説明

スイッチング電源装置

【課題】小型且つ安価でゼロ電圧スイッチングを実現できるスイッチング電源装置。
【解決手段】スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との第1アームに並列に接続されスイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4との第2アーム、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との接続点とスイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4との接続点との間にコンデンサC2と一次巻線P1とが接続された直列回路、二次巻線S1,S2の電圧を整流平滑して第1出力電圧を取り出す整流平滑回路D1,D2,L2,C3、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との接続点に接続され直流入力端又は直流出力端が接続されるリアクトルL1、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2とを交互にオンオフさせスイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4とを交互にオンオフさせスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q3とを同期させスイッチング素子Q2とスイッチング素子Q4とを同期させる制御回路10を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング素子のスイッチング損失を低減した高効率なスイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図12に従来のスイッチング電源装置の一例を示す。このスイッチング電源装置は、昇圧コンバータと、フルブリッジ回路の絶縁回路とを有して構成される。昇圧コンバータは、直流電源Vin、リアクトルL1、MOSFETからなるスイッチング素子Q1,Q2、電流検出抵抗R1、コンデンサC1、第1制御回路101を有して構成される。
【0003】
第1制御回路101は、コンデンサC1からの電圧と電流検出抵抗R1からの電圧とに基づいてスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2とを交互にオン/オフさせ、入力電圧(直流電源Vinの電圧)よりも高い定電圧の出力電圧Vo2をコンデンサC1の両端から出力する制御を行う。
【0004】
フルブリッジ回路の絶縁回路は、MOSFETからなるスイッチング素子Q3〜Q6、電流検出抵抗R2,R3、トランスTの一次巻線P1、二次巻線S1,S2、ダイオードD1,D2、リアクトルL2、コンデンサC2、第2制御回路102を有して構成される。
【0005】
第2制御回路102は、コンデンサC2からの電圧と電流検出抵抗R2,R3からの電圧とに基づいてスイッチング素子Q3,Q6とスイッチング素子Q4,Q5とを交互にオン/オフさせ、定電圧の出力電圧Vo1を出力する制御を行う。
このようなスイッチング電源装置によれば、2つの出力電圧Vo1,Vo2が得ることができる。
【0006】
また、従来の技術として、例えば、特許文献1に記載された3相インバータ回路モジュールを用いたAC−DCコンバータ装置が技術が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−233822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図12に示す従来のスイッチング電源装置は、6つのスイッチング素子Q1〜Q6のゲートを駆動するための6つの駆動回路が必要であり、スイッチング電源装置が複雑化し且つコストがかかっていた。
【0009】
また、特許文献1においても、3相インバータ回路モジュールのゲートを駆動するためには、特許文献1の図4に示すように、駆動回路400が6回路必要となる。このため、3相インバータ回路が複雑化し且つコストがかかる。
【0010】
本発明の課題は、小型化且つ安価で、ゼロ電圧スイッチングを実現でき、高効率なスイッチング電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のスイッチング電源装置は、第1スイッチング素子と第2スイッチング素子とが直列に接続された第1アームと、前記第1アームに並列に接続され、前記第1スイッチング素子と対角な第3スイッチング素子と前記第2スイッチング素子と対角な第4スイッチング素子とが直列に接続された第2アームと、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子との接続点と、前記第3スイッチング素子と前記第4スイッチング素子との接続点との間に、第1コンデンサとトランスの一次巻線とが直列に接続された第1直列回路と、前記トランスの二次巻線の電圧を整流平滑して第1出力電圧を取り出す第1整流平滑回路と、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子との接続点に接続され、且つ直流入力端又は直流出力端が接続される第1リアクトルと、 前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子とを交互にオンオフさせ前記第3スイッチング素子と前記第4スイッチング素子とを交互にオンオフさせ前記第1スイッチング素子と前記第3スイッチング素子とを同期させ前記第2スイッチング素子と前記第4スイッチング素子とを同期させる制御回路とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第1乃至第4スイッチング素子のみで済むので、小型化且つ安価となる。また、第1アームの中点と第2アームの中点とをトランスの一次巻線と第1コンデンサとを介して接続することで、第1及び第3スイッチング素子がオフ期間であっても、第2及び第4スイッチング素子や還流ダイオードを介して常に回生電流を流す経路を確保できるので、第1乃至第4スイッチング素子のゼロ電圧スイッチングを実現でき、高効率なスイッチング電源装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1のスイッチング電源装置の構成図である。
