説明

センサー較正装置

【課題】パソコンを用いずにコンテナ内から温度センサーの較正を行うことができるセンサー較正装置を提供することを目的とする。
【解決手段】冷凍装置収納部10のうちコンテナ本体1の内部側に設けられた基盤面32に第1表示部40,第1操作部50を設ける。芯温センサー11を芯温センサー接続部12に接続し、芯温センサー11を温度0度のアイスバスに浸ける。芯温センサー11の検出した温度が0度(基準温度)を中心として所定の範囲であれば、コントローラ20は第1表示部40にその旨表示する。ユーザは第1表示部40により芯温センサー11が検出した温度が所定の範囲であることを確認して、第1操作部50を操作して較正を実行する。コントローラ20は芯温センサー11が検出した温度が0度となるように較正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサー較正装置に関し、特に貨物の温度を測定する温度センサーの較正に関する。
【背景技術】
【0002】
貨物を輸送するコンテナには、貨物(例えば青果物等)の内部温度を測定する芯温センサーが取り付けられている。そして正確な内部温度を測定するために、貨物の輸送前には芯温センサーの較正が行われる。具体的に、作業員はパソコンをコンテナ内に持ち運び、芯温センサーが接続されたコントローラとパソコンとを接続して芯温センサーの較正を行っている。このときコンテナ内にはパソコンへと電源を供給するコンセントがないため、パソコンは内部のバッテリーや外部電源から電源の供給を受ける。
【0003】
なお、本発明に関連する技術として特許文献1が開示されている。特許文献1には、温湿度調整庫の外面に湿度センサーの較正装置を備える技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平6−229658号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数のコンテナの芯温センサーを較正しようとすると、バッテリーの容量が足りず複数のバッテリーを予め準備する必要があった。また、パソコンと外部電源とをコードで接続する態様であれば、複数のコンテナを移動しなければならないので、コードの引き回しが不便であった。
【0006】
このような問題を解決するために、コンテナ内にパソコン用のコンセントを設けることが考えられるが、冷却輸送するコンテナ内に強電のコンセントを設けることは安全上好ましくない。
【0007】
また、特許文献1に記載の技術を単純にコンテナの芯温センサーの較正に適用すると、コンテナの庫外から芯温センサーの較正を行うことになり作業上の不便性が残る。
【0008】
そこで、本発明は、パソコンを用いずにコンテナ内から較正を行うことができるセンサー較正装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るセンサー較正装置の第1の態様は、コンテナ(100)に収納される貨物の温度を測定する温度センサー(11)の較正を行うセンサー較正装置であって、前記温度センサーが検出した温度に関する情報を表示し、前記コンテナに対して前記貨物と同じ側に設けられる第1表示部(40)と、前記較正のための操作を行い、前記コンテナに対して前記貨物と同じ側に設けられる操作部(50)とを備える。
【0010】
本発明に係るセンサー較正装置の第2の態様は、第1の態様に係るセンサー較正装置であって、前記コンテナに対して前記貨物と反対側に設けられ、前記温度センサーが検出した温度を表示する第2表示部(60)を更に備える。
【0011】
本発明に係るセンサー較正装置の第3の態様は、第1又は第2の態様に係るセンサー較正装置であって、前記第1表示部は前記温度が基準温度を中心として所定の範囲に入っていること、若しくは前記温度センサーが検出した温度が定常したことを表示する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るセンサー較正装置の第1の態様によれば、コンテナ内で第1表示部を視認しつつ温度センサーの較正を行うことができ、利便性がよい。
【0013】
本発明に係るセンサー較正装置の第2の態様によれば、較正を貨物側で一旦行った後は、貨物とは反対側で温度を視認できるので利便性がよい。
【0014】
本発明に係るセンサー較正装置の第3の態様によれば、温度が定常したことを視認して温度センサーを較正できる。また、温度検出センサーが検出した温度を表示する場合と比べて簡単な構成で第1表示部を構成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(第1の実施の形態)
本発明に係る第1の実施の形態のセンサー較正装置について説明する。図1はセンサー較正装置が設けられたコンテナを示す概略構成図である。コンテナ100は、コンテナ本体1と、冷凍装置収納部10と、芯温センサー11とを備えている。
【0016】
コンテナ本体1は例えば直方体状の箱であって内部に貨物が収納される。
【0017】
芯温センサー11はコンテナ100に収納される貨物の内部温度を測定する。より具体的には、芯温センサー11は貨物の内部温度に応じた信号値を後述するコントローラ20に出力する。なお、一般的に芯温センサー11は複数設けられるので、以下の説明においては3本の芯温センサー11a〜11cが設けられていることとし、これらを区別する必要がない場合は芯温センサー11として表現する。
【0018】
