説明

セメント製造設備内での有機塩素化合物低減方法

【課題】セメント製造設備から排出されるダイオキシン類、PCBなどの有機塩素化合物の排出量を低減可能なセメント製造設備内での有機塩素化合物低減方法を提供する。
【解決手段】有機塩素化合物を含むセメント原料をプレヒータ16に投入する前に有機物除去器100により加熱するので、プレヒータ16による予熱直前のセメント原料から有機塩素化合物を分離したり分解できる。しかも、有機物除去器100内での熱処理時に発生した熱処理ガスは、セメント製造設備10内の通常運転時に800℃以上となる高温部に供給するので、熱処理ガス中の有機塩素化合物を熱分解できる。その結果、セメント製造設備10から排出されるダイオキシン類およびPCBなどの有機塩素化合物の排出量を、従来に比べて低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はセメント製造設備内での有機塩素化合物低減方法、詳しくはセメント製造設備から排出されるダイオキシン類およびPCBなどの有機塩素化合物を熱処理し、その排出量を低減可能な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイオキシン(PCDDs)は、ポリ・クロロ・ジベンゾ・パラ・ダイオキシン(Poly chloro dibenzo−p−dioxin)の略称で、有機塩素化合物の一種である。このダイオキシンに類似したものに、ポリ・クロロ・ジベンゾフラン(PCDFs:Poly chloro dibenzo−furan)が知られている。
特に、PCDDsの四塩化物(T4CDDs)であるテトラ・クロロ・ジベンゾ・パラ・ダイオキシン(Tetra chloro dibenzo−p−dioxin)に属して、2,3,7,8の位置に塩素を持った2,3,7,8−T4CDDは猛毒である。
2,3,7,8−テトラクロロ体は、トリクロロフェノール、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸製造時の副産物として得られ、そしてジベンゾ−P−ジオキシンの塩素化により得られる。融点は306〜307℃である。
【0003】
また、人体に有害とされる別の有機塩素化合物として、例えばPCB(ポリ塩化ビフェニル)が知られている。PCBは、化学的安定性、絶縁性、不燃性、粘着性に優れており、発電所、鉄道、ビルなどの電気設備に搭載されるトランス、コンデンサの絶縁油として利用されてきた。しかしながら、ダイオキシンと同等の毒性を有するコプラナーPCBを含んでいる。そのため、1974年に法律でPCBの製造、流通および新規の使用が禁止されるに至った。
【0004】
PCBの処理方法としては、例えば、PCBを高温で熱処理する焼却処理方法、PCBを脱塩素化処理する脱塩素化分解法、超臨界水を使用してPCBを二酸化炭素と水とに分解する超臨界水酸化分解法などが開発されている。このうちの焼却処理方法では、PCBの熱処理ガスを冷却する際、ダイオキシン類が合成されてしまうことが懸念されている。
【0005】
そこで、これらを解消する従来技術として、例えば特許文献1および特許文献2が知られている。
特許文献1は、セメント製造設備の排ガスを集塵機に供給し、有機塩素化合物を含む集塵ダストを捕集し、この捕集された集塵ダストの少なくとも一部を、セメント製造設備の800℃以上の高温部に投入する方法を示している。ダイオキシン類は800℃前後で熱分解されるため、この方法により、ダイオキシン類を効率的に分解して無害化することができる。セメント製造設備の排ガスとしては、例えばセメント原料を乾燥させる原料ドライヤ(原料工程部)からの排ガス、セメント原料を粉砕する原料ミル(原料工程部)からの排ガスなどが挙げられる。
【0006】
また、集塵機から排出され、煙道より大気開放される脱塵ガス中にも、気化した有機塩素化合物が若干量含まれている。この対策として、特許文献1では、脱塵ガス中のダイオキシン濃度を低下させる方法が記載されている。これは、セメント製造設備のうち、温度が30〜400℃の地点(低温部)から排ガスを引き出し、これを集塵機に供給するという方法である。すなわち、低温部から導出された排ガスは、セメント製造設備の高温部からの排ガスに比べて、有機塩素化合物が濃縮(低温濃縮)されている。その結果、このように有機塩素化合物が高濃度になった集塵ダストを集塵処理により除去すれば、脱塵ガス中のダイオキシン類の濃度は低下するというものである。
【0007】
特許文献2は、外部からセメント工場に運び込まれたPCB含有物を、ロータリーキルン内に投入し、これをセメントクリンカを焼成するときの熱(1000℃以上)により加熱してPCBを熱分解し、この熱分解時に発生した排ガスをロータリーキルン外に導出した後、20℃/秒以上の冷却速度で急冷する方法を示している。排ガスを20℃/秒以上で冷却することにより、ダイオキシン類の合成量が増加する温度領域を短時間で通過する。その結果、ダイオキシン類の発生を防ぎながら、PCBを分解することができる。
