説明

スクリーン版および印刷部材

【課題】イメージセンサ、MEMS(Micro Electro Mechanical System)、液晶表示材料等の電子部品の分野において、これらの電子部品を保護あるいは封止するためのカバー接着用の接着層部(接着材リブ)をスクリーン印刷法にて、電子部品の周辺全体を囲むように四角形状の閉じたラインに形成した場合において、更に保護あるいは封止用のカバーを取りつけた際に、角部において、接着材が内側のイメージセンサや液晶表示部等の電子部品に接触することないようにできるスクリーン版を提供する。
【解決手段】スクリーン版10の四角形状のライン開口パターン12Aの各角部は、その開口外側を、該角部を挟み互いに交差する各辺の開口12の外側辺部の延長上にして、その開口内側を、該角部を挟み互いに交差する各辺の開口12の内側辺部の延長よりも、外側にして、ライン開口パターン12Aの各角部の開口内側に開口凹み15を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紗を有するスクリーン版と該スクリーン版により印刷形成された印刷部材に関し、特に、表示パネル用基板におけるリブパターンや、イメージセンサ、MEMS(Micro Electro Mechanical System)、液晶表示材料等の電子部品の分野において、シール用の印刷材料で四角形状の閉じたラインをスクリーン印刷にて形成する際に用いられるスクリーン版に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、イメージセンサ、MEMS(Micro Electro Mechanical System)、液晶表示材料等の電子部品の分野においては、これらの電子部品を保護(封止)するための保護カバー接着用の接着層部をスクリーン印刷技術にて形成する手法が行われており、該保護カバー接着用の接着層部の形状は、電子部品の周辺全体を囲む閉じた形状で、四角形状が一般的である。
このような接着層部を、以下、接着材リブとも言う。
例えば、液晶表示を有する製品に於いて、支持基材上に載せられた液晶表示材料は、上からアクリルやガラス製の透明な保護カバーでカバーされるが、そのような保護カバーの支持基材への接着は、特開平6−59226号公報(特許文献1)に記載のように、先ず、印刷技術を用いて、接着材を、液晶表示材料が既に載せられている支持基材上に、その周辺全体を囲むように、支持基材の形状(四角形状)で、載せて、接着層部(接着材リブ)を所定の厚さで形成し、次に保護カバーを上からかぶせて行うのが一般的であった。
このような印刷には、スクリーン印刷法にて接着材を所望の位置に形成する方法が、生産性を考慮すると適している手法であるが、他の方法としては、ディスペンサ方式による形成も挙げられる。
支持基材上に載せられた状態で液晶表示材料を面付け生産する場合、これに合わせて、スクリーン印刷法は、接着層部(接着材リブ)を複数面付けして一括形成できるのに対し、ディスペンサ方式は、一括形成できず、面付けが多いほど、多大な時間を要する。
【特許文献1】特開平6−59226号公報
【0003】
しかし、このように、支持基材の形状、即ち、四角形状の、閉じた形状の接着層部(接着材リブ)をスクリーン印刷法にて形成する場合、印刷材料である接着材のダレにより、印刷される印刷材料(接着材)からなるラインが交差する角部(コーナー部とも言う)の形状を正確に再現することは難しく、該ラインが交差する角部においては、印刷材料(接着材等)が、イメージセンサや液晶表示部等の電子部品に触れ、不良の原因になることがあり、問題となっていた。
尚、スクリーン印刷法は、簡単には、図6に示すようにして行うが、詳しくは、図7(a)〜図7(c)に印刷工程を示すように、スクリーン版110の上面に印刷材料160を載せて、スキージ131の下部で被印刷物へ接しながらスキージ131を摺動(スキージング)することによって、開口部111aに印刷材料160を充填し、スクリーン版110の被印刷物140に接した箇所が、スキージ131の移動とともに被印刷物140から離れることによって、印刷材料160を被印刷物140上へ転写させるものであり、通常、スクリーン版110の厚みは0.2mm程度で、被印刷物140とスクリーン版とのクリアランスは1mm〜2mmとしている。
【0004】
この問題を改善する方法として、特開2000−193989号公報(特許文献2)には、角の領域のシール材の塗布が制御された液晶セルの製造方法が開示されている。
