説明

スイッチング電源

【課題】スイッチング電源の動作を開始させる際におけるスイッチング電源の誤動作を防止すること。
【解決手段】スイッチング電源1は、放電回路部10および制御部20を備える。放電回路部10は、出力端子OUT1と出力端子OUT2との間に設けられ、NチャネルMOSFETで構成されるスイッチ素子Q1と、スイッチ素子Q1に直列接続された抵抗R1と、を備える。制御部20は、スイッチング電源1の動作を終了する際と、スイッチング電源1の動作を開始する際と、にスイッチ素子Q1をオン状態にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング電源に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電力変換を行うスイッチング電源がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
[スイッチング電源100の構成]
図5は、従来例に係るスイッチング電源100の回路図である。スイッチング電源100は、いわゆるフォワード型のスイッチング電源であり、トランスTと、NチャネルMOSFETで構成されるスイッチ素子Qa、Qbと、インダクタLoと、キャパシタCoと、を備え、負荷Loadに直流電力を供給する。
【0004】
トランスTは、1次巻線T1および2次巻線T2を備える。2次巻線T2の一端には、スイッチ素子Qaのドレインと、インダクタLoの一端と、が接続され、2次巻線T2の他端には、スイッチ素子Qbのドレインが接続される。スイッチ素子Qaのソースと、スイッチ素子Qbのソースとには、出力端子OUT2が接続される。スイッチ素子Qaのゲートと、スイッチ素子Qbのゲートとには、図示しない制御部が接続される。インダクタLoの他端には、出力端子OUT1が接続される。出力端子OUT1と出力端子OUT2とは、キャパシタCoを介して接続される。
【0005】
[スイッチング電源100の動作]
以上の構成を備えるスイッチング電源100は、図示しない制御部により1次巻線T1の両端電圧を制御することで、2次巻線T2に起電力を発生させる。この2次巻線T2に発生した起電力は、スイッチ素子Qa、Qbで構成される整流回路で整流され、インダクタLoおよびキャパシタCoで平滑された後、出力端子OUT1から出力される。出力端子OUT1から出力された電力は、出力端子OUT1と出力端子OUT2との間に設けられたキャパシタCextでさらに平滑された後、負荷Loadに供給される。
【0006】
図6は、スイッチング電源100のタイミングチャートである。VOUTは、出力端子OUT1と出力端子OUT2との端子間電圧を示す。
【0007】
時刻t11以前では、スイッチング電源100が定電圧制御動作を行っており、出力電圧VOUTはV1である。
【0008】
時刻t11において、スイッチング電源100の動作を終了する。すると、出力電圧VOUTは、低下することになるが、時刻t11以前において充電されていた出力端子OUT1、OUT2に接続される容量により、緩やかに低下する。ここで、出力端子OUT1、OUT2に接続される容量とは、キャパシタCoや、スイッチング電源100の内部に存在しており出力端子OUT1に接続された寄生容量や、キャパシタCextの総和のことである。
【0009】
時刻t12において、スイッチング電源100の動作を開始する。すると、出力電圧VOUTは、スイッチ素子Qa、Qbのスイッチングによって出力から入力へ電力が回生され、急激に低下する。そして、その後、時間が経過するに従って急激に上昇し、時刻t13以降ではV1となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平9−265328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
スイッチング電源100では、時刻t11〜t12の期間に示したように、スイッチング電源100の動作を終了すると、出力電圧VOUTは緩やかに低下する。このため、時刻t12に示したように、出力電圧VOUTが十分に低下していないにもかかわらず、スイッチング電源100の動作を開始してしまう場合が起こり得る。この場合、上述のようにスイッチ素子Qa、Qbのスイッチングによって出力から入力へ電力が回生されてしまうため、スイッチング電源100が誤動作するおそれがあった。
【0012】
上述の課題に鑑み、本発明は、スイッチング電源の動作を開始する際におけるスイッチング電源の誤動作が防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の事項を提案している。
(1) 本発明は、電力変換を行うスイッチング電源(例えば、図1のスイッチング電源1に相当)であって、前記スイッチング電源の出力端子間(例えば、図1の出力端子OUT1と出力端子OUT2との間に相当)に設けられたスイッチ素子(例えば、図1のスイッチ素子Q1に相当)と、前記スイッチング電源の動作を終了する際に、予め定められた時間(例えば、図2の時刻t1〜t2の時間に相当)だけ前記スイッチ素子をオン状態にする制御手段(例えば、図1の制御部20に相当)と、を備えることを特徴とするスイッチング電源を提案している。
