説明

ディザマトリクスの階調設定方法、画像処理方法、画像処理装置、画像形成装置、プログラムおよび記録媒体

【課題】多値ディザ処理において、テクスチャパターンが現れることおよびモアレを抑制する。
【解決手段】入力画像の階調値を各画素の階調値を一様に保ったまま順次増加させたときに、最低階調から第1階調までの低階調範囲では所定方向に延伸する所定数のライン画像からなる第1ライン群またはその一部が出力画像に形成され、第1階調から第2階調までの中階調範囲では上記第1ライン画像群に加えて上記所定方向に略平行な所定数のライン画像からなる第2ライン群またはその一部が出力画像に形成されるように各画素における入力画像の階調値と出力画像の階調値との対応関係を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力画像の階調値と出力画像の階調値との対応関係を画素毎に設定したディザマトリクスを用いて多階調の入力画像に多値ディザ処理を施すことにより、上記入力画像の階調を多階調のディザ画像として再現する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像を紙などの記録媒体に出力する方法として、熱転写方式、電子写真方式、インクジェット方式を始めとする様々な記録方法が採用されている。これらの記録方法においては、入力画像の濃度(階調)に応じたドットパターンを生成して記録媒体上に印字することによって中間調処理(ハーフトーン処理)を行っている。
【0003】
中間調処理の1つであるディザ処理では、n×mのマトリクス状に配置された各画素に閾値が対応付けられたディザマトリクスを用い、画素単位で入力される多値画像データをディザマトリクスの閾値と1画素単位で比較し、多値画像データを2値あるいは多値に量子化変換して、ディザ画像(中間調画像、ハーフトーン画像)を得るようにしている。
【0004】
ディザ処理は、用いるディザマトリクスに応じて、ドット分散型、ドット集中型などに分類される。
【0005】
一般的なドット集中型のディザ処理では、入力画像の階調値が大きくなるに従って、ディザパターンの中心を核としてドットが太っていくように成長する。ドットの成長形状としては、円、楕円、ライン(線型)、四角、十字、菱形などの様々なものが挙げられる。
【0006】
しかしながら、ドット成長を利用した従来のディザ処理方法では、ドット成長の形状の違いによって、再現される面積の変化度合い(階調特性)が異なる、あるいは、濃度変化の不安定性による画質のがさつき感が出るといった問題がある。
【0007】
例えば、(1)画像出力装置の画像出力特性により低線数のディザスクリーンを使用する場合、(2)オブジェクト(ラスターデータ(例えば印画紙写真やデジタルカメラで撮像した写真のデータなどの連続階調のデータ))、ベクターデータ(グラフなど)、またはテキスト毎にディザスクリーンを切り替える処理(例えば、プリンタ、複合機のプリンタ機能の場合)を行う場合、(3)文字や連続階調領域に応じてディザスクリーンを切り替える処理(コピアの場合)を行う場合などには、低線数のディザスクリーンを使用する場合がある。ところが、低線数のディザスクリーンを用いる場合、高周波数成分が多く含まれる画像を処理すると、モアレパターンが発生し易い傾向がある。
【0008】
そこで、このような画質の低下を抑制するために、従来は、スクリーン角度(ディザスクリーンを入力画像に重ね合わせる角度)を変えてモアレを抑制する方法が取られている。
【0009】
また、特許文献1には、低解像度で高速記録を行う際においても良好な画像品質が得られる階調再現方法として、ディザマトリクスにより多階調画像が一部の濃度において閾値化されたときに、所定方向のライン基調が3ドット〜5ドット毎に形成され、かつ基調以外の部分においてはハイパスフィルター特性を持つようにすることが記載されている。より具体的には、特許文献1の技術では、低線数化した濃度範囲を選定し、選定した濃度範囲とそれ以外の濃度範囲との境界部におけるディザマトリクスのドット配置を、所定方向のライン基調とハイパスフィルター特性とを持つように改めて配置している。
【特許文献1】特開2004−166163号公報(平成16年6月10日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記したスクリーン角度を変えてモアレを抑制する方法では、角度の制約などから、モアレパターンを適切に抑制できない場合がある。
【0011】
また、上記特許文献1の技術では、作成したディザマトリクスの低濃度部において階調の連続性が途切れてテクスチャパターンが現れるおそれがある。
【0012】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、多値ディザ処理において、低階調範囲の入力画像の階調をテクスチャパターンが現れることを防止して適切に再現するとともに、中階調範囲の入力画像の階調をモアレを抑制して適切に再現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のディザマトリクスの階調設定方法は、上記の課題を解決するために、多値ディザ処理で用いられるディザマトリクスの各画素について入力画像の階調値と出力画像の階調値との対応関係を設定するディザマトリクスの階調設定方法であって、各画素の階調値が同じ値である入力画像の階調値を各画素の階調値が同じ値であるという条件を保ったまま順次増加させたときに、最低階調から第1階調までの低階調範囲では所定方向に延伸する所定数のライン画像からなる第1ライン群またはその一部が出力画像に形成され、第1階調から第2階調までの中階調範囲では上記第1ライン画像群に加えて上記所定方向に略平行な所定数のライン画像からなる第2ライン群またはその一部が出力画像に形成されるように各画素における入力画像の階調値と出力画像の階調値との対応関係を設定することを特徴としている。
【0014】
上記の方法によれば、各画素の階調値が同じ値である入力画像の階調値を各画素の階調値が同じ値であるという条件を保ったまま順次増加させたときに、最低階調から第1階調までの低階調範囲では所定方向に延伸する所定数のライン画像からなる第1ライン群またはその一部が出力画像に形成されるように各画素における入力画像の階調値と出力画像の階調値との対応関係を設定する。これにより、低階調範囲の入力画像について、テクスチャパターンが現れるのを防止して適切に階調を再現することができる。
【0015】
また、第1階調から第2階調までの中階調範囲では上記第1ライン画像群に加えて上記所定方向に略平行な所定数のライン画像からなる第2ライン群またはその一部が出力画像に形成されるように各画素における入力画像の階調値と出力画像の階調値との対応関係を設定する。これにより、中濃度範囲では低濃度範囲の場合よりも出力画像に形成されるライン画像の数を増加させて高線数化することができるので、スクリーン角度を変更することなく、モアレを抑制することができる。つまり、高周波成分の入力画像に対して低線数のディザマトリクスを用いる場合には一般にモアレが発生しやすいが、上記の方法によれば、中濃度範囲においてディザマトリクスを高線数化させることによって低周波成分を有するモアレに高周波成分を付与し、モアレが生じるのを抑制することができる。
【0016】
また、上記第1ライン画像群に属するライン画像と上記第2ライン画像群に属するライン画像とが上記所定方向に垂直な方向に沿って交互に配置されるように各画素における入力画像の階調値と出力画像の階調値との対応関係を設定してもよい。
【0017】
