説明

テーブル用脚の取付具及びテーブル

【課題】経時後のテーブル脚体の取付位置の狂いを未然に防止できるようにした。
【解決手段】取付ねじ4のねじ込みにより、受け金具1の狭持部11を狭持金具2と脚体7側の脚側金具3のフランジ31間で狭持するようにしたテーブル用脚の取付具において、狭持部11の狭持金具2との対向上面11aは、受け金具1の長孔12の長手方向に沿って傾斜するテーパ面とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブル用脚の取付具、及びこの取付具を用いて組立てられたテーブルに関し、特に、その天板の角部に脚体を精度よく一致させた取付を可能とするとともに、恒久的な結合強度を得る上で好適な取付具及びテーブルを提供するものである。
【背景技術】
【0002】
先に本出願人は、下記特許文献1,2に示すテーブル用脚の取付金具を開発した。この取付金具は、天板の下面に形成された凹部に嵌合固定された受け具としての天板側金具と、脚体の上部に固定された脚側金具を備え、天板側金具に脚側金具の上部を嵌合し、両金具を取付ねじを介して連結することにより、取付金具を介して天板の下部に脚体を連結固定するものである。
【0003】
これら取付金具によれば、天板に脚体を直接取付けできるため、従来の天板の下面外周に幕板を取付けた上で、その四隅に脚を取付けるなどの複雑な取付構造を必要とせず、構造的、デザイン的に簡素な構造を得ることができる利点がある。
【0004】
ところで、この種のテーブルにおける、最近の傾向としては、一例として、天板の四隅にR面形状などの面取り加工が施され、天板の角部に頭などの身体の一部が衝突した際の安全性に加え、柔らかな曲面によるデザインの新規性などを得るようにし、また脚体側においても角部の面取り加工に応じて脚体もそのR面形状に等しい径の丸棒状とするとともに、角部の下部に連続してほぼ一直線上に連続した縦形状とすることが求められている場合があるが、天板の下面四隅に対する受け金具の埋設用の取付穴の位置に加工誤差が生じていると、脚体の上端が天板の角より外方にはみ出す場合がある。このような場合には僅かにはみ出ていたとしても見栄えが悪く、不良品と判定され、仕上げ段階での歩留り低下要因となるため、受け金具の取付穴の加工位置の精度を極めて高くする必要があった。
【0005】
そこで、下記特許文献3には、加工誤差に伴う脚柱のはみ出しを防止するための調整機構を設けた取付具が開発されている。この構造では、固定ねじを緩めた状態で、テーブルの天板に固定される天板側金具を構成する受け金具と脚体が固定される挟持金具が相対的に移動可能であり、固定ねじを締めた状態で、天板側の受け金具が、挟持金具と脚体上端の脚側金具のフランジ部との間に挟持固定されるため、脚体を天板下面に移動調整可能に固定することができ、取付位置誤差などによる見栄え低下を防止できる利点を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公平4−1368号公報
【特許文献2】特許第2846597号公報
【特許文献3】特開2009−95422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この構造においては、脚体の回転方向や水平方向のずれに対してねじの締結力のみにより挟持力を作用させており、基本的にはフランジ部および挟持金具と、受け金具間の接合面は金属同士の結合であり、また水平面で結合しているため摩擦力が小さく、外力によりねじに僅かな弛みが生ずると、接合面間に簡単にガタが生じやすく、初期の締結力を維持するのが難しいと言う課題を生じていた。特に、角柱形の脚体を角形天板の隅角部に取り付けた場合に、上記弛みに基づくガタにより、脚体が回動すると、角柱による脚体と天板の角部の線がずれるために、美観の点でも問題があった。
【0008】
本発明は以上の課題を解決するものであり、その目的とするところは、取付ねじを用いて天板−脚体同士を一旦締結した状態では、初期締結力を高く、かつその締結力を維持できるようにし、これによって経時後の脚体の取付位置の狂いを未然に防止できるようにしたテーブル用脚の取付具を提供するものである。