【図2】本発明の実施例1のスイッチング電源装置の制御回路の詳細な構成図である。
【図3】本発明の実施例1のスイッチング電源装置の各部の動作を示すタイミングチャートである。
【図4】本発明の実施例1のスイッチング電源装置の第1コンバータのオンデューティが第2コンバータのオンデューティより大きいときの各部の動作を示すタイミングチャートである。
【図5】本発明の実施例1のスイッチング電源装置の第1コンバータのオンデューティが第2コンバータのオンデューティより小さいときの各部の動作を示すタイミングチャートである。
【図6】本発明の実施例1のスイッチング電源装置の第1コンバータのオンデューティが第2コンバータのオンデューティと等しいときの各部の動作を示すタイミングチャートである。
【図7】本発明の実施例2のスイッチング電源装置の構成図である。
【図8】本発明の実施例3のスイッチング電源装置の構成図である。
【図9】本発明の実施例3のスイッチング電源装置の各部の動作を示すタイミングチャートである。
【図10】本発明の実施例4のスイッチング電源装置の構成図である。
【図11】本発明の実施例4のスイッチング電源装置のの各部の動作を示すタイミングチャートである。
【図12】従来のスイッチング電源装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態のスイッチング電源装置を図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は本発明の実施例1のスイッチング電源装置の構成図である。図1に示すスイッチング電源装置は、昇圧コンバータからなる第1コンバータと、DC−DCコンバータからなる第2コンバータとを有し、これらのコンバータがトランスTとコンデンサC2とリアクトルLr1を介してゲートパルスでリンクされるコンバータからなる。
【0016】
第1コンバータは、リアクトルL1、主制御スイッチとしてのスイッチング素子Q1、副制御スイッチ(同期整流スイッチ)としてのスイッチング素子Q2、コンデンサC1、第1制御回路11で構成され、同期整流型の昇圧回路である。スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2とは第1アームを構成する。
【0017】
第2コンバータは、主制御スイッチとしてのスイッチング素子Q3、副制御スイッチ(同期整流スイッチ)としてのスイッチング素子Q4、コンデンサC2,C3、トランスT、ダイオードD1,D2、リアクトルL2、第2制御回路12で構成され、ハーフブリッジフォワードコンバータ構成である。スイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4とは第2アームを構成する。
【0018】
実施例1のスイッチング電源装置は、従来と同様にスイッチング素子Q1〜Q4によりフルブリッジを構成をしているが、その動作は大きく相違し、ハーフブリッジ構成で動作するものであり、2つのハーフブリッジはその動作をゼロ電圧スイッチング(ZVS)のために補う。
【0019】
図1において、直流電源Vinの両端にはリアクトルL1とスイッチング素子Q1と電流検出抵抗R1との直列回路が接続されている。スイッチング素子Q1には直列にスイッチング素子Q2が接続されている。
【0020】
スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2と電流検出抵抗R1との直列回路の両端には、スイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4と電流検出抵抗R2との直列回路が接続されるとともに、コンデンサC1が接続されている。コンデンサC1の両端からは、出力電圧Vo2が出力される。スイッチング素子Q2側にはスイッチング素子Q3が接続され、スイッチング素子Q1側にはスイッチング素子Q4が接続されている。
【0021】
スイッチング素子Q1〜Q4は、MOSFETからなる。スイッチング素子Q1〜Q4のドレイン−ソース間にはダイオードDa〜DdとコンデンサCa〜Cdとの並列回路が接続されている。ダイオードDa〜Ddは還流ダイオードであってスイッチング素子Q1〜Q4の寄生ダイオードでも良く、コンデンサCa〜Cdは共振用コンデンサであってスイッチング素子Q1〜Q4の寄生コンデンサでも良い。
【0022】
また、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との接続点と、スイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4との接続点との間には、コンデンサC2とリアクトルLr1とトランスTの一次巻線P1との直列回路が接続されている。リアクトルLr1は、トランスTの一次巻線P1と二次巻線S1,S2との間のリーケージインダクタンスでも良い。
【0023】
トランスTの二次巻線S1と二次巻線S2とは直列に接続され、二次巻線S1の一端はダイオードD1のアノードに接続され、二次巻線S2の一端はダイオードD2のアノードに接続されている。ダイオードD1,D2のカソードはリアクトルL2の一端に接続され、リアクトルL2の他端はコンデンサC3の一端に接続され、コンデンサC3の他端は、二次巻線S1と二次巻線S2との接続点に接続される。コンデンサC3の両端からは、出力電圧Vo1が出力される。ダイオードD1,D2、リアクトルL2、コンデンサC3で整流平滑回路を構成している。
【0024】
制御回路10は、第1制御回路11、第2制御回路12、同期回路13を有している。第1制御回路11は、コンデンサC1からの電圧と電流検出抵抗R1からの電圧とに基づいてスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2とを交互にオン/オフさせて、昇圧制御を行い、入力電圧(直流電源Vinの電圧)よりも高い定電圧の出力電圧Vo2を出力する制御を行う。