上記の方法によれば、第1ライン画像群に属するライン画像と第2ライン画像群に属するライン画像とを略均等に分散させて形成することができるので、出力画像の画質を向上させることができる。
【0018】
また、上記入力画像の階調値を各画素の階調値が同じ値であるという条件を保ったまま順次増加させたときに、上記第1ライン画像群を構成する各画素の階調値が所定数の画素ずつ順次増加するように各画素における入力画像の階調値と出力画像の階調値との対応関係を設定してもよい。
【0019】
上記の方法によれば、入力画像の階調値の増加に応じて、第1ライン画像群を構成する各ライン画像の画素の階調値を特定の画素に偏ることなく所定数の画素ずつ順次増加させていくことができるので、低濃度範囲における出力画像の画質を向上させることができる。
【0020】
また、上記入力画像の階調値を各画素の階調値が同じ値であるという条件を保ったまま順次増加させたときに、上記第1ライン画像群を構成する各ライン画像における各画素の階調値の総和が各ライン画像について略均等に増加していくように上記第1ライン画像群を構成する各画素における入力画像の階調値と出力画像の階調値との対応関係を設定してもよい。
【0021】
上記の方法によれば、入力画像の階調値の増加に応じて、第1ライン画像群を構成する各画素の階調値を特定のライン画像に偏ることなく各ライン画像について略均等に増加させていくことができるので、低濃度範囲における出力画像の画質を向上させることができる。
【0022】
また、上記入力画像の階調値を各画素の階調値が同じ値であるという条件を保ったまま順次増加させたときに、上記第2ライン画像群を構成する各画素の階調値が所定数の画素ずつ順次増加するように各画素における入力画像の階調値と出力画像の階調値との対応関係を設定してもよい。
【0023】
上記の方法によれば、入力画像の階調値の増加に応じて、第2ライン画像群を構成する各ライン画像の画素の階調値を特定の画素に偏ることなく所定数の画素ずつ順次増加させていくことができるので、中濃度範囲における出力画像の画質を向上させることができる。
【0024】
また、上記入力画像の階調値を各画素の階調値が同じ値であるという条件を保ったまま順次増加させたときに、上記第2ライン画像群を構成する各ライン画像における各画素の階調値の総和が各ライン画像について略均等に増加していくように上記第2ライン画像群を構成する各画素における入力画像の階調値と出力画像の階調値との対応関係を設定してもよい。
【0025】
上記の方法によれば、入力画像の階調値の増加に応じて、第2ライン画像群を構成する各画素の階調値を特定のライン画像に偏ることなく各ライン画像について略均等に増加させていくことができるので、中濃度範囲における出力画像の画質を向上させることができる。
【0026】
本発明の画像処理方法は、上記の課題を解決するために、入力画像の階調値と出力画像の階調値との対応関係を画素毎に設定されたディザマトリクスを用いて多階調の入力画像に多値ディザ処理を施すことにより、上記入力画像の階調を多階調のディザ画像として再現する画像処理方法であって、上記対応関係として、上記したいずれかの階調設定方法によって設定された対応関係を用いることを特徴としている。
【0027】
上記の方法によれば、低階調範囲の入力画像の階調をテクスチャパターンが現れることを防止して適切に再現することができる。また、中階調範囲の入力画像の階調を、モアレを抑制して適切に再現することができる。
【0028】
本発明の画像処理装置は、上記の課題を解決するために、入力画像の階調値と出力画像の階調値との対応関係を画素毎に設定されたディザマトリクスを用いて多階調の入力画像に多値ディザ処理を施すことにより、上記入力画像の階調を多階調のディザ画像として再現する画像処理装置であって、上記ディザマトリクスの各画素について設定された入力画像の階調値と出力画像の階調値との対応関係を記憶する記憶手段と、入力画像の階調値に対応する出力画像の階調値を上記記憶手段から読み出して出力画像における各画素の階調値を決定する階調決定手段とを備え、上記記憶手段は、上記対応関係として上記したいずれかの階調設定方法によって設定された対応関係を記憶していることを特徴としている。
【0029】
また、本発明の画像形成装置は、上記の課題を解決するために、上記の画像処理装置と、上記ディザ画像を印刷媒体に形成する画像出力装置とを備えていることを特徴としている。
【0030】
上記の構成によれば、低階調範囲の入力画像の階調をテクスチャパターンが現れることを防止して適切に再現することができる。また、中階調範囲の入力画像の階調を、モアレを抑制して適切に再現することができる。
【0031】
なお、上記画像処理装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記各手段として動作させることにより、上記画像処理装置をコンピュータにて実現させる画像処理プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に含まれる。
【発明の効果】
【0032】
以上のように、本発明のディザマトリクスの階調設定方法は、入力画像の階調値を各画素の階調値を一様に保ったまま順次増加させたときに、最低階調から第1階調までの低階調範囲では所定方向に延伸する所定数のライン画像からなる第1ライン群またはその一部が出力画像に形成され、第1階調から第2階調までの中階調範囲では上記第1ライン画像群に加えて上記所定方向に略平行な所定数のライン画像からなる第2ライン群またはその一部が出力画像に形成されるように各画素における入力画像の階調値と出力画像の階調値との対応関係を設定する。
【0033】
また、本発明の画像処理方法は、入力画像の階調値と出力画像の階調値との対応関係を画素毎に設定されたディザマトリクスを用いて多階調の入力画像に多値ディザ処理を施すことにより、上記入力画像の階調を多階調のディザ画像として再現する画像処理方法であって、上記対応関係として、上記したいずれかの階調設定方法によって設定された対応関係を用いる。
【0034】
また、本発明の画像処理装置は、上記ディザマトリクスの各画素について設定された入力画像の階調値と出力画像の階調値との対応関係を記憶する記憶手段と、入力画像の階調値に対応する出力画像の階調値を上記記憶手段から読み出して出力画像における各画素の階調値を決定する階調決定手段とを備え、上記記憶手段は、上記対応関係として上記したいずれかの階調設定方法によって設定された対応関係を記憶している。
【0035】
また、本発明の画像形成装置は、上記の画像処理装置と、上記ディザ画像を印刷媒体に形成する画像出力装置とを備えている。
【0036】
それゆえ、上記各方法および上記各装置によれば、低階調範囲の入力画像の階調をテクスチャパターンが現れることを防止して適切に再現することができる。また、中階調範囲の入力画像の階調を、モアレを抑制して適切に再現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明の一実施形態について説明する。
【0038】
(1.全体構成)
図2は、本実施形態に係るカラー画像処理装置10を備えたデジタルカラー複合機(画像形成装置)1の概略構成を示すブロック図である。
【0039】
カラー画像処理装置10は、図2に示すように、A/D変換部11、シェーディング補正部12、入力階調補正部13、領域分離処理部14、色補正部15、黒生成下色除去部16、空間フィルタ処理部17、出力階調補正部18、および、階調再現処理部19を備えている。そして、上記カラー画像処理装置10に、カラー画像入力装置20とカラー画像出力装置30とが接続され、全体としてデジタルカラー複合機1を構成している。また、デジタルカラー複合機1には、操作パネル40が備えられている。