【特許文献1】特開2004−244308号公報
【特許文献2】特開2002−147722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、特許文献1によれば、排ガスを集塵機に通して捕集された集塵ダストの少なくとも一部を、通常運転時に800℃以上となるセメント製造設備の高温部に投入し、集塵ダストに吸着されたダイオキシン類を熱分解していた。その際、煙道から大気開放される脱塵ガス(集塵機通過ガス)中の有機塩素化合物の対策として、セメント製造設備のうち、温度が30〜400℃の地点(低温部)から排ガスを引き出し、これを集塵機に供給するという方法が採用されていた。
【0009】
しかしながら、この対策では、セメント製造設備から排出されるダイオキシン類を十分に低減させることができなかった。すなわち、有機塩素化合物を含むセメント原料は、何れもプレヒータの上部から排出される排ガスを熱源とし、内部温度が300℃前後となる原料ドライヤおよび原料ミルにそれぞれ投入されていたので、ダイオキシン類が気化していた。そのため、原料ミルなどからの排ガス(特にダスト)には、有機塩素化合物が含まれていた。
【0010】
一方、プレヒータの上部には、原料ミルにより粉砕されたセメント原料が連続的に投入されている。このとき、セメント原料に付着した有機塩素化合物の大半は、予め設定された通りにプレヒータ内をセメント原料が下降するのに伴って熱分解されず、プレヒータの上部の熱(排ガスの熱を含む)によって気化(分離)し、そのまま排ガスに混入されて原料ミルなどに戻されていた。その結果、有機塩素化合物がセメント製造の原料工程内で循環し、徐々に高濃度化していた。これにより、セメント製造設備から排出されるダイオキシン類の量が増大していた。
【0011】
また、特許文献2は、セメント製造設備の系外(外部)から搬入されたPCB含有物を、ロータリーキルン内で1000℃以上に加熱して熱分解させるものであった。しかしながら、この方法では、セメント製造設備内で発生したPCBを除去することができなかった。
【0012】
そこで、発明者は、鋭意研究の結果、ダイオキシン類およびPCBなどが発生する原因は、セメント原料に含まれる有機塩素化合物(塩素分)であることに着目した。すなわち、有機塩素化合物を含むセメント原料がプレヒータの上部に投入されて300℃前後に加熱される前に、セメント原料を有機物除去器により加熱すれば、例えばダイオキシン類の前駆体などの有機塩素化合物を、プレヒータによる予熱直前のセメント原料から分離したり分解することができる。しかも、有機物除去器内での熱処理により発生した有機塩素化合物を含む熱処理ガスは、セメント製造設備内の通常運転時に800℃以上となる高温部に供給することにより、熱処理ガス中の有機塩素化合物を熱分解することができる。その結果、セメント製造設備から排出されるダイオキシン類およびPCBなどの有機塩素化合物の排出量を、従来に比べて低減できることを知見し、この発明を完成させた。
【0013】
この発明は、セメント製造設備から排出されるダイオキシン類およびPCBなどの有機塩素化合物の排出量を低減させることができるセメント製造設備内での有機塩素化合物低減方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載の発明は、プレヒータでの予熱の直前に、粉砕後のセメント原料を有機物除去器内で加熱することにより、前記有機塩素化合物をセメント原料から分離するか、前記有機塩素化合物を分解する有機物除去工程と、前記有機物除去器内で発生した有機塩素化合物を含む熱処理ガスを、セメント製造設備の通常運転時に800℃以上となる該セメント製造設備内の高温部に投入し、前記熱処理ガス中の有機塩素化合物を熱分解するガス熱分解工程とを備えたことを特徴とするセメント製造設備内での有機塩素化合物低減方法である。
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、予熱直前の有機塩素化合物を含む粉砕されたセメント原料(粉砕原料)を有機物除去器内に投入し、ここでセメント原料を加熱し、セメント原料から有機塩素化合物を分離するか、有機塩素化合物を分解する(有機物除去工程)。その後、有機塩素化合物が除去されたセメント原料は、原料ミルに戻して再利用することができる。
有機物除去工程において、有機物除去器内で発生した有機塩素化合物を含む熱処理ガスは、セメント製造設備内の800℃以上の高温部に投入される(ガス熱分解工程)。ここで、熱処理ガス中の有機塩素化合物(前駆体を含む)が熱分解される。
【0016】
ところで、セメント製造の初期段階の原料工程では、例えば原料ドライヤによる含水量の多いセメント原料の乾燥、および、原料ミルによるセメント原料の粉砕などが行なわれている。原料ドライヤおよび原料ミルは、予熱時にプレヒータの上部から発生する排ガスがそれぞれ導入され、内部温度が300℃前後となっている。原料ドライヤおよび原料ミルなどから煙道を通って大気開放される排ガス(特にダスト)中には、多量の有機塩素化合物が含まれていた。