【0025】
第2制御回路12は、コンデンサC3からの電圧と電流検出抵抗R2からの電圧とに基づいてスイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4とを交互にオン/オフさせ、定電圧の出力電圧Vo1を出力する制御を行う。
【0026】
同期回路13は、第1制御回路11の動作タイミングと第2制御回路12の動作タイミングとの同期を行なう。同期回路13は、具体的には、図3に示すように、スイッチング素子Q1のゲート信号Q1gの立ち上がりエッジ(ターンオン)と、スイッチング素子Q3のゲート信号Q3gの立ち上がりエッジとを同期させ、スイッチング素子Q2のゲート信号Q2gの立ち下がりエッジ(ターンオフ)と、スイッチング素子Q4のゲート信号Q4gの立ち下がりエッジとを同期させている。即ち、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q3とは、フルブリッジ回路の対角となる一組のスイッチであり、スイッチング素子Q2とスイッチング素子Q4とは、フルブリッジ回路の対角となる一組のスイッチである。
【0027】
また、スイッチング素子Q1,Q2からなる第1アームの中点とスイッチング素子Q3,Q4からなる第2アームの中点とを、トランスTの一次巻線P1とリアクトルLr1とコンデンサC2とを介して接続することにより、スイッチング素子Q1〜Q4がゼロ電圧スイッチング(ZVS)動作を行うことができる。これは、主制御スイッチQ1,Q3がオフ期間でも同期整流スイッチQ2,Q4やダイオードDa,Dcを介して常に回生電流を流す経路を確保できるためである。
【0028】
図2は本発明の実施例1のスイッチング電源装置の制御回路の詳細な構成図である。図3は、本発明の実施例1のスイッチング電源装置の各部の動作を示すタイミングチャートである。図2に示す制御回路10において、第1制御回路11は、誤差増幅器AMP1、コンパレータCMP1、バッファ回路BUF1、インバータINV1、デッドタイム生成回路15aを有している。第2制御回路12は、誤差増幅器AMP2、コンパレータCMP2、バッファ回路BUF2、インバータINV2、デッドタイム生成回路15bを有している。同期回路13は、三角波発生器130を有している。
【0029】
誤差増幅器AMP1は、コンデンサC1からの出力電圧Vo2と基準電圧Vref1との誤差電圧を増幅して、誤差増幅信号EAS1をコンパレータCMP1の非反転入力端子(+)に出力する。誤差増幅器AMP2は、コンデンサC3からの出力電圧Vo1と基準電圧Vref2との誤差電圧を増幅して、誤差増幅信号EAS2をコンパレータCMP2の非反転入力端子(+)に出力する。
【0030】
三角波発生器130は、三角波信号Triaを発生し、三角波信号TriaをコンパレータCMP1,CMP2の反転入力端子(−)に出力する。
【0031】
コンパレータCMP1は、誤差増幅器AMP1からの誤差増幅信号EAS1が三角波発生器130からの三角波信号Tria以上であるとき、Hレベルをバッファ回路BUF1及びインバータINV1に出力し、誤差増幅信号EAS1が三角波発生器130からの三角波信号Tria未満であるとき、Lレベルをバッファ回路BUF1及びインバータINV1に出力する。
【0032】
コンパレータCMP2は、誤差増幅器AMP2からの誤差増幅信号EAS2が三角波発生器130からの三角波信号Tria以上であるとき、Hレベルをバッファ回路BUF2及びインバータINV2に出力し、誤差増幅信号EAS2が三角波発生器130からの三角波信号Tria未満であるとき、Lレベルをバッファ回路BUF2及びインバータINV2に出力する。
【0033】
バッファ回路BUF1はコンパレータCMP1の出力をデッドタイム生成回路15aに出力する。インバータINV1は、コンパレータCMP1の出力を反転して、デッドタイム生成回路15aに出力する。デッドタイム生成回路15aは、バッファ回路BUF1からの信号を所定時間遅延させてスイッチング素子Q1のゲートに印加すべきゲート信号Q1gを出力する。デッドタイム生成回路15aは、インバータINV1からの信号を所定時間遅延させてスイッチング素子Q2のゲートに印加すべきゲート信号Q2gを出力する。
【0034】
バッファ回路BUF2はコンパレータCMP2の出力をデッドタイム生成回路15bに出力する。インバータINV2は、コンパレータCMP2の出力を反転して、デッドタイム生成回路15bに出力する。デッドタイム生成回路15bは、バッファ回路BUF2からの信号を所定時間遅延させてスイッチング素子Q3のゲートに印加すべきゲート信号Q3gを出力する。デッドタイム生成回路15bは、インバータINV2からの信号を所定時間遅延させてスイッチング素子Q4のゲートに印加すべきゲート信号Q4gを出力する。
【0035】
次に実施例1のスイッチング電源装置の動作を図4〜図6を参照しながら、詳細に説明する。
【0036】
また、第1コンバータのオンデューティをduty1、第2コンバータのオンデューティをduty2とすると、duty1>duty2、duty1<duty2、duty1=duty2において、それぞれ回生電流の経路が異なり、これらの詳細動作を以下に説明する。
【0037】
主にトランスTの1次側の動作について説明する。また、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)ターンオン時において、例えば期間T9などには、スイッチング素子Q1には2つの電流経路が重なり、スイッチング素子Q3は1つの電流経路であるからそれぞれのコンデンサCa,Ccの電荷引き抜き時間は異なるはずである。しかし、そのずれは微少であるため、煩雑さを回避するために、ここでは、同時にコンデンサCa,Ccの電荷が引き抜かれ、同時にダイオードDa,Dcに電流が流れるものとした。
【0038】
(duty1>duty2のとき動作)
