説明

ジベンゾ[g,p]クリセン化合物、該化合物を含有する発光層用材料、およびこれを用いた有機電界発光素子

【課題】有機電界発光素子において、高い発光効率、優れた耐熱性、長い寿命等に寄与する発光材料、特に青色の発色に優れた発光材料の提供及びこの発光材料を用いた有機電界発光素子の提供。
【解決手段】式(1)で表されるジベンゾ[g,p]クリセン化合物、該化合物を含有する発光層用材料、およびこれを用いた有機電界発光素子


式(1)中、A、A、BおよびBは水素、置換されてもよい炭素数6〜30のアリールまたは置換されてもよい炭素数12〜30の芳香族環系から独立して選ばれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一置換または二置換のジベンゾ[g,p]クリセン化合物、該化合物を含有する発光層用材料、およびこの発光層用材料を用いた有機電界発光素子(以下、有機EL素子と略記する。)等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代のフルカラーフラットパネルディスプレイとして有機EL素子が注目され、青色、緑色、赤色の発光材料の研究開発が活発になされている。発光材料のうち特に青色発光材料の改良が求められている。これまでの開発ではアモルファス状態の安定な薄膜を形成することを目的として、化合物の結晶性を低下させることに焦点が当てられてきた。例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3および特許文献4には、2つ以上のアントラセン環を有する化合物を発光材料として用いた有機EL素子が提案されており、青緑色の発光が得られたと報告されている。特許文献5には、安定なアモルファス膜を形成する耐熱性の高い材料として、ジベンゾ[g,p]クリセン等の化合物を取り上げている。この中で、4つのアミノ基で置換したジベンゾ[g,p]クリセンを正孔輸送性発光材料として用いた有機EL素子を作成して、青緑色の発光が得られたと報告されている。しかしながら、発光効率、耐熱性、長い寿命等有機EL素子に求められる特性の改善には、さらなる材料の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−12600号公報
【特許文献2】特開平11−111458号公報
【特許文献3】特開2000−344691号公報
【特許文献4】特開2002−154993号公報
【特許文献5】国際公開2000/27946パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、有機EL素子において、高い発光効率、優れた耐熱性、長い寿命等に寄与する発光材料、特に青色の発色に優れた発光材料を提供することである。さらに本発明の目的は、この発光材料を用いた有機EL素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは鋭意検討した結果、ジベンゾ[g,p]クリセン骨格を基本骨格とし、その2位、3位、10位および11位の任意の1箇所または2箇所が特定の置換基で置き換えられた構造を有する新規な発光材料を、有機EL素子の発光層に単独で用いるか、または他の発光材料と組合せて用いることにより、発光効率が高く、高輝度、かつ長い寿命で駆動できる有機EL素子を得ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。
【0006】
本発明で用いる用語は、次のように定義される。アルキルは直鎖の基であってもよく、分岐された基であってもよい。このことは、この基において任意の−CH−が−O−で置き換えられた場合も同様である。本発明で用いる「任意の」は、位置についても個数についても任意である事を示し、「区別なく選択された少なくとも1つの」を意味する。そして、複数の基または原子が別の基で置き換えられるときには、それぞれが異なる基で置き換えられてもよい。ただし、本発明において、任意の−CH−が−O−で置き換えられてよいと記述するときには、連続する複数の−CH−が−O−で置き換えられることを含まない。また、本明細書中では「式(1−3−1)で表される化合物」のことを、「化合物(1−3−1)」のように、「式(1−4−1)で表される化合物」のことを、「化合物(1−4−1)」のように表記することがある。
【0007】
上記の課題は以下に示す各項によって解決される。
[1]下記式(1)で表される化合物。


式(1)中、A、A、BおよびBは水素、置換されてもよい炭素数6〜30のアリールまたは置換されてもよい炭素数12〜30の芳香族環系から独立して選ばれるが、
のみ、Bのみ、AとAの2つのみ、またはBとBの2つのみが置換されてもよい炭素数6〜30のアリールまたは置換されてもよい炭素数12〜30の芳香族環系であり、その他は水素である。
【0008】
[2]AおよびBのどちらか1つが置換されてもよい炭素数6〜30のアリールまたは置換されてもよい炭素数12〜30の芳香族環系である、前記[1]項に記載の化合物。
[3]AおよびAが置換されてもよい炭素数6〜30のアリールまたは置換されてもよい炭素数12〜30の芳香族環系である、前記[1]項に記載の化合物。
[4]BおよびBが置換されてもよい炭素数6〜30のアリールまたは置換されてもよい炭素数12〜30の芳香族環系である、前記[1]項に記載の化合物。
【0009】
[5]AおよびBのどちらか1つが置換されてもよい炭素数10〜30のアリールまたは置換されてもよい炭素数12〜30の芳香族環系である、前記[1]項に記載の化合物。
[6]AおよびAが置換されてもよい炭素数10〜30のアリールまたは置換されてもよい炭素数12〜30の芳香族環系である、前記[1]項に記載の化合物。
[7]BおよびBが置換されてもよい炭素数10〜30のアリールまたは置換されてもよい炭素数12〜30の芳香族環系である、前記[1]項に記載の化合物。
【0010】
[8]AおよびBのどちらか1つが置換されてもよい炭素数10〜20のアリールまたは置換されてもよい炭素数12〜18の芳香族環系である、前記[1]項に記載の化合物。
[9]AおよびAが置換されてもよい炭素数10〜20のアリールまたは置換されてもよい炭素数12〜18の芳香族環系である、前記[1]項に記載の化合物。
[10]BおよびBが置換されてもよい炭素数10〜20のアリールまたは置換されてもよい炭素数12〜18の芳香族環系である、前記[1]項に記載の化合物。
【0011】
[11]AおよびBのどちらか1つが置換されてもよい炭素数10〜16のアリールまたは置換されてもよい炭素数12〜16の芳香族環系である、前記[1]項に記載の化合物。
[12]AおよびAが置換されてもよい炭素数10〜16のアリールまたは置換されてもよい炭素数12〜16の芳香族環系である、前記[1]項に記載の化合物。
[13]BおよびBが置換されてもよい炭素数10〜16のアリールまたは置換されてもよい炭素数12〜16の芳香族環系である、前記[1]項に記載の化合物。
【0012】
[14]AおよびBのどちらか1つがナフチルまたはフェナントリルである、前記[1]項に記載の化合物。
[15]AおよびAがナフチルまたはフェナントリルである、前記[1]項に記載の化合物。
[16]BおよびBがナフチルまたはフェナントリルである、前記[1]項に記載の化合物。
【0013】
[17]AおよびBのどちらか1つが1−ナフチルまたは2−ナフチルである、前記[1]項に記載の化合物。
[18]AおよびAが1−ナフチルまたは2−ナフチルである、前記[1]項に記載の化合物。
[19]BおよびBが1−ナフチルまたは2−ナフチルである、前記[1]項に記載の化合物。
【0014】
[20]発光素子の発光層用材料であって、前記[1]〜[19]項のいずれか1項に記載の化合物を少なくとも1つ含有する発光層用材料。
【0015】
[21]さらに、スチルベン構造を有するアミン、芳香族アミン、クマリン誘導体、ピラン誘導体、イリジウム錯体、および白金錯体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、前記[20]項に記載の発光層用材料。
【0016】
[22]さらに、下記式(2)で表されるスチルベン構造を有するアミンを少なくとも1つ含有する、前記[20]項に記載の発光層用材料。


式(2)中、Arは炭素数6〜30のアリールに由来するm価の基であり、ArおよびArは、独立して、炭素数6〜30のアリールであるが、Ar〜Arの少なくとも1つはスチルベン構造を有し、Ar〜Arは置換されていてもよく、そして、mは1〜4の整数である。
【0017】
[23]さらに、下記式(3)で表されるスチルベン構造を有するアミンを含有する、前記[20]項に記載の発光層用材料。


式(3)中、ArおよびArは、独立して、炭素数6〜30のアリールであり、ArおよびArは置換されていてもよい。
【0018】
[24]さらに、下記式(4)で表される芳香族アミンを含有する、前記[20]項に記載の発光層用材料。


式(4)中、Arは炭素数6〜30のアリールに由来するn価の基であり、ArおよびArは炭素数6〜30のアリールであり、Ar〜Arは置換されていてもよく、そして、nは1〜4の整数である。
【0019】
[25]さらに、下記式(4)で表される芳香族アミンを含有する、前記[20]項に記載の発光層用材料。


式(4)中、Arはアントラセン、クリセンまたはピレンに由来する2価の基であり、ArおよびArは炭素数6〜30のアリールであり、Ar〜Arは置換されていてもよく、そして、nは2である。
【0020】
[26]陽極及び陰極からなる一対の電極間に挟持された、発光層を含む少なくとも1層の有機化合物層を有する有機電界発光素子であって、前記[20]〜[25]項のいずれか1項に記載の発光層用材料を該発光層に含有する有機電界発光素子。
【0021】
[27]さらに、前記陰極と発光層との間に配置される電子輸送層および/または電子注入層を有し、該電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つが、ベンゾイミダゾール誘導体、キノリノール系金属錯体およびフェナントロリン誘導体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、前記[26]項に記載の有機電界発光素子。
【0022】
[28]さらに、前記陰極と該発光層との間に配置される電子輸送層および/または電子注入層を有し、該電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つが、下記式(5)で表されるベンゾイミダゾール誘導体を含有する、前記[26]項に記載の有機電界発光素子。


式中、Ar〜Arはそれぞれ独立に水素または置換されてもよい炭素数6〜30のアリールである。
【0023】
[29]さらに、前記陰極と該発光層との間に配置される電子輸送層および/または電子注入層を有し、該電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つが、下記式(5)で表されるベンゾイミダゾール誘導体を含有する、前記[26]項に記載の有機電界発光素子。