冷凍装置収納部10はコンテナ本体1の一端側に設けられ、冷凍機構収納部80と、制御機構収納部90とを備えている。冷凍機構収納部80は、コンテナ本体1の内部(以下、庫内とも呼ぶ)を冷凍する冷凍機構81(例えば、図示せぬ圧縮機を有する)が収納される。制御機構収納部90はコントローラ20と、第1表示部40と、第1操作部50と、第2表示部60と、第2操作部70と、芯温センサー接続部12とを備えている。なお、芯温センサー接続部12は芯温センサー11の数に応じて設けられている。
【0019】
図2はコントローラ20の概略的な内部構成と、コントローラ20の接続状況を示す図である。コントローラ20は、メモリ21と、CPU22と、接続部23a〜23fとを備えている。CPU22は接続部23a〜23fを介して芯温センサー11、第1表示部40、第1操作部50、第2表示部60、第2操作部70、冷凍機構81とそれぞれ接続されている。
【0020】
メモリ21はCPU22と接続されており、基準温度(例えば0度)に相当する芯温センサー11の信号値が基準信号値として記録される。そして、CPU22は芯温センサー11から送信された信号値をメモリ21に記録された基準信号値で補正して貨物の内部温度を検出する。また、CPU22は第1操作部50の操作入力を受けて芯温センサー11を較正する。この点については後述する。
【0021】
第2表示部60はコントローラ20によって制御され、冷凍機構81の運転状況や庫内の状況等を表示する。コントローラ20は、例えば庫内及び庫外に設けられた、図示せぬ温度センサー等を用いて、庫内の温度、冷凍機構81の設定温度、外気温度等を第2表示部60に表示する。
【0022】
第2操作部70はコントローラ20と接続されてユーザによって冷凍機構81の設定変更等の操作入力が行われる。そして、コントローラ20は当該操作入力に従い冷凍機構81を制御する。通常、コンテナ100で貨物を輸送する場合は、庫内の状況を庫外から認識したり、設定を変更する必要があるため、図1に示すように、第2表示部60及び第2操作部70はコンテナ本体1の外部、より具体的には冷凍装置収納部10のうち庫内と反対側の面に設けられた基盤面31に設置されている。言い換えると、第2表示部60及び第2操作部70はコンテナ100に対して貨物と反対側に設けられている。
【0023】
第1操作部50はコントローラ20と接続されており、芯温センサー11の較正に関する操作入力が行われる。図3は第1操作部50の一例を示す概略構成図である。第1操作部50は、較正を開始する開始ボタン51と、較正する対象となる芯温センサー11を切り替える切替ボタン52と、較正を実行する確定ボタン53とを備えている。第1操作部50は各ボタンが押下されると、その旨をCPU22に通知する。
【0024】
第1表示部40はコントローラ20に制御されて、芯温センサー11の較正に関する情報が表示される。図4は第1表示部40の一例を示す概略構成図である。第1表示部40は、較正開始表示部41と、切替表示部42と、較正可否表示部43とを備えている。
【0025】
較正開始表示部41はLED41aを備え、較正を開始する旨を表示する。切替表示部42はLED42a〜42cを備え、いずれの芯温センサー11が選択されているのかを表示する。LED42a〜42cはそれぞれ芯温センサー11a〜11cに対応しており、例えば芯温センサー11aが選択されているときは、LED42aが点灯される。較正可否表示部43はLED43aを備え、芯温センサー11が検出した温度が基準温度(0度)を中心として所定の範囲に入ったとき、若しくは検出した温度が定常したときに点灯される。即ち、第1表示部40は芯温センサー11が検出した温度に関する情報を表示するものと把握できる。
【0026】
なお、図1に示すように、第1表示部40及び第1操作部50はコンテナ本体1の内部、より具体的には冷凍装置収納部10から見て庫内側の面に設けられた基盤面32に設置されている。言い換えると、第1表示部40と、第1操作部50はコンテナ100に対して貨物と同じ側に設けられている。なお、芯温センサー接続部12も基盤面32に設置されて、芯温センサー11から出力された信号値をコントローラ20に伝達する。
【0027】
また、冷凍装置収納部10に収納された前述の構成要素は外部電源(不図示)と接続されて、電源トランスによって個々に適切な電源が一括的に供給される。この外部電源はコンテナの冷却輸送時に用いられるものであり、後述する芯温センサー11の較正時にも接続される。
【0028】
次に、芯温センサーの較正に関する動作について説明する。まず、3本の芯温センサー11a〜11cをそれぞれ芯温センサー接続部12a〜12cに接続して、第1操作部の開始ボタン51を押下する。開始ボタン51の押下を認識したCPU22は第1表示部40のLED41aを点灯させて較正開始する旨を表示し、さらに現在選択されている芯温センサー11に対応するLEDを点灯させる。例えば芯温センサー11aが選択されていれば、LED42aを点灯させる。なお、開始ボタン51の押下したことを以て、CPU22が較正を行っている旨を第2表示部に表示しても良い。この場合、ユーザは庫外から較正を行っていることを視認できる。
【0029】
次に、選択された芯温センサー11aを基準温度(0度)であるアイスバス(清水と氷を攪拌したもの)に浸ける。CPU22は芯温センサー11aが出力した信号値を受信する。そして、メモリ21に記録された基準信号値と受信した信号値とから算出した温度が、0度を中心として所定の範囲(例えば0±0.3度)であるかどうかを判断し、所定の範囲であれば第1表示部40のLED43aを点灯させる。あるいは、CPU22は当該温度が定常したかどうかを判断し、定常すれば第1表示部40のLED43aを点灯さてもよい。