【特許文献2】特開2000−193989号公報 特開2000−193989号公報に記載のものは、基材上に、角の領域を低くして、角の領域と辺の領域とに段差を設けて、ディスペンサーあるいはスクリーン印刷により、該段差上にシール材を塗布する第1の塗布方法、および、ディスペンサーあるいはスクリーン印刷により、基材の角に突き出して角の領域にシール材を塗布することにより、ラインが交差する部分の角形状を正確に再現する第2の塗布方法が、記載されている。 しかし、第1の塗布方法においては、基材上に段差を設ける工程が入るため、工程が複雑となる問題があり、また、基材自体に加工できない制約もある。 また、オンチップカラーフィルタのような液晶表示部同士の間隔を狭くして、面付けした状態で、該狭い部分に接着層部(接着材リブ)を形成する場合には、スペース的に第2の塗布方法を適用できない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、イメージセンサ、MEMS(Micro Electro Mechanical System)、液晶表示材料等の電子部品の分野においては、これらの電子部品を保護あるいは封止するためのカバー接着用の接着層部(接着材リブ)をスクリーン印刷法にて、電子部品の周辺全体を囲むように四角形状の閉じたラインに形成することが行われていたが、保護カバーを接着層部にて接着した際、印刷材料である接着材のダレにより、印刷される印刷材料からなるラインが交差する角部(コーナー部)の形状を正確に再現することは難しく、該ラインが交差する角部においては、印刷材料(接着材等)が、イメージセンサや液晶表示部等の電子部品に触れ、不良の原因になることがあり、この対応が求められていた。
本発明はこれに対応するもので、イメージセンサ、MEMS(Micro Electro Mechanical System)、液晶表示材料等の電子部品の分野において、これらの電子部品を保護あるいは封止するための保護カバー接着用の接着層部(接着材リブ)をスクリーン印刷法にて、電子部品の周辺全体を囲むように四角形状の閉じたラインに形成した場合において、更に保護あるいは封止用のカバーを取りつけた際に、角部において、接着材が内側のイメージセンサや液晶表示部等の電子部品に接触することないようにできるスクリーン版を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のスクリーン版は、紗を有するスクリーン版であって、シール用の印刷材料で四角形状の閉じたラインをスクリーン印刷にて形成するための、四角形状のライン開口パターンを有し、前記スクリーン版の四角形状のライン開口パターンの各角部は、その開口外側を、該角部を挟み互いに交差する各辺の開口の外側辺部の延長上にして、その開口内側を、該角部を挟み互いに交差する各辺の開口の内側辺部の延長よりも、外側にして、ライン開口パターンの各角部の開口内側に開口凹みを設けていることを特徴とするものである。
そして、上記のスクリーン版であって、前記角部の開口凹みは、該角部を挟み互いに交差する各辺の開口の内側辺部の延長の交点と、該角部を挟み互いに交差する各辺の開口の外側辺部の交点とを結ぶ線に対して、対象となる形状であることを特徴とするものである。
そしてまた、上記いずれかのスクリーン版であって、前記開口凹みは、該角部を挟み互いに交差する各辺の開口の内側辺部の延長の交点と、該角部を挟み互いに交差する各辺の開口の外側辺部の交点とを結ぶ線上の1点から、それぞれ、各辺の開口の内側辺部とを結ぶ、2つの直線状の開口内側辺部を有するものであることを特徴とするものである。
また、上記いずれかのスクリーン版であって、前記ライン開口パターンは、表示パネル用基板におけるリブパターン形成用であることを特徴とするものである。
あるいはまた、前記ライン開口パターンは、イメージセンサ、MEMS(Micro Electro Mechanical System)、液晶表示材料等の電子部品を保護あるいは封止するためのカバーの支持体形成用であることを特徴とするものであり、前記印刷材料が、接着材であることを特徴とするものである。
また、請求項4ないし6のいずれか1項に記載のスクリーン版であって、前記印刷材料には、所定サイズ径のビーズが混在されていることを特徴とするものである
尚、ここでのシールとは、イメージセンサ、MEMS(Micro Electro Mechanical System)、液晶表示材料等の電子部品を保護あるいは封止するためのカバーを取りつける際のシールである。
