説明

タンパク質およびオキサゾリンポリマーまたは樹脂を含む木材接着剤

【課題】タンパク質およびオキサゾリンポリマーまたは樹脂を含む木材接着剤を提供する。
【解決手段】本発明は、天然に存在するタンパク質成分例えばダイズ粉、およびオキサゾリン官能基含有ポリマーまたは樹脂成分を含み、その2成分の固形分重量比が60:40〜98:2である木材接着剤バインダー組成物を提供する。配合される場合、組成物は40〜98重量%、好ましくは50重量%以上の天然に存在するタンパク質成分を含むことができる。好ましくは、木材接着剤バインダーはリグニンまたはリグノスルホン酸塩をさらに含む。木材接着剤バインダー組成物がリグニンまたはリグノスルホン酸塩を含む場合には、それらはより高いpH、例えば、4.5以上などでより流動性で作業性がよいままである。組成物は、1種以上のその場での酸発生剤化合物と配合され、加熱または加圧の際により素早い硬化を確実にすることができる。バインダーは機械的に信頼できる、低コストおよび生分解性複合体、例えば、中密度繊維板(MDF)の提供を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然に存在するタンパク質成分と、オキサゾリン官能基含有ポリマーまたは樹脂成分とを含む木材接着剤バインダー、並びにその木材接着剤バインダーと細かくされた木材とから形成された木材複合体に関する。より詳細には、本発明は天然に存在するタンパク質成分と、オキサゾリン官能基含有ポリマーまたは樹脂成分とを60:40〜98:2の固形分重量比で含む木材接着剤バインダー、並びにそのバインダーから形成される複合体、例えば、中密度繊維板(MDF)および低密度繊維板(LDF)に関する。
【背景技術】
【0002】
ベニヤもしくは積層家具または壁板、および内装用床張り用途のための、パーティクルボード、チップボードおよび木材複合体物品は、概して木材物質を尿素ホルムアルデヒド(UF)樹脂または、ある場合には、フェノールホルムアルデヒド樹脂で結合することにより形成されてきた。このような樹脂はそれらを使用する作業者およびそれから形成される物品の最終使用者の双方に毒性の危険をもたらす。最終製品が屋内で使用されかつホルムアルデヒドを危険な水準でガス放出しうるので、この問題は深刻となっている。
【0003】
天然のバインダー物質から木材複合体を製造し、通常、このような製品の生分解性を活用する様々な試みがなされてきた。しかし、このような複合体は製造するのにコスト高であり、かつ劣った機械的特性をもたらす。
【0004】
光洋産業株式会社の特開2003−147309号は、カルボン酸官能基を有するエチレン−酢酸ビニル(EVA)エマルションコポリマー、オキサゾリン環を有するポリマー、およびデンプン充填剤、例えば、小麦粉、米粉およびコーンスターチのブレンドから製造される接着剤を開示する。その接着剤は装飾木材プレートおよび積層物、例えば、装飾ベニヤに耐水性を付与する。しかし、光洋産業の接着剤は、約30重量%を超える天然物質を有する組成物を提供することはできず、このため、得られた接着剤は生分解性ではあり得なかった。さらに、その組成物は約70重量%以上のEVAを含み、よって天然物質の組成物と比較したときにコスト的利点をもたらすことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−147309号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、許容可能な機械的特性を有するホルムアルデヒド不含の複合体を製造するのを可能にする、木材複合体用天然物質バインダーを提供する課題を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に従って、木材接着剤バインダー組成物は、1種以上の天然に存在するタンパク質成分と、1種以上のオキサゾリン官能基含有ポリマーまたは樹脂成分とを60:40〜98:2の固形分重量比で含む。
別の実施形態においては、木材接着剤バインダー組成物は、オキサゾリン官能基含有ポリマーまたは樹脂成分と、リグノスルホン酸塩とを含み、すなわち、場合によっては天然に存在するタンパク質成分を含まない。このような組成物はオキサゾリン官能基含有ポリマーまたは樹脂成分と、リグノスルホン酸塩とを1:50〜3:1の固形分重量比の量で含むことができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
使用のために配合される場合の木材接着剤バインダー組成物においては、組成物は40〜98重量%、好ましくは50重量%以上の天然に存在するタンパク質成分を含むことができる。好ましくは、木材接着剤バインダー組成物は1種以上のリグニンまたはリグノスルホン酸塩をさらに含む。
【0009】
その反応性を向上させるために、木材接着剤バインダー組成物は4.5以下、または2.0以上のpHで配合されうる。このような組成物は1成分混合物または2成分混合物の形態をとりうる。
【0010】