最初に、図4を参照しながら、第1コンバータのオンデューティduty1が第2コンバータのオンデューティduty2より大きいときの各部の動作をタイミングチャートを用いて説明する。
【0039】
まず、期間T1において、ゲート信号Q1gによりスイッチング素子Q1がオンし、Vin→L1→Q1→R1→Vinの経路で電流Q1iが流れ、リアクトルL1が励磁される。また、ゲート信号Q3gによりスイッチング素子Q3がオンしており、C1→Q3→P1→Lr1→C2→Q1→R1→C1の経路で電流Q3iが流れ、リアクトルLr1がこの向きに励磁される。スイッチング素子Q1には、リアクトルL1の励磁電流とスイッチング素子Q3の電流Q3iとの合計電流が流れる。
【0040】
次に、期間T2はデッドタイム期間中であり、この期間T2においては、期間T1と同様に、スイッチング素子Q1がオンし、Vin→L1→Q1→R1→Vinの経路で電流がQ1iが流れ、リアクトルL1が励磁される。スイッチング素子Q3がオフし、リアクトルLr1の励磁エネルギーは放電を開始し、スイッチング素子Q4のコンデンサCdの電荷を引き抜く。このとき、スイッチング素子Q4のドレイン電圧Q4vは、リアクトルLr1とスイッチング素子Q4のコンデンサCdとで共振しながら下がっていく。このとき、Lr1→C2→Q1→R1→R2→Q4のコンデンサCd→P1→Lr1の経路で電流Q1iが流れる。
【0041】
次に、期間T3はデッドタイム期間中であり、この期間T3において、スイッチング素子Q1はオンを継続し、Vin→L1→Q1→R1→Vinの経路で電流がQ1iが流れ、リアクトルL1が励磁される。また、リアクトルLr1の励磁エネルギーの放電によるスイッチング素子Q4のコンデンサCdの電荷の引き抜きによって、スイッチング素子Q4が負電位となり、この負電位がスイッチング素子Q4のダイオードDdの順方向電圧に達すると、スイッチング素子Q4のダイオードDdに電流が流れ始める。このとき、Lr1→C2→Q1→R1→R2→Q4のダイオードDd→P1→Lr1の経路で電流が流れる。
【0042】
次に、期間T4において、スイッチング素子Q1はオンを継続し、Vin→L1→Q1→R1→Vinの経路で電流がQ1iが流れ、リアクトルL1が励磁される。また、ゲート信号Q4gによりスイッチング素子Q4がオンすると、Lr1→C2→Q1→R1→R2→Q4→P1→Lr1の経路で、電流Q4iが流れる。これにより、スイッチング素子Q4のゼロ電圧スイッチング(ZVS)を実現することができる。このとき、リアクトルLr1の放電エネルギーをこの経路に回生している。
【0043】
次に、期間T5はデッドタイム期間中であり、この期間T5において、スイッチング素子Q1がオフすると、リアクトルL1に励磁されていたエネルギーは放電を開始する。このとき、Vin→L1→Q2のコンデンサCb→C1→Vinの経路で電流が流れる。また、リアクトルLr1の放電エネルギーは、Lr1→C2→Q2のコンデンサCb→C1→R2→Q4→P1→Lr1の経路に移行する。
【0044】
次に、期間T6はデッドタイム期間中であり、この期間T6において、スイッチング素子Q2のコンデンサCbの電荷を引き抜きによって、これが負電圧となり、スイッチング素子Q2のダイオードDbの順方向電圧に達すると、スイッチング素子Q2のダイオードDbに電流が流れる。このとき、Vin→L1→Q2のダイオードDb→C1→Vinの経路となる。また、Lr1→C2→Q2のコンデンサCb→C1→R2→Q4→P1→Lr1の経路に移行する。
【0045】
次に、期間T7において、スイッチング素子Q2がオンすると、Vin→L1→Q2→C1→Vinの経路で電流Q2iが流れる。これにより、スイッチング素子Q2のゼロ電圧スイッチング(ZVS)を実現することができる。また、Lr1→C2→Q2→C1→R2→Q4→P1→Lr1の第2電流経路で電流Q2iが流れる。その後、リアクトルLr1とコンデンサC2とによる共振によって、前記第2電流経路の極性は反転し、第2電流経路は、Lr1→P1→Q4→R2→C1→Q2→C2→Lr1の経路に移行する。
【0046】
次に、期間T8において、スイッチング素子Q2のオンを継続し、Vin→L1→Q2→C1→Vinの経路で電流Q2iが流れる。また、Lr1→C2→Q2→C1→R2→Q4→P1→Lr1の第2電流経路で電流Q2iが流れる。このとき、リアクトルLr1は励磁される。
【0047】
次に、期間T9において、スイッチング素子Q2,Q4がオフすると、リアクトルLr1に励磁されていたエネルギーは、放電を開始する。このとき、Vin→L1→C2→Lr1→P1→Q3のコンデンサCc→C1→Vinの経路で電流が流れる。また、Lr1→P1→Q3のコンデンサCc→C1→R1→Q1のコンデンサCa→C2→Lr1の経路で電流が流れる。
【0048】
次に、期間T10において、スイッチング素子Q1,Q3のコンデンサCa,Ccの電荷を引き抜き、スイッチング素子Q1,Q3が負電圧となり、スイッチング素子Q1,Q3のダイオードDa,Dcの順方向電圧に達すると、スイッチング素子Q1,Q3のダイオードDa,Dcに電流が流れる。このとき、Vin→L1→C2→Lr1→P1→Q3のコンデンサCc→C1→Vinの経路で電流が流れる。また、Lr1→P1→Q3のコンデンサCc→C1→R1→Q1のコンデンサCa→C2→Lr1の経路で電流が流れる。
【0049】
次に、期間T11において、スイッチング素子Q1,Q3がオンすると、スイッチング素子Q1のオンにより放電していたリアクトルL1は直流電源Vinにより励磁され始める。このとき、Vin→L1→Q1→R1→Vinの経路で電流が流れる。また、Lr1→P1→Q3→C1→R1→Q1→C2→Lr1の経路で電流が流れる。これにより、スイッチング素子Q1,Q3のゼロ電圧スイッチング(ZVS)を実現することができる。その後、リアクトルLr1とコンデンサC2とによる共振によって、前記第2電流経路の極性は反転し、第2電流経路は、Lr1→C2→Q1→R1→C1→Q3→P1→Lr1の経路に移行する。
【0050】
(duty1<duty2のとき動作)
次に、図5を参照しながら、第1コンバータのオンデューティduty1が第2コンバータのオンデューティduty2より小さいときの各部の動作をタイミングチャートを用いて説明する。
