説明

ショーケース

【課題】中間ダクト部材の着脱検出スイッチを設けることなく、設定状況と、実際の陳列室内の温度状況とから中間ダクト部材の着脱異常を検知する。
【解決手段】本発明のショーケースは、背面ダクト7に連通可能な中間ダクト38を有する中間ダクト部材35を陳列室11内に着脱可能とし、当該ダクト部材より下方となる陳列室11内温度を検出する下部温度センサ28とその上方の陳列室11内温度を検出する上部温度センサ27を備え、設定切替スイッチ26による全体同一温度帯使用と、上下異温度帯使用の設定と、これら温度センサの検出温度との間に矛盾が生じている場合、中間ダクト部材35の取り付けに関する異常が発生しているものと判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背面ダクトと連通可能な中間ダクトを有する中間ダクト部材を陳列室内に取付、中間ダクト部材の上下において陳列室内を相互に異なる温度で使用可能とするショーケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来よりスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどに設置されるショーケースは、断熱壁の内側に間隔を存して設けた仕切板との間に冷気ダクトを構成し、仕切板の内側には陳列室を構成すると共に、冷気ダクトには冷却器と送風機を設置する。陳列室の開口上縁には冷気吐出口が、開口下縁には冷気吸込口がそれぞれ冷気ダクトに連通して形成される。これにより、送風機が運転されると冷却器と熱交換した冷気は開口上縁の冷気吐出口から吹き出され、開口下縁の冷気吸込口から冷気ダクト内に吸引される。
【0003】
陳列室内には、複数段の棚が架設されており、各棚、若しくは、特定の棚には、内部に上記冷気ダクトと連通する中間ダクトが構成された中間ダクト部材が取り付けられている。この中間ダクトの上側、若しくは、当該中間ダクト部材の後端には、ダンパー部材が取り付けられている。
【0004】
陳列室内を異なる二温度帯、例えば常温と冷蔵温度、冷蔵温度とそれよりも低いチルド温度として使用する場合には、当該温度帯を区画する棚の上側のダンパー部材を背面の冷気ダクト内に進出させる。
【0005】
これにより、背面の冷気ダクトを上昇する冷却器を経た冷気は、ダンパー部材により温度帯を区画する棚の中間ダクト内に案内され、当該中間ダクトより下側の陳列室内を冷却する。他方、ダンパー部材により温度帯を区画する棚より上側には、冷却器を経た冷気が供給されないことから、当該棚より上側の陳列室内を常温など下側の陳列室内よりも高い温度帯として使用される(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
そして、このような二温度帯を実現することができるショーケースでは、設定切替スイッチと、陳列室内の温度を表示する表示部を備え、スイッチによって上下異なる温度で使用する状態を設定した場合、2つの温度表示部には陳列室内下部にて検出された温度と、上部にて検出された温度を表示する。
【0007】
スイッチによって陳列室の全体を同一温度で使用する状態を設定した場合には、陳列室内下部に設けられた温度センサにより検出された温度のみを温度表示部に表示する。これは、異なる位置に設けられる温度センサにより検出された温度がそれぞれ温度表示部に表示されることで、異なる温度が表示される不都合を回避するためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−72282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
二温度帯使用と、全体を同一温度として使用する一温度帯使用とは、ダンパー部材の冷気ダクト内への進退操作(開閉操作)によって相互に変更可能とされるが、使用者によっては、上記設定切替スイッチのみを変更し、ダンパー部材を操作しなかった場合には、適切な二温度帯使用又は一温度帯使用を実現することができない。
【0010】
特に、一温度帯使用を行う場合には、通常の中間ダクトを有しない棚のみを使用し、二温度帯使用を行う場合には、冷気ダクト内に進出するダンパー部材を有する中間ダクト部材を備えた棚を架設することによって、使用態様の変更を実現するショーケースでは、ダクト部材を有する棚の着脱が確実に行われないと、二温度帯使用と一温度帯使用の変更を適切に行うことができないこととなる。
【0011】
そのため、ダンパー部材の冷気ダクト内への進退を検出するダンパーセンサを設けることも考えられるが、ダンパー部材が設けられる棚全てに、ダンパーセンサを設けなければならない。また、上述したように中間ダクト部材を備えた棚の着脱によって二温度帯使用と一温度帯仕様の変更を行う場合には、当該棚の架設位置となる複数の位置にダンパーセンサを設けなければならず、コストの高騰を招来する。
【0012】