【0040】
操作パネル40は、デジタルカラー複合機1における各部の動作状態、ジョブに関する情報、ユーザによる各部の操作を支援(案内)するための情報などを表示するとともに、ユーザからの指示入力を受け付けるためのものである。操作パネル40としては、例えば、液晶ディスプレイ等の表示部と設定ボタン等の操作部とが一体化されたタッチパネル等を用いることができる。操作パネル40に入力された情報は、カラー画像処理装置10の主制御部(図示せず)に送られる。主制御部は、操作パネル40に入力された情報に基づいてカラー画像入力装置20、カラー画像処理装置10、およびカラー画像出力装置30における各部の動作を制御する。
【0041】
カラー画像入力装置20は、例えば、電荷結合素子(Charge Coupled Device;以下、CCDと称する)を備えたスキャナ部より構成され、原稿画像が記録された紙からの反射光像を、CCDにてRGBのアナログ信号として読み取り、カラー画像処理装置10に入力するものである。
【0042】
カラー画像入力装置20にて読み取られたアナログ信号は、カラー画像処理装置10内を、A/D変換部11、シェーディング補正部12、入力階調補正部13、領域分離処理部14、色補正部15、黒生成下色除去部16、空間フィルタ処理部17、出力階調補正部18、および階調再現処理部19の順で送られ、CMYKのデジタルカラー信号として、カラー画像出力装置30へ出力される。
【0043】
A/D(アナログ/デジタル)変換部11は、入力されてきたRGBのアナログ信号をデジタル信号に変換するものである。シェーディング補正部12は、A/D変換部11より送られてきたRGBのデジタル信号に対して、カラー画像入力装置20の照明系、結像系、撮像系で生じる各種の歪みを取り除く処理を施すものである。
【0044】
入力階調補正部13は、シェーディング補正部12にて各種の歪みが取り除かれたRGB信号(RGBの反射率信号)のカラーバランスを整えるとともに、濃度信号などのカラー画像処理装置10に採用されている画像処理システムの扱い易い信号に変換する。
【0045】
領域分離処理部14は、RGB信号によって表現されている入力画像を、例えば文字エッジ領域、網点領域、写真領域などの複数の領域に分離するものである。そして、領域分離処理部14は、上記分離結果に基づき、入力画像の各画素がどの領域に属しているかを示す領域識別信号を、色補正部15、黒生成下色除去部16、空間フィルタ処理部17、および階調再現処理部19へと出力するとともに、入力階調補正部13から出力された入力信号をそのまま後段の色補正部15に出力する。
【0046】
色補正部15は、色を忠実に再現するために、不要吸収成分を含むCMY色材の分光特性に基づいた色濁りを取り除く処理を行うものである。処理方法としては、入力RGB信号と出力CMY信号の対応関係を予め記憶させたルックアップテーブル(LUT)を用いる方法や、下記式1のような変換行列を用いるカラーマスキング法などがある。
【0047】
【数1】

【0048】
例えば、カラーマスキング法を用いる場合には、あるCMYを画像出力装置に与えた場合に出力される色のL値(CIE1976L信号(CIE: Commission International de l’Eclairage:国際照明委員会。L: 明度、a、b: 色度))と同じLをもつカラーパッチをスキャナが読み込んだときのRGBデータと、カラー画像出力装置30に与えたCMYデータの組を多数用意し、それらの組み合わせから上記式1のa11からa33までの変換行列の係数を算出する。これらの係数を用いて色補正処理を行う。より精度を高めたい場合は、二次以上の高次の項を加えてもよい。
【0049】
黒生成下色除去部16は、色補正後のCMYの3色信号から黒(K)信号を生成する黒生成と、元のCMY信号が重なる部分を差し引いて新たなCMY信号を生成する処理とを行うことにより、CMYの3色信号をCMYKの4色信号に変換するものである。
【0050】
空間フィルタ処理部17は、黒生成下色除去部16から出力されるCMYK信号の画像データに対して、領域識別信号を基にデジタルフィルタによる空間フィルタ処理を行い、空間周波数特性を補正することによって、出力画像のぼやけや粒状性劣化を防ぐように処理するものである。
【0051】
出力階調補正部18は、濃度信号などの信号をカラー画像出力装置30の特性値である網点面積率に変換する出力階調補正処理を行うものである。
【0052】
階調再現処理部19は、空間フィルタ処理部17と同様に、CMYK信号の画像データに対して、領域識別信号を基に所定の処理を施すものであり、最終的に画像の階調を擬似的に再現できるように処理する階調再現処理を施す。
【0053】
例えば、領域分離処理部14によって文字エッジ領域として分離された領域は、特に黒文字または色文字の再現性を高めるために、空間フィルタ処理部17による空間フィルタ処理において鮮鋭強調処理が施されて高周波成分が強調され、階調再現処理部19によって高周波成分の再現に適した高解像度のディザスクリーン(多値ディザマトリクスデータ)を用いた多値ディザ処理(多値化処理)が施される。
【0054】
また、領域分離処理部14によって網点領域として分離された領域に関しては、空間フィルタ処理部17によって、入力網点成分を除去するためのローパス・フィルタ処理が施され、階調再現処理部19によって、階調性を重視したディザスクリーンを用いた多値ディザ処理が施される。
【0055】
また、領域分離処理部14にて写真領域として分離された領域に関しては、階調再現処理部19によって、階調再現性を重視したディザスクリーンを用いた多値ディザ処理が行われる。
【0056】
なお、本実施形態のデジタルカラー複合機1では、多階調の入力画像をこの入力画像の階調よりも少ない階調(カラー画像出力装置30が表現可能な階調)で再現するために、階調再現処理部19が多値ディザ処理を行う構成となっている。そして、本発明は、階調再現処理部19が多値ディザ処理を行う際に用いるディザスクリーン(多値ディザマトリクスデータ)に特徴がある。多値ディザ処理およびディザスクリーンの詳細については後述する。
【0057】
また、カラー画像処理装置10において扱われる画像データは、CMYKの各色の濃度値から構成されるが、多値ディザ処理では、各色成分について同様の処理を行うので、以下の説明では、1つの色成分の濃度値(画像データ)に対する処理だけを説明し、他の色に対する処理については説明を省略する。
【0058】
上述した各処理が施された画像データは、図示しない記憶部に一旦記憶され、所定のタイミングで読み出されてカラー画像出力装置30に入力される。このカラー画像出力装置30は、入力された画像データに対応する画像を記録媒体(例えば紙等)上に出力するものである。カラー画像出力装置30における画像の形成方法は特に限定されるものではなく、例えば、電子写真方式やインクジェット方式などを用いることができる。尚、以上の処理は図示しない主制御部(CPU(Central Processing Unit))により制御される。
【0059】
(2.多値ディザ処理)
(2−1.階調再現処理部19の構成および動作)
次に、階調再現処理部19の構成、および階調再現処理部19で行われる多値ディザ処理について説明する。なお、本実施形態では、多値ディザ処理によって各画素に対する0から255までの256階調の入力画像(ディザ処理前の画像)を16階調のディザ画像に変換するものとする。もちろん、入力画像およびディザ画像の階調数はこれらに限定されず、入力画像の階調数Mとディザ画像の階調数Nとは、M>N(ただしN≧3)を満たす整数であればどのような値であってもよい。
【0060】