【0051】
まず、期間T1において、Q1ゲート信号Q1gによりスイッチング素子Q1がオンし、Vin→L1→Q1→R1→Vinの経路で電流Q1iが流れ、リアクトルL1が励磁される。また、Q3ゲート信号Q3gによりスイッチング素子Q3がオンしており、C1→Q3→P1→Lr1→C2→Q1→R1→C1の経路で電流Q3iが流れ、リアクトルLr1がこの向きに励磁される。スイッチング素子Q1には、リアクトルL1の励磁電流とスイッチング素子Q3の電流Q3iとの合計電流が流れる。
【0052】
次に、期間T2において、スイッチング素子Q1がオフし、スイッチング素子Q3がオンを継続する。このとき、リアクトルL1とリアクトルLr1の放電エネルギーは、スイッチング素子Q2のコンデンサCbの電荷を引き抜き始める。すると、Vin→L1→Q2のコンデンサCb→C1→Vinの経路で電流が流れる。また、Lr1→C2→Q2のコンデンサCb→Q3→P1→Lr1の経路で電流Q3iが流れる。
【0053】
次に、期間T3において、スイッチング素子Q2のコンデンサCbの電荷が引き抜かれ、これが負電位になり、スイッチング素子Q2のダイオードDbの順方向電圧に達すると、ダイオードDbに電流が流れ始める。このとき、Vin→L1→Q2のダイオードDb→C1→Vinの経路で電流が流れる。また、Lr1→C2→Q2のダイオードDb→Q3→P1→Lr1の経路で電流が流れる。
【0054】
次に、期間T4において、スイッチング素子Q2がオンし、Vin→L1→Q2→C1→Vinの経路で電流がQ2iが流れる。これにより、スイッチング素子Q2のゼロ電圧スイッチング(ZVS)を実現することができる。また、Lr1→C2→Q2→Q3→P1→Lr1の経路で、電流Q2i,Q3iが流れる。
【0055】
次に、期間T5において、スイッチング素子Q3がオフすると、リアクトルL1に励磁されていたエネルギーは放電を開始する。このとき、Vin→L1→Q2→C1→Vinの経路で電流が流れる。また、リアクトルLr1の放電エネルギーは、Lr1→C2→Q2→C1→R2→Q4のコンデンサCd→P1→Lr1の経路で電流が流れ、スイッチング素子Q4のコンデンサCdの電荷を放電させる。
【0056】
次に、期間T6において、スイッチング素子Q4のコンデンサCdの電荷が引き抜かれ、これが負電圧となり、スイッチング素子Q4のダイオードDdの順方向電圧に達すると、スイッチング素子Q4のダイオードDdに電流が流れる。このとき、Vin→L1→Q2→C1→Vinの経路となる。また、Lr1→C2→Q2→C1→R2→Q4のダイオードDd→P1→Lr1の経路に電流が流れる。
【0057】
次に、期間T7において、スイッチング素子Q4がオンすると、Vin→L1→Q2→C1→Vinの経路で電流が流れる。また、Lr1→C2→Q2→C1→R2→Q4→P1→Lr1の第2電流経路で電流が流れる。これにより、スイッチング素子Q4のゼロ電圧スイッチング(ZVS)を実現することができる。その後、リアクトルLr1とコンデンサC2とによる共振によって、前記第2電流経路の極性は反転し、第2電流経路は、Lr1→P1→Q4→R2→C1→Q2→C2→Lr1の経路で電流が流れる。
【0058】
次に、期間T8において、スイッチング素子Q2,Q4のオンを継続し、Vin→L1→Q2→C1→Vinの経路で電流が流れる。また、Lr1→P1→Q4→R2→C1→Q2→C2→Lr1の第2電流経路で電流が流れる。このとき、リアクトルLr1は励磁される。
【0059】
次に、期間T9において、スイッチング素子Q2,Q4がオフすると、リアクトルLr1に励磁されていたエネルギーは、放電を開始する。このとき、Vin→L1→C2→Lr1→P1→Q3のコンデンサCc→C1→Vinの経路で電流が流れる。また、Lr1→P1→Q3のコンデンサCc→C1→R1→Q1のコンデンサCa→C2→Lr1の経路で電流が流れる。
【0060】
次に、期間T10において、スイッチング素子Q1,Q3のコンデンサCa,Ccの電荷を引き抜き、スイッチング素子Q1,Q3が負電圧となり、スイッチング素子Q1,Q3のダイオードDa,Dcの順方向電圧に達すると、スイッチング素子Q1,Q3のダイオードDa,Dcに電流が流れる。このとき、Vin→L1→C2→Lr1→P1→Q3のコンデンサCc→C1→Vinの経路で電流が流れる。また、Lr1→P1→Q3のコンデンサCc→C1→R1→Q1のコンデンサCa→C2→Lr1の経路で電流が流れる。
【0061】
次に、期間T11において、スイッチング素子Q1,Q3がオンすると、スイッチング素子Q1のオンにより放電していたリアクトルL1は直流電源Vinにより励磁され始める。このとき、Vin→L1→Q1→R1→Vinの経路で電流が流れる。また、Lr1→P1→Q3→C1→R1→Q1→C2→Lr1の経路で電流が流れる。これにより、スイッチング素子Q1,Q3のゼロ電圧スイッチング(ZVS)を実現することができる。その後、リアクトルLr1とコンデンサC2とによる共振によって、前記第2電流経路の極性は反転し、第2電流経路は、Lr1→C2→Q1→R1→C1→Q3→P1→Lr1の経路に移行する。
【0062】
(duty1=duty2のとき動作)
次に、図6を参照しながら、第1コンバータのオンデューティduty1が第2コンバータのオンデューティduty2と等しいときの各部の動作をタイミングチャートを用いて説明する。
【0063】
まず、期間T1において、Q1ゲート信号Q1gによりスイッチング素子Q1がオンし、Vin→L1→Q1→R1→Vinの経路で電流Q1iが流れ、リアクトルL1が励磁される。また、ゲート信号Q3gによりスイッチング素子Q3がオンしており、C1→Q3→P1→Lr1→C2→Q1→R1→C1の経路で電流Q3iが流れ、リアクトルLr1がこの向きに励磁される。スイッチング素子Q1には、リアクトルL1の励磁電流とスイッチング素子Q3の電流Q3iとの合計電流が流れる。
【0064】