本発明は、従来の技術的課題を解決するためになされたものであり、中間ダクト部材の着脱検出スイッチを設けることなく、設定状況と、実際の陳列室内の温度状況とから中間ダクト部材の着脱異常を検知することができるショーケースを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明のショーケースは、前面に開口する陳列室内に背面ダクトを介して冷気を循環することで陳列室内を冷却すると共に、背面ダクトに連通可能な中間ダクトを有する中間ダクト部材を陳列室内に着脱可能に取り付け、この中間ダクト部材の上下において、陳列室内を相互に異なる温度で使用可能とされたものであって、陳列室内に取り付けられた状態の中間ダクト部材より下方となる位置の陳列室内の温度を検出する下部温度センサと、陳列室内に取り付けられた状態の中間ダクト部材より上方となる位置の陳列室内の温度を検出する上部温度センサと、これら温度センサが接続された制御装置と、この制御装置の設定を、陳列室の全体を同一の温度で使用する第1の制御状態と、上下異なる温度で使用する第2の制御状態とに切り換えるための設定切換スイッチとを備え、制御装置は、設定切換スイッチによる設定と、両温度センサが検出する温度との間に矛盾が生じている場合、中間ダクト部材の取り付けに関する異常が発生しているものと判断することを特徴とする。
【0014】
請求項2の発明は、上記において、制御装置は、中間ダクト部材を陳列室内に取り付けたときの、当該中間ダクト部材の上下における陳列室内の使用温度帯に応じて、中間ダクト部材の取り付けに関する異常の判断基準を変更することを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明は、上記各発明において、制御装置は、第1の制御状態に設定されている場合、下部温度センサが検出する温度に基づいて陳列室内の温度制御を実行すると共に、この下部温度センサに異常が発生した場合は、上部温度センサを用いて陳列室内の温度制御を実行することを特徴とする。
【0016】
請求項4の発明は、上記において、制御装置は、両温度センサが検出する温度に所定の差違がある場合、下部温度センサに異常が発生しているものと判断することを特徴とする。
【0017】
請求項5の発明は、上記各発明において、制御装置は、第2の制御状態に設定されている場合、下部温度センサが検出する温度に基づいて中間ダクト部材より下方における陳列室内の温度制御を実行し、上部温度センサが検出する温度に基づいて中間ダクト部材より上方における陳列室内の温度制御を実行すると共に、一方の温度センサに異常が発生した場合、予め計測されている上下の陳列室内の温度差を用いて、他方の温度センサにより、一方の温度センサが温度を検出すべき陳列室内の温度制御を実行することを特徴とする。
【0018】
請求項6の発明は、上記各発明において、制御装置は、異常を報知するための警報装置を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、前面に開口する陳列室内に背面ダクトを介して冷気を循環することで陳列室内を冷却すると共に、背面ダクトに連通可能な中間ダクトを有する中間ダクト部材を陳列室内に着脱可能に取り付け、この中間ダクト部材の上下において、陳列室内を相互に異なる温度で使用可能とされたショーケースにおいて、陳列室内に取り付けられた状態の中間ダクト部材より下方となる位置の陳列室内の温度を検出する下部温度センサと、陳列室内に取り付けられた状態の中間ダクト部材より上方となる位置の陳列室内の温度を検出する上部温度センサと、これら温度センサが接続された制御装置と、この制御装置の設定を、陳列室の全体を同一の温度で使用する第1の制御状態と、上下異なる温度で使用する第2の制御状態とに切り換えるための設定切換スイッチとを備え、制御装置は、設定切換スイッチによる設定と、両温度センサが検出する温度との間に矛盾が生じている場合、中間ダクト部材の取り付けに関する異常が発生しているものと判断することにより、中間ダクト部材の着脱検出スイッチを格別に設けることなく、中間ダクト部材の取り付けに関する異常を判断することができる。
【0020】
異常の発生を判断した場合には、制御装置は、請求項6の発明の如き警報装置により当該異常の発生を使用者に報知することができ、中間ダクト部材の取り付け異常に迅速に対応することが可能となる。
【0021】
請求項2の発明によれば、上記において、制御装置は、中間ダクト部材を陳列室内に取り付けたときの、当該中間ダクト部材の上下における陳列室内の使用温度帯に応じて、中間ダクト部材の取り付けに関する異常の判断基準を変更することにより、適切な異常検知を実現することができる。
【0022】
具体的には、使用温度帯を高めの冷蔵温度と低めの冷蔵温度(チルド)とする場合には、異常判断となる温度差(閾値)を小さく、温蔵温度と冷却温度とする場合には、異常判断となる温度差(閾値)を大きくする。これにより、より円滑に、且つ、適切な異常検知を実現できる。
【0023】
請求項3の発明によれば、上記各発明に加えて、制御装置は、第1の制御状態に設定されている場合、下部温度センサが検出する温度に基づいて陳列室内の温度制御を実行すると共に、この下部温度センサに異常が発生した場合は、上部温度センサを用いて陳列室内の温度制御を実行することにより、下部温度センサが復帰するまでの間、ショーケースの運転を停止、又は、連続運転とすることなく、上部温度センサによって下部温度センサを代用して運転継続を行うことが可能となる。
【0024】
請求項4の発明によれば、上記に加えて、制御装置は、両温度センサが検出する温度に所定の差違がある場合、下部温度センサに異常が発生しているものと判断することにより、下部温度センサの異常を適切に判断することができる。
【0025】
請求項5の発明によれば、上記各発明に加えて、制御装置は、第2の制御状態に設定されている場合、下部温度センサが検出する温度に基づいて中間ダクト部材より下方における陳列室内の温度制御を実行し、上部温度センサが検出する温度に基づいて中間ダクト部材より上方における陳列室内の温度制御を実行すると共に、一方の温度センサに異常が発生した場合、予め計測されている上下の陳列室内の温度差を用いて、他方の温度センサにより、一方の温度センサが温度を検出すべき陳列室内の温度制御を実行することにより、二温度帯使用を行う場合であっても、異常発生した温度センサが復帰するまでの間、ショーケースの運転を停止、又は、連続運転とすることなく、他方の温度センサにより検出された温度に基づいて適切な温度制御を継続して行うことが可能となる。