式中、Arは置換されてもよいアントリルであり、ArおよびArはそれぞれ独立に水素または置換されてもよい炭素数6〜60のアリールである。
【0024】
[30]さらに、前記陰極と該発光層との間に配置される電子輸送層および/または電子注入層を有し、該電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つは、キノリノール系金属錯体を含有する、前記[26]項に記載の有機電界発光素子。
【発明の効果】
【0025】
本発明の発光材料は、様々な色の発光に使用できるが、特に青色発光に優れている。この発光材料を用いることで、高い発光効率、優れた耐熱性、長い寿命等の特性をバランスよく有する有機EL素子を得ることができる。本発明の有機EL素子を用いることにより、フルカラー表示等の高性能のディスプレイ装置を作成できる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の第1は、式(1)で表されるジベンゾ[g,p]クリセン化合物である。


式(1)中、A、A、BおよびBは水素、置換されてもよい炭素数6〜30のアリールまたは置換されてもよい炭素数12〜30の芳香族環系から独立して選ばれる。ただし、ここではAのみ、Bのみ、AとA2つのみ、またはBとBの2つのみが置換されてもよい炭素数6〜30のアリールまたは置換されてもよい炭素数12〜30の芳香族環系であり、その他は水素である。
【0027】
炭素数6〜30のアリールの例は、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、アセナフチレン−1−イル、アセナフチレン−3−イル、アセナフチレン−4−イル、アセナフチレン−5−イル、フルオレン−1−イル、フルオレン−2−イル、フルオレン−3−イル、フルオレン−4−イル、フルオレン−9−イル、フェナレン−1−イル、フェナレン−2−イル、1−フェナントリル、2−フェナントリル、3−フェナントリル、4−フェナントリル,9−フェナントリル、1−アントリル、2−アントリル、9−アントリル、フルオランテン−1−イル、フルオランテン−2−イル、フルオランテン−3−イル、フルオランテン−7−イル、フルオランテン−8−イル、トリフェニレン−1−イル、トリフェニレン−2−イル、ピレン−1−イル、ピレン−2−イル、ピレン−4−イル、クリセン−1−イル、クリセン−2−イル、クリセン−3−イル、クリセン−4−イル、クリセン−5−イル、クリセン−6−イル、ナフタセン−1−イル、ナフタセン−2−イル、ナフタセン−5−イル、ペリレン−1−イル、ペリレン−2−イル、ペリレン−3−イル、ペンタセン−1−イル、ペンタセン−2−イル、ペンタセン−5−イル、ペンタセン−6−イルである。
【0028】
この炭素数6〜30のアリールにおける任意の水素は炭素数1〜24のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、炭素数6〜30のアリールまたはシリルで置き換えられてもよい。置換基の数は、例えば、最大置換可能な数であり、好ましくは0〜3個、より好ましくは0〜2個、更に好ましくは0個(無置換)である。
【0029】
炭素数1〜24のアルキルの例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、t−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、5−メチルへキシルである。
【0030】
この炭素数1〜24のアルキルにおける任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよい。任意の−CH−が−O−で置き換えられた炭素数1〜24のアルキルの例は、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、n−ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、t−ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、イソヘキシルオキシ、1−メチルペンチルオキシ、2−メチルペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシである。
【0031】
任意の水素が炭素数1〜24のアルキルで置き換えられた炭素数6〜30のアリールの例は、o−トリル、m−トリル、p−トリル、2,4−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、2,4−ジt−ブチルフェニル、2,4,6−トリt−ブチルフェニル、4−メチル−1−ナフチル、4−t−ブチル1−ナフチル、6−メチル−2−ナフチル、6−t−ブチル2−ナフチル、4−メチル−1−アントリル、4−t−ブチル1−アントリル、10−メチル−9−アントリル、10−t−ブチル9−アントリル、9,9−ジメチル−2−フルオレニルである。
【0032】
炭素数3〜12のシクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチル又はジメチルシクロヘキシルである。
【0033】
任意の水素が炭素数3〜12のシクロアルキルで置き換えられた炭素数6〜30のアリールの例は、2−シクロヘキシルフェニル、3−シクロヘキシルフェニル、4−シクロヘキシルフェニル、2、4−ジシクロヘキシルフェニル、3、5−ジシクロヘキシルフェニル4−シクロヘキシル−1−ナフチル、6−シクロヘキシル−2−ナフチル、4−シクロヘキシル−1−アントリル、10−シクロヘキシル−9−アントリル、9,9−ジシクロヘキシル−2−フルオレニルである。
【0034】
任意の水素が炭素数6〜30のアリールで置き換えられた炭素数6〜30のアリールの例は、2−フェニル−1−ナフチル、4−フェニル−1−ナフチル、5−フェニル−1−ナフチル、1−フェニル−2−ナフチル、3−フェニル−2−ナフチル、6−フェニル−2−ナフチル、7−フェニル−2−ナフチル、2−(1−ナフチル)−1−ナフチル、4−(1−ナフチル)−1−ナフチル、5−(1−ナフチル)−1−ナフチル、2−(2−ナフチル)−1−ナフチル、4−(2−ナフチル)−1−ナフチル、5−(2−ナフチル)−1−ナフチル、1−(1−ナフチル)−2−ナフチル、3−(1−ナフチル)−2−ナフチル、6−(1−ナフチル)−2−ナフチル、7−(1−ナフチル)−2−ナフチル、
1−(2−ナフチル)−2−ナフチル、3−(2−ナフチル)−2−ナフチル、6−(2−ナフチル)−2−ナフチル、7−(2−ナフチル)−2−ナフチル、4−(9−フェナントリル)−1−ナフチル、6−(9−フェナントリル)−2−ナフチル、9,9−ジフェニル−2−フルオレニル、3−フェニル−9−フェナントリル、10−フェニル−9−フェナントリル、3−(1−ナフチル)−9−フェナントリル、10−(1−ナフチル)−9−フェナントリル、3−(2−ナフチル)−9−フェナントリル、10−(2−ナフチル)−9−フェナントリル、10−フェニル−9−アントリル、10−(1−ナフチル)−9−アントリル、10−(2−ナフチル)−9−アントリル、9,10−ジフェニル−2−アントリル、6−フェニル−1−ピレニル、6−(1−ナフチル)−1−ピレニルである。
【0035】
シリルの例は、水素、炭素数1〜24のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキルまたは炭素数6〜30のアリールで置き換えられたシリルであり、例えばトリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、トリフェニルシリルである。
【0036】
任意の水素がシリルで置き換えられた炭素数6〜30のアリールの例は、2−トリメチルシリルフェニル、3−トリメチルシリルフェニル、4−トリメチルシリルフェニル、2−トリエチルシリルフェニル、3−トリエチルシリルフェニル、4−トリエチルシリルフェニル、2−トリフェニルシリルフェニル、3−トリフェニルシリルフェニル、4−トリフェニルシリルフェニル、2、4−ビス(トリメチルシリル)フェニル、3、5−ビス(トリメチルシリル)フェニル、4−トリメチルシリル−1−ナフチル、6−トリメチルシリル−2−ナフチル4−トリメチルシリル−1−アントリル、10−トリメチルシリル−9−アントリル、9,9−ビス(トリメチルシリル)−2−フルオレニルである。
【0037】
炭素数12〜30の芳香族環系の例は、2−ビフェニリル,3−ビフェニリル,4−ビフェニリル、m−ターフェニル−2’−イル、m−ターフェニル−4’−イル、m−ターフェニル−5’−イル、o−ターフェニル−3’−イル、o−ターフェニル−4’−イル、p−ターフェニル−2’−イル、m−タ−フェニル−2−イル、m−ターフェニル−3−イル、m−ターフェニル−4−イル、o−ターフェニル−2−イル、o−ターフェニル−3−イル、o−ターフェニル−4−イル、p−ターフェニル−2−イル、p−ターフェニル−3−イル、p−ターフェニル−4−イル、5’−フェニル−m−ターフェニル−2−イル、5’−フェニル−m−ターフェニル−3−イル、5’−フェニル−m−ターフェニル−4−イル、m−クアテルフェニル−2−イル、m−クアテルフェニル−3−イル、m−クアテルフェニル−4−イル、o−クアテルフェニル−2−イル、o−クアテルフェニル−3−イル、o−クアテルフェニル−4−イル、2−(1−ナフチル)フェニル、3−(1−ナフチル)フェニル、4−(1−ナフチル)フェニル、2−(2−ナフチル)フェニル、3−(2−ナフチル)フェニル、4−(2−ナフチル)フェニル、4−(9−フェナントリル)フェニル、4−(9−アントリル)フェニル、4−(4−ビフェニル)−1−ナフチル、6−(4−ビフェニル)−2−ナフチル、6−(m−ターフェニル−2’−イル)−2−ナフチル、6−(m−ターフェニル−5’−イル)−2−ナフチル、4−(m−ターフェニル−2’−イル)−1−ナフチル、4−(m−ターフェニル−5’−イル)−1−ナフチルである。
【0038】
この炭素数12〜30の芳香族環系における任意の水素は炭素数1〜24のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、炭素数6〜30のアリールまたはシリルで置き換えられてもよい。置換基の数は、例えば、最大置換可能な数であり、好ましくは0〜3個、より好ましくは0〜2個、更に好ましくは0個(無置換)である。
【0039】
無置換のジベンゾ[g,p]クリセンは分子の対称性が高いため結晶性が高く、アモルファス状態の安定した薄膜が得にくいと考えられる。そこで分子の対称性を低下させてアモルファス状態になりやすくするために、上記のようにA、A、BおよびBで表される置換基をジベンゾ[g,p]クリセンに連結するわけであるが、置換基の構造によっては置換する前の基本骨格(ジベンゾ[g,p]クリセン)の発光波長よりも長波長側にシフトさせることがある。置換基における基本骨格に連結している炭素原子に隣接した原子の水素がさらに置換基で置換されると、長波長シフトしにくくなることが知られている。A、A、BおよびBにそのような基を選択すると、ジベンゾ[g,p]クリセンに由来する青色の発光波長を維持することができ、青色発光に好適である。A、A、BおよびBに、基本骨格に連結している炭素原子に隣接した原子以外の原子の水素が置換された基を選択すると、化合物の剛直性が増し、耐熱性に優れた化合物が得られる。
【0040】
本発明の化合物は置換基の数によっても蛍光波長をコントロールできる。特に置換基の数が少ない方が、蛍光波長が短く、色純度のよい青色を高効率に発光させることができる。すなわち、ジベンゾ[g,p]クリセンの置換基は4つよりも2つあるいは1つの方が、青色ホスト発光材料として優れている。また、本発明の化合物は置換基の数や種類によって分子間相互作用をコントロールできる。具体的には非放射失活を抑制し、高効率に発光させることができる。
【0041】
本発明の化合物でB、Bに置換基を有する化合物は、置換基の数や種類によってπ共役系をコントロールできる。具体的にはHOMO、LUMOを制御して電子輸送層からの電子の注入障壁や、正孔輸送層からの正孔の注入障壁を低減して低電圧で発光させることができる。
【0042】
素子の設計に基づき発光材料に期待される発光波長、耐熱性を考慮して、A、A、BおよびBの置換基の数、構造、または置換位置を適宜選択することによって、目的に合致した発光材料を得ることができる。
【0043】
式(1)で表される化合物は具体的には、Aが置換基でその他が水素である化合物、Bが置換基でその他が水素である化合物、AおよびAが置換基で他が水素である化合物、およびBおよびBが置換基で他が水素である化合物に大別される。
が置換基でその他が水素である化合物の具体例は、例えば下記式(1−1−1)〜(1−1−72)で表される化合物があげられる。
【0044】