次に、期間T2において、スイッチング素子Q1,Q3が同時にオフする。このとき、リアクトルL1とリアクトルLr1の励磁エネルギーは、放電し始める。このとき、Vin→L1→Q2のコンデンサCb→C1→Vinの経路で電流が流れる。また、Lr1→C2→Q2のコンデンサCb→C1→R2→Q4のコンデンサCd→P1→Lr1の経路で電流が流れる。
【0065】
次に、期間T3において、スイッチング素子Q2,Q4のコンデンサCb,Cdの電荷が引き抜かれ、これが負電位になり、スイッチング素子Q2,Q4のダイオードDb,Ddの順方向電圧に達すると、ダイオードDb,Ddに電流が流れ始める。このとき、Vin→L1→Q2のダイオードDb→C1→Vinの経路で電流が流れる。また、Lr1→C2→Q2のダイオードDb→C1→R2→Q4のダイオードDd→P1→Lr1の経路で電流が流れる。
【0066】
次に、期間T4において、スイッチング素子Q2,Q4が同時にオンし、Vin→L1→Q2→C1→Vinの経路で電流がQ2iが流れる。また、Lr1→C2→Q2→C1→R2→Q4→P1→Lr1の経路で、電流Q2i,Q4iが流れる。これにより、スイッチング素子Q2,Q4のゼロ電圧スイッチング(ZVS)を実現することができる。
【0067】
次に、期間T5において、Vin→L1→Q2→C1→Vinの経路で電流が流れる。また、Lr1→P1→Q4→R2→C1→Q2→C2→Lr1の経路で電流が流れ、リアクトルLr1は励磁されている。
【0068】
次に、期間T6において、スイッチング素子Q2,Q4が同時にオフし、励磁されていたリアクトルLr1のエネルギーは、放電し始め、スイッチング素子Q1,Q3のコンデンサCa,Ccの電荷が引き抜かれる。このとき、リアクトルL1の放電エネルギーも経路を変える。Vin→L1→C2→Lr1→P1→Q3のコンデンサCc→C1→Vinの経路で電流が流れる。また、Lr1→P1→Q3のコンデンサCc→C1→R1→Q1のコンデンサCa→C2→Lr1の経路で電流が流れる。
【0069】
次に、期間T7において、スイッチング素子Q1,Q3のコンデンサCa,Ccの電荷が引き抜かれ、スイッチング素子Q1,Q3が負電圧となり、スイッチング素子Q1,Q3のダイオードDa,Dcの順方向電圧に達すると、スイッチング素子Q1,Q3のダイオードDa,Dcに電流が流れる。このとき、Vin→L1→C2→Lr1→P1→Q3のコンデンサCc→C1→Vinの経路で電流が流れる。また、Lr1→P1→Q3のコンデンサCc→C1→R1→Q1のコンデンサCa→C2→Lr1の経路で電流が流れる。
【0070】
次に、期間T8において、スイッチング素子Q1,Q3が同時にオンすると、リアクトルL1は直流電源Vinにより励磁され始める。このとき、Vin→L1→Q1→R1→Vinの経路で電流が流れる。また、Lr1→P1→Q3→C1→R1→Q1→C2→Lr1の第2電流経路で電流が流れる。これにより、スイッチング素子Q1,Q3のゼロ電圧スイッチング(ZVS)を実現することができる。その後、リアクトルLr1とコンデンサC2とによる共振によって、前記第2電流経路の極性は反転し、第2電流経路は、Lr1→C2→Q1→R1→C1→Q3→P1→Lr1の経路で電流が流れる。
【0071】
このように実施例1のスイッチング電源装置によれば、4つのスイッチング素子Q1〜Q4のみで済み、小型化且つ安価な電源装置を提供できる。また、第1アームの中点と第2アームの中点とを、トランスTの一次巻線P1とコンデンサC2とリアクトルLr1とを介して接続することで、主制御スイッチであるスイッチング素子Q1,Q3がオフ期間であっても、同期整流スイッチであるスイッチング素子Q2,Q4やダイオードDa,Dcを介して常に回生電流を流す経路を確保できるので、4つのスイッチング素子Q1〜Q4のゼロ電圧スイッチングを実現でき、高効率なスイッチング電源装置を提供できる。即ち、第1のコンバータと第2のコンバータとは夫々が同期整流することでリアクトルの励磁エネルギーを自在な経路で回生でき、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)を実現できる。
【0072】
また、第1制御回路11、第2制御回路12の各々が、各コンバータの出力制御を行っているため、出力精度を安定化できる。このため、スイッチング素子Q1〜Q4の電圧Vdsは、コンデンサC1の安定した電圧Vo2でクランプされる。
【0073】
なお、第1コンバータは無負荷状態として、第2コンバータのみ負荷を得るようにすると、第2コンバータを主動作とするアクティブクランプ回路となる。第1コンバータによって定電圧制御されているので、従来のアクティブクランプ回路と異なり、各スイッチのドレイン−ソース間電圧Vdsは一定に保持される。
【0074】
また、図3において、スイッチング素子Q1,Q3の同時ターンオンとスイッチング素子Q2,Q4の同時ターンオフは多少同時がずれても良い。回生電流は流れ易い短絡、即ち低インピーダンスの経路を自動的に循環するので、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)が行えるだけのエネルギーを備えた回生エネルギーであれば、タイミングがずれても動作に影響なくゼロ電圧スイッチング(ZVS)が可能である。
【実施例2】
【0075】
図7に示す実施例2のスイッチング電源回路は、図1に示すスイッチング電源回路の直流電源Vinに代えて、交流電源Vacと、整流回路RC1と、コンデンサC0とを設けたPFC回路(力率改善回路)であることを特徴する。
【0076】
交流電源Vacは、交流電圧を整流回路RC1に供給する。整流回路RC1は、交流電源Vacからの交流電圧を整流する。
【0077】
図7に示す第1制御回路11は、整流回路RC1の出力両端に接続されたコンデンサC0の電圧を入力し、コンデンサC0の出力脈流電圧とコンデンサC1の出力誤差電圧とを乗算し、得られた乗算出力と電流検出抵抗R1の電圧とに基づいて入力交流電流波形が入力交流電圧波形に一致するように制御することにより、力率を改善することを特徴とする。
【0078】
このような実施例2のスイッチング電源回路によれば、力率を改善するとともに実施例1のスイッチング電源回路の動作と同様に動作し、同様な効果が得られる。
【0079】
