説明

セラミック製インサート及びその設置方法

【課題】セラミック製インサートで、埋設対象から抜け出さず、また穴に対する芯出しのため、外周面に膨出部を形成したものは、取扱いにくい上、穴に充填した接着材が、インサートを埋設する際に膨出部外周面と穴の内壁面間の隙間を通って穴の入口側へ逃げようとするので、大きな抵抗力を発生する。
【解決手段】本発明にかかるセラミック製インサート(8)は、軸線(x)上の一端に開口(1)があり、他端が壁(2)で閉塞され、内周壁面(3)にボルト螺合用の雌ねじ部(4)を備えた取付孔(5)を有する。外周壁面(6)に山径(n)の雄ねじ状部(7)を備え、該雄ねじ状部の山部(71)は該雄ねじ状部のピッチ(p)内で該壁)方向へ偏寄している。穴(22)に該インサートを押入する際、接着材(23)は該雄ねじ状部の谷部(72)を通って穴の入口(26)側へ漏出する。インサートに山部外へ突出る頂部を有するコイルばね(9)を弾発的に係合させて芯出しを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセラミック製インサート及びその設置方法に関し、殊に設置対象物に対する設置の容易性及び確実性が得られるようにしたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セラミック製インサートとして、抜け抵抗を大きくするため外周面に変径部6を形成したものが、本件出願人によって出願されている(例えば、特開2008−101441号公報)。
また、コンクリート構造物3にあけた穴3aにアンカー器具を埋設する際、接着材固定材13を流動し易くするため、アンカー器具の継手10に複数の突出部10aを設けて穴とアンカー器具間に流動路を設けたものもある(例えば、特開2002−250082号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−101441号公報(段落0027、図4、図9参照)
【特許文献2】特開2002−250082号公報(段落0014の末尾2行、0017の6〜7行、0018の4〜5行と7〜9行、図3(c)参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
セラミック製インサートの埋設対象となるコンクリート製品や構造物に穿つ穴の内径は、インサートの外径に近い方が望ましい。その理由は、(1)穴の周壁面とインサート外周面間の空積が小さいので高価な接着材の消費量を減らせ、(2)インサート挿入時に接着材はインサートの内端外壁面と穴の内端壁面間で押圧され、逃げ場を失った接着材はインサート外周面と穴の内周壁面間の空隙を通って穴の開口側へ漏れ出ようとするが、接着材の量が少ないので漏れ抵抗を減らすことができるからである。
【0005】
また、インサートは埋設用の穴に同心に、即ち芯出しして、配置されるのが、抜け抵抗が均等に作用するので望ましい。しかしながら、頭部とスリーブ部を一体成型したインサートで穴に同心に配置するための手段を備えたもの、あるいはこのインサートを穴に同心に配置する方法は開示されておらず、それらの提案が希求されている。
【0006】
特許文献1に記載の発明には以下に述べる課題がある。即ち、そこで採用されるセラミック製インサートは、抜け抵抗面を形成する変径部6や7が開口面5側の始端から終端へ連続して拡大して行くので終端部での外径が大きくなり、埋設用の穴の径も大きくせざるを得ない。そのため、穴の周壁面とインサート外周壁面間の空積が大となって高価な接着材の消費量が増えてしまう。
【0007】
特許文献2に記載の発明には以下に述べる課題がある。即ち、アンカー器具がそれぞれ別個のアンカー本体8、取付ボルト挿通体9及び継手10を組合せて構成され、アンカー本体8の雄ねじ部は継手10で遮断されて取付ボルト挿通体9に続いていない。アンカー本体8を穴3aと同心に配置するための突出部10aの側面形状は不明で、円筒状の継手10の直径上に放射状に配置されているものと推察される。突出部10aの配置は容易で、インサート挿入時に接着材が突出部10a間を流動するので抵抗の多少の軽減はできると思われる。しかしながら、圧迫された接着材が突出部10a間の間隙に一斉に流れ込もうとすることは明らかで、粘調度の低い接着材はともかく、高い接着材にあっては更なる抵抗軽減策が望まれる。
【0008】
