説明

ダイアフラム式薬剤ポンプ

本発明の実施の形態は、脳、消化器官、心臓、または血管内の選択された目標組織部位またはその他の選択された部位に対し精密に管理された投薬量の薬剤を配送することができる埋込み可能なダイアフラム式薬剤ポンプを用いて、薬剤を配送するための装置、システムおよび方法を提供する。上記ポンプの種々の実施の形態は、目標組織部位に対し迅速に薬剤を配送することができる多室ベローズ式またはダイアフラム式薬剤ポンプを含む。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本願は、2008年9月22日付けで提出された米国仮特許出願第61/099,196号に優先権を主張した出願であり、この優先権出願の内容の全てが引用されて本明細書に組み入れられる。
【技術分野】
【0002】
本発明の実施の形態は薬剤ポンプに関し、より詳細には、埋込み可能なダイアフラム式薬剤ポンプに関するものである。
【背景技術】
【0003】
多くの診療において、患者の他の組織、臓器、または局部に対する薬剤の毒性または障害を避けるために、患者の特定の患部へ薬剤を供給する埋込み可能な薬剤ポンプが通常的に用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、多くの場合に、例えば頭蓋内への薬剤配送に関し、薬剤ポンプは、サイズおよび所要電力のために実用的でない。それ故に、改良された埋込み可能な薬剤ポンプを必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の複数の実施の形態は、脳、消化器官、心臓、血管、背柱およびその他の部位を含むがこれらに限定されない身体内の目標部位に対し、投薬量を精密に管理された薬剤を配送するために埋込み可能なダイアフラム式薬剤ポンプを用いるための装置、システムおよび方法を提供するものである。
【0006】
本発明の複数の実施の形態は、脳、背柱、消化器官、肺、心臓または血管等の選択された目標組織部位に対し、投薬量を精密に管理された薬剤を配送することができるダイアフラム式薬剤ポンプを用いて種々の薬剤を配送するための装置、システムおよび方法を提供するものである。また、身体全体に亘る種々の皮下および筋肉内部等の他の目標組織部位も考えられる。種々の実施の形態は、目標組織部位に対し薬剤を迅速に配送することができる多室ベローズ式その他のダイアフラム式ポンプを含む。
【0007】
目標組織部位へ薬剤を配送するためのダイアフラム式ポンプの一つの実施の形態は、第1室、第2室および第3室を備えている。これとは異なる室数も考えられる。上記第1室は、ダイアフラム部分および抵抗加熱素子を備えている。上記ダイアフラム部分は、室の対向する二つの壁に組み込まれ、一般にこの室が圧力変化に伴って収縮しかつ膨張するのを可能にするベローズまたはその他の関節で繋がった構造を備えている。これは第2および第3室の場合についても同様である。上記抵抗加熱素子は、コントローラと、この素子に出力信号を提供する電源とに接続されている。上記第1室はまた、ヘリウム等の不活性ガスで満たされている。上記第2室は上記第1室に連結され、かつ壁によって隔離されている。上記第2室もまた、ベローズその他のダイアフラム部分を備えているのみでなく、上記隔壁に結合されたピストンバルブを備えている。この第2室はまた、カテーテルまたは配管等のチャネルによって薬剤タンクに結合されている。このタンクは、液体または固形物であり得る薬剤と、薬剤および固体または液体の形態であり得る種々の他の複合物を含む薬剤媒体を含む薬剤を収容している。液体形態に関しては、薬剤は薬剤溶液中に溶解されている。この溶液は、薬剤のみでなく、選択された溶液のpHを維持するための防腐剤、乳化剤、可溶化剤および緩衝剤等の当業者に知られている医薬品添加物を含んでいてもよい。薬剤の固体形態は粉末またはペレットを含むことができる。上記第3室もベローズその他のダイアフラム部分を備え、かつシャフトその他の機械的連結機構によって上記ピストンバルブに機械的に連結された一方向バルブを備えている。この一方向バルブは、先端部が目標組織部位内またはその近傍に配置されたカテーテルまたは他のチャネルに接続され、または系統的に薬剤を配送するために血管または動脈に連結されることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1A】非配送状態にある本発明の実施の形態によるダイアフラム式薬剤ポンプを示す。