【0030】
そして、ユーザはLED43aの点灯を確認して確定ボタン53を押下する。確定ボタン53の押下を認識したCPU22は、メモリ21に記録された基準信号値を芯温センサー11aが出力した信号値で更新する。以降は芯温センサー11aが出力した信号値をメモリ21に格納された更新後の基準信号値で補正して貨物の内部温度を検出する。
【0031】
次に、ユーザは切替ボタン52を押下する。切替ボタン52の押下を認識したCPU22はLED42aを消灯して、芯温センサー11bに対応したLED42bを点灯させる。そして、芯温センサー11aと同様の動作によって芯温センサー11bの較正を行う。残りの芯温センサー11cについても芯温センサー11bと同様の動作により較正を行う。
【0032】
以上のように、ユーザはパソコンを持ち運ぶことなく、貨物側(庫内)から芯温センサー11の較正を行うことができ、利便性がよい。また、芯温センサー11の較正を行う際の電源をコンテナ100に接続される外部電源によって行うことができる。なお、必ずしもコンテナ100に外部電源を接続して芯温センサー11の較正を行う必要はなく、コントローラ20に電池を接続して芯温センサー11の較正を行う態様であっても良い。
【0033】
なお、第1表示部40はLEDの点灯/消灯によって表示するのではなく、LEDの発光色を変えて表示しても良い。
【0034】
なお、芯温センサー11は3本に限らず何本設けられても良い。また必ずしも芯温センサー11を一つずつ較正する必要はなく、一括して全ての芯温センサー11を較正してもよく、芯温センサー11のうち複数本ずつ較正する態様であっても良い。
【0035】
また、第1表示部40はLEDに限らず例えば図5に例示するようなセグメント表示部であってもよい。図5に示すように、切替表示部42は一つのセグメントを備えており、CPU22は芯温センサー11aであれば1、芯温センサー11bであれば2、芯温センサー11cであれば3を切替表示部42に表示することで、現在選択されている芯温センサー11を表示する。また、較正可否表示部43は例えば4つのセグメントを備えており、CPU22は選択された芯温センサー11から受信した信号値に基づいて温度を表示する。そして、ユーザは表示された温度が基準温度(0度)を中心として所定の範囲に含まれていること、あるいは温度が定常したことを以て較正を行う。
【0036】
但し、図4に示すようなLED表示において芯温センサー11が検出した温度が基準温度(0度)を中心として所定の範囲に含まれていること、あるいは温度が定常したことを表示する場合であれば、簡単な構成で第1表示部40を構成できる。
【0037】
(第2の実施の形態)
本発明に係る第2の実施の形態のセンサー較正装置について説明する。第2の実施の形態に係るセンサー較正装置の概略構成図は第1の実施の形態と同一である。但し、コントローラ20は、較正後の芯温センサー11a〜11cが検出した信号値に基づいて算出された温度を第2表示部60に表示する。例えば第2表示部60は4桁のセグメント表示部を芯温センサー11の数に応じて備えている。そして、コントローラ20は当該温度(即ち、芯温センサー11が検出した温度)を第2表示部60に表示する。
【0038】
従って、貨物のコンテナ輸送中にユーザは第2表示部60によって貨物の内部温度を認識でき、当該内部温度に応じて冷凍機構81の設定を変更することができる。即ち較正を貨物側で一旦行った後は、貨物とは反対側(庫外)で温度を視認できるので利便性がよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】実施の形態に係るコンテナの概略断面図である。
【図2】コントローラの内部構成及び接続状況を示す概略図である。
【図3】第1操作部の概略構成図である。
【図4】第1表示部の概略構成図である。
【図5】第1表示部の概略構成図である。
【符号の説明】
【0040】
11,11a〜11c 芯温センサー
40 第1表示部
50 第2操作部
60 第2表示部
100 コンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナ(100)に収納される貨物の温度を測定する温度センサー(11)の較正を行うセンサー較正装置であって、
前記温度センサーが検出した温度に関する情報を表示し、前記コンテナに対して前記貨物と同じ側に設けられる第1表示部(40)と、
前記較正のための操作を行い、前記コンテナに対して前記貨物と同じ側に設けられる操作部(50)と
を備える、センサー較正装置。
【請求項2】
前記コンテナに対して前記貨物と反対側に設けられ、前記温度センサーが検出した温度を表示する第2表示部(60)
を更に備える、請求項1に記載のセンサー較正装置。
【請求項3】
前記第1表示部は前記温度が基準温度を中心として所定の範囲に入っていること、若しくは前記温度センサーが検出した温度が定常したことを表示する、請求項1又は2に記載のセンサー較正装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−180614(P2008−180614A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−14566(P2007−14566)
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】