説明

テストカートン

【課題】検査装置の動作テストのための作業を簡単化するテストカートンを提供する。
【解決手段】テストカートンは、カートンにプリントされた文字の品質を検査する検査装置の動作をテストするように構成され、光透過性のパネルを有する箱体30と、パネル32を箱体30の内側から照明するように箱体30の内側に配置された光源40と、光源40とパネル32との間に配置された開口52を有する遮光板50とを備える。パネル32は、プリンタによって文字がプリントされるプリント領域を有する。遮光板50は、光源40が発し開口53を通過した光がプリント領域の一部分を照明するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートンにプリントされた文字の品質を検査する検査装置の動作をテストするためのテストカートンに関する。
【背景技術】
【0002】
ビール等の飲料が充填された容器は、カートンによって包装されて出荷、運搬等されうる。カートンの表面には、容器を包装した後に、製造年月日や賞味期限等を表示する文字がインクジェットプリンタ等のプリンタによってプリントされる。プリントされた文字は、その品質を検査する検査装置によって検査される。検査は、例えば、文字の欠け、歪み等がないことを保証するためになされうる。
【0003】
検査装置は、例えば、次のようにしてセットアップされうる。まず、始業後の製造開始前に、該当する製造年月日や賞味期限等を実際にカートンにプリントされ、その文字の品質が目視で検査される。次いで、その文字が検査装置のカメラで読み取られて検査装置にマスター画像として登録されセットアップが完了する。以後は、検査装置は、飲料入りの容器を包装したカートンの表面にプリントされた文字を読み取って、これを登録されているマスター画像と比較して、その文字の品質の合否を決定する。
【特許文献1】特開2006−053080号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プリントされた文字の品質が悪い代表例として、例えば、文字列がライン状に欠損することが挙げられる。この原因としては、インクジェットプリンタの特定のノズルが目詰まりを起こしていることが考えられる。このような不具合が生じている場合に、検査装置は、当該カートンを不合格品として判定しなければならない。そこで、検査装置は、ライン状の欠損を有する文字列等を意図的に形成したテストカートンを使ってテストされうる。
【0005】
しかしながら、製造年月日や賞味期限等の情報は、毎日変更されるものであるので、毎日テスト用のカートンを準備する必要があり、極めて非効率である。
【0006】
本発明は、上記の課題認識を契機としてなされたものであり、例えば、検査装置の動作テストのための作業を簡単化するテストカートンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のテストカートンは、カートンにプリントされた文字の品質を検査する検査装置の動作をテストするために使用され、光透過性のパネルを有する箱体と、前記パネルを前記箱体の内側から照明するように前記箱体の内側に配置された光源と、前記光源と前記パネルとの間に配置された開口を有する遮光板とを備える。前記パネルは、プリンタによって文字がプリントされるプリント領域を有する。前記遮光板は、前記光源が発し前記開口を通過した光が前記プリント領域の一部分を照明するように構成され。
【0008】
本発明の好適な実施形態によれば、前記開口は、スリット形状を有しうる。
【0009】
本発明の好適な実施形態によれば、前記パネルは、交換可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明のテストカートンによれば、例えば、検査装置の動作テストのための作業が簡単化される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。
【0012】
図1は、カートンの一例を示す斜視図である。カートン10は、例えば、ビール等の飲料が充填された複数の容器を包装している。カートン10は、製造年月日や賞味期限等の情報を構成する文字がプリントされた1又は複数のプリント領域12を有し、このプリント領域12にプリントされた文字の品質が検査装置によって検査される。
【0013】
図8は、検査装置の構成を概略的に示す図である。カートン10は、コンベア80によって搬送され、その搬送途中において、プリント領域12がCCDカメラ等のカメラ90によって電気的に撮像される。カメラ90で撮像された画像は、処理部95に転送される。処理部95は、その画像を処理することによって、プリント領域12にプリントされた文字の品質の合否を判定する。
【0014】
ここで、検査装置は、始業後の製造開始前に、セットアップ作業として、製造年月日や賞味期限等の情報が正しくプリント領域12にプリントされたカートン10をサンプルとして、そのプリント領域12にプリントされた文字がカメラ90で撮像されて処理部95内のメモリにマスター画像として登録される。検査時は、検査装置は、カートン10のプリント領域12にプリントされた文字を撮像して、それを登録されているマスター画像と比較して、その文字の品質の合否を決定する。
【0015】
図2は、本発明の好適な実施形態のテストカートンの構成を示す斜視図である。図3は、図2に示すテストカートンの断面図であり、図4は、図3の一部を拡大した断面図である。このテストカートン20は、図8に例示するような検査装置がセットアップされた後に、当該検査装置の動作をテストするために使用される。
【0016】