【0017】
一方、プレヒータの上部には、原料ミルにより粉砕されたセメント原料が連続的に投入されている。このとき、セメント原料に付着した有機塩素化合物の大半は、予め設定された通りにプレヒータ内でのセメント原料の下降に伴って熱分解されず、プレヒータの上部の熱(排ガスの熱を含む)で気化(分離)し、そのまま排ガスに混じって原料ミルなどに戻されていた。その結果、有機塩素化合物はセメント製造の原料工程内で循環し、徐々に高濃度化していた。よって、原料ドライヤおよび原料ミルなど(原料工程部)から煙道を通って大気開放されるダイオキシン類の量、ひいてはセメント製造設備から排出されるダイオキシン類の量が増大していた。
【0018】
そこで、これを解消するため、請求項1では、予熱される直前の粉砕原料(粉砕されたセメント原料)を有機物除去器に投入して加熱し、セメント原料中から有機塩素化合物を除去するように構成している。その結果、セメント製造の原料工程内で有機塩素化合物の循環を断ち切ることができ、前述した有機塩素化合物の高濃度化を抑えることができる。これにより、セメント製造設備から排出されるダイオキシン類およびPCBなどの有機塩素化合物の排出量を、従来に比べて低減させることができる。
【0019】
なお、原料工程部としては、例えば粘土などの含水率が高いセメント原料を乾燥させる原料ドライヤ、セメント原料を粉砕する原料ミルを採用することができる。
予熱工程の直前に有機物除去工程を行うとは、有機物除去工程と予熱工程との間に、セメント原料に対する何らの処理も行われないことをいう。
【0020】
セメント製造設備としては、プレヒータおよび仮焼炉を有するロータリーキルンでもよい。この場合、800℃以上の高温部としては、例えばプレヒータの下段部(850℃)、仮焼炉(850℃)、ロータリーキルンの窯尻部(1000℃)、窯前部(1450℃)およびクリンカクーラの高温部(800℃以上)などが挙げられる。
高温部が800℃未満では、例えばダイオキシン類などの有機塩素化合物を完全に熱分解することができない。高温部の好ましい温度は、850℃以上である。この範囲であれば、例えばダイオキシン類などの有機塩素化合物を完全に熱分解することができる。
【0021】
セメントの焼成温度、例えばロータリーキルン内の温度は、通常、有機塩素化合物の熱分解温度を上回る1100〜1450℃である。よって、有機塩素化合物は、セメントクリンカが焼成される際に、熱分解されて無害化される。このときのロータリーキルンの焼成時間(原料滞留時間=有機塩素化合物の熱分解時間)は、30分〜1時間である。有機塩素化合物は例えば900℃のとき、数秒間加熱すれば熱分解される。
【0022】
有機物除去器の構造は、粉砕後のセメント原料を加熱することができれば限定されない。例えば、外部加熱される移送管に投入されたセメント原料の粉体を、スクリューにより移送しながら加熱する加熱スクリュー式の加熱器でもよい。また、加熱流動床およびサイクロンを有した加熱器を採用してもよい。これは、まず加熱流動床内に粉砕されたセメント原料を投入し、ここでセメント原料から有機塩素化合物を除去する。次に、加熱されたセメント原料をサイクロンに投入し、ここでセメント原料と、有機塩素化合物を含む熱処理ガスとを分離するものである。
有機物除去器により熱処理されるセメント原料には、セメント製造設備内の集塵機により捕集された集塵ダスト(セメント製造中の原料工程で捕集されたダスト、焼成工程で捕集されたダストなど)、セメント製造の途中で得られた中間製品(プレヒータから抜き取られた予熱原料など)、セメント製造時の副産物および廃棄物を投入してもよい。
【0023】
有機物除去器によるセメント原料の加熱温度は200℃以上である。200℃未満では、有機塩素化合物が残留して現実的な除去ができない。
【0024】
有機物除去器の熱源は限定されない。例えば、セメント原料からセメントクリンカを焼成する際に発生した排ガス(例えばプレヒータの上部から原料ミルなどに供給される排ガス(350℃程度)、クリンカクーラからの排ガスなどを採用することができる。また、専用のガス発生装置からの加熱ガスを採用してもよい。
【0025】
熱源からの熱媒体は、有機物除去器の内部に供給し、セメント原料を直接加熱してもよいし、例えば有機物除去器の外周壁に設けられたジャケットなどを利用して有機物除去器の外から供給し、セメント原料を間接的に加熱してもよい。セメント設備内で発生した排ガスのうち、酸素濃度が高い排ガスは、有機物除去器内に導入した方が好ましい。一方、例えばプレヒータから原料ドライヤおよび原料ミルなどに排ガスダクトを通して供給される排ガスなど、酸素濃度が低いガスの場合には、前記ジャケットに供給し、有機物除去器の外部からセメント原料を加熱するようにした方が好ましい。なお、ジャケット内での熱交換後の排ガスは、排ガスダクトに戻してセメント製造の原料工程で、排ガス中に含まれる有機塩素化合物を熱処理することができる。
