ディスプレイカートン
【課題】
冷凍・冷蔵庫の苛酷な環境下での使用に耐える耐久性を備えたカートンを提供することを課題とする。
【解決手段】
上面から正面にかけて開口部を設けた冷凍・冷蔵保存用商品用のディスプレイカートンにおいて、開口部の紙端を折り曲げて輪にすること、および／または、別の段ボールの補強板で補強する等により開口部の紙端を破れにくくする補強をすること、および紙端を折り曲げて２重にすること、および／または、別の段ボールの補強板で補強すること等により箱の重量がかかる部分の段ボールが２重以上になるようにする補強をした冷凍・冷蔵保存用商品用ディスプレイカートン。カートンの外殻を1枚の段ボールにより製造し、仕切り板と補強部を別の１枚の段ボールで製造し、それを組み合わせることにより製造することができる。
冷凍・冷蔵庫の苛酷な環境下での使用に耐える耐久性を備えたカートンを提供することを課題とする。
【解決手段】
上面から正面にかけて開口部を設けた冷凍・冷蔵保存用商品用のディスプレイカートンにおいて、開口部の紙端を折り曲げて輪にすること、および／または、別の段ボールの補強板で補強する等により開口部の紙端を破れにくくする補強をすること、および紙端を折り曲げて２重にすること、および／または、別の段ボールの補強板で補強すること等により箱の重量がかかる部分の段ボールが２重以上になるようにする補強をした冷凍・冷蔵保存用商品用ディスプレイカートン。カートンの外殻を1枚の段ボールにより製造し、仕切り板と補強部を別の１枚の段ボールで製造し、それを組み合わせることにより製造することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、冷凍食品、冷蔵食品等の冷凍庫、冷蔵庫で保管する必要のある商品用のディスプレイカートン（店頭での商品の陳列に使用する陳列箱）に関する。詳細には、保存、輸送等の流通時の箱として使用でき、その箱に商品が詰められたままで店頭に並べて陳列箱として使用でき、しかも開口した状態で複数個を積み重ねて陳列することも可能にしたカートンに関する。
【背景技術】
【０００２】
商品を商品が納入された箱詰めのまま店頭に陳列し、販売する形態の量販店がある。そのような量販店においては、できるだけ人手を省くという観点から、常温品だけでなく、冷凍・冷蔵品についても箱のまま冷凍庫・冷蔵庫に陳列することが望まれる。
流通用の箱のまま、店頭に陳列するのに便利な箱については多くの特許出願がされている（特許文献１〜６参照）が、常温保存品に関するものである。それら常温で流通する商品の陳列用の箱においても、複数個積み重ねたときの重量による箱の変形や潰れてしまうことについて対応がされてきた。しかし、冷凍・冷蔵庫の中は湿度が高く、商品も水分含量の高いものが多いため、常温保存に比較してはるかに過酷な条件下での使用になる。通常の常温保存用の段ボール製の箱では、冷凍・冷蔵庫の中で保存され、消費者が出し入れしている間に、重量により箱がつぶれたり、取りだし口周辺が破れて外観が悪くなるなどの問題があった。
【０００３】
【特許文献１】実開平７−３１６２０号
【特許文献２】特開２００４−２６２３８号
【特許文献３】特開平１１−２９２０６４号
【特許文献４】特開２００３−１８２７２７号
【特許文献５】特開平１０−１７５６３１号
【特許文献６】登録実用新案３０４６９５０号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
常温保存用の商品のディスプレイカートンは各種の工夫がされたものが使用されているが、冷凍・冷蔵庫の環境下での使用に耐える耐久性を備えたカートンを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
本発明は、上面から正面にかけて開口部を設けた冷凍・冷蔵保存用商品用のディスプレイカートンにおいて、開口部の紙端を破れにくく補強し、重量がかかる部分の段ボールが２重以上になるよう補強したことを特徴とする冷凍・冷蔵保存用商品用ディスプレイカートンを要旨とする。開口部の紙端を破れにくくする補強としては、紙端を折り曲げて輪にすること、および／または、別の段ボールの補強板で補強することが好ましい。また、重量がかかる部分の段ボールが２重以上になるようにする補強としては、紙端を折り曲げて２重にすること、および／または、別の段ボールの補強板で補強することが好ましい。さらに、箱のほぼ中央部に支えとなる仕切り板を設けることにより、全体の重量に対する強度が高くなり、また、商品の整列にも有用である。
