説明

ショーケースの制御装置

【課題】複数台のショーケースの照明装置点灯時における点灯障害を防ぐことができるようにしたショーケースの制御装置を提供することにある。
【解決手段】複数台のショーケース1A−1Dを1つのグループとし、該複数台のショーケース1A−1Dにそれぞれ照明装置10A−10Dを備え、共通の点灯指令により前記複数台のショーケース1A−1Dの照明装置10A−10Dを点灯するようにしたショーケースの制御装置において、前記複数台のショーケース1A−1Dは、それぞれ機種コードを記憶するとともに、機種コードに対応する前記照明装置10A−10Dの点灯遅延時間を記憶する記憶部21a−21dと、前記点灯指令が与えられたとき、前記点灯遅延時間に基づいて前記照明装置10A−10Dを点灯させる制御部2A−2Dとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数台設置されたショーケースにそれぞれ取り付けられた照明装置を制御するためのショーケースの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
まず、ショーケースの一例として、二層エアカーテン方式の多段形オープンショーケースの構成を図3に示す。
【0003】
図3において、1は断熱筐体になるオープンショーケースのケース本体であり、前面開放形の鋼板製の外箱1aと内箱1bとの間には、内箱1bの外周に内外二重の冷気循環ダクト2,3が画成されており、この冷気循環ダクト2,3に連ねてケース本体1のフロント上部側にはエアカーテン吹出口2a,3aが、下部側にはエアカーテン吸込口2b,3bが開口している。また、内層の冷気循環ダクト(インナーダクト)2には冷却器4およびファン5が、外層の冷気循環ダクト(アウターダクト)3にはファン6が設けられている。
【0004】
また、前記のエアカーテン吹出口2a,3aにはハニカム整流体7を設け、保冷運転時にはハニカム整流体7を通じて庫内前面に内外二層の冷気エアカーテンを吹き出し形成して庫内に保冷する。なお、8は商品陳列棚、9はケース本体1の上部前面に設けたキャノピ部であり、商品陳列棚8下面、キャノピ部9、内箱1bの天井部分には、それぞれ照明装置10が設けられている。
【0005】
かかる構成になるオープンショーケースの保冷運転時には、インナーダクト2,アウターダクト3に冷気が循環送風され、エアカーテン吹出口2a,3aのハニカム整流体7を通じてケース本体1の前面開口部に内外二層の冷気エアカーテンを吹出形成し、庫内の商品陳列棚8に陳列した商品を保冷するものである。
【0006】
通常、このようなオープンショーケースが複数台連結されており、この各ショーケースに設けられている照明装置10などは、開店時間および閉店時間に応じて各ショーケースとは別に設けた管理装置からの点消灯指令により一斉にオン・オフできるようにした装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−166780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記ショーケースでは、管理装置からの指令により複数台のショーケースの照明装置10を一斉に点灯するため、照明装置10点灯時の突入電流の影響で電源電圧が一瞬低下し、照明装置10の点灯障害を引き起こす可能性があった。
【0009】
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、複数台のショーケースの照明装置点灯時における点灯障害を防ぐことができるショーケースの照明装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明によれば、複数台のショーケースを1つのグループとし、該複数台のショーケースにそれぞれ照明装置を備え、共通の点灯指令により前記複数台のショーケースの照明装置を点灯するようにしたショーケースの制御装置において、前記複数台のショーケースは、それぞれ前記照明装置の点灯遅延時間を記憶する記憶部と、前記点灯指令が与えられたとき、前記点灯遅延時間に基づいて前記照明装置を点灯させる制御部とを備えたことを特徴とする。
【0011】
具体的には前記複数台のショーケースは、それぞれ機種コードを記憶するとともに、機種コードに対応する前記照明装置の点灯遅延時間を記憶する記憶部を備え、前記点灯指令が与えられたとき、前記機種コードに対応する前記照明装置の点灯遅延時間に基づいて前記照明装置を点灯させる。