【0026】
請求項6の発明によれば、上記各発明に加えて、制御装置は、異常を報知するための警報装置を備えているので、異常判断時に警報装置によって使用者に異常を報知することで、迅速に故障解消に対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明を適用したショーケースの縦断側面図である。
【図2】制御装置の電気ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は本発明を適用したショーケース1の縦断側面図(上から4段目の棚25に中間ダクト部材50を取り付けた状態)を示している。本実施例におけるショーケースは、陳列室11内上部を例えば、弁当などの加工食品を高めの冷蔵温度(例えば+16℃〜+20℃)とし、陳列室11内下部を例えば、飲料、その他の低めの冷蔵温度(所謂チルド、例えば+3℃〜+7℃)とする相互に異なる温度で使用可能とするものである。尚、使用温度は、当該温度に限定されるものではない。
【0029】
ショーケース1は前面に開口する断面略コ字状の断熱壁3と、その両側に取り付けられた図示しない側板によって本体5が構成されており、この断熱壁3の内側には背面から天面に渡って間隔を存して仕切板6が配設され、当該仕切板6と断熱壁3間には背面ダクト7が構成されている。そして、仕切板6の下端には、前方に延在するデックパン10が設けられており、これら仕切板6、デックパン10の内側に陳列室11が構成されている。
【0030】
断熱壁3の前面開口2の上縁には背面ダクト7の前端に連通する冷気吐出口14が設けられている。尚、この冷気吐出口14の前面、即ち、断熱壁3の上部前面には、少なくとも二つの温度表示部(後述する上部の陳列室11用の温度表示部42と、下部の陳列室11用の温度表示部43)と、警報装置を構成する警報表示部45が設けられている。
【0031】
そして、デックパン10の下方には背面ダクト7に連通する下部ダクト12が構成されており、この下部ダクト12の前端は陳列室11の前面開口下縁に位置すると共に、複数のスリットから成る冷気吸込口13と連通している。
【0032】
デックパン10の下方の下部ダクト12内には冷気送給用の送風機4が配設され、陳列室11の背面ダクト7内には冷却装置の冷凍サイクルを構成する冷却器8が縦設されている。
【0033】
本実施例では、上述したように同一の陳列室11内にて高めの冷蔵温度と、低めの冷蔵温度(チルド)に冷却制御可能とするものであるため、冷却器8を通過した冷気の背面ダクト7上方への流入を任意に制限可能とする冷却器カバー21が当該冷却器8に設けられている。
【0034】
即ち、下部ダクト12に設けられた送風機4のファンケース4Aは、背面ダクト7下部にまで延在して構成されており、当該ファンケース4Aの両側部には、背面ダクト7の両側部において開口する冷気流出口22が形成されている。この冷気流出口22は、冷却器カバー21の両側方において直接、背面ダクト7内と連通して構成される。なお、この冷気流出口22は、図示しないカバーによって開閉自在に閉塞可能とされる。また、当該ファンケース4Aの背面ダクト7の下部に位置する上面には、冷却器カバー21内と連通する図示しない連通孔が形成されている。
【0035】
冷却器カバー21は、その上端が背面ダクト7の略中央部、本実施例では、下から3段目に相当する棚の後方上部に対応する位置まで延在して構成されており、該上端は閉塞されている。そして、冷却器カバー21は冷却器8の前面と所定間隔を存して設けられると共に、該冷却器カバー21の前面は、背面ダクト7を構成する仕切板6との間に所定の間隔を存して設けられる。この仕切板6と冷却器カバー21との間隔には、冷気通路24が形成され、冷却器8を経た後の冷気を該冷気通路24内に流入させるための冷気流出口23が冷却器カバー21の前面下部に形成されている。
【0036】
一方、陳列室11内には棚30が複数段、本実施例では6段架設されている。各棚30はブラケット31と当該ブラケット31に支持される棚板32とから構成される。この棚板32は金属板から成り、その商品載置面の裏側には加温用ヒータH(電気ヒータ。図2参照)が取り付けられている。加温使用時にはこの加温用ヒータHが発熱して棚板32上の商品を加熱保温する。
【0037】
ブラケット31の後端には係合爪31Aが複数形成されており、この係合爪31Aを陳列室11内の左右に上下に渡って取り付けられた図示しない支柱の係合孔に係脱自在に係合させることで、ブラケット31は陳列室11内に所定の高さの位置に左右一対ずつ取り付けられる。
【0038】
本実施例において、上から4段目に架設される棚30には、中間ダクト部材35が設けられている。以後、中間ダクト部材35が設けられた棚30は、棚30Aと称する。この中間ダクト部材35は、内部に中間ダクト38を構成する内部中空の矩形体により構成されており、棚30Aのブラケット31、31の内側に、棚板32の下側に位置して取り付けられている。尚、棚30Aが陳列室11内に着脱可能とされることで、当該中間ダクト部材35は、陳列室11内に着脱可能とされる。尚、棚30Aに対して、当該中間ダクト部材35が着脱可能な構成としても良い。
【0039】
