サポータ
【課題】締め付けの違和感が少なく、屈曲時にサポート力が増大する関節用のサポータを提供する。
【解決手段】屈曲動作時に支点となる関節に装着されるサポータであって、筒型または巻付型の本体11には、前記関節の少なくとも左右いずれか一方または左右両側に相当する位置にポケット14が設けられ、該ポケット内に流動性物質を袋体に充填してなる加圧材21が挿入され、前記関節の屈伸動作に応じて前記加圧材が変形されると前記流動性物質が流動して内部圧力に変動を発生させ、屈曲時において前記関節の左右いずれか一方または両側部の圧力を高めてサポート力が増強される構成としている。
【解決手段】屈曲動作時に支点となる関節に装着されるサポータであって、筒型または巻付型の本体11には、前記関節の少なくとも左右いずれか一方または左右両側に相当する位置にポケット14が設けられ、該ポケット内に流動性物質を袋体に充填してなる加圧材21が挿入され、前記関節の屈伸動作に応じて前記加圧材が変形されると前記流動性物質が流動して内部圧力に変動を発生させ、屈曲時において前記関節の左右いずれか一方または両側部の圧力を高めてサポート力が増強される構成としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膝、肘等の屈曲動作の支点となる関節周りに装着するサポータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のサポータとして、従来より膝用サポータが多数提供されている。例えば、特開平7−265354号公報で開示されている図12に示すサポータ1では、膝関節の左右両側の屈伸ラインに沿う位置にサイドボーン2を配設し、サイドボーン2により、膝屈伸を補助するように作用し、膝の負担を軽減できるとされている。
【0003】
通常、膝の痛みは軟骨の磨り減りや、膝関節を支配する大腿四頭筋や靭帯が加齢や運動不足等により衰えて関節を支えきれなくなることにより、骨と骨がぶつかることが主な原因となっている。しかしながら、前記のようなサイドボーン2は、サポータの位置ズレを防止する効果はあるが、実際に膝関節の骨と骨のぶつかりを緩和する効果は非常に弱く、膝用サポータとしての機能は不十分である。
【0004】
また、特開2000−232992号公報では、図13に示すように、膝関節の左右両側に当たる位置に膝関節を押圧する副木7およびクッション材8を取り付けるとともに、サポータ本体6の外周に巻き付けるバンド9を設けたサポータ5を提案している。このサポータ5は、バンド9で膝周りを締め付けることにより関節面を強固に固定できると共に、前記副木7とクッション材8とで一層強く圧迫固定できることで、膝の負担を軽減できるとされている。
【0005】
しかしながら、前記サポータ5は膝回り全体を常時強く締め付ける構造であるため、膝の動きが拘束されるうえ、膝を曲げたときに特に膝裏での圧迫が強くなる点に問題がある。また、膝への負担は直立時よりも膝を曲げたときに大きくなるが、膝屈曲時のサポート力の強化については考慮されていない。
【0006】
【特許文献1】特開平7−265354号公報
【特許文献2】特開2000−232992号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記問題に鑑みてなされたもので、膝用のサポータでは、膝周り全体を常時強く締め付けるのではなく、特に膝への負担が大きくなる膝屈曲時に強いサポート力を発揮して、膝関節の骨と骨のぶつかりを緩和できる膝用サポータの提供を課題としている。
さらに、膝関節と同様に屈曲動作時に支点となる関節、例えば、肘、足首、手首等の関節部においても、屈曲動作時に不用意な捻れ回転を発生させないように、強いサポート力を発揮できるサポータを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明は、屈曲動作時に支点となる関節に装着されるサポータであって、
筒型または巻付型の本体には、前記関節の少なくとも左右いずれか一方または左右両側に相当する位置にポケットが設けられ、該ポケット内に流動性物質を袋体に充填してなる加圧材が挿入され、
前記関節の屈伸動作に応じて前記加圧材が変形されると前記流動性物質が流動して内部圧力に変動を発生させ、屈曲時において前記関節の左右いずれか一方または両側部の圧力を高めてサポート力が増強される構成としていることを特徴とするサポータを提供している。
【0009】
前記構成からなる本発明のサポータは、サポート力を発生させる手段が、従来用いられている弾性パットやボーンではなく、流動性物質を袋体に充填した加圧材からなることを特徴としている。流動性物質を用いることで、屈伸動作に応じて流動性物質が流動して加圧材の内部で圧力変動が生じ、関節を屈曲した時にはサポート力を高めたい箇所の圧力が高まる一方、関節を伸ばした時には圧力は略均等となり、過大な負荷をかけないものとなる。
【0010】
詳細には、本発明のサポータは、関節の骨を加圧材が側部から支えて安定させ、関節の左右方向のズレを防止できると共に、関節の左右側副靭帯を加圧補助して骨と骨のぶつかりを防止できる。さらに、その加圧力(サポート力)は、関節を伸ばした状態より屈曲時に、加圧材の袋体も変形されて圧迫され、それにより内部の流動性物質の反発力で増大する。従って、関節の周囲を常時強く締め付ける従来のサポータに比して不快感や動き辛さを緩和できると共に、関節の屈曲時には大きなサポート力を発揮して膝への負担を大幅に軽減することができる。
一方、関節を伸ばした状態では、加圧材が原状に復帰して、関節の両側に適宜な均等な圧迫力を負荷できる。
かつ、流動性物質より圧力を負荷しているので、肌当たりがよいと共にフィット性が高いため、装着時の違和感を緩和できる。
【0011】
前記加圧材を挿入するポケットは、前記のように、左右いずれか一方、あるいは左右両側に設けているが、さらに、関節を囲む上側や下側に設け、U形状、逆U形状、さらには環状に設けてもよい。
【0012】
前記加圧材の袋体は可撓性樹脂製で、その内部に流動性物質としてエア、ゲル状物質あるいは微細粉体が充填されている。
前記ゲル状物質としてはジェル体等が挙げられ、前記微細粉体としてはパウダービーズ等が挙げられる。
このような、空気やゲル状物質を充填した加圧材であれば、適度な形態安定性と変形性を併せ持つため、屈曲時および伸ばした時のいずれも、関節の動きや表面形状に添った形状に変化し、違和感なく膝に密着して効率よく加圧補助機能を発現できる。
【0013】
その中でも、取り扱いやすさ、コスト、軽量である点から、流動性物質としてエアが最も好適に用いられ、加圧材を所謂エアバックとしていることが好ましい。
前記袋体は密閉構造として、エアバックは使い捨てとすると共に、エア圧を変えたエアバックと交換できるようにしてもよい。即ち、エア圧力を変えた加圧材をオプションとして用意しておくことが好ましい。
あるいは、前記袋体は開閉弁を備えたエア注入口を備えた構成とし、エア圧の減少時あるいはエア圧増強時にエアを注入できる構成としてもよい。
【0014】
前記ポケットは前記本体の内面側に設けても良いし、外面側に設けてもよい。
また、左右いずれか一方、あるいは両側に設けるポケットは、屈曲時の形状に対応させた円弧状あるいは「く」の字状として上下方向に延在させて設けることが好ましい。
【0015】
また、ポケット内に加圧材を挿入した後に挿入口を縫着して本体に固定してもよいが、関節に装着するサポータには汗が染み込みやすいため、適宜な期間をあけて洗濯される。 よって、洗濯時に加圧材に損傷が発生しないように、ポケットに加圧材を着脱自在に挿入する構成とすることが好ましい。さらに、加圧材の破損時の修理・交換、圧力の異なる加圧材との取替えて、好みや症状に応じた加圧材の硬さ調節も可能な点より、ポケットに加圧材を着脱自在とすることが好ましい。
その場合、ポケットの上端を開口して挿脱口としてもよいが、ポケットを円弧状あるいは「く」の字状に屈曲させていると、上端開口から加圧材を挿入しにくいため、側面を開口して止め具で開閉しても良い。さらに、長さ方向の中央部に幅方向のスリットを設けてもよいし、幅方向の中央部に長さ方向のスリットを設けてもよい。
【0016】
前記筒型あるいは巻付型の本体は、表面が布で被覆された弾性樹脂材からなり、該弾性樹脂材は前記関節の形状に応じた膨出部あるいは/および窪み部が成形されていることが好ましい。
前記のように、本体をウレタン等の弾性樹脂材で成形して、表面を繊維で被覆した構成とすると、関節を締付感を与えることなく、適度の負荷を与えることができ、かつ、屈伸挙動を阻害せず、着用感を高めることができる。
