説明

シリル基置換アミンの製造方法

【構成】 新規反応を利用して、下記の一般式(I)で表わされる芳香族アゾメチンと下記の一般式(II)で表わされるフッ素化ジシランとを反応させて、下記の一般式(III)で表わされるシリル基置換アミンを製造する方法である。
【化1】


【化2】


【化3】


(Arはアリール基、Rはアルキル基又はアラルキル基、R1ないしR6はその中の少なくとも1つがフッ素原子で、残りが炭化水素基であり、フッ素原子以外のものはたがいに結合して環構造を形成していてもよい)
【効果】 農薬や医薬品などのファインケミカル製品の合成中間体などとして有用なシリル基をもつ芳香族アミン類を容易に入手可能な原料を用い、一段の反応で効率よく製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なシリル基置換アミンの製造方法、さらに詳しくいえば農薬や医薬を含む各種ファインケミカル製品の合成中間体として有用な、2個のシリル基をもつアミン類を新規反応を利用して製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、含ケイ素有機化合物に対する関心が高まるとともに、分子設計上の要求から、各種基本化学構造に含ケイ素置換基を導入する方法が研究されているが、特にトリ置換シリル基は、還元により容易に除去しうることから、保護基としての機能の面からも注目され、これを含む有機化合物を簡単に製造しうる方法の開発が要望されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、各種有用化合物の合成中間体として重要なシリル基置換アミンを効率よく製造するための方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、シリル基をもつアミン類を効率よく得る方法を開発するために、鋭意研究を重ねた結果、芳香族アゾメチンにフッ素化ジシランを反応させることにより、意外にも窒素原子にアリール・シリルメチル基が置換基として結合したシリルアミンが簡単に得られることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0005】すなわち、本発明は、一般式Ar−CH=N−R (I)
(式中のArは芳香環基、Rは置換されていてもよいアルキル又はアラルキル基である)で表わされる芳香族アゾメチンと、一般式
【化3】


(式中のR1,R2,R3,R4,R5及びR6の中の少なくとも1個はフッ素原子、残りは置換されていてもよい炭化水素基であり、これらの炭化水素基のうちの2個はたがいに結合して環構造を形成していてもよい)で表わされるフッ素化ジシランとを反応させることを特徴とする、一般式
【化4】


