱自在に取り付けられ前記基板を支えるツメ部品とを有するサセプタである。
【0011】
前記サセプタ本体が公転すると共に前記基板保持部品がサセプタ本体とは別に自転する自公転式であり、前記基板保持部品を自転させるための自転機構が前記基板保持部品本体に設けられると良い。
【0012】
また本発明は、基板の表面をその下方の反応ガス流路に臨ませて前記基板の表面に半導体膜を気相成長させるフェースダウン型の半導体製造装置において、前記基板を支えるツメ部品が着脱自在に設けられたサセプタを備える半導体製造装置である。
【0013】
また本発明は、基板の表面をその下方の反応ガス流路に臨ませて前記基板の表面に半導体膜を気相成長させるフェースダウン型の半導体製造装置において、サセプタ本体と前記サセプタ本体に載置され前記基板を保持するための基板保持部品とを有するサセプタを備え、前記基板保持部品は、基板保持部品本体と前記基板保持部品本体に対して連結部材で着脱自在に取り付けられ前記基板を支えるツメ部品とを有する半導体製造装置である。
【0014】
前記サセプタ本体が公転すると共に前記基板保持部品がサセプタ本体とは別に自転する自公転式であり、前記基板保持部品を自転させるための自転機構が前記基板保持部品本体に設けられると良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、基板保持部品の交換に掛かるコストの削減を実現できると共に半導体製造のスループットを向上させることができるサセプタ及びこれを用いた半導体製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係るサセプタを示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る半導体製造装置を示す断面図である。
【図3】自公転式のサセプタを示す上面図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0018】
図1,2に示すように、本実施の形態に係るサセプタ10は、基板11の表面をその下方の反応ガス流路12に臨ませて基板11の表面に半導体膜13を気相成長させるフェースダウン型の半導体製造装置20に用いられるものであり、基板11を支えるツメ部品14が着脱自在に設けられることを特徴とする。
【0019】
より具体的には、サセプタ10は、円盤状のサセプタ本体15とサセプタ本体15に載置され基板11を保持するための基板保持部品16とを備える。サセプタ本体15は、円周状に配置され基板保持部品16を載置するための穴17を有する。基板保持部品16は、基板保持部品本体18と基板保持部品本体18に対して連結部材19で着脱自在に取り付けられ基板11を支えるツメ部品14とを有する。連結部材19は例えばネジからなり、ツメ部品14の底部に設けられたネジ穴に差し込むことにより、基板保持部品本体18とツメ部品14とを簡便に接続できるような構造となっている。基板保持部品本体18は、サセプタ本体15の穴17の外周部分にボールベアリング21を介して載置される。基板保持部品本体18とツメ部品14とで形成される段差部22には、基板11の面内に亘って均一に熱を伝達するための均熱板23が設けられる。
【0020】
図3で説明したサセプタ30と同じように、サセプタ10もサセプタ本体15が公転すると共に基板保持部品16がサセプタ本体15とは別に自転する自公転式であり、基板保持部品16を自転させるための自転機構(例えば、ギヤ構造)24が基板保持部品本体18に設けられる。
【0021】
これら基板保持部品本体18、ツメ部品14、及び連結部材19を構成する材料としては、炭素(C)、炭化珪素(SiC)、窒化硼素(BN)、熱分解窒化硼素(PBN)、石英(SiO2)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)などが挙げられる。
【0022】
基板保持部品本体18、ツメ部品14、及び連結部材19は、それぞれ同種材料で構成されても良く、異種材料で構成されても良い。しかしながら、自転機構24が設けられることやボールベアリング21が接することなどを考慮すると、基板保持部品本体18は機械的な駆動に強い材料(金属など)からなることが好ましい。また、基板11と共に反応ガス中に曝されて生成物が付着することを考慮すると、ツメ部品14は反応ガスに応じた生成物が堆積しにくい材料からなることが好ましい。このように基板保持部品本体18、ツメ部品14、及び連結部材19を構成する材料を適宜選択することで、半導体製造の歩留まりを向上させることが可能である。
【0023】
以上説明したサセプタ10によれば、基板保持部品本体18とツメ部品14とが別体であるため、ツメ部品14が欠けた場合でも基板保持部品16の全体を交換する必要はなく、自転機構24を有する高価な基板保持部品本体18を残して低価なツメ部品14だけを交換すれば良い。そのため、基板保持部品の交換に掛かるコストの削減を実現できる。
