説明

テストフィクスチャ

【課題】 接続部分を着脱可能とし、接続部分が損耗しても容易に交換でき、更に、特性インピーダンスの条件の変動を抑えて高いビットレートのデバイスを評価できる。
【解決手段】 デバイス10を装着して性能評価するデバイス検査装置1をなすテストフィクスチャ20において、信号ライン24からなるメイン基板側接続部26を周縁に有する基板嵌入部23が形成されているメイン基板21と、メイン基板21と同素材、且つ同等の厚さに形成され、信号ライン33からなるサブ基板側接続部34がパターン形成され、基板嵌入部23に嵌入されてメイン基板21と同一平面内に着脱可能に取り付けられるサブ基板30と、信号ライン41をメイン基板側接続部26とサブ基板側接続部34とに接触させて電気的に接続させるコネクト基板40と、コネクタ13が挿入されてサブ基板30と電気的に接続されるデバイス接続部32とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デバイスの電気的特性を測定して該デバイスの性能評価を行うためのデバイス検査装置の一部をなしているテストフィクスチャに関し、特に、多数のデバイスを測定する場合に、デバイスの挿抜を繰り返すことによりデバイスとの接続部が損耗しても当該損耗部品を簡単に交換できる構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、光デバイスの一種である光トランシーバ10は、図8に示すように、密封型角筒ケース11の一端に光ファイバ12が接続され、他端にカードエッジ13が突設されたものである。光トランシーバ10は、ケース11の内部に設けられている光電変換機構により光ファイバ12を通じて取得された光データを光電交換し、カードエッジ13を介して外部に出力する。
【0003】
従来、上述したような光トランシーバ10の検査には、図8に示すようなテストフィクスチャ100が使用されていた。このテストフィクスチャ100は、基台101上に取り付けられたプリント基板102の一端中央部に半田などで固定され、光トランシーバ10の差し込みをガイドする一端開口の中空角筒形のガイドケース103と、ガイドケース103の内奥部に半田などで固定され、前記カードエッジ13に挿抜可能に接続されるカードエッジコネクタ104と、基板102上に形成され、一端がカードエッジコネクタ104に設けられた複数のリード部104aに接続されるとともに、他端が基板102の両側部に設けられた外部接続用の複数の同軸コネクタ105へと接続される信号ラインで構成され、これら複数の同軸コネクタ105を介して外部の測定機器に接続され、図8に示すように、テストフィクスチャ100のガイドケース103に挿抜可能に装着される光トランシーバ10の良否判定などの検査を繰り返し行うことができるものであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したようなテストフィクスチャ100では、光トランシーバ10と該光トランシーバ10に嵌合されるカードエッジコネクタ104との挿抜回数は、MSA(マルチ・ソース・アグリーメント)規格では100回までの規定であり、規定回数を上回る挿抜を行うとカードエッジコネクタ104が著しく損耗し、接続不良の原因となっていた。そのため、光トランシーバ10の測定回数が増すにつれてテストフィクスチャ100自体が原因で測定結果に狂いが生じ、正確な検査ができなくなる虞があった。なお、このテストフィクスチャ100は、測定専用に用いられるものであり、汎用製品とは異なるものである。そのため、一部の損耗のために装置全体を交換したり、或いは装置を造り直したりする場合には極めて高価となる。
【0005】
そこで、損耗部品であるカードエッジコネクタ104のみを交換すればよいのだが、プリント配線106とリード部104aとの接続部分となる半田部分を溶融除去した後、カードエッジコネクタ104をガイドケース103から取り出し、新たなカードエッジコネクタ104をガイドケース103内に装着し、その端部より突出するリード部104aを再度プリント配線106に半田で接続しなければならず、面倒な交換作業を余儀なくされる。また、製品の最終工程における検査は必要不可欠なものであるから、時間がかかった場合には、検査に遅滞を生じ、仕掛け品のストックなどの問題も生じる。
【0006】