また、リアクトルL1とコンデンサC0とでLCフィルタを構成し、このLCフィルタによりノイズを低減する。
【実施例3】
【0080】
図8は、本発明の実施例3のスイッチング電源装置の構成図である。図8に示す実施例3のスイッチング電源装置は、非絶縁降圧回路と絶縁回路とを有して構成される。
【0081】
直流電源Vinの両端には、主制御スイッチとしてのスイッチング素子Q1と副制御スイッチ(同期整流スイッチ)としてのスイッチング素子Q2との直列回路が電流検出抵抗R1を介して接続されるとともに、主制御スイッチとしてのスイッチング素子Q3と副制御スイッチ(同期整流スイッチ)としての第4スイッチング素子Q4との直列回路が電流検出抵抗R2を介して接続される。スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との接続点と、スイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4との接続点の間には、コンデンサC2とトランスTの一次巻線P1とリアクトルLr1との直列回路が接続される。トランスTの二次側は実施例1のそれらと同一構成である。
【0082】
スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との接続点には、リアクトルL1とコンデンサC1との直列回路が接続され、コンデンサC1の両端からは出力電圧Vo2が出力される。
【0083】
また、第1制御回路11aは、コンデンサC1からの電圧と電流検出抵抗R1からの電圧とに基づいてスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2とを交互にオン/オフさせて、降圧制御を行い、入力電圧(直流電源Vinの電圧)よりも低い定電圧の出力電圧Vo2を出力する制御を行う。
【0084】
第2制御回路12aは、コンデンサC3からの電圧と電流検出抵抗R2からの電圧とに基づいてスイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4とを交互にオン/オフさせ、定電圧の出力電圧Vo1を出力する制御を行う。
【0085】
同期回路13aは、第1制御回路11aの動作タイミングと第2制御回路12aの動作タイミングとの同期を行なう。同期回路13aは、具体的には、図9に示すように、スイッチング素子Q1のゲート信号Q1gの立ち下がりエッジと、スイッチング素子Q3のゲート信号Q3gの立ち下がりエッジとを同期させ、スイッチング素子Q2のゲート信号Q2gの立ち上がりエッジと、スイッチング素子Q4のゲート信号Q4gの立ち上がりエッジとを同期させている。即ち、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q3とは、フルブリッジ回路の対角となる一組のスイッチであり、スイッチング素子Q2とスイッチング素子Q4とは、フルブリッジ回路の対角となる一組のスイッチである。
【0086】
また、スイッチング素子Q1,Q2からなる第1アームの中点とスイッチング素子Q3,Q4からなる第2アームの中点とを、トランスTの一次巻線P1とリアクトルLr1とコンデンサC2とを介して接続することにより、スイッチング素子Q1〜Q4がゼロ電圧スイッチング(ZVS)動作を行うことができる。これは、主制御スイッチQ1,Q3がオフ期間でも同期整流スイッチQ2,Q4やダイオードDa,Dcを介して常に回生電流を流す経路を確保できるためである。
【0087】
このように、実施例3のスイッチング電源装置においても、実施例1のスイッチング電源装置の効果と同様な効果が得られる。
【実施例4】
【0088】
図10は、本発明の実施例4のスイッチング電源装置の構成図である。図10に示す実施例4のスイッチング電源装置は、図1に示す実施例1のスイッチング電源装置の構成に、さらに、スイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4と電流検出抵抗R2との直列回路の両端に、スイッチング素子Q5とスイッチング素子Q6と電流検出抵抗R3との直列回路を接続している。スイッチング素子Q5とスイッチング素子Q6とは第3アームを構成する。
【0089】
スイッチング素子Q5,Q6は、MOSFETからなる。スイッチング素子Q5,Q6のドレイン−ソース間にはダイオードDe,DfとコンデンサCe,Cfとの並列回路が接続されている。ダイオードDe,Dfは還流ダイオードであってスイッチング素子Q5,Q6の寄生ダイオードでも良く、コンデンサCe,Cfは共振用コンデンサであってスイッチング素子Q5,Q6の寄生コンデンサでも良い。
【0090】
また、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との接続点と、スイッチング素子Q5とスイッチング素子Q6との接続点との間に、コンデンサC8とトランスTaの一次巻線P2とリアクトルLr2との直列回路が接続される。リアクトルLr2は、トランスTaの一次巻線P2と二次巻線S3,S4との間のリーケージインダクタンスでも良い。
【0091】
トランスTaの二次巻線S3と二次巻線S4とは直列に接続され、二次巻線S3の一端はダイオードD3のアノードに接続され、二次巻線S4の一端はダイオードD4のアノードに接続されている。ダイオードD3,D4のカソードはリアクトルL3の一端に接続され、リアクトルL3の他端はコンデンサC9の一端に接続され、コンデンサC9の他端は、二次巻線S3と二次巻線S4との接続点に接続される。コンデンサC9の両端からは、出力電圧Vo3が出力される。ダイオードD3,D4、リアクトルL3、コンデンサC9で整流平滑回路を構成している。
【0092】
第3制御回路14は、コンデンサC9からの電圧と電流検出抵抗R3からの電圧とに基づいてスイッチング素子Q5とスイッチング素子Q6とを交互にオン/オフさせて、定電圧の出力電圧Vo3を出力する制御を行う。
【0093】