また、本発明では、以上の取付具の取付方向性を間違えることなく、簡単な組立操作によって天板−脚体間を精度よく結合したテーブルを提供することを他の目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明に係るテーブル用脚の取付具は、角形としたテーブル天板6の下面四隅に取り付けられる円盤形の受け金具1と、テーブル天板6の下面に形成された取付孔60,61の内部において、受け金具1の上面に配置される挟持金具2と、テーブル脚体7の上部中心に挿通固定され、頂部に位置決め用フランジ31を介して頭部32を突出させた脚体側金具3と、取付ねじ4とを具備している。受け金具1は円盤周囲のフランジ部10と、フランジ部10の内側に一段肉薄に形成された挟持部11と、挟持部11の中央に開口形成された略短冊形状の角孔よりなる長孔12を備えている。挟持金具2は、下面を平坦面とした略短円柱状をなすものであり、その中央に上下に貫通した受け孔21と、平坦下面の一側部に突設されたねじ込み用のブロック22と、ねじ込み用ブロック22を貫通して斜めに形成され、かつその一端が受け孔21に連通するねじ孔23とを備えている。挟持金具2は、受け金具1のテーブル天板6下面への取付状態でねじ込み用ブロック22を長孔12より突出させて受け金具1の挟持部11の上面11a内に遊嵌状態に保持されるものであり、脚体側金具3の頭部32は、テーブル脚体7への取り付け状態で、受け孔21に挿通可能であり、かつねじ孔23に螺合される取付ねじ4の先端に当接する傾斜状の受圧面35が形成され、取付ねじ4をねじ孔23にねじ込み、その先端で受圧面35を圧することにより挟持金具2と脚体側金具3のフランジ31間で、前記挟持部11を挟持するようにしている。
前記挟持部11の前記挟持金具2との対向上面11aは、前記受け金具1のフランジ部10の水平方向上下面に対し、前記長孔12の長手方向に沿って傾斜するテーパ面とされていることを特徴とする。
【0010】
上記本発明では、取付ねじ4の結合により挟持金具2は、受け金具1の上面11aに挟持状態で圧接されるが、そのテーパ角度に応じて傾斜し、最終的にそのテーパ角度に応じた傾斜状態で挟持上面11aに対して密着するため、水平である場合に比べて挟持力が高く、外力に対するずれや、左右方向への回動によるずれが防止される。
【0011】
前記の構成において、前記挟持部11の前記挟持金具2との対向上面11aは、前記受け金具1のフランジ部10の水平方向上下面に対し、前記長孔12の長手方向に沿って、前記取付ねじ4の螺合部から下方向に傾斜するテーパ面とされており、挟持部11の下面11bは、受け金具1のフランジ部10の水平方向上下面と平行とされていることを特徴とする。テーパ面の傾斜角度は、略3度とされることが望ましい。
【0012】
上記の構成によれば、取付ねじ4の締結により、挟持金具2は、テーブル脚体7側の脚体側金具3の頭部32と一体となって、挟持部11の上面11aの最肉薄部に位置することになり、長時間使用により、取付ねじ4の締結に弛みが生じた場合でも、テーブル脚体7のずれによる移動がより有効に阻止されることになる。
【0013】
前記の構成において、前記挟持部11の上面11aと、前記挟持金具2の対向下面2bとは、微細な凹凸よりなる粗面加工面とされていることを特徴とする。
【0014】
上記粗面加工面により、受け金具1と挟持金具2との対向面の結合摩擦が高くなるため、外力に対するずれが一層有効に防止されるものとなる。
【0015】
前記の構成において、前記受け金具1の前記フランジ10下面と、前記挟持金具2の前記ねじ込み用ブロック22の下面には、挟持金具2におけるねじ込みブロック22の方向性を指示するための合いマーク14,24を形成したことを特徴とする。
【0016】
上記の構成では、合いマーク14,24を見ながら組立ができるため、組付け間違えなどを未然に防止できる。
【0017】
前記の構成において、前記両合いマーク14,24は、頂部を同方向とした略二等辺三角形をなし、凸刻印により前記下面から突出するように形成されていることを特徴とする。
【0018】