【図1B】配送状態にある本発明の実施の形態によるダイアフラム式薬剤ポンプを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1Aおよび図1Bは、ユーザーの体内の目標組織部分に薬剤を配送するためのダイアフラム式ポンプを示す。図1Aにおいては、ポンプ10が非配送状態にあるものとして示され、図1Bにおいては、ポンプ10が配送状態にあるものとして示されている。非配送状態においては、ポンプ10が、薬剤を患者の体内へ配送するために起動されることが可能な、すなわち信号を受信することが可能な状態にある。さらに図1Aを参照すると、本発明の実施の形態は、第1室20、この第1室に隣接して設けられた第2室30、およびこの第2室内に設けられた第3室40を含む結合された複数の膨張可能な室を備えている。第1室20は、ダイアフラム部分25と、熱源27によって加熱され得る第1室20内の容積とを備えている。一つの実施例において、上記熱源27は抵抗加熱素子に相当する。この熱源27は、出力信号を用いて第1室20をそれが加熱されるように起動する電源28によって制御されかつ加熱される。高周波エネルギー源、マイクロウェーブエネルギー源、ペルティエ効果熱源、光学的エネルギー源(例えば赤外線)、化学的エネルギー源およびその他の当業者間で知られている熱源等の他の熱源27が代わりに用いられてもよい。
【0010】
一つまたは複数の実施の形態によれば、各室20,30または40は、各室のベローズ、すなわち折り畳まれまたは伸長可能な区間によって膨張可能である。一つの実施の形態において、第1室20のダイアフラム部分25は、ベローズ26またはその他の関節で繋がった部分を備えている。動作時には、第1室20には、第1室20の長さを増大させるようにベローズ26を膨張または伸長させるために十分に膨張性を有するヘリウム等の不活性ガスが満たされる。
【0011】
第2室30は、その頂面が第1室20に隣接しかつ接触するように配置されている。この第2室は、その少なくとも一部分が壁31によって第1室20から隔離されている。第2室30も、この第2室30の両側壁のベローズ部分すなわち変形可能部分によって形成されているダイアフラム部分35を備えている。このダイアフラム部分35は、第2室30の頂面と底面との間の両側壁に形成されている。上記底面において、第2室30は、薬剤貯蔵タンク50へ延びているチャネル51に連結されている。チャネル51への流量を制御しかつ逆流を阻止するバルブ52が配置されている。
【0012】
一つの実施の形態において、第2室30は、この第2室30の頂面から内方へ延びるピストンバルブ32を備えている。このピストンバルブ32は、第1室20が備えている隔壁31の動きと一致して内方へ(すなわち底面およびチャネル51に向かって)移動するように構成されている。実施例によっては、隔壁31の動きに応じて内方へ移動する1個以上のバルブが配置される。
【0013】
第3室40は、第2室30の底面から延びて第2室30の一部を占めている。この第3室40は、膨張状態にある場合において所定量の薬剤を保持する寸法を有する。図示のように、第3室40は、第2室30の膨張と一致して膨張するように(非配送状態で双方が膨張するように)第2室30に関連して構成されている。この第3室40は、薬剤を取り込み、かつ吐出するのに用いられる。したがって、第3室40は取入れ口(例えば開口部)と、薬剤がそこを通って吐出される出口とを備えている。このため、この第3室40は、薬剤取入れ口として機能する開口部41と、薬剤がそこから吐出される出力バルブ42とを備えている。一つの実施の形態によれば、ピストンバルブ32が降下したとき、ピストンバルブ32が開口部41を塞ぐことによって第3室40が効果的に密閉すなわち閉塞されるように、開口部41がピストンバルブ32と整列されている。第3室40の出力バルブ42は、薬剤がそこを通って吐出される導管43を備えている。患者の目標部分へ間接的な薬剤流を導くためのカテーテル43または他の導管が出力バルブ42から延びていてもよい。
