説明

スイッチング電源および照明装置

【課題】出力電流の可変範囲を広げたスイッチング電源及び照明装置を提供する。
【解決手段】スイッチング素子8は、オンのとき第1のインダクタ13に電源電圧を供給して電流を流す。定電流素子9は、スイッチング素子8に直列に接続され、スイッチング素子8の電流が所定の上限値を超えたときスイッチング素子8をオフさせる。整流素子10は、スイッチング素子8および定電流素子9のいずれかに直列に接続され、スイッチング素子8がオフしたとき第1のインダクタ13の電流を流す。第2のインダクタ14は、第1のインダクタ13と磁気結合し、第1のインダクタ13の電流が増加しているときスイッチング素子8をオンさせる電位が誘起され、スイッチング素子8の電流が減少しているときスイッチング素子8をオフさせる電位が誘起され、誘起された電位をスイッチング素子8の制御端子に供給する。制御回路11は、定電流素子9の制御端子に電位を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング電源および照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、照明装置において、照明光源は白熱電球や蛍光灯から省エネルギー・長寿命の光源、例えば発光ダイオード(Light-emitting diode:LED)への置き換えが進んでいる。また、例えば、EL(Electro-Luminescence)や有機発光ダイオード(Organic light-emitting diode:OLED)など新たな照明光源も開発されている。これらの照明光源の輝度は流れる電流値に依存するため、照明を点灯させる場合は、定電流を供給する電源回路が必要になる。また、入力される電源電圧をLEDなどの照明光源の定格電圧に合わせるために、電圧を変換する必要もある。高効率で省電力化・小型化に適した電源として、DC−DCコンバータなどのスイッチング電源が知られている。また、自励式のDC−DCコンバータを用いたLED点灯装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−119078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、自励式のDC−DCコンバータにおいては、インダクタを流れる出力電流を小さくしすぎると発振が停止する可能性があり、照明光源の調光範囲が制限される場合がある。
本発明の実施形態は、出力電流の可変範囲を広げたスイッチング電源及び照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、スイッチング素子と、定電流素子と、整流素子と、第1のインダクタと、第2のインダクタと、制御回路と、を備えたことを特徴とするスイッチング電源が提供される。前記スイッチング素子は、オンのとき前記第1のインダクタに電源電圧を供給して電流を流す。前記定電流素子は、前記スイッチング素子に直列に接続され、前記スイッチング素子の電流が所定の上限値を超えたとき前記スイッチング素子をオフさせる。前記整流素子は、前記スイッチング素子および前記定電流素子のいずれかに直列に接続され、前記スイッチング素子がオフしたとき前記第1のインダクタの電流を流す。前記第2のインダクタは、前記第1のインダクタと磁気結合し、前記第1のインダクタの電流が増加しているときは前記スイッチング素子をオンさせる電位が誘起され、前記スイッチング素子の電流が減少しているときは前記スイッチング素子をオフさせる電位が誘起され、誘起された電位を前記スイッチング素子の制御端子に供給する。前記制御回路は、前記定電流素子の制御端子の電位を供給するとともに電位の平均値が前記スイッチング素子がスイッチングを継続できる下限値よりも低いときは、前記下限値以上の電位値を出力する期間と、前記下限値よりも低い電位値を出力する期間とを繰り返すパルス状の電位を出力する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の実施形態によれば、出力電流の可変範囲を広げたスイッチング電源及び照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施例に係るスイッチング電源を含む照明装置を例示する回路図である。
【図2】第1の実施例における制御回路の出力信号の波形図である。
【図3】定電流素子の電流の制御端子の電位に対する依存性を表す特性図である。