また、弾性樹脂材で形成すると、関節の形状に応じた膨出部あるいは/および窪み部を容易に成形できる。このように、関節の形状に対応した形状とすることで、サポータのずれを防止することができると共に、着用時の違和感をより低減することができる。
【0017】
本発明のサポータは、膝、肘、足首あるいは/および手首等の屈曲動作時の支点となる関節に装着されるものであれば、その用途は限定されない。
【0018】
膝用サポータとした場合、前記本体は膝関節周囲に装着される筒型または巻付型とされ、該本体の膝頭に相当する部分に円形状の穴が刳り貫かれている一方、
前記本体の内面に別体の弾性樹脂材からなる裏面材が設けられ、該別体の弾性樹脂材に前記貫通穴内に膨出する膝当て部が設けられていると共に該膝当て部の左右両側部と前記本体とで前記ポケットを形成しており、該ポケット内に前記加圧材が着脱自在に挿入可能とされ、
直立時よりも膝屈曲時に前記加圧材が圧迫されて該加圧材内の圧力が高まり、膝関節の左右いずれか一方あるいは左右両側へのサポート力が増強される構成としていることが好ましい。
【0019】
前記構成の膝用サポータでは、加圧材が膝蓋骨を側部から支えて安定させ、膝関節の左右方向のズレを防止できると共に、膝関節の左右側副靭帯を加圧補助して骨と骨のぶつかりを防止できる。さらに、その加圧力(サポート力)は、直立時よりも膝への負担が大きくなる膝屈曲時に、加圧材が圧迫されることに因る前記流動性物質の反発力で増大する。従って、膝周囲を常時強く締め付ける従来のサポータに比して不快感や動き辛さを緩和できると共に、膝屈曲時には大きなサポート力を発揮して膝への負担を大幅に軽減することができる。
また、加圧材内の充填物が流動性物質であるため、膝の屈曲や直立に応じて流動して、常時、膝の両側に適宜の圧迫力を負荷でき、かつ、肌当たりがよいと共にフィット性が高いため、装着時の違和感を緩和できる。
さらに、膝頭に相当する部分には本体に円形の刳り貫きを設け、該刳り貫きに膝頭を覆う膨出した裏面材を設けているため、サポータの位置ずれを発生させない構成とすることができる。
なお、前記膝用サポータの本体は、筒型、巻付型のいずれでもよく、巻付型の場合は、巻付端の接合位置が膝前側あるいは膝裏側のいずれ側にくるものでもよいが、膝裏側とすることが好ましい。
【0020】
また、膝用サポータでは、前記本体の膝頭に相当する部分は円形状に膨出され、あるいは、前記本体の膝頭に相当する部分に円形状の穴が刳り貫かれ、あるいは、
前記本体の膝頭に相当する部分に円形状の穴が刳り貫かれていると共に、別体の弾性樹脂材からなる表面材を重ね、該表面材に円形の膨出部を設け、該表面材を側方へ延在させて前記ポケットを設けてもよい。
【0021】
前記のように膝頭に相当する部分の本体を膝頭が丁度嵌合するように膨出させると、サポータの位置ずれを発生させない構成とすることができる。
また、膝頭に相当する部分に穴をあけると、穴から放熱、放湿でき、特に夏場の汗や熱による不快感を解消できると共に、膝頭の挙動が自由となり、運動追従性に優れたものとなる。
さらに、前記のように本体には膝頭に当たる部分に穴を空けると共に、膨出させた表面材を重ねると、発汗性を保持できると共に、位置ずれ機能も優れ、かつ、該表面材でポケットも形成すると、簡単な構成としながら多機能を付与できる。
【0022】
さらに、膝用サポータでは、膝裏部の膝関節屈曲位置に開口部が設けられていることが好ましい。
この膝裏の開口部により、膝屈曲時における膝裏でのサポータ生地の折り重なって皺が発生するのを解消でき、膝裏への圧迫感を緩和できるため、歩行や膝屈伸などの運動を違和感なく楽にできるようになると共に、サポータの位置ズレも防止できる。また、該開口部から放熱、放湿でき、特に夏場の汗や熱による不快感を解消できる。
【0023】
なお、前記膝頭の膨出あるいは開口、膝裏の開口は膝用サポータに限らず、肘用サポータでは肘頭に相当する部分を膨出させ、あるいは開口を設け、肘裏(肘内側)には開口を設けることが好ましい。
【0024】
また、膝用サポータでは、前記本体の膝頭を挟む左右両側に、外向きに湾曲する三日月形状の前記ポケットが設けられていることが好ましい。その場合、該ポケットに挿入する前記加圧材はポケットの形状に沿った三日月形状とされる。
【0025】
さらに、前記左右の加圧材よりも外側で、膝関節の左右両側に当たる位置に、サイドボーンを備えた構成としてもよい。
このサイドボーンの取り付け箇所は耐屈曲性が強くなるため、大きく屈曲する膝裏側への回り込みを該サイドボーンによって規制でき、サポータの位置ズレを確実に防止できる。
なお、前記サイドボーンは、膝屈曲方向と反対方向に湾曲した弓状のものを取り付けることが好ましい。これにより、膝屈曲方向への耐屈曲性を一層高めることができる。
【0026】
本発明の膝用サポータでは、下端は、ふくらはぎの最大部の位置あるいは該最大部を超える下方位置とし、上端は、膝上から大腿部の中間部までの範囲内としていることが好ましい。
なお、下端を足首まで延在させ、上部側の左右両側にポケットを設けて加圧材を挿入し、膝サポート部とすると共に、足首回りの左右両側にもポケットを設けて加圧材を挿入し、足首サポート部とし、アキレス腱のサポートを兼ねるものとしてもよい。その場合、足首から膝にかけた部分も膝下脚部が弾性樹脂材からなる本体で覆われて適度に圧力が負荷されるため、脚を細く補整する機能も備えたものとすることができる。
さらに、本発明のサポータは防水(撥水)素材で形成して、水中使用も可能となのとしてもよい。
【発明の効果】
【0027】
上述したように、本発明の関節用のサポータでは、エア等の流動性物質を袋体に充填した加圧材を用いているため、関節屈曲時に袋体が変形されると共に圧迫されると、内部の流動性物質が流動して圧力変動が発生して加圧材内で部分的に圧力が増し、関節を伸ばした状態より屈曲時に関節の側部に当たる部分で加圧材は硬くなってサポート力が増大する。従って、屈曲時におけるサポート力を関節を伸ばした時よりも強くでき、関節を側方から支えて安定させ、関節の左右のズレを防止できると共に、側副靭帯を加圧補助して関節への負担を軽減することができる。一方、関節を伸ばした状態では適度の加圧力しか負荷せず、強く締め付けていないと共に、加圧材に流動性物質を充填しているため、肌あたりがよく、装着感の良いものとすることができる。
【0028】
さらに、加圧材をポケットに挿入して着脱自在に取り付ける構成とすると、圧力の異なるサポータとの交換等が容易となり、好みや症状に応じた加圧材の硬さ調節が可能となる。
【0029】
特に、加齢に伴い軟骨が退化して屈曲時に関節部に痛みが発生しやすい膝関節のサポータとすると、膝の屈曲時に関節の側部を加圧材で強くサポートすることができるため、膝を締め付けることなく、屈曲時におけるサポート機能が高いサポータとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図6は本発明の第1実施形態に係る膝用サポータ10を示す。
膝用サポータ10は、膝関節全周を覆う円筒形状のサポータであり、長さを膝上からふくらはぎの最大部の位置までとし、膝前側を覆う膝当て部Aから左右両側部Bを経て膝裏側Cで縫着されている本体11の裏面に、膝当て部Aから左右両側部Bにかけて延在させた裏面材41を縫着し、左右両側部Bにおいて本体11と裏面材41との間に形成した左右一対のポケット14にエアバック状の加圧材21を挿入する構成としている。
【0031】
前記本体11及び裏面材41は、表面が布で被覆されたポリウレタンの弾性樹脂材からなり、本体11の膝当て部Aの中央部に、図1及び図2に示すように、膝蓋骨に当たる略中央位置に膝頭を突出させる膝頭開口部13を設けている。さらに、本体11には、前記膝頭開口部13の左右両側で、かつ、前記ポケット14の長さ方向の略中央位置に挿入用スリット42を設けている。
【0032】
前記裏面材41は、図3に示すように、膝当て部Aから左右両側部Bを覆う形状とし、左右両外縁12a,12bおよび下縁12cを本体11と縫着すると共に、上縁12dが左右両側縁の一部を除いて縫着している。
【0033】
裏面材41の左右両外縁12a、12bはそれぞれ膝裏側Cに向けて屈曲した円弧形状とすると共に、膝当て側Aに向けて所要幅Wをあけて前記外縁12a、12bと平行な円弧形状のライン12e、12fに沿って本体11と縫着している。これにより、外縁12aとライン12e(12bと12f)および下縁12cで本体11と縫着されると共に上端に挿入用開口14aを備えた左右一対のポケット14を形成している。
前記左右一対のポケット14は膝当て部Aと膝裏部Cに挟まれた左右両側部Bにおいて、外向きに湾曲した三日月形状として上下方向に延在している。
【0034】
