説明

ショーケース

【課題】簡単な操作で、冷蔵商品と温蔵商品との陳列棚の比率を変更でき、効率的に冷蔵商品を冷やすことができるようにしたショーケースを提供する。
【解決手段】コ字状の断熱材と前記断熱材の内側に間隔を存して区画板を有し、前記断熱材と前記区画板との間隔を冷気循環ダクトとし、前記区画板の内側に庫内が形成され、前記庫内に商品を陳列する商品陳列棚を形成したショーケースにおいて、前記商品陳列棚の少なくとも1つに冷気循環ダクト内の冷気を庫内に導く中間ダクトを形成し、前記区画板の一部に庫内の長手方向に渡って短冊状の硬質樹脂材が複数取り付けられ、中間ダクトを挿入した際に前記硬質樹脂材が冷気循環ダクト内を上下に塞ぐことができる大きさを有していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品陳列室内を、冷蔵商品専用、温蔵商品専用あるいは冷蔵商品と温蔵商品とが併売可能なように構成されているショーケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ショーケースでは、断熱筺体としてなる全面開放形のケース本体と、庫内の商品陳列室を取り巻いてケース本体の外箱の断熱壁と内箱の背面パネルとの間に画成した冷気循環ダクトと、冷却機と、庫内ファンと、冷凍機のコンデンシングユニットが収納されている機械室と、庫内に上下段に並んで商品を載置する商品陳列棚を構成する。
【0003】
この各商品陳列棚には、温蔵商品も販売可能なように商品陳列棚内にヒータが設けられている。
【0004】
例えば、上部の2段に温蔵商品、下部の2段に冷蔵商品を展示して冷温商品併売用の4段のショーケースとして設置した場合、上部から2段目の商品陳列棚の下に着脱自在に設けられた仕切板を背面パネルに形成される切欠きを介して冷気循環ダクト内に進入させて、冷気循環ダクトを上下方向に遮蔽している。
【0005】
また、切欠きは上下に区分される商品陳列棚の冷温商品の陳列比率を変更可能なように上下複数個所に設け、この切欠きを閉塞するために、背面パネルには開度自在に設けられ、仕切板により押し開かれるカバーを設けている。
【0006】
このように、商品陳列棚に着脱自在に設けられた仕切板により冷気循環ダクト内を上下に遮蔽することにより、冷温商品の併売を可能としている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4238343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1では、切欠きはショーケースの幅方向に渡って形成していると共に、背面パネルに仕切板を進入させる切欠きを複数形成しなければならず、背面パネルの強度が低下してしまい、変形してしまう虞もある。また、仕切板が進入していない切欠きを完全に閉塞することが難しく、切欠きから冷気が漏れてしまい、十分なエアーカーテンを形成することが出来なくなってしまう虞もある。
【0009】
また、使用されていない切欠きに顧客が誤って手を入れてしまい、手が切欠きとカバーの間に挟まれて怪我を負ってしまう虞もある。
【0010】
更に、使用していない切欠きを通して物が入れられてしまったり、誤ってものが入れられた場合に、冷却器上に物が落下し、ショーケースが十分な冷却性能を得ることが出来なくなってしまったり、庫内ファン等が故障してしまう等の虞もある。
【0011】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は前記課題を解決し、簡単な操作で、冷蔵商品と温蔵商品との陳列棚の比率を変更でき、効率的に冷蔵商品を冷やすことができるようにしたショーケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1の発明のショーケースは、コ字状の断熱材と前記断熱材の内側に間隔を存して区画板を有し、前記断熱材と前記区画板との間隔を冷気循環ダクトとし、前記区画板の内側に庫内が形成され、前記庫内に商品を陳列する商品陳列棚を形成したショーケースにおいて、前記商品陳列棚の少なくとも1つに冷気循環ダクト内の冷気を庫内に導く中間ダクトを形成し、前記区画板の一部に庫内の長手方向に渡って短冊状の硬質樹脂材が複数取り付けられ、中間ダクトを挿入した際に前記硬質樹脂材が冷気循環ダクト内を上下に塞ぐことができる大きさを有していることを特徴とする。
【0013】