【0045】


【0046】


【0047】
上記の化合物の中では、式(1−1−1)〜(1−1−32)、(1−1−46)〜(1−1−54)で表される化合物が好ましく、式(1−1−1)〜(1−1−14)、(1−1−17)、(1−1−18)、(1−1−21)、(1−1−22)、(1−1−25)、(1−1−31)、(1−1−46)、(1−1−49)、(1−1−52)で表される化合物がより好ましく、式(1−1−1)〜(1−1−6)、(1−1−13)、(1−1−14)で表される化合物がさらに好ましく、式(1−1−1)〜(1−1−3)で表される化合物が特に好ましい。
【0048】
が置換基でその他が水素である化合物の具体例は、例えば下記式(1−2−1)〜(
1−2−72)で表される化合物があげられる。


【0049】


【0050】


【0051】


【0052】
上記の化合物の中では、式(1−2−1)〜(1−2−32)、(1−2−46)〜(1−2−54)で表される化合物が好ましく、式(1−2−1)〜(1−2−14)、(1−2−17)、(1−2−18)、(1−2−21)、(1−2−22)、(1−2−25)、(1−2−31)、(1−2−46)、(1−2−49)、(1−2−52)で表される化合物がより好ましく、式(1−2−1)〜(1−2−6)、(1−2−13)、(1−2−14)で表される化合物がさらに好ましく、式(1−2−1)〜(1−2−3)で表される化合物が特に好ましい。
【0053】
およびAが置換基で他が水素である化合物の具体例は、例えば下記式(1−3−1)〜(1−3−72)で表される化合物があげられる。


【0054】


【0055】


【0056】


【0057】


【0058】


【0059】
上記の化合物の中では、式(1−3−1)〜(1−3−32)、(1−3−46)〜(1−3−54)で表される化合物が好ましく、式(1−3−1)〜(1−3−14)、(1−3−17)、(1−3−18)、(1−3−21)、(1−3−22)、(1−3−25)、(1−3−31)、(1−3−46)、(1−3−49)、(1−3−52)で表される化合物がより好ましく、式(1−3−1)〜(1−3−6)、(1−3−13)、(1−3−14)で表される化合物がさらに好ましく、式(1−3−1)〜(1−3−3)で表される化合物が特に好ましい。
【0060】
およびBが置換基で他が水素である化合物の具体例は、例えば下記式(1−4−1)〜(1−4−72)で表される化合物があげられる。


【0061】


【0062】


【0063】


【0064】


【0065】
上記の化合物の中では、式(1−4−1)〜(1−4−32)、(1−4−46)〜(1−4−54)で表される化合物が好ましく、式(1−4−1)〜(1−4−14)、(1−4−17)、(1−4−18)、(1−4−21)、(1−4−22)、(1−4−25)、(1−4−31)、(1−4−46)、(1−4−49)、(1−4−52)で表される化合物がより好ましく、式(1−4−1)〜(1−4−6)、(1−4−13)、(1−4−14)で表される化合物がさらに好ましく、式(1−4−1)〜(1−4−3)で表される化合物が特に好ましい。
なお、本発明は上記の具体的な構造の開示によって限定されることはない。
【0066】
次に、式(1)で表される化合物の製造方法について、下記のスキームに基づいて説明する。


式中、XおよびYは水素、ハロゲン、アルコキシ又はトリフラートから選ばれる置換基であり、A、A、B、およびBは上述した基(水素、アリールまたは芳香族環系)である。
【0067】
まず、式(1−a)で表される化合物を亜リン酸トリエチル等の亜リン酸エステルと反応させることにより、式(1−b)または(1−b’)で表されるケトンが得られる。
【0068】
次に、化合物(1−b)または(1−b’)と還元剤を反応させることにより、式(1−c)または(1−c’)で表される化合物(中間体)が得られる。ここで用いられる還元剤の例は、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム等の金属水素化物である。この反応にはテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒が好適に用いられる。
【0069】
続いて、化合物(1−c)または(1−c’)と酸と反応させることで式(1−d)で表される化合物(中間体)を製造することができる。反応に使用可能な酸としては、例えば、塩酸、硫酸等の無機酸やメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸があげられる。また、反応に使用可能な溶媒としては、例えば、酢酸等があげられる。
【0070】
化合物(1−d)においてXまたはYがアルコキシである場合には、この化合物を三臭化ホウ素やヨウ化トリメチルシリル等と反応させて、アルコキシを水酸基に変換した後、さらに無水トリフルオロメタンスルホン酸やトリフルオロメタンスルホニルクロリド等により水酸基をスルホニル化することにより、XまたはYがトリフラートの化合物(1−d)を合成することができる。
【0071】
また、Xが水素、Yがハロゲンである化合物(1−d)は、ジベンゾ[g,p]クリセンと、例えば臭素、N−ブロモコハク酸イミド等のハロゲン化剤と直接反応させることで製造することもできる。
【0072】
化合物(1−d)から式(1)で表される化合物を、公知の試薬を用い、公知の方法を参考にして製造することができる。例えば、化合物(1−d)において、XまたはYがハロゲンまたはトリフラートである化合物から、公知の文献(Wiley-Vch社、「Metal-Catalyzed Cross-Coupling Reactions−Second, Completely Revised and Enlarged Edition」等)に記載の方法や、本明細書の実施例に記載の方法等を参考にすることにより、合成することができる。たとえば、鈴木カップリング反応のような既知の合成法を利用して合成することができる。鈴木カップリング反応は、塩基の存在下パラジウム触媒を用いて、芳香族ハライドと芳香族ボロン酸とをカップリングする方法である。
【0073】
鈴木カップリング反応で用いられるパラジウム触媒の例は、Pd(PPh、PdCl(PPh、Pd(OAc)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウムクロロホルム錯体(0)等である。反応促進するため、場合によりこれらのパラジウム化合物にホスフィン化合物を加えてもよい。そのホスフィン化合物の例は、トリ(t−ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、1−(N,N−ジメチルアミノメチル)−2−(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン、1−(N,N−ジブチルアミノメチル)−2−(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン、1−(メトキシメチル)−2−(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン、1,1’−ビス(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン、2,2’−ビス(ジt−ブチルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2−メトキシ−2’−(ジt−ブチルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)ビフェニル、2−ジ−t−ブチルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル等である。この反応で用いられる塩基の例は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、酢酸ナトリウム、リン酸三カリウム、フッ化カリウム等である。さらに、この反応で用いられる溶媒の例は、ベンゼン、トルエン、キシレン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエ−テル、1,4−ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等である。これらの溶媒は、反応させる芳香族ハライドおよび芳香族ボロン酸の構造に応じて適宜選択できる。溶媒は単独で用いてもよく、混合溶媒として用いてもよい。
【0074】
なお、式(1)で表される化合物において、A、A、B、Bのいずれか1つがアリールまたは芳香族環系である場合には、原料である化合物(1−d)のXまたはYいずれかを水素にしておくことによって、上記カップリング反応により製造することができる。
【0075】
反応は、不活性ガス中で行うことが好ましく、反応に使用可能な不活性ガスとしては、例えば、窒素、アルゴンがあげられる。反応温度については、反応系の状態により適宜設定することができ、−200℃〜200℃、好ましくは−100℃〜150℃で反応させることができる。反応時間については、特に制限はなく、反応が十分に進行している時点で反応を停止させればよい。NMRあるいはクロマトグラフィー等の一般的な分析手段により反応を追跡し、最適の時点で反応の終点を決定することができる。
【0076】
本発明の化合物は、固体状態において強い蛍光を持つ化合物であり様々な色の発光に使用できるが、特に青色発光に適している。本発明の化合物は、非平面構造を持っているため、有機EL素子作製時にアモルファス状態を形成しやすい。本発明の発光材料は、耐熱性に優れ、電界印加時においても安定である。以上の理由により、本発明の化合物は電界発光型素子の発光材料として優れている。
【0077】
本発明の化合物の発光波長は、短い青色から純青色まで広い範囲を持っているため、青色ホスト、あるいは青色ドーパントとして有効である。また、青色以外のホスト発光材料にも使用することが可能である。特に本発明の化合物は青色ホストとして優れている。本発明の化合物をホスト材料として使用すると、エネルギー移動が効率よく行われ、高効率、長寿命の発光素子が得られる。
【0078】
本発明の第2は、発光層が本発明の式(1)で表される化合物を含有する有機EL素子である。本発明の有機EL素子は、高効率、長寿命であるばかりでなく、駆動電圧が低く、保存時および駆動時の耐久性が高い。
【0079】
本発明の有機EL素子の構造は各種の態様があるが、基本的には陽極と陰極との間に少なくとも正孔輸送層、発光層、電子輸送層を挟持した多層構造である。素子の具体的な構成の例は、(1)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、(2)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、(3)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極、等である。
【0080】
本発明の発光材料は、高い発光量子効率、正孔注入性、正孔輸送性、電子注入性および電子輸送性を持っているので、発光材料として発光層に有効に使用できる。本発明の有機EL素子は、本発明の化合物のみで発光層を形成することができる。本発明の有機EL素子は、本発明の発光材料と他の発光材料を組合わせることにより、発光輝度や発光効率の向上させたり、青色、緑色、赤色や白色の発光を得ることもできる。このとき本発明の有機EL素子は、本発明の化合物をホストとして含有することも、または発光性ドーパントとして含有することも出来る。
【0081】
本発明の化合物と共に発光層に使用できる他の発光材料は、東レリサーチセンター調査研究部門編、“有機ELディスプレスの本格実用化最前線”、あさひ高速印刷株式会社出版(2002)P125〜132に記載されているような発光材料、城戸淳二監修、“有機EL材料とディスプレイ”シーエムシー社出版(2001)P153〜156、に記載されているような発光材料、P170〜172に記載されているような3重項材料等である。
【0082】
他の発光材料として使用できる化合物は、多環芳香族化合物、ヘテロ芳香族化合物、有機金属錯体、色素、高分子系発光材料、スチリル誘導体、クマリン誘導体、ボラン誘導体、オキサジン誘導体、スピロ環を有する化合物、オキサジアゾール誘導体、フルオレン誘導体等である。多環芳香族化合物の例は、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、ナフタセン誘導体、ピレン誘導体、クリセン誘導体、ペリレン誘導体、コロネン誘導体、ルブレン誘導体等である。ヘテロ芳香族化合物の例は、ジアルキルアミノ基またはジアリールアミノ基を有するオキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ピリジン誘導体、ピラン誘導体、フェナントロリン誘導体、シロール誘導体、トリフェニルアミノ基を有するチオフェン誘導体、キナクリドン誘導体等である。有機金属錯体の例は、亜鉛、アルミニウム、ベリリウム、ユーロピウム、テルビウム、ジスプロシウム、イリジウム、白金等と、キノリノール誘導体、ベンゾキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、フェニルピリジン誘導体、フェニルベンゾイミダゾール誘導体、ピロール誘導体、ピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体等との錯体である。色素の例は、キサンテン誘導体、ポリメチン誘導体、ポルフィリン誘導体、クマリン誘導体、ジシアノメチレンピラン誘導体、ジシアノメチレンチオピラン誘導体、オキソベンズアントラセン誘導体、カルボスチリル誘導体、ペリレン誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体等の色素が挙げられる。高分子系発光材料の例は、ポリパラフェニルビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリシラン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体等である。スチリル誘導体の例は、アミン含有スチリル誘導体、スチリルアリーレン誘導体等である。
【0083】
本発明の化合物をホストとして使用する際の発光性ドーパントは、スチルベン構造を有するアミン、芳香族アミン、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ボラン誘導体、ピラン誘導体、イリジウム錯体または白金錯体が好ましい。中でもスチルベン構造を有するアミンおよび芳香族アミンが好ましい。
【0084】
スチルベン構造を有するアミンは、下記式(2)で表される。