上記のカートンは、カートンの外殻を１枚の段ボールにより製造し、補強板または補強板および仕切り板を別の１枚の段ボールで製造し、それら２枚の段ボールのみから製造することができる。そうすることにより、製造効率、紙の無駄を最少にし環境に対する影響も少ないなどの有用性をもたらす。
本発明の１態様として、本発明は、底壁（１）の周縁に、一対の側壁（２、３）と背壁（４）と正面下枠（９）を立設し、各側壁の後方側縁に内フラップ（５、６）を、各側壁の前方側縁に正面側枠を形成するフラップ（７、８）および内フラップ（１６、１７）を、各側壁の上端縁に上面側枠を形成するフラップ（１１、１２）を、背壁の上端縁に上面背枠を形成するフラップ（１５）をそれぞれ連設し、さらに正面下枠（９）および上面側枠（１１、１２）にうらに折り返して開口部の紙端を輪とするためのフラップ（１０）および（１３、１４）をそれぞれ設けた段ボールを組みたてて外殻としたカートンの内側に、他の１枚の段ボールからなる補強板を側壁（２４，２５）、背壁（２０）、正面側枠（２６〜２９）の補強となるようにはめ込んだディスプレイカートンを要旨とする。このディスプレイカートンは、さらに、他の１枚の段ボールからなる補強板が仕切り板と一体になっており、それを側壁（２４，２５）、背壁（２０、２１）、正面側枠（２６〜２９）部分および全体の補強となるようにはめ込んだ態様もとることができる。
本カートンは使用時の耐久性を高め、かつ、外観の美観性を兼ね備えたものである、特に耐久性が必要とされる縦、横、高さの合計が１００ｃｍ以上のサイズのカートンに有用である。
【発明の効果】
【０００６】
本発明のディスプレイカートンは、開口部の紙端が補強され、骨格となる部分が2重、3重になっており、また必要に応じて中央部に支えとなる仕切り板を設けたので、冷凍庫、冷蔵庫の中で湿って段ボールが弱くなる条件下でも、また、２段重ね以上にして用いても、重量に耐える。また、商品の出し入れ口となる開口部の紙端も補強されたり、２重になっているため、商品の出し入れによって破けることもなく、最後まできれいな外観を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００７】
従来は、図１〜３に示すような通常の段ボール箱の正面から上面にかけて切りとって開口部を設けたものをディスプレイ用カートンとして用いていた。このカートンは製造が簡単で安価ではあるが、湿度の高い冷凍・冷蔵庫内で用いると湿度により段ボール自体の張りが減少し、くずれ、ゆがみ、破れ等が生じやすくなる。ディスプレイカートンの場合、２段以上を積み重ねて使用したり、店頭では商品の出し入れが繰り返されるため、カートンが重みでくずれたり、カートンの開口部が破れてしまうこともある。
【０００８】
本発明の実施態様の１例について以下に詳細に説明する。
図４はディスプレイカートンの外殻の展開図であり、図５は補強板の展開図である。図４に示すように外殻は、底壁（１）の周縁に、一対の側壁（２、３）と背壁（４）と正面下枠（９）を立設し、各側壁の後方側縁に内フラップ（５、６）を、各側壁の前方側縁に正面側枠を形成するフラップ（７、８）および内フラップ（１６、１７）を、各側壁の上端縁に上面側枠を形成するフラップ（１１、１２）を、背壁の上端縁に上面背枠を形成するフラップ（１５）をそれぞれ連設した構成になっている。開口部の紙端にあたる（７）、（８）、（９）、（１１）、（１２）にはそれぞれ（７Ａ）、（８Ａ）、（１０）、（１３）、（１４）を設け、それらを折り返すことにより、開口部の紙端を破れにくくするための補強として、また、重量が係る部分が二重になることで重量に対する補強となっている。上面背枠（１５）は開口部を形成するが、商品の出し入れの際に破れるおそれのない部分であるから、補強はしていない。
【０００９】
図４において点線で示された折線で折り返して箱を作ることができる。上面から正面にかけての開口部は（７、８）、（９、１０）、（１１、１３）、（１２、１４）、（１５）により構成されるが、好ましくは、図４に示されるように、この部分を組み立てた際に反発で戻ってしまわないようにそれぞれ適所に突起（ａ）を設け、相対する部分に係合穴（ｂ）を設けることにより安定に保持されるようにする。また、側壁の上端に突起（ｃ）、下端に係合穴（ｄ）を設けると、カートンを複数個重ねた場合にずれにくい。（ｃ）の先端に、さらに小さな凸状部を設けると（ｄ）に差しこんだときに留める役割を果たす。さらに、側壁（２、３）には持ち手部分となる穴（ｅ）をあけておくと移動の際に便利である。図４、５に示された（ａ）〜（ｇ）の突起、係合穴はそれぞれその位置をずらしたり、数を増減させても良い。また、留め具、接着剤等、他の固定方法を採用することもできる。