本発明は、自身の外周壁面と穴の周壁面間の空積が小さくすることにより自身を穴へ挿入するときに接着材を低抵抗で穴の開口方向へ逃がせられ、引抜力に抵抗する接着材との接着面を広く確保できるセラミック製インサートを提供することを目的とする。
【0009】
本発明の他の目的は、簡単な構造のコイルばねの採用で埋設用の穴に同心に、即ち芯出しして、配置することのできるセラミック製インサートを提供することにある。
【0010】
本発明の更に他の目的は、簡単な構造のコイルばねの採用でセラミック製インサートを埋設用の穴に同心に、即ち芯出しして、配置することのできる設置方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(請求項1) 本発明にかかるセラミック製インサートは、軸線上の一端に開口があり、他端が壁で閉塞され、内周壁面にボルト螺合用の雌ねじ部を備えた取付孔を有する円筒状である。そして、外周壁面に山径の雄ねじ状部を備え、該雄ねじ状部の山部は該雄ねじ状部のピッチ内で該壁方向へ偏寄している。
【0012】
このインサートの外径は山径で決まり、外面に極端な大径部分が無いので、埋設用穴の内径をこのインサートの外径に近づけることができる。
【0013】
本発明のインサートは、建造物や構造物等の設置対象に穴を穿ち、この穴に接着材を充填し、インサートをこの接着材中に押込み、接着材の固化によって設置対象に埋設される。このインサートは円筒状なので、埋設用の穴の周壁面とインサートの外周壁面間の空積を必要最小限にでき、高価な接着材の使用量を減らせる。
【0014】
また、このインサートは外周壁面に雄ねじ状部を備えており、インサートの押込み作業を穴の軸線と平行に直線的に行っても、充填材は谷部を通って穴の入口方向へ逃げるので、充填材が逃げ場を失って大きな抵抗力が発生するのを阻止できる。この抵抗力を更に小さくしたければ、インサートを旋回しながら押し込めばよい。
【0015】
本発明のインサートは、更に、この雄ねじ状部の山部がそのピッチ内で該壁方向へ偏寄しているので、偏寄側と反対側、即ちインサートの開口側の面積が広くなっており、インサートに加わる引抜力をこの広い面積の部分で受けるので、十分な抜け抵抗が確保される。
【0016】
(請求項2)該雄ねじ状部は該開口側の外周で欠落し、該雄ねじ状部の谷部での谷径に適合する外径の直筒部となっていてもよい。
こうすると、インサートの開口は設置対象の表面に円形状の輪郭部内に臨出するので、雄ねじ状部が直接臨出する場合のように、外力を受けて欠けたりすることはない。
【0017】
(請求項3)該雄ねじ状部は該谷部にコイルばねが弾発的に係合しており、該コイルばねは該軸線と直交する放射線上で該山部の外方へ突出している頂部で埋設用の穴の周壁面に当接して芯出しするようになっていてもよい。
こうすると、コイルばねは該雄ねじ状部に弾発的に係合しているので、インサートを埋設用の穴に押入するときでもインサートから簡単に外れることがなく、頂部はインサートの雄ねじ状部の山部より外側に突き出ているので、インサートの穴に対する芯出しを容易にできる。
コイルばねの形状は平面視で円形、楕円形、角型等、何れでもよいが、コイルばねの太さや谷部の断面形状等の制約下で雄ねじ状部の谷部に弾発係合する内寸のあるものが必要である。
【0018】
(請求項4)該コイルばねは該軸線上で間隔を保って配置された少なくとも1対のコイルばね片となっていてもよい。
こうすると、インサートはその軸線上の少なくとも2か所で穴内に芯出し支持されるので、正確でかつ安定した芯出しが可能となる。
【0019】
(請求項5)該コイルばねは平面視が正多角形となっていてもよい。
こうすると、コイルばねはインサートのねじ部に弾発係合した状態で平面視が多少変形するが、複数の頂部が穴の内壁面に当接するので、芯出し支持が確実に行われる。
【0020】
(請求項6)この発明は請求項1に記載のセラミック製インサートの設置方法である。該雄ねじ状部の谷部にコイルばねを弾発的に係合させる。設置対象に穴を穿って接着材を入れる。治具により該セラミック製インサートを該穴に、該接着材の漏れ止を施しかつ該コイルばねの該軸線と直交する放射線上で該山部の外方へ突出している頂部と該穴の周壁面との当接で芯出しして、挿入する。そして、該接着材の固化を待って該治具を取り外す。
こうすると、該雄ねじ状部に弾発的に係合させたコイルばねによりインサートは穴内で芯出しが行われるので偏心することがなく、接着材は雄ねじ状部の谷部を通って穴の入口側に漏出するので接着材が大きな抵抗を発生することがなく、接着材はインサートの外周壁面と穴の周壁面間に均等に充満するので接着力の偏在によるインサートの抜け出しを防げる。