また、本実施形態では、多値ディザ処理を施される入力画像の階調がCMYKの各色成分の濃度値によって表現されているため、多値ディザ処理を行う際には、上記の入力画像を各色成分のビットプレーンに分離してから各ビットプレーンに対して個別に多値ディザ処理を行い、その後ビットプレーンを合成する。ただし、各ビットプレーンに対する多値ディザ処理方法は共通であるため、以下では、単一のビットプレーンに対する処理についてのみ説明する。
【0061】
図3は、階調再現処理部19の構成を示すブロック図である。この図に示すように、階調再現処理部19は、閾値出力値格納部51と閾値処理部52とを備えている。また、図4は、本実施形態において用いられるディザマトリクスの構成を示す説明図である。
【0062】
本実施形態では、図4に示したように、40画素からなるディザマトリクスを使用する。なお、ディザマトリクスの形状はこの形状に限定されるものではない。これらのディザマトリクスを図5に示すように入力画像の上に敷き詰めて配置することによって、全体としてスクリーン角度をもったディザ処理が可能となる。
【0063】
図4において、1つのマスは1つの画素に対応している。また、各マスに付された数字は、平面方向でのドットの広がりを示す順序(ドットを出力する順序)、すなわち、ディザマトリクスに対応して生成されるディザパターンでのドットの拡大順位を表している。
【0064】
閾値出力値格納部51は、ディザマトリクス内の画素位置毎に15個の閾値とこれら各閾値によって区別される16個の区間に応じた16個の出力濃度値とを格納している。つまり、ディザマトリクス内の位置i(i=1,2,3,…,n)毎に閾値Th[i][j](j=0,1,2,…(閾値のレベル),14;Th[i][j]≦Th[i][j+1])と、各閾値Th[i][j]によって区別される各区間に対応する出力濃度値Out[j](j=0,1,2,…,14;Out[j]≦Out[j+1])とを格納している。出力濃度値Out[j]としては、ドット成長パターンに応じた値がそれぞれ格納されている。
【0065】
閾値処理部52は、入力画像データの各画素の濃度値と、ディザマトリクスにおけるこれら各画素に対応する位置に割り当てられた閾値との大小比較を行い、入力画像データの各画素の濃度値が16個の区間のうちのいずれに含まれるかを特定する。そして、特定した区間に対応付けられた出力濃度値をディザ画像における濃度値とする。なお、本実施形態では、各画素の濃度値と当該各画素に対応するディザマトリクス内の位置の閾値との大小比較を行う際、ディザマトリクス内の各画素のうち、濃い出力濃度値が割り当てられている画素から順に大小比較を行う。
【0066】
図1は、ディザマトリクスにおける各マス(各画素に対応する位置)に対応付けられた閾値の一例を示す図である。これら各閾値は、入力画像の濃度値の取り得る値の範囲(0〜255)内に設定され、各マスについての15個の閾値によって、入力画像の濃度値の取り得る値の範囲(0〜255)が、ディザ画像の階調数と同じ16個の区間に区分される。また、16個の区間のそれぞれには、出力濃度値(すなわちディザ画像における濃度値)が対応付けられている。本実施形態では、それぞれの区間に、閾値の小さい方から順に0から15までの出力濃度値が対応付けられている。なお、各マスについての閾値の設定方法については後述する。
【0067】
図6は、階調再現処理部19における多値ディザ処理の流れを示すフローチャートである。なお、以下の説明では、ディザマトリクス内の画素i(i=1,2,3,…,16)に対応付けられたj番目(j=0,1,2,…,14)の閾値をTh[i][j]とする。ここで、aを0以上14以下の任意の整数とすると、常にTh[i][a]≦Th[i][a+1]である。つまり、最小の閾値に付される変数jの値は0であり、閾値が大きくなるに連れて変数jの値も増加する。
【0068】
この場合、画素iにおけるk番目の区間を区間[i][k](k=0,1,2,…,15)とすると、区間[i][0]は0以上Th[i][1]以下となり、区間[i][k](k=1,2,…,14)はTh[i][k−1]よりも大きくTh[i][k]以下となり、区間[i][15]はTh[i][14]よりも大きく255以下となる。
【0069】
また、区間[i][k]に対応付けられた出力濃度値をD[k]とする。なお、本実施形態では、D[k]=kである。閾値出力値格納部51は、閾値のデータとしてTh[i][j]を、また、出力濃度値のデータとしてD[k]を格納している。
【0070】
まず、閾値処理部52は、入力画像データ中の画素を1つ選択し、選択した画素(入力画素)が、ディザマトリクス内のどの画素(セル)に対応するかを特定するとともに、特定した画素に対応付けられた15個の閾値を閾値出力値格納部51から読み出す(S1)。
【0071】
次に、閾値処理部52は、入力画像データにおける上記画素の濃度値を、ステップS1において読み出した閾値と比較し、入力画像データにおける上記画素の濃度値が、閾値によって区分されるいずれの区間に含まれるかを特定する(S2)。そして、閾値処理部52は、特定した区間に対応付けられた出力濃度値をディザ画像(出力画像データ)の濃度値(出力画素の濃度値)として出力する(S3)。
【0072】
ステップS2およびS3は、以下のように表現できる。すなわち、入力画像データにおける主走査方向の座標をx、副走査方向の座標をyとし、入力画像データにおける座標(x,y)の画素の濃度値をIn[y][x]とする。そして、この画素についての出力画像データ(ディザ画像)の濃度値をOut[y][x]とすると、Out[y][x]はOut[y][x]=Out[j](j=0,1,2,…,14;Out[j]≦Out[j+1])の何れかとなる。
【0073】
より具体的には、
If (In[y][x] ≦ Th[i][0] )ならばOut[y][x]=D[0]=0
else if (In[y][x] ≦ Th[i][1] )ならばOut[y][x]=D[1]=1
else if (In[y][x] ≦ Th[i][2] )ならばOut[y][x]=D[2]=2



else if (In[y][x] ≦ Th[i][14] )ならばOut[y][x]=D[14]=14
else ならば Out[y][x]=D[15]=15
(ただし、iは座標(x,y)の入力画素に対応する、ディザマトリクス内の画素の番号を示す。)となる。
【0074】
ステップS1〜S3について具体例を用いて説明する。例えば、入力画像データにおける画素がディザマトリクス内の画素「1」に対応する場合、閾値処理部52は、閾値出力値格納部51から図1に示すTh[1][0]からTh[1][14]までを読み込む。そして、例えば入力画像データにおける画素「1」の濃度値が14の場合、閾値処理部52は、
Th[1][12]≦14<Th[1][13]
であるため、この画素「1」についての出力画像データの濃度値としてD[13]=13を出力する。
【0075】
ステップS3の後、閾値処理部52は、入力画像データにおける全ての画素について多値ディザ処理(量子化処理;S1〜S3の処理)が終了したか否かを判定し(S4)、終了していない場合には、閾値処理部52が次の画素を選択して、ステップS1に戻る。この際、閾値処理部52は、ディザマトリクスを入力画像データに重ね合わせながら図5に破線で示す主走査方向に沿って画素を選択し、多値ディザ処理を繰り返す。
【0076】
一方、S4において全ての画素について量子化処理が終了したと判断した場合には、多値ディザ処理を終了する。
【0077】