式(2)中、Arは炭素数6〜30のアリールに由来するm価の基であり、ArおよびArは、独立して、炭素数6〜30のアリールであるが、Ar〜Arの少なくとも1つはスチルベン構造を有し、Ar〜Arは置換されていてもよく、そして、mは1〜4の整数である。
【0085】
スチルベン構造を有するアミンは、下記式(3)で表されるジアミノスチルベンがより好ましい。

式(3)中、ArおよびArは、独立して、炭素数6〜30のアリールであり、ArおよびArは置換されていてもよい。
【0086】
炭素数6〜30のアリールの具体例は、ベンゼン、ナフタレン、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、ペリレン、スチルベン、ジスチリルベンゼン、ジスチリルビフェニル、ジスチリルフルオレンである。
【0087】
スチルベン構造を有するアミンの具体例は、N,N,N’,N’−テトラ(4−ビフェニリル)−4、4’−ジアミノスチルベン、N,N,N’,N’−テトラ(1−ナフチル)−4、4’−ジアミノスチルベン、N,N,N’,N’−テトラ(2−ナフチル)−4、4’−ジアミノスチルベン、N,N’−ジ(2−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−4、4’−ジアミノスチルベン、N,N’−ジ(9−フェナントリル)−N,N’−ジフェニル−4、4’−ジアミノスチルベン、4,4’−ビス[4”−ビス(ジフェニルアミノ)スチリル]−ビフェニル、1,4−ビス[4’−ビス(ジフェニルアミノ)スチリル]−ベンゼン、2,7−ビス[4’−ビス(ジフェニルアミノ)スチリル]−9,9−ジメチルフルオレン、4,4’−ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−ビフェニル、4,4’−ビス(9−フェニル−3−カルバゾビニレン)−ビフェニルである。また、特開2003−347056号公報、および特開2001−307884号公報等に記載されたスチルベン構造を有するアミンを用いてもよい。
【0088】
芳香族アミンは下記式(4)で表される。


式(4)中、Arは炭素数6〜30のアリールに由来するn価の基であり、ArおよびArは炭素数6〜30のアリールであり、Ar〜Arは置換されていてもよく、そして、nは1〜4の整数である。
【0089】
式(4)の化合物については、Arがアントラセン、クリセンまたはピレンに由来する2価の基であり、ArおよびArは炭素数6〜30のアリールであり、Ar〜Arは置換されていてもよく、そして、nは2である、芳香族アミンがより好ましい。
【0090】
炭素数6〜30のアリールの具体例は、ベンゼン、ナフタレン、アセナフチレン、フルオレンフェナレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、ペリレン、ペンタセンである。
【0091】
芳香族アミン誘導体の具体例は、N,N,N’,N’−テトラフェニルクリセン−6,12−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(p−トリル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(m−トリル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(4−イソプロピルフェニル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(ナフタレン−2−イル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(p−トリル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N’−ジ(p−トリル)クリセン−6,12−ジアミン、
N,N,N’,N’−テトラフェニルピレン−1,6−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(p−トリル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(m−トリル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(4−イソプロピルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(3,4−ジメチルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(p−トリル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N’−ジ(p−トリル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(3,4−ジメチルフェニル)−3,8−ジフェニルピレン−1,6−ジアミン、
N,N,N’,N’−テトラフェニルアントラセン−9,10−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(m−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(4−イソプロピルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(m−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N’−ジ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、2,6−ジ−t−ブチル−N,N,N’,N’−テトラ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、2,6−ジ−t−ブチル−N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、2,6−ジ−t−ブチル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N’−ジ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、2,6−ジシクロヘキシル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N’−ジ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、2,6−ジシクロヘキシル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、
9,10−ビス(4−ジフェニルアミノ−フェニル)アントラセン、9,10−ビス(4−ジ(1−ナフチルアミノ)フェニル)アントラセン、9,10−ビス(4−ジ(2−ナフチルアミノ)フェニル)アントラセン、10−ジ−p−トリルアミノ−9−(4−ジ−p−トリルアミノ−1−ナフチル)アントラセン、10−ジフェニルアミノ−9−(4−ジフェニルアミノ−1−ナフチル)アントラセン、10−ジフェニルアミノ−9−(6−ジフェニルアミノ−2−ナフチル)アントラセン、[4−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)ナフタレン−1−イル]−ジフェニルアミン、[4−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)ナフタレン−1−イル]−ジフェニルアミン、[6−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)ナフタレン−2−イル]−ジフェニルアミン、4,4’−ビス[4−ジフェニルアミノナフタレン−1−イル]ビフェニル、4,4’−ビス[6−ジフェニルアミノナフタレン−2−イル]ビフェニル、4,4”−ビス[4−ジフェニルアミノナフタレン−1−イル]−p−テルフェニル、4,4”−ビス[6−ジフェニルアミノナフタレン−2−イル]−p−テルフェニルである。また、特開2006−156888号公報等に記載された芳香族アミン誘導体を用いてもよい。
【0092】
ペリレン誘導体の具体例は、3,10−ビス(2,6−ジメチルフェニル)ペリレン、3,10−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ペリレン、3,10−ジフェニルペリレン、3,4−ジフェニルペリレン、2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン、3,4,9,10−テトラフェニルペリレン、3−(1’−ピレニル)−8,11−ジ(t−ブチル)ペリレン、3−(9’−アントリル)−8,11−ジ(t−ブチル)ペリレン、3,3’−ビス(8,11−ジ(t−ブチル)ペリレニル)等である。ボラン誘導体の例は、1,8−ジフェニル−10−(ジメシチルボリル)アントラセン、9−フェニル−10−(ジメシチルボリル)アントラセン、4−(9’−アントリル)ジメシチルボリルナフタレン、4−(10’−フェニル−9’−アントリル)ジメシチルボリルナフタレン、9−(ジメシチルボリル)アントラセン、9−(4’−ビフェニリル)−10−(ジメシチルボリル)アントラセン、9−(4’−(N−カルバゾリル)フェニル)−10−(ジメシチルボリル)アントラセンである。クマリン誘導体の具体例は、クマリン−6、クマリン−334である。
【0093】
ピラン誘導体の具体例は、下記のDCM、DCJTBである。