【0014】
図1Bは、配送状態にあるポンプ10を示す。この配送状態においては、熱源27によってガスが加熱された結果、第1室20が膨張せしめられる。この第1室20は、第1の長さD(非配送状態)から第2の長さD(配送状態)まで伸長される。一つの実施の形態によれば、薬剤ポンプ10の頂部および底部の境界は、非配送状態と配送状態との双方において薬剤ポンプの全長寸法が実質的に保てるように構成されている。その結果、第1室20の膨張は、隔壁31の変位と一致して、第2室30を同じ量だけ収縮させる。ピストンバルブ32と第3室40の開口部41との間の離間距離は、第1室20の膨張の結果としての第2室30の収縮量よりも短く設計されている。その結果、第2室30が収縮せしめられるときにピストンバルブ32が第3室40を押圧して、第3室40を或る距離だけ収縮させる。さらに説明されているように、第3室40の収縮の結果としての寸法の縮小量は、第3室40からバルブ42内へ、さらにカテーテル43を通じた患部への所望の薬剤の配送量に対応するように選択されている。
【0015】
図1および図2の双方を参照すると、ポンプ10が動作しているとき、非配送状態においては、第1室20が非膨張状態にあり、第2室30が膨張状態にあり、かつ第3室が膨張状態にある。動作時でかつ非配送状態においては、第2室30は、薬剤タンク50からの薬剤で少なくとも或る程度満たされている。一つの実施の形態において、ポンプ10が配送状態から非配送状態に移行する(第2室30が非配送状態へ膨張せしめられることを意味する)結果としての減圧すなわち吸引力によって、第2室30内に薬剤が満たされる。一つの実施例において、ポンプ10が使用のために最初に連結されたときには、ポンプは配送状態にあって、かつ第1室20を収縮させ、かつ第2室30を膨張させるのに自然膨張が用いられる。これに代わり、またはこれに加えて、かつ後述されているように、上記複数の室を形成している材料は、配送状態にされた(薬剤の配送のために)後は、非配送状態に向かって付勢されかつ戻るように構成されている。何れの場合においても、室が配送状態から非配送状態への移行は、液状の薬剤をタンクから効果的に吸引して、第2室30に(そして最終的に第3室40に)或る程度薬剤が満たされる。さらにこれに代わり、またはこれに加えて、第2室30が伸長される(または伸長状態へ移行する)ときのタンク50から第2室30への薬剤の流れを容易にするために、タンク50がバルブ52に対して圧力を提供するように、タンク50の大きさが設定されかつ位置決めされる。
【0016】
第1室20が膨張せしめられたときに非配送状態から配送状態への移行が生じる。上述のように、第1室20が膨張すると、第1室の隔壁31が外方へ移動して、第2室30を強制的に収縮させる。隔壁31の移動に伴って、ピストンバルブ32が移動して第3室の開口部41に押し付ける(第3室を密閉するために)。同時に、第2室30の収縮により、より多くの薬液(または固形物)が開口部41を通じて第3室40内へ押し込まれる。第1室20が最大動作容積まで膨張するのにつれて、ピストンバルブ32が第3室40を押圧して下方へ収縮させる。第3室40の寸法の縮小により、薬液がバルブ42を通って第3室40の外へ強制的に押し出され、かつカテーテル43(または他の導管)を通じて患部すなわち目標部位へ押し出される。一つの実施の形態において、第3室40は、配送されるべき薬剤の量すなわち各回の投薬量に相当する容積だけ収縮するように構成されていればよい。使用時に、いくつかの実施の形態は、第3室40が、選択された目標組織部分に配送される薬剤の管理された投薬量を計量する計量室または計量素子として機能することを可能にする。
【0017】