受け金具1側の合いマーク14がフランジ部10の下面から突出することにより、受け金具1をテーブル天板6下面の取付孔60内に埋設固定させる時に、合いマーク14の突出下面とテーブル天板6の下面とを同一面とすることにより、受け金具1の下面が天板6の下面から飛び出さないように容易に固定させることができる。これにより、テーブル脚体7の上面と天板6の下面との間に隙間が生じないようにすることができる。さらに、取り付け時において、木製のテーブル脚体7の上面が、合いマーク14の突出下面に食い込むこととなり、テーブル脚体7の取り付けが一層強固となる。
【0019】
本発明に係るテーブルは、前記取付具を介して組立てられるテーブル、特に木製テーブルにおいて、テーブル天板6の隅部下面に、前記受け金具1を埋設状態に固定するための取付孔60,61を穿設し、該取付孔60,61に、前記挟持金具2を上面に遊嵌した受け金具1を、その前記両合いマーク14,24が、テーブル天板6の一側面における隅角部とは反対方向を指向すべく方向性を定めて埋設固定する一方、テーブル脚体7の上部中心に前記脚体側金具3を埋設し、その前記頭部32を、長孔12を介して挟持金具2の受け孔21に嵌合するとともに、テーブル脚体7の上部一側面に斜めに切り欠かれたねじ取付用切欠き72を通じて取付ねじ4をねじ込み、テーブル天板6の隅部両側面に対するテーブル脚体7の側面位置を調整しつつテーブル天板6の隅部にテーブル脚体7を連結固定したものであることを特徴とする。
【0020】
上記のテーブルは、組立間違いがなく、組立状態では天板と脚体の結合強度が高く、しかも天板の隅部側面に対する脚体の位置精度を精度よく仕上げることができる。
【0021】
前記受け金具1の合いマーク14が天板6の隅角部に対して45°の角度をなし、隅角部とは反対方向を指向すべく、天板6内に埋設固定する一方、脚体7に埋設固定された脚体側金具3の頭部32を挟持金具2に嵌合するとともに、脚体7の上部であって天板6隅角部とは反対側に形成されたねじ取付用切欠き74を通じて取付ねじ4をねじ込み、天板6の隅部両側面に対する脚体の側面位置を調整しつつ天板6の四隅に脚体7を連結固定したものであるようにもできる。
【0022】
上記のテーブルでは、脚体7に形成されたねじ取付用切欠き74が天板6の奧方に位置するため、見栄えが向上し、いたずら防止対策としても好適である。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るテーブル用脚の取付具では、取付ねじ4の結合により挟持金具2は、受け金具1の上面11aに挟持状態で圧接されるが、そのテーパ角度に応じて傾斜し、最終的にそのテーパ角度に応じた傾斜状態で挟持上面11aに対して密着するため、水平である場合に比べて挟持力が高く、外力に対するずれや、左右方向への回動によるずれが防止される。従って、テーブルの使用中に、脚体が外れたりする危険性がなく、また特に、脚体として角柱を使用し、天板として角形天板を使用した場合に、脚体が回動して脚体の隅角部と天板の隅角部の稜線がずれるなどの不体裁がない。
【0024】
請求項2及び3の構成によれば、取付ねじ4の締結により、挟持金具2は、テーブル脚体7側の脚体側金具3の頭部32と一体となって、挟持部11の上面11aの最肉薄部に位置することになり、長時間使用により、取付ねじ4の締結に弛みが生じた場合でも、テーブル脚体7のずれによる移動がより有効に阻止されることになる。
【0025】
請求項4の構成によれば、挟持部11の上面11aと、挟持金具2の対向下面2bとは、微細な凹凸よりなる粗面加工面とされていることから、受け金具1と挟持金具2との対向面の結合摩擦が高くなるため、外力に対するずれが一層有効に防止される。
【0026】
請求項5及び6の構成によれば、合いマーク14,24を見ながら組立ができるため、組付け間違えなどを未然に防止でき、テーブル天板への脚体の組み付け効率が向上し、組み付け間違いによる危険を防止できる。また、合いマーク14により、組み付け精度と強度を増すことができる。
【0027】
本発明に係るテーブルでは、組立間違いがなく、組立状態では天板と脚体の結合強度が高く、しかも天板の隅部側面に対する脚体の位置精度を精度よく仕上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】(a)〜(c)は本発明に係る取付具の平面、側面および断面図である。
【図2】同取付関係を示す分解斜視図である。
【図3】同取付具と天板および脚体との取付関係を示す分解斜視図である。