前記裏面材41の膝当て部Aの中央部で、且つ前記本体11の膝頭開口部13に当たる部分は加熱プレスして膨出部15を成形し、該膨出部15を本体11に形成した膝頭開口部13から露出させている。
【0035】
前記左右一対のポケット14には、図4に示すエアバック状の加圧材21をポケット14の上端の挿入用開口14aまたは本体11に設けられた挿入用スリット42を通して取り出し自在に挿入している。
前記加圧材21は、ポケット14の形状と略相似の三日月形状とした袋体22内にエア24を密封している。袋体22は容易に変形する可撓性を有する樹脂で成形しており、本実施形態ではポリプロピレンとスチレン系エラストマーのブレンド樹脂で形成している。 本実施形態における樹脂の引張試験(JIS K−7113の2号型ダンベル試験片、引張速度50mm/min)における降伏点強度を1.90MPa、引張弾性率を9.0MPaとしている。
袋体22は、エア吹き込み口23からエア24を吹き込み、該袋体22内が所要の空気圧となったところでエア吹き込み口23を封鎖加工することにより製造している。
本実施形態では、90度曲げ圧縮時のエア圧は17.8kPaとしている。また、エア24を袋体22内に密封した状態での破壊強度を6.86kNとしている。
【0036】
左右一対の前記加圧材21をポケット14に挿入した状態で、三日月状の外側湾曲部25を膝頭開口部13側に向け、膝頭開口部13を中心にX字状に配置されるようにしている。
なお、左右のポケット14それぞれの外側には、樹脂板あるいは金属板からなる弓形状のサイドボーンを取り付けてもよい。
【0037】
前記構成よりなる膝用サポータ10を装着すると、エア24が充填された加圧材21が関節の側副靭帯に沿って配置され、靭帯が違和感なく加圧サポートされると共に、加圧材21が壁となって膝蓋骨を左右から支えて膝関節を安定させ、膝にかかる負担を効果的に軽減できる。
【0038】
特に、膝への負担が小さい直立時には、図6(A)に示すように、加圧材21は強く圧迫されないため、サポート力も強くないが、膝への負担が大きくなる膝屈曲時には、図6(B)に示すように、加圧材21自体が長さ方向の略中央部で屈曲してエア24が上下両側へと流動して圧力が高まると共に、ポケット14の裏面材41と本体11との間で圧迫され、内部のエア24の反発力によって圧力が高まり、側副靭帯へのサポート力が増強される。従って、膝周囲を常時強く締め付け固定するのではなく、膝への負担が小さい直立時には締め付け力を緩和し、動きやすさを確保する一方、膝への負担が大きい屈曲時には締め付け力を強化し、膝の痛みを効果的に和らげることができる。
【0039】
さらに、前記加圧材21は、ポケット14に着脱自在に取り付けできるため、洗濯時等において取り出すことができると共に、空気圧の異なる加圧材との交換によって締め付け力(硬さ)の調節も可能となる。
【0040】
さらにまた、本体11及び裏面材41は弾性樹脂材から構成されているので、膝の屈曲挙動を阻害しない。また、図6(A)(B)に示すように、膝頭開口部13により膝頭が安定的に支持されるので、膝を屈曲しても、位置ずれを防ぐことができる。さらに、突出した膝頭には裏面材41からなる膨出部15が伸びてフィットするので、膝の屈曲により、本体11の膝関節の外周部分のみが過度に引張られることがなく、膝裏への圧迫感を緩和し、膝裏で生地が折り重なってだぶつくことも防止できる。その結果、膝を冷やすことなく、快適な装着感を得ることができる。
【0041】
なお、前記ポケット14は上端に挿入用開口14a、本体11に挿入用スリット42を設けているが、該ポケット14への加圧材21の挿脱を容易とするため図7(A)(B)に示す構成としてもよい。
図7(A)ではポケット14の膝裏側に位置する内周円弧部を開口14cとし、該開口14cの端縁に沿って本体11と裏面材41との間に互いに係止する雌雄ボタン28を取り付けている。なお、雌雄ボタン28にかえてスライドファスナーあるいは面ファスナーを取り付けてもよい。
図7(B)では、ポケット14の幅方向の中央部で長さ方向にスリット14eを設け、該スリット14eを押し開いて加圧材21を挿脱できるようにしている。
【0042】
図8乃至図11は本発明の第2実施形態に係る膝用サポータ20を示す。
第2実施形態の膝用サポータ20は巻付型のサポータとし、膝前側を覆う膝当て部Aから左右両側部Bを経て膝裏側Cを覆う連続した本体11に、膝当て部Aおよび左右両側部Bを覆う表面材12を縫着し、左右両側部Bにおいて本体11と表面材12との間に形成した左右一対のポケット14にエアバック状の加圧材21を挿入する構成としている。
【0043】
前記本体11には、膝当て部Aの中央部に、図9に示すように膝蓋骨に当たる略中央位置に膝頭を露出させる膝頭開口部13を設けている。また、膝裏側Cを覆う左右両側部11a、11bは夫々上下に分割して上下帯部16a、16b、17a、17bを設け、上下帯部16aと16b、17aと17bの間に大きな空間を空けていると共に、左右方向で上下帯部の突出量を変えている。
即ち、図1中の右上帯部16aより右下帯部16bを長尺とすると共に、左上帯部17aを左下帯部17bより長尺としている。
かつ、長尺側の右下帯16bと左上帯17aには外面側に雌面ファスナー18を縫着すると共に、短尺側の右上帯17aと左下帯17bには内面側に雄面ファスナー19を縫着している。
前記のように左右の上下帯部16a〜17bを膝裏側に配置して雌雄面ファスナー18と19とを係合することで巻き付け状態を保持し、かつ、その間に膝裏側開口26が生じるようにしている。
【0044】
前記表面材12は、膝当て部Aから左右両側部Bを覆う形状とし、左右両外縁12a,12bおよび下縁12cを本体11と縫着すると共に、上縁12dが左右両側縁の一部を除いて縫着している。
【0045】
表面材12の左右両外縁12a、12bはそれぞれ外向きに屈曲した円弧形状とすると共に、膝当て側Aに向けて所要幅Wをあけて前記外縁12a、12bと平行な円弧形状のライン12e、12fに沿って本体11と縫着している。これにより、外縁12aとライン12e(12bと12f)および下縁12cで本体11と縫着されると共に上端に挿入用開口14aを備えた左右一対のポケット14を形成している。
前記左右一対のポケット14は膝当て部Aと膝裏部Cに挟まれた左右両側部Bにおいて、外向きに湾曲した三日月形状として上下方向に延在している。
【0046】
前記表面材12の膝当て部Aの中央部で、且つ前記本体11の膝頭開口部13に当たる部分は加熱プレスして膨出部15を成形して、膝頭が膝頭開口部13を通して膨出部15に嵌合されるようにしている。
【0047】
本実施形態では、膝裏の屈曲位置に開口部26を設けているため、放熱、放湿効果を有すると共に、膝を屈曲しても、図11(B)に示すように、膝裏で生地が折り重なってだぶつくことを防止でき、膝裏への圧迫感を緩和できる。
加圧材21は第1実施形態と同様であると共に、他の構成および作用は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0048】
図12に膝用サポータの第3実施形態を示す。
第3実施形態の膝用サポータ30は円筒形状とし、かつ、本体11に表面材12を取り付けず、ポケット材31を本体11の外面に縫着してポケット14を形成している。
本体11の膝頭に当たる部分には膨出部32を熱プレスで成形している。
該膨出部32の左右両側に第1実施形態と同様な三日月形状としたポケット材31を本体11に縫着しポケット14を形成している。該ポケット材31は膝裏側に面する内周円弧縁31aは縫着せずに、加圧材21を横入れ、横出しする挿入口33としている。該挿入口33には上下両端と中央部に前記雌雄ボタン28を取り付けている。
また、本体11の膝裏に当たる部分には膝裏開口部35を設けている。
加圧材21は第1実施形態と同様であると共に、他の構成および作用は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0049】
図13に膝用サポータの第4実施形態を示す。
第4実施形態の膝用サポータ40は、ポケット14を左右いずれか一側部に設けている点だけが第3実施形態と相違し、他の構成は同一である。
このように左右いずれか一側にポケット14を設けた場合、膝の外側あるいは内側に痛みが生じる場合、痛みが生じる側にポケット14を位置させ、該ポケット14に挿入する加圧材21でサポートすることができる。
【0050】
なお、図14(A)に示すように、ポケット14を膝頭の下側で左右のポケット14の間にも設けてもよい。
さらに、図14(B)に示すように、膝頭の上側と下側にも設けて、左右のポケットと連続した環状としてもよい。