【0094】
イリジウム錯体の具体例は、下記のIr(ppy)である。


【0095】
白金錯体の具体例は、下記のPtOEPである。


【0096】
本発明の化合物を青色ドーパントとして使用する際のホストは、アントラセン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ピレン誘導体またはフルオレン誘導体が好ましい。アントラセン誘導体の具体例は、9−(2−ナフチル)−10−(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン、9−(1−ナフチル)−10−(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン、9−(2−ナフチル)−10−[3,5−ジ(2−ナフチル)フェニル]アントラセン、9−(2−ナフチル)−10−[3,5−ジ(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、9−(1−ナフチル)−10−[3,5−ジ(2−ナフチル)フェニル]アントラセン、9−(1−ナフチル)−10−[3,5−ジ(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ジ(9−フェナントリル)アントラセン、9,10−ビス(9,9−ジメチル−2−フルオレニル)アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、2−t−ブチル9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、2−t−ブチル9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス[2−(2−ナフチル)フェニル]アントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、9,10−ビス[3,5−ジ(2−ナフチル)フェニル]アントラセン、9,10−ビス[3,5−ジ(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン、9,10−ビス[4−(3,5−ジフェニルフェニル)フェニル]アントラセン、9,10−ビス[4−(2−ナフチル)フェニル]アントラセン、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン、10,10’−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)−[9,9’]−ビアントリル、9,9’,10,10’−テトラフェニル−[2,2’]−ビアントリル、9,9’,10,10’−テトラ(2−ビフェニリル)−[2,2’]−ビアントリル、9,9’,10,10’−テトラ(3−ビフェニリル)−[2,2’]−ビアントリル、9,9’,10,10’−テトラ(4−ビフェニリル)−[2,2’]−ビアントリル、9,9’,10,10’−テトラ(2−ナフチル)−[2,2’]−ビアントリル、9,9’,10,10’−テトラ(1−ナフチル)−[2,2’]−ビアントリルである。
【0097】
ジスチリルアリーレン誘導体の具体例は、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)−ビフェニル、4,4’−ビス[2,2−ジ(m−トリル)ビニル]−ビフェニル、4,4’−ビス(トリフェニルビニル)−ビフェニル、4,4’−ビス[2,2−ビス−(4−t−ブチルフェニル)ビニル]−ビフェニル、4,4’−ビス[2−(4−t−ブチルフェニル)−2−フェニルビニル]−ビフェニル、4,4’−ビス[2,2−ジ(2−ナフチル)ビニル]−ビフェニル、4,4’−ビス[2,2−ジ(1−ナフチル)ビニル]−ビフェニル、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)−[1,1’]ビナフチルである。
【0098】
ピレン誘導体の具体例は、1−[3,5−ジ(2−ナフチル)フェニル]ピレン、1,4−ジ(1−ピレニル)ベンゼン、1,3,5−トリ(1−ピレニル)ベンゼン、1,4−ジ(1−ピレニル)ナフタレン、2,6−ジ(1−ピレニル)ナフタレンである。
【0099】
フルオレン誘導体の具体例は、1,3,5−トリス(9,9−ジメチル−2−フルオレニル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(9,9−ジメチル−2−フルオレニル)ベンゼン、1,4−ビス(9,9−ジメチル−2−フルオレニル)ナフタレン、2,6−ビス(9,9−ジメチル−2−フルオレニル)ナフタレンである。
【0100】
本発明の有機EL素子に使用される電子輸送材料および電子注入材料は、光導電材料において電子伝達化合物として使用できる化合物、有機EL素子の電子注入層および電子輸送層に使用できる化合物の中から任意に選択して用いることができる。
【0101】
このような電子伝達化合物の例は、ベンゾイミダゾール誘導体、キノリノール系金属錯体、ピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ペリレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、チオフェン誘導体、トリアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、オキシン誘導体の金属錯体、キノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体のポリマー、ベンザゾール類化合物、ガリウム錯体、ピラゾール誘導体、パーフルオロ化フェニレン誘導体、トリアジン誘導体、ピラジン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、イミダゾピリジン誘導体、ボラン誘導体である。
【0102】
電子伝達化合物の好ましい例は、ベンゾイミダゾール誘導体、キノリノール系金属錯体、ピリジン誘導体またはフェナントロリン誘導体である。ベンゾイミダゾール誘導体がより好ましい。
【0103】
ベンゾイミダゾール誘導体は下記式(5)で表される。


式中、Ar〜Arはそれぞれ独立に水素または置換されてもよい炭素数6〜30のアリールである。特に、Arが置換されてもよいアントリルであるベンゾイミダゾール誘導体が好ましい。
【0104】
炭素数6〜30のアリールの具体例は、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、アセナフチレン−1−イル、アセナフチレン−3−イル、アセナフチレン−4−イル、アセナフチレン−5−イル、フルオレン−1−イル、フルオレン−2−イル、フルオレン−3−イル、フルオレン−4−イル、フルオレン−9−イル、フェナレン−1−イル、フェナレン−2−イル、1−フェナントリル、2−フェナントリル、3−フェナントリル、4−フェナントリル,9−フェナントリル、1−アントリル、2−アントリル、9−アントリル、フルオランテン−1−イル、フルオランテン−2−イル、フルオランテン−3−イル、フルオランテン−7−イル、フルオランテン−8−イル、トリフェニレン−1−イル、トリフェニレン−2−イル、ピレン−1−イル、ピレン−2−イル、ピレン−4−イル、クリセン−1−イル、クリセン−2−イル、クリセン−3−イル、クリセン−4−イル、クリセン−5−イル、クリセン−6−イル、ナフタセン−1−イル、ナフタセン−2−イル、ナフタセン−5−イル、ペリレン−1−イル、ペリレン−2−イル、ペリレン−3−イル、ペンタセン−1−イル、ペンタセン−2−イル、ペンタセン−5−イル、ペンタセン−6−イルである。
【0105】
ベンゾイミダゾール誘導体の具体例は、1−フェニル−2−(4−(10−フェニルアントラセン−9−イル)フェニル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、2−(4−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、2−(3−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、5−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)−1,2−ジフェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、1−(4−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)フェニル)−2−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、2−(4−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、1−(4−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)フェニル)−2−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、5−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)−1,2−ジフェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾールである。
【0106】
キノリノール系金属錯体の具体例は、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム(以下、ALQと略記する。)、トリス(4−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(3,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,5−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,6−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(フェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2−メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3−メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(4−メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(4−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,3−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,6−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,4−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,5−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,5−ジ−t−ブチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,6−ジフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,6−トリフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,6−トリメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,5,6−テトラメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2−ナフトラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(2−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(3−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(4−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(3,5−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(3,5−ジ−t−ブチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−4−エチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−4−エチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−4−メトキシ−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−4−メトキシ−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリン)ベリリウム、8−キノリノラートリチウムである。
【0107】
ピリジン誘導体の具体例は、2,5−ビス(2,2’−ビピリジル−6−イル)−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール、2,5−ビス(2,2’−ビピリジル−6−イル)−1,1−ジメチル−3,4−ジメシチルシロール、9,10−ジ(2,2’−ビピリジル−6−イル)アントラセン、9,10−ジ(2,2’−ビピリジル−5−イル)アントラセン、9,10−ジ(2,3’−ビピリジル−6−イル)アントラセン、9,10−ジ(2,3’−ビピリジル−5−イル)−2−フェニルアントラセン、9,10−ジ(2,2’−ビピリジル−5−イル)−2−フェニルアントラセン、3,4−ジフェニル−2,5−ジ(2,2’−ビピリジル−6−イル)チオフェン、3,4−ジフェニル−2,5−ジ(2,3’−ビピリジル−5−イル)チオフェン、6’6”−ジ(2−ピリジル)2,2’:4’,4”:2”,2”’−クアテルピリジンである。
【0108】
フェナントロリン誘導体の具体例は、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、9,10−ジ(1,10−フェナントロリン−2−イル)アントラセン、2,6−ジ(1,10−フェナントロリン−5−イル)ピリジン、1,3,5−トリ(1,10−フェナントロリン−5−イル)ベンゼン、9,9’−ジフルオル−ビス(1,10−フェナントロリン−5−イル)、バソクプロインや1,3−ビス(2−フェニル−1,10−フェナントロリン−9−イル)ベンゼンである。
【0109】
本発明の有機EL素子に使用される正孔注入材料および正孔輸送材料については、光導電材料において、正孔の電荷輸送材料として従来から慣用されている化合物や、有機EL素子の正孔注入層および正孔輸送層に使用されている公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。それらの例は、カルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体、フタロシアニン誘導体等である。カルバゾール誘導体の例は、N−フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾール等である。トリアリールアミン誘導体の例は、芳香族第3級アミンを主鎖あるいは側鎖に持つポリマー、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4'−ジアミノビフェニル、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジナフチル−4,4'−ジアミノビフェニル(以下、NPDと略記する。)、4,4’,4”−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン、スターバーストアミン誘導体等である。フタロシアニン誘導体の例は、無金属フタロシアニン、銅フタロシアニン等である。
【0110】
本発明の有機EL素子を構成する各層は、各層を構成すべき材料を蒸着法、スピンコート法またはキャスト法等の方法で薄膜とすることにより、形成することができる。このようにして形成された各層の膜厚については特に限定はなく、材料の性質に応じて適宜設定することができるが、通常2nm〜5000nmの範囲である。なお、発光材料を薄膜化する方法は、均質な膜が得やすく、かつピンホールが生成しにくい等の点から蒸着法を採用するのが好ましい。蒸着法を用いて薄膜化する場合、その蒸着条件は、本発明の発光材料の種類、分子累積膜の目的とする結晶構造および会合構造等により異なる。蒸着条件は一般的に、ボート加熱温度+50〜+400℃、真空度10−6〜10−3Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−150〜+300℃、膜厚5nm〜5μmの範囲で適宜設定することが好ましい。
【0111】
本発明の有機EL素子は、前記のいずれの構造であっても、基板に支持されていることが好ましい。基板は機械的強度、熱安定性および透明性を有するものであればよく、ガラス、透明プラスチックフィルム等を用いることができる。陽極物質は4eVより大きな仕事関数を有する金属、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を用いることができる。その例は、Au等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(以下、ITOと略記する)、SnO、ZnO等である。
【0112】
陰極物質は4eVより小さな仕事関数の金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物を使用できる。その例は、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、リチウム、マグネシウム合金、アルミニウム合金等である。合金の例は、アルミニウム/フッ化リチウム、アルミニウム/リチウム、マグネシウム/銀、マグネシウム/インジウム等である。有機EL素子の発光を効率よく取り出すために、電極の少なくとも一方は光透過率を10%以上にすることが望ましい。電極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下にすることが好ましい。なお、膜厚は電極材料の性質にもよるが、通常10nm〜1μm、好ましくは10〜400nmの範囲に設定される。このような電極は、上述の電極物質を使用して、蒸着やスパッタリング等の方法で薄膜を形成させることにより作製することができる。
【0113】
次に、本発明の発光材料を用いて有機EL素子を作成する方法の一例として、前述の陽極/正孔注入層/正孔輸送層/本発明の発光材料+ドーパント(発光層)/電子輸送層/陰極からなる有機EL素子の作成法について説明する。適当な基板上に、陽極材料の薄膜を蒸着法により形成させて陽極を作製した後、この陽極上に正孔注入層および正孔輸送層の薄膜を形成させる。この上に本発明の発光材料とドーパントを共蒸着し薄膜を形成させて発光層とし、この発光層の上に電子輸送層を形成させ、さらに陰極用物質からなる薄膜を蒸着法により形成させて陰極とすることにより、目的の有機EL素子が得られる。なお、上述の有機EL素子の作製においては、作製順序を逆にして、陰極、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。
【0114】
このようにして得られた有機EL素子に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として印加すればよく、電圧2〜40V程度を印加すると、透明又は半透明の電極側(陽極又は陰極、および両方)より発光が観測できる。また、この有機EL素子は、交流電圧を印加した場合にも発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
【0115】
[実施例]
本発明を実施例に基づいて更に詳しく説明する。
[合成例1]
2,10−ジ(ナフタレン−1−イル)ジベンゾ[g,p]クリセン:化合物(1−3−1)を下記スキームに従い合成した。