【図4】同取付具と天板および脚体のそれぞれに固定した状態における分解斜視図である。
【図5】(a)〜(c)は同取付手順を示す要部断面図である。
【図6】図5(a)におけるA部拡大断面図である。
【図7】図5(b)におけるB部拡大断面図である。
【図8】(a)〜(c)は天板と脚体とのずれと修正後の状態を示す部分斜視図である。
【図9】本発明の他の実施形態における取付関係を示す分解斜視図である。
【図10】(a),(b)は同天板側および脚体側への取付状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を適用した実施の形態例を図1〜10を参照して説明する。
図1,2は取付具の部品構成および取付関係を示すものであり、この取付具は後述するテーブル天板6の下面に埋設固定される略円盤状の受け金具1と、受け金具1内の上面に遊嵌される略短円柱状の挟持金具2と、後述するテーブル脚体7の上部に埋設固定され、かつ受け金具1を介して挟持金具2に連結される略円柱形の脚側金具3との3部品に分割構成される。脚側金具3の端部と挟持金具2間は、特に図2に示すように、六角孔付きボルトよりなる取付ねじ4を介して連結され、脚側金具3は、これの側面を貫通するピン5により脚体7側に固定されるものである。なお、図2においては各部材の取り付け関係性を明瞭にするために各部品の取付関係を倒立して描いており、以後も特に断りのない限りは同一の状態として図示する。
【0030】
以上の各部材のうち、受け金具1の上面(図2,3では下面側)および挟持金具2の上面側(図2,3では下面側)は、必要な部材強度を確保した上で、肉抜き加工部1a,2aが施され、また、脚側金具3の外側部にも矩形状をなす肉抜き加工部3aが複数箇所施されている。
【0031】
前記受け金具1は、扁平な大径円盤状をなし、複数の皿孔状のビス取付孔10aを形成した周囲フランジ部10と、フランジ部10より一段低く肉薄に形成された挟持部11と、挟持部11の中央に形成された短冊形若しくは長方形状の長孔12とを備え、長孔12の長手方向一端においてフランジ部10には挟持部11と同一面上となる切欠き13が形成されている。
【0032】
また、フランジ部10の下面(図2,3では上面)には、前記挟持金具2の取付方向を示す二等辺三角形状をした一対の合いマーク14が凸刻印により突設され、その頂部を切り欠き13側に向けて指向させている。さらに受け金具1の挟持部11の上面11a(図では下面)は、図1に示すごとく、エンボスなどの微細な凹凸粗面加工面とされているとともに、前記切欠き13側に向けて漸次厚みを増すテーパ面としている。
【0033】
上記テーパ面を形成する挟持部11の前記挟持金具2との対向上面11aは、受け金具1のフランジ部10の水平方向上下面に対し、長孔12の長手方向に沿って、前記取付ねじ4の螺合部から下方向に傾斜するテーパ面とされており、挟持部11の下面11bは、受け金具1のフランジ部10の水平方向上下面と平行とされている。テーパ面の傾斜角度αは、図1に示すように略3度とされている。
【0034】
前記挟持金具2は、上面(図2,3では下面)両側の一部に切欠き20を形成した略短円柱状をなすものであって、下面2b(図2,3では上面)の粗加工面を挟持部としているほか、中央部には上下方向に貫通した受け孔21が形成されている。受け孔21の長手方向一端には、前記長孔12内に挿通されるねじ込み用ブロック22が突設され、このねじ込み用ブロック22の前部傾斜面中央には、前記受け孔21に連通する前記取付ねじ4の螺合用のねじ孔23が形成されている。
【0035】
また、この挟持金具2の下面2b(図2,3では上面)には、エンボスなどの微細な凹凸加工による粗面加工面が形成されている。さらにねじ込み用ブロック22の頂部(下面)には前記合いマーク14と同一指向性を表示する合いマーク24が凸刻印により突設されている。
【0036】
前記脚側金具3は、テーブル脚体7の端部中心に挿通される略円柱状の取付軸30と、取付軸30の端部にフランジ31を介して一体に突設され、かつ前記挟持金具2の受け孔21内に挿通される頭部となるねじ受けブロック32とを備えている。
【0037】