なお、本実施形態では、出力濃度値Out[j](j=0,1,2,…,14;Out[j]≦Out[j+1])を0から15までの4ビットの整数値としているが、カラー画像出力装置30の出力特性に基づいてガンマ補正(出力階調補正)を行い、0から255までの8ビットの整数値のうち16個の値を選択するようにしてもよい。ガンマ補正を行うと、入力濃度値(入力階調値)と出力濃度値(出力階調値)との関係はリニアではなくなるので出力濃度値は等間隔に設定されなくなるが、目標とする階調特性を表現することができる。
【0078】
(2−2.ディザマトリクスにおける閾値の設定方法)
次に、ディザマトリクスの形状および閾値の設定方法について説明する。本実施形態では、ある大きさと形状を持つ画素領域(ディザマトリクス)の中で、入力画像データにおける各画素の濃度値を一様に保ったまま濃度値を濃くしていった場合に、濃度を濃くしていく画素の順番(平面的なドット成長順番)、および各画素の濃度レベルを濃くしていく割合(どのような割合でドットを濃くしていくか)を設定することによって、多値レベルでのドットの成長順番を視覚的に設定する。つまり、ディザマトリクスの画素サイズおよび形状を任意に設定し、この形状内でどの順番に画素を濃くしていくかを決定し、次にこの順番を利用しながら、ドットを濃くしていくレベル(濃度方向)を設定する(深さ方向の成長手法を決める)。
【0079】
まず、濃度を濃くしていく画素の順番(ドットの成長順番)の設定方法について説明する。図7は、ディザマトリクスにおけるドットの成長順番の設定方法を説明するためのフローチャートである。
【0080】
この図に示すように、まず、ディザマトリクスの画素サイズおよび形状を決定する(S21)。なお、本実施形態では、上述したように、図4に示す画素サイズおよび形状を有するディザマトリクスを用いるものとする。
【0081】
次に、入力画像データにおける全画素の濃度を一様に保ったまま最低濃度(階調値0)から最高濃度(階調値255)まで変化させていく場合、すなわち、各画素の濃度値(階調値)が同じ値である入力画像データを各画素の濃度値が同じ値であるという条件を保ったまま最低濃度から最高濃度まで順次増加させていく場合に、ディザマトリクスの各画素についてどのような順番で出力濃度値を濃くしていくか(成長順番)を以下のように決定する。
【0082】
まず、水平方向に対して所定の角度を有する直線上の画素からなる第1ラインと、この第1ラインと略平行な各直線上の画素からなる第2ライン、第3ライン、および第4ラインを選択する(S22)。なお、第1ライン、第3ライン、第2ライン、第4ラインがこの順で並び、これら各ライン間の間隔が略等しくなるように各ラインを選択する。本実施形態では、図4に示したように、画素「1」「5」「3」「7」によって第1ラインが形成され、画素「4」「8」「2」「6」によって第2ラインが形成され、画素「13」「9」「15」「11」によって第3ラインが形成され、画素「16」「12」「14」「10」によって第4ラインが形成される。
【0083】
そして、第1ラインを構成する画素のうちのいずれかの出力濃度値と、第2ラインを構成する画素のうちのいずれかの出力濃度値とが順次増加するように第1ラインおよび第2ラインを構成する各画素の閾値(ドット成長順番)を設定していく(S23)。つまり、第1ラインと第2ラインとからなる第1ライン群(第1ライン画像群)を構成する各画素について閾値を設定していく。具体的には、第1ラインおよび第2ラインを構成する各画素の出力濃度値が、図4に示した画素の番号順に順次増加するように各画素の閾値を設定する。
【0084】
したがって、図1に示したように、第1ラインおよび第2ラインに属する画素は閾値が比較的低い値に設定された閾値セットとなり、ディザマトリクスと同サイズ・同形状で濃度が一様な入力画像データにおいて入力濃度値を順次上昇させていくと図8に示したように早い段階(低濃度領域)でドットがオンになる。なお、図8において、各画素に付された数字はディザパターン中の画素の濃度値を示している。
【0085】
その結果、低濃度領域(例えば入力画像データの階調値0〜51)では、ディザマトリクス内に互いに略平行かつ略一定の間隔を有する第1ラインおよび第2ラインの2本のラインが形成されていく。例えば、出力解像度が600dpiの場合、134lpi(line per inch)の間隔で第1ラインおよび第2ラインが形成される。したがって、このディザマトリクスを用いて多値ディザ処理を行うと、画像全体としては、図9(a)および図9(b)に示すように、低濃度領域では多数の第1ラインおよび第2ラインが形成されることになる。
【0086】
その後、第1ラインおよび第2ラインを構成する各画素について閾値の設定を終えたか否か(本実施形態では第1ラインおよび第2ラインを構成する各画素について15個の閾値を設定したか否か)を判断する(S24)。そして、これら各画素の閾値の設定を終えていない場合にはS23の処理を継続する。
【0087】
一方、第1ラインおよび第2ラインを構成する各画素について閾値の設定を終えた場合には、第3ラインを構成する画素のうちのいずれかの出力濃度値と、第4ラインを構成する画素のうちのいずれかの出力濃度値とが順次増加するように第3ラインおよび第4ラインを構成する各画素の閾値を設定していく(S25)。つまり、第3ラインと第4ラインとからなる第2ライン群(第2ライン画像群)を構成する各画素について閾値を設定していく。具体的には、第3ラインおよび第4ラインを構成する各画素(画素「9」〜「16」)の出力濃度値が、図4に示した画素の番号順に順次増加するように各画素の閾値を設定する。
【0088】
したがって、図1に示したように、第3ラインおよび第4ラインに属する画素は閾値が第1ラインおよび第2ラインに属する画素の閾値よりも大きい閾値セットとなり、第1ラインおよび第2ラインの画素の出力濃度値が最大値に達してから第3ラインおよび第4ラインが形成されることになる。つまり、低濃度領域ではドットが第1ラインおよび第2ラインに沿ったライン状に立ち上がり、少しずつ出力濃度値を高めながら成長していく。そして、第1ラインおよび第2ラインの出力濃度値が最大濃度値に到達すると、中濃度領域(例えば入力画像データの階調値52〜102)において第3ラインおよび第4ラインが成長し始める。
【0089】
これにより、このディザマトリクスを用いて多値ディザ処理を行うと、画像全体としては、図9(c)〜図9(e)に示すように、中濃度領域(例えば入力画像データの階調値52〜102)では各ディザマトリクスに対応する領域における第1ラインと第2ラインとの間に第3ラインが成長し、各ディザマトリクスに対応する領域における第2ラインとこのディザマトリクスに隣接する他のディザマトリクスに対応する領域における第1ラインとの間に第4ラインが成長する。したがって、低濃度領域よりも中濃度領域の方が高線数となる。例えば、出力解像度が600dpiの場合、268lpi(line per inch)の間隔で第1ライン〜第4ラインの4本のラインが形成される。
【0090】
このように、入力濃度値の低濃度領域では第1ラインおよび第2ラインが形成され、中濃度領域では第3ラインおよび第4ラインが形成されるように閾値を設定することで、ハイライト領域では低線数を保ちながらドットをライン状に成長させ、中濃度領域では高線数を維持したラインとして成長させることが可能となる。これにより、中濃度領域で高周波数成分を多く含んだ画像に低線数設計用のディザマトリクスを使用して中間調処理を施した場合には一般に中濃度領域でモアレが発生しやすいという問題があるが、このような問題を軽減することができる。
【0091】
その後、第3ラインおよび第4ラインを構成する各画素について閾値の設定を終えたか否かを判断する(S26)。そして、これら各画素の閾値の設定を終えていない場合にはS25の処理を継続する。