【0026】
請求項2に記載の発明は、前記有機物除去器内でのセメント原料の加熱温度は、300℃以上であることを特徴とする請求項1に記載のセメント製造設備内での有機塩素化合物低減方法である。
セメント原料の加熱温度が300℃未満では、セメント原料に有機塩素化合物が残る場合がある。セメント原料の好ましい加熱温度は300〜400℃である。
【0027】
請求項3に記載の発明は、前記有機物除去器は、前記プレヒータのうち、前記セメント原料が投入される上部に連結され、前記高温部は、前記プレヒータの下段部、該ロータリーキルンの窯尻部、前記ロータリーキルンの窯前部、仮焼炉、クリンカクーラの高温部のうち、少なくとも1つであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセメント製造設備内での有機塩素化合物低減方法である。
【0028】
請求項3に記載の発明によれば、有機物除去器内で発生した熱処理ガスを、ロータリーキルンの窯前部または窯尻部に供給した場合には、クリンカ焼成時の焼成熱により、有機塩素化合物を熱分解することができる。また、この熱処理ガスをプレヒータの下段部または仮焼炉に供給した場合には、高温(850℃以上)により数秒で有機塩素化合物を熱分解することができる。
【0029】
ロータリーキルンの窯前部では、燃焼バーナに対して、熱処理ガスを燃料とともに供給してもよいし、燃料とは別にロータリーキルンに供給してもよい。ロータリーキルンにおける熱処理ガスの供給位置は限定されない。
【0030】
請求項4に記載の発明は、前記有機物除去器の熱源は、前記プレヒータの上部から排出された排ガス、前記ロータリーキルンから排出されたセメントクリンカを冷却するクリンカクーラの排ガス、前記有機物除去器に付設されたガス発生装置からの加熱ガスのうち、少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜請求項3のうち、何れか1項に記載のセメント製造設備内での有機塩素化合物低減方法である。
【0031】
有機物除去器の熱源としては、例えばプレヒータの上部からの排ガス(250〜400℃)だけ、クリンカクーラからの排ガス(250〜1100℃)だけ、ガス発生装置からの加熱ガスだけを採用することができる。また、これらのうちの2つまたは全てでもよい。
加熱ガスとしては、例えば空気、燃焼ガス(CO、COを含む)などを採用することができる。
ガス発生装置の加熱方式としては、例えばバーナー加熱などを採用することができる。
【0032】
請求項5に記載の発明は、前記有機物除去器の外周壁には、前記プレヒータの上部から排出された排ガス、前記クリンカクーラからの排ガス、前記ガス発生装置からの加熱ガスのうち、少なくとも1つが供給され、かつ前記有機物除去器内のセメント原料を外部から加熱するジャケットが設けられたことを特徴とする請求項4に記載のセメント製造設備内での有機塩素化合物低減方法である。
【0033】
請求項5に記載の発明によれば、ジャケットに熱源となるガスを供給すると、加熱ガスの熱がジャケットから有機物除去器の外周壁を通して、有機物除去器内のセメント原料を外部から加熱する。これにより、セメント原料中の有機塩素化合物の濃度(例えばダイオキシン濃度)が低下する。その結果、セメント製造設備から排出されるダイオキシン類およびPCBなどの有機塩素化合物の排出量を低減させることができる。
【0034】
ジャケットが設けられるのは、有機物除去器の外周壁の一部でもよいし、全部でもよい。有機物除去器の外周壁のうち、ジャケットが設置される位置は任意である。
ジャケットの形状および大きさ(容量)も限定されない。
ジャケットに供給される熱源としては、例えばプレヒータの上部からの排ガスだけ、クリンカクーラからの排ガスだけ、ガス発生装置からの加熱ガスだけを採用することができる。また、これらのうちの2つまたは全てでもよい。
【発明の効果】
【0035】
この発明によれば、有機塩素化合物を含むセメント原料をプレヒータに投入する前に有機物除去器により加熱するので、プレヒータによる予熱直前のセメント原料から有機塩素化合物を分離したり分解することができる。しかも、有機物除去器内での熱処理時に発生した有機塩素化合物を含む熱処理ガスは、セメント製造設備内の通常運転時に800℃以上となる高温部に供給することにより、熱処理ガス中の有機塩素化合物を熱分解することができる。その結果、セメント製造設備から排出されるダイオキシン類およびPCBなどの有機塩素化合物の排出量を、従来に比べて低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、この発明の実施例を具体的に説明する。
【実施例1】
【0037】
図1において、10はこの発明の実施例1に係るセメント製造設備内での有機塩素化合物低減方法が適用されたセメント焼成設備である。このセメント焼成設備10は、セメント原料を粉砕する原料工程部Aと、粉砕されたセメント原料を焼成する焼成工程部Bとを備えている。
