説明

テーパスロットアンテナおよびアンテナ装置

【課題】簡素かつ安価な構成で、電磁波の指向方向を、アンテナの正面方向からチルトさせることができるテーパスロットアンテナおよびアンテナ装置を提供する。
【解決手段】一端が放射部開口となるようにその幅が漸次拡大するテーパスロット3を構成する第1導体板4および第2導体板5と、テーパスロット3に給電するための給電手段とを備えたテーパスロットアンテナ1であって、テーパスロット3は、互いに対向する第1導体板4の端部の第1縁線6と第2導体板5の端部の第2縁線7とで構成され、第1縁線6と第2縁線7とは、給電手段の基準点2を通りテーパスロットアンテナ1の中心線と平行な基準線8に対して非対称に形成されているものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばレーダやセンサに用いられるテーパスロットアンテナおよびアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、レーダやセンサにおいて、探知性能、識別性能の向上を図るために、広帯域特性を有するアンテナが選定されている。このようなアンテナの1つとして、例えばテーパスロットアンテナが挙げられる。
【0003】
図11は、一般的なテーパスロットアンテナ80を示す構成図である。
図11において、テーパスロットアンテナ80は、誘電体基板71と、誘電体基板71の一方の面にパターニングされた第1導体板72および第2導体板73と、誘電体基板71の他方の面に形成され、第1導体板72と第2導体板73とで構成されるテーパスロット74に給電するためのマイクロストリップ線路75と、マイクロストリップ線路75の端部において誘電体基板71に設けられたスルーホール76とを備えている。
【0004】
ここで、テーパスロット74は、給電点側(マイクロストリップ線路75が設けられた側)から前方側(図中の左側)に向けて、その幅が漸次テーパ状に拡大するように構成され、先端部が放射部開口となっている。
また、テーパスロット74のテーパ形状は、テーパスロットアンテナ80の中心線77に対して対称に形成されている。
【0005】
以下、上記構成のテーパスロットアンテナ80の動作について説明する。
まず、外部から入力される入力信号は、テーパスロット74に電磁結合される。このとき、第2導体板73と、スルーホール76を介してマイクロストリップ線路75と導通された第1導体板72とは、互いに逆相で励振される。
ここで、マイクロストリップ線路75は、テーパスロット74と交差した直後で第1導体板72と導通されるので、入力信号は、広帯域に亘って効率的にテーパスロット74に電磁結合される。
【0006】
テーパスロット74に電磁結合された入力信号は、テーパスロット74の放射部開口に向かって伝搬され、電磁波として放射される。
このテーパスロットアンテナ80では、テーパスロット74のテーパ形状が、中心線77に対して対称に形成されているので、電磁波の放射方向は、テーパスロットアンテナ80の正面方向となり、かつ放射パターンは、中心線77に対してほぼ対称となる。
【0007】
このとき、入力信号が低周波信号の場合には、放射部開口側から電磁波が放射され、入力信号が高周波信号の場合には、給電点側から電磁波が放射される。
すなわち、このテーパスロットアンテナ80では、テーパスロット74の幅が放射部開口に向かうにつれて漸次拡大するように構成されているので、空間との整合が広帯域にわたって実現される。
【0008】
なお、上記の説明では、マイクロストリップ線路75を用いてテーパスロット74に給電したが、これに限定されず、例えば同軸線路等を用いてテーパスロット74に給電してもよい。
【0009】
ここで、レーダやセンサでは、その使用状況によって、周辺環境からの反射による影響を受けることが考えられる。例えば、地上用レーダでは、地面からの反射が影響し、艦船等に搭載されるレーダでは、海面からの反射が影響する。
一般的に、垂直偏波は、地面や海面からの反射による影響を受けにくいと考えられており、従来から各種のレーダやセンサに用いられているが、これらの影響をさらに低減するために、地面や海面への放射量を低減した非対称の放射パターンが要求される。
【0010】
そこで、地面や海面への放射量を低減し、所望する覆域の方向のみに電磁波を放射するアレーアンテナ素子が有効であると考えられている。
しかしながら、図11に示したテーパスロットアンテナ80では、電磁波の放射方向がテーパスロットアンテナ80の正面方向となるので、地面や海面への放射量が多く、反射による影響を受けやすいという問題点があった。
また、このテーパスロットアンテナ80を最初から所望する覆域の方向に傾けて配置させることも考えられるが、この場合には、アンテナ装置の構造が複雑になるという問題点があった。
【0011】
そこで、上記の問題点を解決するために、従来のテーパードスロットアンテナは、スロットライン(テーパスロット)のスロット幅が傾きをもって広くなるように導体が形成され、この導体の電磁波放射方向に平行な両端側にコルゲート構造が設けられたものであり、コルゲート構造は、テーパードスロットアンテナの中心軸から見て非対称とされている(例えば、特許文献1参照)。
【0012】
【特許文献1】特開平11−163626号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従来のテーパードスロットアンテナでは、導体の電磁波放射方向に平行な両端側に、アンテナの中心軸から見て非対称にコルゲート構造を設けることにより、電磁波の放射方向をアンテナの正面方向からチルト(傾斜)させている。