【0014】
この発明によれば、電力変換を行うスイッチング電源に、スイッチ素子および制御手段を設けた。そして、スイッチ素子を、スイッチング電源の出力端子間に設けるとともに、スイッチング電源の動作を終了する際に、制御手段により、予め定められた時間だけスイッチ素子をオン状態にすることとした。
【0015】
このため、スイッチング電源の動作を開始するまでに、出力端子に接続される容量を放電させて、出力電圧を急激に低下させることができる。したがって、仮に、スイッチング電源100のようにスイッチ素子で構成される整流回路が出力端子の前段に設けられていたとしても、スイッチング電源の動作を開始する際に出力から入力への電力の回生は行われない。よって、スイッチング電源の動作を開始する際におけるスイッチング電源の誤動作を防止できる。
【0016】
(2) 本発明は、(1)のスイッチング電源について、前記制御手段は、前記スイッチング電源の動作を開始する際に、予め定められた時間(例えば、図2の時刻t3〜t4の時間に相当)だけ前記スイッチ素子をオン状態にすることを特徴とするスイッチング電源を提案している。
【0017】
この発明によれば、(1)のスイッチング電源において、スイッチング電源の動作を開始する際に、制御手段により、予め定められた時間だけスイッチ素子をオン状態にすることとした。
【0018】
このため、スイッチング電源の動作を開始する際に、出力電圧が急激に上昇してしまうのを防止できるので、スイッチング電源の動作を開始する際における出力電圧のオーバーシュートの発生を防止できる。
【0019】
また、スイッチ素子は、スイッチング電源の動作を開始する際に予め定められた時間だけ、オン状態になる。このため、スイッチング電源の通常動作中においては、出力端子同士がスイッチ素子によって接続されることがないので、スイッチング電源の効率低下を防止できる。
【0020】
(3) 本発明は、(2)のスイッチング電源について、前記制御手段は、前記スイッチング電源の動作が開始されると充電が開始されるキャパシタ(例えば、図3のキャパシタC1に相当)と、前記スイッチング電源の動作が開始されると、前記スイッチ素子の制御端子(例えば、図3のスイッチ素子Q1のゲートに相当)に予め定められた特定電圧(例えば、図3のキャパシタC2の一方の電極の電圧に相当)の供給を開始する駆動電圧供給手段(例えば、図3のキャパシタC2および抵抗R3に相当)と、前記キャパシタの端子間電圧が予め定められた閾値電圧(例えば、後述の閾値電圧に相当)以上になると、前記駆動電圧供給手段から前記スイッチ素子の制御端子への前記特定電圧の供給を阻害するスイッチ素子制御手段(例えば、図3のスイッチ素子Q2に相当)と、を備え、前記スイッチ素子の制御端子に前記特定電圧が供給されると、当該スイッチ素子はオン状態になることを特徴とするスイッチング電源を提案している。
【0021】
この発明によれば、(2)のスイッチング電源において、制御手段に、キャパシタ、駆動電圧供給手段、およびスイッチ素子制御手段を設けた。キャパシタは、スイッチング電源の動作が開始されると充電が開始されることとした。駆動電圧供給手段は、スイッチング電源の動作が開始されると、スイッチ素子の制御端子に予め定められた特定電圧の供給を開始することとした。スイッチ素子制御手段は、キャパシタの端子間電圧が予め定められた閾値電圧以上になると、駆動電圧供給手段からスイッチ素子の制御端子への特定電圧の供給を阻害することとした。また、スイッチ素子の制御端子に特定電圧が供給されると、スイッチ素子がオン状態になることとした。
【0022】
このため、スイッチング電源の動作を開始する際に、キャパシタの端子間電圧が予め定められた閾値電圧に上昇するまでの時間だけ、スイッチ素子をオン状態にすることができる。したがって、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0023】
(4) 本発明は、(1)〜(3)のいずれかのスイッチング電源について、前記スイッチ素子に直列接続された放電手段(例えば、図1の抵抗R1に相当)を備えることを特徴とするスイッチング電源を提案している。
【0024】
この発明によれば、(1)〜(3)のいずれかのスイッチング電源において、スイッチ素子に放電手段を直列接続することとした。このため、スイッチ素子をオン状態にした際に出力端子間に流れる電流を、放電手段により制限することができる。したがって、スイッチ素子をオン状態にした際における出力電圧のアンダーシュートの発生を防止できる。
【0025】
(5) 本発明は、(4)のスイッチング電源について、前記放電手段は、抵抗(例えば、図1の抵抗R1に相当)であることを特徴とするスイッチング電源を提案している。
【0026】
この発明によれば、(4)のスイッチング電源において、放電手段として抵抗を用いることとした。このため、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、スイッチング電源の動作を開始する際におけるスイッチング電源の誤動作を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態に係るスイッチング電源の回路図である。