【0038】
原料工程部Aは、セメント原料としての石灰石、粘土、珪石および鉄原料を個別に貯蔵する原料貯蔵庫11と、高含水量のセメント原料を加熱乾燥する原料ドライヤ12と、セメント原料を粉砕する原料ミル13と、原料ドライヤ12および原料ミル13から排出された有機塩素化合物を含むダスト(粉体)を捕集する電気集塵機30と、原料ミル13により粉砕されたセメント原料の貯蔵サイロ14とを備えている。
【0039】
原料貯蔵庫11に貯蔵されたセメント原料は、原料輸送設備118を通して原料ミル13の回転ドラムに投入される。ただし、粘土などの含水量が高い一部のセメント原料は、高含水原料供給設備131を経て原料ドライヤ12に投入される。この一部のセメント原料はここで乾燥され、乾燥原料排出設備132を通して原料ミル13に投入される。原料ミル13の回転ドラムには、多数の金属ボールが収納されている。回転ドラムを回転させながらセメント原料を連続的に投入することで、セメント原料がおよそ90μm以下に粉砕されたセメント原料粉が得られる。粉砕されたセメント原料は、粉砕原料輸送設備121を介して、貯蔵サイロ14に投入される。
【0040】
原料ドライヤ12および原料ミル13には、後述するプレヒータ16の上部から排出された300℃程度の排ガスが、下流側部が二股となった排ガスダクト21を通してそれぞれ供給されている。そのため、原料ドライヤ12の内部温度は約300℃、原料ミル13の内部温度は100℃以上となっている。排ガスダクト21の中間部付近には、ファンF1が設けられている。
原料ドライヤ12および原料ミル13には、各内部からの排ガスを煙突130を介して大気開放する煙道129のうち、二股となった上流側部の各端部がそれぞれ連結されている。煙道129の下流側部の途中には、前記電気集塵機30が設けられている。電気集塵機30により捕集された集塵ダストは、ダスト配送管123を通って粉砕原料輸送設備121の途中部分の管内に供給される。また、煙道129には、その二股となった上流側部の原料ミル13側にファンF2が設けられ、電気集塵機30と煙突130との間の部分にファンF3が設けられている。
【0041】
次に、焼成工程部Bを具体的に説明する。
焼成工程部Bは、貯蔵サイロ14からのセメント原料をプレヒータ16に投入する直前に加熱し、有機塩素化合物をセメント原料から分離するか、有機塩素化合物を分解する有機物除去器100と、有機物除去器100の外周壁に設けられた外部ジャケット(ジャケット)101に、熱源となる加熱ガスを、セメント製造設備10の外部(系外)から供給するガス発生装置102と、下段(下流)のものほど内部温度が高い多段式のサイクロン15を有し、有機物除去器100により有機塩素化合物が除去されたセメント原料を予熱するプレヒータ16と、窯尻部にプレヒータ16の下段部が連結され、セメント原料を燃焼バーナ17での加熱により焼成してセメントクリンカを得るロータリーキルン18と、ロータリーキルン18の窯前から排出されたセメントクリンカを冷却するクリンカクーラ19と、得られたセメントクリンカをいったん貯蔵する図示しないクリンカサイロとを備えている。
【0042】
有機物除去器100の詳細については後述する。
プレヒータ16は、粉砕されたセメント原料を、次工程のロータリーキルン18により焼成し易いように、上下5段のサイクロン15を上側のものより順次通過しながらセメント原料中の石灰石が脱炭酸されるまで予熱する多段塔である。プレヒータ16の上部には、前記排ガスダクト21の上流端が連結されている。
ロータリーキルン18には、100t/hでセメントクリンカを生産するものが採用されている。ロータリーキルン18は、耐火物が内張りされたキルンシェルを有し、その窯前部で、重油や微粉石炭を燃料とした燃焼バーナ17からの炎の熱により、セメント原料からセメントクリンカが焼成される。
【0043】
すなわち、焼成工程部Bでは、貯蔵サイロ14からのセメント原料が、加熱原料粉配管165を通して有機物除去器100に投入され、ここで所定温度に加熱され、セメント原料から有機塩素化合物が除去される。その後、セメント原料は、プレヒータ16の各サイクロン15を流下中に予熱される。それから、セメント原料はキルンシェル内で回転しながら燃焼バーナ17により加熱される。これにより、セメントクリンカが得られる。得られたセメントクリンカは、クリンカクーラ19の内部で冷却される。
【0044】
次に、図1および図2を参照し、有機物除去器100を具体的に説明する。
図1および図2に示すように、有機物除去器100は、平面視して四角形のケーシング103と、ケーシング103の内部空間に、ケーシング103の上板に形成されたセメント原料の投入口103aと、ケーシング103の下板に形成されたセメント原料の排出口103bとを、上下方向につづら折り状に連結するつづら管104と、つづら管104の途中に、上下3段に水平状態で離間配置された加熱スクリュー式の加熱部105と、前記外部ジャケット101とを備えている。