【0021】
(請求項7)この設置方法の場合も、該コイルばねは該軸線上で間隔を保って配置された少なくとも1対のコイルばね片となっていてもよい。
こうすると、インサートはその軸線上の少なくとも2か所で穴内に芯出し支持されるので、安定した芯出しが可能となる。
【0022】
(請求項8)この設置方法の場合も、該コイルばねは平面視が正多角形となっていてもよい。
こうすると、コイルばねはインサートのねじ部に弾発係合した状態で平面視が多少変形するが、複数の頂部が穴の内壁面に当接するので、芯出し支持が確実に行われる。
【発明の効果】
【0023】
(請求項1) 本発明のセラミック製インサートによれば、円筒状で外周壁面に山径の雄ねじ状部を備えているので、抜け抵抗の確保のため外径を大にしたアンカー部が無く、埋設用の穴の内径をこの雄ねじ状部の山径に近づけることによりインサート外周面と穴の周壁面間の空積を小さくでき、この空積を埋めるために必要な高価な接着材の使用量を減らすことができる。
【0024】
また、このインサートの雄ねじ状部は、埋設用の穴の周壁面とインサートの外周壁面間に十分な間隙が無い状態でインサートをこの穴の軸線と平行に直線的に押し込んだ際、充填材を自身の谷部で穴の入口側へ誘導するので、充填材が逃げ場を失って大きな抵抗力を発生することがない。この抵抗力を更に小さくしたければ、インサートを旋回しながら押し込めばよい。
【0025】
また、この雄ねじ状部の山部はそのピッチ内で該壁方向へ偏寄しているので、偏寄側と反対側、即ちインサートの開口側の面積が広くなっており、インサートに加わる引抜力をこの広い面積の部分で受けるので、十分な抜け抵抗を確保できる。
【0026】
請求項2によれば、該雄ねじ状部は該開口側の外周で欠落し、該雄ねじ状部の谷部での谷径に適合する外径の直筒部となっているので、インサートの開口は設置対象の表面の円形輪郭部内に臨出し、雄ねじ状部が直接臨出する場合のように、外力を受けて欠けたりすることはない。
【0027】
請求項3によれば、該雄ねじ状部の該谷部にコイルばねが弾発的に係合しており、該コイルばねは該軸線と直交する放射線上で該山部の外方へ突出している頂部を備えているので、埋設用の穴にインサートを押入するときでも該コイルばねがインサートから簡単に外れることがなく、該雄ねじ状部の山部より外側に突き出ている頂部が穴の周壁面に当接することにより、インサートの穴に対する芯出しを容易にできる。
【0028】
請求項4によれば、該コイルばねは該軸線上で間隔を保って配置された少なくとも1対のコイルばね片となっているので、インサートはその軸線上の少なくとも2か所で穴内に芯出し支持され、正確でかつ安定した芯出しが可能となる。
【0029】
請求項5によれば、該コイルばねは平面視が正多角形となっているので、コイルばねがインサートの該雄ねじ状部に弾発係合した状態でも各頂点が穴の内壁面に当接し、芯出し支持が確実に行われる。
【0030】
請求項6のセラミック製インサートの設置方法によれば、該雄ねじ状部の谷部にコイルばねを弾発的に係合させ、設置対象に穴を穿って接着材を注入し、治具により該セラミック製インサートを、該接着材の漏れ止を施しかつ該コイルばねの軸線と直交する放射線上で該山部の外方へ突出している頂部と該穴の周壁面との当接で芯出しして、該穴に挿入し、該接着材の固化を待って該治具を取り外すので、インサートが穴内で偏心することがなく、接着材は雄ねじ状部の谷部を通って穴の入口側に漏出するので接着材が大きな抵抗を発生することがなく、接着材はインサートと穴の壁面間に均等に充満するので接着力の偏在によるインサートの抜け出しを防げる。
【0031】
請求項7によれば、該コイルばねは該軸線上で間隔を保って配置された少なくとも1対のコイルばね片となっているので、インサートはその軸線上の少なくとも2か所で穴内に芯出し支持され、安定した芯出しが可能となる。
【0032】
請求項8によれば、該コイルばねは平面視が正多角形となっているので、コイルばねがインサートの雄ねじ状部に弾発係合した状態でも各頂部が穴の周壁面に当接し、芯出し支持が確実に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明にかかるセラミック製インサート8の具体例を示す半分切断正面図である。
【図2】底面図である。