取付軸30の外周には雄ねじ部33が形成されているとともに、その両側をカットした形状としてあり、これの軸方向上下に直交して前記ピン5を挿通するための一対のピン孔34を貫通形成している。なお雄ねじ部33は脚体7に対するねじ込み用ではなく、抜出抵抗のための凹凸として機能するものである。
【0038】
フランジ31は前記取付軸30の挿通位置決めと、脚体7に対する固定を行うためのものであり、その両側には後述する皿ねじ挿通用の切欠き31aを形成している。
【0039】
ねじ受けブロック32は、受け金具1の長孔12を通して前記挟持板2の受け孔21に嵌合されるとともに、前記取付ねじ4の先端が当接される傾斜状の受圧面35を形成しており、取付ねじ4のねじ込みにより、脚体側金具3のフランジ31と挟持金具2の表面との間で、受け金具1の挟持部11を強固に挟持するものである。なお挟持金具2の下面2bと、受け金具1の挟持部11の上面11aとは粗面加工面の噛合効果により強固に滑り止め結合される。
【0040】
次に、以上の取付具を用いたテーブルの天板と脚体の連結構造と、連結手順について、図3以下を用いて説明する。図3において、木製の天板6の底面四隅には、ルーターなどの加工により同心状に2段の取付孔60,61が穿設されている。
【0041】
一段目の取付孔60は受け金具1の径、厚みに対応するものであり、2段目の取付孔62は挟持金具2の径、厚みより僅かに大きく、取付状態で挟持金具2を前後左右に移動可能に取付けるものである。
【0042】
以上の構成において、挟持金具2のねじ込み用ブロック22を受け金具1の長孔12内に遊嵌状態に挿通した後、受け金具1をその長孔12の長手方向が天板6の一方の側面に平行であって、切欠き13側が天板6の隅角部とは反対位置となるべく取付孔60に嵌合し、取付孔60に形成されたねじ下孔10aに向けて皿ねじよりなる固定具Bを螺合することにより、図4,図5(a)に示すように、挟持金具1は天板6の隅部に同一面上をなして固定される。この取付方向は合いマーク14,24を見ることによって簡単に確認できるため、作業間違いがない。
【0043】
また、固定状態で受け金具1のフランジ部10は、図6に拡大して示すように、取付孔60の表面、すなわち天板6の底面よりやや深い位置に位置し、合いマーク14の突出表面が天板6の下面と同一平面となるか、これよりやや突出した状態にあり、また挟持金具2は前後左右移動可能に遊嵌されたままの状態である。
【0044】
これに対し、天板6に固定される木製の脚体7は、略正方形断面の脚柱状をなすものであり、その頂部中心には前記脚側金具3の軸部30を挿通するための取付孔70を開口しているとともに、一側面中央には前後軸部30が位置決め挿通された状態でピン孔34と一致するピン挿通孔71が開口され、さらには、脚体7と頂部と一側面間の中央には傾斜状をなす取付ねじ4の挿通用切欠き72が形成されている。
【0045】
従って、軸部30を取付孔70に挿通し、取付孔70の周囲二箇所に形成されたねじ下孔70aにフランジ31の両側切欠き31aに皿ねじよりなる固定具Bをねじ込めば、図4,図5(a)に示すように、フランジ31およびねじ受けブロック32を頂面中心に突出した状態で、脚側金具3の固定が完了する。この状態でピン孔34と挿通孔71とは一致するため、ピン5を挿通孔71を通じてピン孔34に貫通させれば、ピン5による取付軸30の補強がなされる。なお、図示省略するが、ピン孔34と直交する他方のピン孔34にも同一要領でピン5を貫通して取付ければ、さらに取付軸30の補強が可能である。
【0046】
それぞれの組立を完了した後は、図5(b)に示すように、脚体7を受け金具1上に立てれば、脚体7の先端に突出するねじ受けブロック32は挟持金具2の受け孔21内に挿通される。この後ボルト挿通用切欠き72を通じて取付ねじ4を挟持金具2のねじ孔23に挿通し、六角レンチなどを用いて螺合すれば、図5(c)に示すように取付ねじ4の先端は、ねじ受けブロック32の受圧面35に当接し、この状態でさらに取付ねじ4を締上げることにより、ねじ受けブロック3は押下げられ、挟持金具2は押上げられる結果、挟持金具2と脚側金具3のフランジ31間で受け金具1の挟持部11を挟持し、これによって天板6に対する脚体7の固定が完了する。なお、挟持部11の上面11a(図では下面側は、テーパ状をなし、同図6に拡大して示すように、切欠き13側に向けて漸次厚みが増すように所定角度αで傾斜しており、取付ねじ4の締付けに応じて、挟持金具2はその傾斜に応じて角度を傾けつつ挟持金具2は挟持部11の裏面に完全密着する。