【0045】
各加熱部105は、前記つづら管104の途中に水平状態で連結され、セメント原料が投入される円筒形状の移送管106と、移送管106の外周に設けられ、管内を通過中のセメント原料を300℃に加熱する円筒ジャケット(加熱手段)107と、移送管106の管内に収納されたスクリュー108と、スクリュー108を回転させる回転モータ109とを有している。
各円筒ジャケット107は、上流部が二股となった1本の熱源配送管150により互いに連結されている。熱源配送管150は、その二股部の一部を構成する一方の枝管151が、ケーシング103の下板に形成された第1の熱源供給口103cに連結されている。また、前記二股部の残部を構成する他方の枝管152は、ケーシング103の下板に形成された第2の熱源供給口103dに連結されている。熱源配送管150の下流部は、ケーシング103の上板に形成された熱源排出口103eに連結されている。また、熱源配送管150の下流端部には、最上段の移送管106の下流部から分岐された有機ガス分離枝管153の先端部が連結されている。
【0046】
第1の熱源供給口103cには、排ガスダクト21の上流部と連結し、途中にファンF4が設けられた予熱分岐管21aの下流部が連結されている。また、第2の熱源供給口103dには、上流部が二股になった熱源導入管154の下流部が連結されている。熱源導入管154の二股部の一部を構成する一方の枝管154aは、ロータリーキルン18の窯前部の上部に連結されている。また、熱源導入管154の二股部の残り部分を構成する他方の枝管154bは、クリンカクーラ19の上部に連結されている。熱源導入管154の中間部には、ファンF5が設けられている。クリンカクーラ19からの排ガスと、ロータリーキルン18の窯前部からの排ガスとは、熱源導入管154、第2の熱源供給口103dを通して熱源配送管150に供給され、各円筒ジャケット107に順次供給される。
【0047】
また、前記熱源排出口103eには、下流端がプレヒータ16の下段部(約850℃)に連結され、かつ下流部に弁155が設けられた排ガス導出管156が連結されている。
排ガス導出管156のうち、弁155より若干上流部分には、弁157を有し、かつクリンカクーラ19の上流部(約1100℃)に連結された第1の分岐管156aが連結されている。また、排ガス導出管156のうち、第1の分岐管156aより上流部分には、弁158を有し、かつロータリーキルン18の窯前部(約1450℃)の端壁に連結された第2の分岐管156bが連結されている。排ガス導出管156の上流部には、ファンF6が設けられている。
外部ジャケット101の外周壁の一部には、ガス発生装置102の図示しない加熱ガス供給部に一端部が連結された加熱ガス供給管159を介して連結されている。また、外部ジャケット101の外周壁の他部には、一端部が排ガスダクト21の上流部に連結された外熱排ガス管160の他端部が連結されている。
【0048】
ガス発生装置102は、前述した3つの熱源(プレヒータ16の下段部、クリンカクーラ19の上流部、ロータリーキルン18の窯前部)からの熱では、セメント原料から有機塩素化合物を除去するには熱量不足である場合に利用される。ガス発生装置102により発生した加熱ガスは、加熱ガス供給管159を経て外部ジャケット101の内部空間に供給される。なお、プレヒータ16の上部からの排ガスの一部を、外部ジャケット101に供給するようにしてもよい。
【0049】
このように、外部ジャケット101の加熱ガスがケーシング103の内部空気を加熱することで、つづら管104の管内を流れるセメント原料を、各加熱部105とともに外部から加熱することができる。外部ジャケット101の内部空間の温度は、300℃程度である。使用後の加熱ガスは、外熱排ガス管160を通して、排ガスダクト21の管内に導入される。
【0050】
次に、実施例1のセメント製造設備10の内部(系内)で行われる排ガス中の有機塩素化合物低減方法を説明する。3つの弁155,157,158は開いた状態とする。
図1に示すように、原料貯蔵庫11内の各セメント原料は、原料輸送設備118を通して原料ミル13に投入される。ただし、一部の高含水量のセメント原料だけは高含水原料供給設備131を経て原料ドライヤ12に投入される。粘土は原料ドライヤ12内で加熱乾燥され、その後、乾燥粘土排管132を経て原料ミル13に投入される。原料ドライヤ12および原料ミル13には、プレヒータ16の上部から高温の排ガスが、排ガスダクト21を通してそれぞれ供給されている。そのため、原料ドライヤ12内は300℃、原料ミル13内は100℃以上に保たれている。原料ミル13では、原料ドライヤ12から供給された乾燥粘土を含むセメント原料が、100℃程度に加熱されながら、多数の金属ボールによりおよそ粒度90μm以下に粉砕される。粉砕されたセメント原料は、粉砕原料輸送設備121を通って貯蔵サイロ14に投入される。
【0051】