【図4】第2の実施例における制御回路の出力信号の波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)第1の実施形態のスイッチング電源は、第1のインダクタと、オンのとき前記第1のインダクタに電源電圧を供給して電流を流すスイッチング素子と、前記スイッチング素子に直列に接続され、前記スイッチング素子の電流が所定の上限値を超えたとき前記スイッチング素子をオフさせる定電流素子と、前記スイッチング素子および前記定電流素子のいずれかに直列に接続され、前記スイッチング素子がオフしたとき前記第1のインダクタの電流を流す整流素子と、前記第1のインダクタと磁気結合し、前記第1のインダクタの電流が増加しているときは前記スイッチング素子をオンさせる電位が誘起され、前記スイッチング素子の電流が減少しているときは前記スイッチング素子をオフさせる電位が誘起され、誘起された電位を前記スイッチング素子の制御端子に供給する第2のインダクタと、前記定電流素子の制御端子に電位を供給するとともに電位の平均値が前記スイッチング素子がスイッチングを継続できる下限値よりも低いときは、前記下限値以上の電位値を出力する期間と、前記下限値よりも低い電位値を出力する期間とを繰り返すパルス状の電位を出力する制御回路と、を持つ。
【0009】
(第2の実施形態)第2の実施形態のスイッチング電源は、第1の実施形態のスイッチング電源において、前記スイッチング素子は、ノーマリオン形の素子であることを特徴とする。
【0010】
(第3の実施形態)第3の実施形態のスイッチング電源は、第1または第2の実施形態のスイッチング電源において、前記制御回路は、生成する電位の平均値が前記下限値以上であるときは、平均値よりも高い電位値を出力する期間と、平均値よりも低い電位値を出力する期間とを繰り返すパルス状の電位を出力することを特徴とする。
【0011】
(第4の実施形態)第4の実施形態のスイッチング電源は、第1または第2の実施形態のスイッチング電源において、前記制御回路は、出力する電位の平均値が前記下限値よりも高いときは、直流電位を出力することを特徴とする。
【0012】
(第5の実施形態)第5の実施形態の照明装置は、第1〜第4の実施形態いずれか1つに記載のスイッチング電源と、前記スイッチング電源の負荷回路として接続された照明負荷と、を持つ。
【0013】
以下、実施例について図面を参照して詳細に説明する。なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0014】
まず、第1の実施例について説明する。
図1は、第1の実施例に係るスイッチング電源を含む照明装置を例示する回路図である。
図2は、第1の実施例における制御回路の出力信号の波形図である。
【0015】
図1に表したように、照明装置1は、入力される直流の電源電圧VINを電圧VOUTに降圧するスイッチング電源2と、スイッチング電源2の負荷回路となる照明負荷3を備えている。照明負荷3は、照明光源16を有している。照明光源16は、例えばLEDで構成され、スイッチング電源2から電圧VOUTを供給されて点灯する。
【0016】
スイッチング電源2においては、スイッチング素子8と定電流素子9とが、高電位電源端子4と高電位出力端子6との間に直列に接続されている。すなわち、スイッチング素子8のドレインは、高電位電源端子4に接続され、スイッチング素子8のソースは、定電流素子9のドレインに接続され、定電流素子9のソースは、高電位出力端子6に接続されている。スイッチング素子8及び定電流素子9は、例えば電界効果トランジスタ(FET)であり、例えば高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor:HEMT)であり、ノーマリオン型の素子である。
【0017】
整流素子10は、高電位出力端子6と低電位電源端子5との間に、低電位電源端子5から高電位出力端子6に向かう方向を順方向として接続される。すなわち、整流素子10は、定電流素子9に直列に接続される。なお、整流素子10は、例えば、ショットキーバリアダイオード(SBD)などのダイオードである。
【0018】
制御回路11は、定電流素子9の制御端子としてのゲートに出力信号VGを出力する。