【0051】
図15(A)(B)(C)に膝以外の屈曲動作の支点となる関節に装着する第5、第6、第7実施形態を示す。いずれの実施形態も前記第1、第2実施形態と同様な作用を奏する。
【0052】
図15(A)の第5実施形態は肘用サポータ50であり、前記第1実施形態と同様な筒型とし、その左右両側にポケット14を設けて加圧材21を挿入している。肘頭に当たる部分には膨出部(図示せず)を設けている。
【0053】
図15(B)の第6実施形態は手首用サポータ60であり、前記第1実施形態と同様な筒型とし、その左右両側にポケット14を設けて加圧材21を挿入している。この手首用サポータ60を装着すると、手首が安定支持でき、手首の不用意な捩れを防止することができる。
なお、手袋と一体化させて、手袋の手挿入側にサポータ部を付設してもよい。
【0054】
図15(C)の第7実施形態は足首用サポータ70であり、前記第1実施形態と同様な筒型とし、足首裏のアキレス鍵の両側にポケット14を設けて加圧材21を挿入している。この足首用サポータ70を装着すると、足首の左右両側および足裏部が安定して支持でき、アキレス腱を安定支持できる。
【0055】
図16に膝から足首にかけた下肢用サポータ80の第8実施形態を示す。
第8実施形態のサポータ80も第1実施形態と同様な筒型とし、膝上から足首まで延在する長尺な筒状の本体11を備える。
該本体11の上端側の膝に当たる部分には左右両側にポケット81を設けると共に下端側の足首に当たる部分には、左右両側および足首裏側にポケット82を設け、それぞれ加圧材21を挿入する構成としてる。
また、膝から足首の間の中間部では、ふくらはぎを囲む部分では若干膨出させて脚の形状に沿わせるように成形すると共に、この中間部はポケットを設ける上下両側よりも本体11の厚さを薄くして装着性を高めている。
【0056】
前記サポータ80を装着すると膝と足首の両方のサポートを図ることができると共に、膝から足首のかけた下肢の全域を覆うため、脚を細くする補整機能も付加することができる。
【0057】
本発明は前記実施形態に限定されず、ポケットに加圧材を挿入した後に縫着して加圧材を取出不可としても良いし、ポケットを本体の内面側あるいは外面側のどちらに設けてもよい。
さらに、本体および表面材の素材はウレタンに限定されず、伸びが比較的少なく弾性を有する素材であればよい。
また、膝、肘、手首、足首のサポータに限定されず、身体の屈曲支点となる関節のある位置に装着するサポータとして適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の第1実施形態に係る膝用サポータの斜視図である。
【図2】図1に示す膝用サポータの表面の側面図を示し、(A)は左側面図、(B)は右側面図である。
【図3】図1に示す膝用サポータの裏面の側面図を示し、(A)は図2(B)の裏面、(B)は図2(A)の裏面である。
【図4】図1に示す膝用サポータの加圧材を示し、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図5】図1示す膝用サポータの装着状態を示す正面図である。
【図6】図1に示す膝用サポータの装着状態の側面図で、(A)は直立時の状態を示し、(B)は屈曲時の状態を示す図である。
【図7】(A)(B)は加圧材を挿入するポケットの挿入口の変形例を示す図面である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る膝用サポータの正面図である。
【図9】図8に示す膝用サポータの裏面図である。
【図10】図8に示す膝用サポータの装着状態を示し、(A)は正面図、(B)は背面図である。
【図11】図8に示す膝用サポータの装着状態の側面図で、(A)は直立時の状態を示し、(B)は屈曲時の状態を示す図である。
【図12】第3実施形態の膝用サポータの斜視図である。
【図13】第4実施形態の膝用サポータの斜視図である。
【図14】(A)(B)はポケットを増やした変形例である。
【図15】(A)は肘用サポータの第5実施形態の概略図、(B)は手首用サポータの第6実施形態の概略図、(C)は足首用サポータの第7実施形態の概略図である。
【図16】第8実施形態のサポータの概略図である。
【図17】従来例の図である。
【図18】他の従来例の図である。
【符号の説明】
【0059】
10 膝用サポータ
11 本体
12 表面材
14 ポケット
21 加圧材
22 袋体
24 エア(流動性物質)
41 裏面材
【技術分野】
【0001】
本発明は、膝、肘等の屈曲動作の支点となる関節周りに装着するサポータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のサポータとして、従来より膝用サポータが多数提供されている。例えば、特開平7−265354号公報で開示されている図12に示すサポータ1では、膝関節の左右両側の屈伸ラインに沿う位置にサイドボーン2を配設し、サイドボーン2により、膝屈伸を補助するように作用し、膝の負担を軽減できるとされている。
【0003】
通常、膝の痛みは軟骨の磨り減りや、膝関節を支配する大腿四頭筋や靭帯が加齢や運動不足等により衰えて関節を支えきれなくなることにより、骨と骨がぶつかることが主な原因となっている。しかしながら、前記のようなサイドボーン2は、サポータの位置ズレを防止する効果はあるが、実際に膝関節の骨と骨のぶつかりを緩和する効果は非常に弱く、膝用サポータとしての機能は不十分である。
【0004】
また、特開2000−232992号公報では、図13に示すように、膝関節の左右両側に当たる位置に膝関節を押圧する副木7およびクッション材8を取り付けるとともに、サポータ本体6の外周に巻き付けるバンド9を設けたサポータ5を提案している。このサポータ5は、バンド9で膝周りを締め付けることにより関節面を強固に固定できると共に、前記副木7とクッション材8とで一層強く圧迫固定できることで、膝の負担を軽減できるとされている。
【0005】
しかしながら、前記サポータ5は膝回り全体を常時強く締め付ける構造であるため、膝の動きが拘束されるうえ、膝を曲げたときに特に膝裏での圧迫が強くなる点に問題がある。また、膝への負担は直立時よりも膝を曲げたときに大きくなるが、膝屈曲時のサポート力の強化については考慮されていない。
【0006】
【特許文献1】特開平7−265354号公報
【特許文献2】特開2000−232992号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記問題に鑑みてなされたもので、膝用のサポータでは、膝周り全体を常時強く締め付けるのではなく、特に膝への負担が大きくなる膝屈曲時に強いサポート力を発揮して、膝関節の骨と骨のぶつかりを緩和できる膝用サポータの提供を課題としている。
さらに、膝関節と同様に屈曲動作時に支点となる関節、例えば、肘、足首、手首等の関節部においても、屈曲動作時に不用意な捻れ回転を発生させないように、強いサポート力を発揮できるサポータを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明は、屈曲動作時に支点となる関節に装着されるサポータであって、
筒型または巻付型の本体には、前記関節の少なくとも左右いずれか一方または左右両側に相当する位置にポケットが設けられ、該ポケット内に流動性物質を袋体に充填してなる加圧材が挿入され、
前記関節の屈伸動作に応じて前記加圧材が変形されると前記流動性物質が流動して内部圧力に変動を発生させ、屈曲時において前記関節の左右いずれか一方または両側部の圧力を高めてサポート力が増強される構成としていることを特徴とするサポータを提供している。
【0009】
前記構成からなる本発明のサポータは、サポート力を発生させる手段が、従来用いられている弾性パットやボーンではなく、流動性物質を袋体に充填した加圧材からなることを特徴としている。流動性物質を用いることで、屈伸動作に応じて流動性物質が流動して加圧材の内部で圧力変動が生じ、関節を屈曲した時にはサポート力を高めたい箇所の圧力が高まる一方、関節を伸ばした時には圧力は略均等となり、過大な負荷をかけないものとなる。
【0010】
詳細には、本発明のサポータは、関節の骨を加圧材が側部から支えて安定させ、関節の左右方向のズレを防止できると共に、関節の左右側副靭帯を加圧補助して骨と骨のぶつかりを防止できる。さらに、その加圧力(サポート力)は、関節を伸ばした状態より屈曲時に、加圧材の袋体も変形されて圧迫され、それにより内部の流動性物質の反発力で増大する。従って、関節の周囲を常時強く締め付ける従来のサポータに比して不快感や動き辛さを緩和できると共に、関節の屈曲時には大きなサポート力を発揮して膝への負担を大幅に軽減することができる。