セメント原料の一部(例えば粘土)として、ダイオキシン類およびPCBなどの有機塩素化合物、その他、有機物および塩素などを含む廃棄物(都市ごみおよび焼却灰など)をセメント原料に混入した場合、有機塩素化合物は原料ドライヤ12内で気化する。こうして気化した有機塩素化合物を含むダストは、煙道129を通って電気集塵機30により捕集される。その集塵ダストは、ダスト配送管123を通って粉砕原料輸送設備121の管内に供給され、原料ミル13内で粉砕されたセメント原料とともに、いったん貯蔵サイロ14に貯蔵される。
【0052】
次に、貯蔵サイロ14内のセメント原料は、原料粉輸送設備165を介して、有機物除去器100に投入される。すなわち、投入口103aからケーシング103の内部のつづら管104に投入されたセメント原料は、つづら管104内を下流に移送されながら、3つの加熱部105を順次通過し、ケーシング103の下部の排出口103bからプレヒータ16の上部に排出される。このとき、各加熱部105では、移送管106が円筒ジャケット107により300℃程度に加熱され、かつ回転モータ109によりスクリュー108が同期回転させられている。その結果、前記投入口103aから投入されたセメント原料は、セメント原料の排出口103bから有機除去粉配管165aを経て300℃以上になるプレヒータ16の上部に投入される。
【0053】
有機物除去器100内、具体的にはつづら管104の管内で発生した有機塩素化合物を含む熱処理ガス(排ガス)は、有機ガス分離枝管153を通して、熱源配送管150の下流端部内に送入される。これにより、熱処理ガスは、使用済みの各熱源からの排ガスと混合され、熱源排出口103eを介して、排ガス導出管156に送入される。その後、熱処理ガスは、両分岐管156a,156bを含む排ガス導出管156を通して、セメント製造設備10の内部の通常運転時に800℃以上となるプレヒータ16の下段部と、ロータリーキルン18の窯前部と、クリンカクーラ19の上流部とにそれぞれ供給され、熱分解される。
【0054】
ところで、原料工程部Aに配設された原料ドライヤ12は、予熱時にプレヒータ16の上部から発生する排ガスがそれぞれ導入され、内部温度が300℃前後となっている。そのため、ダイオキシン類は気化する。これにより、従来では、原料ドライヤおよび原料ミルなどから煙道を通って大気開放される排ガス(特にダスト)中に、有機塩素化合物が含まれていた。
一方、プレヒータの上部には、貯蔵サイロからセメント原料が連続的に投入されている。このとき、セメント原料に付着した有機塩素化合物の大半は、予め設定された通りにプレヒータ内でのセメント原料の下降に伴って熱分解されず、プレヒータの上部の熱(排ガスの熱を含む)により気化(分離)し、そのまま排ガスに混じって原料ミルなどに戻されていた。その結果、従来では、有機塩素化合物は原料工程部内で循環し、徐々に高濃度化していた。よって、原料工程部から大気開放されるダイオキシン類の量、ひいてはセメント製造設備から排出されるダイオキシン類の量が増大していた。
【0055】
これに対して、セメント製造設備10では、予熱される直前のセメント原料を有機物除去器100に投入して加熱し、セメント原料中から有機塩素化合物を除去する。その結果、前述したセメント製造の原料工程部A内での有機塩素化合物の循環を断ち切ることができ、前述した有機塩素化合物の高濃度化を抑えることができる。これにより、セメント製造設備10から排出されるダイオキシン類およびPCBなどの有機塩素化合物の排出量を、従来に比べて低減させることができる。
有機物除去器100から排出され、有機塩素化合物が除去されたセメント原料は、次に焼成工程部Bに供給され、ここでプレヒータ16の最上段のサイクロン15から、順次、下段側のサイクロン15に流下しながら最終的に800℃程度で予熱される。その後、セメント原料はロータリーキルン18の窯尻部へ投入される。
【0056】
次に、図3を参照して、この発明の実施例2に係るセメント製造設備内での有機塩素化合物低減方法を説明する。
図3に示すように、実施例2のセメント製造設備10Aは、実施例1の有機物除去器100に代えて、セメント原料を加熱し、このセメント原料中の有機塩素化合物を除去する流動床201と、流動床201の上端部に連結管202を介して連結され、有機塩素化合物が除去されたセメント原料を取り出すサイクロン203とを備える有機物除去器200を採用した例である。これにより、実施例1に比べて簡単な構造となり、メンテナンスがし易くなる。
【0057】
流動床201は、有機塩素化合物を含むセメント原料を加熱する縦置き円筒形状を有した加熱塔204と、加熱塔204の外周壁の下部に設けられ、貯蔵サイロ14からのセメント原料を塔内に投入する投入管205とを備えている。投入管205の上流部には、前記原料粉輸送設備165が連結されている。加熱塔204の底部には、図示しない多孔板が水平に設けられている。多孔板の各孔を通過して、前記3種類の熱源ガス(プレヒータ16の上部からの排ガス、ロータリーキルン18の窯前部からの排ガス、クリンカクーラ19からの排ガス)が、常時、一定の圧力で塔内に吹き上げられている。