ここで、図9に示すように、基台201上に取り付けられた主基板202と、主基板202の一端中央に位置決め固定されたガイドレール(不図示)と、ガイドレールに着脱可能に挿通固定された接続ユニット204と、接続ユニット204に対してガイドレールの先端中央位置にて主基板202上に固定された第1のコネクタ205と、一端が第1のコネクタ205のリード部205aに接続され、他端が主基板202の両側部に設けられた外部接続用の同軸コネクタ206に接続された複数のプリント配線207とからなり、さらに、接続ユニット204は第1のコネクタ205と同一規格の第2のコネクタ208を備え、デバイスの挿抜により接続部品が損耗したら接続ユニット204を交換するデバイス評価装置200が、同一出願人から提案されている。
【0007】
しかしながら、この(図9に示す)デバイス評価装置200では、第1のコネクタと第2のコネクタが伝送線路中に存在しており、更に第1及び第2のコネクタ205,208は上下方向に2段となって配置されていることから、特性インピーダンスが変化する要素が多数存在することとなり信号が劣化してしまう。そのため、デバイスの性能を評価する際、2.5Gbps以下のビットレートであれば問題なく使用できるが、4.0Gbps以上の高いビットレートにおいて使用する際には不向きとなる。
【0008】
そこで本発明は、以上の課題を解消するために、その第1の目的は、損耗部品である接続部分を含む部材を容易に着脱可能とし、接続部分が損耗した場合には迅速に交換してデバイスの検査を継続できるテストフィクスチャを提供する。また、第2の目的は、伝送線路中の不連続箇所を少なくすることで特性インピーダンスの条件が変わることを抑え、高いビットレートのデバイスを評価することができるテストフィクスチャを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載のテストフィクスチャは、先端にコネクタ13を有するデバイス10を挿抜可能に装着して当該デバイス10の性能を評価するデバイス検査装置1の一部を構成しているテストフィクスチャ20において、
伝送線路を構成している信号ライン24が表面にパターン形成され、該信号ライン24の一端部となるメイン基板側接続部26がその周縁に位置している基板嵌入部23が形成されているメイン基板21と、
前記メイン基板21と同素材からなり、且つ同等の厚さに形成されるとともに、取り付け状態で前記メイン基板側接続部26と当接する位置に信号ライン33からなるサブ基板側接続部34がパターン形成され、前記基板嵌入部23内に嵌入されることで該メイン基板21と同一平面内に着脱可能に取り付けられるサブ基板30と、
信号ライン41が裏面にパターン形成され、該信号ライン41を前記メイン基板側接続部26と前記サブ基板側接続部34との両方の当接部分における信号ライン24,33に接触させて該メイン基板側接続部26と該サブ基板側接続部34とを電気的に接続させるコネクト基板40と、
前記サブ基板30上に設けられ、前記デバイス10のコネクタ13が挿入されて該サブ基板30と電気的に接続されるデバイス接続部32と、
を具備することを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、デバイス10のコネクタ13が接続されるデバイス接続部32が損耗すると、該デバイス接続部32を備えたサブ基板30をメイン基板21から取り外し、新たなサブ基板30を取り付けることで、損耗したデバイス接続部32を新たなものに交換することができる。また、サブ基板30がメイン基板21と同等の厚さに形成され、該メイン基板21と同一平面内に取り付けられることによって伝送線路となる信号ライン24,33の寸法条件の変化を抑えることが可能となる。これにより、特性インピーダンスが変化することを抑えることができる。さらに、メイン基板21とサブ基板30とが同素材で形成されていることも、特性インピーダンスが変化することを抑えている。
【0011】
請求項2記載のテストフィクスチャは、前記メイン基板21及び前記サブ基板30の基板上のそれぞれの信号ライン24,33において、前記メイン基板側接続部26と前記サブ基板側接続部34とが当接する位置において他の部分よりも信号ライン幅が細く形成され、
更に、前記コネクト基板40の信号ライン41の幅が、前記メイン基板側接続部26及び前記サブ基板側接続部34の当接部分における信号ライン幅より細く形成されていることを特徴とする。