しかしながら、導体にコルゲート構造を設けることにより、構成が複雑になって工作性が低下するとともに、製造コストが高くなるという問題点があった。
【0014】
この発明は、上記のような問題点を解決することを課題とするものであって、その目的は、アンテナ自身を傾けて配置させることなく、簡素かつ安価な構成で、電磁波の指向方向(放射方向)を、アンテナの正面方向からチルトさせることができるテーパスロットアンテナおよびアンテナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明に係るテーパスロットアンテナは、一端が放射部開口となるようにその幅が漸次拡大するスロットを構成する第1導体板および第2導体板と、スロットに給電するための給電手段とを備えたテーパスロットアンテナであって、スロットは、互いに対向する第1導体板の端部の第1縁線と第2導体板の端部の第2縁線とで構成され、第1縁線と第2縁線とは、給電手段の給電点を通りテーパスロットアンテナの中心線と平行な基準線に対して非対称に形成されているものである。
【発明の効果】
【0016】
この発明のテーパスロットアンテナによれば、スロットは、給電手段の給電点を挟んで互いに対向する第1導体板の端部の第1縁線と第2導体板の端部の第2縁線とで構成されている。また、第1縁線と第2縁線とは、給電点を通りテーパスロットアンテナの中心線と平行な基準線に対して非対称に形成されている。
そのため、アンテナ自身を傾けて配置させることなく、簡素かつ安価な構成で、電磁波の指向方向を、アンテナの正面方向からチルトさせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明の各実施の形態について図に基づいて説明するが、各図において同一、または相当する部材、部位については、同一符号を付して説明する。
なお、以下の実施の形態では、電磁波を送信する場合について説明するが、このテーパスロットアンテナは、送信および受信の何れにも対応することができる。
【0018】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るテーパスロットアンテナ1を示す構成図である。また、図2は、図1の基準点2近傍を拡大して示す拡大図である。
図1および図2において、テーパスロットアンテナ1は、テーパスロット3を構成する第1導体板4および第2導体板5と、基準点2(給電点)においてテーパスロット3に給電するための給電手段(図示せず)とを備えている。
【0019】
テーパスロット3は、基準点2を挟んで互いに対向する第1導体板4の端部の第1縁線6と、第2導体板5の端部の第2縁線7とで構成されている。また、テーパスロット3は、基準点2側から前方側(図中の左側)に向けて、その幅が漸次拡大するように構成され、先端部が放射部開口となっている。
なお、第1縁線6および第2縁線7は、直線であってもよいし、直線部分を含んでいてもよい。
【0020】
ここで、第1縁線6と第2縁線7とは、基準点2を通りテーパスロットアンテナ1の中心線(図示せず)と平行な基準線8(図中では水平方向)に対して非対称に形成されている(以下、この構造を「非対称テーパスロット構造」と称する)。
すなわち、基準点2の近傍を除いて、基準点2からそれぞれ等しい任意の経路長Lだけ離れた第1縁線6上の点と第2縁線7上の点とを結んだ線分9が、基準線8と直角でない角度で交差している。
【0021】
以下、上記構成のテーパスロットアンテナ1の動作について説明する。なお、前述した一般的なテーパスロットアンテナ80(図11参照)と同様の動作については、詳述を省略する。
まず、外部から入力される入力信号は、テーパスロット3に電磁結合される。
続いて、テーパスロット3に電磁結合された入力信号は、テーパスロット3の放射部開口に向かって伝搬され、周波数帯域によって異なるテーパスロット3の各位置から、電磁波として放射される。
【0022】
なお、テーパスロット3への給電方法は特に限定されず、前述したマイクロストリップ線路を用いる方法や同軸線路を用いる方法等を、用途に応じて選択してもよい。また、後段に接続されるモジュール等への接続が容易な給電方法を選択してもよい。
【0023】
ここで、前述した一般的なテーパスロットアンテナ80では、テーパスロット74のテーパ形状が、テーパスロットアンテナ80の中心線77に対して対称に形成されている。
そのため、電磁波の指向方向は、テーパスロットアンテナ80の正面方向、すなわち、中心線77と平行な水平方向となる。
【0024】
これに対して、本実施の形態のテーパスロットアンテナ1は、非対称テーパスロット構造を有している。
そのため、電磁波の指向方向は、テーパスロットアンテナ1の正面方向、すなわち、基準線8と平行な水平方向から傾きを持つことになり、チルトされる。
【0025】
この発明の実施の形態1に係るテーパスロットアンテナ1によれば、テーパスロット3は、基準点2を挟んで互いに対向する第1縁線6と第2縁線7とで構成されている。また、第1縁線6と第2縁線7とは、基準線8に対して非対称に形成されている。
そのため、テーパスロットアンテナ1自体を傾けて配置させることなく、簡素かつ安価な構成で、電磁波の指向方向を、テーパスロットアンテナ1の正面方向からチルトさせることができる。
【0026】
また、基準点2の近傍を除くテーパスロット3のほぼ全ての位置において、線分9が基準線8と直角でない角度で交差するという関係が成立するので、広帯域に電磁波の指向方向をチルトさせることができる。
また、テーパスロットアンテナ1自体を傾ける必要がないので、機構的に有利である。
【0027】
実施の形態2.