この前端は、棚板32の前端若しくは、当該前端よりも前方まで延在して構成され、下面前端には左右方向に延在して下向きに開口した中間冷気吐出口36が形成されている。そして、この中間ダクト部材35の後端は、棚板32の後端よりも後方まで延在しており、当該後端下部には、後ろ向きに開口した連通部37が形成されている。
【0040】
ここで、棚30Aに取り付けられる中間ダクト部材35の連通部37に対応する位置の仕切板には、左右に渡って背面ダクト7と、中間ダクト部材35内に形成される中間ダクト38とを連通するための連通孔40が形成されている。尚、当該連通孔40は、上から4段目に架設される棚30Aに対応する位置のみならず、本実施例では、当該棚30Aの下側に架設される棚30・・に対応する位置にも形成されており、不使用時には、閉塞されている。また、これ以外にも、仕切板6を複数枚の板材を重ね合わせて構成し、これらの板材の重ね合わせ位置を調整することによって、連通孔40の形成位置を変更する構成としても良い。
【0041】
そして、この中間ダクト部材35の連通部37の上方には、仕切板6の連通孔40を介して背面ダクト7(本実施例では、当該背面ダクト7内下部に形成される冷気通路24)内に進出し、当該背面ダクト7を閉塞するダンパー部材39が設けられている。
【0042】
そのため、当該中間ダクト部材35が設けられた棚30Aが陳列室11内に架設された場合、中間ダクト部材35の後端に設けられたダンパー部材39が仕切板6の連通孔40を介して背面ダクト7内に進出し、ダンパー部材39下方から上昇してきた冷気は、それより上方への上昇が阻止されて連通部37を介して中間ダクト38内に流入する。
【0043】
一方、本実施例におけるショーケース1は、上記冷却器8と共に冷凍サイクルを構成する圧縮機15(図2のみ図示する)、凝縮器、凝縮器用送風機16(図2のみ図示する)等は、該ショーケース1とは別置きに例えば、店舗内の機械室などに設けられている。
【0044】
そして、冷凍サイクルを構成する冷却装置は、圧縮機15と、凝縮器、減圧装置としての電動膨張弁(若しくは電磁弁)17(図2のみ図示する)、冷却器8が順次接続されて、環状の冷凍サイクルを構成している。
【0045】
次に、図2を参照して本実施例におけるショーケース1の制御装置20について詳述する。本実施例において制御装置20は、汎用のマイクロコンピュータにより構成されており、記憶部としてのメモリ25を内蔵している。
【0046】
この制御装置20の入力側には、コントロールパネル29と、設定切替スイッチ26と、陳列室11内上部の温度を検出する上部温度センサ27及び、陳列室11内下部の温度を検出する下部温度センサ28が接続されている。設定切替スイッチ26は、陳列室11内全体を同一の温度で使用する第1の制御状態と、陳列室11内を上下異なる温度で使用する第2の制御状態とで任意に切替可能に設定するスイッチである。
【0047】
本実施例では、上記冷却装置及び加温用ヒータHが設けられているため、第1の制御状態では、冷蔵使用及び温蔵使用が可能であり、何れの場合であってもコントロールパネル29にて任意の温度に設定可能とされる。また、第2の制御状態では、陳列室11内上下を異なる温度帯として、上下異なる温度の冷蔵使用及び上下で冷蔵・温蔵使用が可能である。
【0048】
また、本実施例において、陳列室11内上部の温度を検出する上部温度センサ27は、何れの高さに中間ダクト部材35を備えた棚30Aを設けても陳列室内上部に相当する位置として、仕切板6の天面に配設されている。そして、陳列室11内下部の温度を検出する下部温度センサ28は、何れの高さに中間ダクト部材35を備えた棚30Aを設けても陳列室内下部に相当する位置として、仕切板6の背面下部に配設されている。尚、位すれのセンサも、取付位置はこれに限定されるものではなく、使用形態においてそれぞれ中間ダクト部材35より上方となる位置の陳列室11内温度を検出可能とする位置及び中間ダクト部材35より下方となる位置の陳列室11内温度を検出可能とする位置に設けられていればよい。
【0049】
一方、制御装置20の出力側には、冷却装置を構成する圧縮機15、膨張弁17、送風機4、16及び各棚30、30Aに配設された加温用ヒータH、上部の陳列室11用の温度表示部42、下部の陳列室11用の温度表示部43及び警報表示部45が接続されている。尚、本実施例では、警報装置として警報表示部45を採用しているが、これに限定されるものではなく、ブザーなどであっても良い。
【0050】
以上の構成により、使用態様の場合に分けて説明する。先ず初めに、陳列室11内を中間ダクト部材35の上下において相互に異なる温度で使用する場合について説明する。この場合、使用者は、予め設定切換スイッチ26を陳列室11内を上下異なる温度で使用する第2の制御状態に設定する。
【0051】
そして、異なる温度として陳列室11内の上部と下部とを区画して使用する高さ位置に上述したような中間ダクト部材35を備えた棚30Aを架設する。コントロールパネル29により、中間ダクト部材35より上方となる位置の陳列室(以下、上陳列室11Aとする)及び中間ダクト部材35より下方となる位置の陳列室(以下、下陳列室11Bとする)のそれぞれの温度を設定する。
【0052】
(1)上下異なる温度の冷蔵使用
ここで、上述したように、上下異なる温度の冷蔵使用を行う場合には、上陳列室11Aの設定温度を下陳列室11Bの設定温度より高い温度として設定する。一例として、ここでは、上陳列室11Aの設定温度を高めの冷蔵温度(例えば+18℃(±2℃))とし、下陳列室11Bの設定温度を低めの冷蔵温度(所謂チルド、例えば+5℃(±2℃))と設定する。