【0047】
これにより結合面は最終的に傾斜するため、水平な結合形態に対し結合強度が高く、さらにその粗面加工面となる、挟持金具2の下面2b及び受け金具1の挟持部11の上面11a同士の摩擦力により、挟持部11は挟持金具2とフランジ31との間に強固に挟持されるものとなる。
【0048】
また、取付ねじ4の雄ねじ部40の外周の一部には、図7に拡大して示すように、熱可塑性樹脂などの高摩擦部材40aが予めコーティングされており、螺合操作による加熱により高摩擦部材40aが溶けて噛合部のねじピッチ間に充填されることにより弛み止めがなされ、取付後の取付ねじ4の弛みによるがたを未然に防止している。
【0049】
以上の取付作業中には、図8(a)に正立状態で示すように天板6に対する脚体7の回転方向のずれや、(b)に示すように水平ずれが生ずる場合があるが、これらのずれは、取付ねじ4の締付け過程において、順次補正しつつ締付けトルクを増大することにより、完全固定状態では、(c)に示すように、天板6の角部側面と脚体7の両側面および角部稜線部が完全一致した状態で組立完了する。
【0050】
組立完了状態では、前記受け金具1の合いマーク14および挟持金具2の合いマーク24がそれよりも柔らかな材質である木製脚体7の頂面に食込むことによって回り止めの補助ともなり、これらによって精度よく組立てられると同時に、経時後のずれなども防止されることになる。
【0051】
次に図9,図10は組立における他の実施形態を示す。なお、取付具を構成する各部材の構成は前記実施形態と同一であるので、同一部材には同一符号を用いて説明する。各図において、受け金具1および挟持金具2は、その切欠き13を天板6の奧方を指向すべく天板6の角部に対して直線的であって、天板6の両側部に対して45°の角度をなしてその取付孔60に固定される。また、脚側金具3もそのフランジ31の長手方向両側が脚体7の対角線位置を指向すべく取付けられており、これに応じて脚体7の内側稜線部に取付孔73を形成しているとともに、その上部稜線上に傾斜したボルト挿通用切欠き74を形成している点が前記実施形態と異なるのみで、他は同じである。
【0052】
本実施形態における作用効果は、前記実施形態と同じであるが、取付孔73ボルト挿通用切欠き74が天板6の奧方に形成されているため、その形成部分が外方からでは見えにいため、見栄えが向上し、いたずらなどの防止効果もある。
【0053】
なお、以上の実施の形態では本発明を断面正方形の角形脚体の取付に適用した場合を示したが、必ずしも正方形断面だけでなく多角形、長方形などの断面や円柱形の脚体に適用することも可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0054】
1 受け金具
2 挟持金具
2b 下面
3 脚側金具
1a,2a,3a 肉抜き部
4 取付ねじ
5 ピン
6 天板
7 脚体
10 フランジ部
10a ねじ孔
11 挟持部、11a 上面、11b 下面
12 長孔
13 切欠き
14,24 合いマーク
20 切欠き
21 受け孔
22 ねじ込み用ブロック
23 ねじ孔
30 軸部
31 フランジ
31a 皿ねじ挿通用切欠き
32 ねじ受けブロック
33 雄ねじ部
34 ピン孔
35 受圧面
60,61 取付孔、60a ねじ下孔
70 取付孔、70a ねじ取付用下孔
71,73 ピン挿通孔
72,74 ボルト挿通用切欠き
B 固定具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円盤形の受け金具(1)と、受け金具(1)の上面に配置される挟持金具(2)と、頂部に位置決め用フランジ(31)を介して頭部(32)を突出させた脚体側金具(3)と、取付ねじ(4)とを具備し、受け金具(1)は円盤周囲のフランジ部(10)と、フランジ部(10)の内側に一段肉薄に形成された挟持部(11)と、挟持部(11)の中央に開口形成された略短冊形状の角孔よりなる長孔(12)を備え、挟持金具(2)は、下面を平坦面とした略短円柱状をなすものであり、その中央に