同期回路13bは、第1制御回路11の動作タイミングと第2制御回路12の動作タイミングと第3制御回路14の動作タイミングとの同期を行なう。同期回路13bは、具体的には、図11に示すように、スイッチング素子Q1のゲート信号Q1gの立ち上がりエッジと、スイッチング素子Q3のゲート信号Q3gの立ち上がりエッジと、スイッチング素子Q5のゲート信号Q5gの立ち上がりエッジとを同期させ、スイッチング素子Q2のゲート信号Q2gの立ち下がりエッジと、スイッチング素子Q4のゲート信号Q4gの立ち下がりエッジと、スイッチング素子Q6のゲート信号Q6gの立ち下がりエッジとを同期させている。
【0094】
また、スイッチング素子Q1,Q2からなる第1アームの中点とスイッチング素子Q3,Q4からなる第2アームの中点とを、トランスTの一次巻線P1とリアクトルLr1とコンデンサC2とを介して接続することにより、スイッチング素子Q1〜Q4がゼロ電圧スイッチング(ZVS)動作を行うことができる。
【0095】
また、スイッチング素子Q1,Q2からなる第1アームの中点とスイッチング素子Q5,Q6からなる第3アームの中点とを、トランスTaの一次巻線P2とリアクトルLr2とコンデンサC8とを介して接続することにより、スイッチング素子Q1,Q2,Q5,Q6がゼロ電圧スイッチング(ZVS)動作を行うことができる。
【0096】
このように実施例4のスイッチング電源装置によれば、3つの出力電圧Vo1,Vo2,Vo3を取り出すことができるとともに、実施例1のスイッチング電源装置の効果と同様な効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、DC−DCコンバータ、力率改善回路やAC−DCコンバータに適用可能である。
【符号の説明】
【0098】
Vin 直流電源
Vac 交流電源
T,Ta トランス
P1 一次巻線
S1,S2 二次巻線
L1,L2,Lr1 リアクトル
Q1〜Q6 スイッチング素子
D1,D2 ダイオード
RC1 整流回路
R1〜R3 抵抗
C1〜C3 コンデンサ
INV1,INV2 インバータ
BUF1,BUF2 バッファ回路
CMP1,CMP2 コンパレータ
AMP1,AMP2 誤差増幅器
10,10a 制御回路
11,11a 第1制御回路
12,12a 第2制御回路
14 第3制御回路
13,13a 同期回路
15a,15b デッドタイム作成回路
130 三角波発生器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1スイッチング素子と第2スイッチング素子とが直列に接続された第1アームと、
前記第1アームに並列に接続され、前記第1スイッチング素子と対角な第3スイッチング素子と前記第2スイッチング素子と対角な第4スイッチング素子とが直列に接続された第2アームと、
前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子との接続点と、前記第3スイッチング素子と前記第4スイッチング素子との接続点との間に、第1コンデンサとトランスの一次巻線とが直列に接続された第1直列回路と、
前記トランスの二次巻線の電圧を整流平滑して第1出力電圧を取り出す第1整流平滑回路と、
前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子との接続点に接続され、且つ直流入力端又は直流出力端が接続される第1リアクトルと、
前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子とを交互にオンオフさせ前記第3スイッチング素子と前記第4スイッチング素子とを交互にオンオフさせ前記第1スイッチング素子と前記第3スイッチング素子とを同期させ前記第2スイッチング素子と前記第4スイッチング素子とを同期させる制御回路と、
を有することを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項2】
前記トランスの一次巻線には第2リアクトルが接続され、前記第2リアクトルは、前記トランスの前記一次巻線と前記二次巻線との間のリーケージインダクタンスであることを特徴とする請求項1記載のスイッチング電源装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記第1スイッチング素子の制御信号のターンオンと前記第3スイッチング素子の制御信号のターンオンとを同期させ、前記第2スイッチング素子の制御信号のターンオフと前記第4スイッチング素子の制御信号のターンオフとを同期させることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のスイッチング電源装置。
【請求項4】
前記制御回路は、前記第1スイッチング素子の制御信号のターンオフと前記第3スイッチング素子の制御信号のターンオフとを同期させ、前記第2スイッチング素子の制御信号のターンオンと前記第4スイッチング素子の制御信号のターンオンとを同期させることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のスイッチング電源装置。
【請求項5】
前記第1リアクトルの前記直流入力端には直流電源が接続され、
前記直流電源は、交流電源と整流回路とから構成され、前記制御回路は、力率を改善する制御を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のスイッチング電源装置。
【請求項6】
前記第3スイッチング素子と前記第4スイッチング素子との直列回路の両端に接続され、第2出力電圧を取り出す第2コンデンサを有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のスイッチング電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−249454(P2012−249454A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120114(P2011−120114)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000106276)サンケン電気株式会社 (982)
【Fターム(参考)】