【0092】
一方、第3ラインおよび第4ラインを構成する各画素について閾値の設定を終えた場合には、残り画素の閾値を設定していく(S27)。本実施形態では、閾値の設定を終えていない各画素(画素「17」〜「40」)について、第1〜第4の各ラインの周囲の画素から順に出力濃度値が濃くなっていくように各画素の閾値を設定していくことで、第1〜第4の各ラインを徐々に太くしていく。
【0093】
具体的には、図4に示したように、画素「17」〜「40」を、第1ラインおよび第2ラインに隣接する画素の一部(画素「17」〜「20」)からなるグループ、第3ラインおよび第4ラインに隣接する画素の一部(画素「21」〜「24」)からなるグループ、第1ラインおよび第2ラインに隣接する画素の一部(画素「25」〜「28」)からなるグループ、第3ラインおよび第4ラインに隣接する画素の一部(画素「29」〜「32」)からなるグループ、および残りの画素(画素「33」〜「40」)からなるグループに分類し、各グループ内における各画素の出力濃度値が順次濃くなるように閾値を設定していく処理を各グループについて順次行う。
【0094】
その後、ディザマトリクス内の全画素について閾値の設定を終えたか否か判断し(S28)、設定を終えていない画素がある場合にはS27の処理を継続し、全画素について設定を終えた場合にはドットの成長順番についての設定処理を終了する。
【0095】
次に、各画素における濃度レベルの設定方法、すなわち閾値によって区別される各濃度区分に対応付ける出力濃度値の設定方法について説明する。
【0096】
各画素における濃度レベルの設定方法としては、例えば、画素順次、面順次、および画素順次と面順次とを組み合わせたミックス順次の3通りの方法が考えられる。
【0097】
画素順次は、ある1つの画素の出力濃度値が最小濃度から最大濃度まで成長してから、次の画素の出力濃度値を最小濃度から最大濃度まで成長させるといったように、各画素の出力濃度値を画素単位で順番に最大濃度まで増加していく方法である。したがって、ある画素を集中的に高濃度へ成長させることができる。
【0098】
面順次は、ディザマトリクス内の選択した領域に含まれる複数の画素の出力濃度値を入力濃度値のある濃度レベル(第1濃度レベル)までに対応して最小濃度から最大濃度まで順次成長させた後、次の領域に含まれる複数の画素の出力濃度値を入力濃度値のある濃度レベル(第1濃度レベル)から次の濃度レベル(第2濃度レベル)に対応して最小濃度から最大濃度まで順次成長させるといった処理を繰り返し、最終的に入力濃度値の最大濃度に達するまで領域単位(面単位)で順次行う方法である。したがって、選択した領域に含まれる各画素をゆるやかに成長させたり、マトリクス内で全体的に複数の画素を徐々に成長させたりすることができる。
【0099】
ミックス順次は、ディザマトリクス内の複数の画素同士(お互いに隣接していなくても良い)を最小濃度から最大濃度まで交互に成長させ、次に別の画素同士を成長させていくという、指定した画素グループ単位で成長させていく方法であり、画素順次と面順次の2つの方式を組み合わせた方式である。
【0100】
本実施形態では、ミックス順次の成長方法を採用している。具体的には、図1に示したように、第1ラインおよび第2ラインを構成する画素(画素「1」〜「8」)のうち、画素「1」〜「4」を第1グループ、画素「5」〜「8」を第2グループとする。そして、入力濃度値が1増加する毎に、第1グループに属する画素の出力濃度値が2画素ずつ(ただし、入力濃度値が3増加する毎に1回は3画素ずつ)交互に成長するようにこれら各画素の閾値を設定していく。そして、第1グループに属する画素の出力濃度値が最大濃度に達したら第2グループに属する画素について同様に閾値を設定していく。これにより、図8に示したように、入力濃度値が低濃度から1ずつ増加していく毎に、ディザマトリクス内の画素の閾値も2画素または3画素ずつ増加していく。
【0101】
その後、第3ラインおよび第4ラインを構成する画像(画素「9」〜「16」)についても同様に、画素「9」〜「12」からなる第3グループ、画素「13」〜「16」を第4グループとし、各グループ内における各画素の出力濃度値が交互に濃くなるように閾値を設定していく処理を各グループについて順次行う。
【0102】
その後、画素「17」〜「40」を、第1ラインおよび第2ラインに隣接する画素の一部(画素「17」〜「20」)からなる第5グループ、第3ラインおよび第4ラインに隣接する画素の一部(画素「21」〜「24」)からなる第6グループ、第1ラインおよび第2ラインに隣接する画素の一部(画素「25」〜「28」)からなる第7グループ、第3ラインおよび第4ラインに隣接する画素の一部(画素「29」〜「32」)からなる第8グループ、および残りの画素(画素「33」〜「40」)からなる第9グループに分類し、各グループ内における各画素の出力濃度値が交互に濃くなるように閾値を設定していく処理を各グループについて順次行う。これにより、最終的に、ディザマトリクスにおける全ての画素位置の濃度が最大濃度になるまでドットを成長させるように閾値を設定する。
【0103】
ここで、入力濃度値が1増加する毎に、各グループに属する画素の出力濃度値が2画素ずつ(ただし、入力濃度値が3増加する毎に1回は3画素ずつ)増加するように閾値を設定する理由について説明する。
【0104】
図10は、入力濃度値(入力画像データにおける各画素について一様な濃度値)と、各ディザマトリクスにおける総出力値(各画素の出力濃度値の加算値)との関係を示す説明図である。
【0105】
この図に示すように、各ディザマトリクスの総画素数が40画素であり、出力濃度値が4ビットの場合、各画素における最大濃度値は15なので、各ディザマトリクスにおいて表現可能な総濃度数(階調数)は600となる。そして、この総濃度数を入力濃度値のレベル数である256で分割すると、入力濃度値における1つのレベルあたり600/256=2.34となる。これは、単純に、入力濃度値を0から255まで1レベルずつ256まで増加させた場合、入力濃度値が1レベル増加する毎に、ディザマトリクス内におけるそれぞれが15個の閾値をもつ40個の画素のうち、2.34画素ずつ増加させればよいことを示している。つまり、入力濃度値が1レベル増加する毎に2画素の閾値を増加させるとともに、入力濃度値が3レベル増加する毎にさらに1画素の閾値を増加させればよいことを示している。
【0106】
このように、総出力値を入力濃度値のレベル数で分割して入力濃度値が1レベル増加する毎に閾値を増加させるべき画素数を算出する。これにより、ディザマトリクス内のそれぞれの画素に複数の閾値レベルを設定し、多値レベル用のディザマトリクスデータを生成することができる。
【0107】
なお、本実施形態では、入力濃度値が1増加する毎に、各グループに属する画素の出力濃度値が2画素ずつ(ただし、入力濃度値が3増加する毎に1回は3画素ずつ)増加するように閾値を設定しているが、これに限るものではない。例えば、入力濃度値がある濃度レベルに達するまでは2画素ずつ閾値を増加させ、ある濃度に達した後は3画素ずつ増加させるといったように、入力濃度値のレベル範囲に応じて閾値を増加させる画素数を変化させてもよい。
【0108】
また、本実施形態では、入力濃度値と出力濃度値との関係がリニアである場合について説明したが、これに限らず、例えばカラー画像出力装置30の画像出力特性等に応じてガンマ補正(出力階調補正)を行うようにしてもよい。ガンマ補正を行う場合には、入力濃度値(各画素について一様)とディザマトリクスにおける総出力値との関係がカラー画像出力装置30の画像出力特性に応じた曲線になるように各画素の閾値を割り当てればよい。