【0058】
そのため、投入管205から加熱塔204に一定流量で投入されたセメント原料は、加熱塔204の内部空間を旋回しながら徐々に上昇する。その間、熱源ガスの熱により、有機塩素化合物が気化し、セメント原料から分離したり、有機塩素化合物が熱分解される。その後、有機塩素化合物とこれが除去されたセメント原料とは、連結管202を介して、サイクロン203に供給される。
ここで、有機塩素化合物はサイクロン203の上部から排ガス導出管156を通して、セメント製造設備10Aの内部の通常運転時に800℃以上となるプレヒータ16の下段部と、ロータリーキルン18の窯前部と、クリンカクーラ19の上流部とにそれぞれ供給され、熱分解される。一方、有機塩素化合物が除去されたセメント原料は、サイクロン203の底部から有機除去粉配管165aを経てプレヒータ16の上部に投入される。
その他の構成、作用および効果は、実施例1から推測可能な範囲であるので説明を省略する。
【0059】
ここで、実施例1のセメント製造設備10を使用したものと、従来のセメント製造設備を使用したものとを比べて、大気開放される排ガス中のPCBの減少率を調査した結果を報告する。
すなわち、フィード原料中のPCB含有量は、それまでの500ng/gから10ng/gまで低下した。また、脱塵ガス中のPCB含有量は、それまでの10000ng/Nmから250ng/Nmまで低下した。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】この発明の実施例1に係るセメント製造設備内での有機塩素化合物低減方法が適用されたセメント焼成設備の概略構成図である。
【図2】この発明の実施例1に係るセメント製造設備内での有機塩素化合物低減方法が適用されたセメント製造設備の一部を構成する有機物除去器の概略構成図である。
【図3】この発明の実施例2に係るセメント製造設備内での有機塩素化合物低減方法が適用されたセメント製造設備の一部を構成する有機物除去器の概略構成図である。
【符号の説明】
【0061】
10,10A セメント製造設備、
16 プレヒータ、
18 ロータリーキルン、
19 クリンカクーラ、
100,200 有機物除去器、
101 外部ジャケット(ジャケット)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレヒータでの予熱の直前に、粉砕後のセメント原料を有機物除去器内で加熱することにより、前記有機塩素化合物をセメント原料から分離するか、前記有機塩素化合物を分解する有機物除去工程と、
前記有機物除去器内で発生した有機塩素化合物を含む熱処理ガスを、セメント製造設備の通常運転時に800℃以上となる該セメント製造設備内の高温部に投入し、前記熱処理ガス中の有機塩素化合物を熱分解するガス熱分解工程とを備えたことを特徴とするセメント製造設備内での有機塩素化合物低減方法。
【請求項2】
前記有機物除去器内でのセメント原料の加熱温度は、300℃以上であることを特徴とする請求項1に記載のセメント製造設備内での有機塩素化合物低減方法。
【請求項3】
前記有機物除去器は、前記プレヒータのうち、前記セメント原料が投入される上部に連結され、
前記高温部は、前記プレヒータの下段部、該ロータリーキルンの窯尻部、前記ロータリーキルンの窯前部、仮焼炉、クリンカクーラの高温部のうち、少なくとも1つであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセメント製造設備内での有機塩素化合物低減方法。
【請求項4】
前記有機物除去器の熱源は、前記プレヒータの上部から排出された排ガス、前記ロータリーキルンから排出されたセメントクリンカを冷却するクリンカクーラの排ガス、前記有機物除去器に付設されたガス発生装置からの加熱ガスのうち、少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜請求項3のうち、何れか1項に記載のセメント製造設備内での有機塩素化合物低減方法。
【請求項5】
前記有機物除去器の外周壁には、前記プレヒータの上部から排出された排ガス、前記クリンカクーラからの排ガス、前記ガス発生装置からの加熱ガスのうち、少なくとも1つが供給され、かつ前記有機物除去器内のセメント原料を外部から加熱するジャケットが設けられたことを特徴とする請求項4に記載のセメント製造設備内での有機塩素化合物低減方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−63028(P2007−63028A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−213442(P2005−213442)
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【Fターム(参考)】