図2に表したように、制御回路11は、相対的に電位の高い期間TH1と、相対的に電位の低い期間TL1とを有するパルス状の出力信号VGを生成する。出力信号VGは、期間TH1における電位と期間TL1とにおける電位との電位差を一定に保ち、電位の平均値を変化させることができる信号である。制御回路11は、例えば上記の電位差に対応する振幅の矩形波を生成するパルス生成回路の出力に、上記の平均値に対応する電位を合成して構成することができる。なお、図2においては、電位の平均値が異なる3つの場合について表している。出力信号VGは、期間TH1での電位値、期間TL1での電位値、及び期間TH1、TL1のそれぞれを変化させることで、電位の平均値を変化させるように構成することができる。
【0019】
さらに、スイッチング電源2においては、第1のインダクタ13が、低電位電源端子5と低電位出力端子7との間に接続されている。第1のインダクタ13は、照明負荷3を介して、スイッチング素子8及び定電流素子9と直列に接続される。また、第2のインダクタ14は、第1のインダクタ13と磁気結合され、一端は低電位出力端子7に接続され、他端はコンデンサ12を介してスイッチング素子8の制御端子としてのゲートに接続される。
さらに、平滑コンデンサ15は、高電位出力端子6と低電位出力端子7との間に接続されている。
【0020】
次に、スイッチング電源2の動作について説明する。
(1)電源電圧VINが、高電位電源端子4と低電位電源端子5との間に供給されるとき、スイッチング素子8及び定電流素子9はノーマリオン型の素子であるため、いずれもオンしている。そして、高電位電源端子4、スイッチング素子8、定電流素子9、平滑コンデンサ15、第1のインダクタ13、低電位電源端子5の経路で電流が流れ、平滑コンデンサ15が充電される。平滑コンデンサ15の両端の電圧、すなわち高電位出力端子6と低電位出力端子7との間の電圧は、スイッチング電源2の出力電圧VOUTとして、照明負荷3の照明光源16に供給される。なお、スイッチング素子8及び定電流素子9がオンしているため、整流素子10の両端には、ほぼ電源電圧VINが印加される。整流素子10は逆バイアスとなり、電流は流れない。
【0021】
(2)出力電圧VOUTが所定電圧に達すると、照明光源16に電流が流れ、照明光源16が点灯する。このとき、高電位電源端子4、スイッチング素子8、定電流素子9、平滑コンデンサ15及び照明光源16、第1のインダクタ13、低電位電源端子5の経路で電流が流れる。例えば、照明光源16がLEDの場合、この所定電圧は、LEDの順方向電圧であり、照明光源16に応じて定まる。
【0022】
(3)第1のインダクタ13には、スイッチング素子8、定電流素子9を介して電源電圧VINが供給されるため、第1のインダクタ13を流れる電流は増加していく。第2のインダクタ14は、第1のインダクタ13と図示する極性で磁気結合しているため、第2のインダクタ14には、コンデンサ12側を高電位とする極性の起電力が誘起される。そのため、スイッチング素子8のゲートには、コンデンサ12を介してソースに対して正の電位が供給され、スイッチング素子8はオンの状態を維持する。
【0023】
(4)FETで構成された定電流素子9を流れる電流が、ゲート・ソース間電圧によって決まる飽和電流値に到達すると、定電流素子9のドレイン・ソース間電圧は、急激に上昇する。そのため、スイッチング素子8のゲート・ソース間電圧がしきい値電圧よりも低くなり、スイッチング素子8はオフする。
【0024】
(5)第1のインダクタ13は、整流素子10、平滑コンデンサ15及び照明負荷3、第1のインダクタ13の経路で電流を流し続ける。そのため、照明光源16は点灯を続ける。第1のインダクタ13は、電磁エネルギーを放出するため、第1のインダクタ13の電流は、減少していく。そのため、第2のインダクタ14には、コンデンサ12側を低電位とする極性の起電力が誘起される。スイッチング素子8のゲートには、コンデンサ12を介してソースに対して負の電位が供給され、スイッチング素子8はオフの状態を維持する。
【0025】
(6)第1のインダクタ13に蓄積されていた電磁エネルギーがゼロになると、第1のインダクタ13を流れる電流はゼロになる。第2のインダクタ14に誘起される起電力の方向が再び反転し、コンデンサ12側を高電位とするような起電力が誘起される。これにより、スイッチング素子8のゲートにソースよりも高い電位が供給され、スイッチング素子8がオンする。これにより、上記(2)の状態に戻る。
【0026】
以後、上記(2)〜(6)を繰り返す。これにより、スイッチング素子8のオン及びオフへの切替が自動的に繰り返されて、照明光源16には電源電圧VINを降下した出力電圧VOUTが供給される。また、照明光源16に供給される電流は、定電流素子9により上限値の制限された定電流となる。そのため、照明光源16を安定に点灯させることができる。
【0027】
