説明

ディスプレイを備えたロボット

【課題】ロボットの動作状態を人に違和感なく感覚的に伝えることができるようにする。
【解決手段】ロボットに取り付けた温度センサ2で検出した温度により、ロボットの動作速度や加速度の動作パターンを自動的に変化させ、動作パターンの補正量の大きさに応じてディスプレイ6の背景色を段階的に変化させる。また、動作コマンドなど人に直接的に伝える必要があるものは、背景色の前面に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間共存環境で動作して、人間にディスプレイを通じて情報を与えるロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットの状態を人に伝える手段としてLEDを使ったものがある(特許文献1)。これはエンターテイメント性の向上を目的として、特許文献1段落番号0018の記載にあるように、異なる2色のLEDを外観上の目として用い、ロボットの状態を感情としてLEDの点灯状態を変化させているものである。
また、機器の内部及び周囲温度を温度センサで測定し、機器の温度や周囲温度にあわせてアクチュエータの動作速度や加速度を変更して、本来の動作パターンから動作を自動的に変更させることの出来るロボットがある(特許文献2)。これらは従来の産業用ロボットによくある操作BOXを備えている(特許文献2−第1図参照)。
また、一般的な産業用ロボットでは、ロボットの内部状態はテキスト文字として操作BOXや表示装置に表示しているものが多い。
【特許文献1】特開平2001−353674
【特許文献2】特開平3−256684
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の特許文献1にあるようなLEDを用いた方法は、目としてロボットに取り付けてあり、直接人にアピールする手段として構成されているので「警告」や「お知らせ」レベルの情報を、本来のメインの情報と多重化して表示することが出来なかった。
また、特許文献2にあるようなロボットにおいては、その動作の状態を人に表示する方法の記述も特になく、一般的な産業用ロボットにみられる表示方法では、テキスト表示となるために直接的な情報となり、人間共存型の次世代ロボットにおいてはロボット周囲にいる人がロボットが表示する情報によりその情報の優先順位を理解せずに混乱してしまう可能性がある。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、ロボットの動作状態を、ロボット周囲の人に直接的に伝える部分と、間接的に伝える部分を分けて、人にわかりやすい表示をする方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記問題を解決するため、本発明は、次のようにしたのである。
請求項1に記載の発明は、ロボットの状態や動作コマンドを表示するディスプレイを備えたロボットにおいて、前記ロボットの周囲温度及び内部機器の温度を測定する温度センサと、前記ロボットの各部を駆動するアクチュエータと、を備え、前記温度センサが測定した温度に応じて前記アクチュエータの動作速度及び加速度とを、本来の動作パターンから補正するとともに、前記動作パターンを補正したことを、前記ディスプレイに、補正量に応じた段階的な色の変化にて表示させるディスプレイを備えたロボットとするものである。
請求項2に記載の発明は、前記ディスプレイには、前面に前記動作コマンドを表示させ、背景面に前記動作パターンの段階的な色の変化を表示させる請求項1記載のディスプレイを備えたロボットとするものである。
【発明の効果】
【0005】
請求項1に記載の発明によると、ロボットの動作状態を人に視覚的にかつ段階的に伝えることができる。
請求項2に記載の発明によると、ロボットから人に直接的に伝えるべき情報を与えながら、同時に、間接的に伝える情報を段階的に表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の方法の具体的実施例について、図に基づいて説明する。
【実施例1】
【0007】
図1は、本発明のロボット装置の構成を示す図である。図1において温度センサ2は、装置内部の機器1の温度や、ロボットを動かす為のアクチュエータであるサーボモータ3や、機器内外の周囲温度を測定することができる。温度センサ2の情報は、メインコントローラ4に読み取られる。メインコントローラ4は、サーボモータ3を駆動するサーボアンプ5を制御しており、温度センサ2から読み取る温度状況にあわせた制御指令をサーボアンプ5に対して行うことができる。ディスプレイ6は、周囲の人に対して必要な情報をテキスト文字や図形などでグラフィカルに表示することができ、その表示色も変化させることが出来る。ディスプレイ6は表示のみではなく、タッチパネル7が付いたのものを用いることにより人と双方向でやりとりを行うことができる。
【0008】
図2は本装置の動作フローである。ロボットは運転を開始すると、装置内に取り付けられた全ての温度センサ2の値を読み取り、ロボットが速度や加速度を補正する必要があるかどうか判断する。温度センサ2で検出した温度において、サーボモータ3が予めプログラムされた通常の動作速度や加速度で動作しても問題ない場合、ディスプレイ6での表示色をデフォルト色として通常動作での運転を行う。もし、温度センサ2で検出した温度において、動作速度や加速度を低減するなどの動作補正を行う必要がある場合(例えば検出した温度が高い時)、動作補正の割合に応じてディスプレイ6での表示色を決定し表示する。そしてその動作補正状態での運転を行う。以後、運転が終了するまで、一定周期ごとに温度センサ2の値を読み取り、上記の動作を繰り返す。
【0009】
図3はロボットの動作補正量とディスプレイ6に表示させる色の関係の例を示す図である。動作補正量が0(無い)の場合(正常動作)、ディスプレイの表示色を青色とする。一方、動作補正量が最大の場合、ディスプレイ6の表示色は赤色とする。ディスプレイ6の表示色は動作補正量の大きさによって青色から赤色まで段階的に表示させるようにする。
【0010】
図4はロボットでの表示例である。人間共存型ロボットであるロボット8の顔部にはディスプレイ6が埋め込まれている。ロボット8はディスプレイ6によって、人に対して情報を提示している。また、ディスプレイ6にタッチパネル7が付いている場合、人はこのタッチパネルを操作してロボットに指令を与えることが出来る。ディスプレイ6には人に対して直接的に情報を与えるところは文字9で表示する。一方、上述のような、すぐにロボットに8の動作を変更するものではない動作補正状態などの情報は、背景10として色で段階的に表示する。
【0011】
このように、ディスプレイ6で直接的に示すべき情報と間接的に示すべき情報を、同時に与え、さらに間接的に示すべき情報は、段階的に色を変えることにより、人は違和感なくロボット8の状態を知ることが可能となる。・
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のロボットの構成を示す図
【図2】本発明の処理手順を示すフローチャート
【図3】本発明のディスプレイ表示色の例を示す図
【図4】本発明のロボットを表す全体図
【符号の説明】
【0013】
1 機器
2 温度センサ
3 サーボモータ
4 メインコントローラ
5 サーボアンプ
6 ディスプレイ
7 タッチパネル
8 ロボット
9 文字
10 背景

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットの状態や動作コマンドを表示するディスプレイを備えたロボットにおいて、
前記ロボットの周囲温度及び内部機器の温度を測定する温度センサと、
前記ロボットの各部を駆動するアクチュエータと、を備え、
前記温度センサが測定した温度に応じて前記アクチュエータの動作速度及び加速度とを、本来の動作パターンから補正するとともに、前記動作パターンを補正したことを、前記ディスプレイに、補正量に応じた段階的な色の変化にて表示させることを特徴としたディスプレイを備えたロボット。
【請求項2】
前記ディスプレイには、前面に前記動作コマンドを表示させ、背景面に前記動作パターンの段階的な色の変化を表示させることを特徴とした請求項1記載のディスプレイを備えたロボット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−196298(P2007−196298A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−14931(P2006−14931)
【出願日】平成18年1月24日(2006.1.24)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】