【0012】
また、前記照明装置の点灯遅延時間を変更可能な入力手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数台のショーケースを1つのグループとし、該複数台のショーケースにそれぞれ照明装置を備え、共通の点灯指令により前記複数台のショーケースの照明装置を点灯するようにしたショーケースの制御装置において、前記複数台のショーケースは、それぞれ前記照明装置の点灯遅延時間を記憶する記憶部と、前記点灯指令が与えられたとき、前記点灯遅延時間に基づいて前記照明装置を点灯させる制御部とを備えたことにより、照明装置の点灯遅延時間を異ならせることにより、前記照明装置点灯時の突入電流を低減させることができ、ショーケースの電源電圧降下を低く抑えることができる。
【0014】
また、具体的には、前記複数台のショーケースは、予めそれぞれ機種コードを記憶するとともに、機種コードに対応する前記照明装置の点灯遅延時間を記憶する記憶部を備えることにより、前記点灯指令が与えられたとき、前記機種コードに対応する前記照明装置の点灯遅延時間に基づいて前記照明装置を点灯させることができるので、上記効果に加え、機種に応じて、照明装置の点灯遅延時間を自動的に異ならせることができる。
【0015】
また、前記照明装置の点灯遅延時間を変更可能な入力手段を備えたことにより、現地において、ショーケースの設置状況により点灯遅延時間を変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態によるショーケースの制御装置におけるシステム構成図である。
【図2】図1におけるフローチャート図である
【図3】冷気循環形オープンショーケースの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図1,図2に基づいて説明する。
【0018】
図1はショーケースのシステム構成図を示すものであって、1A−1Dは、ショーケースを示し、ショーケース1A−1Dの内部には、制御部2A−2D、照明装置10A−10Dをそれぞれ備えている。
照明装置10A−10Dは、各ショーケース1A−1Dの商品陳列棚、キャノピ部、内箱の天井部分に設けられている。
ショーケース1A−1Dは、各制御部2A−2Dを介して渡り配線3にて接続されている。
【0019】
上記制御部2A−2Dには、それぞれ機種コード記憶部21a−21dを備えている。
【0020】
機種コード記憶部21a−21dにはショーケースの機種コード毎に照明装置10A−10Dの点灯遅延時間が記憶されている。
【0021】
上記機種毎の照明装置10A−10Dの点灯遅延時間は、例えば、機種コードとして機種A−Dの4種類とし、それぞれの点灯遅延時間として、機種A:遅延無、機種B:遅延有(短い)、機種C:遅延有(標準)、D:遅延有(長い)として記憶されているものとする。この遅延時間の値は適宜設定できるものである。
【0022】
5は、管理装置であって、各ショーケース1A−1Dに対して照明装置10A−10Dへの点灯指令を含む各種制御指令を出力するものであり、1つのショーケース1に機外配線4にて接続されており、ショーケース1A−1Dには、渡り配線3を介して順に指令が送信される。
【0023】
この構成において、図2のフローチャートを用いて動作を説明する。
【0024】
本実施の形態においては、ショーケース1A:機種A、ショーケース1B:機種B、ショーケース1C:機種C、ショーケース1D:機種Dとして、機種コード記憶部21a−21dにそれぞれ機種コードを記憶されたものとして説明する。
【0025】
まず、店舗の開店前に管理装置6から照明装置10A−10Dの点灯指令が機外配線4を介してショーケース1Aの制御部2Aに送信されると、制御部2Aから制御部2B、制御部2Bから制御部2C、制御部2Cから制御部2Dと渡り配線3を介して順次、点灯指令が送信される(ステップS1,Yes)。
【0026】
各制御部2A−2Dでは、点灯指令を受信すると、自身のショーケースの機種コードに基づき、自照明装置10A−10Dの点灯遅延時間を機種コード記憶部21a−21dから読み出す(ステップS2)。
【0027】
すなわち、ショーケース1Aは、機種Aであるため(ステップS3,Yes)、機種コード記憶部21aから「遅延無」を読み出し(ステップS4)、「遅延無」であるため、制御部2Aにて点灯指令を受信した時点で照明装置10Aを点灯させる(ステップS5)。