また、スイッチング電源2においては、制御回路11の出力信号VGの電位を変化させて上限値を調整することができ、照明光源16に流れる電流を調整して調光することができる。
図3は、定電流素子の電流の制御端子の電位に対する依存性を表す特性図である。
図3においては、FETで構成された定電流素子9のドレイン・ソース間電圧VDSを横軸にとり、縦軸にドレイン電流IDをとり、出力信号VGの電位をパラメータとしてドレイン電流の依存性を表している。
【0028】
出力信号VGの電位を変化させて定電流素子9のゲート電位を変化させることにより、飽和電流の値、すなわち電流の上限値を調整することができる。例えば、出力信号VGの電位を高くすることにより(図3のVG:Highの方向)、ドレイン電流IDの上限値を大きくして照明光源16を流れる電流を大きくすることができる。その結果、照明光源16の輝度は、増加する。また、出力信号VGの電位を低くすることにより(図3のVG:Lowの方向)、ドレイン電流IDの上限値を小さくして、照明光源16を流れる電流を小さくすることができる。その結果、照明光源16の輝度は、低下する。
【0029】
しかし、出力信号VGの電位が低すぎると、第2のインダクタ14に誘起される起電力が低下して、スイッチング素子8を再度オンさせることができない場合がある。すなわち、スイッチング素子8を再度オンさせ、スイッチング電源2が発振を継続できる出力信号VGの電位には下限値V1がある。
【0030】
そこで、制御回路11は、上記の下限値V1以上の相対的に電位の高い期間TH1と、相対的に電位の低い期間TL1とを有するパルス状の出力信号VGを生成して、定電流素子9のゲートに供給している。なお、期間TH1、TL1は、それぞれスイッチング電源2の発振周期Tよりも長く設定され、また、それぞれヒトの目が検知できない程度の時間間隔で繰り返すように設定される。
【0031】
期間TL1において、出力信号VGの電位が下限値V1よりも低くなると、スイッチング電源2は発止を停止する。しかし、期間TH1における出力信号VGの電位は下限値V1以上に設定されているため、期間TH1においてスイッチング電源2は発振し、照明光源16に電流を供給することができる。
【0032】
すなわち、制御回路11が、出力信号VGの電位の平均値を低下させていくと、スイッチング電源2は、間欠的に発振するようになる。その結果、照明光源16を流れる電流の平均値は、出力信号VGの電位の下限値V1に対応する電流よりも低下する。
また、制御回路11が、出力信号VGの電位の平均値を上記の下限値V1よりも上昇させていくと、スイッチング電源2は、連続的に発振するようになる。
【0033】
また、制御回路11は、出力信号VGの電位の平均値が下限値V1以上であるときは、平均値よりも高い電位を出力する期間TH2と、平均値よりも低い電位を出力するTL2とを繰り返すパルス状に変化する電位を出力する。なお、期間TH2、TL2は、それぞれスイッチング電源2の発振周期Tよりも長く設定され、また、それぞれヒトの目が検知できない程度の時間間隔で繰り返すように設定される。さらに、出力信号VGの電位の平均値が下限値V1以上であるときは、出力信号VGの電位の平均値に応じて、期間TH2、TL2は変化させても良い。
【0034】
次に、本実施例の効果について説明する。
本実施例においては、制御回路11は、相対的に電位の高い期間TH1と、相対的に電位の低い期間TL1とを有するパルス状の出力信号VGを生成して定電流素子9のゲートに供給している。その結果、スイッチング電源2が発振を継続できる下限値V1よりもゲート電位の平均値が低下した場合、スイッチング電源2は間欠的に発振して照明光源16に電流を供給することができる。したがって、照明光源16を流れる電流の調整範囲を広げることができる。すなわち、照明光源16の調光範囲を広げることができる。
【0035】
また、制御回路11においては、期間TH1、TL1の比を変化させることにより、出力信号VGの電位の平均値を調整することができる。出力信号VGの電位の平均値が下限値V1よりも低下した場合において、照明光源16を流れる電流の平均値を変化させて、照明光源16を調光することができる。なお、期間TH1、TL1は、それぞれヒトの目が検知できない程度の時間間隔で繰り返すように設定されるため、ちらつきなどの影響はない。
【0036】