流動性を保持しかつ木材接着剤バインダー組成物のオープンタイムを延ばすために、それらは4.5以上の高pHで配合されうる。加熱および/または加圧の際の、そのような木材接着剤バインダー組成物の反応性は、1種以上のその場での酸発生剤化合物、例えば、過硫酸アンモニウムを添加することにより向上されうる。
【0011】
組成物がオキサゾリン官能基含有ポリマーまたは樹脂成分と、リグニンまたはリグノスルホン酸塩との双方を含むこれらの実施形態においては、組成物は1成分としてまたは2成分混合物として、例えば、4.5以上、または6.0以上、または13.0までのようなpHで配合されうる。好ましくは、リグニンおよび/またはリグノスルホン酸塩(lignosulfonate)を含む木材接着剤バインダー組成物は、1種以上のその場での(in situ)酸発生剤化合物を含み、それにより配合される組成物が加熱および/または加圧の際により素早く硬化するのを可能にする。
【0012】
好適なオキサゾリン官能基含有ポリマーまたはオリゴマーは、重合反応固形分を基準にして10.0〜100重量%の量のエチレン性不飽和オキサゾリン官能性モノマーから製造されるオキサゾリン官能性付加ポリマー、重合反応固形分を基準にして10.0〜100重量%の量のエチレン性不飽和オキサゾリン官能性モノマーから製造されるオキサゾリン官能性付加オリゴマー、オキサゾリン官能化付加ポリマー、オキサゾリン官能化付加オリゴマー、オキサゾリン官能化樹脂およびこれらの混合物から選択されうる。好適なオキサゾリン官能性付加オリゴマーは150〜25,000の範囲の数平均分子量(Mn)を有することができる。本明細書において使用される場合、用語「重合反応固形分」は、ポリマーを製造するために使用される全てのモノマー、反応物質(例えば、プレポリマー)および連鎖移動剤をいう。
【0013】
本発明の好適なオキサゾリン樹脂は、概して10重量%を超えるオキサゾリンを有する。オキサゾリン樹脂は典型的には水可溶性または水分散性樹脂である。
【0014】
オキサゾリン官能化付加ポリマーまたはオリゴマーはカルボン酸−、エステル−、またはニトリル−官能性付加ポリマーまたはオリゴマーから、通常、ルイス酸触媒の存在下で、1種以上のβ−ヒドロキシアミン、例えば、エタノールアミンとの反応によって形成されうる。
【0015】
好ましくは、オキサゾリン官能基含有ポリマーまたはオリゴマーは、0〜100℃、好ましくは45℃以上のガラス転移温度(Tg)を有する付加エマルションまたは溶液ポリマーである。
【0016】
好適な天然に存在するタンパク質含有物質は、10〜100重量%のタンパク質を含み、0.1〜10meq/gの酸含量を有することができる。好適な天然に存在するタンパク質はダイズタンパク質単離物(soy protein isolate)、ダイズ粉、粉砕亜麻粗挽き粉(ground flax meal)、亜麻粉、麻粉、穀物からの粉、例えば、そば粉、小麦粉、特に高グルテン小麦からの小麦粉、例えば、セモリナ粉、トウモロコシ粉、マサ(masa)から選択されるものなどおよびこれらの混合物から選択されうる。好ましくは、天然に存在するタンパク質は50重量%以上のダイズタンパク質を有するダイズ粉である。
【0017】
本発明の好適なリグニンおよびリグノスルホン酸塩は、その組成物中に2重量%を超える有機酸および/またはフェノール性官能基が存在する、水可溶性または水分散性リグニンまたはリグノスルホン酸塩である。
【0018】
本発明は、100:1〜1:1、好ましくは25以下:1、または好ましくは3以上:1の重量比の、細かくされた木材物質および本発明の木材接着剤バインダー組成物から形成される木材複合体をさらに提供する。
【0019】
本発明に従った組成物は、チップボード、パーティクルボードもしくは繊維板、または配向ストランドボード、例えば、中密度繊維板(MDF)から選択されうる。
【0020】
示される全ての範囲は境界値を含みかつ組み合わせ可能である。例えば、40〜98重量%、または50重量%以上の割合は、40重量%以上で50重量%以下、50重量%以上で98重量%以下、および40重量%以上で98重量%以下の範囲を包含する。
【0021】
他に示されない限りは、全ての圧力単位は標準圧力であり、全ての温度単位は室温をいう。
【0022】
挿入句を含む全ての語句は挿入事項を含むものおよび挿入事項がないもののいずれかまたは双方を示す。例えば、語句「(コ)ポリマー」には、選択的に、ポリマー、コポリマーおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0023】
本明細書において使用される場合、「アクリル系ポリマー」はアクリラートおよび/またはメタクリラートモノマーの重合生成物を含むポリマーをいう。
本明細書において使用される場合、語句「水性」は水、水と1種以上の水混和性溶媒とを含む混合物を含む。
本明細書において使用される場合、語句「固形分の全重量を基準にして」、または「全固形分を基準にして」とは、ポリマー、界面活性剤、バインダー、木材粒子またはチップ(それに含まれる水分を除く)および充填剤または顔料の合計組成量の重量に対する重量をいう。
【0024】