また、閉じたラインとは、ラインが閉路を形成するもので、例えば、直線状のラインを連結して、三角形、四角系等の多角形の閉路を形成するもの、あるいは、曲線状のラインにて円等の閉路を形成するものを言う。
また、ライン開口パターンとはライン状の開口パターンを意味する。
【0007】
本発明の印刷部材は、シール用の印刷材料でスクリーン印刷にて形成され、四角形状の閉じたラインからなる四角形状のライン印刷パターンを有する印刷部材であって、前記印刷部材の四角形状のライン印刷パターンの各角部は、その印刷部外側を、該角部を挟み互いに交差する各辺の印刷部の外側辺部の延長上にして、その印刷内側を、該角部を挟み互いに交差する各辺の印刷部の内側辺部の延長よりも、外側にして、ライン印刷パターンの各角部の印刷部内側に凹みを設けていることを特徴とするものである。
そして、上記の印刷部材であって、前記角部の凹みは、該角部を挟み互いに交差する各辺の印刷部の内側辺部の延長の交点と、該角部を挟み互いに交差する各辺の印刷部の外側辺部の交点とを結ぶ線に対して、対象となる形状であることを特徴とするものである。
そしてまた、上記いずれかの印刷部材であって、前記凹みは、該角部を挟み互いに交差する各辺の印刷部の内側辺部の延長の交点と、該角部を挟み互いに交差する各辺の印刷部の外側辺部の交点とを結ぶ線上の1点から、それぞれ、各辺の開口の内側辺部とを結ぶ、2つの直線状の印刷部内側辺部を有するものであることを特徴とするものである。
また、上記いずれかの印刷部材であって、前記印刷部材の四角状のライン印刷パターンは、表示パネル用基板におけるリブパターンであることを特徴とするものである。
あるいはまた、前記印刷部材の四角状のライン印刷パターンは、イメージセンサ、MEMS(Micro Electro Mechanical System)、液晶表示材料等の電子部品を保護あるいは封止するためのカバーの支持体となるものであることを特徴とするものであり、前記印刷材料が、接着材であることを特徴とするものである。
また、請求項11ないし13のいずれか1項に記載の印刷部材であって、前記印刷パターンには、所定サイズ径のビーズが混在されていることを特徴とするものである。
また、ライン印刷パターンとはライン状の印刷パターンを意味する。
【0008】
(作用)
本発明のスクリーン版は、このような構成にすることにより、これを用いて、スクリーン印刷法にて、シール用の印刷材料で部品の周辺全体を囲むように四角形状の閉じたラインに形成した場合において、更に保護あるいは封止用のカバーを取りつけた際に、角部(コーナー部)において、シール用の印刷材料(接着材等)が内側のイメージセンサや液晶表示部等の電子部品に接触することないようにすることができるスクリーン版の提供を可能としている。
具体的には、スクリーン版の四角形状のライン開口パターンの各角部は、その開口外側を、該角部を挟み互いに交差する各辺の開口の外側辺部の延長上にして、その開口内側を、該角部を挟み互いに交差する各辺の開口の内側辺部の延長よりも、外側にして、ライン開口パターンの各角部の開口内側に開口凹みを設けていることにより、これを達成している。
即ち、凹みを設けていることにより、対応する印刷形状を凹部を設けた形状とし、印刷部に更に保護あるいは封止用のカバーを取りつけた際に、印刷材料(接着材等)の内側のイメージセンサや液晶表示部等の電子部品に接触することがないようにしている。
【0009】
また、角部の開口凹みは、該角部を挟み互いに交差する各辺の開口の内側辺部の延長の交点と、該角部を挟み互いに交差する各辺の開口の外側辺部の交点とを結ぶ線に対して、対象となる形状である、請求項2の発明の形態とすることにより、これを用いて、スクリーン印刷した場合、印刷形成された角部の凹みは、該角部を挟み互いに交差する各辺の印刷部の内側辺部の延長の交点と、該角部を挟み互いに交差する各辺の印刷部の外側辺部の交点とを結ぶ線に対して、対象となる形状となり、更に、保護あるいは封止用のカバーを取りつけた際には、角部(コーナー部)において、内側を直角形状で、且つ、対象性の良い形状にすることを可能としている。
また、開口凹みは、該角部を挟み互いに交差する各辺の開口の内側辺部の延長の交点と、該角部を挟み互いに交差する各辺の開口の外側辺部の交点とを結ぶ線上の1点から、それぞれ、各辺の開口の内側辺部とを結ぶ、2つの直線状の開口内側辺部を有するものである、請求項3の発明の形態とすることにより、簡単な開口凹みの形状で、これを用いて、スクリーン印刷し、更に、保護あるいは封止用のカバーを取りつけた際には、角部(コーナー部)において、内側を良好な直角形状にすることを可能としている。