【図3】本発明にかかるセラミック製インサート8に芯出し用のコイルばね9を付設したものの正面図である。
【図4】底面図である。
【図5】コイルばね9の正面図で、実線部分は図3のようにコイルばね片92及び93として使用する例を示してある。
【図6】底面図である。
【図7】設置対象21に穴22を穿った状態の断面図である。
【図8】穴22に接着材23を充填している状態の説明図である。
【図9】セラミック製インサート8を治具24に取付けて穴22に押入している状態の説明図で、穴22の入口26は適宜漏れ止25で塞がれる。
【図10】接着材23の固化により治具24をインサート8から外し、このインサート8を穴22内に残した埋設完了状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照して、説明する。
(請求項1)図1は本発明にかかるセラミック製インサート8の半分切断正面図で、軸線x上の一端に開口1があり、他端が壁2で閉塞され、内周壁面3にボルト螺合用の雌ねじ部4を備えた取付孔5を有する円筒状となっている。このインサート8は外周壁面6に山径nの雄ねじ状部7を備え、この雄ねじ状部7の山部71は雄ねじ状部7のピッチp内で壁2方向へ偏寄している。
【0035】
このインサート8の外径は山部71における山径nで決まり、抜け止めのため外面に徒に膨出部分を形成していないので、埋設用穴の内径をこの外径に近づけることができる。従って、インサート8の外周壁面3と穴22の周壁面間の空積も小さくなり、この空積を埋める接着材23の使用量を減らせるので、コストの削減に寄与する。
【0036】
また、このインサート8の外周壁面3に設けた雄ねじ状部7は、図7〜10に示すインサート8の埋設工程において、穴22の周壁面とインサート8の外周壁面6間に十分な間隙が無い状態でインサート8をこの穴22に、その軸線と平行に直線的に押し込んでも、充填材23(図8参照)は雄ねじ状部7の谷部72に誘導されて穴22の入口26側へ漏出するので、充填材が逃げ場を失って大きな抵抗力を発生することがない。この抵抗力を更に小さくしたければ、インサート8を旋回しながら押し込めばよい。
【0037】
この雄ねじ状部7の山部71はそのピッチp内で壁2方向へ偏寄しているので、偏寄側と反対側、即ちインサート8の開口1側の面積が広くなっており、インサート8に加わる引抜力をこの広い面積の部分で分散して受けるので、十分な抜け抵抗が確保される。
【0038】
(請求項2)雄ねじ状部7は開口1側の外周で欠落し、雄ねじ状部7の谷部72での谷径mに適合する外径の直筒部73となっている。
この場合、インサート8の開口1は設置対象21の表面の円形輪郭部内に臨出するので、ねじ部7が直接臨出する場合のように、外力を受けて欠けたりすることはない。
【0039】
(請求項3)図3及び図4で、雄ねじ状部7の谷部72にコイルばね9が弾発的に係合している。この弾発係合が起きる原因は、図6を参照して理解されよう。このコイルばね9は軸線xと直交する放射線r上で山部71の外方へ突出している頂部91で埋設用の穴22の周壁面に当接して芯出しするようになっている。
この場合、コイルばね9は雄ねじ状部7の谷部72に弾発的に係合しているので、インサート8を埋設用の穴22に押入するときでもインサート8から簡単に外れることがなく、頂部91が山部71より外側に突き出ているので、インサート8の穴22に対する芯出しを容易にできる。
【0040】
(請求項4)図5で、コイルばね9は軸線x上で間隔を保って配置された少なくとも1対のコイルばね片92及び93となっている。
この場合、インサート8はその軸線x上の少なくとも2か所で穴22内に芯出し支持されるので、正確でかつ安定した芯出しが可能となる。
【0041】
(請求項5)図6で、コイルばね9は平面視が正多角形となっている。
この場合、コイルばね9がインサート8の雄ねじ状部7の谷部72に弾発係合した状態でも各頂部91が穴22の内壁面に当接するので、芯出し支持が確実に行われる。
【0042】
(請求項6)この実施例は、図3、4、7〜10を参照して分かる通り、請求項1に記載のセラミック製インサート8の設置方法を示している。インサート8の雄ねじ状部7の谷部72にコイルばね9を弾発的に係合させる。設置対象21に穴22を穿って接着材23を注入する。治具24によりセラミック製インサート8を、接着材23の漏れ止25を施しかつコイルばね9で芯出しを行って、この穴22に挿入する。そして、接着材23の固化を待って治具24を取り外す。