図3は、この発明の実施の形態2に係るテーパスロットアンテナ1Aを示す構成図である。
図3において、テーパスロットアンテナ1Aは、誘電体基板11と、誘電体基板11の一方の面にパターニングされ、テーパスロット3Aを構成する第1導体板4Aおよび第2導体板5Aと、基準点2A(給電点)においてテーパスロット3Aに給電するための同軸線路12(給電手段)とを備えている。
【0028】
テーパスロット3Aは、基準点2Aを挟んで互いに対向する第1導体板4Aの端部の第1縁線6Aと、第2導体板5Aの端部の第2縁線7Aとで構成されている。また、第1縁線6Aと第2縁線7Aとは、基準点2Aを通りテーパスロットアンテナ1Aの中心線10と平行な基準線8Aに対して非対称に形成されている。
【0029】
ここで、誘電体基板11の開口部は、第1縁線6Aの端部と第2縁線7Aの端部とを結ぶ線分でカットされた構造となっている。
また、同軸線路12の外周導体は、第2導体板5Aに導通され、同軸線路12の芯線は、テーパスロット3Aを跨いで第1導体板4Aに導通されている。
その他の構成については、前述の実施の形態1と同様であり、詳述を省略する。
【0030】
以下、上記構成のテーパスロットアンテナ1Aの動作について説明する。なお、前述した実施の形態1と同様の動作については、詳述を省略する。
まず、外部から入力される入力信号は、テーパスロット3Aに電磁結合される。このとき、同軸線路12の芯線に接続された第1導体板4Aと、同軸線路12の外周導体に接続された第2導体板5Aとは、互いに逆相で励磁される。
【0031】
続いて、テーパスロット3Aに電磁結合された入力信号は、テーパスロット3Aの放射部開口に向かって伝搬され、周波数帯域によって異なるテーパスロット3Aの各位置から、電磁波として放射される。
ここで、テーパスロットアンテナ1Aは、非対称テーパスロット構造を有しているので、電磁波の指向方向は、図3に示すように、テーパスロットアンテナ1Aの正面方向からチルトされる。
【0032】
この発明の実施の形態2に係るテーパスロットアンテナ1Aによれば、テーパスロット3Aは、基準点2Aを挟んで互いに対向する第1縁線6Aと第2縁線7Aとで構成されている。また、第1縁線6Aと第2縁線7Aとは、基準線8Aに対して非対称に形成されている。
そのため、テーパスロットアンテナ1A自体を傾けて配置させることなく、簡素かつ安価な構成で、電磁波の指向方向を、テーパスロットアンテナ1Aの正面方向からチルトさせることができる。
【0033】
また、誘電体基板11の開口部が、第1縁線6Aの端部と第2縁線7Aの端部とを結ぶ線分でカットされているので、テーパスロットアンテナ1Aを軽量化することができるとともに、テーパスロット3Aから放射される電磁波が誘電体から受ける影響を均等にすることができる。
また、同軸線路12の芯線は、テーパスロット3Aと交差した直後で第1導体板4Aと導通されるので、入力信号は、広帯域に亘って効率的にテーパスロット3Aに電磁結合される。
【0034】
なお、上記実施の形態2では、誘電体基板11の開口部を、第1縁線6Aの端部と第2縁線7Aの端部とを結ぶ線分でカットしたが、必ずしもカットする必要はない。
図4は、この発明の実施の形態2に係る別のテーパスロットアンテナ1Bを示す構成図である。
図4において、テーパスロットアンテナ1Bは、図3に示した同軸線路12に代えて、基準点2B(給電点)においてテーパスロット3Bに給電するためのマイクロストリップ線路13(給電手段)と、マイクロストリップ線路13の端部において誘電体基板11に設けられたスルーホール14(給電手段)とを備えている。
【0035】
ここで、テーパスロット3Bは、矩形の誘電体基板11B上に構成されており、誘電体基板11Bの開口部には、誘電体基板端部15がカットされずに残されている。
その他の構成、および上記構成のテーパスロットアンテナ1Bの動作については、前述の実施の形態2と同様であり、詳述を省略する。
【0036】
このとき、誘電体基板11Bの開口部に残された誘電体基板端部15によって、テーパスロット3Bから放射される電磁波が影響を受け、電磁波の指向方向のチルト角度が所望の値から多少ずれる(チルトずれが生じる)可能性がある。
しかしながら、このチルトずれが小さい場合には、誘電体基板端部15をカットせずに残しても問題はないと考えられる。
この場合には、誘電体基板端部15をカットする工程を省略して、テーパスロットアンテナ1Bの工作性を向上させることができる。
【0037】
また、上記実施の形態2では、同軸線路12、またはマイクロストリップ線路13を用いてテーパスロット3A(3B)に給電したが、これに限定されず、他の方法を用いてテーパスロット3A(3B)に給電してもよい。
この場合も、上記実施の形態2と同様の効果を奏することができる。
【0038】
実施の形態3.