一つの実施の形態によれば、薬液の配送後の短い時間内に、第1室20のガスが冷え、その結果、第1室のベローズ26は非付勢状態すなわち自然状態に弾性的に復帰する。このことが今度は隔壁31を上方へ押し上げ、第2室30を自然状態、すなわち非膨張状態に復帰させる。このことが今度はピストンバルブ32を第3室40の開口部41から引き上げる。ほぼ同時に、第2室30(および/または第3室40)の膨張が減圧を生じさせ、この減圧により、次のポンピング・サイクルに使用するための薬剤がタンク50から第2室および/または第3室内へ吸引される。
【0018】
制御された熱源に用いるために、加熱素子27は所定の持続時間(短い持続時間を含む)に亘って周期的に、または反復的に作動されるように構成されている。一つの実施の形態において、周期的動作は、配送されるべき薬剤の選択された期間に亘る持続的なまたは近持続的な投薬を可能にする。通電率の制御は、各室がその自然な休止状態に跳ね返るまたは戻るのに十分な時間を許容しながら、選択された期間に亘る薬剤の管理された配送を可能にするのに用いることができる。
【0019】
一つまたは複数の実施の形態によれば、ポンプ10は、例えば十分の一秒または百分の一秒以下の極めて短い時間内に薬液を配送することを保証することができる。この迅速な応答は、癲癇発作、片頭痛、または心臓麻痺の発作等の生体事象の発生または切迫した発生を示す入力信号の直後に薬剤を配送することを可能にする。例えば癲癇発作の場合には、抗癲癇薬等の薬剤の迅速な配送が、癲癇発作を現実に防止または緩和することができる。適当的な抗癲癇薬は、フェニトインナトリウムおよびフロセミドを含むが、これらに限定されない。別の実施の形態においては、ポンプ10は、血流内への、筋肉注射での、または肺内へのインスリン(液状または固形状)の配送に適したものとすることができる。このような実施の形態においては、ポンプ10を、外部のまたは埋込み式のブドウ糖監視・制御システムに結合することが可能である。外部のブドウ糖監視・制御システムに関しては、ポンプ10を、上記ブドウ糖監視・制御システムからの高周波信号またはその他の無線信号を受信するように構成することができる。別の複数の実施の形態においては、ポンプ10を、種々の鎮痛剤を配送するように構成することができ、かつ自己管理された投与の数を制限するための制御を患者が作動させるように構成することができる。
【0020】
変形および代替
一つ以上の実施の形態において、例えば、後に従来型のスケジュールIVの薬剤の配送ポンプからの配送によって補給される薬剤(例えば、フェニトインナトリウムまたはフロセミド等の抗癲癇薬)の迅速な配送をポンプ10が開始するように、ポンプ10は、スケジュールIVの薬剤の配送ポンプと共に使用されるようにも構成することができる。このような実施の形態においては、ポンプ10およびスケジュールIVの薬剤の配送ポンプは、マイクロプロセッサ等の共通のコントローラによって制御することができる。さらに別の実施の形態においては、一種類以上の薬剤を多数の場所に配送するために、多数のポンプを身体の多数の場所(例えば、胃腸系、血管系、脳または筋肉)に配置することができる。これらの実施の形態においては、選択された数の複数のポンプ10からの配送を開始させる共通のコントローラによって複数のポンプを電子的に制御することができる。このコントローラは、多数のポンプ10からの薬剤の同時の、または選択可能な順序での配送に用いられるように制御することができる。このよう多ポンプ配送システムは、1か所以上の目標組織部位への、または身体全体に亘るより迅速、精密および一様な薬剤(例えばインスリン)の配送を可能にする。これはまた、癲癇発作、不整脈、急性狭心症、心臓麻痺または類似の状態等の急性の症状の発症を迅速に処置する多数の薬剤を同時に配送することをも可能にする。例えば、不整脈の場合、カルシウムチャネル遮断薬(例えばベラパミル)またはβ遮断薬(例えばプロパノール塩酸塩)またはそれらの組合せを心臓および/または血流内に直接的に迅速に供給するのにポンプ10を用いることができる。急性狭心症または心臓麻痺に対しては、ニトログリセリン等の血管拡張薬、プロパノール等のβ遮断薬またはベラパミル等のカルシウムチャネル遮断薬、またはこれらの組合せを心臓および/または血流内に直接的に迅速に供給するのにポンプ10を用いることができるであろう。