【0043】
この場合、雄ねじ状部7に係合させたコイルばね9によりインサート8は穴22内で芯出しが行われるので偏心することがなく、接着材23は雄ねじ状部7の谷部72を通って穴22の入口26側に漏出するので接着材23が大きな抵抗を発生することがなく、接着材23はインサート8の外周壁面6と穴22の周壁面間に均等に充満するので接着力の偏在によるインサート8の抜け出しを防げる。
【0044】
(請求項7)この設置方法の場合も、コイルばね9は軸線x上で間隔を保って配置された少なくとも1対のコイルばね片92及び93となっている。
この場合、インサート8はその軸線x上の少なくとも2か所で穴22内に芯出し支持されるので、安定した芯出しが可能となる。
【0045】
(請求項8)この設置方法の場合も、コイルばね9は平面視が正多角形となっている。
この場合、コイルばね9がインサート8の雄ねじ状部7の谷部72に弾発係合した状態でも各頂部91が穴22の内壁面に当接するので、芯出し支持が確実に行われる。
【符号の説明】
【0046】
1 開口
x 軸線
2 壁
2a 円錐台面
2b 頂面
21 設置対象
22 穴
23 接着材
24 治具
25 漏れ止
3 内周壁面
4 雌ねじ部
5 取付孔
6 外周壁面
n 山径
7 雄ねじ状部
71 山部
p ピッチ
72 谷部
m 谷径
73 直筒部
8 セラミック製インサート
9 コイルばね
r 放射線
91 頂部
92 コイルばね片
93 コイルばね片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線(x)上の一端に開口(1)があり、他端が壁(2)で閉塞され、内周壁面(3)にボルト螺合用の雌ねじ部(4)を備えた取付孔(5)を有する円筒状で、
外周壁面(6)に山径(n)の雄ねじ状部(7)を備え、該雄ねじ状部(7)の山部(71)は該雄ねじ状部(7)のピッチ(p)内で該壁(2)方向へ偏寄している
ことを特徴とするセラミック製インサート(8)。
【請求項2】
該雄ねじ状部(7)は該開口(1)側の外周で欠落し、該雄ねじ状部(7)の谷部(72)での谷径(m)に適合する外径の直筒部(73)となっている請求項1に記載のセラミック製インサート(8)。
【請求項3】
該雄ねじ状部(7)の該谷部(72)にコイルばね(9)が弾発的に係合しており、該コイルばね(9)は該軸線(x)と直交する放射線(r)上で該山部(71)の外方へ突出している頂部(91)で埋設用の穴(22)の周壁面に当接して芯出しするようになっている請求項1又は2に記載のセラミック製インサート(8)。
【請求項4】
該コイルばね(9)は該軸線(x)上で間隔を保って配置された少なくとも1対のコイルばね片(92,93)となっている請求項2又は3に記載のセラミック製インサート(8)。
【請求項5】
該コイルばね(9)は平面視が正多角形となっている請求項2、3又は4に記載のセラミック製インサート(8)。
【請求項6】
請求項1に記載のセラミック製インサート(8)の該雄ねじ状部(7)の谷部(72)にコイルばね(9)を弾発的に係合させ、
設置対象(21)に穴(22)を穿って接着材(23)を注入し、
該セラミック製インサート(8)を治具(24)により該穴(22)に、該接着材(23)の漏れ止(25)を施しかつ該コイルばね(9)の該軸線(x)と直交する放射線(r)上で該山部(71)の外方へ突出している頂部(91)と該穴(22)の周壁面との当接で芯出しして、挿入し、
該接着材(23)の固化を待って該治具(24)を取り外す
ことを特徴とするセラミック製インサート(8)の設置方法。
【請求項7】
該コイルばね(9)は該軸線(x)上で間隔を保って配置された少なくとも1対のコイルばね片(92,93)となっている請求項6に記載のセラミック製インサート(8)の設置方法。
【請求項8】
該コイルばね(9)は平面視が正多角形となっている請求項6又は7に記載のセラミック製インサート(8)の設置方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−154094(P2012−154094A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13995(P2011−13995)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(591116885)ジャパンライフ株式会社 (28)
【Fターム(参考)】