さらに、スイッチング素子8、定電流素子9などの各素子としてHEMTを用いた場合、高周波動作が可能となる。例えば、メガヘルツオーダーの動作が可能となる。その結果、制御回路11の出力信号VGにおける期間TH1、TL1をより短くすることができ、照明光源16を流れる電流の平均値の調整範囲をさらに広げ、調光範囲を広げることができる。特に、GaN系HEMTを用いた場合、より一層の高周波動作が可能であり、さらに調光範囲を広げることができる。
【0037】
図4は、第2の実施例における制御回路の出力信号の波形図である。
図4に表したように、本実施例は、前述の第1の実施例と比較して、制御回路の出力信号VGが異なっている。すなわち、本実施例においては、前述の第1の実施例における制御回路11の替わりに、図4に表した出力信号VGを生成する制御回路が設けられている。本実施例に係るスイッチング電源及び照明装置の制御回路以外の構成は、図1に示す構成と同様である。
【0038】
本実施例における制御回路は、出力信号VGの電位の平均値が下限値V1よりも低下したときは、第1の実施例における制御回路11と同様であり、相対的に電位の高い期間THと、相対的に電位の低い期間TLとを有するパルス状の出力信号VGを生成する。本実施例における制御回路は、出力信号VGの電位の平均値が下限値V1以上のときは、出力信号VGとして直流電位を出力する点が第1の実施例における制御回路11と異なる。なお、期間TH、TLは、それぞれスイッチング電源2の発振周期Tよりも長く設定され、また、それぞれヒトの目が検知できない程度の時間間隔で繰り返すように設定される。
【0039】
出力信号VGの電位が下限値V1以上のときは、スイッチング電源の発振が停止するおそれはないため、第1の実施例における制御回路11のように、パルス状の出力信号VGを生成して定電流素子9のゲートに供給する必要はない。また、本実施例における制御回路は、出力信号VGの電位の平均値が下限値V1以上のときは、出力信号VGとして直流電位を出力するため、照明光源16を流れる電流の最大値を抑制することができる。
本実施例における上記以外の構成、動作及び効果は、上記の第1の実施例と同様である。
【0040】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施例について説明した。しかし、本発明は、それらに限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0041】
例えば、図1においては、制御回路11は、定電流素子9のゲートと低電位電源端子5との間に接続され、低電位電源端子5の電位に対して出力信号VGを生成している。しかし、制御回路11は、定電流素子9のゲートとソースとの間に接続され、ソース電位に対して出力信号VGを生成してもよい。
【0042】
また、制御回路11は、期間TH1と期間TL1との間、期間TH2と期間TL2との間、及び期間THと期間TLとの間で、電位がパルス状に急峻に変化する出力信号VGを生成しているが、例えば正弦波状になめらかに変化させてもよい。さらに、制御回路11は、期間TH1における電位と期間TL1またはTLとにおける電位との電位差は一定であり、電位の平均値が可変の出力信号VGを生成している。しかし、期間TL1またはTLにおける電位を一定にして、期間TH1またはTHにおける電位を下限値V1以上の範囲で変化させることにより、電位の平均値を可変とした出力信号VGを生成してもよい。
【0043】
また、前述の第1及び第2の実施例においては、スイッチング素子8及び定電流素子9がノーマリオン型の素子である例を示したが、本発明はこれに限定されず、ノーマリオフ型の素子であってもよい。この場合は、電源電圧VINの供給を開始したとき、スイッチング電源2を起動させるための起動回路が必要になる。
【0044】
また、スイッチング電源の構成は、図1に表したものに限定されない。例えば、第1のインダクタ13は、高電位電源端子4、スイッチング素子8、定電流素子9、平滑コンデンサ15、低電位電源端子5の経路にあればよく、定電流素子9と整流素子10との接続点と高電位出力端子6との間に接続されてもよい。さらに、スイッチング電源の構成は、図1に表した降圧型に限定されず、昇圧型、昇降圧型でもよい。
【0045】