【0021】
上記第1室20を膨張させるために、加熱素子を使用する多くの実施の形態がここに説明されたが、上記室を十分に膨張させる(その結果第2室30を収縮させる)ためには他の機構を利用することができる。例えば、一つの実施の形態において、第1室20を膨らませるために用いられるガスの供給源に第1室20が連結される。これに代わる、またはこれとは異なるものとして、電気的に作動されるマイクロポンプが第1室20に接続されて、膨張または収縮を生じさせるようにしてもよい。
【0022】
一つの実施の形態においては、第1室20を冷却するために、したがって、加熱されて膨張したときに収縮させることを可能にするために、加熱素子とともに冷却機構が使用される。この冷却機構は、換気による等の受動的なものでも、能動的に冷却することができる素子による能動的なものでもよい。受動的な冷却に関しては、冷却機構が冷却フィン等の種々の熱伝導素子を備えることができる。能動的な冷却に関しては、冷却機構が気体の注入、ジュール・トムソン素子、ペルティエ効果素子を含むことができる。
【0023】
第1室20を膨張させるのに加熱素子を用いる代わりに、ポンプまたはガスの注入等の他の形式の膨張手段を用いてもよい。
【0024】
ポンプ10は、如何なる数の薬剤または薬剤の組合せの配送にも用いることができる。種々の実施の形態において、ポンプ10によって配送されることが可能な薬剤は、種々のアミノスルフォニル安息香酸塩化合物および類似物質(例えば、フロセミド、ブメタニド、トルセミド、およびエタクリン酸)、フェニトインナトリウム(例えば、DILATIN)、抗生物質(例えば、ペニシリン、アンピシリン、エリスロマイシン、シプロフロキサシン、バンコマイシン等)、β遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、カリウム/ナトリウム・チャネル遮断薬、血管拡張薬、免疫薬、蛋白質、ポリペプチド、インスリン、およびその他のグルコース調節化合物、下痢止め薬(例えば、ロペラミド酸化物)、化学療法薬(例えばドキソルビシン)、受胎調節特性を有する種々のホルモン(例えば、エストロゲンおよびプロゲストロン、ならびにそれらの組合せ)を含むが、それらに限定されない。配送される薬剤は、一旦体内に放出されると活性形態に代謝される種々のプロドラッグを含む。適当なプロドラッグは、抗ウイルス・ヌクレオシド類似物質、脂質低下スタチン、化学療法のための抗体監督酵素プロドラッグ、燐酸エトポシド、バルガンシクロビルおよびホスアンプレナビルを含む。
【0025】
結論
以上、図解および説明を目的として、本発明の種々の実施の形態について説明がなされた。これは、本発明を、開示された明確な形態に限定することを意図ものではない。多くの変形、変更および洗練が当業者には明らかであろう。例えば、本明細書に説明されている薬剤ポンプは、頭蓋、背柱、腹腔、胸腔、心臓、手足ならびに多くの皮下または筋肉内の部位を含むがそれらに限定されない。
【0026】
一つの実施の形態からの要素、特性または動作は、他の複数の実施の形態からの要素、特性または動作と容易に再結合または置換されて、本発明の範囲内で数々のさらなる実施の形態を形成することができる。さらに、他の要素と組み合わされるものとして示されまたは説明されている要素は、種々の実施の形態において独立した要素として存在することができる。したがって、本発明の範囲は、記載されている実施の形態の仕様に限定されるものではなく、添付の請求項によってのみ限定されるものである。
【符号の説明】
【0027】
10 ポンプ
20 第1室
25,35,45 ダイアフラム部分
26 ベローズ
27 熱源
28 電源
30 第2室
31 隔壁
32 ピストンバルブ
40 第3室
41 第3室の開口部
42 出力バルブ
