説明

タイヤ情報取得システム

【課題】タイヤ内圧やタイヤ内温度等のタイヤ情報を取得するために発生する工数や時間を少なくでき、またコストを低くできるタイヤ情報取得システムを提供する。
【解決手段】車両6のそれぞれの車輪4にはセンサモジュール3(SM1〜SM6)が取り付けられ、車両6が、通路の両側に設けられた送受信装置1(RM1)と送受信装置1(RM2)の間を通過することによって、送受信装置1(RM1、RM2)が、センサモジュール3(SM1〜SM6)からタイヤ圧力のデータを取得する。中央制御装置5は、送受信装置1(RM1、RM2)からタイヤ圧力のデータを取得し、タイヤ圧力が基準範囲内にあるか否かを判定し、車両の斜め前方に設置された表示器7に判定結果を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ内圧やタイヤ内温度等のタイヤ情報を取得するタイヤ情報取得システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車用の空気入りタイヤに充填された空気圧(内圧)が正常か否かを点検する方法として、空気圧測定器(タイヤプレッシャーゲージ)によって内圧を直接測定する方法が広く用いられている。
【0003】
さらに、近年では、タイヤ内圧やタイヤ内温度等のタイヤ状態量を測定するセンサモジュールをタイヤの内部に取り付けて、このセンサモジュールから無線通信で送信される測定データを車体側の受信モジュールで受信し、受信したデータを、複数の車両を管理する車両運行管理センターに送信するよう構成されたタイヤ空気圧監視システム(Tire Pressure Monitoring System、以下、TPMSという)を車両に搭載することが提案されている(例えば、特許文献1)。また、無線通信を利用したハンディなタイヤ内圧の読み取り機などもある。
【特許文献1】特開平10−104103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、空気圧測定器(タイヤプレッシャーゲージ)によって内圧を直接測定する方法では、タイヤの内圧は、タイヤのバルブキャップを外し、タイヤ内の空気をタイヤプレッシャーゲージに導くことで測定を行っていたため、測定の工数や時間が多く必要になるだけでなく、測定値の読み取りミス、データ表への記録ミスのためにトラブルが発生することがあった。また、作業による汚れもあった。
【0005】
また、車載式のタイヤ空気圧監視システム(TPMS)は、中低速で比較的距離が短く、一定の路線を走行するバスなどでは、走行状態の変動が少ないため常時内圧や温度等のタイヤ状態量を測定する必要性が低く、また車両コストが高くなるため不向きであった。
【0006】
また、無線通信を利用したハンディなタイヤ内圧の読み取り機は、読み取り作業が人手によるものであるので、車両台数が多く、点検頻度の高いバスなどのタイヤ内圧の読み取りには不向きであった。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、タイヤ内圧やタイヤ内温度等のタイヤ情報を取得するために発生する工数や時間を少なくすることができ、またコストを低くすることのできるタイヤ情報取得システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のタイヤ情報取得システムは、車両に装着された車輪に取り付けられてタイヤ状態量を測定するセンサモジュールと、前記車両が通過する通路の両側にそれぞれ設けられた第1および第2の送受信装置より構成され、前記車両が前記第1の送受信装置と第2の送受信装置との間を低速で通過することで前記センサモジュールから無線信号で送られてくる前記タイヤ状態量の測定データを前記第1および第2の送受信装置で受信することを特徴とする。
【0009】