【0012】
このような構成によれば、メイン基板側接続部26とサブ基板側接続部34とが当接する位置における信号ライン幅が、他の部分における信号ライン幅より細く形成されていることで特性インピーダンスの低下を防ぐことが可能となる。つまり、両接続部26,34の当接位置では、コネクト基板40の誘電体により特性インピーダンスが低くなるような影響を受けてしまうため、特性インピーダンスのミスマッチにより信号成分が劣化してしまう。これを避けるために、この当接位置において両信号ライン24,33の幅を細くして特性インピーダンスを高めに調節することで、信号の劣化を最小限とすることが可能となる。また、コネクト基板40の信号ライン41は、両信号ライン24,33に接触することでこれら両信号ライン24,33を電気的に接続している。しかし、コネクト基板40の取付け位置がずれてしまった場合に、信号ライン41が両信号ライン24,33の幅よりはみ出るようなことがあれば、特性インピーダンスはやはり低くなってしまう。したがって、このはみ出しを防ぐために信号ライン41の幅を両信号ライン24,33の幅よりはみ出ない程度でできるだけ広くすることで、上記同様に特性インピーダンスの低下を防ぐことができるようになる。ちなみに、信号ライン41が両信号ライン24,33の幅からはみ出ない領域では、特性インピーダンスの変動は無視できるレベルであり、信号劣化を心配する必要はない。
【0013】
請求項3記載のテストフィクスチャは、前記コネクト基板40の信号ライン41を前記メイン基板側接続部26及び前記サブ基板側接続部34に押し付けた状態に保持させるホルダー部50が設けられていることを特徴とする。
【0014】
このような構成によれば、メイン基板側接続部26とサブ基板側接続部34とを接続しているコネクト基板40の信号ライン41がその接続を維持した状態でコネクト基板40を保持することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によるテストフィクスチャによれば、デバイスの頻繁な挿抜によりサブ基板に設けられたデバイス接続部が損耗しても、サブ基板を交換して、つまり、デバイス接続部を交換してデバイスの検査を継続することができる。例えば、デバイスの挿抜を100回繰り返した後、新たなサブ基板に交換した場合は、メイン基板に対してサブ基板を1回だけ交換すればよい。そのため、メイン基板とサブ基板との接続部にはほとんど損耗は無く、交換部品としてサブ基板を複数備えておくことで、デバイス検査装置全体の寿命を延ばすことができる。また、特性インピーダンスの条件が変わる要因を少なくすることで信号の劣化を抑え、このテストフィクスチャを高いビットレートのデバイス評価に供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。
図1は本発明によるテストフィクスチャの一実施の形態を示す全体平面図、図2は同全体側面図、図3は同実施の形態の主要部を分解した状態を示す平面図、図4は同実施の形態の主要部を組み上げた状態を示す平面図、同5は同実施の形態の接続部分を示す模式的な拡大図である。
【0017】
本発明のテストフィクスチャ20は、対象となるデバイスを装着して、該デバイスの電気的特性を検査し、その性能を評価するデバイス検査装置1の一部を構成しているものである。
まず最初に、図1に示すように、このテストフィクスチャ20は、主要部となる基板部分が専用の固定治具2上に載置され、複数の固定ネジ3によって該固定治具2に固定されている。また、主要部の周囲を覆うように専用のケース4が取り付けられ、固定治具2にキャッチクリップ5などによって固定されている。
【0018】
次に、デバイス検査装置1での検査対象となるデバイスについて説明する。
なお、検査対象のデバイスは、従来例で述べたものと同様の光トランシーバであり、同一符号を付している。
【0019】
図1に示すように、光トランシーバ10は、密封型角筒ケース11の一端に光ファイバ12が接続され、他端にコネクタとしてのカードエッジ13が突設されたものである。この光トランシーバ10は、ケース11の内部に設けられている光電変換機構により光ファイバ12を通じて取得した光データを光電変換し、カードエッジ13を介して外部に出力するものである。
【0020】
次に、この実施の形態におけるテストフィクスチャ20の主要部となる基板部分について説明する。