テストカートン20は、光透過性のパネル32を有する箱体30と、パネル32を箱体30の内側から照明するように箱体30の内側に配置された光源40と、光源40とパネル32との間に配置された開口52を有する遮光板50とを備える。パネル32としては、例えば、無色透明のアクリルパネル又はガラスパネルが使用されうる。光源40としては、例えば、LED(発光素子)が使用されうる。光源40は、電源を内蔵した駆動回路47によって駆動される。光源40のオン・オフ(点灯・消灯)は、箱体30の外部からアクセス可能な位置に配置されたスイッチ49を操作することによって行われうる。光源40および駆動回路47は、例えば、箱体30の内部に設けられた支持体45によって支持されうる。
【0017】
図5は、パネル32を正面から見た一例を示す図である。パネル32は、製造ラインに配置されたインクジェットプリント等のプリンタによって文字がプリントされるプリント領域34を有する。遮光板50は、光源40が発し開口52を通過した光がプリント領域34の一部分を照明するように構成されている。開口52は、図5に例示するように、スリット形状を有しうる。スリット状の開口52は、文字列がライン状に欠損したプリント失敗例を再現しうる。
【0018】
図6は、テストカートン20のパネル32に製造年月日および賞味期限をプリントした例を示している。図7は、図6に示すように製造年月日および賞味期限がプリントされたテストカートン20の光源40を点灯させた様子を模式的に示している。光源40を点灯させると、開口52を通してプリント領域34の一部分が照明され、当該一部分から光が出射される。ここで、光源40が発する光の強度は、文字を構成するインクを透過するように調整される。プリント領域34の文字を撮像するカメラ90では、開口52に相当する部分の輝度が開口52以外の領域における文字部分よりも輝度が高く見える。処理部95は、例えば、カメラ90で撮像した画像を2値化する。2値化のための閾値は、開口52に相当する部分に文字の一部(インク)があっても、それが文字の一部として判定されないように設定される。2値化により、開口52に相当する部分が欠落した文字の画像が得られる。
【0019】
検査装置は、開口52に相当する部分が欠落した文字の画像とマスター画像とを比較して、当該テストカートン20にプリントされた文字の品質の合否を判定する。検査装置に異常がある場合には、光源40を点灯させた状態でテストカートン20を検査した結果として、検査装置は不合格を示しうる。
【0020】
また、検査装置の動作テストにおいては、光源40を点灯させない状態でも検査装置の動作が確認されうる。これは、正しく文字がプリントされたテストカートンを検査した結果として検査装置が合格を示すことを確認することによって行われうる。
【0021】
本発明の好適な実施形態によれば、テストカートンに任意の製造年月日や賞味期限をプリントした状態において、光源の点灯によってプリントの失敗状態を意図的に作り出すことができる。したがって、例えば、日々変更されるような文字を含むテストカートンを簡単な作業で準備することができる。
【0022】
パネル32は、それにプリントされた文字を構成するインクが薬液等を使って拭き取られることによって何度も使用されうる。もちろん、パネル32を交換可能にもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】カートンの一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の好適な実施形態のテストカートンの構成を示す斜視図である。
【図3】図2に示すテストカートンの断面図である。
【図4】図3の一部を拡大した断面図である。
【図5】テストカートンのパネルを正面から見た一例を示す図である。
【図6】テストカートンのパネルに製造年月日および賞味期限をプリントした例を示す図である。
【図7】図6に示すように製造年月日および賞味期限がプリントされたテストカートンの光源を点灯させた様子を模式的に示す図である。
【図8】検査装置の構成を概略的に示す図である。
【符号の説明】
【0024】
10 カートン
12 プリント領域
20 テストカートン
30 箱体
32 パネル
34 プリント領域
40 光源
45 支持体
47 駆動回路
49 スイッチ
50 遮光板
52 開口
80 コンベア
90 カメラ
95 処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートンにプリントされた文字の品質を検査する検査装置の動作をテストするためのテストカートンであって、
光透過性のパネルを有する箱体と、
前記パネルを前記箱体の内側から照明するように前記箱体の内側に配置された光源と、
前記光源と前記パネルとの間に配置された開口を有する遮光板とを備え、
前記パネルは、プリンタによって文字がプリントされるプリント領域を有し、前記遮光板は、前記光源が発し前記開口を通過した光が前記プリント領域の一部分を照明するように構成されている、
ことを特徴とするテストカートン。
【請求項2】
前記開口がスリット形状を有することを特徴とする請求項1に記載のテストカートン。
【請求項3】
前記パネルが交換可能であることを特徴とする請求項1または2に記載のテストカートン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−58296(P2009−58296A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−224579(P2007−224579)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】