一方、関節を伸ばした状態では、加圧材が原状に復帰して、関節の両側に適宜な均等な圧迫力を負荷できる。
かつ、流動性物質より圧力を負荷しているので、肌当たりがよいと共にフィット性が高いため、装着時の違和感を緩和できる。
【0011】
前記加圧材を挿入するポケットは、前記のように、左右いずれか一方、あるいは左右両側に設けているが、さらに、関節を囲む上側や下側に設け、U形状、逆U形状、さらには環状に設けてもよい。
【0012】
前記加圧材の袋体は可撓性樹脂製で、その内部に流動性物質としてエア、ゲル状物質あるいは微細粉体が充填されている。
前記ゲル状物質としてはジェル体等が挙げられ、前記微細粉体としてはパウダービーズ等が挙げられる。
このような、空気やゲル状物質を充填した加圧材であれば、適度な形態安定性と変形性を併せ持つため、屈曲時および伸ばした時のいずれも、関節の動きや表面形状に添った形状に変化し、違和感なく膝に密着して効率よく加圧補助機能を発現できる。
【0013】
その中でも、取り扱いやすさ、コスト、軽量である点から、流動性物質としてエアが最も好適に用いられ、加圧材を所謂エアバックとしていることが好ましい。
前記袋体は密閉構造として、エアバックは使い捨てとすると共に、エア圧を変えたエアバックと交換できるようにしてもよい。即ち、エア圧力を変えた加圧材をオプションとして用意しておくことが好ましい。
あるいは、前記袋体は開閉弁を備えたエア注入口を備えた構成とし、エア圧の減少時あるいはエア圧増強時にエアを注入できる構成としてもよい。
【0014】
前記ポケットは前記本体の内面側に設けても良いし、外面側に設けてもよい。
また、左右いずれか一方、あるいは両側に設けるポケットは、屈曲時の形状に対応させた円弧状あるいは「く」の字状として上下方向に延在させて設けることが好ましい。
【0015】
また、ポケット内に加圧材を挿入した後に挿入口を縫着して本体に固定してもよいが、関節に装着するサポータには汗が染み込みやすいため、適宜な期間をあけて洗濯される。 よって、洗濯時に加圧材に損傷が発生しないように、ポケットに加圧材を着脱自在に挿入する構成とすることが好ましい。さらに、加圧材の破損時の修理・交換、圧力の異なる加圧材との取替えて、好みや症状に応じた加圧材の硬さ調節も可能な点より、ポケットに加圧材を着脱自在とすることが好ましい。
その場合、ポケットの上端を開口して挿脱口としてもよいが、ポケットを円弧状あるいは「く」の字状に屈曲させていると、上端開口から加圧材を挿入しにくいため、側面を開口して止め具で開閉しても良い。さらに、長さ方向の中央部に幅方向のスリットを設けてもよいし、幅方向の中央部に長さ方向のスリットを設けてもよい。
【0016】
前記筒型あるいは巻付型の本体は、表面が布で被覆された弾性樹脂材からなり、該弾性樹脂材は前記関節の形状に応じた膨出部あるいは/および窪み部が成形されていることが好ましい。
前記のように、本体をウレタン等の弾性樹脂材で成形して、表面を繊維で被覆した構成とすると、関節を締付感を与えることなく、適度の負荷を与えることができ、かつ、屈伸挙動を阻害せず、着用感を高めることができる。
また、弾性樹脂材で形成すると、関節の形状に応じた膨出部あるいは/および窪み部を容易に成形できる。このように、関節の形状に対応した形状とすることで、サポータのずれを防止することができると共に、着用時の違和感をより低減することができる。
【0017】
本発明のサポータは、膝、肘、足首あるいは/および手首等の屈曲動作時の支点となる関節に装着されるものであれば、その用途は限定されない。
【0018】
膝用サポータとした場合、前記本体は膝関節周囲に装着される筒型または巻付型とされ、該本体の膝頭に相当する部分に円形状の穴が刳り貫かれている一方、
前記本体の内面に別体の弾性樹脂材からなる裏面材が設けられ、該別体の弾性樹脂材に前記貫通穴内に膨出する膝当て部が設けられていると共に該膝当て部の左右両側部と前記本体とで前記ポケットを形成しており、該ポケット内に前記加圧材が着脱自在に挿入可能とされ、
直立時よりも膝屈曲時に前記加圧材が圧迫されて該加圧材内の圧力が高まり、膝関節の左右いずれか一方あるいは左右両側へのサポート力が増強される構成としていることが好ましい。
【0019】
前記構成の膝用サポータでは、加圧材が膝蓋骨を側部から支えて安定させ、膝関節の左右方向のズレを防止できると共に、膝関節の左右側副靭帯を加圧補助して骨と骨のぶつかりを防止できる。さらに、その加圧力(サポート力)は、直立時よりも膝への負担が大きくなる膝屈曲時に、加圧材が圧迫されることに因る前記流動性物質の反発力で増大する。従って、膝周囲を常時強く締め付ける従来のサポータに比して不快感や動き辛さを緩和できると共に、膝屈曲時には大きなサポート力を発揮して膝への負担を大幅に軽減することができる。
また、加圧材内の充填物が流動性物質であるため、膝の屈曲や直立に応じて流動して、常時、膝の両側に適宜の圧迫力を負荷でき、かつ、肌当たりがよいと共にフィット性が高いため、装着時の違和感を緩和できる。
さらに、膝頭に相当する部分には本体に円形の刳り貫きを設け、該刳り貫きに膝頭を覆う膨出した裏面材を設けているため、サポータの位置ずれを発生させない構成とすることができる。
なお、前記膝用サポータの本体は、筒型、巻付型のいずれでもよく、巻付型の場合は、巻付端の接合位置が膝前側あるいは膝裏側のいずれ側にくるものでもよいが、膝裏側とすることが好ましい。
【0020】
また、膝用サポータでは、前記本体の膝頭に相当する部分は円形状に膨出され、あるいは、前記本体の膝頭に相当する部分に円形状の穴が刳り貫かれ、あるいは、
前記本体の膝頭に相当する部分に円形状の穴が刳り貫かれていると共に、別体の弾性樹脂材からなる表面材を重ね、該表面材に円形の膨出部を設け、該表面材を側方へ延在させて前記ポケットを設けてもよい。
【0021】
前記のように膝頭に相当する部分の本体を膝頭が丁度嵌合するように膨出させると、サポータの位置ずれを発生させない構成とすることができる。
また、膝頭に相当する部分に穴をあけると、穴から放熱、放湿でき、特に夏場の汗や熱による不快感を解消できると共に、膝頭の挙動が自由となり、運動追従性に優れたものとなる。
さらに、前記のように本体には膝頭に当たる部分に穴を空けると共に、膨出させた表面材を重ねると、発汗性を保持できると共に、位置ずれ機能も優れ、かつ、該表面材でポケットも形成すると、簡単な構成としながら多機能を付与できる。
【0022】
さらに、膝用サポータでは、膝裏部の膝関節屈曲位置に開口部が設けられていることが好ましい。
この膝裏の開口部により、膝屈曲時における膝裏でのサポータ生地の折り重なって皺が発生するのを解消でき、膝裏への圧迫感を緩和できるため、歩行や膝屈伸などの運動を違和感なく楽にできるようになると共に、サポータの位置ズレも防止できる。また、該開口部から放熱、放湿でき、特に夏場の汗や熱による不快感を解消できる。
【0023】
なお、前記膝頭の膨出あるいは開口、膝裏の開口は膝用サポータに限らず、肘用サポータでは肘頭に相当する部分を膨出させ、あるいは開口を設け、肘裏(肘内側)には開口を設けることが好ましい。
【0024】
また、膝用サポータでは、前記本体の膝頭を挟む左右両側に、外向きに湾曲する三日月形状の前記ポケットが設けられていることが好ましい。その場合、該ポケットに挿入する前記加圧材はポケットの形状に沿った三日月形状とされる。
【0025】
さらに、前記左右の加圧材よりも外側で、膝関節の左右両側に当たる位置に、サイドボーンを備えた構成としてもよい。
このサイドボーンの取り付け箇所は耐屈曲性が強くなるため、大きく屈曲する膝裏側への回り込みを該サイドボーンによって規制でき、サポータの位置ズレを確実に防止できる。
なお、前記サイドボーンは、膝屈曲方向と反対方向に湾曲した弓状のものを取り付けることが好ましい。これにより、膝屈曲方向への耐屈曲性を一層高めることができる。
【0026】
本発明の膝用サポータでは、下端は、ふくらはぎの最大部の位置あるいは該最大部を超える下方位置とし、上端は、膝上から大腿部の中間部までの範囲内としていることが好ましい。
なお、下端を足首まで延在させ、上部側の左右両側にポケットを設けて加圧材を挿入し、膝サポート部とすると共に、足首回りの左右両側にもポケットを設けて加圧材を挿入し、足首サポート部とし、アキレス腱のサポートを兼ねるものとしてもよい。その場合、足首から膝にかけた部分も膝下脚部が弾性樹脂材からなる本体で覆われて適度に圧力が負荷されるため、脚を細く補整する機能も備えたものとすることができる。