図1〜4に示すように、テストフィクスチャ20の基板部分は、メイン基板と、サブ基板と、コネクト基板と、ホルダー部とで略構成されている。
【0021】
図3,4に示すように、メイン基板21は、樹脂板と金属板とからなる基台22上に設けられたプリント基板からなり、一端から中央にかけて略矩形切欠き状に形成された基板嵌入部23を有し、平面視で略コ字状をなしている。このメイン基板21の表面には、伝送線路を構成している複数の信号ライン24がパターン形成されている。図1に示すように、各信号ライン24は、それぞれの一端がプリント基板の外周縁に設けられている外部接続用の複数の接続端子部、すなわち同軸コネクタ25に接続されている。なお、本実施の形態では、同軸コネクタ25は4個設けられている。また、各信号ライン24の他端は、基板嵌入部23の周縁まで到達し、この基板嵌入部23の周縁近傍にてメイン基板側接続部26を形成している。さらに、図3に示すように、基台22上面のうち基板嵌入部23内における表出部分には、複数(図3中では2本)のスタンドピン27が突設されている。また、メイン基板21における基板嵌入部23近傍には、後述するホルダー部50を固定させるためのビスBが取り付けられる複数(図3中では4つ)のビス孔28が横一列に並んで穿設されている。
【0022】
図3,4に示すように、サブ基板30は、略矩形のプリント基板からなり、上述したメイン基板21の基板嵌入部26に嵌入可能に形成されている。サブ基板30の略中央には、前記光トランシーバ10を差込みガイドする一端開口の中空角筒状のガイドケース31が、該サブ基板の上部に設けられたデバイス接続部となるコネクタ32の周囲を覆うように設けられている。また、サブ基板30には、信号ライン33がパターン形成され、一端は該サブ基板30がメイン基板21の基板嵌入部26に嵌入された際に当接する上縁近傍にてサブ基板側接続部34を形成しており、他端はコネクタ32に接続されている。さらに、サブ基板30には、上述した基台22上面のスタンドピン27と係合する長孔35が、スタンドピン27と対応する位置に穿設されている。長孔35の両外側には、基板部分を組み上げたときに、上述した基台22のビス孔28と同等となる位置に貫通孔36が穿設されている。
【0023】
ここで、図5に示すように、上述したメイン基板側接続部26とサブ基板側接続部34とでは、それぞれの信号ライン24,33の幅が他の部分の幅よりも細くなるように形成されている。
【0024】
図3,4に示すように、コネクト基板40は、ポリイミド樹脂などを素材として略矩形シート状に形成されている。コネクト基板40の図中における上部には、信号ライン41が微細なピッチで横方向に並んでパターン形成されている。この信号ライン41の幅は、メイン基板側接続部26及びサブ基板側接続部34における信号ライン24,33の最小幅よりも細く形成されている。また、コネクト基板40の略中央には、上述したスタンドピン27に挿通させるピン挿通孔42が穿設されている。さらに、このコネクト基板40には、該コネクト基板40をメイン及びサブ基板21,30に取り付けたときに、上述したビス孔28と対応する位置に、つまり、横一列に並んで貫通孔43が穿設されている。
【0025】
図3,4に示すように、前述したホルダー部50は、テフロン(登録商標)などのプラスチック又はゴムなどを素材とし、上述したコネクト基板40の外形と略同等な矩形板状に形成されている。ホルダー部50には、コネクト基板40と同様に、上述したスタンドピン27に挿通させるピン挿通孔51が穿設されている。また、ホルダー部50には、コネクト基板40の貫通孔43と同様に、該ホルダー部50を固定させるためのビスB(図4に示す)が挿通される貫通孔52が穿設されている。
【0026】
ここから、図6を参照してメイン基板21にサブ基板30を取り付ける手順について説明する。
図6(a)〜(e)はメイン基板にサブ基板を取り付けるときの動作を示す模式的な一部側断面図である。
【0027】
まず、図6(a)に示すように、メイン基板21の基板嵌入部23(基台22)に突設されているスタンドピン27に、サブ基板30の長孔35を挿通させる。このとき、サブ基板30を上方から基板嵌入部23に嵌入させることにより、互いの端縁同士が接触し合って、端縁であるメイン基板側接続部26とサブ基板側接続部34とが損傷することを防止するために、これら両接続部26,34間をあけてサブ基板30を取り付ける。