【0053】
本実施例では、上から4段目となる棚30Aに中間ダクト部材35が設けられているため、当該中間ダクト部材35の設置高さにてダンパー部材39が背面ダクト7内に進入し、当該ダンパー部材39の後端が冷却器カバー21の前面に当接し、冷気通路24を閉塞する。
【0054】
これにより、制御装置20により圧縮機15及び送風機4が運転されると、下部ダクト12内に吸い込まれた冷気は、ファンケース4A後部から吐出され、その一部は、ファンケース4Aの冷却器カバー21内と連通する図示しない連通孔内に流入し、黒塗り矢印にて示すように、冷却器8内を通過し、冷却器カバー21前壁後面に沿って降下した後、冷気流出口23から冷却器カバー21の前面と仕切板6との間に形成された冷気通路24内に流入し、当該冷気通路24を上昇する。
【0055】
冷気通路24内を上昇した低温の冷気は、ダンパー部材39にてそれより上方への上昇が制限され、仕切板6に形成された連通孔40を介して中間ダクト部材35の連通部37より中間ダクト38内に流入する。中間ダクト38内に流入した冷気は、当該中間ダクト部材35の前端に形成された中間冷気吐出口36より、陳列室11の前面開口2下縁に形成された冷気吸込口13に向けて吹き出される。
【0056】
これにより、中間ダクト部材35の前端下面に形成された中間冷気吐出口36から吐出された冷気は、該中間ダクト部材35が設けられた棚30Aより下側の下陳列室11Bの前面開口に冷気エアーカーテンを形成しながら当該下陳列室11B内を冷却する。そして、冷気吸込口13から下部ダクト12に吸引され、再び送風機4に吸い込まれる循環を繰り返す。
【0057】
従って、中間ダクト部材35が設けられた棚30Aより下側の下陳列室11B内は、当該棚30Aの下側に取り付けられる中間ダクト部材35を介して前面開口に冷気供給されることにより、低めの冷蔵温度を設定温度とする冷蔵使用することができる。
【0058】
他方、このとき、冷気流出口22のカバーは開放されているため、ファンケース4A内に流入した冷気の内の一部は、当該ファンケース4Aの両側部に開口して形成された冷気流出口22、22を介して冷却器8を経ることなく背面ダクト7上方に吹き上げられる(白抜き矢印)。
【0059】
背面ダクト7上方に吹き上げられた比較的温度の高い冷気は、陳列室11の前面開口2上縁に形成された冷気吐出口14より、陳列室11の前面開口2下縁に形成された冷気吸込口13に向けて吹き出される。
【0060】
これにより、冷気吐出口14から吐出された冷気は、上陳列室11A及び下陳列室11Bの前面開口に冷気エアーカーテンを形成しながら主として上陳列室11B内を冷却する。そして、冷気吸込口13から下部ダクト12に吸引され、再び送風機4に吸い込まれる循環を繰り返す。
【0061】
本実施例では、このような第2の制御状態に設定されている場合において、制御装置20は下陳列室11B内に位置する下部温度センサ28により検出される温度に基づいて、下陳列室11B内の温度が予め設定された低めの冷蔵温度となるように、冷却装置の膨張弁17の開度制御や圧縮機15の運転制御、更には、送風機4の運転制御を行う。このとき、制御装置20は下陳列室11B内の温度を表示する温度表示部43に下部温度センサ28により検出された温度を表示する。
【0062】
そして、上陳列室11A内は、上述したような温度制御が行われる下陳列室11B内を冷却し下部ダクト12内に帰還した冷気の一部であって、冷却器8を経ず供給される冷気によって冷却される。本実施例では、上陳列室11A内が設定された高めの冷蔵温度よりも大きく下回ることを防止するため、制御装置20は、温度補償として中間ダクト部材35より上方となる位置に架設される棚30A、及び(この場合、上から1段目乃至3段目の)棚3に配設された加温用ヒータHを通電制御し、上陳列室11A内を予め設定された高めの冷蔵温度となるように温度制御を実行する。このとき、制御装置20は上陳列室11A内の温度を表示する温度表示部42に上部温度センサ27により検出された温度を表示する。
【0063】
ここで、制御装置20は、上述した如き設定切替スイッチ26による設定と、両温度センサ27、28により検出された温度とを比較し、矛盾が生じているか否かを判断する。この場合、設定切替スイッチ26による設定は、上述したように陳列室11内を上下異なる温度で使用する第2の制御状態としている。そして、コントロールパネル29にて設定された上下陳列室11A、11Bそれぞれの設定温度は、異なる冷蔵温度であり、この場合、高めの冷蔵温度(例えば+18℃)と、低めの冷蔵温度(チルド。例えば+5℃)である。
【0064】
そのため、設定通りの状況であれば、即ち、中間ダクト部材35が適切に取り付けられていれば、上部温度センサ27及び下部温度センサ28にて検出された温度の差は、所定の範囲(上記の場合13℃±4℃程度)となる。
【0065】
しかし、両温度センサ27、28にて検出された温度の差が、異常の判断基準となる略近似と判断される温度差(閾値。例えば5℃)である場合には、設定切替スイッチ26による設定と、実際の検出温度との間に矛盾が生じていることとなる。
【0066】
この場合、制御装置20は、中間ダクト部材35の取り付けに関する異常、即ち、確実に中間ダクト部材35が取り付けられておらず、背面ダクト7内の冷気通路24をダンパー部材39にて閉塞できていない状況が発生しているものと判断する。そして、制御装置20は、異常の発生を判断した場合には、警報表示部45により当該異常の発生を使用者に報知する。
【0067】