【図2】前記スイッチング電源のタイミングチャートである。
【図3】本発明の第2実施形態に係るスイッチング電源の回路図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係るスイッチング電源の回路図である。
【図5】従来例に係るスイッチング電源の回路図である。
【図6】前記スイッチング電源のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素などとの置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下の実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0030】
<第1実施形態>
[スイッチング電源1の構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係るスイッチング電源1の回路図である。スイッチング電源1は、図5に示した従来例に係るスイッチング電源100とは、放電回路部10および制御部20を備える点が異なる。なお、スイッチング電源1において、スイッチング電源100と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0031】
放電回路部10は、出力端子OUT1と出力端子OUT2との間に設けられ、NチャネルMOSFETで構成されるスイッチ素子Q1と、スイッチ素子Q1に直列接続された抵抗R1と、を備える。具体的には、抵抗R1の一端には、出力端子OUT1が接続され、抵抗R1の他端には、スイッチ素子Q1のドレインが接続され、スイッチ素子Q1のソースには、出力端子OUT2が接続される。スイッチ素子Q1のゲートには、制御部20が接続される。
【0032】
[スイッチング電源1の動作]
以上の構成を備えるスイッチング電源1は、スイッチング電源100と同様に、スイッチ素子Qa、Qbをスイッチングさせて2次巻線T2に発生した起電力を整流させて、出力端子OUT1から出力する。また、スイッチング電源1は、制御部20により、スイッチング電源1の動作を終了する際と、スイッチング電源1の動作を開始する際と、にスイッチ素子Q1をオン状態にする。
【0033】
図2は、スイッチング電源1のタイミングチャートである。VGSQ1は、スイッチ素子Q1のゲート−ソース間電圧を示す。
【0034】
時刻t1以前では、スイッチング電源1が定電圧制御動作を行っており、出力電圧VOUTはV1である。
【0035】
時刻t1において、スイッチング電源1の動作を終了するとともに、時刻t2まで制御部20によりスイッチ素子Q1をオン状態にする。すると、出力端子OUT1、OUT2に接続される容量に時刻t1以前において蓄積されていた電荷は、抵抗R1およびスイッチ素子Q1により放電され、出力電圧VOUTがゼロになる。
【0036】
時刻t3において、スイッチング電源1の動作を開始するとともに、時刻t4まで制御部20によりスイッチ素子Q1をオン状態にする。すると、出力電圧VOUTは、時間が経過するに従って上昇し、時刻t4ではV1となる。
【0037】
ここで、図5に示した従来例に係るスイッチング電源100では、図6の時刻t12〜t13に示したように、出力電圧VOUTが急激に上昇する。このため、スイッチング電源100では、時刻t13において、すなわちスイッチング電源100の動作を開始する際において、出力電圧VOUTのオーバーシュートが発生していた。
【0038】
これに対して、スイッチング電源1では、抵抗R1およびスイッチ素子Q1による放電によって、図2の時刻t3〜t4における出力電圧VOUTは、図6の時刻t12〜t13における出力電圧VOUTと比べて、緩やかに上昇する。このため、スイッチング電源1では、スイッチング電源1の動作を開始する際において、出力電圧VOUTのオーバーシュートは発生しない。
【0039】
以上のスイッチング電源1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0040】
スイッチング電源1は、制御部20により、スイッチング電源1の動作を終了する際にスイッチ素子Q1をオン状態にする。このため、スイッチング電源1の動作を開始するまでに、出力端子OUT1、OUT2に接続される容量を放電させて、出力電圧VOUTを急激に低下させることができる。したがって、スイッチング電源1の動作を開始する際に、スイッチ素子Qa、Qbをスイッチングさせても、出力から入力への電力の回生は行われない。よって、スイッチング電源1の動作を開始する際におけるスイッチング電源1の誤動作を防止できる。
【0041】
また、スイッチング電源1は、制御部20により、スイッチング電源1の動作を開始する際にスイッチ素子Q1をオン状態にする。このため、出力電圧VOUTが急激に上昇してしまうのを防止できるので、スイッチング電源1の動作を開始する際における出力電圧VOUTのオーバーシュートの発生を防止できる。