【0109】
図10の実線はガンマ補正を行わない場合の入力濃度値とディザマトリクスの総出力値との関係を示しており、破線はガンマ補正を行わない場合の入力濃度値とディザマトリクスの総出力値との関係を示している。
【0110】
この図に示すように、ガンマ補正を行わない場合には、入力濃度値とディザマトリクスの総出力値との関係がリニアになるように各画素の閾値を設定する。したがって、入力濃度値1〜51では画素「1」〜「8」(第1ラインおよび第2ライン)、入力濃度値52〜102では画素「9」〜「16」(第3ラインおよび第4ライン)、入力濃度値103〜153では画素「17」〜「24」、入力濃度値154〜204では画素「25」〜「32」、入力濃度値205〜255では画素「33」〜「40」の出力濃度値が増加するようにこれら各画素の閾値が設定される。
【0111】
一方、ガンマ補正を行う場合には、入力濃度値とディザマトリクスの総出力値との関係がカラー画像出力装置30の画像出力特性に応じた曲線になるように各画素の閾値を設定する。例えば、カラー画像出力装置30の画像出力特性に応じた曲線が図10の破線であるとすると、ガンマ補正を行う場合には、入力濃度値が図10に示した曲線において総出力値0〜120に対応する範囲である場合には画素「1」〜「8」(第1ラインおよび第2ライン)、入力濃度値が総出力値121〜240に対応する範囲である場合には画素「9」〜「16」(第3ラインおよび第4ライン)、入力濃度値が総出力値241〜230に対応する範囲である場合には画素「17」〜「24」、入力濃度値が総出力値361〜230に対応する範囲である場合には「25」〜「32」、入力濃度値が総出力値481〜230に対応する範囲である場合には「33」〜「40」の出力濃度値が増加するようにこれら各画素の閾値が設定される。
【0112】
以上のように、本実施形態では、各画素の階調値が同じ値である入力画像の階調値を各画素の階調値が同じ値であるという条件を保ったまま順次増加させたときに、階調値0(最低階調)から階調値51(第1階調)までの低階調範囲(低濃度範囲)では所定方向に延伸する所定数のライン画像からなる第1ライン群またはその一部が出力画像(ディザ画像)に形成され、階調値52から階調値102(第2階調)までの中階調範囲(中濃度範囲)では上記第1ライン画像群に加えて上記所定方向に略平行な所定数のライン画像からなる第2ライン群またはその一部が出力画像に形成されるように各画素における入力画像の階調値と出力画像の階調値との対応関係を設定する。
【0113】
これにより、低階調範囲の入力画像について、テクスチャパターンが現れるのを防止して適切に階調を再現することができる。また、中濃度範囲では低濃度範囲の場合よりも出力画像に形成されるライン画像の数を増加させて高線数化することができるので、中階調範囲の入力画像について、スクリーン角度を変更することなく、モアレを抑制することができる。
【0114】
なお、本実施形態では、ディザマトリクスにおける各画素に複数の閾値を設定しておき、各閾値と入力濃度値とを比較することで出力濃度値を決定しているが、これに限らず、例えば、入力濃度値と出力濃度値との対応関係を画素毎に記憶させたLUT(Look Up Table:ルックアップテーブル)を用意しておき、このLUTを用いてディザ処理(中間調処理)を行うようにしてもよい。
【0115】
また、カラー画像処理装置10の各ブロック、特に階調再現処理部19のディザ処理部190は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPU等を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0116】
すなわち、カラー画像処理装置10は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアであるカラー画像処理装置10の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、カラー画像処理装置10に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0117】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0118】
また、カラー画像処理装置10を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0119】
また、上記コンピュータの構成は特に限定されるものではないが、例えば、フラットベッドスキャナ,フィルムスキャナ,デジタルカメラなどの画像入力装置や、コンピュータの処理結果を表示するCRTディスクプレイ,液晶ディスプレイなどの画像表示装置、およびネットワークを介してサーバなどに接続するための通信手段としてのネットワークカードやモデムなどを備えていてもよい。
【0120】
また、本発明はパーソナルコンピュータにインストールされるソフトウェアに適用することもできる。図11は、本発明をコンピュータシステム100におけるプリンタドライバに適用した場合の構成例を示すブロック図である。
【0121】
コンピュータシステム100は、図11に示すように、パーソナルコンピュータ101およびカラープリンタ130を備えている。カラープリンタ130は、プリンタ機能の他にコピー機能およびファックス機能を有するデジタル複合機であってもよい。
【0122】
パーソナルコンピュータ101は、ソフトウェアとして、アプリケーションプログラム105、プリンタドライバ110、および通信ポートドライバ120を備えており、また、ハードウェアとして、CPU、メモリ、および通信ポート125などを備えている。上記の各種ソフトウェアは、メモリに格納されており、CPUによって実行されることによって各種の機能を果たす。通信ポート125は、例えばRS232CまたはLANなどであり、カラープリンタ130と接続されている。
【0123】
プリンタドライバ110は、詳細には、色補正部15、黒生成下色除去部16、階調再現処理部19、およびプリンタ言語翻訳部111などによって構成される。ここで、色補正部15、黒生成下色除去部16、および階調再現処理部19は、カラー画像処理装置10に備えられるものと略同様の機能を有しているので説明を省略する。
【0124】
アプリケーションプログラム105において印刷が指示されると、画像データがアプリケーションプログラム105からプリンタドライバ110の色補正部15に入力される。そして、色補正部15および黒生成下色除去部16によって処理された画像データは、階調再現処理部19に入力される。階調再現処理部19では、多階調の画像データに対してカラー画像処理装置10の場合と同様に多値ディザ処理が行われる。多値ディザ処理が行われた画像データは、続いてプリンタ言語翻訳部111に入力される。
【0125】
プリンタ言語翻訳部111では、画像データがカラープリンタ130の解釈可能なプリンタ言語に変換され、通信ポートドライバ120に入力される。すると、通信ポートドライバ120が通信ポート125を制御し、プリンタ言語に翻訳された画像データが通信ポート125からカラープリンタ130に送信される。カラープリンタ130は、受信した画像データに応じた画像を印字媒体に形成し出力する。