上記実施の形態2では、基準点2Aが、誘電体基板11の中央よりも下側の位置に設けられている(図3参照)。これは、非対称テーパスロット構造を構成する第1縁線6Aと第2縁線7Aとが互いに等しい長さとなり、かつ線分9A(図3参照)が基準線8Aと直角でない角度で交差するように、第1導体板4Aおよび第2導体板5Aを誘電体基板11にパターニングすることが必要となるからである。
しかしながら、これに限定されず、誘電体基板の中央に基準点が設けられてもよい。
【0039】
図5は、この発明の実施の形態3に係るテーパスロットアンテナ1Cを示す構成図である。
図5において、テーパスロットアンテナ1Cは、誘電体基板11Cと、誘電体基板11Cの一方の面にパターニングされ、テーパスロット3Cを構成する第1導体板4Cおよび第2導体板5Cと、基準点2C(給電点)においてテーパスロット3Cに給電するための給電手段(図示せず)とを備えている。
【0040】
テーパスロット3Cは、誘電体基板11Cの中央に設けられた基準点2Cを挟んで互いに対向する第1導体板4Cの端部の第1縁線6Cと、第2導体板5Cの端部の第2縁線7Cとで構成されている。
また、基準点2Cの近傍を除いて、基準点2Cからそれぞれ等しい任意の経路長Lだけ離れた第1縁線6C上の点と第2縁線7C上の点とを結んだ線分9Cが、基準線8Cと直角でない角度で交差している。
【0041】
このとき、基準点2Cが誘電体基板11Cの中央に設けられているので、第2縁線7Cが誘電体基板11Cの端部(テーパスロット3Cの放射部開口)に到達した際に、第1縁線6Cは、誘電体基板11Cの端部に到達していない。
そのため、テーパスロットアンテナ1Cには、第1縁線6C上の第2縁線7Cよりも長い部分が余分な縁線部分16として付加され、また余分な縁線部分16に対応した余分な誘電体が付加されていることとなる。
その他の構成、および上記構成のテーパスロットアンテナ1Cの動作については、前述の実施の形態2と同様であり、詳述を省略する。
【0042】
ここで、電磁波は、基準点2Cからのテーパスロット3Cの長さが入力信号の波長に対して適度に長く、かつテーパスロット3Cの開口径が入力信号のほぼ半波長となる位置から放射される。
そこで、これらの条件を考慮してテーパスロットアンテナ1Cを構成することにより、余分な縁線部分16および余分な誘電体によって影響を受ける周波数帯域を、対象とする周波数帯域の外にすることができる。
また、入力信号が低周波信号の場合には、余分な縁線部分16の長さが相対的に短くなって影響が小さくなるので、電磁波の指向方向のチルト角度のずれ(チルトずれ)を小さくすることが設計上可能である。
【0043】
この発明の実施の形態3に係るテーパスロットアンテナ1Cによれば、テーパスロット3Cは、基準点2Cを挟んで互いに対向する第1縁線6Cと第2縁線7Cとで構成されている。また、第1縁線6Cと第2縁線7Cとは、基準線8Cに対して非対称に形成されている。
そのため、テーパスロットアンテナ1C自体を傾けて配置させることなく、簡素かつ安価な構成で、電磁波の指向方向を、テーパスロットアンテナ1Cの正面方向からチルトさせることができる。
【0044】
なお、上記実施の形態2および3では、誘電体基板11上に第1導体板4Aおよび第2導体板5Aをパターニングしてテーパスロットアンテナ1Aを構成する場合を例として説明した。しかしながら、この発明は、導体板のみで図1に示した非対称テーパスロット構造を構成すれば、同様の効果が得られるものである。
すなわち、例えば、リッジホーンアンテナのリッジ部分を非対称テーパ形状にすることによっても、電磁波の指向方向をチルトさせることができる。
【0045】
実施の形態4.