【００１０】
補強板は図５に示すように、連設された補強板からなる。図５の点線部分で折り曲げて上述した外殻の中に装着する。補強板のうち（２０）は背壁を補強し、（２４、２５）は側壁を補強する。好ましくは、補強板には（２２、２３、２６、２７）を設けて、これらが外殻の側壁と背壁あるいは側壁と正面側枠と三角柱を構成することになる。これにより本カートンの荷重に対する耐久性が一層高められる。（２８、２９）は、正面側枠を裏面から補強する。
【００１１】
図４から組み立てた外殻の中に図５から組み立てた仕切り板等を組み込むことにより本発明の１態様であるディスプレイ用カートンができる。
このディスプレイ用カートンは背面および開口部の正面下側は段ボールが３重になっており、側面、上面の側面に接する部分、正面の側面に接する部分、および仕切り板は段ボールが２重になっている。
段ボールの箱を丈夫にするために厚い段ボールを使うのは簡単であるが、重量が重くなり、加工性も低くなるなどの不都合がある。上述した態様の本発明のカートンでは底面のように内容物以外からの重量がかからない部分は１重のままで、側面、背面、仕切り板のように積み重ねた場合に重量がかかる部分、また、開口部周辺のように商品出し入れの際に商品が接触する部分を２重、３重にすることによって補強されている。
【００１２】
図６および図７に別のディスプレイカートンの一態様を示す。図６は、外殻の展開図であり、図７は仕切り板および補強板の展開図である。図６は図４とほぼ同じであるが、（１０）に係合穴（ｆ）が設けられている。この（ｆ）は仕切り板（図７）に設けられた突起（ｇ）が係合する。（１０）に（１０Ａ）を設けて（９）と（１０）の間に挟みこむことにより、（ｇ）の（ｆ）への差しこみがしっかりし、仕切り板の固定十分に固定される。
【００１３】
仕切り板と補強板は図７に示すように、仕切り板（１８、１９）と連設された補強板（２０〜２９）からなる。中心の線で２つに折り曲げて（１８）と（１９）を重ねるようにして使用する。図７の実線部分を切りこみ、点線部分で折り曲げて上述した外殻の中に装着する。仕切り板（１８、１９）に設けられた突起（ｇ）が外殻の（ｆ）に係合する。補強板のうち（２０、２１）はそれぞれ背壁を補強し、（２４、２５）は側壁を補強する。好ましくは、補強板には（２２、２３、２６、２７）を設けて、これらが外殻の側壁と背壁あるいは側壁と正面側枠と三角柱を構成することになる。これにより本カートンの荷重に対する耐久性が一層高められる。
図６は図４の（７Ａ）、（８Ａ）に当たる部分がない態様を示している。開口部の紙端は紙を折り曲げて輪にすることにより補強されるのが好ましいが、（７、８）は図７の補強板の（２８）（２９）によって裏から補強されており、また（２６）、（２７）が側壁から開口部にむけてななめに配置されるため、中の商品を取り出す際に（７、８）に商品がぶつかって破ける可能性が低くなっているため、（７Ａ）、（８Ａ）を省略した態様も取りうる。
【００１４】
図６から組み立てた外殻の中に図７から組み立てた仕切り板等を組み込むことにより本発明の別の１態様であるディスプレイ用カートンができる。
このディスプレイ用カートンは背面および開口部の正面下側は段ボールが３重になっており、側面、上面の側面に接する部分、正面の側面に接する部分、および仕切り板は段ボールが２重になっている。
【００１５】
本ディスプレイカートンに商品を詰めた後、流通のために密閉するには全体にかぶせるタイプの段ボールの蓋を使用することもできるが、大きい箱の場合そのふたの開閉に手間がかかることになる。その場合、カートンの正面と上面を覆うサイズの段ボールを２つに折り曲げて正面と上面を覆い、粘着テープ等で留めるだけにするのが簡便である。この場合、開封するときも、蓋を持ち上げるような作業は不要で、カートンの正面から引き剥がすだけで済む。本発明のディスプレイカートンは冷凍庫・冷蔵庫で使用するものなので、正面からの外観がきれいに保たれればよい。したがって、粘着テープ等の後が側面、背面に残ることはあまり問題にならない。
【００１６】