本明細書において使用される場合、他に示されない限りは、語句「(コ)ポリマー」は、独立して、コポリマー、ターポリマー、ブロックコポリマー、セグメント化コポリマー、グラフトコポリマー、およびこれらの混合物または組み合わせを包含する。
本明細書において使用される場合、用語「成分」とは、1種以上の構成要素をいう。よって、例えば、タンパク質成分は1物質であるダイズ粉を含むことができ、またはそれはダイズ粉と他のタンパク質源、例えば、ダイズタンパク質単離物または小麦グルテンとの混合物を含むことができる。
【0025】
本明細書において使用される場合、用語「ガラス転移温度」または「Tg」は、ガラス状ポリマーがその温度以上でポリマー鎖のセグメント運動を受けるであろう温度を意味する。他に示されない限りは、ポリマーのガラス転移温度はフォックス式、Bulletin of the American Physical Society 1,3ページ123(1956)を用いて計算される。
【0026】
本明細書において使用される場合、用語「(メタ)アクリラート」はアクリラート、メタクリラート、およびこれらの混合物を意味し、本明細書において使用される用語「(メタ)アクリル」はアクリル、メタクリルおよびこれらの混合物を意味する。
本明細書において使用される場合、用語「オリゴマー」は、何らかのモノマーの2より多い繰り返し単位を有し、かつ2以上のオキサゾリン、酸、ニトリルまたはエステル官能基を有する分子をいう。
本明細書において使用される場合、語句「重量%」は重量パーセントを表す。
【0027】
好適なオキサゾリン官能基含有樹脂は、0〜150℃、好ましくは45℃〜75℃のガラス転移温度(Tg)を有し、下記の官能基を含有する、樹脂、オリゴマーまたはポリマー生成物を含むことができる:
【化1】

式中、Rは炭素に共有結合した分子を表し、RおよびRは水素および/または一価の炭化水素基、例えば、H、アルキル、アリールまたはシクロアルキルを表す。
【0028】
好適なオキサゾリン基含有ポリマーまたはオリゴマーは、対応するオキサゾリンモノマーを重合することにより製造されうる。好適なオキサゾリン官能化付加ポリマーまたはオリゴマー、およびオキサゾリン官能化樹脂は、オキサゾリン基を含んでいないポリマー、オリゴマーまたは樹脂を官能化し、それによりオキサゾリン官能基を好適なポリマーまたはオリゴマー骨格に直接に結合するかまたは形成することにより製造されうる。さらに、好適なオキサゾリン官能性樹脂、ポリマーおよびオリゴマーは、それらをポリ酸、例えば、クエン酸と、またはカルボン酸官能性ポリマーまたはオリゴマーと反応させることにより延ばされうる。
【0029】
好適なポリマーまたはオリゴマーはイソプロペニルオキサゾリンのようなオキサゾリン官能性モノマーを他の追加のモノマーと共重合して付加ポリマーまたはオリゴマーを形成することにより形成されうる。好適なエマルションポリマーまたはオリゴマーは、エマルションコポリマー固形分を基準にして、10.0〜100重量%、好ましくは、20〜100重量%の量のエチレン性不飽和オキサゾリン官能性モノマーから製造されうる。特に好ましいのは、2−イソプロペニル2−オキサゾリンおよび2−ビニル2−オキサゾリンにおけるような、2−オキサゾリンサブグループを含むモノマーである。好適なオキサゾリン非含有の追加のモノマーには、例えば、アクリラート、メタクリラートおよびスチレンのようなビニルモノマー群が挙げられうる。ある好適なオキサゾリン官能性エマルションコポリマーはメタクリル酸メチル(MMA)、アクリル酸ブチル(BA)、4.0イソプロペニルオキサゾリン、およびメタクリル酸アリル(AM)のコポリマーを含むことができる。
【0030】
好適なオキサゾリン官能化樹脂、オリゴマーおよびポリマーは、1種以上のβヒドロキシアミンまたはβ−ヒドロキシアミン官能性ポリマー、オリゴマーまたは樹脂を、1種以上のカルボン酸官能性ポリマー、オリゴマーまたは樹脂、例えば、オリゴ(アクリル酸)またはクエン酸、ニトリル官能性ポリマー、オリゴマーまたは樹脂、例えば、(コ)ポリアクリロニトリル、またはエステル官能性ポリマー、オリゴマーまたは樹脂、例えば、ポリメタクリル酸メチルで、縮合および環化することにより形成されうる。この実施形態の例には、ポリニトリルとエタノールアミンとの反応、またはポリメタクリル酸メチルとエタノールアミンとの縮合および環化が挙げられる。
【0031】
好ましくは、オキサゾリン官能化樹脂、オリゴマーおよびポリマーは1種以上の好適なβ−ヒドロキシアミン、例えば、エタノールアミンと、1種以上のニトリル含有ポリマー、オリゴマーまたは樹脂との反応により製造される。好適なオキサゾリン官能性付加ポリマーまたはオリゴマーの例としては、ニトリル基を水性媒体中で過剰の1種以上のエタノールアミンと、場合によっては過剰のアミン、例えばアンモニアの存在下で、反応させることによりオキサゾリン環が形成されるものがある。より好ましくは、オキサゾリン官能化樹脂、オリゴマーおよびポリマーにおけるオキサゾリン環は、ニトリル官能基含有ポリマー、オリゴマー、または樹脂において、樹脂またはポリマーのニトリル基を水性媒体中で過剰の1種以上のβ−ヒドロキシアミン、例えば、エタノールアミンと、アミンおよび/またはルイス酸触媒、例えば、AlClの存在下で反応させることにより形成される。