【0028】
次に、図6(b)に示すように、基板嵌入部23内のサブ基板30を奥側(図中矢線方向)へと進入させる。これにより、メイン基板側接続部26とサブ基板側接続部34とが当接する。
【0029】
次に、図6(c)に示すように、メイン基板側接続部26とサブ基板側接続部34との当接部分を跨ぐようにコネクト基板40が、スタンドピン27にピン挿通孔42を挿通させて載置される。このとき、コネクト基板40は、ピン挿通孔42をスタンドピン27に挿通させているだけであり、固定などされていない状態である。また、図5に示すように、コネクト基板40の信号ライン41は、メイン基板側接続部26とサブ基板側接続部34との当接部分の幅内に収まっており、信号ライン26,34,41の幅が拡がることによる特性インピーダンスの低下を防いでいる。
【0030】
そして、図6(d),(e)に示すように、コネクト基板40の上方からホルダー部50が、該コネクト基板40上に載置され、ビスBをホルダー部50,コネクト基板40及びサブ基板30を介して基台22のビス孔28に螺着させることで該ホルダー部50が固定される。これにより、コネクト基板40は、メイン及びサブ基板21,30に押し付けられ、したがって、コネクト基板40の信号ライン41と、メイン基板側接続部26及びサブ基板側接続部34との接触を保持できる。
これで、メイン基板21に対するサブ基板30の取り付けが完了する。なお、サブ基板30を交換時などにメイン基板21から取り外す場合は、上記の手順を逆から行えばよい。
【0031】
図7はデバイス検査装置1の電気的システム構成を示すブロック図である。
まず、光トランシーバ10をテストフィクスチャ20に装着し、信号発生部60を通じて光ファイバ12側に検査用の光信号が送られる。光トランシーバ10内では、この光信号を光電変換し、電気信号としてテストフィクスチャ20に出力する。この信号は、テストフィクスチャ20を介して信号処理部61に送られて計測され、光トランシーバ10の良否判定などがなされて、計測値及び良否判定結果などが表示部62に出力される。
【0032】
この実施の形態のテストフィクスチャ20によれば、光トランシーバ10のカードエッジ13が接続されるコネクタ32が損耗した際には、該コネクタ32を備えたサブ基板30をメイン基板21から取り外し、新たなサブ基板30を取り付けることで、損耗したコネクタ32が交換可能となる。また、サブ基板30がメイン基板21と同等の厚さに形成され、該メイン基板21と同一平面内に取り付けられることによって信号ライン24,33の寸法条件の変化を抑えることが可能となる。これにより、特性インピーダンスが変化することを抑えることができる。さらに、メイン基板21とサブ基板30とが同素材で形成されていることも、同様に、特性インピーダンスが変化することを抑えている。
【0033】
また、メイン基板側接続部26とサブ基板側接続部34との当接位置における信号ライン幅が、他の部分における信号ライン幅より細く形成されていることで特性インピーダンスの低下を防ぐことが可能となる。つまり、両接続部26,34の当接位置では、コネクト基板40の誘電体により特性インピーダンスが低くなるような影響を受けてしまうため、特性インピーダンスのミスマッチにより信号成分が劣化してしまう。これを避けるために、この当接位置において両信号ライン24,33の幅を細くして特性インピーダンスを高めに調節することで、信号の劣化を最小限とすることが可能となる。また、コネクト基板40の信号ライン41は、両信号ライン24,33に接触することでこれら両信号ライン24,33を電気的に接続している。しかし、コネクト基板40の取付け位置がずれてしまった場合に、信号ライン41が両信号ライン24,33の幅よりはみ出るようなことがあれば、特性インピーダンスはやはり低くなってしまう。したがって、このはみ出しを防ぐために信号ライン41の幅を両信号ライン24,33の幅よりはみ出ない程度でできるだけ広くすることで、上記同様に特性インピーダンスの低下を防ぐことができるようになる。ちなみに、信号ライン41が両信号ライン24,33の幅からはみ出ない領域では、特性インピーダンスの変動は無視できるレベルであり、信号劣化を心配する必要はない。
【0034】
さらに、ホルダー部50が設けられていることで、メイン基板側接続部26とサブ基板側接続部34とを接続しているコネクト基板40の信号ライン41がその接続を維持した状態でコネクト基板40を保持することが可能となる。