また、スイッチング素子8及び定電流素子9はGaN系HEMTには限定されない。例えば、半導体基板に炭化珪素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)やダイヤモンドのようなワイドバンドギャップを有する半導体(ワイドバンドギャップ半導体)を用いて形成した半導体素子でもよい。ここで、ワイドバンドギャップ半導体とは、バンドギャップが約1.4eVのヒ化ガリウム(GaAs)よりもバンドギャップの広い半導体をいう。例えば、バンドギャップが1.5eV以上の半導体、リン化ガリウム(GaP、バンドギャップ約2.3eV)、窒化ガリウム(GaN、バンドギャップ約3.4eV)、ダイアモンド(C、バンドギャップ約5.27eV)、窒化アルミニウム(AlN、バンドギャップ約5.9eV)、炭化ケイ素(SiC)などが含まれる。このようなワイドバンドギャップ半導体素子は、耐圧を等しくする場合、シリコン半導体素子よりも小さくできるために寄生容量が小さく、高速動作が可能なため、スイッチング周期を短くすることができ、、巻線部品やコンデンサなどの小形化が可能となる。
【0046】
さらにまた、照明光源16はLEDに限らず、ELやOLEDなどでもよく、照明負荷3には、複数個の照明光源16が直列又は並列に接続されていてもよい。
また、前述の実施例においては、スイッチング電源の負荷として照明光源を用いる場合を例示したが、例示したスイッチング電源は、照明光源だけでなく、直流で駆動される負荷であれば用いることができる。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態および実施例を説明したが、これらの実施形態または実施例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態または実施例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態または実施例やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
1…照明装置、 2…スイッチング電源、 3…照明負荷、 4…高電位電源端子、 5…低電位電源端子、 6…高電位出力端子、 7…低電位出力端子、 8…スイッチング素子、 9…定電流素子、 10…整流素子、 11…制御回路、 12…コンデンサ、 13…第1のインダクタ、 14…第2のインダクタ、 15…平滑コンデンサ、 16…照明光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のインダクタと、
オンのとき前記第1のインダクタに電源電圧を供給して電流を流すスイッチング素子と、
前記スイッチング素子に直列に接続され、前記スイッチング素子の電流が所定の上限値を超えたとき前記スイッチング素子をオフさせる定電流素子と、
前記スイッチング素子および前記定電流素子のいずれかに直列に接続され、前記スイッチング素子がオフしたとき前記第1のインダクタの電流を流す整流素子と、
前記第1のインダクタと磁気結合し、前記第1のインダクタの電流が増加しているときは前記スイッチング素子をオンさせる電位が誘起され、前記スイッチング素子の電流が減少しているときは前記スイッチング素子をオフさせる電位が誘起され、誘起された電位を前記スイッチング素子の制御端子に供給する第2のインダクタと、
前記定電流素子の制御端子に電位を供給するとともに電位の平均値が前記スイッチング素子がスイッチングを継続できる下限値よりも低いときは、前記下限値以上の電位値を出力する期間と、前記下限値よりも低い電位値を出力する期間とを繰り返すパルス状の電位を出力する制御回路と、
を備えたことを特徴とするスイッチング電源。
【請求項2】
前記スイッチング素子は、ノーマリオン形の素子であることを特徴とする請求項1記載のスイッチング電源。
【請求項3】
前記制御回路は、生成する電位の平均値が前記下限値以上であるときは、平均値よりも高い電位値を出力する期間と、平均値よりも低い電位値を出力する期間とを繰り返すパルス状の電位を出力することを特徴とする請求項1または2に記載のスイッチング電源。
【請求項4】
前記制御回路は、出力する電位の平均値が前記下限値よりも高いときは、直流電位を出力することを特徴とする請求項1または2に記載のスイッチング電源。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載のスイッチング電源と、
前記スイッチング電源の負荷回路として接続された照明負荷と、
を備えたことを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−70456(P2013−70456A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205335(P2011−205335)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】