請求項2の発明のショーケースは、請求項1において硬質樹脂材の上部に支柱を設け、支柱は区画板の両端に設けられた棚支柱に係止されたことを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明のショーケースは、請求項1において硬質樹脂材の下部に軟質樹脂を取り付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明のショーケースは、コ字状の断熱材と前記断熱材と間隔を存して区画板が形成され、ショーケース内に商品を陳列する庫内を形成すると共に、区画板と断熱材との間に冷気循環ダクトを形成したショーケースにおいて、区画板の一部に短冊状の硬質樹脂材を複数取り付け、硬質樹脂材に中間ダクトを挿入した際に、冷気循環ダクト内を流れる冷気を中間ダクトに導くことで、簡単に冷蔵商品と温蔵商品の併売を行うことができる。
【0016】
また、硬質樹脂材に切込みを設けているため、誤って切込みに手を突っ込んでしまっても、怪我をすることはなく安全に使用することができる。
【0017】
請求項2の発明のショーケースは、区画板に取り付けられた硬質樹脂材の上部に支柱を設け、その支柱が棚支柱に取り付けられているため、支柱を中心として冷気循環ダクト内を回動することができる。
【0018】
請求項3の発明のショーケースは、硬質樹脂材の下部の周囲を軟質樹脂により覆うことで、使用していない硬質樹脂材から冷気循環ダクト内を流れる冷気が庫内に漏れることがない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明を適用したショーケースの側面図である。
【図2】本発明を適用したショーケースの斜視図である。
【図3】本発明を適用したショーケースの冷気循環ダクトの拡大側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0021】
図1の本発明を適用したショーケースの側面図において、ショーケース1は前面に開口するコ字状の断熱材2と、断熱材2の内側に間隔を存して区画板3が形成され、区画板3と断熱材2の間を冷気循環ダクト4とすると共に、区画板3の内側を庫内6としている。
【0022】
冷気循環ダクト4の一端には庫内の前面開口上縁に位置する上部冷気吐出口9に連通し、その前方部には商品を照らす蛍光灯支持部材10が設置されている。冷気循環ダクト4の他端には庫内6の前面開口下縁に位置すると共に、複数のスリットから成る冷気吸込口11に連通している。また、冷気循環ダクト4の下部には冷気送給用の送風機8が配置されると共に、背面には、冷却装置の冷凍サイクルを構成する冷却器12が縦設されている。
【0023】
庫内6には中間ダクト14と複数段の商品陳列棚13が、本実施例では上下に7段架設されている。各商品陳列棚13は、後端に後方に突出する鉤状の爪を有した左右一対のブラケット15と、このブラケット上に差し渡して着脱自在に取り付けられた棚板16と、この棚板の下面に取り付けられた加温用の図示しない電気ヒータとから構成されている。またブラケット15は区画板の両端に設けられた棚支柱17の孔に係止されている。
【0024】
そして、ショーケース内の棚支柱17に区画板が取り付けられ、上下方向に複数形成された孔に前記ブラケット15の爪を係脱自在に係合させることにより、各商品陳列棚13は庫内に置いて上下位置(高さ)を変更可能に架設されている。尚、この場合、陳列する商品(缶やペットボトル等)の高さ寸法に合わせて効率的な棚配置ができるように、商品に対応した番号や色を棚支柱17(棚支柱の所定の高さの位置)に付しておくと良い。
【0025】
次に、図2、3を用いて、ショーケース内の硬質樹脂材7の構成について説明する。
【0026】
図2は、ショーケース内の硬質樹脂材7に商品陳列棚を取り付けた際の斜視図、図3は硬質樹脂材に中間ダクト14を取り付けた際の側面図である。
【0027】
区画板3の背面に複数の短冊状の硬質樹脂材7が設けられており、前記硬質樹脂材7には、上端にショーケース1の幅方向に渡って図示しない支柱が内蔵されている。この支柱の両端がショーケース内に設けられた棚支柱17に取り付けられている。硬質樹脂材7は棚支柱17に取り付けられた支柱を軸となることで、硬質樹脂材の左端、右端及び下端が回動する回動部材20が形成され回動することが可能になる。
【0028】
また、回動部材20は、中間ダクト14が挿入できる程度の大きさを有している。
【0029】
この庫内6に設けられた複数の回動部材20に使用者が任意の個所に中間ダクト14を差し込むことで思いのままに冷蔵商品と温蔵商品との棚陳列の比率を変更することができる仕組みになっている。
【0030】
また、硬質樹脂材7を使用することで、従来技術では区画板3が金属板であったため、中間ダクト14との接触によりダクト導入孔22が破損する虞がなく、安全に使用することができる。
【0031】