【0126】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明は、入力画像データにディザマトリクスを用いて多値ディザ処理を施すことによって階調再現処理を行う画像処理装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】本発明の一実施形態にかかる画像処理装置において用いられるディザマトリクスにおいて、各画素に対応付けられた閾値の一例を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる画像処理装置を備えた画像形成装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる画像処理装置に備えられる階調再現処理部の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる画像処理装置において用いられるディザマトリクスを示す説明図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかる画像処理装置におけるディザマトリクスの適用例を示す説明図である。
【図6】本発明の一実施形態にかかる画像処理装置における多値ディザ処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態におけるディザマトリクスの各画素に対する閾値の設定方法を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態にかかる画像処理装置における入力画像データの濃度値とディザマトリクス内の各画素の出力濃度値との関係を示す説明図である。
【図9】(a)〜(e)は、本発明の一実施形態にかかる画像処理装置を備えた画像形成装置において形成される画像の一例を示す説明図である。
【図10】本発明の一実施形態にかかる画像処理装置における入力画像データの濃度値とディザマトリクスに属する各画素の出力濃度値の合計値(総出力値)との関係を示すグラフである。
【図11】本発明の一実施形態にかかるコンピュータシステムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0129】
1 デジタルカラー複合機(画像形成装置)
10 カラー画像処理装置(画像処理装置)
19 階調再現処理部
20 カラー画像入力装置(原稿読取装置)
30 カラー画像出力装置(画像出力装置)
51 閾値出力値格納部(記憶手段)
52 閾値処理部(階調決定手段)
100 コンピュータシステム
101 パーソナルコンピュータ(画像処理装置)
110 プリンタドライバ(多値ディザ処理プログラム)
130 カラープリンタ(画像出力装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多値ディザ処理で用いられるディザマトリクスの各画素について入力画像の階調値と出力画像の階調値との対応関係を設定するディザマトリクスの階調設定方法であって、
各画素の階調値が同じ値である入力画像の階調値を各画素の階調値が同じ値であるという条件を保ったまま順次増加させたときに、
最低階調から第1階調までの低階調範囲では所定方向に延伸する所定数のライン画像からなる第1ライン群またはその一部が出力画像に形成され、
第1階調から第2階調までの中階調範囲では上記第1ライン画像群に加えて上記所定方向に略平行な所定数のライン画像からなる第2ライン群またはその一部が出力画像に形成されるように各画素における入力画像の階調値と出力画像の階調値との対応関係を設定することを特徴とするディザマトリクスの階調設定方法。
【請求項2】
上記第1ライン画像群に属するライン画像と上記第2ライン画像群に属するライン画像とが上記所定方向に垂直な方向に沿って交互に配置されるように各画素における入力画像の階調値と出力画像の階調値との対応関係を設定することを特徴とする請求項1に記載のディザマトリクスの階調設定方法。
【請求項3】
上記入力画像の階調値を各画素の階調値が同じ値であるという条件を保ったまま順次増加させたときに、上記第1ライン画像群を構成する各画素の階調値が所定数の画素ずつ順次増加するように各画素における入力画像の階調値と出力画像の階調値との対応関係を設定することを特徴とする請求項1または2に記載のディザマトリクスの階調設定方法。
【請求項4】
上記入力画像の階調値を各画素の階調値が同じ値であるという条件を保ったまま順次増加させたときに、上記第1ライン画像群を構成する各ライン画像における各画素の階調値の総和が各ライン画像について略均等に増加していくように上記第1ライン画像群を構成する各画素における入力画像の階調値と出力画像の階調値との対応関係を設定することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のディザマトリクスの階調設定方法。
【請求項5】
上記入力画像の階調値を各画素の階調値が同じ値であるという条件を保ったまま順次増加させたときに、上記第2ライン画像群を構成する各画素の階調値が所定数の画素ずつ順次増加するように各画素における入力画像の階調値と出力画像の階調値との対応関係を設定することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のディザマトリクスの階調設定方法。
【請求項6】
上記入力画像の階調値を各画素の階調値が同じ値であるという条件を保ったまま順次増加させたときに、上記第2ライン画像群を構成する各ライン画像における各画素の階調値の総和が各ライン画像について略均等に増加していくように上記第2ライン画像群を構成する各画素における入力画像の階調値と出力画像の階調値との対応関係を設定することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のディザマトリクスの階調設定方法。
【請求項7】
入力画像の階調値と出力画像の階調値との対応関係を画素毎に設定されたディザマトリクスを用いて多階調の入力画像に多値ディザ処理を施すことにより、上記入力画像の階調を多階調のディザ画像として再現する画像処理方法であって、
上記対応関係として、請求項1から6のいずれか1項に記載の階調設定方法によって設定された対応関係を用いることを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
入力画像の階調値と出力画像の階調値との対応関係を画素毎に設定されたディザマトリクスを用いて多階調の入力画像に多値ディザ処理を施すことにより、上記入力画像の階調を多階調のディザ画像として再現する画像処理装置であって、
上記ディザマトリクスの各画素について設定された入力画像の階調値と出力画像の階調値との対応関係を記憶する記憶手段と、
入力画像の階調値に対応する出力画像の階調値を上記記憶手段から読み出して出力画像における各画素の階調値を決定する階調決定手段とを備え、
上記記憶手段は、上記対応関係として請求項1から6のいずれか1項に記載の階調設定方法によって設定された対応関係を記憶していることを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の画像処理装置と、
上記ディザ画像を印刷媒体に形成する画像出力装置とを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項8に記載の画像処理装置の各手段としてコンピュータを機能させるための画像処理プログラム。
【請求項11】
請求項10に記載の画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−188453(P2009−188453A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−23106(P2008−23106)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】