(式中のAr,R,R1,R2,R3,R4,R5及びR6は前記と同じ意味をもつ)で表わされるシリル基置換アミンの製造方法を提供するものである。
【0006】上記の一般式(I)の芳香族アゾメチンと、一般式(II)のフッ素化ジシランとから、一般式(III)のシリル基置換アミンを生成する反応は、新規反応であり、本発明方法は、この新規反応を利用して有用な化合物を製造することに成功したものである。
【0007】本発明方法において原料として用いる芳香族アゾメチンは、前記一般式(I)で表わされる化合物であるが、この一般式(I)中のArはフェニル基、ナフチル基のような芳香環基であって、この芳香環は置換されたものであってもよい。この置換基としては、例えばアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、置換アミノ基、スルホニル基などがある。次にRはアルキル基又はアラルキル基であり、このアルキル基は直鎖状、枝分れ状のいずれでもよく、また環状アルキル基でもよい。このようなアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n‐プロピル基、n‐ブチル基、イソブチル基、sec‐ブチル基、t‐ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ステアリル基、エイコシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。またアラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基などが挙げられる。これらのアルキル基及びアラルキル基はさらに置換されていてもよく、この置換基としては、例えば上記のArの置換基として挙げたものがある。
【0008】したがって、前記一般式(I)で表わされる芳香族アゾメチンの例としては、N‐ベンジリデンメチルアミン、N‐ベンジリデンエチルアミン、N‐ベンジリデンイソプロピルアミン、N‐ベンジリデン‐n‐ブチルアミン、N‐ベンジリデン‐t‐ブチルアミン、N‐ベンジリデンドデシルアミン、N‐ベンジリデンベンジルアミン、N‐ベンジリデンフェネチルアミン、N‐(1‐ナフチリデン)メチルアミン、N‐(2‐ナフチリデン)メチルアミン、p‐トルアルデヒドメチルイミン、4‐フルオロベンズアルデヒドメチルイミン、3,4‐ジメトキシベンズアルデヒドメチルイミン、4‐アセトキシベンズアルデヒドメチルイミン、4‐メトキシカルボニルベンズアルデヒドメチルイミン、N‐ベンジリデン(メトキシメチル)アミン、2‐(N‐ベンジリデンアミノ)プロピオン酸メチル、N‐ベンジリデン(3‐エトキシカルボニルプロピル)アミン、N‐ベンジリデン(トリフルオロメチル)アミンなどが挙げられる。
【0009】一方、本発明方法において、もう一方の原料として用いられるフッ素化ジシランは、前記一般式(II)で表わされる化合物であるが、この式中のR1ないしR6は、その中の少なくとも1個がフッ素原子で、残りがアルキル基、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基などの炭化水素基である。ここでアルキル基は直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、具体的にはメチル基、エチル基、n‐プロピル基、イソプロピル基、n‐ブチル基、sec‐ブチル基、t‐ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。アルケニル基の例としてはアリル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロペンタジエニル基などが挙げられる。アリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基などが挙げられ、アラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基などが挙げられる。また、これらの炭化水素基はさらに置換されていてもよく、この置換基としては、前記したArの場合に例示したものがある。また、R1ないしR6の中のフッ素原子以外のものはたがいに結合して環構造を形成していてもよい。
【0010】したがって、前記一般式(II)で表わされるジシラン類としては、例えば1‐フルオロ‐1,1,2,2,2‐ペンタメチルジシラン、1,2‐ジフルオロ‐1,1,2,2‐テトラメチルジシラン、1,1‐ジフルオロ‐1,2,2,2‐テトラメチルジシラン、1,1,1‐トリフルオロ‐2,2,2‐トリメチルジシラン、1,1,2‐トリフルオロ‐1,2,2‐トリメチルジシラン、1,1,2,2‐テトラフルオロ‐1,2‐ジメチルジシラン、1,1,1,2,2‐ペンタフルオロ‐2‐メチルジシラン、ヘキサフルオロジシラン、1‐フルオロ‐2‐フェニル‐1,1,2,2‐テトラメチルジシラン、1,2‐ジフルオロ‐1,2‐ジフェニル‐1,2‐ジメチルジシラン、1,1,1‐トリフルオロ‐2,2,2‐トリフェニルジシラン、1‐フルオロ‐1,1,2,2,2‐ペンタエチルジシラン、1,2‐ジフルオロ‐1,2‐ジプロピル‐1,2‐ジメチルジシラン、1,2‐ジフルオロ‐1,2‐ジベンジル‐1,2‐ジメチルジシラン、1,2‐ジフルオロ‐1,1,2,2‐テトラメチル‐1,2‐ジシラシクロヘキサンなどが挙げられる。