特に、その形状あるいはサイズを変えることにより、保護あるいは封止用のカバーを取りつけた際には、隙間が発生しないように容易にできる。
また、ライン開口パターンとしては、表示パネル用基板におけるリブパターン形成用のもの、あるいは、イメージセンサ、MEMS(Micro Electro Mechanical System)、液晶表示材料等の電子部品を保護あるいは封止するためのカバーの支持体形成用のもの、特に、印刷材料が、接着材であるものが挙げられる。
ここで、前記印刷材料に所定サイズ径のビーズが混在されている場合、特に、スクリーン印刷し、更に、保護あるいは封止用のカバーを取りつける際には、印刷形成された印刷部の厚さを一定に制御でき、即ち、印刷部のダレ量を制御でき、より、角部(コーナー部)において、内側を良好な直角形状にすることを可能としている。
【0010】
本発明の印刷部材は、このような構成にすることにより、これを用いて、更に、保護あるいは封止用のカバーを取りつけた際には、角部(コーナー部)において、内側を良好な直角形状にすることを可能としている。
また、角部の凹みは、該角部を挟み互いに交差する各辺の印刷部の内側辺部の延長の交点と、該角部を挟み互いに交差する各辺の印刷部の外側辺部の交点とを結ぶ線に対して、対象となる形状である、請求項9の発明の形態にすることにより、更に、保護あるいは封止用のカバーを取りつけた際には、角部(コーナー部)において、内側を直角形状で、且つ、対象性の良い形状にすることを可能としている。
また、角部を挟み互いに交差する各辺の印刷部の内側辺部の延長の交点と、該角部を挟み互いに交差する各辺の印刷部の外側辺部の交点とを結ぶ線上の1点から、それぞれ、各辺の開口の内側辺部とを結ぶ、2つの直線状の印刷部内側辺部を有するものである、請求項10の発明の形態にすることにより、更に、保護あるいは封止用のカバーを取りつけた際には、角部(コーナー部)において、更に一層、内側を良好な直角形状にすることを可能としている。
また、ライン印刷パターンとしては、表示パネル用基板におけるリブパターン、あるいは、イメージセンサ、MEMS(Micro Electro Mechanical System)、液晶表示材料等の電子部品を保護あるいは封止するためのカバーの支持体、特に、印刷材料が、接着材であるものが挙げられる。
ここで、前記印刷材料には、所定サイズ径のビーズが混在されている場合、特に、更に、保護あるいは封止用のカバーを取りつける際には、印刷形成された印刷部の厚さを一定に制御でき、即ち、印刷部のダレ量を制御でき、より、角部(コーナー部)において、内側を良好な直角形状にすることを可能としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、上記のように、スクリーン印刷法にて、シール用の印刷材料で部品の周辺全体を囲むように四角形状の閉じたラインに形成し、更に保護あるいは封止用のカバーを取りつけた際に、角部(コーナー部)において、シール用の印刷材料(接着材等)が内側のイメージセンサや液晶表示部等の電子部品に接触することないようにすることができるものとした。
特に、表示パネル用基板におけるリブパターン、あるいは、イメージセンサ、MEMS(Micro Electro Mechanical System)、液晶表示材料等の電子部品を保護あるいは封止するためのカバーの支持体を、四角状の閉じたラインに印刷形成し、更に保護あるいは封止用のカバーを取りつけた際に、角部(コーナー部)において、前記リブパターンあるいはカバーの支持体が内側のイメージセンサや液晶表示部等の電子部品に接触することないようにすることを可能とした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1(a)は本発明のスクリーン版の実施の形態の1例を示した平面図で、図1(b)は図1(a)に示すスクリーン版を用いてスクリーン印刷された印刷部材の平面図で、図1(c)は図1(b)に示す印刷部材を保護あるいは封止用のカバーを配設したカバー付き部材における該印刷部材と印刷パターン部を透視してみた図で、図2は図1(a)に示すスクリーン版の角部を拡大し、凹みを分かり易く示した図で、図3(a)、図3(b)は、それぞれ、形状の異なる凹みを有するスクリーン版の角部を示した図で、図4(a)は図1(c)のカバー付き部材の単位のものを面付けした場合の、印刷部材と印刷パターン部を透視してみた図で、図4(b)は図4(a)のB1−B2におけるカバーを含めた断面図で、図5(a)は従来のスクリーン版を示した平面図で、図5(b)は図5(a)に示すスクリーン版を用いてスクリーン印刷された印刷部材の平面図で、5(c)は図5(b)に示す印刷部材を保護あるいは封止用のカバーを配設したカバー付き部材における該印刷部材と印刷パターン部を透視してみた図である。