【0032】
別の実施形態においては、オキサゾリン官能化樹脂、オリゴマーおよびポリマーはポリマー、オリゴマーまたは樹脂にすでに存在する官能基を環化することにより(すなわち、β−ヒドロキシアミンの添加をすることなく)形成されうる。この実施形態の例には、ポリ(2−ヒドロキシメタクリルアミド)またはポリ(2−クロロメタクリルアミド)の環化が挙げられる。
【0033】
さらに他の実施形態においては、オキサゾリン官能化樹脂、オリゴマーおよびポリマーは、ポリマー、オリゴマーまたは樹脂における、次いでオキサゾリン環を形成する、対応するβ−ヒドロキシアミン基、を脱水することにより形成されうる。
さらに他の実施形態においては、オキサゾリン官能化樹脂、オリゴマーおよびポリマーは1種以上のオキサゾリン含有樹脂を付加ポリマーまたはオリゴマーのようなポリマーまたはオリゴマーに共有結合することにより製造されうる。この手法の例には、酸含有ポリマーと過剰のビス−オキサゾリン低分子との反応、またはポリ芳香族アルデヒドオリゴマーとメチルオキサゾリンとの縮合反応が挙げられる。
好ましくは、ポリマー、オリゴマーまたは樹脂は水の不在下で、およびオキサゾリン環形成の際の縮合の水を除去しつつ、官能化される。
【0034】
好適なβ−ヒドロキシアミンには、エタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンが挙げられうる。
好適なニトリル官能性樹脂には、マレイン酸ジニトリル、アジポジニトリル、オキサロジニトリル、ブタンジニトリル、コハク酸ジニトリル、アゼライン酸ジニトリル、テレフタル酸ジニトリル、フタル酸ジニトリル、およびクエン酸トリニトリルが挙げられる。
オキサゾリン官能化されうる好適なニトリル官能性付加(コ)オリゴマーまたはポリマーには、コモノマーとして(メタ)アクリロニトリルと他の追加のモノマーと(共)重合することにより製造されるものが挙げられる。
【0035】
好適なカルボン酸樹脂はポリカルボン酸およびオリゴマーであり、これには、例えば、シュウ酸、マレイン酸、ブタン二酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、テレフタル酸およびフタル酸のようなジカルボン酸;二酸とジオールまたはジエポキシドとから製造されたより大きなMwのポリエステル;クエン酸および/またはトリオールと二酸との反応生成物ポリエステルのようなトリカルボン酸;並びに、3より多い酸基を有するオリゴ(メタ)アクリル酸のようなポリマー酸が挙げられうる。
【0036】
オキサゾリン官能性付加オリゴマーの数平均分子量は150〜25,000、または好ましくは5,000以下の範囲であることができる。オキサゾリン官能化ポリマーの数平均分子量は300,000までの範囲であり得る。
別の実施形態においては、オキサゾリン官能性樹脂またはオリゴマーの分子量は多官能性オキサゾリンオリゴマーまたは樹脂と二酸および三酸または他のポリ酸との、例えば、トリアルキルスズ触媒の存在下での反応により、またはポリ酸付加ポリマーとの付加重合により増加させられうる。オリゴマーを製造するのに使用するための好適なカルボン酸は、上述のようなジカルボン酸、トリカルボン酸およびポリマー酸を含むことができる。
【0037】
本発明の木材接着剤バインダーは天然に存在するタンパク質成分およびオキサゾリン官能基含有ポリマーまたは樹脂の水性スラリーまたは分散物として形成されうる。この組成物は細かくされた木材と混合されうる。あるいは、2成分系において、1方の成分が乾燥形態の天然に存在するタンパク質成分、リグニン、リグノスルホン酸塩およびこれらの混合物から選択され、他方がオキサゾリン官能基含有ポリマーまたは樹脂の水性溶液またはエマルションを含む。2成分系においては、乾燥した天然に存在するタンパク質成分は、細かくされた木材に適用され、オキサゾリン官能基含有ポリマーまたは樹脂の水性溶液またはエマルションが、噴霧によるなどしてそれに適用される。
【0038】
本発明の木材接着剤バインダー組成物はオキサゾリン官能基含有ポリマーまたは樹脂成分および天然に存在するタンパク質成分以外の成分を含む配合物を含むことができる。しかし、木材接着剤バインダー組成物配合物における天然に存在するタンパク質の割合は40重量%以上、または好ましくは50重量%以上、および98重量%までであるべきである。
【0039】
木材接着剤バインダー組成物の配合物は、メタクリル酸メチルまたはアクリル酸ブチルのような(メタ)アクリル酸アルキルから製造されるアクリル系ポリマー;ポリ(メタ)アクリル酸;スチレンアクリラートのようなビニルポリマー、ポリ酢酸ビニルのようなビニルエステルポリマー、およびエチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)、または酢酸ビニルとアクリル系モノマーとのコポリマー;およびスチレン−ブタジエンゴム(SBR)のような、エチレン性不飽和モノマーの重合により形成された1種以上のポリマーまたはコポリマーを、全固形分を基準にして30重量%まで含むことができる。