【0011】本発明方法における、この芳香族アゾメチンとフッ素化ジシランとの使用割合は、モル比で通常1:100ないし100:1、好ましくは1:10ないし10:1の範囲になるように選ばれる。
【0012】また、この反応においては、必要に応じて触媒を用いることができる。この触媒としては、パラジウム錯体、白金錯体、ニッケル錯体などが好適である。これらの錯体としては、従来公知のものを使用することができるが、反応系に少なくとも一部が可溶な化合物を用いるのが反応速度的には好ましい。これらの錯体は有機配位子を含むものが特に好適であり、この有機配位子としては、例えばホスフィン、ホスフィナイト、ホスホナイト、ホスファイト、オレフィン、β‐ジケトナト配位子、共役ケトン、ニトリル、アミン、カルボキシラト配位子、一酸化炭素などが挙げられる。
【0013】前記有機配位子としては、例えばトリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ(p‐トリル)ホスフィン、トリ(p‐アニシル)ホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、フェニルジメチルホスフィンなどの鎖状ホスフィン、P‐メチルホスホレン、P‐メチルホスホール、9‐メチル‐9‐ホスファビシクロ[4,2,1]ノナンなどの環状ホスフィン、1,2‐ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、1,2‐ビス(ジエチルホスフィノ)エタン、1,3‐ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4‐ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1′‐ビス(ジメチルホスフィノ)フェロセン、1,1′‐ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、α,α′‐ビス(ジメチルホスフィノ)‐o‐キシレン、1,2‐ビス(ジメチルホスフィノ)ベンゼンなどのビスホスフィン、メチル ジメチルホスフィナイト、フェニル ジフェニルホスフィナイトなどのホスフィナイト、ジメチル メチルホスホナイト、ジメチル フェニルホスホナイトなどのホスホナイト、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、1‐ホスファ‐2,6,7‐トリオキサ‐4‐エチルビシクロ[2,2,2]オクタンなどのホスファイト、エチレン、プロぺン、シクロオクテン、無水マレイン酸、1,5‐ヘキサジエン、1,5‐シクロオクタジエン、1,3‐シクロペンタジエン、2,5‐ノルボルナジエン、1,3,5,7‐シクロオクタテトラエンなどのオレフィンやジエン、アセチルアセトナトなどのβ‐ジケトナト配位子、ジベンジリデンアセトンなどの共役ケトン、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル、エチレンジアミン、2,2′‐ビピリジルなどのアミン、及びアセトナトなどのカルボキシラト配位子などが挙げられる。
【0014】本発明方法において、触媒として用いられるパラジウム錯体、白金錯体及びニッケル錯体の具体例としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(ジフェニルメチルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリメチルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリエチルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(フェニルジメチルホスフィン)パラジウム、ジクロロ[1,2‐ビス(ジメチルホスフィノ)エタン]パラジウム、ジクロロ[1,3‐ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]パラジウム、ジクロロ[1,4‐ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウム、ジクロロ[1,2‐ビス(ジエチルホスフィノ)エタン]パラジウム、ジクロロ[1,1′‐ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム、ジクロロ(η‐1,5‐シクロオクタジエン)パラジウム、ビス(η‐アリル)パラジウム、(η‐エチレン)ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム、ジクロロエチレンジアミンパラジウム、酢酸パラジウム、(η‐エチレン)ビス(トリフェニルホスフィン)白金、テトラキス(トリフェニルホスフィン)白金、テトラキス(ジフェニルメチルホスフィン)白金、テトラキス(トリエチルホスフィン)白金、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)白金、ジブロモビス(トリエチルホスファイト)白金、ビス(η‐1,5‐シクロオクタジエン)白金、ジクロロ(η‐1,5‐シクロオクタジエン)白金、ジカルボニルビス(トリブチルホスフィン)白金、カルボナトビス(トリシクロヘキシルホスフィン)白金、ビス(ジベンジリデンアセトン)ビス(トリフェニルホスフィン)白金、トリス(ジベンジリデンアセトン)二白金、ジクロロビス(ベンゾニトリル)白金、ジクロロビス(アセトニトリル)白金、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、テトラキス(ジフェニルメチルホスフィン)ニッケル、テトラキス(トリエチルホスフィン)ニッケル、ジクロロビス(トリメチルホスフィン)ニッケル、ジクロロビス(トリエチルホスフィン)ニッケル、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、ジクロロビス(フェニルジメチルホスフィン)ニッケル、ジクロロ[1,2‐ビス(ジメチルホスフィノ)エタン]ニッケル、ジクロロ[1,3‐ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル、ジクロロ[1,4‐ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]ニッケル、ジクロロ[1,2‐ビス(ジエチルホスフィノ)エタン]ニッケル、ジクロロ[1,1′‐ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ニッケル、ビス(η‐1,5‐シクロオクタジエン)ニッケル、ジメチルビス(トリメチルホスフィン)ニッケル、ジエチル(2,2′‐ビピリジル)ニッケル、ビス(η‐アリル)ニッケル、(η‐エチレン)ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、ビス(アセチルアセトナト)ニッケルなどが挙げられる。
【0015】本発明方法においては、これらの錯体はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、これらの錯体と共に、該錯体に含まれるものと同一又は異なる配位子を1種以上反応系に添加してもよい。これらの錯体の使用量はいわゆる触媒量でよく、通常芳香族アゾメチン1モルに対し、0.00001〜0.5モルの範囲で選ばれる。また、該錯体と共に配位子を添加する場合、その量は錯体中のパラジウム、白金又はニッケル原子に対するモル比が1〜20の範囲になるように選ぶの望ましい。
【0016】本発明方法においては、特に溶媒を用いることなく容易に反応を行うことができるが、必要ならば溶媒中において反応を行ってもよい。この溶媒としては、反応させるべき芳香族アゾメチン及びフッ素化ジシランの反応性を考慮して、例えば芳香族炭化水素系、飽和脂肪族又は飽和脂環式炭化水素系及びアルキルエーテル系などの溶媒の中から選ぶのが有利である。
【0017】また、本発明においては、反応は0℃以下でも進行するが、反応速度を高めるために250℃程度の温度まで加熱することができる。反応速度及び副反応の抑制などの点から、好ましい反応温度は、使用する原料の種類などにもよるが、一般には0〜200℃の範囲であり、特に50〜150℃の範囲が好適である。
【0018】反応終了後の生成物の分離は、通常用いられている公知の手段、例えば蒸留、再結晶、クロマトグラフィーなどの方法を用いて行うことができる。このようにして、前記一般式(III)で表わされるシリル基置換アミンが高収率で得られる。本発明方法で得られるシリル基置換アミンはいずれも文献未載の新規化合物である。
【0019】
【発明の効果】本発明によると、農薬や医薬品をはじめ、種々のファインケミカル製品の合成中間体などとして有用なメチル基炭素原子と、窒素原子とが2個のシリル基で置換されたN‐アリールメチルアリールアミンを、容易に入手可能な原料を用いて高収率で製造することができる。
【0020】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0021】実施例1テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム 0.01mmol、N‐ベンジリデンメチルアミン 0.5mmol、1,2‐ジフルオロ‐1,1,2,2‐テトラメチルジシラン 0.5mmol及びトルエン 0.1mlの混合物を、窒素下でガラス封管中に仕込み、120℃にて5時間加熱した。開封後ガスクロマトグラフィーにより分析した結果、メチル(ジメチルフルオロシリル)[α‐(ジメチルフルオロシリル)ベンジル]アミンが99%の収率で生成していることが確認された。
【0022】この化合物は、反応液を濃縮後、蒸留により単離し、下記の分析データにより同定された。
1H−NMR(C66)(ppm);δ 7.4−7.0(m,5H),3.87(d,J=7.8Hz,1H),2.52(m,3H),0.18(d,J=7.7Hz,3H),0.17(d,J=7.5Hz,3H),0.08(d,J=6.7Hz,3H),0.06(d,J=6.7Hz,3H)
13C−NMR(C66)(ppm);δ 141.3,128.8(2C),128.0,126.1(2C),54.1(d,J=14.5Hz),33.4,−1.1(d,J=14.0Hz),−1.4(d,J=14.0Hz),−2.68(d,J=22.2Hz),−2.73(d,J=21.0Hz)