前記第1および第2の送受信装置で受信した前記タイヤ状態量が基準範囲内にあるか否かを判定し、判定結果を車両斜め前方に配置された表示器に表示することが好ましく、また、前記第1および第2の送受信装置が車両の接近を検知したときに、第1および第2の送受信装置から前記センサモジュールにタイヤ状態量のデータ取得を命令することが好ましく、さらに、前記タイヤ状態量がタイヤ内圧および/またはタイヤ内温度であることが好ましい。また、前記車両は、バスやトラックなどの車幅がほぼ一定な車両であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のタイヤ情報取得システムでは、タイヤの内圧等のタイヤ情報の測定、記録、管理が全自動化されるので、タイヤ情報取得の際の工数や時間を大幅に少なくすることができる。また、車輪にセンサモジュールを取り付けるだけであるので、車載式のタイヤ空気圧監視システム(TPMS)を備える場合と比較して、車両コストを低くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明のタイヤ情報取得システムの構成を示す概略配置図である。図1において、タイヤ情報取得システムは、車両6のそれぞれの車輪4に取り付けられ、車輪4のタイヤの内圧および/またはタイヤ内温度等のタイヤ状態量の測定するセンサモジュール3(SM1〜SM6)と、車幅がほぼ一定の車両6が通過する通路の両側に車両6からほぼ一定間隔となるように設けられ、センサモジュール3(SM1〜SM6)から無線信号で送られてくるタイヤ内圧および/またはタイヤ内温度等のタイヤ状態量の測定データを取得する送受信装置1(RM1、RM2)と、車両6の接近を検知すると送受信装置1(RM1、RM2)にセンサモジュール3からのデータ取得を命令し、送受信装置1(RM1、RM2)で取得した圧力や温度のデータを集めてタイヤの圧力や温度が基準範囲内にあるか否かを判定する中央制御装置5と、車両6の斜め前方に設置され、中央制御装置5での判定結果を表示する表示器7と、取得した圧力や温度のデータを車番毎に管理するタイヤ管理装置8とから構成されている。送受信装置1(RM1、RM2)と中央制御装置5とで、測定データ読み取り装置(ゲートリーダ)9を構成している。
【0012】
センサモジュール3は、タイヤの内面に焼き付けて取り付けられ、走行中のタイヤが荷重下で変形してもタイヤから隔離したり壊れたりしないよう設けられている。また、センサモジュール3は、タイヤの内圧等を検知する検知手段、送受信装置1との送受信を司るアンテナ3aやトランスミッタ、および、これらを制御する制御手段を具えて構成される。検知手段としては、タイヤ内圧の他にタイヤ内温度を検知するものも含むことができる。なお、センサモジュール3は、タイヤ内側空間において車輪4のホイールに取り付けたり、タイヤ内側空間に別途の手段で保持したりすることも可能である。
【0013】
送受信装置1(RM1、RM2)は、センサモジュール3(SM1〜SM6)からの圧力や温度の測定データを含む無線信号を受信するアンテナ1aを備えてアンテナ1aから圧力や温度の測定データを取得する。また、送受信装置1(RM1、RM2)の内部に、車両6の接近を検知する車両検知センサ(図示せず)を備える。車両検知センサには、例えば赤外線センサ、超音波センサが用いられ、また、送受信装置1(RM1)と送受信装置1(RM2)との間で光の送受信を行い、光の送受信が絶たれた場合に車両6の存在を検知するようにしてもよい。
【0014】
図2は、中央制御装置の動作を説明するフローチャートである。中央制御装置5は、送受信装置1(RM1、RM2)の車両検知センサから車両6の接近を知らせる信号を受信すると(ステップ11)、送受信装置1(RM1、RM2)を介して全てのセンサモジュール3(SM1〜SM6)にデータ取得を命令して(ステップ12)、各センサモジュール3に圧力や温度の測定データ等を含むデータ信号を送信させ、各センサモジュール3から送信された測定データを、送受信装置1(RM1、RM2)を介して取得する(ステップ13)。さらに、中央制御装置5は、取得した全ての測定データが基準の範囲にあるかどうかを判定し(ステップ14)、運転手の斜め前方に設置された表示器7に判定結果を表示し、また、測定データをタイヤ管理装置9に送信する(ステップ15)。なお、中央制御装置5は、CPU、メモリおよびメモリに格納されたプログラム等で構成される。
【0015】
図3は、測定データ読み取り装置(ゲートリーダ)でタイヤからの測定データを実際に読み取っているときの状態を示す図である。測定データ読み取り装置(ゲートリーダ)9は、既設の洗車機10に取り付けれられており、バスやトラック等の車幅がほぼ一定の車両6が、門型に設置された測定データ読み取り装置9の送受信装置1(RM1)と送受信装置1(RM2)との間を低速で通過するだけで、タイヤ情報を取得できる。
【0016】