【0028】
次に、ショーケース1Bは、機種Bであるため(ステップS6,Yes)機種コード記憶部21bから「遅延有(短い)」を読み出し、「遅延有(短い)」であるため、制御部2Bにて点灯指令を受信してから予め定められている短い点灯遅延時間をカウントした後(ステップS7,Yes)に照明装置10Bを点灯させる(ステップS8)。
【0029】
次に、ショーケース1Cは、機種Cであるため(ステップS9,Yes)機種コード記憶部21cから「遅延有(標準)」を読み出し、「遅延有(標準)」であるため、制御部2Cにて点灯指令を受信してから予め定められている標準の点灯遅延時間をカウントした後(ステップS10,Yes)、照明装置10Cを点灯させる(ステップS11)。
【0030】
次にショーケース1Dは、機種Dであるため(ステップS12,Yes)機種コード記憶部21dから「遅延有(長い)」を読み出し、「遅延有(長い)」であるため、制御部2Dにて点灯指令を受信してから予め定められている長い点灯遅延時間をカウントした後(ステップS13,Yes)、照明装置10Dを点灯させる(ステップS14)。
【0031】
このように、各ショーケースの機種コードに応じて照明装置の点灯開始までの時間を異ならせることで、照明装置点灯時の突入電流を低減させることができ、ショーケースの電源電圧降下を低く抑えることができる。
【0032】
また、機種を入力するだけで点灯遅延時間を設定できるため、設定作業が軽減できる。
【0033】
なお、管理装置から点灯指令を送信するようにしたが、複数台のショーケースのグループの中に親機を決めておき、親機の点灯指令に基づいて、同グループの照明装置を点灯させるようにしてもよい。また、複数台のショーケースの電源を一斉に投入した場合であってもよい。
【0034】
また、グループ内に同じ機種が存在した場合には、照明装置の点灯遅延時間を変更可能な入力装置を各ショーケース1A−1Dあるいは管理装置5に備え、入力装置から点灯遅延時間を設定することにより、同じ機種コードであってもそれぞれ点灯遅延時間を変更できるようにしてもよい。
【0035】
上記実施の形態において、機種コード記憶部21a−21dに機種コードに応じた点灯遅延時間を記憶させているが、機種コードに関係なく、各ショーケースに点灯遅延時間をそれぞれ記憶させるようにしてもよく、その場合には、上記入力装置などを用いて同じ点灯遅延時間のショーケースが存在した場合には、点灯遅延時間を変更できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1A−1D ショーケース
2A−2D 制御部
3 渡り配線
4 機外配線
5 管理装置
10A−10D 照明装置
21a−21d 機種コード記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台のショーケースを1つのグループとし、該複数台のショーケースにそれぞれ照明装置を備え、共通の点灯指令により前記複数台のショーケースの照明装置を点灯するようにしたショーケースの制御装置において、前記複数台のショーケースは、それぞれ前記照明装置の点灯遅延時間を記憶する記憶部と、前記点灯指令が与えられたとき、前記点灯遅延時間に基づいて前記照明装置を点灯させる制御部とを備えたことを特徴とするショーケースの制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のショーケースの制御装置において、前記複数台のショーケースは、それぞれ機種コードを記憶するとともに、機種コードに対応する前記照明装置の点灯遅延時間を記憶する記憶部を備えたことを特徴とするショーケースの制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のショーケースの制御装置において、前記照明装置の点灯遅延時間を変更可能な入力手段を備えたことを特徴とするショーケースの制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−102935(P2012−102935A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251514(P2010−251514)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】