【0040】
別の実施形態においては、木材接着剤バインダー組成物の配合物は使用の直前に1種以上の架橋剤と一緒にされうる。好適な架橋剤は、イソシアナート、アセトアセトキシ基を含むモノマーまたはポリマー、アジピン酸、メラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミン塩、アルデヒド、例えば、グルタルアルデヒド、グリオキサールおよびポリマー系アルデヒド、例えば、ジアルデヒドスターチ、および錯化剤、例えばジルコニウム塩である。好ましくは、メタクリル酸アセトアセトキシエチルのコポリマーのようなアセトアセトキシ基含有ポリマーが架橋剤として使用される。好適な架橋剤の量は20重量%まで、または0.1重量%以上でありうる。
【0041】
本発明の木材接着剤バインダー組成物の配合物は1成分または2成分系を含むことができる。配合物は、全固形分を基準にして20重量%までの量の添加物、例えば、リグニンおよびリグノスルホン酸塩のような天然のバインダー、粘度調整剤および充填剤、例えば、カオリンまたはクルミ殻粉砕物、消泡剤、殺生物剤、およびpH調整剤をさらに含むことができる。好ましくは、木材接着剤バインダーは1種以上のリグノスルホン酸塩をさらに含む。
【0042】
木材接着剤バインダーは4.5より高いpHで配合される場合にはよりゆっくりと反応する。しかし、リグノスルホン酸塩またはリグニンは、使用される場合には、オキサゾリン官能基含有ポリマーまたは樹脂成分とより低いpHで反応するであろう。硬化速度を速めるためには、バインダー系をより加熱し、より高いpHを補償することができる。
【0043】
リグノスルホン酸塩またはリグニンを含んでいない木材接着剤バインダー組成物においては、本発明の木材接着剤バインダー組成物の硬化を促進するために、木材接着剤バインダーのpHが4.5以下、または2.0以上のpHで配合されうる。好適なpH調整剤にはポリカルボン酸、例えばクエン酸、および鉱酸、例えば硫酸が挙げられうる。このようなpHで、天然に存在するタンパク質、例えば、ダイズタンパク質はカチオン性になり、オキサゾリン−基含有ポリマーまたは樹脂成分との混合物は安定なままであろう。このようにプロトン化されたオキサゾリン官能基含有ポリマーまたは樹脂成分は、天然に存在するタンパク脂質成分のカルボキシル官能基と反応するであろう。よって、酸は使用の直前に木材接着剤バインダー配合物に添加されることができるか、または2成分配合物においては酸はオキサゾリン官能基含有ポリマーまたは樹脂とは別に保持されうる。
【0044】
反応性を促進するために、1種以上のその場での(in situ)酸発生剤が、4.5以上のpHで配合された木材接着剤バインダー組成物において使用されうる。好ましくは、その場での酸発生剤は、リグノスルホン酸塩またはリグニン含有木材接着剤バインダー組成物の安定流体1成分配合物を配合するために使用されうる。このような配合物は、組成物が木材粒子に適用され、加熱または加圧され、酸を発生して、オキサゾリン官能基含有ポリマーまたは樹脂成分と天然に存在するタンパク質成分および/またはリグノスルホン酸塩との反応を促進させるように、4.5以上、または好ましくは6.0以上のpHを有することができる。
【0045】
好適なその場での酸発生剤成分には、金属過硫酸塩、アンモニウム過硫酸塩、有機熱的酸発生剤、例えば、ヘキサフルオロアンチモン酸トリフェニルスルホニウム、レドックス触媒カップル、例えば、酸化剤、例えば、過酸化水素または過硫酸塩と混合された亜硫酸水素塩、並びに酸−アミン塩化合物が挙げられうる。その場での酸発生は、過硫酸塩またはレドックスカップルを加熱し、酸を発生させることにより達成されうる。レドックスカップルを使用する場合には、好ましくは、レドックスペア成分の1つは木材粒子に添加する直前まで貯蔵され、時期尚早な酸発生を妨げる。
【0046】
好適な酸−アミン塩化合物はアミンを水に添加し、その水性アミンに酸を添加することにより製造されうる。アミンの例としては、例えば、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、トリブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、エチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミンおよびモルホリンが挙げられうる。酸の例には、例えば、無機酸、例えばリン酸、亜リン酸、塩化水素酸、硫酸、硝酸など;および有機酸、例えば、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などが挙げられうる。酸−アミン塩化合物は、バインダー全固形分に基づいて、合計量0.1〜15重量%で添加されうる。
【0047】