本発明に用いる段ボールとしては、例えば、「ＯＰＣ６×Ｋ６ 中芯強化１８０ Ａフルート」と呼ばれる材質のものが例示される。ＯＰは白を意味し、Ｃ６×Ｋ６は紙の強度、中芯強化１８０は中芯の強度、Ａフルートはダンボールの種類と厚みを表す（６ミリ）。本発明のカートンを製造できる段ボールであれば何でも使用できるが、例示の段ボールと同程度の厚さ、強度の段ボールが、強度、製造適性、美観性等の点から適している。
【００１７】
冷凍・冷蔵保存する製品には、種々のサイズがあるが、例えば、業務用の冷凍食品では５００ｇ／袋〜２ｋｇ程度のサイズのものが多い。それを１カートンに１０〜２０個つめて、運送、保存、陳列される。カートン全体の重量は５〜２５ｋｇ程度になる。本発明のカートンは、そのようなサイズ商品に用いるのに適している。
【実施例】
【００１８】
以下に本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
発明を実施するための最良の形態の欄で説明した実施形態の例の型に沿って本発明のディスプレイカートンを製造した。その写真を図８〜１１に示す。写真のディスプレイカートンは横：奥行き：高さが５０ｃｍ：４０ｃｍ：３０ｃｍである。このディスプレイカートンにビニール袋に詰めた冷凍食品等を立てて詰めて冷凍庫に陳列してみたところ、従来のものに比べて商品も見やすく、出し入れを繰り返しても開口部周辺がへたってしまうこともなく、最後まで良好な外観を保つことがわかった。
【産業上の利用可能性】
【００１９】
本発明は、冷凍庫や冷蔵庫といった過酷な環境での使用に適したディスプレイカートンを提供することができる。冷凍食品などの商品を詰めて流通に載せ、そのまま店頭に陳列することができ、最後までその外観が損なわれることがない。
【図面の簡単な説明】
【００２０】
【図１】従来例の１態様のカートンを前方から斜視した写真である。
【図２】従来例の１態様のカートンの上面の写真である。
【図３】従来例の１態様のカートンの正面の写真である。
【図４】本発明の実施態様の１例のカートンの外殻の展開図である。（実線は切取線、点線は折り線である。）
【図５】本発明の実施態様の１例のカートンの補強板をなす部分の展開図である。（実線は切取線、点線は折り線である。）
【図６】本発明の別の実施態様の１例のカートンの外殻の展開図である。（実線は切取線、点線は折り線である。）
【図７】本発明の別の実施態様の１例のカートンの仕切り板および補強板をなす部分の展開図である。（実線は切取線、点線は折り線である。）
【図８】本発明の実施例のカートンを前方から斜視した写真である。
【図９】本発明の実施例のカートンを後方から斜視した写真である。
【図１０】本発明の実施例のカートンの正面の写真である。
【図１１】本発明の実施例のカートンの上面の写真である。
【符号の説明】
【００２１】
１ 底壁
２ 、３ 側壁
４ 背壁
５、６ 内フラップ
７、８ フラップ
９、１０ 正面下枠
１１〜１４ 上面側枠を形成するフラップ
１５ 上面背枠を形成するフラップ
１８、１９ 仕切り板
２０〜２９ 補強板
ａ、ｃ、ｇ 突起
ｂ、ｄ、ｆ 係合穴
ｅ 持ち手
【技術分野】
【０００１】
本発明は、冷凍食品、冷蔵食品等の冷凍庫、冷蔵庫で保管する必要のある商品用のディスプレイカートン（店頭での商品の陳列に使用する陳列箱）に関する。詳細には、保存、輸送等の流通時の箱として使用でき、その箱に商品が詰められたままで店頭に並べて陳列箱として使用でき、しかも開口した状態で複数個を積み重ねて陳列することも可能にしたカートンに関する。
【背景技術】
【０００２】
商品を商品が納入された箱詰めのまま店頭に陳列し、販売する形態の量販店がある。そのような量販店においては、できるだけ人手を省くという観点から、常温品だけでなく、冷凍・冷蔵品についても箱のまま冷凍庫・冷蔵庫に陳列することが望まれる。
流通用の箱のまま、店頭に陳列するのに便利な箱については多くの特許出願がされている（特許文献１〜６参照）が、常温保存品に関するものである。それら常温で流通する商品の陳列用の箱においても、複数個積み重ねたときの重量による箱の変形や潰れてしまうことについて対応がされてきた。しかし、冷凍・冷蔵庫の中は湿度が高く、商品も水分含量の高いものが多いため、常温保存に比較してはるかに過酷な条件下での使用になる。通常の常温保存用の段ボール製の箱では、冷凍・冷蔵庫の中で保存され、消費者が出し入れしている間に、重量により箱がつぶれたり、取りだし口周辺が破れて外観が悪くなるなどの問題があった。
【０００３】
【特許文献１】実開平７−３１６２０号
【特許文献２】特開２００４−２６２３８号
【特許文献３】特開平１１−２９２０６４号