さらに、本発明のサポータは防水(撥水)素材で形成して、水中使用も可能となのとしてもよい。
【発明の効果】
【0027】
上述したように、本発明の関節用のサポータでは、エア等の流動性物質を袋体に充填した加圧材を用いているため、関節屈曲時に袋体が変形されると共に圧迫されると、内部の流動性物質が流動して圧力変動が発生して加圧材内で部分的に圧力が増し、関節を伸ばした状態より屈曲時に関節の側部に当たる部分で加圧材は硬くなってサポート力が増大する。従って、屈曲時におけるサポート力を関節を伸ばした時よりも強くでき、関節を側方から支えて安定させ、関節の左右のズレを防止できると共に、側副靭帯を加圧補助して関節への負担を軽減することができる。一方、関節を伸ばした状態では適度の加圧力しか負荷せず、強く締め付けていないと共に、加圧材に流動性物質を充填しているため、肌あたりがよく、装着感の良いものとすることができる。
【0028】
さらに、加圧材をポケットに挿入して着脱自在に取り付ける構成とすると、圧力の異なるサポータとの交換等が容易となり、好みや症状に応じた加圧材の硬さ調節が可能となる。
【0029】
特に、加齢に伴い軟骨が退化して屈曲時に関節部に痛みが発生しやすい膝関節のサポータとすると、膝の屈曲時に関節の側部を加圧材で強くサポートすることができるため、膝を締め付けることなく、屈曲時におけるサポート機能が高いサポータとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図6は本発明の第1実施形態に係る膝用サポータ10を示す。
膝用サポータ10は、膝関節全周を覆う円筒形状のサポータであり、長さを膝上からふくらはぎの最大部の位置までとし、膝前側を覆う膝当て部Aから左右両側部Bを経て膝裏側Cで縫着されている本体11の裏面に、膝当て部Aから左右両側部Bにかけて延在させた裏面材41を縫着し、左右両側部Bにおいて本体11と裏面材41との間に形成した左右一対のポケット14にエアバック状の加圧材21を挿入する構成としている。
【0031】
前記本体11及び裏面材41は、表面が布で被覆されたポリウレタンの弾性樹脂材からなり、本体11の膝当て部Aの中央部に、図1及び図2に示すように、膝蓋骨に当たる略中央位置に膝頭を突出させる膝頭開口部13を設けている。さらに、本体11には、前記膝頭開口部13の左右両側で、かつ、前記ポケット14の長さ方向の略中央位置に挿入用スリット42を設けている。
【0032】
前記裏面材41は、図3に示すように、膝当て部Aから左右両側部Bを覆う形状とし、左右両外縁12a,12bおよび下縁12cを本体11と縫着すると共に、上縁12dが左右両側縁の一部を除いて縫着している。
【0033】
裏面材41の左右両外縁12a、12bはそれぞれ膝裏側Cに向けて屈曲した円弧形状とすると共に、膝当て側Aに向けて所要幅Wをあけて前記外縁12a、12bと平行な円弧形状のライン12e、12fに沿って本体11と縫着している。これにより、外縁12aとライン12e(12bと12f)および下縁12cで本体11と縫着されると共に上端に挿入用開口14aを備えた左右一対のポケット14を形成している。
前記左右一対のポケット14は膝当て部Aと膝裏部Cに挟まれた左右両側部Bにおいて、外向きに湾曲した三日月形状として上下方向に延在している。
【0034】
前記裏面材41の膝当て部Aの中央部で、且つ前記本体11の膝頭開口部13に当たる部分は加熱プレスして膨出部15を成形し、該膨出部15を本体11に形成した膝頭開口部13から露出させている。
【0035】
前記左右一対のポケット14には、図4に示すエアバック状の加圧材21をポケット14の上端の挿入用開口14aまたは本体11に設けられた挿入用スリット42を通して取り出し自在に挿入している。
前記加圧材21は、ポケット14の形状と略相似の三日月形状とした袋体22内にエア24を密封している。袋体22は容易に変形する可撓性を有する樹脂で成形しており、本実施形態ではポリプロピレンとスチレン系エラストマーのブレンド樹脂で形成している。 本実施形態における樹脂の引張試験(JIS K−7113の2号型ダンベル試験片、引張速度50mm/min)における降伏点強度を1.90MPa、引張弾性率を9.0MPaとしている。
袋体22は、エア吹き込み口23からエア24を吹き込み、該袋体22内が所要の空気圧となったところでエア吹き込み口23を封鎖加工することにより製造している。
本実施形態では、90度曲げ圧縮時のエア圧は17.8kPaとしている。また、エア24を袋体22内に密封した状態での破壊強度を6.86kNとしている。
【0036】
左右一対の前記加圧材21をポケット14に挿入した状態で、三日月状の外側湾曲部25を膝頭開口部13側に向け、膝頭開口部13を中心にX字状に配置されるようにしている。
なお、左右のポケット14それぞれの外側には、樹脂板あるいは金属板からなる弓形状のサイドボーンを取り付けてもよい。
【0037】
前記構成よりなる膝用サポータ10を装着すると、エア24が充填された加圧材21が関節の側副靭帯に沿って配置され、靭帯が違和感なく加圧サポートされると共に、加圧材21が壁となって膝蓋骨を左右から支えて膝関節を安定させ、膝にかかる負担を効果的に軽減できる。
【0038】
特に、膝への負担が小さい直立時には、図6(A)に示すように、加圧材21は強く圧迫されないため、サポート力も強くないが、膝への負担が大きくなる膝屈曲時には、図6(B)に示すように、加圧材21自体が長さ方向の略中央部で屈曲してエア24が上下両側へと流動して圧力が高まると共に、ポケット14の裏面材41と本体11との間で圧迫され、内部のエア24の反発力によって圧力が高まり、側副靭帯へのサポート力が増強される。従って、膝周囲を常時強く締め付け固定するのではなく、膝への負担が小さい直立時には締め付け力を緩和し、動きやすさを確保する一方、膝への負担が大きい屈曲時には締め付け力を強化し、膝の痛みを効果的に和らげることができる。
【0039】
さらに、前記加圧材21は、ポケット14に着脱自在に取り付けできるため、洗濯時等において取り出すことができると共に、空気圧の異なる加圧材との交換によって締め付け力(硬さ)の調節も可能となる。
【0040】
さらにまた、本体11及び裏面材41は弾性樹脂材から構成されているので、膝の屈曲挙動を阻害しない。また、図6(A)(B)に示すように、膝頭開口部13により膝頭が安定的に支持されるので、膝を屈曲しても、位置ずれを防ぐことができる。さらに、突出した膝頭には裏面材41からなる膨出部15が伸びてフィットするので、膝の屈曲により、本体11の膝関節の外周部分のみが過度に引張られることがなく、膝裏への圧迫感を緩和し、膝裏で生地が折り重なってだぶつくことも防止できる。その結果、膝を冷やすことなく、快適な装着感を得ることができる。
【0041】
なお、前記ポケット14は上端に挿入用開口14a、本体11に挿入用スリット42を設けているが、該ポケット14への加圧材21の挿脱を容易とするため図7(A)(B)に示す構成としてもよい。
図7(A)ではポケット14の膝裏側に位置する内周円弧部を開口14cとし、該開口14cの端縁に沿って本体11と裏面材41との間に互いに係止する雌雄ボタン28を取り付けている。なお、雌雄ボタン28にかえてスライドファスナーあるいは面ファスナーを取り付けてもよい。
図7(B)では、ポケット14の幅方向の中央部で長さ方向にスリット14eを設け、該スリット14eを押し開いて加圧材21を挿脱できるようにしている。
【0042】
図8乃至図11は本発明の第2実施形態に係る膝用サポータ20を示す。
第2実施形態の膝用サポータ20は巻付型のサポータとし、膝前側を覆う膝当て部Aから左右両側部Bを経て膝裏側Cを覆う連続した本体11に、膝当て部Aおよび左右両側部Bを覆う表面材12を縫着し、左右両側部Bにおいて本体11と表面材12との間に形成した左右一対のポケット14にエアバック状の加圧材21を挿入する構成としている。
【0043】
前記本体11には、膝当て部Aの中央部に、図9に示すように膝蓋骨に当たる略中央位置に膝頭を露出させる膝頭開口部13を設けている。また、膝裏側Cを覆う左右両側部11a、11bは夫々上下に分割して上下帯部16a、16b、17a、17bを設け、上下帯部16aと16b、17aと17bの間に大きな空間を空けていると共に、左右方向で上下帯部の突出量を変えている。
即ち、図1中の右上帯部16aより右下帯部16bを長尺とすると共に、左上帯部17aを左下帯部17bより長尺としている。
かつ、長尺側の右下帯16bと左上帯17aには外面側に雌面ファスナー18を縫着すると共に、短尺側の右上帯17aと左下帯17bには内面側に雄面ファスナー19を縫着している。