図1〜図5中、10、10Aはスクリーン版、11はマスキング部、12は開口、12A、12Bはライン開口パターン、12a、12b、12c、12dは開口辺部、12a1、12b1、12c1、12d1は開口辺部、12a2、12b2、12c2、12d2は開口辺部、15、15a、15bは(開口の)凹み(開口凹みとも言う)、20、20A、20Bは印刷部材、35は印刷パターン、35bは(カバー後の)印刷パターン、36は(印刷パターンの)凹み、40、41は基材、50は電子部品部(ここでは表示部)、60はカバー材(単にカバーとも言う)、70は接触部である。
【0013】
本発明のスクリーン版の実施の形態の1例を、図1に基づいて説明する。
本例のスクリーン版10は、紗を有するスクリーン版で、シール用の印刷材料で四角形状の閉じたラインをスクリーン印刷にて形成するための、図1(a)に示す四角形状のライン開口パターン12Aを有するものであり、図6にその印刷方法の概略形態を示し、図7にその印刷工程を示すような、スクリーン印刷に用いられるものである。
そして、特に、本例のスクリーン版の四角形状のライン開口パターン12Aの各角部(図1(a)のA1部を参照)は、その開口12外側を、該角部を挟み互いに交差する各辺の開口の外側辺部の延長上にして、その開口12内側を、該角部を挟み互いに交差する各辺の開口の内側辺部の延長よりも、外側にして、開口パターンの各角部の開口内側に開口凹み15を設けている。
本例のスクリーン版においては、角部の開口凹み15は、図2にA1部(角部)を拡大して示すように、角部を挟み互いに交差する各辺の開口12の内側辺部12b、12dの延長の交点P2と、該角部を挟み互いに交差する各辺の開口の外側辺部12a、12cの交点P1とを結ぶ線に対して、対象となる形状で、前記交点P2と前記交点P1とを結ぶ線上の1点P3から、それぞれ、各辺開口の内側辺部とを結ぶ、2つの直線状の開口内側辺部(直線P3−P4、直線P3−P5)を有するものである。
【0014】
本例のスクリーン版を用いて、図6、図7に示すようにして、スクリーン印刷して、図1(b)に示すような印刷部材20を得た。
印刷材料のカバーによるダレを見込み、電子部品部50の領域と所定の間隔をあけて印刷パターン35aを形成すると、図1(b)のようになる。
そして、印刷部材20の電子部品50を保護あるいは封止するためのカバー(図4(b)の60を参照)を印刷パターン35aを支持体として接着すると、カバーを除いて透視してみた、印刷部材20と印刷パターン35b(35aが変形したもの)は、図1(c)のようになる。
本例のスクリーン版10を用いることにより、印刷パターン35aも、角部にスクリーン版10と同形状の凹み36をもち、カバーの際に印刷材料がダレることにより、この凹み36が埋まり、その角部の内側を直角形状とするため、カバー後も、該角部の内側は、図1(c)に示すように、印刷材料の内側辺部と同様に、電子部品部50の領域と適性な間隔を保つことができる。
これに対し、図5(a)に示すような、従来の角部に凹みのない四角形状のライン開口パターン12Bを用て、同様に、同じ量のカバーによる印刷材料のダレを見込んでスクリーン印刷を行った場合、図5(b)に示すような印刷部材20Bが得られるが、これに対して、同様にカバーを行うと、図5(c)に示すように、印刷パターンの辺部は電子部品部50の領域に接触しないで、該領域と適性な間隔であるにもかかわらず、印刷パターン35bの角部内側が内側にダレて、電子部品部50の領域に接触することがある。
【0015】
このため、従来法では、印刷パターンの辺部を電子部品部50の領域と必要以上にあけていたが、本例のスクリーン版を用いる方法の場合には、従来法よりも、印刷パターンの辺部を電子部品部50の領域との間隔を狭く設定できる。
このことは、図4(a)に示すように、単位の電子部品50を面付けして作製する場合には、単位の電子部品50の印刷パターンの領域を小さくでき、これにより、各面付けの印刷パターン35b同士の間隔を広くできる、あるいは、面付けのピッチを小さくでき、生産面で有利となる。
尚、図4(a)のB1−B2における、カバー後の状態は、図4(b)のようになっている。
図4(a)は図4(b)のB3側からカバー材60を除いて透視して見た図である。
【0016】