さらに、区画板3が硬質樹脂材7で構成されているため、顧客等が誤って切込みに手を突っ込んでしまっても、手がダクト導入孔22と硬質樹脂材7との間に挟まれ怪我を負ってしまう虞もない。
【0032】
例えば、図2のように上から5段目の回動部材20に中間ダクト14を挿入したとする。その際、図3のように、回動部材20は冷気循環ダクト内を中間ダクト14と共に進入する。全ての回動部材20の下端の周囲を軟質樹脂21で覆われていると共に、軟質樹脂21の下部の前面が、直下の回動部材20の上部の後面と接している。これにより、冷気循環ダクト内を下から上に流れる冷気によって、使用していない回動部材20の隙間から冷気が庫内6に漏れるのを防止する役目と中間ダクト14が回動部材20に挿入された場合には、冷気循環ダクトを上下に塞ぐ役目を担っている。
【0033】
冷気循環ダクト内に中間ダクト14とともに進入した回動部材20は、下部が冷気循環ダクト内の断熱板2に接するまで回動部材20が図3のように下から上へ反時計回りに回動する。回動部材20は回動部材20に取り付けられた軟質樹脂21とともに断熱板2に回動部材20の下部が接するため冷気循環ダクト内を上下に塞ぐことができるため、冷気循環ダクト内を流れる冷気は、それ以上上方には流れなくなる。
【0034】
中間ダクト14が挿入されたことにより回動した回動部材20により硬質樹脂材7に形成されたダクト導入孔22を通過した冷気は、中間ダクト14に設けられた通風孔23を通り、中間ダクト内を流れる。中間ダクト内を流れる冷気は、中間ダクト14の一端にある棚下冷気吐出口19から送出される。棚下冷気吐出口19から下方へ送出された冷気は、冷気吸込口11へ向け流下する。これにより、ショーケースの前方(正面側)に均一なエアーカーテンを形成することができ、商品陳列棚13に陳列された冷蔵商品を冷蔵することができる。中間ダクト14よりも上部の商品陳列棚13に取り付けられている電気ヒータを通電させることで、中間ダクト14を挿入した商品陳列棚13の上下で、温度帯の異なる商品を販売することが可能になる。
【0035】
図3では、硬質樹脂材7に中間ダクト14を差し込み、冷蔵商品と温蔵商品を販売するショーケース1としたが、この図3のような使用に限られるものではない。使用者が商品陳列棚13に陳列する商品の高さに応じて中間ダクト14を差し込む硬質樹脂材7の位置を変更することができるため、最も効率のよい商品陳列が可能になり、使用者の意図する使用が可能になる。
【0036】
なお、上記実施例では、商品陳列棚が7段の場合のショーケースについて説明したが、この段数に限られるものではない。また、中間ダクト14よりも上の商品陳列棚13に内蔵されている電気ヒータで温蔵領域としたが、電気ヒータに通電することなく、或いは、電気ヒータを設けずに非冷領域として使用してもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 ショーケース
2 断熱材
3 区画板
4 冷気循環ダクト
6 庫内
7 硬質樹脂材
8 送風機
9 上部冷気吐出口
11 冷気吸込口
12 冷却器
13 商品陳列棚
14 中間ダクト
16 棚板
17 棚支柱
20 回動部材
21 軟質樹脂
22 ダクト導入孔
23 通風孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コ字状の断熱材と前記断熱材の内側に間隔を存して区画板を有し、前記断熱材と前記区画板との間隔を冷気循環ダクトとし、前記区画板の内側に庫内が形成され、前記庫内に商品を陳列する商品陳列棚を形成したショーケースにおいて、前記商品陳列棚の少なくとも1つに冷気循環ダクト内の冷気を庫内に導く中間ダクトを形成し、前記区画板の一部に庫内の長手方向に渡って短冊状の硬質樹脂材が複数取り付けられ、中間ダクトを挿入した際に前記硬質樹脂材が冷気循環ダクト内を上下に塞ぐことができる大きさを有していることを特徴とするショーケース。
【請求項2】
前記ショーケースにおいて、硬質樹脂材の上部に支柱を設け、支柱は区画板の両端に設けられた棚支柱に係止されたことを特徴とするショーケース。
【請求項3】
前記ショーケースにおいて、硬質樹脂材の下部に軟質樹脂を取り付けたことを特徴とするショーケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−50530(P2012−50530A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193974(P2010−193974)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】