本発明の組成物がリグノスルホン酸塩を含む実施形態においては、組成物の流動性を確実にするために、より高いpHがより良好である。その強酸基により所望の配合物pHでアニオン性である、プロトン化されたオキサゾリン官能基含有ポリマーまたは樹脂成分、およびリグノスルホン酸塩を、低いpHが沈殿させうる。これを妨げるために、オキサゾリン官能基含有ポリマーまたは樹脂成分およびリグノスルホン酸塩は、木材粒子への添加前に一緒に混合されない別々の成分として、すなわち、2成分系として配合されうる。
【0048】
全バインダー固形分に基づいて10重量%の水性過硫酸アンモニウムをその場での酸発生剤化合物として有する初期試験において(固形分を基準にして、62.5重量%のリグノスルホン酸塩および37.5重量%のWS−700の混合物)、良好な性能の板が達成された。10%過硫酸アンモニウムを有するリグノスルホン酸塩/WS−700ブレンドの初期pHは6.2であった。加圧温度において、過硫酸塩はサルフェート基アニオンへの分解について短い半減期を有し、これらのラジカルによる水素原子引き抜きが、次いで硫酸水素、強酸を生じさせる。
【0049】
硬化した板のpHの測定値は、パーティクルボードの片を特定の重量の水に浸漬し、水性相のpHを測定することにより得られうる。この方法で測定される場合、10%の過硫酸アンモニウムは、4.3重量%(全バインダーを基準にして)の硫酸がpH調整剤として使用された板のpHに等しいpHを有する板を与える。
【0050】
本発明の複合体は、チップボード、パーティクルボードまたは繊維板、および配向ストランドボードから選択されうる。好適な繊維板のある例は、中密度繊維板(MDF)である。
複合体を製造するために、木材接着剤バインダー組成物が、1種以上の異なる種類の木材の繊維物質、チップ物質、または粒子物質から選択される細かくされた(finely divided)木材と混合される。本明細書において使用される場合、用語「木材チップ」には、チップ、削りくず、フレーク、おがくず、およびあらゆる類似の細かくされた木材ベースの物質が挙げられる。好適な細かくされた木材物質の水分含有量は0〜20重量%、好ましくは10重量%まで、またはより好ましくは1〜8重量%の範囲であり得る。
【0051】
細かくされた木材対木材接着剤バインダー組成物の重量比は好適には、100:1〜1:1、好ましくは25以下:1、または好ましくは3以上:1である。
【0052】
本発明に従って組成物を形成する方法は、木材接着剤バインダー接着剤組成物と細かくされた木材とを混合し、続いて加圧することを含む。加圧は好適に高温で起こる。パーティクルボード、チップボードおよび繊維板製品のためには、加圧温度は20〜250℃、最も好ましくは70〜200℃の範囲であり得る。積層床材またはベニヤ床材製品のような積層製品については、好ましい加圧温度は70〜約175℃の範囲であり得る。
【0053】
低い加圧温度は概して長い加圧時間を必要とするように、加圧時間および加圧温度は関連している。生産される木材ベースの製品も好適な加圧温度および加圧時間を決定する。好適な加圧時間は10秒〜60分、または好ましくは30秒以上、または30分まで、または最も好ましくは1分以上、または5分までの範囲であり得る。
【0054】
本発明の木材ベースの製品は床材物質、ベニヤ家具物質、壁パネル、または複合体製品、例えば、パーティクルボード、繊維板、チップボード、配向ストランドボードなどでありうる。本発明の木材ベースの製品は、好ましくはベニヤ家具物質、ベニヤ床材、積層床材またはパーティクルボードである。
【実施例】
【0055】
木材原料(furnish)のサンプル(細かくされた木材)はふるいにかけられ、所望の粒子サイズの物質を単離し、より大きな粒子を#10メッシュスクリーンを用いてふるいにかけて除き、かつ微細な粒子を#60メッシュのスクリーンを用いて除去した。木材原料は約5%の水分含有量を有していた。
【0056】
パーティクルボードサンプルは、約360グラムの木材原料/バインダーブレンド(木材固形分に対して8重量%バインダー)をアルミニウムプレート上の280mm×280mm×64mm(11’×11”×0.25”)のアルミニウムプレ型シッティングに移すことにより製造された。スパチュラが使用されて、プレ型の内容物を平坦にして、Plexiglas(商標)(アルケマ、コロンベス、フランス)プラスチックタンパーを用いて木材原料/バインダーブレンドの上面に穏やかな圧力をかけた。プレ型はアルミニウムシム(64mm、0.25”)を残して取り外され、最終的な板厚みを制御した。その組立物は自動化実験室液圧プレス(Carver,モデル#4533、ワバシュ、インディアナ州)に移された。加圧プラテンは180℃に保持され、3分間維持された13600Kg(30000 lbs)のクランプ力を用いて加圧が達成された。次いで、圧力が開放され、板がプレスから取り外され、金属テーブル上で冷却され、次いで、破壊試験にかけられた。
【0057】