上記実施の形態2(または、実施の形態3)では、誘電体基板11の一方の面にパターニングされた第1導体板4Aおよび第2導体板5Aでテーパスロット3Aが構成されると説明した。しかしながら、これに限定されず、誘電体基板の一方の面にパターニングされた第1導体板と誘電体基板の他方の面にパターニングされた第2導体板とを一対としてテーパスロットが構成されてもよい。
【0046】
図6は、この発明の実施の形態4に係るテーパスロットアンテナ1Dを示す構成図である。
図6において、テーパスロットアンテナ1Dは、誘電体基板11Dと、誘電体基板11Dの一方の面(以下、「第1面」と称する)にパターニングされた第1導体板4Dと、誘電体基板11Dの他方の面(以下、「第2面」と称する)にパターニングされた第2導体板5Dとを備えている。
【0047】
ここで、第1導体板4Dおよび第2導体板5Dの基準点2D側(放射部開口の反対側)は、それぞれ導体幅が縮小するようにパターニングされて、導体幅が互いに等しく、かつ互いに重なった部分を対として平行2線17(給電手段)が構成されている。
また、第1導体板4Dおよび第2導体板5Dの前方側(図中の左側)は、互いに重ならない方向(例えば、図中の上方向および下方向)に曲線を描きつつ、かつそれぞれ導体幅が漸次拡大するようにパターニングされている。
【0048】
テーパスロット3Dは、互いに対向する第1導体板4Dの端部の第1縁線6Dと、第2導体板5Dの端部の第2縁線7Dとで構成されている。また、テーパスロット3Dは、基準点2D(給電点)側から前方側(図中の左側)に向けて、その幅が漸次拡大するように構成され、先端部が放射部開口となっている。
【0049】
ここで、第1縁線6Dと第2縁線7Dとは、基準点2Dを通りテーパスロットアンテナ1Dの中心線と平行な基準線8D(図中では水平方向)に対して非対称(非対称テーパスロット構造)に形成されている。
すなわち、基準点2Dの近傍を除いて、基準点2Dからそれぞれ等しい任意の経路長Lだけ離れた第1縁線6D上の点と第2縁線7D上の点とを結んだ線分9Dが、基準線8Dと直角でない角度で交差している。
【0050】
以下、上記構成のテーパスロットアンテナ1Dの動作について説明する。
まず、外部から平行2線17に入力される入力信号(図面に対して垂直方向の電界)は、平行2線17を伝搬するにつれて徐々に回転し、テーパスロット3Dとほぼ平行な方向となって、テーパスロット3Dに電磁結合される。
【0051】
続いて、テーパスロット3Dに電磁結合された入力信号は、テーパスロット3Dの放射部開口に向かって伝搬され、周波数帯域によって異なるテーパスロット3Dの各位置から、テーパスロット3Dとほぼ平行な方向の直線偏波として放射される。
ここで、テーパスロットアンテナ1Dは、非対称テーパスロット構造を有しているので、電磁波の指向方向は、図6に示すように、テーパスロットアンテナ1Dの正面方向からチルトされる。
【0052】
この発明の実施の形態4に係るテーパスロットアンテナ1Dによれば、テーパスロット3Dは、互いに対向する第1縁線6Dと第2縁線7Dとで構成されている。また、第1縁線6Dと第2縁線7Dとは、基準線8Dに対して非対称に形成されている。
そのため、テーパスロットアンテナ1D自体を傾けて配置させることなく、簡素かつ安価な構成で、電磁波の指向方向を、テーパスロットアンテナ1Dの正面方向からチルトさせることができる。
【0053】
また、第1導体板4Dおよび第2導体板5Dの前方側は、互いに重ならない方向に曲線を描きつつ、かつそれぞれ導体幅が漸次拡大するようにパターニングされている。
そのため、平行2線17に入力された入力信号をテーパスロット3Dに給電する際に、平衡−不平衡変換器(バラン)を必要としない。
【0054】
なお、上記実施の形態4のテーパスロットアンテナ1Dにおいて、誘電体基板11Dの開口部には、誘電体基板端部(図4の誘電体基板端部15参照)が残されている。そのため、電磁波の指向方向のチルト角度が所望の値から多少ずれる(チルトずれが生じる)可能性がある。
しかしながら、このチルトずれが小さい場合には、誘電体基板端部をカットせずに残しても問題はないと考えられる。
【0055】
実施の形態5.
図7は、この発明の実施の形態5に係るテーパスロットアンテナ1Eを示す構成図である。
図7において、テーパスロットアンテナ1Eは、誘電体基板11Eと、誘電体基板11Eの第1面にパターニングされた第1導体板4Eと、誘電体基板11Eの第2面にパターニングされた第2導体板5Eとを備えている。
【0056】
ここで、第1導体板4Eの基準点2E(給電点)側は、平行2線17E(図6参照)を構成した後、そのままの導体幅で延長してパターニングされて、マイクロストリップ線路18(給電手段)が構成されている。また、第2導体板5Eの基準点2E側は、平行2線17Eを構成した後、導体幅が漸次拡大するようにパターニングされて、テーパバラン19が構成されている。マイクロストリップ線路18は、誘電体基板11Eの上下辺からほぼ等距離に設けられている。
その他の構成については、前述の実施の形態4と同様であり、詳述を省略する。
【0057】
以下、上記構成のテーパスロットアンテナ1Eの動作について説明する。なお、前述した実施の形態4と同様の動作については、詳述を省略する。
まず、外部からマイクロストリップ線路18の入力端に入力される入力信号は、線路内を伝搬し、テーパバラン19を介して平行2線17Eに入力される。平行2線17Eに入力された入力信号は、テーパスロット3Eに電磁結合されて、テーパスロット3Dの各位置から、直線偏波として放射される。
【0058】