【0035】
なお、上述した実施の形態では、検査対象となるデバイスは、カードエッジ13が設けられた光トランシーバ10について説明したが、これに限定されるものではなく、コネクタを有する様々な光デバイスに適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明によるテストフィクスチャの一実施の形態を示す全体平面図である。
【図2】本発明によるテストフィクスチャの一実施の形態を示す全体側面図である。
【図3】本発明によるテストフィクスチャの一実施の形態の主要部を分解した状態を示す平面図である。
【図4】本発明によるテストフィクスチャの一実施の形態の主要部を組み上げた状態を示す平面図である。
【図5】本発明によるテストフィクスチャの一実施の形態の接続部分を示す模式的な拡大図である。
【図6】(a)〜(b)本発明による一実施の形態を構成しているメイン基板にサブ基板を取り付けるときの動作を示す模式的な一部側断面図である。
【図7】デバイス検査装置の電気的システム構成を示すブロック図である。
【図8】従来のデバイス評価装置を示す一部側断面図である。
【図9】従来のデバイス評価装置を示す一部側断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1…デバイス検査装置
10…デバイス(光トランシーバ)
13…コネクタ(カードエッジ)
20…テストフィクスチャ
21…メイン基板
23…基板嵌入部
24,33,41…信号ライン
26…メイン基板側接続部
30…サブ基板
32…デバイス接続部(コネクタ)
34…サブ基板側接続部
40…コネクト基板
50…ホルダー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端にコネクタ(13)を有するデバイス(10)を挿抜可能に装着して当該デバイスの性能を評価するデバイス検査装置(1)の一部を構成しているテストフィクスチャ(20)において、
伝送線路を構成している信号ライン(24)が表面にパターン形成され、該信号ラインの一端部となるメイン基板側接続部(26)がその周縁に位置している基板嵌入部(23)が形成されているメイン基板(21)と、
前記メイン基板と同素材からなり、且つ同等の厚さに形成されるとともに、取り付け状態で前記メイン基板側接続部と当接する位置に信号ライン(33)からなるサブ基板側接続部(34)がパターン形成され、前記基板嵌入部内に嵌入されることで該メイン基板と同一平面内に着脱可能に取り付けられるサブ基板(30)と、
信号ライン(41)が裏面にパターン形成され、該信号ラインを前記メイン基板側接続部と前記サブ基板側接続部との両方の当接部分における信号ラインに接触させて該メイン基板側接続部と該サブ基板側接続部とを電気的に接続させるコネクト基板(40)と、
前記サブ基板上に設けられ、前記デバイスのコネクタが挿入されて該サブ基板と電気的に接続されるデバイス接続部(32)と、
を具備することを特徴とするテストフィクスチャ。
【請求項2】
前記メイン基板及び前記サブ基板の基板上のそれぞれの信号ラインにおいて、前記メイン基板側接続部と前記サブ基板側接続部とが当接する位置において他の部分よりも信号ライン幅が細く形成され、
更に、前記コネクト基板の信号ラインの幅が、前記メイン基板側接続部及び前記サブ基板側接続部の当接部分における信号ライン幅より細く形成されていることを特徴とする請求項1記載のテストフィクスチャ。
【請求項3】
前記コネクト基板の信号ラインを前記メイン基板側接続部及び前記サブ基板側接続部に押し付けた状態に保持させるホルダー部(50)が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のテストフィクスチャ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−23124(P2006−23124A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−199496(P2004−199496)
【出願日】平成16年7月6日(2004.7.6)
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【Fターム(参考)】