破壊試験:板はまず、帯のこを用いて試験片に切断されて、曲げ強度測定(弾性係数、MOE、および破壊係数、MORの測定)のために8つの25mm×130mm(1”×5”)片が得られ、厚み膨潤測定のために4つの51mm×51mm(2”×2”)片が得られ、内部結合強度測定のために4つの51mm×51mm(2”×2”)片が得られた。これらの試験はASTM D1037−06a(2007年5月10日)に従ってなされた。加圧された板の最終水分含有量を、105℃のオーブン中で72時間後の水の重量損失を測定することによって決定するためにスクラップ片が使用された。
【0058】
実施例1:ダイズ粉/オキサゾリン官能性ラテックスバインダー
バインダーA:ダイズ粉/オキサゾリン官能性ラテックス湿潤ブレンドは、まず、〜20%イソプロペニルオキサゾリンの重合生成物を含む市販のオキサゾリン官能性ラテックス(40重量%固形分)、Epocros(商標)K−2020E(日本触媒、大阪、日本国)30グラムを78グラムの水で希釈することにより製造された。この混合物は、プロペラスターラーを備え付けたオーバーヘッドスターラーを用いて、渦を作り出すのに充分な速度で撹拌され、次いで、20グラムのダイズ粉(Cargill Prolia100/90、ミネアポリス、ミネソタ州)がポーション的に混合物に撹拌しつつ添加され、バインダーAを製造した。得られた混合物のpHは6.5であった。水が添加されて、最終バインダー固形分を25%に調節した。最終固形分調節のまえに、硫酸または水酸化ナトリウムの水溶液をブレンドに添加することにより様々なpHでのブレンドが得られた。
ダイズ粉単独の対照バインダーが同様の方法で製造された。標準的な尿素ホルムアルデヒド(UF)樹脂対照バインダーも市販のUF樹脂(Casco Resin、CR583、(Hexion Specialty Materials、コロンバス、オハイオ州)を水で希釈し、塩化アンモニウム(UF樹脂固形分を基準にして2%)酸触媒を添加することにより製造された;UF対照バインダーの最終固形分は49.2%であった。
【0059】
パーティクルボード原料およびバインダーブレンドは、まず木材原料(FPイノベーションズ−フォリンテクディビィジョン、ケベック、カナダ)(350グラム)をキッチンスタイル混合ボウルに入れることにより調製された。そのボウルはキッチンミキサー(Kitchen Aid、アーティサンモデル、Division of Whirlpool、ベントンハーバー、ミシガン州)上に置かれ、3ブレードパドルを用いて穏やかな撹拌が提供された。上述のように製造された湿潤ブレンドはピペットを用いて添加され、最終バインダー固形分重量は8%であった(乾燥バインダー重量および乾燥木材重量を基準にして)。パーティクルボードサンプルは一般方法セクションに記載されるように製造され試験された。結果は以下の表1に示される。
【0060】
【表1】

【0061】
実施例1において示されるように、バインダー全固形分を基準にして67.5重量%のダイズ粉を用いてさえ、2.0の配合物pHにおいて、木材バインダー接着剤は優れた弾性係数、破壊係数、および膨潤特性、並びに良好な結合強度をもたらす。より高い配合物pHにおいてさえ、木材バインダー接着剤は良好な弾性係数、破壊係数および膨潤特性をもたらすが;膨潤はより低い配合物pHで向上する。
【0062】
実施例2:ダイズ粉/オキサゾリン官能性水性溶液ポリマーバインダー
パーティクルボード原料/バインダーブレンドは、まず350グラムの木材原料(FPイノベーションズ−フォリンテクディビィジョン)および25グラムの乾燥ダイズ粉(Cargill Prolia100/90)をキッチンスタイル混合ボウルに入れることにより調製された。そのボウルはキッチンミキサー(Kitchen Aid、アーティサンモデル)上に置かれ、3ブレードパドルを用いて穏やかな撹拌が提供された。希釈(25%)水性硫酸0.23グラムが、撹拌混合物に添加された。木材と共にその場でバインダーBを製造するために、50重量%のイソプロペニルオキサゾリンの重合から製造された2,700のMnを有する市販のオキサゾリン官能性水溶液ポリマー、Epocros WS−700(日本触媒)5.3グラムを、54グラムの水で希釈し、ピペットで酸性化木材/ダイズ粉混合物に添加した。最終混合物は8%のバインダー固形分重量(乾燥バインダー重量および木材固形分重量を基準にして)を有しており、ダイズ粉対WS−700乾燥重量比は95:5であった。最終水分含有量は17.5%であった。
同様の方法で、ダイズ粉対WS−700の別の比率のブレンドが製造された。これらのブレンドにおいては、最終的な全バインダー量は8%に維持され、水分含有量は17.5%に維持された。使用されるWS−700の1グラムごとに、25%溶液の硫酸が0.04グラムで使用され、約3.5のpHをもたらした。また、同様の方法で、ダイズ単独の対照バインダーが製造された。標準的な尿素ホルムアルデヒド(UF)樹脂対照バインダーを使用するブレンドも、市販のUF樹脂(Casco Resin、CR583)を水で希釈し、塩化アンモニウム(UF樹脂固形分を基準にして2%)酸触媒を添加し、その混合物を木材原料に添加することにより製造された。パーティクルボードサンプルは一般的方法セクションに記載されるように製造および試験された。結果は以下の表2に示される。
【0063】
【表2】