この発明の実施の形態5に係るテーパスロットアンテナ1Eによれば、テーパスロット3Eは、互いに対向する第1縁線6Eと第2縁線7Eとで構成されている。また、第1縁線6Eと第2縁線7Eとは、基準線8Eに対して非対称に形成されている。
そのため、テーパスロットアンテナ1E自体を傾けて配置させることなく、簡素かつ安価な構成で、電磁波の指向方向を、テーパスロットアンテナ1Eの正面方向からチルトさせることができる。
【0059】
また、テーパバラン19を用いることにより、マイクロストリップ線路18から平行2線17Eへの変換を、導体のパターニングのみで容易に実現することができる。
また、マイクロストリップ線路18を用いてテーパスロット3Eに給電する方法によれば、テーパスロットアンテナ1Eの後段に設けられるモジュール等への接続が容易になるとともに、マイクロストリップ線路18を一体モジュールとしてアンテナ基板に実装することも可能となる。
【0060】
なお、実施の形態2で示したテーパスロットアンテナ1B(図4参照)であっても、同様にマイクロストリップ線路13による給電が可能である。しかしながら、この場合には、テーパスロット3Bとの電磁結合に広帯域特性を持たせるために、スルーホール14を設ける必要がある。
これに対して、本実施の形態のテーパスロットアンテナ1Eは、スルーホールを設ける必要がないので、構成を簡素にすることができる。
【0061】
また、上記実施の形態5のテーパスロットアンテナ1Eにおいて、基準点2Eは、誘電体基板11Eの中央に設けられている。そのため、テーパスロットアンテナ1Eには、第1縁線6E上の第2縁線7Eよりも長い部分が余分な縁線部分(図5の余分な縁線部分16参照)として付加され、また余分な縁線部分に対応した余分な誘電体が付加されていることとなる。
ここで、電磁波は、基準点2Eからのテーパスロット3Eの長さが入力信号の波長に対して適度に長く、かつテーパスロット3Eの開口径が入力信号のほぼ半波長となる位置から放射される。
そこで、これらの条件を考慮してテーパスロットアンテナ1Eを構成することにより、余分な縁線部分および余分な誘電体によって影響を受ける周波数帯域を、対象とする周波数帯域の外にすることができる。
また、入力信号が低周波信号の場合には、余分な縁線部分の長さが相対的に短くなって影響が小さくなるので、電磁波の指向方向のチルト角度のずれ(チルトずれ)を小さくすることが設計上可能である。
【0062】
実施の形態6.
上記実施の形態4(または、実施の形態5)では、誘電体基板11Dの第1面にパターニングされた第1導体板4Dと、第2面にパターニングされた第2導体板5Dとで非対称テーパスロット構造を有するテーパスロットアンテナ1Dが構成されると説明した。ここで、テーパスロットアンテナは1系統である必要はなく、誘電体基板を2枚積層して2系統のテーパスロットアンテナを構成してもよい。
【0063】
図8は、この発明の実施の形態6に係るテーパスロットアンテナ1Fを示す斜視図である。また、図9は、図8のテーパスロットアンテナ1Fを上方から見た構成図である。
図8および図9において、テーパスロットアンテナ1Fは、互いに積層される第1誘電体基板21および第2誘電体基板22と、第1誘電体基板21の第2誘電体基板22と接触しない第1面にパターニングされた第1導体板23と、第1誘電体基板21の第2面にパターニングされた第2導体板24と、第2誘電体基板22の第1誘電体基板21と接触しない面にパターニングされた第3導体板25と、第1マイクロストリップ線路36(後述する)および第2マイクロストリップ線路37(後述する)に接続された切り替え手段26とを備えている。
【0064】
ここで、互いに対向する第1導体板23の端部の第1縁線27と、第2導体板24の端部の第2縁線28とで、第1テーパスロット29が構成されている。また、互いに対向する第2導体板24の第3縁線30と、第3導体板25の端部の第4縁線31とで、第2テーパスロット32が構成されている。
第1テーパスロット29および第2テーパスロット32は、基準点33(給電点)側から前方側(図中の左側)に向けて、その幅が漸次拡大するように構成され、先端部が放射部開口となっている。
【0065】
また、第1導体板23、第2導体板24および第3導体板25の基準点33側(放射部開口の反対側)は、それぞれ導体幅が縮小するようにパターニングされて、導体幅が互いに等しく、かつ互いに重なった部分を対として、第1テーパスロット29および第2テーパスロット32に給電するための平行2線34(給電手段)が構成されている。
また、第2導体板24は、平行2線34を構成した後、導体幅が漸次拡大するようにパターニングされて、テーパバラン35が構成されている。
【0066】
また、第1導体板23および第3導体板25は、平行2線34を構成した後、そのままの導体幅で延長してパターニングされて、第1マイクロストリップ線路36および第2マイクロストリップ線路37がそれぞれ構成されている。
なお、第1マイクロストリップ線路36と第2マイクロストリップ線路37とは、互いの入力端が重ならないように、それぞれ蛇行して配線され、切り替え手段26に接続されている。
切り替え手段26は、外部から入力される入力信号を、第1マイクロストリップ線路36および第2マイクロストリップ線路37の何れかに切り替えて出力する。すなわち、切り替え手段26は、第1テーパスロット29に給電するか、または第2テーパスロット32に給電するかを切り替える。
【0067】
ここで、第1縁線27と第2縁線28とは、基準点33を通りテーパスロットアンテナ1Fの中心線と平行な基準線38(図中では水平方向)に対して非対称に形成されている。また、第3縁線30と第4縁線31とは、同じく基準線38に対して非対称に形成されている。