測定データ読み取り装置9内に備える中央制御装置5は、全てのタイヤ内圧が基準の範囲にあるかどうかを自動判定し、運転手の斜め前方に設置された表示器7にタイヤの状態を信号で表示する。例えば、表示器7が緑色であれば全てのタイヤの内圧が正常であり、黄色であればいずれかのタイヤの内圧が低下しており、赤色であればいずれかのタイヤの内圧が著しく低下していることを表す。表示器7が赤色であれば、運転手は、直ちにいずれかのタイヤが空気圧不足であることを知ることができる。測定した圧力は、コンピュータであるタイヤ管理装置(図示せず)に送信され、車番毎に自動管理される。
【0017】
なお、それぞれのセンサモジュールに識別IDを付与しておいて、送受信装置1(RM1、RM2)でタイヤの測定データを取得する際に、センサモジュールに識別IDも取得するようにすることによって、センサモジュール毎、すなわちタイヤ毎の情報を表示器7に表示するようにすることも可能である。
【0018】
本発明のタイヤ情報取得システムでは、これまでの人手によるタイヤ内圧等のタイヤ情報の測定、記録、管理が全自動化されるので、タイヤ情報取得の際の工数や時間を大幅に少なくすることができる。また、車輪にセンサモジュールを取り付けるだけであるので、車載式のタイヤ空気圧監視システム(TPMS)を備える場合と比較して、車両コストを低くすることができる。また、管理データが、直接タイヤ管理装置(コンピュータ)に記録されるので、ペーパーレスを実現できる。また、測定データ読み取り装置(ゲートリーダ)を既設の洗車機に取り付ければ設置コストを低くすることができる。さらに、運転手には、圧力管理のための新たな作業を全く発生させない。また、圧力点検がこれまで30〜40日から毎日になるため、空気圧不足による燃費ダウンや運行中の空気圧不足やパンクトラブルにも未然に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のタイヤ情報取得システムの構成を示す概略配置図である。
【図2】中央制御装置の動作を説明するフローチャートである。
【図3】測定データ読み取り装置(ゲートリーダ)でタイヤからの測定データを実際に読み取っているときの状態を示す図である。
【符号の説明】
【0020】
1 送受信装置
1a,3a アンテナ
3 センサモジュール
4 車輪
5 中央制御装置
6 車両
7 表示器
8 タイヤ管理装置(コンピュータ)
9 測定データ読み取り装置(ゲートリーダ)
10 洗車機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に装着された車輪に取り付けられてタイヤ状態量を測定するセンサモジュールと、前記車両が通過する通路の両側にそれぞれ設けられた第1および第2の送受信装置より構成され、
前記車両が前記第1の送受信装置と第2の送受信装置との間を低速で通過することで前記センサモジュールから無線信号で送られてくる前記タイヤ状態量の測定データを前記第1および第2の送受信装置で受信することを特徴とするタイヤ情報取得システム。
【請求項2】
前記第1および第2の送受信装置で受信した前記タイヤ状態量が基準範囲内にあるか否かを判定し、判定結果を車両斜め前方に配置された表示器に表示することを特徴とする請求項1に記載のタイヤ情報取得システム。
【請求項3】
前記第1および第2の送受信装置が車両の接近を検知したときに、第1および第2の送受信装置から前記センサモジュールにタイヤ状態量のデータ取得を命令することを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ情報取得システム。
【請求項4】
前記タイヤ状態量がタイヤ内圧および/またはタイヤ内温度であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ情報取得システム。
【請求項5】
前記車両は、バスやトラックなどの車幅がほぼ一定な車両であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ情報取得システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−216705(P2007−216705A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−36234(P2006−36234)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】