本発明のスクリーン版の開口パターンの角部の形状としては、本例のような、図2に示す、凹み形状に限定はされない。
例えば、図3(a)に示すように、円の一部の形状を凹みの形状としても良い。
あるいは、図3(b)に示すように、四角の一部の形状を凹みの形状としても良い。
図3(a)、図3(b)に示す各凹み15a、15bはいずれも、本例の場合と同様に、角部を挟み互いに交差する各辺の開口12の内側辺部12b1、12d1(12b2、12d2)の延長の交点P21(P22)と、該角部を挟み互いに交差する各辺の開口の外側辺部12a1、12c1(12a2、12c2)の交点P11(P12)とを結ぶ線に対して、対象となる形状である。
このような形状とすることにより、スクリーン印刷を行い、更に、保護あるいは封止用のカバーを取りつけた際には、角部(コーナー部)において、内側を良好な直角形状にすることを可能としている。
本例の図2に示す凹み15を有する場合には、スクリーン印刷を行い、更に、保護あるいは封止用のカバーを取りつけた際には、角部(コーナー部)において、内側を一層良好な直角形状にすることを可能としており、また、印刷材料のダレによる凹み形状の埋めを容易に確実に得ることができる。
【0017】
本例のスクリーン版の開口パターン12Aは、表示パネル用基板におけるリブパターン形成用として、有効に適用できるものである。
あるいは、イメージセンサ、MEMS(Micro Electro Mechanical System)、液晶表示材料等の電子部品を保護あるいは封止するためのカバーの支持体形成用として、前記印刷材料が、接着材である場合にも有効に適用できるものである。
尚、これらの場合、前記印刷材料には、所定サイズ径のビーズが混在されている場合には、スクリーン印刷し、更に、保護あるいは封止用のカバーを取りつけた際には、印刷形成された印刷部の厚さを一定に制御でき、即ち、印刷部のダレ量を制御でき、より、角部(コーナー部)において、内側を良好な直角形状にすることを可能としている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1(a)は本発明のスクリーン版の実施の形態の1例を示した平面図で、図1(b)は図1(a)に示すスクリーン版を用いてスクリーン印刷された印刷部材の平面図で、図1(c)は図1(b)に示す印刷部材を保護あるいは封止用のカバーを配設したカバー付き部材における該印刷部材と印刷パターン部を透視してみた図である。
【図2】図1(a)に示すスクリーン版の角部を拡大し、凹みを分かり易く示した図である。
【図3】図3(a)、図3(b)は、それぞれ、形状の異なる凹みを有するスクリーン版の角部を示した図である。
【図4】図4(a)は図1(c)のカバー付き部材の単位のものを面付けした場合の、印刷部材と印刷パターン部を透視してみた図で、図4(b)は図4(a)のB1−B2におけるカバーを含めた断面図である。
【図5】図5(a)は従来のスクリーン版を示した平面図で、図5(b)は図5(a)に示すスクリーン版を用いてスクリーン印刷された印刷部材の平面図で、5(c)は図5(b)に示す印刷部材を保護あるいは封止用のカバーを配設したカバー付き部材における該印刷部材と印刷パターン部を透視してみた図である。
【図6】従来の、紗を有するスクリーン版の印刷方法の概略を示した図である。
【図7】図7(a)〜図7(c)は図6に示す印刷方法の印刷工程を示した図である。
【符号の説明】
【0019】
10、10A スクリーン版
11 マスキング部
12 開口
12A、12B ライン開口パターン
12a、12b、12c、12d 開口辺部
12a1、12b1、12c1、12d1 開口辺部
12a2、12b2、12c2、12d2 開口辺部
15、15a、15b (開口の)凹み(開口凹みとも言う)
20、20A、20B 印刷部材
35 印刷パターン
35b (カバー後の)印刷パターン
36 (印刷パターンの)凹み
40、41 基材
50 電子部品部(ここでは表示部)
60 カバー材(単にカバーとも言う)
70 接触部
110 スクリーン版
111 マスキング部
111a 開口
112,112a 紗
120 枠体
131 スキージ
132 スキージ保持部
140 被印刷物
150 台
160 印刷材料
165 印刷パターン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