前記のように左右の上下帯部16a〜17bを膝裏側に配置して雌雄面ファスナー18と19とを係合することで巻き付け状態を保持し、かつ、その間に膝裏側開口26が生じるようにしている。
【0044】
前記表面材12は、膝当て部Aから左右両側部Bを覆う形状とし、左右両外縁12a,12bおよび下縁12cを本体11と縫着すると共に、上縁12dが左右両側縁の一部を除いて縫着している。
【0045】
表面材12の左右両外縁12a、12bはそれぞれ外向きに屈曲した円弧形状とすると共に、膝当て側Aに向けて所要幅Wをあけて前記外縁12a、12bと平行な円弧形状のライン12e、12fに沿って本体11と縫着している。これにより、外縁12aとライン12e(12bと12f)および下縁12cで本体11と縫着されると共に上端に挿入用開口14aを備えた左右一対のポケット14を形成している。
前記左右一対のポケット14は膝当て部Aと膝裏部Cに挟まれた左右両側部Bにおいて、外向きに湾曲した三日月形状として上下方向に延在している。
【0046】
前記表面材12の膝当て部Aの中央部で、且つ前記本体11の膝頭開口部13に当たる部分は加熱プレスして膨出部15を成形して、膝頭が膝頭開口部13を通して膨出部15に嵌合されるようにしている。
【0047】
本実施形態では、膝裏の屈曲位置に開口部26を設けているため、放熱、放湿効果を有すると共に、膝を屈曲しても、図11(B)に示すように、膝裏で生地が折り重なってだぶつくことを防止でき、膝裏への圧迫感を緩和できる。
加圧材21は第1実施形態と同様であると共に、他の構成および作用は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0048】
図12に膝用サポータの第3実施形態を示す。
第3実施形態の膝用サポータ30は円筒形状とし、かつ、本体11に表面材12を取り付けず、ポケット材31を本体11の外面に縫着してポケット14を形成している。
本体11の膝頭に当たる部分には膨出部32を熱プレスで成形している。
該膨出部32の左右両側に第1実施形態と同様な三日月形状としたポケット材31を本体11に縫着しポケット14を形成している。該ポケット材31は膝裏側に面する内周円弧縁31aは縫着せずに、加圧材21を横入れ、横出しする挿入口33としている。該挿入口33には上下両端と中央部に前記雌雄ボタン28を取り付けている。
また、本体11の膝裏に当たる部分には膝裏開口部35を設けている。
加圧材21は第1実施形態と同様であると共に、他の構成および作用は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0049】
図13に膝用サポータの第4実施形態を示す。
第4実施形態の膝用サポータ40は、ポケット14を左右いずれか一側部に設けている点だけが第3実施形態と相違し、他の構成は同一である。
このように左右いずれか一側にポケット14を設けた場合、膝の外側あるいは内側に痛みが生じる場合、痛みが生じる側にポケット14を位置させ、該ポケット14に挿入する加圧材21でサポートすることができる。
【0050】
なお、図14(A)に示すように、ポケット14を膝頭の下側で左右のポケット14の間にも設けてもよい。
さらに、図14(B)に示すように、膝頭の上側と下側にも設けて、左右のポケットと連続した環状としてもよい。
【0051】
図15(A)(B)(C)に膝以外の屈曲動作の支点となる関節に装着する第5、第6、第7実施形態を示す。いずれの実施形態も前記第1、第2実施形態と同様な作用を奏する。
【0052】
図15(A)の第5実施形態は肘用サポータ50であり、前記第1実施形態と同様な筒型とし、その左右両側にポケット14を設けて加圧材21を挿入している。肘頭に当たる部分には膨出部(図示せず)を設けている。
【0053】
図15(B)の第6実施形態は手首用サポータ60であり、前記第1実施形態と同様な筒型とし、その左右両側にポケット14を設けて加圧材21を挿入している。この手首用サポータ60を装着すると、手首が安定支持でき、手首の不用意な捩れを防止することができる。
なお、手袋と一体化させて、手袋の手挿入側にサポータ部を付設してもよい。
【0054】
図15(C)の第7実施形態は足首用サポータ70であり、前記第1実施形態と同様な筒型とし、足首裏のアキレス鍵の両側にポケット14を設けて加圧材21を挿入している。この足首用サポータ70を装着すると、足首の左右両側および足裏部が安定して支持でき、アキレス腱を安定支持できる。
【0055】
図16に膝から足首にかけた下肢用サポータ80の第8実施形態を示す。
第8実施形態のサポータ80も第1実施形態と同様な筒型とし、膝上から足首まで延在する長尺な筒状の本体11を備える。
該本体11の上端側の膝に当たる部分には左右両側にポケット81を設けると共に下端側の足首に当たる部分には、左右両側および足首裏側にポケット82を設け、それぞれ加圧材21を挿入する構成としてる。
また、膝から足首の間の中間部では、ふくらはぎを囲む部分では若干膨出させて脚の形状に沿わせるように成形すると共に、この中間部はポケットを設ける上下両側よりも本体11の厚さを薄くして装着性を高めている。
【0056】
前記サポータ80を装着すると膝と足首の両方のサポートを図ることができると共に、膝から足首のかけた下肢の全域を覆うため、脚を細くする補整機能も付加することができる。
【0057】
本発明は前記実施形態に限定されず、ポケットに加圧材を挿入した後に縫着して加圧材を取出不可としても良いし、ポケットを本体の内面側あるいは外面側のどちらに設けてもよい。
さらに、本体および表面材の素材はウレタンに限定されず、伸びが比較的少なく弾性を有する素材であればよい。
また、膝、肘、手首、足首のサポータに限定されず、身体の屈曲支点となる関節のある位置に装着するサポータとして適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の第1実施形態に係る膝用サポータの斜視図である。
【図2】図1に示す膝用サポータの表面の側面図を示し、(A)は左側面図、(B)は右側面図である。
【図3】図1に示す膝用サポータの裏面の側面図を示し、(A)は図2(B)の裏面、(B)は図2(A)の裏面である。
【図4】図1に示す膝用サポータの加圧材を示し、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図5】図1示す膝用サポータの装着状態を示す正面図である。
【図6】図1に示す膝用サポータの装着状態の側面図で、(A)は直立時の状態を示し、(B)は屈曲時の状態を示す図である。
【図7】(A)(B)は加圧材を挿入するポケットの挿入口の変形例を示す図面である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る膝用サポータの正面図である。
【図9】図8に示す膝用サポータの裏面図である。
【図10】図8に示す膝用サポータの装着状態を示し、(A)は正面図、(B)は背面図である。
【図11】図8に示す膝用サポータの装着状態の側面図で、(A)は直立時の状態を示し、(B)は屈曲時の状態を示す図である。
【図12】第3実施形態の膝用サポータの斜視図である。
【図13】第4実施形態の膝用サポータの斜視図である。
【図14】(A)(B)はポケットを増やした変形例である。
【図15】(A)は肘用サポータの第5実施形態の概略図、(B)は手首用サポータの第6実施形態の概略図、(C)は足首用サポータの第7実施形態の概略図である。
【図16】第8実施形態のサポータの概略図である。
【図17】従来例の図である。
【図18】他の従来例の図である。
【符号の説明】
【0059】
10 膝用サポータ
11 本体
12 表面材
14 ポケット
21 加圧材
22 袋体
24 エア(流動性物質)
41 裏面材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈曲動作時に支点となる関節に装着されるサポータであって、
筒型または巻付型の本体には、前記関節の少なくとも左右いずれか一方または左右両側に相当する位置にポケットが設けられ、該ポケット内に流動性物質を袋体に充填してなる加圧材が挿入され、
前記関節の屈伸動作に応じて前記加圧材が変形されると前記流動性物質が流動して内部圧力に変動を発生させ、屈曲時において前記関節の左右いずれか一方または両側部の圧力を高めてサポート力が増強される構成としていることを特徴とするサポータ。
【請求項2】
前記加圧材の袋体は可撓性樹脂製で、その内部に流動性物質としてエア、ゲル状物質あるいは微細粉体が充填されている請求項1に記載のサポータ。
【請求項3】