これにより、中間ダクト部材35の着脱検出スイッチを格別に設けることなく、制御装置20は、設定切替スイッチ26による設定と、両温度センサ26、27により検出された温度の差から中間ダクト部材35の取付に関する異常を判断することができる。これに基づき、警報表示を行うことにより、使用者は、中間ダクト部材35の取り付け異常、この場合、中間ダクト部材35が適切に取り付けられていない状況を把握でき、迅速に中間ダクト部材35の適切な取付を実現できる。
【0068】
また、制御装置20は、上部温度センサ27と下部温度センサ28にて検出された温度のうち、一方の温度センサが、設定温度よりも著しく逸脱した温度を検出している場合には、予め計測されている上下の陳列室11A、11B内の温度差を用いて、他方の温度センサにより、一方の温度センサが温度を検出すべき陳列室内の温度制御を実行する。
【0069】
即ち、下部温度センサ28が故障等により異常温度を検出している場合には、上部温度センサ27により検出された温度に、予め計測されており、メモリ25に記憶されている上下の陳列室11A、11B内の温度差(設定通りであれば高めの冷蔵温度である+18℃と低めの冷蔵温度である+5℃との差)を加えて、下部温度センサ28が温度を検出すべき陳列室、即ち下陳列室11B内の温度制御を実行する。
【0070】
また、上部温度センサ27が故障等により異常温度を検出している場合には、下部温度センサ28により検出された温度に、予め計測されており、メモリ25に記憶されている上下の陳列室11A、11Bの温度差を減算して、上部温度センサ27が温度を検出すべき陳列室、即ち上陳列室11A内の温度制御を実行する。
【0071】
このような温度制御を行う場合には、制御装置20は、温度センサ27又は28に異常が発生していることを警報表示部45に表示し、使用者に温度センサの異常を報知する。そのため、迅速に故障解消に対応することが可能となる。
【0072】
これにより、異常を発生した温度センサが復帰するまでの間、ショーケース1の運転を停止、又は、連続運転とすることなく、他方の温度センサにより検出された温度に基づいて適切な温度制御を継続して行うことが可能となる。
【0073】
(2)上下で冷蔵使用と温蔵使用
一方、上下で冷蔵使用と温蔵使用とを行う場合には、上陳列室11Aを温蔵使用とし、下陳列室11Bを冷蔵使用とする。本実施例では、上記と同様、棚30Aに中間ダクト部材35が設けられているため、当該中間ダクト部材35の設置高さにてダンパー部材39が背面ダクト7内に進入し、当該ダンパー部材39の後端が冷却器カバー21の前面に当接し、冷気通路24を閉塞する。また、ファンケース4Aに形成された冷気流出口22はカバーにて閉塞する。
【0074】
これにより、制御装置20により圧縮機15及び送風機4が運転されると、下部ダクト12内に吸い込まれた冷気は、ファンケース4Aの冷却器カバー21内と連通する図示しない連通孔内に流入し、冷却器8内を通過して冷気通路24を上昇する。冷気通路24内を上昇した冷気は、ダンパー部材39にてそれより上方への上昇が制限され、仕切板6に形成された連通孔40を介して中間ダクト部材35の連通部37より中間ダクト38内に流入する。中間ダクト38内に流入した冷気は、当該中間ダクト部材35の前端に形成された中間冷気吐出口36より、陳列室11の前面開口2下縁に形成された冷気吸込口13に向けて吹き出され、これによって、中間ダクト部材35が設けられた棚30Aより下側の下陳列室11Bが冷却される。そして、冷気吸込口13から下部ダクト12に吸引され、再び送風機4に吸い込まれる循環を繰り返す。
【0075】
これにより、下陳列室11B内は、下部温度センサ28により検出される温度に基づいて、下陳列室11B内の温度が予め設定された冷蔵温度となるように、冷却装置の膨張弁17の開度制御や圧縮機15の運転制御、更には、送風機4の運転制御を行う。このとき、制御装置20は下陳列室11B内の温度を表示する温度表示部43に下部温度センサ28により検出された温度を表示する。
【0076】
他方、冷気流出口22のカバーは閉塞されているため、背面ダクト7上方には、冷気が吐出されない。この状態で、制御装置20は、上部温度センサ27により検出される温度に基づいて、中間ダクト部材35より上方となる位置に架設される棚30A、及び(この場合、上から1段目乃至3段目の)棚3に配設された加温用ヒータHを通電制御し、上陳列室11A内を予め設定された温蔵温度となるように温度制御を実行する。このとき、制御装置20は上陳列室11A内の温度を表示する温度表示部42に上部温度センサ27により検出された温度を表示する。
【0077】
この場合においても、制御装置20は、上述した如き設定切替スイッチ26による設定と、両温度センサ27、28により検出された温度とを比較し、矛盾が生じているか否かを判断する。この場合、設定切替スイッチ26による設定は、上述したように陳列室11内を上下異なる温度で使用する第2の制御状態としている。そして、コントロールパネル29にて設定された上陳列室11Aの設定温度は、温蔵温度、下陳列室11Bの設定温度は、冷蔵温度である。
【0078】
そのため、設定通りの状況であれば、即ち、中間ダクト部材35が適切に取り付けられていれば、上部温度センサ27及び下部温度センサ28にて検出された温度の差は、冷蔵温度と温蔵温度の差となるため、上記の場合に比べ大きくなる(例えば30℃以上)。
【0079】