【0042】
また、スイッチング電源1では、スイッチ素子Q1は、上述の時刻t1〜t2の期間と、上述の時刻t3〜t4の期間とだけ、オン状態になる。このため、スイッチング電源1の通常動作中においては、出力端子OUT1と出力端子OUT2とが抵抗R1およびスイッチ素子Q1によって接続されることがないので、スイッチング電源1の効率低下を防止できる。
【0043】
また、スイッチング電源1では、スイッチ素子Q1に抵抗R1が直列接続されている。このため、スイッチ素子Q1をオン状態にした際に出力端子OUT1から出力端子OUT2に向かって流れる電流を、抵抗R1により制限することができる。したがって、スイッチ素子Q1をオン状態にした際における出力電圧VOUTのアンダーシュートの発生を防止できる。
【0044】
また、放電回路部10にスイッチ素子Q1が設けられていない場合、すなわち出力端子OUT1と出力端子OUT2とが抵抗R1のみを介して接続されている場合には、出力端子OUT1と出力端子OUT2とが常に接続されることになるため、抵抗R1の抵抗値を小さくすることが困難となる。ところが、スイッチング電源1では、放電回路部10に抵抗R1だけでなくスイッチ素子Q1も設けられている。このため、出力端子OUT1と出力端子OUT2とが接続される時間を制限することができるので、その結果、抵抗R1の抵抗値を小さくすることができる。
【0045】
<第2実施形態>
[スイッチング電源1Aの構成]
図3は、本発明の第2実施形態に係るスイッチング電源1Aの回路図である。図3は、図1の制御部20の1つ目の回路構成例を示しており、スイッチング電源1Aは、図1に示した本発明の第1実施形態に係るスイッチング電源1とは、制御部20の代わりに制御部20Aを備える点が異なる。なお、スイッチング電源1Aにおいて、スイッチング電源1と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0046】
制御部20Aは、ダイオードD1と、キャパシタC1、C2と、抵抗R2、R3と、NチャネルMOSFETで構成されるスイッチ素子Q2と、を備える。スイッチ素子Q2のゲートには、キャパシタC1を介して出力端子OUT2が接続されるとともに、抵抗R2を介して2次巻線T2の一端が接続される。2次巻線T2の一端には、ダイオードD1のアノードも接続される。ダイオードD1のカソードには、キャパシタC2の一方の電極が接続される。キャパシタC2の一方の電極には、抵抗R3を介して、スイッチ素子Q1のゲートと、スイッチ素子Q2のドレインと、も接続される。キャパシタC2の他方の電極と、スイッチ素子Q2のソースとには、出力端子OUT2が接続される。
【0047】
[スイッチング電源1Aの動作]
以上の構成を備えるスイッチング電源1Aは、スイッチング電源1と同様に、制御部20Aにより、スイッチング電源1Aの動作を終了する際と、スイッチング電源1Aの動作を開始する際と、にスイッチ素子Q1をオン状態にする。
【0048】
具体的には、まず、十分に長い期間に亘ってスイッチング電源1Aが停止しており、キャパシタC1、C2の双方の放電が完了しているものとする。これによれば、スイッチ素子Q1、Q2はともにオフ状態である。
【0049】
次に、スイッチング電源1Aの動作を開始すると、2次巻線T2の一端の電圧が上昇する。すると、キャパシタC1が充電され、キャパシタC1の一方の電極の電圧が上昇するとともに、キャパシタC2が充電され、キャパシタC2の一方の電極の電圧が上昇する。キャパシタC1の一方の電極の電圧は、スイッチ素子Q2のゲートに印加され、キャパシタC2の一方の電極の電圧は、抵抗R3を介してスイッチ素子Q1のゲートに印加される。
【0050】
ここで、スイッチ素子Q1は、ゲート−ソース間電圧が所定電圧以上の場合にオン状態であり、ゲート−ソース間電圧が所定電圧未満の場合にオフ状態であるものとする。また、スイッチ素子Q2は、ゲート−ソース間電圧が閾値電圧以上の場合にオン状態であり、ゲート−ソース間電圧が閾値電圧未満の場合にオフ状態であるものとする。
【0051】
まず、キャパシタC1の一方の電極の電圧が予め定められた閾値電圧未満である場合、すなわち、スイッチング電源1Aの動作を開始してから、抵抗R2およびキャパシタC1の時定数により定まる所定時間が経過するまでの期間について、検討する。この期間では、スイッチ素子Q2のゲート−ソース間電圧が閾値電圧未満であるため、スイッチ素子Q2はオフ状態である。このため、キャパシタC2の一方の電極の電圧が上昇して、スイッチ素子Q1のゲート−ソース間電圧が所定電圧まで上昇すると、スイッチ素子Q1がオン状態になる。
【0052】
次に、キャパシタC1の一方の電極の電圧が予め定められた閾値電圧以上である場合、すなわち、スイッチング電源1Aの動作を開始してから、抵抗R2およびキャパシタC1の時定数により定まる所定時間が経過した後の期間について、検討する。この期間では、スイッチ素子Q2のゲート−ソース間電圧が閾値電圧以上であるため、スイッチ素子Q2がオン状態となる。このため、オン状態のスイッチ素子Q2により、スイッチ素子Q1のゲート電圧が引き抜かれて、スイッチ素子Q1がオフ状態になる。