【0024】
また、半導体製造によって基板11の表面と共に反応ガス中に曝されるツメ部品14の底部に生成物が堆積し、ベーク処理が必要になった場合にも、ツメ部品14を交換すれば良い。そのため、ベーク処理に掛かる時間を節約し、半導体製造のスループットを向上させることができる。
【0025】
このサセプタ10を用いたフェースダウン型の半導体製造装置20は、サセプタ10の他に、サセプタ10をその中心軸廻りに回転させる回転機構25と、サセプタ10の上側に設けられたヒータ26と、サセプタ10の下側に反応ガス流路12を形成する反応管27と、反応管27を支持する反応管ステージ28と、これらを収容する反応炉29とを備える。
【0026】
サセプタ10は、反応管27の上部壁41に形成されたサセプタ用の開口42に、基板11の表面が反応ガス流路12に臨むように設けられる。反応管27は、反応炉29内を水平方向に直線的に横断している。反応管27の一端(図1では左側)には、反応ガスを供給するための導入口43が形成され、他端(図1では右側)には、反応ガスを排出する排出口44が形成される。
【0027】
この半導体製造装置20では、サセプタ10に同心円上に複数の基板11をセットし、回転機構25でサセプタ10を公転させたところに、原料供給系より反応管27を介して基板11の表面に反応ガスを供給し、反応ガスをヒータ26で熱分解し、複数の基板11の表面に半導体膜13を気相成長させる。
【0028】
以上説明した半導体製造装置20によれば、基板保持部品の交換に掛かるコストの削減を実現できると共に半導体製造のスループットを向上させることができるサセプタ10を用いているため、低コストで半導体製造を行うことができる。
【符号の説明】
【0029】
10 サセプタ
11 基板
12 反応ガス流路
13 半導体膜
14 ツメ部品
15 サセプタ本体
16 基板保持部品
17 穴
18 基板保持部品本体
19 連結部材
20 半導体製造装置
21 ボールベアリング
22 段差部
23 均熱板
24 自転機構
25 回転機構
26 ヒータ
27 反応管
28 反応管ステージ
29 反応炉
41 上部壁
42 開口
43 導入口
44 排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面をその下方の反応ガス流路に臨ませて前記基板の表面に半導体膜を気相成長させるフェースダウン型の半導体製造装置に用いられるサセプタにおいて、
前記基板を支えるツメ部品が着脱自在に設けられることを特徴とするサセプタ。
【請求項2】
基板の表面をその下方の反応ガス流路に臨ませて前記基板の表面に半導体膜を気相成長させるフェースダウン型の半導体製造装置に用いられるサセプタにおいて、
サセプタ本体と前記サセプタ本体に載置され前記基板を保持するための基板保持部品とを備え、
前記基板保持部品は、基板保持部品本体と前記基板保持部品本体に対して連結部材で着脱自在に取り付けられ前記基板を支えるツメ部品とを有することを特徴とするサセプタ。
【請求項3】
前記サセプタ本体が公転すると共に前記基板保持部品がサセプタ本体とは別に自転する自公転式であり、前記基板保持部品を自転させるための自転機構が前記基板保持部品本体に設けられる請求項2に記載のサセプタ。
【請求項4】
基板の表面をその下方の反応ガス流路に臨ませて前記基板の表面に半導体膜を気相成長させるフェースダウン型の半導体製造装置において、
前記基板を支えるツメ部品が着脱自在に設けられたサセプタを備えることを特徴とする半導体製造装置。
【請求項5】
基板の表面をその下方の反応ガス流路に臨ませて前記基板の表面に半導体膜を気相成長させるフェースダウン型の半導体製造装置において、
サセプタ本体と前記サセプタ本体に載置され前記基板を保持するための基板保持部品とを有するサセプタを備え、
前記基板保持部品は、基板保持部品本体と前記基板保持部品本体に対して連結部材で着脱自在に取り付けられ前記基板を支えるツメ部品とを有することを特徴とする半導体製造装置。
【請求項6】
前記サセプタ本体が公転すると共に前記基板保持部品がサセプタ本体とは別に自転する自公転式であり、前記基板保持部品を自転させるための自転機構が前記基板保持部品本体に設けられる請求項5に記載の半導体製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−98484(P2013−98484A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242452(P2011−242452)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】