【0116】
<1>2,2’−ジブロモ−10’H−スピロ[フルオレン−9,9’−フェナントレン]−10’−オンの合成
窒素雰囲気下、2−ブロモ−9−フルオレノン26gに亜リン酸トリエチル34mLを加えて還流温度で6時間撹拌した。室温まで冷却した反応混合物にヘプタンを加えて、析出した固体をろ過により分離し、エタノール、酢酸エチルで洗浄した。この固体12gをトルエンから再結晶して、2,2’−ジブロモ−10’H−スピロ[フルオレン−9,9’−フェナントレン]−10’−オンを11g得た。物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl): σ=6.59〜6.60(d、1H)、6.95〜6.97(dd、1H)、7.11〜7.14(m、1H)、7.16〜7.20(m、2H)、7.37〜7.40(m、2H)、7.53〜7.56(m、1H)、7.66〜7.68(d、1H)、7.75〜7.77(dd、1H)、7.89〜7.91(m、1H)、8.05〜8.10(m、3H).
【0117】
<2>2,10−ジブロモジベンゾ[g,p]クリセンの合成
窒素雰囲気下、水素化リチウムアルミニウム0.40g、テトラヒドロフラン250mLの混合物に、2,2’−ジブロモ−10’H−スピロ[フルオレン−9,9’−フェナントレン]−10’−オン11gを0℃で少量ずつ加えた後、室温で1日撹拌した。反応混合物に酢酸エチル、水を加えて抽出し、有機相を濃縮して固体12gを得た。次に、窒素雰囲気下、この固体6.0gに酢酸230mL、硫酸1mLを加えて、還流温度で1.5時間撹拌した。室温まで冷却した反応混合物をろ過して、析出固体を分離し、クロロベンゼンから再結晶して、2,10−ジブロモジベンゾ[g,p]クリセン4.1gを得た。物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl): σ=7.70〜7.72(m、4H)、7.77〜7.80(m、2H)、8.55〜8.57(d、2H)、8.60〜8.66(m、4H)、8.81〜8.82(d、2H).
【0118】
<3>2,10−ジ(ナフタレン−1−イル)ジベンゾ[g,p]クリセンの合成
窒素雰囲気下、2,10−ジブロモジベンゾ[g,p]クリセン4.1g、1−ナフチレンボロン酸4.4g、リン酸カリウム7.2g、トルエン140mL、イソプロピルアルコール28mL、水7mLに、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.97gを加え、還流温度で4時間加熱撹拌した。室温まで冷却した反応混合物に水を加え、トルエンで抽出し、有機相を濃縮して固体7.7gを得た。この固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動層:ヘプタン/トルエン=3/1(容積比))で精製し、さらにヘプタンから再結晶して、2,10−ジ(ナフタレン−1−イル)ジベンゾ[g,p]クリセン1.8gを得た。物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl): σ=7.46〜7.59(m、10H)、7.65〜7.68(m、2H)、7.84〜7.86(dd、2H)、7.91〜7.92(dd、2H)、7.94〜7.96(d、2H)、8.06〜8.07(d、2H)、8.75〜8.76(m、4H)、8.81〜8.83(d、2H)、8.85〜8.86(d、2H).
極大蛍光波長(薄膜):413nm.
【0119】
[合成例2]
3,11−ジ(ナフタレン−1−イル)ジベンゾ[g,p]クリセン:化合物(1−4−1)を下記スキームに従い合成した。


【0120】
<1>3,11−ジブロモジベンゾ[g,p]クリセンの合成
窒素雰囲気下、ジベンゾ[g,p]クリセン4.1g、鉄0.01g、クロロホルム60mLの混合物に、臭素5gとクロロホルム20mLの混合溶液を室温で滴下して加えた後、還流温度で1時間撹拌した。室温まで冷却した反応混合物に亜硫酸ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、析出した固体をろ過により分離した。この固体3.0gをクロロベンゼンから再結晶して、3,11−ジブロモジベンゾ[g,p]クリセン1.7gを得た。物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl): σ=7.65〜7.73(m、6H)、8.53〜8.55(d、2H)、8.58〜8.59(dd、2H)、8.62〜8.64(dd、2H)、8.82〜8.83(d、2H).
【0121】
<2>3,11−ジ(ナフタレン−1−イル)ジベンゾ[g,p]クリセンの合成
窒素雰囲気下、3,11−ジブロモジベンゾ[g,p]クリセン5.9g、1−ナフチレンボロン酸6.2g、燐酸カリウム10g、トルエン200mL、イソプロピルアルコール40mL、水10mLに、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)1.4gを加え、還流温度で4時間加熱撹拌した。室温まで冷却した反応混合物に水を加え、トルエンで抽出し、有機相を濃縮して固体12gを得た。この固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動層:ヘプタン/トルエン=2/1(容積比))で精製し、さらに酢酸エチルから再結晶して、3,11−ジ(ナフタレン−1−イル)ジベンゾ[g,p]クリセン1.6gを得た。物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl): σ=7.47〜7.51(m、2H)、7.53〜7.57(m、2H)、7.61〜7.72(m、8H)、7.80〜7.82(dd、2H)、7.95〜7.99(m、4H)、8.09〜8.11(d、2H)、8.72〜8.74(m、2H)、8.84〜8.87(m、6H).
極大蛍光波長(薄膜):426nm.
【0122】
[合成例3]
比較例の化合物、2,7,10,15−テトラフェニルジベンゾ[g,p]クリセンを以下の通り合成した。
窒素雰囲気下、2,7,10,15−テトラブロモジベンゾ[g,p]クリセン5.5g、フェニルボロン酸6.3g、燐酸カリウム15g、トルエン300mL、イソプロピルアルコール60mL、水15mLに、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)3.0gを加え、還流温度で21時間加熱撹拌した。室温まで冷却した反応混合物に水を加え、析出した固体をろ過により分離した。この固体4.3gをトルエンから再結晶して、2,7,10,15−テトラフェニルジベンゾ[g,p]クリセン2.1gを得た。物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl): σ=7.34〜7.37(m、4H)、7.40〜7.44(m、8H)、7.68〜7.70(m、8H)、7.83〜7.85(dd、4H)、8.65〜8.66(d、4H)、8.89〜8.90(d、4H).
極大蛍光波長(薄膜):432nm.
【0123】
[合成例4]
2,10−ジ(ナフタレン−2−イル)ジベンゾ[g,p]クリセン:化合物(1−3−2)の合成
1−ナフチレンボロン酸を2−ナフチレンボロン酸に代えた以外は合成例1に準じた方法で合成した。物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl): σ=7.49〜7.55(m、4H)、7.66〜7.75(m、4H)、7.89〜7.99(m、8H)、8.08〜8.10(dd、2H)、8.19(d、2H)、8.78〜8.85(m、6H)、9.07〜9.08(d、2H).
極大蛍光波長(薄膜):421nm.
【0124】
[合成例5]
3,11−ジ(ナフタレン−2−イル)ジベンゾ[g,p]クリセン:化合物(1−4−2)の合成
1−ナフチレンボロン酸を2−ナフチレンボロン酸に代えた以外は合成例2に準じた方法で合成した。物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl): σ=7.53〜7.59(m、4H)、7.70〜7.77(m、4H)、7.93〜7.95(d、2H)、8.00〜8.05(m、8H)、8.31(s、2H)、8.79〜8.89(m、6H)、9.07(d、2H).
極大蛍光波長(薄膜):436nm、460nm.
【0125】
[合成例6]
3,11−ジ(フェナントレン−9−イル)ジベンゾ[g,p]クリセン:化合物(1−4−3)の合成
1−ナフチレンボロン酸を9−フェナントレンボロン酸に代えた以外は合成例2に準じた方法で合成した。物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl): σ=7.58〜7.62(m、2H)、7.66〜7.75(m、10H)、7.86〜7.88(dd、2H)、7.92(s、2H)、7.98〜8.00(m、2H)、8.11〜8.13(m、2H)、8.75〜8.81(m、4H)、8.85〜8.91(m、6H)8.93〜8.94(d、2H).
極大蛍光波長(薄膜):431nm.
【0126】
[合成例7]
3,11−ジ(2−フェニルナフタレン−1−イル)ジベンゾ[g,p]クリセン:化合物(1−4−4)の合成
1−ナフチレンボロン酸を2−フェニルナフタレン−1−ボロン酸に代えた以外は合成例2に準じた方法で合成した。物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl): σ=7.08〜7.21(m、6H)、7.28〜7.33(m、4H)、7.39〜7.62(m、10H)、7.67〜7.70(m、2H)、7.77〜7.85(m、2H)、7.98〜8.03(m、4H)、8.49〜8.50(m、2H)、8.63〜8.69(m、6H).
極大蛍光波長(薄膜):429nm.
【0127】
[合成例8]
3−(ナフタレン−1−イル)ジベンゾ[g,p]クリセン:化合物(1−2−1)を下記スキームに従い合成した。