【0053】
なお、制御部20Aには、図示しない制御回路が設けられており、この制御回路により、スイッチング電源1Aの動作を終了する際に、予め定められた時間だけスイッチ素子Q1をオン状態にする。
【0054】
以上のスイッチング電源1Aによれば、図1に示した本発明の第1実施形態に係るスイッチング電源1が奏することのできる上述の効果に加えて、以下の効果を奏することができる。
【0055】
スイッチング電源1Aでは、スイッチング電源1Aの動作を開始する際にスイッチ素子Q1をオン状態にする時間は、抵抗R2およびキャパシタC1の時定数により定まる。このため、抵抗R2の抵抗値や、キャパシタC1の容量を調整することで、スイッチング電源1Aの動作を開始する際にスイッチ素子Q1をオン状態にする時間を調節することができる。
【0056】
<第3実施形態>
[スイッチング電源1Bの構成]
図4は、本発明の第3実施形態に係るスイッチング電源1Bの回路図である。図4は、図1の制御部20の2つ目の回路構成例を示しており、スイッチング電源1Bは、図3に示した本発明の第2実施形態に係るスイッチング電源1Aとは、制御部20Aの代わりに制御部20Bを備える点が異なる。なお、スイッチング電源1Bにおいて、スイッチング電源1Aと同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0057】
制御部20Bは、制御部20Aとは、ダイオードD1のアノードの接続される位置が異なる。具体的には、ダイオードD1のアノードには、出力端子OUT1が接続される。このため、キャパシタC2の充電は、制御部20Aにおいては2次巻線T2の一端の電圧により行われるが、制御部20Bにおいては出力電圧VOUTにより行われる。
【0058】
以上のスイッチング電源1Bによれば、スイッチング電源1Aが奏することのできる上述の効果と同様の効果を奏することができる。
【0059】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0060】
例えば、上述の実施形態では、スイッチング電源としてフォワード型のスイッチング電源を適用したが、これに限らない。例えば、半波整流型のスイッチング電源や、全波整流型のスイッチング電源を適用してもよい。また、例えば、絶縁型のスイッチング電源に限らず、チョッパ型のスイッチング電源を適用してもよい。
【0061】
また、上述の実施形態では、スイッチ素子Qa、Qbとして、NチャネルMOSFETを用いたが、これに限らず、例えばPチャネルMOSFETやIGBTやBJTを用いてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1、1A、1B、100;スイッチング電源
10;放電回路部
20、20A、20B;制御部
Load;負荷
OUT1、OUT2;出力端子
Q1、Q2、Qa、Qb;スイッチ素子
R1〜R3;抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力変換を行うスイッチング電源であって、
前記スイッチング電源の出力端子間に設けられたスイッチ素子と、
前記スイッチング電源の動作を終了する際に、予め定められた時間だけ前記スイッチ素子をオン状態にする制御手段と、を備えることを特徴とするスイッチング電源。
【請求項2】
前記制御手段は、前記スイッチング電源の動作を開始する際に、予め定められた時間だけ前記スイッチ素子をオン状態にすることを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記スイッチング電源の動作が開始されると充電が開始されるキャパシタと、
前記スイッチング電源の動作が開始されると、前記スイッチ素子の制御端子に予め定められた特定電圧の供給を開始する駆動電圧供給手段と、
前記キャパシタの端子間電圧が予め定められた閾値電圧以上になると、前記駆動電圧供給手段から前記スイッチ素子の制御端子への前記特定電圧の供給を阻害するスイッチ素子制御手段と、を備え、
前記スイッチ素子の制御端子に前記特定電圧が供給されると、当該スイッチ素子はオン状態になることを特徴とする請求項2に記載のスイッチング電源。
【請求項4】
前記スイッチ素子に直列接続された放電手段を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のスイッチング電源。
【請求項5】
前記放電手段は、抵抗であることを特徴とする請求項4に記載のスイッチング電源。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−38907(P2013−38907A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172742(P2011−172742)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【Fターム(参考)】