43 導管、カテーテル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1室、第2室および第3室を備えた多数の膨張・収縮可能な室を備え、前記第1室および前記第2室は、前記第1室の膨張が前記第2室の収縮を生じさせ、かつ前記第1室の収縮が前記第2室の膨張を生じさせるように配置され、
前記第2室は、薬剤媒体を貯留するためのタンクに接続するように構成され、
前記第3室は、前記第2室とともに形成され、かつ(1)前記薬剤媒体のための取入れ口と、(2)前記薬剤媒体を吐出するための出口とを備え、
前記第3室を収縮させて前記薬剤媒体を吐出させるために、前記第1室の膨張に伴って前記第2室が収縮せしめられるときに、内方へ延出して前記第3室上へ倒れ込むように前記第2室に備えられた部材を備えていることを特徴とする薬剤ポンプ。
【請求項2】
前記部材は、前記第2室が膨張せしめられるときに、前記第3室から解放されて上方へ離れるように前記第2室に備えられていることを特徴とする請求項1記載の薬剤ポンプ。
【請求項3】
前記薬剤媒体を前記第2室内へ引き込み、かつ前記薬剤媒体が前記第3室の前記取入れ口を通じて前記第3室内へ流入するのを可能にするために、前記第2室は、該第2室が収縮状態から膨張状態へ移動せしめられるときに吸引負圧を発生させるように前記タンクに接続可能であることを特徴とする請求項2記載の薬剤ポンプ。
【請求項4】
前記第3室の前記取入れ口は、前記第2室が収縮せしめられるときに、前記部材によって密閉される開口部に相当することを特徴とする請求項3記載の薬剤ポンプ。
【請求項5】
前記第1室を膨張させ、かつ前記第2および第3室を収縮させるために、前記第1室に結合された膨張機構をさらに備えていることを特徴とする請求項1記載の薬剤ポンプ。
【請求項6】
前記膨張機構が、加熱素子に相当することを特徴とする請求項5記載の薬剤ポンプ。
【請求項7】
前記第1室、第2室または第3室の少なくとも一つは、少なくとも一部分がベローズ構造によって形成された側壁を備えて、第1、第2または第3室のそれぞれが膨張・収縮することを可能にしていることを特徴とする請求項1記載の薬剤ポンプ。
【請求項8】
前記第1室、第2室および第3室のそれぞれは、少なくとも一部分がベローズ構造によって形成された側壁を備えて、第1、第2および第3室のそれぞれが膨張・収縮することを可能にしていることを特徴とする請求項1記載の薬剤ポンプ。
【請求項9】
前記第2室から前記薬剤タンクまで延びる導管をさらに備えていることを特徴とする請求項1記載の薬剤ポンプ。
【請求項10】
前記タンク内への逆流を防止するために、前記導管上に設けられたバルブをさらに備えていることを特徴とする請求項1記載の薬剤ポンプ。
【請求項11】
前記第1室が膨張せしめられるときを制御する制御素子をさらに備えていることを特徴とする請求項1記載の薬剤ポンプ。
【請求項12】
前記第1室が加熱されて膨張するときを制御する制御素子をさらに備えていることを特徴とする請求項6記載の薬剤ポンプ。
【請求項13】
前記制御素子は、前記第1室を加熱して膨張させる加熱素子を通電率に従って制御することを特徴とする請求項12記載の薬剤ポンプ。

【図1A】
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【図1B】
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【公表番号】特表2012−502774(P2012−502774A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−528079(P2011−528079)
【出願日】平成21年9月22日(2009.9.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/057913
【国際公開番号】WO2010/034016
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(511025503)インキューブ ラブス エルエルシー (5)
【氏名又は名称原語表記】INCUBE LABS, LLC
【Fターム(参考)】