GC−MS(EI,70eV);273(M+,1),196(M+−SiMe2F,100),120(12),77(27)
IR(cm-1);1649,1491,1452,1265,1058元素分析値;C12212NSi2として理論値(%) C 51.12,H 7.02,N 5.42実測値(%) C 50.59,H 7.12,N 5.24
【0023】実施例2実施例1において、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムの代わりにジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムを用いた以外は、実施例1と同様に反応を行ない、ガスクロマトグラフィーで分析したところ、メチル(ジメチルフルオロシリル)[α‐(ジメチルフルオロシリル)ベンジル]アミンが98%の収率で生成していることが確認された。
【0024】実施例3実施例において、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムの代わりにジクロロビス(トリメチルホスフィン)パラジウムを用いた以外は実施例1と同様に反応を行い、ガスクロマトグラフィーで分析したところ、メチル(ジメチルフルオロシリル)[α‐(ジメチルフルオロシリル)ベンジル]アミンが98%の収率で生成していることが確認された。
【0025】実施例4実施例1において、加熱温度を70℃、加熱時間を60時間とした以外は、実施例1と同様に反応を行ない、ガスクロマトグラフィーで分析したところ、メチル(ジメチルフルオロシリル)[α‐(ジメチルフルオロシリル)ベンジル]アミンが43%の収率で生成していることが確認された。
【0026】実施例5実施例3において、加熱温度を70℃、加熱時間を60時間とした以外は実施例3と同様に反応を行ない、ガスクロマトグラフィーで分析したところ、メチル(ジメチルフルオロシリル)[α‐(ジメチルフルオロシリル)ベンジル]アミンが67%の収率で生成していることが確認された。
【0027】実施例6実施例3において、N‐ベンジリデンメチルアミンの代わりにN‐ベンジリデン‐n‐ブチルアミンを用い、かつ加熱温度を120℃、加熱時間を20時間とした以外は実施例3と同様に反応を行い、ガスクロマトグラフィーで分析したところ、n‐ブチル(ジメチルフルオロシリル)[α‐(ジメチルフルオロシリル)ベンジル]アミンが70%の収率で生成していることが確認された。
【0028】この化合物は、反応液を濃縮後、蒸留により単離し、下記の分析データにより同定された。
1H−NMR(C66)(ppm);δ 7.45−7.0(m,5H),3.80(d,J=7.5Hz,1H),2.9−2.8(m,2H),1.4−1.26(m,2H),1.1−1.0(m,2H),0.76(m,3H),0.25(d,J=7.2Hz,3H),0.20(d,J=7.5Hz,3H),0.18(d,J=6.1Hz,3H),0.17(d,J=6.0Hz,3H)
13C−NMR(C66)(ppm);δ 142.2,128.9(2C),128.7,126.7(2C),55.5(d,J=14.1Hz),48.4,34.4,20.6,14.0,−1.2(d,J=17.3Hz),−1.3(d,J=21.1Hz),−1.4(d,J=16.9Hz),−1.44(d,J=20.8Hz)
29Si‐NMR(C66)(ppm);δ 28.3(d,J=293Hz),6.8(d,J=280Hz)
IR(液膜)(cm-1);2965,1601,1261,1116,864HRMS;C15272NSi2理論値:315.1651実測値:315.1652
【0029】実施例7実施例6において、N‐ベンジリデン‐n‐ブチルアミンの代わりにN‐ベンジリデンベンジルアミンを用いた以外は実施例6と同様に反応を行い、ガスクロマトグラフィーで分析したところ、ベンジル(ジメチルフルオロシリル)[α‐(ジメチルフルオロシリル)ベンジル]アミンが60%の収率で生成していることが確認された。この化合物は反応液を濃縮後、蒸留により単離された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 一般式Ar−CH=N−R(式中のArは芳香環基、Rは置換されていてもよいアルキル又はアラルキル基である)で表わされる芳香族アゾメチンと、一般式
【化1】


(式中のR1,R2,R3,R4,R5及びR6の中の少なくとも1個はフッ素原子、残りは置換されていてもよい炭化水素基であり、これらの炭化水素基のうちの2個はたがいに結合して環構造を形成していてもよい)で表わされるフッ素化ジシランとを反応させることを特徴とする、一般式
【化2】


(式中のAr,R,R1,R2,R3,R4,R5及びR6は前記と同じ意味をもつ)で表わされるシリル基置換アミンの製造方法。
【請求項2】 芳香族アゾメチンとフッ素化ジシランとの使用割合が、モル比で1:100ないし100:1である請求項1記載の製造方法。
【請求項3】 触媒の存在下で反応させる請求項1又は2記載の製造方法。
【請求項4】 触媒がパラジウム錯体、白金錯体及びニッケル錯体の中から選ばれた少なくとも1種である請求項3記載の製造方法。