紗を有するスクリーン版であって、シール用の印刷材料で四角形状の閉じたラインをスクリーン印刷にて形成するための、四角形状のライン開口パターンを有し、前記スクリーン版の四角形状のライン開口パターンの各角部は、その開口外側を、該角部を挟み互いに交差する各辺の開口の外側辺部の延長上にして、その開口内側を、該角部を挟み互いに交差する各辺の開口の内側辺部の延長よりも、外側にして、ライン開口パターンの各角部の開口内側に開口凹みを設けていることを特徴とするスクリーン版。
【請求項2】
請求項1に記載のスクリーン版であって、前記角部の開口凹みは、該角部を挟み互いに交差する各辺の開口の内側辺部の延長の交点と、該角部を挟み互いに交差する各辺の開口の外側辺部の交点とを結ぶ線に対して、対象となる形状であることを特徴とするスクリーン版。
【請求項3】
請求項1ないし2のいずれか1項に記載のスクリーン版であって、前記開口凹みは、該角部を挟み互いに交差する各辺の開口の内側辺部の延長の交点と、該角部を挟み互いに交差する各辺の開口の外側辺部の交点とを結ぶ線上の1点から、それぞれ、各辺の開口の内側辺部とを結ぶ、2つの直線状の開口内側辺部を有するものであることを特徴とするスクリーン版。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のスクリーン版であって、前記ライン開口パターンは、表示パネル用基板におけるリブパターン形成用であることを特徴とするスクリーン版。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のスクリーン版であって、前記ライン開口パターンは、イメージセンサ、MEMS(Micro Electro Mechanical System)、液晶表示材料等の電子部品を保護あるいは封止するためのカバーの支持体形成用であることを特徴とするスクリーン版。
【請求項6】
請求項5に記載のスクリーン版であって、前記印刷材料が、接着材であることを特徴とするスクリーン版。
【請求項7】
請求項4ないし6のいずれか1項に記載のスクリーン版であって、前記印刷材料には、所定サイズ径のビーズが混在されていることを特徴とするスクリーン版。
【請求項8】
シール用の印刷材料でスクリーン印刷にて形成され、四角形状の閉じたラインからなる四角形状のライン印刷パターンを有する印刷部材であって、前記印刷部材の四角形状のライン印刷パターンの各角部は、その印刷部外側を、該角部を挟み互いに交差する各辺の印刷部の外側辺部の延長上にして、その印刷内側を、該角部を挟み互いに交差する各辺の印刷部の内側辺部の延長よりも、外側にして、ライン印刷パターンの各角部の印刷部内側に凹みを設けていることを特徴とする印刷部材。
【請求項9】
請求項8に記載の印刷部材であって、前記角部の凹みは、該角部を挟み互いに交差する各辺の印刷部の内側辺部の延長の交点と、該角部を挟み互いに交差する各辺の印刷部の外側辺部の交点とを結ぶ線に対して、対象となる形状であることを特徴とする印刷部材。
【請求項10】
請求項8ないし9のいずれか1項に記載の印刷部材であって、前記凹みは、該角部を挟み互いに交差する各辺の印刷部の内側辺部の延長の交点と、該角部を挟み互いに交差する各辺の印刷部の外側辺部の交点とを結ぶ線上の1点から、それぞれ、各辺の開口の内側辺部とを結ぶ、2つの直線状の印刷部内側辺部を有するものであることを特徴とする印刷部材。
【請求項11】
請求項8ないし10のいずれか1項に記載の印刷部材であって、前記印刷部材の四角状のライン印刷パターンは、表示パネル用基板におけるリブパターンであることを特徴とする印刷部材。
【請求項12】
請求項8ないし10のいずれか1項に記載の印刷部材であって、前記印刷部材の四角状のライン印刷パターンは、イメージセンサ、MEMS(Micro Electro Mechanical System)、液晶表示材料等の電子部品を保護あるいは封止するためのカバーの支持体となるものであることを特徴とする印刷部材。
【請求項13】
請求項12に記載の印刷部材であって、前記印刷材料が、接着材であることを特徴とする印刷部材。
【請求項14】
請求項11ないし13のいずれか1項に記載の印刷部材であって、前記ライン印刷パターンには、所定サイズ径のビーズが混在されていることを特徴とする印刷部材。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−23716(P2008−23716A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−195149(P2006−195149)
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】