すなわち、第1テーパスロット29は、非対称テーパスロット構造を有し、平行2線34から給電される第1アンテナ部39を構成している。また、第2テーパスロット32は、非対称テーパスロット構造を有し、平行2線34から給電される第2アンテナ部40を構成している。
このとき、第1アンテナ部39と第2アンテナ部40とは、それぞれ電磁波の指向方向が異なる方向にチルトされるように構成されている。
【0068】
以下、上記構成のテーパスロットアンテナ1Fの動作について説明する。なお、前述した実施の形態5と同様の動作については、詳述を省略する。まず、切り替え手段26は、第1マイクロストリップ線路36側に切り替えられているとする。
まず、外部から切り替え手段26に入力される入力信号は、第1マイクロストリップ線路36の入力端に入力される。第1マイクロストリップ線路36に入力された入力信号は、線路内を伝搬し、テーパバラン35を介して平行2線34に入力される。
【0069】
続いて、平行2線34に入力された入力信号は、第1テーパスロット29に電磁結合され、第1アンテナ部39から直線偏波として放射される。
また、切り替え手段26が第2マイクロストリップ線路37側に切り替えられた場合には、同様にして、切り替え手段26に入力される入力信号は、第2アンテナ部40から直線偏波として出力される。
【0070】
この発明の実施の形態6に係るテーパスロットアンテナ1Fによれば、第1テーパスロット29は、互いに対向する第1縁線27と第2縁線28とで構成され、第2テーパスロット32は、互いに対向する第3縁線30と第4縁線31とで構成されている。また、第1縁線27と第2縁線28と、および第3縁線30と第4縁線31とは、基準線38に対して非対称に形成されている。
そのため、テーパスロットアンテナ1F自体を傾けて配置させることなく、簡素かつ安価な構成で、電磁波の指向方向を、テーパスロットアンテナ1Fの正面方向からチルトさせることができる。
【0071】
また、切り替え手段26は、第1マイクロストリップ線路36および第2マイクロストリップ線路37に接続され、外部から入力される入力信号を、第1マイクロストリップ線路36および第2マイクロストリップ線路37の何れかに切り替えて出力する。
そのため、切り替え手段26を切り替えることによって、電磁波の指向方向を切り替えることができる。
また、第1誘電体基板21および第2誘電体基板22が積層されてテーパスロットアンテナ1Fが構成されているので、省スペース化とともに、電磁波の指向方向の切り替えという高機能化を実現することができる。
【0072】
なお、切り替え手段26としては、半導体スイッチやMEMSスイッチ等を適用することが考えられる。また、スイッチの小型化を図ることにより、図9に示したように蛇行させることなく、第1マイクロストリップ線路36および第2マイクロストリップ線路37を配線することができる。
【0073】
また、上記実施の形態6では、誘電体基板を2枚積層して2系統のテーパスロットアンテナを構成し、電磁波の指向方向を2方向に切り替えると説明したが、これに限定されない。誘電体基板をさらに多層化することにより、構成は複雑になるものの、多系統のテーパスロットアンテナを構成して、電磁波の指向方向を複数の方向に切り替えることができる。
【0074】
実施の形態7.
上記実施の形態1〜6では、単体のテーパスロットアンテナ1について説明したが、このテーパスロットアンテナ1を素子アンテナとしてアレーアンテナを構成してもよい。
図10は、この発明の実施の形態7に係るアレーアンテナ41(アンテナ装置)を示す斜視図である。
図10において、アレーアンテナ41は、反射板42と、例えば図6で示したテーパスロットアンテナ1Dである素子アンテナ43とを備えている。
【0075】
反射板42には、複数の素子アンテナ43がアレー状に配置されている。
また、反射板42の後段には、アンプ、移相器等が組み込まれた図示しないモジュールや分配・合成回路等が配置されており、アレーアンテナ41は、アクティブフェーズドアレーアンテナを構成している。
【0076】
また、素子アンテナ43の平行2線に対する給電手段は、反射板42の裏面側に設けられている。このとき、反射板42には、平行2線と導通しないように適度な大きさの穴が設けられている。この穴の形状は、任意の形状でよく、例えば素子アンテナ43を反射板42の前面から抜き差しできるようにスロット状に形成されてもよい。
【0077】
以下、上記構成のアレーアンテナ41の動作について説明する。なお、前述した実施の形態4と同様の動作については、詳述を省略する。
外部から上記のモジュールや分配・合成回路等を介して各素子アンテナ43の平行2線に入力された入力信号は、テーパスロットに電磁結合されて、素子アンテナ43の正面方向から斜め上方にチルトした指向方向44に向け、電磁波として放射される。
このとき、アレーアンテナ41全体としての合成された電磁波の指向方向も、指向方向44と一致する。
【0078】
この発明の実施の形態7に係るアレーアンテナ41によれば、各素子アンテナ43は、正面方向からチルトした指向方向44に向けて電磁波を放射する。
そのため、指向方向44について、正面方向に電磁波を放射する従来のアレーアンテナと比較して利得を向上させることができる。
また、さらに上方にビーム走査を行った場合でも、従来のアレーアンテナと比較して利得の低下を低減することができる。
また、地面等への不要な電磁波の放射を低減して、反射波等による性能の劣化を防止することができる。
【0079】