上下に貫通した受け孔(21)と、平坦下面の一側部に突設されたねじ込み用のブロック(22)と、ねじ込み用ブロック(22)を貫通して斜めに形成され、かつその一端が受け孔(21)に連通するねじ孔(23)とを備え、挟持金具(2)は、受け金具(1)の取付状態でねじ込み用ブロック(22)を長孔(12)より突出させて受け金具(1)の挟持部(11)の上面(11a)内に遊嵌状態に保持されるものであり、脚体側金具(3)の頭部(32)は、受け孔(21)に挿通可能であり、かつねじ孔(23)に螺合される取付ねじ(4)の先端に当接する傾斜状の受圧面(35)が形成され、取付ねじ(4)をねじ孔(23)にねじ込み、その先端で受圧面(35)を圧することにより挟持金具(2)と脚体側金具(3)のフランジ(31)間で、前記挟持部(11)を挟持するようにしたテーブル用脚の取付具において、
前記挟持部(11)の前記挟持金具(2)との対向上面(11a)は、前記受け金具(1)のフランジ部(10)の水平方向上下面に対し、前記長孔(12)の長手方向に沿って傾斜するテーパ面とされていることを特徴とするテーブル用脚の取付具。
【請求項2】
前記挟持部(11)の前記挟持金具(2)との対向上面(11a)は、前記受け金具(1)のフランジ部(10)の水平方向上下面に対し、前記長孔(12)の長手方向に沿って、前記取付ねじ(4)の螺合部から下方向に傾斜するテーパ面とされており、挟持部(11)の下面(11b)は、受け金具(1)のフランジ部(10)の水平方向上下面と平行とされていることを特徴とする請求項1に記載のテーブル用脚の取付具。
【請求項3】
前記テーパ面の傾斜角度は、略3度の角度とされていることを特徴とする請求項2に記載ののテーブル用脚の取付具。
【請求項4】
前記挟持部(11)の上面(11a)と、前記挟持金具(2)の対向下面(2b)とは、微細な凹凸よりなる粗面加工面とされていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のテーブル用脚の取付具。
【請求項5】
前記受け金具(1)の前記フランジ(10)下面と、前記挟持金具(2)の前記ねじ込み用ブロック(22)の下面には、挟持金具(2)におけるねじ込みブロック(22)の方向性を指示するための合いマーク(14),(24)を形成したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のテーブル用脚の取付具。
【請求項6】
前記両合いマーク(14),(24)は、頂部を同方向とした略二等辺三角形をなし、凸刻印により前記下面から突出するように形成されていることを特徴とする請求項5に記載のテーブル用脚の取付具。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の取付具を介して組立てられるテーブルにおいて、
テーブル天板(6)の隅部下面に、前記受け金具(1)を埋設状態に固定するための取付孔(60,61)を穿設し、該取付孔(60,61)に、前記挟持金具(2)を遊嵌した受け金具(1)を、その前記両合いマーク(14),(24)が、テーブル天板(6)の一側面における隅角部とは反対方向を指向すべく方向性を定めて埋設固定する一方、テーブル脚体(7)の上部中心に前記脚体側金具(3)を埋設し、その前記頭部(32)を挟持金具(2)に嵌合するとともに、テーブル脚体(7)の上部一側面に斜めに切り欠かれたねじ取付用切欠き(72)を通じて取付ねじ(4)をねじ込み、テーブル天板(6)の隅部両側面に対するテーブル脚体(7)の側面位置を調整しつつテーブル天板(6)の隅部にテーブル脚体(7)を連結固定したものであることを特徴とするテーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−112129(P2011−112129A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268275(P2009−268275)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000155414)株式会社野口ハードウェアー (2)
【出願人】(000119449)磯川産業株式会社 (41)
【Fターム(参考)】