【0128】
<1>3−ブロモジベンゾ[g,p]クリセンの合成
窒素雰囲気下、ジベンゾ[g,p]クリセン10g、クロロベンゼン100mLの混合物に、臭素2.4gとクロロベンゼン20mLの混合溶液を室温で滴下して加えた後、還流温度で1時間撹拌した。室温まで冷却した反応混合物に亜硫酸ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、トルエンで抽出した。有機層を濃縮して得られた固体12gを酢酸エチルから再結晶して、3−ブロモジベンゾ[g,p]クリセンとジベンゾ[g,p]クリセンの比が1対1(HPLC分析(波長254nm)のピーク面積比から推定)の混合物として8.5gを得た。
【0129】
<2>3−ジベンゾ[g,p]クリセンボロン酸の合成
窒素雰囲気下、<1>で得た3−ブロモジベンゾ[g,p]クリセンとジベンゾ[g,p]クリセンの比が1対1の混合物8.5gとテトラヒドロフラン30mLの混合物に、濃度1.6mol/Lのn−ブチルリチウム/N−ヘキサン溶液10mLを−70℃で滴下し、さらにトリイソプロピルボレート4.2mLを滴下して加えた後、室温まで昇温しながら30分間撹拌した。反応混合物に塩酸水溶液を加えた後、トルエンで抽出した。有機層を濃縮して得られた固体7.6gをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動層:トルエン/酢酸エチル=1/1(容積比))で精製して3−ジベンゾ[g,p]クリセンボロン酸3.0gを得た。
【0130】
<3>3−(ナフタレン−1−イル)ジベンゾ[g,p]クリセンの合成
窒素雰囲気下、3−ジベンゾ[g,p]クリセンボロン酸2.7g、1−ブロモナフタレン2.3g、リン酸カリウム3.1g、トルエン15mL、イソプロピルアルコール3mL、水0.6mLに、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.42gを加え、還流温度で2時間加熱撹拌した。室温まで冷却した反応混合物に水を加え、トルエンで抽出し、有機相を濃縮して固体4.0gを得た。この固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動層:ヘプタン/トルエン=10/1(容積比))で精製し、さらにアセトンから再結晶して、3−(ナフタレン−1−イル)ジベンゾ[g,p]クリセン1.3gを得た。物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl): σ=7.47〜7.50(m、1H)、7.53〜7.56(m、1H)、7.39〜7.73(m、8H)、7.78〜7.80(dd、1H)、7.94〜7.99(m、2H)、8.07〜8.09(d、1H)、8.69〜8.75(m、5H)、8.81〜8.84(m、3H).
極大蛍光波長(薄膜):410nm.
【0131】
原料の化合物を適宜選択することにより、上記の合成例に準じた方法で、本発明の他の発光材料を合成することができる。
【実施例1】
【0132】
有機EL素子に用いた化合物は、銅フタロシアニン(CuPc)、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(NPD)、N,N,N’N’,7,7−ヘキサフェニル−7H−ベンゾ[c]フルオレン−5,9−ジアミン(D1)、9,10−ジ(2,2’−ビピリジル−5−イル)−2−フェニルアントラセン(ET1)、2,7,10,15−テトラフェニルジベンゾ[g,p]クリセン(H1)、N,N,N’,N’−テトラ(4−ビフェニリル)−4、4’−ジアミノスチルベン(D2)、2−(4−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール(ET2)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(m−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン(D3)であり、各構造式を以下に示す。


【0133】
スパッタリングにより180nmの厚さに製膜したITOを150nmまで研磨して得られる26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス製)を透明支持基板とした。この透明支持基板を市販の蒸着装置の基板ホルダーに固定し、CuPcを入れたモリブデン製蒸着用ボート、NPDを入れたモリブデン製蒸着用ボート、化合物(1−3−1)を入れたモリブデン製蒸着用ボート、D1を入れたモリブデン製蒸着用ボート、ET1を入れたモリブデン製蒸着用ボート、フッ化リチウムを入れたモリブデン製蒸着用ボート、およびアルミニウムを入れたタングステン製蒸着用ボートを装着した。
【0134】
真空槽を5×10−4Paまで減圧し、CuPcが入った蒸着用ボートを加熱して、膜厚100nmになるようにCuPcを蒸着して正孔注入層を形成し、次いで、NPD入りの蒸着用ボートを加熱して、膜厚30nmになるようにNPDを蒸着して正孔輸送層を形成した。次に、化合物(1−3−1)を入れたモリブデン製蒸着用ボートおよびD1を入れたモリブデン製蒸着用ボートを加熱して、膜厚35nmになるように両化合物を共蒸着して発光層を形成した。このとき、D1のドープ濃度は約5重量%であった。次にET1を入れた蒸着用ボートを加熱して、膜厚15nmになるようにET1を蒸着して電子輸送層を形成した。以上の蒸着速度は0.01〜1nm/秒であった。
【0135】
その後、フッ化リチウム入りの蒸着用ボートを加熱して、膜厚1nmになるように0.003〜0.1nm/秒の蒸着速度でフッ化リチウムを蒸着し、次いで、アルミニウム入りの蒸着用ボートを加熱して、膜厚100nmになるように0.01〜10nm/秒の蒸着速度でアルミニウムを蒸着することにより、有機EL素子を得た。
【0136】
ITO電極を陽極、フッ化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、1000cd/m発光時の特性を測定すると、電圧5.7V、電流密度13mA/cm、発光効率4.1lm/W、電流効率7.5cd/A、発光波長460nmであった。また、初期輝度2000cd/mを得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施したところ、輝度保持率50%時の経過時間は170時間であった。
【実施例2】
【0137】
化合物(1−3−1)を化合物(1−4−1)に代えた以外は実施例1と同様にして、有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、フッ化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、1000cd/m発光時の特性を測定すると、電圧4.6V、電流密度12mA/cm、発光効率5.9lm/W、電流効率8.6cd/A、発光波長460nmであった。また、初期輝度2000cd/mを得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施したところ、輝度保持率50%時の経過時間は180時間であった。
【0138】
[比較例1]
化合物(1−3−1)をH1に代えた以外は実施例1と同様にして、有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、フッ化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、1000cd/m発光時の特性を測定すると、電圧5.3V、電流密度17mA/cm、発光効率3.5lm/W、電流効率6.0cd/A、発光波長460nmであった。また、初期輝度2000cd/mを得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施したところ、輝度保持率50%時の経過時間は46時間であった。実施例1、2に比べて発光効率や電流効率が低く、輝度半減寿命も短かった。
【実施例3】
【0139】
実施例1で用いたのと同じ透明支持基板を市販の蒸着装置の基板ホルダーに固定し、CuPcを入れたモリブデン製蒸着用ボート、NPDを入れたモリブデン製蒸着用ボート、化合物(1−4−1)を入れたモリブデン製蒸着用ボート、D2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、ET2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、フッ化リチウムを入れたモリブデン製蒸着用ボート、およびアルミニウムを入れたタングステン製蒸着用ボートを装着した。
【0140】
真空槽を5×10−4Paまで減圧し、CuPcが入った蒸着用ボートを加熱して、膜厚70nmになるようにCuPcを蒸着して正孔注入層を形成し、次いで、NPD入りの蒸着用ボートを加熱して、膜厚30nmになるようにNPDを蒸着して正孔輸送層を形成した。次に、化合物(1−4−1)を入れたモリブデン製蒸着用ボートおよびD2を入れたモリブデン製蒸着用ボートを加熱して、膜厚35nmになるように両化合物を共蒸着して発光層を形成した。このとき、D2のドープ濃度は約5重量%であった。次にET2を入れた蒸着用ボートを加熱して、膜厚15nmになるようにET2を蒸着して電子輸送層を形成した。以上の蒸着速度は0.01〜1nm/秒であった。
【0141】
その後、フッ化リチウム入りの蒸着用ボートを加熱して、膜厚1nmになるように0.003〜0.1nm/秒の蒸着速度でフッ化リチウムを蒸着し、次いで、アルミニウム入りの蒸着用ボートを加熱して、膜厚100nmになるように0.01〜10nm/秒の蒸着速度でアルミニウムを蒸着することにより、有機EL素子を得た。
【0142】
ITO電極を陽極、フッ化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、1000cd/m発光時の特性を測定すると、電圧5.8V、電流密度17mA/cm、発光効率3.2lm/W、電流効率5.9cd/A、発光波長455nmであった。
【実施例4】
【0143】
実施例1で用いたのと同じ透明支持基板を市販の蒸着装置の基板ホルダーに固定し、CuPcを入れたモリブデン製蒸着用ボート、NPDを入れたモリブデン製蒸着用ボート、化合物(1−4−1)を入れたモリブデン製蒸着用ボート、D3を入れたモリブデン製蒸着用ボート、ET1を入れたモリブデン製蒸着用ボート、フッ化リチウムを入れたモリブデン製蒸着用ボート、およびアルミニウムを入れたタングステン製蒸着用ボートを装着した。
【0144】
真空槽を5×10−4Paまで減圧し、CuPcが入った蒸着用ボートを加熱して、膜厚70nmになるようにCuPcを蒸着して正孔注入層を形成し、次いで、NPD入りの蒸着用ボートを加熱して、膜厚30nmになるようにNPDを蒸着して正孔輸送層を形成した。次に、化合物(1−4−1)を入れたモリブデン製蒸着用ボートおよびD3を入れたモリブデン製蒸着用ボートを加熱して、膜厚35nmになるように両化合物を共蒸着して発光層を形成した。このとき、D3のドープ濃度は約5重量%であった。次にET1を入れた蒸着用ボートを加熱して、膜厚15nmになるようにET1を蒸着して電子輸送層を形成した。以上の蒸着速度は0.01〜1nm/秒であった。
【0145】
その後、フッ化リチウム入りの蒸着用ボートを加熱して、膜厚1nmになるように0.003〜0.1nm/秒の蒸着速度でフッ化リチウムを蒸着し、次いで、アルミニウム入りの蒸着用ボートを加熱して、膜厚100nmになるように0.01〜10nm/秒の蒸着速度でアルミニウムを蒸着することにより、有機EL素子を得た。
【0146】
ITO電極を陽極、フッ化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、1000cd/m発光時の特性を測定すると、電圧4.4V、電流密度9.6mA/cm、発光効率7.4lm/W、電流効率10cd/A、発光波長520nmであった。
【実施例5】
【0147】
化合物(1−3−1)を化合物(1−3−2)に代えた以外は実施例1に準じた方法で、有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、フッ化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、1000cd/m発光時の特性を測定すると、電圧5.5V、電流密度14mA/cm、発光効率4.0lm/W、電流効率6.9cd/A、発光波長460nmであった。また、初期輝度2000cd/mを得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施したところ、輝度保持率50%時の経過時間は48時間であった。
【実施例6】
【0148】
化合物(1−3−1)を化合物(1−4−2)に代えた以外は実施例1に準じた方法で、有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、フッ化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、1000cd/m発光時の特性を測定すると、電圧3.8V、電流密度15mA/cm、発光効率5.6lm/W、電流効率6.8cd/A、発光波長460nmであった。また、初期輝度2000cd/mを得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施したところ、輝度保持率50%時の経過時間は190時間であった。
【実施例7】
【0149】
化合物(1−3−1)を化合物(1−4−3)に代えた以外は実施例1に準じた方法で、有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、フッ化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、1000cd/m発光時の特性を測定すると、電圧4.5V、電流密度13mA/cm、発光効率5.3lm/W、電流効率7.6cd/A、発光波長460nmであった。また、初期輝度2000cd/mを得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施したところ、輝度保持率50%時の経過時間は240時間であった。
【実施例8】
【0150】
化合物(1−3−1)を化合物(1−2−1)に代えた以外は実施例1に準じた方法で、有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、フッ化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、1000cd/m発光時の特性を測定すると、電圧5.5V、電流密度15mA/cm、発光効率3.9lm/W、電流効率6.9cd/A、発光波長460nmであった。また、初期輝度2000cd/mを得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施したところ、輝度保持率50%時の経過時間は140時間であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される化合物。