なお、上記実施の形態7では、平面状の反射板42に複数の素子アンテナ43を配置したが、これに限定されない。素子アンテナ43は、例えば曲面上や多面体上に3次元的に配置されてもよい。また、より簡素な構成として、1次元的に配置されてもよい。
これらの場合も、上記実施の形態7と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】この発明の実施の形態1に係るテーパスロットアンテナを示す構成図である。
【図2】図1の基準点近傍を拡大して示す拡大図である。
【図3】この発明の実施の形態2に係るテーパスロットアンテナを示す構成図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係る別のテーパスロットアンテナを示す構成図である。
【図5】この発明の実施の形態3に係るテーパスロットアンテナを示す構成図である。
【図6】この発明の実施の形態4に係るテーパスロットアンテナを示す構成図である。
【図7】この発明の実施の形態5に係るテーパスロットアンテナを示す構成図である。
【図8】この発明の実施の形態6に係るテーパスロットアンテナを示す斜視図である。
【図9】図8のテーパスロットアンテナを上面から見た構成図である。
【図10】この発明の実施の形態7に係るアレーアンテナを示す斜視図である。
【図11】一般的なテーパスロットアンテナを示す構成図である。
【符号の説明】
【0081】
1、1A〜1F テーパスロットアンテナ、2、2A〜2E 基準点(給電点)、3、3A〜3E テーパスロット、4、4A〜4E 第1導体板、5、5A〜5E 第2導体板、6、6A〜6E 第1縁線、7、7A〜7E 第2縁線、8、8A〜8E 基準線、9、10 中心線、11、11B〜11E 誘電体基板、12 同軸線路(給電手段)、13、18 マイクロストリップ線路(給電手段)、14 スルーホール(給電手段)、17、17E 平行2線(給電手段)、21 第1誘電体基板、22 第2誘電体基板、23 第1導体板、24 第2導体板、25 第3導体板、26 切り替え手段、27 第1縁線、28 第2縁線、29 第1テーパスロット、30 第3縁線、31 第4縁線、32 第2テーパスロット、33 基準点(給電点)、34 平行2線(給電手段)、41 アレーアンテナ(アンテナ装置)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が放射部開口となるようにその幅が漸次拡大するスロットを構成する第1導体板および第2導体板と、
前記スロットに給電するための給電手段と
を備えたテーパスロットアンテナであって、
前記スロットは、互いに対向する前記第1導体板の端部の第1縁線と前記第2導体板の端部の第2縁線とで構成され、
前記第1縁線と前記第2縁線とは、前記給電手段の給電点を通り前記テーパスロットアンテナの中心線と平行な基準線に対して非対称に形成されていることを特徴とするテーパスロットアンテナ。
【請求項2】
前記第1導体板および前記第2導体板は、誘電体基板の一方の面にパターニングされていることを特徴とする請求項1に記載のテーパスロットアンテナ。
【請求項3】
前記第1導体板は、誘電体基板の一方の面にパターニングされ、前記第2導体板は、前記誘電体基板の他方の面にパターニングされていることを特徴とする請求項1に記載のテーパスロットアンテナ。
【請求項4】
前記第1導体板および前記第2導体板の前記放射部開口の反対側は、導体幅が互いに等しく、かつ互いに重なるようにパターニングされて、前記給電手段である平行2線が構成されていることを特徴とする請求項3に記載のテーパスロットアンテナ。
【請求項5】
互いに積層される第1誘電体基板および第2誘電体基板と、
前記第1誘電体基板の前記第2誘電体基板と接触しない一方の面にパターニングされた第1導体板と、
前記第1誘電体基板の他方の面にパターニングされた第2導体板と、
前記第2誘電体基板の前記第1誘電体基板と接触しない面にパターニングされた第3導体板と、
切り替え手段と
を備えたテーパスロットアンテナであって、
互いに対向する前記第1導体板の端部の第1縁線と前記第2導体板の端部の第2縁線と、および前記第2導体板の端部の第3縁線と前記第3導体板の端部の第4縁線とは、一端が放射部開口となるようにその幅が漸次拡大する第1スロットおよび第2スロットをそれぞれ構成し、
前記第1導体板、前記第2導体板および前記第3導体板の前記放射部開口の反対側は、導体幅が互いに等しく、かつ互いに重なるようにパターニングされて、前記第1スロットおよび前記第2スロットに給電するための給電手段である平行2線が構成され、
前記第1縁線と前記第2縁線と、および前記第3縁線と前記第4縁線とは、前記給電手段の給電点を通り前記テーパスロットアンテナの中心線と平行な基準線に対して非対称に形成され、
前記切り替え手段は、前記第1スロットに給電するか、または前記第2スロットに給電するかを切り替えることを特徴とするテーパスロットアンテナ。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のテーパスロットアンテナを、合成した指向方向がそれぞれの前記テーパスロットアンテナの指向方向と一致するように複数個配置したことを特徴とするアンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−5086(P2009−5086A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−164050(P2007−164050)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】