【0064】
硫酸と配合される場合には、実施例2の木材接着剤バインダーは、バインダー固形分を基準にして80重量%、および95重量%までのダイズを用いてでさえ、良好な機械的および膨潤特性を示す。
【0065】
実施例3:リグノスルホン酸塩/オキサゾリン官能性水性溶液ポリマーバインダー
パーティクルボード原料/バインダーブレンドは、まず350グラムの木材原料(アメリカンウッドファイバーズ、コロンビア、メリーランド州)をキッチンスタイル混合ボウルに入れることにより調製された。そのボウルはキッチンミキサー(Kitchen Aid、アーティサンモデル)上に置かれ、3ブレードパドルを用いて穏やかな撹拌が提供された。希釈(25%)水性硫酸4.8グラムが、撹拌木材原料に添加された。木材と共にその場でバインダーCを製造するために、33グラムのリグノスルホン酸塩(Arbo(商標)S01 Tembec Inc.モントリオール、カナダ)および市販のオキサゾリン官能性水溶液ポリマーEpocros WS−700(日本触媒)40グラムを、それぞれ約15グラムの水で希釈し、ピペットで酸性化木材原料に逐次的に添加した。バインダーCは8%のバインダー固形分重量(乾燥バインダー重量および乾燥木材重量を基準にして)を有しており、リグノスルホン酸塩対WS−700乾燥重量比は62.5:37.5であった。最終水分含有量は約22%であった。
同様の方法で、リグノスルホン酸塩単独の対照バインダーが製造された。標準的な尿素ホルムアルデヒド(UF)樹脂対照バインダーを使用するブレンドも、市販のUF樹脂(Casco Resin、CR583)を水で希釈し、塩化アンモニウム(UF樹脂固形分を基準にして2%)酸触媒を添加し、その混合物を木材原料に添加することにより製造された。パーティクルボードサンプルは一般的方法セクションに記載されるように製造および試験された。結果は以下の表3に示される。
【0066】
【表3】

【0067】
実施例3バインダーは、配合物がオキサゾリン官能基含有樹脂またはポリマー成分とリグノスルホン酸塩とを含む場合に、UF対照と比較して、優れた機械的、膨潤および結合強度特性をもたらす。リグノスルホン酸塩対照において示されるように、オキサゾリン官能基含有樹脂またはポリマー成分を使用しなければ、ボードは水中で崩壊する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上の天然に存在するタンパク質成分と、1種以上のオキサゾリン官能基含有ポリマーまたは樹脂成分とを60:40〜98:2の固形分重量比で含む木材接着剤バインダー組成物。
【請求項2】
組成物が4.5以下、または2.0以上のpHを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
バインダー組成物が1種以上のその場での酸発生剤化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
リグニンまたはリグノスルホン酸塩をさらに含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
オキサゾリン官能基含有ポリマーまたは樹脂成分が、重合反応固形分を基準にして10.0〜100重量%の量のエチレン性不飽和オキサゾリン官能性モノマーから製造されるオキサゾリン官能性付加ポリマー、重合反応固形分を基準にして10.0〜100重量%の量のエチレン性不飽和オキサゾリン官能性モノマーから製造されるオキサゾリン官能性付加オリゴマー、オキサゾリン官能化付加ポリマー、オキサゾリン官能化付加オリゴマー、オキサゾリン官能化樹脂およびこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
天然に存在するタンパク質含有物質が10〜100重量%のタンパク質を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
天然に存在するタンパク質がダイズタンパク質単離物、ダイズ粉、粉砕亜麻粗挽き粉、亜麻粉、麻粉、穀物からの粉、およびこれらの混合物から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項8】
1種以上のリグノスルホン酸塩成分と、1種以上のオキサゾリン官能基含有ポリマーまたは樹脂成分とを含む木材接着剤バインダー組成物。
【請求項9】
請求項1の木材接着剤バインダー組成物および細かくされた木材物質から形成され、前記細かくされた木材物質対前記木材接着剤バインダーの重量比が100:1〜1:1である木材複合体。
【請求項10】
チップボード、パーティクルボード、繊維板および配向ストランドボードから選択される、請求項9に記載の木材複合体。

【公開番号】特開2010−65214(P2010−65214A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−185616(P2009−185616)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】