しかし、両温度センサ27、28にて検出された温度の差が小さい場合には、設定切替スイッチ26による設定と、実際の検出温度との間に矛盾が生じていることとなる。ここで、異常の判断基準となる近似範囲は、上述したような上下陳列室内が共に冷蔵温度である場合には小さいが、この場合、上下陳列室内で設定された使用温度帯が異なるため、制御装置20は、当該異常の判断基準となる温度差(閾値)は、より大きくする。
【0080】
このように、設定切替スイッチ26による設定と、実際の検出温度との間に矛盾が生じている場合には、制御装置20は、中間ダクト部材35の取り付けに関する異常、即ち、確実に中間ダクト部材35が取り付けられておらず、背面ダクト7内の冷気通路24をダンパー部材39にて閉塞できていない状況が発生しているものと判断する。そして、制御装置20は、異常の発生を判断した場合には、警報表示部45により当該異常の発生を使用者に報知する。
【0081】
これにより、中間ダクト部材35の着脱検出スイッチを格別に設けることなく、制御装置20は、設定切替スイッチ26による設定と、両温度センサ26、27により検出された温度の差から中間ダクト部材35の取付に関する異常を判断することができる。これに基づき、警報表示を行うことにより、使用者は、中間ダクト部材35の取り付け異常、この場合、中間ダクト部材35が適切に取り付けられていない状況を把握でき、迅速に中間ダクト部材35の適切な取付を実現できる。
【0082】
このように、本実施例では、異常判断となる温度差(閾値)を使用温度帯が高めの冷蔵温度と低めの冷蔵温度(チルド)とする場合には、小さく、温蔵温度と冷却温度とする場合には、を大きく設定することにより、より円滑に、且つ、適切な異常検知を実現できる。
【0083】
(3)陳列室内全体を同一の温度で使用
次に、陳列室11内全体を同一の温度で使用する場合について説明する。この場合、使用者は、予め設定切換スイッチ26を陳列室11内全体を同一の温度で使用する第1の制御状態に設定する。そして、中間ダクト部材35を備えた棚30Aは、陳列室11内から取り外す。コントロールパネル29により、当該陳列室11の温度を設定する。
【0084】
ここでは、一例として陳列室11内全体を冷蔵使用する場合について説明する。尚、冷蔵使用の場合に限らず、陳列室11内全体を温蔵使用する場合についても同様とする。制御装置20によって圧縮機15及び送風機4が運転される。これにより、下部ダクト12内に吸い込まれ、冷気流出口22及び、冷却器8を通過して冷気通路24から上方に吹き出された冷気は、背面ダクト7内を上昇し、陳列室11の前面開口2上縁に形成された冷気吐出口14より、陳列室11の前面開口2下縁に形成された冷気吸込口13に向けて吹き出される。
【0085】
これにより、冷気吐出口14から吐出された冷気は、陳列室11の前面開口に冷気エアーカーテンを形成しながら当該陳列室11内を冷却する。そして、冷気吸込口13から下部ダクト12に吸引され、再び送風機4に吸い込まれる循環を繰り返す。
【0086】
本実施例では、このような第1の制御状態に設定されている場合において、制御装置20は陳列室11内下部に配設された下部温度センサ28により検出される温度に基づいて、陳列室11内の温度が予め設定された冷蔵温度となるように、冷却装置の膨張弁17の開度制御や圧縮機15の運転制御、更には、送風機4の運転制御を行う。このとき、制御装置20は何れか一方の温度表示部42又は43のみに、下部温度センサ28により検出された温度を表示し、他方の温度表示部43又は42には、温度表示を行わない。
【0087】
ここで、制御装置20は、上述した如き設定切替スイッチ26による設定と、陳列室11内上部に配設される上部温度センサ27及び陳列室11内下部に配設される下部温度センサ28により検出された温度とを比較し、矛盾が生じているか否かを判断する。この場合、設定切替スイッチ26による設定は、上述したように陳列室11内全体を同一の温度で使用する第1の制御状態としている。
【0088】
そのため、設定通りの状況であれば、即ち、中間ダクト部材35が適切に取り外されていれば、上部温度センサ27及び下部温度センサ28にて検出された温度の差は、略近似した温度差となる。
【0089】
しかし、両温度センサ27、28にて検出された温度の差が、異常の判断基準となる所定の範囲(例えば、高めの冷蔵温度である18℃と低めの冷蔵温度である5℃との差程度)である場合には、設定切替スイッチ26による設定と、実際の検出温度との間に矛盾が生じていることとなる。
【0090】
この場合、制御装置20は、中間ダクト部材35の取り付けに関する異常、即ち、確実に中間ダクト部材35が取り外されておらず、背面ダクト7内の冷気通路24がダンパー部材39にて閉塞されている状況が発生しているものと判断する。そして、制御装置20は、異常の発生を判断した場合には、警報表示部45により当該異常の発生を使用者に報知する。
【0091】
かかる場合においても、中間ダクト部材35の着脱検出スイッチを格別に設けることなく、制御装置20は、設定切替スイッチ26による設定と、両温度センサ26、27により検出された温度の差から中間ダクト部材35の取付に関する異常を判断することができる。これに基づき、警報表示を行うことにより、使用者は、中間ダクト部材35の取り付け異常、この場合、中間ダクト部材35が適切に取り外されていない状況を把握でき、迅速に中間ダクト部材35の適切な撤去を実現できる。
【0092】
また、当該第1の制御状態に設定されている場合には、通常、上述したように下部温度センサ28が検出する温度に基づいて陳列室11内の温度制御を実行しているが、当該下部温度センサ28が設定温度よりも著しく逸脱した温度を検出している場合、若しくは、上部温度センサ27が検出する温度と下部温度センサ28が検出する温度に所定の差異、例えば10℃以上の温度差がある場合には、制御装置20は、下部温度センサ28に異常が発生したものと判断する。