式(1)中、A、A、BおよびBは水素、置換されてもよい炭素数6〜30のアリールまたは置換されてもよい炭素数12〜30の芳香族環系から独立して選ばれるが、
のみ、Bのみ、AとAの2つのみ、またはBとBの2つのみが置換されてもよい炭素数6〜30のアリールまたは置換されてもよい炭素数12〜30の芳香族環系であり、その他は水素である。
【請求項2】
およびBのどちらか1つが置換されてもよい炭素数6〜30のアリールまたは置換されてもよい炭素数12〜30の芳香族環系である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
およびAが置換されてもよい炭素数6〜30のアリールまたは置換されてもよい炭素数12〜30の芳香族環系である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
およびBが置換されてもよい炭素数6〜30のアリールまたは置換されてもよい炭素数12〜30の芳香族環系である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
およびBのどちらか1つが置換されてもよい炭素数10〜30のアリールまたは置換されてもよい炭素数12〜30の芳香族環系である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
およびAが置換されてもよい炭素数10〜30のアリールまたは置換されてもよい炭素数12〜30の芳香族環系である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
およびBが置換されてもよい炭素数10〜30のアリールまたは置換されてもよい炭素数12〜30の芳香族環系である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
およびBのどちらか1つが置換されてもよい炭素数10〜20のアリールまたは置換されてもよい炭素数12〜18の芳香族環系である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
およびAが置換されてもよい炭素数10〜20のアリールまたは置換されてもよい炭素数12〜18の芳香族環系である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
およびBが置換されてもよい炭素数10〜20のアリールまたは置換されてもよい炭素数12〜18の芳香族環系である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
およびBのどちらか1つが置換されてもよい炭素数10〜16のアリールまたは置換されてもよい炭素数12〜16の芳香族環系である、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
およびAが置換されてもよい炭素数10〜16のアリールまたは置換されてもよい炭素数12〜16の芳香族環系である、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
およびBが置換されてもよい炭素数10〜16のアリールまたは置換されてもよい炭素数12〜16の芳香族環系である、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
およびBのどちらか1つがナフチルまたはフェナントリルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
およびAがナフチルまたはフェナントリルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
およびBがナフチルまたはフェナントリルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
およびBのどちらか1つが1−ナフチルまたは2−ナフチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
およびAが1−ナフチルまたは2−ナフチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
およびBが1−ナフチルまたは2−ナフチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
発光素子の発光層用材料であって、請求項1〜19のいずれか1項に記載の化合物を少なくとも1つ含有する発光層用材料。
【請求項21】
さらに、スチルベン構造を有するアミン、芳香族アミン、クマリン誘導体、ピラン誘導体、イリジウム錯体、および白金錯体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、請求項20に記載の発光層用材料。
【請求項22】
さらに、下記式(2)で表されるスチルベン構造を有するアミンを少なくとも1つ含有する、請求項20に記載の発光層用材料。


式(2)中、Arは炭素数6〜30のアリールに由来するm価の基であり、ArおよびArは、独立して、炭素数6〜30のアリールであるが、Ar〜Arの少なくとも1つはスチルベン構造を有し、Ar〜Arは置換されていてもよく、そして、mは1〜4の整数である。
【請求項23】
さらに、下記式(3)で表されるスチルベン構造を有するアミンを含有する、請求項20に記載の発光層用材料。


式(3)中、ArおよびArは、独立して、炭素数6〜30のアリールであり、ArおよびArは置換されていてもよい。
【請求項24】
さらに、下記式(4)で表される芳香族アミンを含有する、請求項20に記載の発光層用材料。


式(4)中、Arは炭素数6〜30のアリールに由来するn価の基であり、ArおよびArは炭素数5〜40のアリールであり、Ar〜Arは置換されていてもよく、そして、nは1〜4の整数である。
【請求項25】
さらに、下記式(4)で表される芳香族アミンを含有する、請求項20に記載の発光層用材料。


式(4)中、Arはアントラセン、クリセンまたはピレンに由来する2価の基であり、ArおよびArは炭素数6〜30のアリールであり、Ar〜Arは置換されていてもよく、そして、nは2である。
【請求項26】
陽極及び陰極からなる一対の電極間に挟持された、発光層を含む少なくとも1層の有機化合物層を有する有機電界発光素子であって、請求項20〜25のいずれか1項に記載の発光層用材料を該発光層に含有する有機電界発光素子。
【請求項27】
さらに、前記陰極と発光層との間に配置される電子輸送層および/または電子注入層を有し、該電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つが、ベンゾイミダゾール誘導体、キノリノール系金属錯体およびフェナントロリン誘導体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、請求項26に記載の有機電界発光素子。
【請求項28】
さらに、前記陰極と該発光層との間に配置される電子輸送層および/または電子注入層を有し、該電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つが、下記式(5)で表されるベンゾイミダゾール誘導体を含有する、請求項26に記載の有機電界発光素子。


式中、Ar〜Arはそれぞれ独立に水素または置換されてもよい炭素数6〜30のアリールである。
【請求項29】
さらに、前記陰極と該発光層との間に配置される電子輸送層および/または電子注入層を有し、該電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つが、下記式(5)で表されるベンゾイミダゾール誘導体を含有する、請求項26に記載の有機電界発光素子。


式中、Arは置換されてもよいアントリルであり、ArおよびArはそれぞれ独立に水素または置換されてもよい炭素数6〜30のアリールである。
【請求項30】
さらに、前記陰極と該発光層との間に配置される電子輸送層および/または電子注入層を有し、該電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つは、キノリノール系金属錯体を含有する、請求項26に記載の有機電界発光素子。

【公開番号】特開2011−6397(P2011−6397A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−120107(P2010−120107)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(000002071)チッソ株式会社 (658)
【Fターム(参考)】