前記加圧材は流動性物質としてエアが充填されたエアバックとされ、
前記袋体は密閉構造として、エアバックは使い捨てされると共にエア圧を変えたエアバックと交換可能とし、あるいは、
前記袋体は開閉弁を備えたエア注入口を備え、エア圧の減少時あるいはエア圧増強時にエアを注入できる構成としている請求項1または請求項2に記載のサポータ。
【請求項4】
前記ポケットは前記本体の外面側あるいは内面側に設けられると共に、屈曲時の形状に対応させた円弧状あるいは「く」の字状として上下方向に延在させ、
前記加圧材を着脱自在に装着するため、上端開口、止め具で閉鎖される側面開口、長さ方向の中央部に設けた幅方向のスリット、あるいは幅方向の中央部に設けた長さ方向のスリットが備えられている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のサポータ。
【請求項5】
前記筒型あるいは巻付型の本体は、表面が布で被覆された弾性樹脂材からなり、該弾性樹脂材には前記関節の形状に応じた膨出部あるいは/および窪み部が成形されている請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のサポータ。
【請求項6】
膝、肘、足首あるいは/および手首の関節に装着されるものである請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のサポータ。
【請求項7】
膝用サポータであって、前記本体は膝関節周囲に装着される筒型または巻付型とされ、該本体の膝頭に相当する部分に円形状の穴が刳り貫かれている一方、
前記本体の内面に別体の弾性樹脂材からなる裏面材が設けられ、該別体の弾性樹脂材に前記貫通穴内に膨出する膝当て部が設けられていると共に該膝当て部の左右両側部と前記本体とで前記ポケットを形成しており、該ポケット内に前記加圧材が着脱自在に挿入可能とされ、
直立時よりも膝屈曲時に前記加圧材が圧迫されて該加圧材内の圧力が高まり、膝関節の左右いずれか一方あるいは左右両側へのサポート力が増強される構成としている請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のサポータ。
【請求項8】
膝用サポータであって、前記本体の膝頭に相当する部分は円形状に膨出され、あるいは、
前記本体の膝頭に相当する部分に円形状の穴が刳り貫かれ、あるいは、
前記本体の膝頭に相当する部分に円形状の穴が刳り貫かれていると共に、別体の弾性樹脂材からなる表面材を重ね、該表面材に円形の膨出部を設け、該表面材を側方へ延在させて前記ポケットを設けている請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のサポータ。
【請求項9】
前記本体の膝裏部の膝関節屈曲位置に開口部が設けられている請求項7または請求項8に記載のサポータ。
【請求項10】
前記本体の膝頭を挟む左右両側に、外向きに湾曲する三日月形状の前記ポケットが設けられ、該ポケットに挿入する前記加圧材はポケットの形状に沿った三日月形状とされている請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載のサポータ。
【請求項11】
前記膝用サポータの下端は、ふくらはぎの最大部の位置あるいは該最大部を超える下方位置とし、上端は膝上から大腿部の中間部までの範囲内としている請求項7乃至請求項10のいずれか1項に記載のサポータ。
【請求項1】
屈曲動作時に支点となる関節に装着されるサポータであって、
筒型または巻付型の本体には、前記関節の少なくとも左右いずれか一方または左右両側に相当する位置にポケットが設けられ、該ポケット内に流動性物質を袋体に充填してなる加圧材が挿入され、
前記関節の屈伸動作に応じて前記加圧材が変形されると前記流動性物質が流動して内部圧力に変動を発生させ、屈曲時において前記関節の左右いずれか一方または両側部の圧力を高めてサポート力が増強される構成としていることを特徴とするサポータ。
【請求項2】
前記加圧材の袋体は可撓性樹脂製で、その内部に流動性物質としてエア、ゲル状物質あるいは微細粉体が充填されている請求項1に記載のサポータ。
【請求項3】
前記加圧材は流動性物質としてエアが充填されたエアバックとされ、
前記袋体は密閉構造として、エアバックは使い捨てされると共にエア圧を変えたエアバックと交換可能とし、あるいは、
前記袋体は開閉弁を備えたエア注入口を備え、エア圧の減少時あるいはエア圧増強時にエアを注入できる構成としている請求項1または請求項2に記載のサポータ。
【請求項4】
前記ポケットは前記本体の外面側あるいは内面側に設けられると共に、屈曲時の形状に対応させた円弧状あるいは「く」の字状として上下方向に延在させ、
前記加圧材を着脱自在に装着するため、上端開口、止め具で閉鎖される側面開口、長さ方向の中央部に設けた幅方向のスリット、あるいは幅方向の中央部に設けた長さ方向のスリットが備えられている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のサポータ。
【請求項5】
前記筒型あるいは巻付型の本体は、表面が布で被覆された弾性樹脂材からなり、該弾性樹脂材には前記関節の形状に応じた膨出部あるいは/および窪み部が成形されている請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のサポータ。
【請求項6】
膝、肘、足首あるいは/および手首の関節に装着されるものである請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のサポータ。
【請求項7】
膝用サポータであって、前記本体は膝関節周囲に装着される筒型または巻付型とされ、該本体の膝頭に相当する部分に円形状の穴が刳り貫かれている一方、
前記本体の内面に別体の弾性樹脂材からなる裏面材が設けられ、該別体の弾性樹脂材に前記貫通穴内に膨出する膝当て部が設けられていると共に該膝当て部の左右両側部と前記本体とで前記ポケットを形成しており、該ポケット内に前記加圧材が着脱自在に挿入可能とされ、
直立時よりも膝屈曲時に前記加圧材が圧迫されて該加圧材内の圧力が高まり、膝関節の左右いずれか一方あるいは左右両側へのサポート力が増強される構成としている請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のサポータ。
【請求項8】
膝用サポータであって、前記本体の膝頭に相当する部分は円形状に膨出され、あるいは、
前記本体の膝頭に相当する部分に円形状の穴が刳り貫かれ、あるいは、
前記本体の膝頭に相当する部分に円形状の穴が刳り貫かれていると共に、別体の弾性樹脂材からなる表面材を重ね、該表面材に円形の膨出部を設け、該表面材を側方へ延在させて前記ポケットを設けている請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のサポータ。
【請求項9】
前記本体の膝裏部の膝関節屈曲位置に開口部が設けられている請求項7または請求項8に記載のサポータ。
【請求項10】
前記本体の膝頭を挟む左右両側に、外向きに湾曲する三日月形状の前記ポケットが設けられ、該ポケットに挿入する前記加圧材はポケットの形状に沿った三日月形状とされている請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載のサポータ。
【請求項11】
前記膝用サポータの下端は、ふくらはぎの最大部の位置あるいは該最大部を超える下方位置とし、上端は膝上から大腿部の中間部までの範囲内としている請求項7乃至請求項10のいずれか1項に記載のサポータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−173179(P2008−173179A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−7324(P2007−7324)
【出願日】平成19年1月16日(2007.1.16)
【出願人】(506356830)株式会社マーケティングコンセプトハウス (3)
【出願人】(000114606)モリト株式会社 (198)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月16日(2007.1.16)
【出願人】(506356830)株式会社マーケティングコンセプトハウス (3)
【出願人】(000114606)モリト株式会社 (198)
【Fターム(参考)】
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