【0093】
そして、制御装置20は、下部温度センサ28の代用として上部温度センサ27が検出する温度に基づいて、陳列室11内の温度制御を実行する。これにより、下部温度センサ28が復帰するまでの間、ショーケース1の運転を停止、又は、連続運転とすることなく、上部温度センサ27によって下部温度センサ28を代用して運転継続を行うことが可能となる。
【0094】
また、このような温度制御を行う場合には、制御装置20は、下部温度センサ28に異常が発生していることを警報表示部45に表示し、使用者に温度センサの異常を報知する。そのため、迅速に故障解消に対応することが可能となる。
【0095】
尚、上記において、制御装置20は、両温度センサ27、28が検出する温度に所定の差違がある場合に、下部温度センサ28に異常が発生しているものと判断する。そのため、下部温度センサ28により検出された温度が著しく設定温度よりも逸脱した温度となる前に、下部温度センサ28の異常を適切に判断することができる。これにより、迅速な対応を実現することができる。
【符号の説明】
【0096】
H 加温用ヒータ(電気ヒータ)
1 ショーケース
2 開口
3 断熱壁
4 送風機
4A ファンケース
6 仕切板
7 背面ダクト
8 冷却器
11 陳列室
12 下部ダクト
13 冷気吸込口
14 冷気吐出口
15 圧縮機
17 膨張弁(若しくは電磁弁)
20 制御装置
21 冷却器カバー
22 冷気流出口
23 冷気流出口
24 冷気通路
26 設定切替スイッチ
27 上部温度センサ
28 下部温度センサ
29 コントロールパネル
30 棚
30A 棚(中間ダクト部材を有する)
35 中間ダクト部材
36 中間冷気吐出口
37 連通部
38 中間ダクト
39 ダンパー部材
40 連通孔
42 温度表示部(上部用)
43 温度表示部(下部用)
45 警報表示部(警報装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に開口する陳列室内に背面ダクトを介して冷気を循環することで前記陳列室内を冷却すると共に、前記背面ダクトに連通可能な中間ダクトを有する中間ダクト部材を前記陳列室内に着脱可能に取り付け、該中間ダクト部材の上下において、前記陳列室内を相互に異なる温度で使用可能とされたショーケースにおいて、
前記陳列室内に取り付けられた状態の前記中間ダクト部材より下方となる位置の前記陳列室内の温度を検出する下部温度センサと、
前記陳列室内に取り付けられた状態の前記中間ダクト部材より上方となる位置の前記陳列室内の温度を検出する上部温度センサと、
これら温度センサが接続された制御装置と、
該制御装置の設定を、前記陳列室の全体を同一の温度で使用する第1の制御状態と、上下異なる温度で使用する第2の制御状態とに切り換えるための設定切換スイッチとを備え、
前記制御装置は、前記設定切換スイッチによる設定と、前記両温度センサが検出する温度との間に矛盾が生じている場合、前記中間ダクト部材の取り付けに関する異常が発生しているものと判断することを特徴とするショーケース。
【請求項2】
前記制御装置は、前記中間ダクト部材を前記陳列室内に取り付けたときの、当該中間ダクト部材の上下における前記陳列室内の使用温度帯に応じて、前記中間ダクト部材の取り付けに関する異常の判断基準を変更することを特徴とする請求項1に記載のショーケース。
【請求項3】
前記制御装置は、前記第1の制御状態に設定されている場合、前記下部温度センサが検出する温度に基づいて前記陳列室内の温度制御を実行すると共に、
該下部温度センサに異常が発生した場合は、前記上部温度センサを用いて前記陳列室内の温度制御を実行することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のショーケース。
【請求項4】
前記制御装置は、前記両温度センサが検出する温度に所定の差違がある場合、前記下部温度センサに異常が発生しているものと判断することを特徴とする請求項3に記載のショーケース。
【請求項5】
前記制御装置は、前記第2の制御状態に設定されている場合、前記下部温度センサが検出する温度に基づいて前記中間ダクト部材より下方における前記陳列室内の温度制御を実行し、前記上部温度センサが検出する温度に基づいて前記中間ダクト部材より上方における前記陳列室内の温度制御を実行すると共に、
一方の前記温度センサに異常が発生した場合、予め計測されている上下の陳列室内の温度差を用いて、他方の前記温度センサにより、前記一方の温度センサが温度を検出すべき前記陳列室内の温度制御を実行することを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちの何れかに記載のショーケース。
【請求項6】
前記制御装置は、前記異常を報知するための警報装置を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のうちの何れかに記載のショーケース。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−229755(P2011−229755A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−104286(P2010−104286)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】