【特許文献４】特開２００３−１８２７２７号
【特許文献５】特開平１０−１７５６３１号
【特許文献６】登録実用新案３０４６９５０号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
常温保存用の商品のディスプレイカートンは各種の工夫がされたものが使用されているが、冷凍・冷蔵庫の環境下での使用に耐える耐久性を備えたカートンを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
本発明は、上面から正面にかけて開口部を設けた冷凍・冷蔵保存用商品用のディスプレイカートンにおいて、開口部の紙端を破れにくく補強し、重量がかかる部分の段ボールが２重以上になるよう補強したことを特徴とする冷凍・冷蔵保存用商品用ディスプレイカートンを要旨とする。開口部の紙端を破れにくくする補強としては、紙端を折り曲げて輪にすること、および／または、別の段ボールの補強板で補強することが好ましい。また、重量がかかる部分の段ボールが２重以上になるようにする補強としては、紙端を折り曲げて２重にすること、および／または、別の段ボールの補強板で補強することが好ましい。さらに、箱のほぼ中央部に支えとなる仕切り板を設けることにより、全体の重量に対する強度が高くなり、また、商品の整列にも有用である。
上記のカートンは、カートンの外殻を１枚の段ボールにより製造し、補強板または補強板および仕切り板を別の１枚の段ボールで製造し、それら２枚の段ボールのみから製造することができる。そうすることにより、製造効率、紙の無駄を最少にし環境に対する影響も少ないなどの有用性をもたらす。
本発明の１態様として、本発明は、底壁（１）の周縁に、一対の側壁（２、３）と背壁（４）と正面下枠（９）を立設し、各側壁の後方側縁に内フラップ（５、６）を、各側壁の前方側縁に正面側枠を形成するフラップ（７、８）および内フラップ（１６、１７）を、各側壁の上端縁に上面側枠を形成するフラップ（１１、１２）を、背壁の上端縁に上面背枠を形成するフラップ（１５）をそれぞれ連設し、さらに正面下枠（９）および上面側枠（１１、１２）にうらに折り返して開口部の紙端を輪とするためのフラップ（１０）および（１３、１４）をそれぞれ設けた段ボールを組みたてて外殻としたカートンの内側に、他の１枚の段ボールからなる補強板を側壁（２４，２５）、背壁（２０）、正面側枠（２６〜２９）の補強となるようにはめ込んだディスプレイカートンを要旨とする。このディスプレイカートンは、さらに、他の１枚の段ボールからなる補強板が仕切り板と一体になっており、それを側壁（２４，２５）、背壁（２０、２１）、正面側枠（２６〜２９）部分および全体の補強となるようにはめ込んだ態様もとることができる。
本カートンは使用時の耐久性を高め、かつ、外観の美観性を兼ね備えたものである、特に耐久性が必要とされる縦、横、高さの合計が１００ｃｍ以上のサイズのカートンに有用である。
【発明の効果】
【０００６】
本発明のディスプレイカートンは、開口部の紙端が補強され、骨格となる部分が2重、3重になっており、また必要に応じて中央部に支えとなる仕切り板を設けたので、冷凍庫、冷蔵庫の中で湿って段ボールが弱くなる条件下でも、また、２段重ね以上にして用いても、重量に耐える。また、商品の出し入れ口となる開口部の紙端も補強されたり、２重になっているため、商品の出し入れによって破けることもなく、最後まできれいな外観を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００７】
従来は、図１〜３に示すような通常の段ボール箱の正面から上面にかけて切りとって開口部を設けたものをディスプレイ用カートンとして用いていた。このカートンは製造が簡単で安価ではあるが、湿度の高い冷凍・冷蔵庫内で用いると湿度により段ボール自体の張りが減少し、くずれ、ゆがみ、破れ等が生じやすくなる。ディスプレイカートンの場合、２段以上を積み重ねて使用したり、店頭では商品の出し入れが繰り返されるため、カートンが重みでくずれたり、カートンの開口部が破れてしまうこともある。
【０００８】
本発明の実施態様の１例について以下に詳細に説明する。
図４はディスプレイカートンの外殻の展開図であり、図５は補強板の展開図である。図４に示すように外殻は、底壁（１）の周縁に、一対の側壁（２、３）と背壁（４）と正面下枠（９）を立設し、各側壁の後方側縁に内フラップ（５、６）を、各側壁の前方側縁に正面側枠を形成するフラップ（７、８）および内フラップ（１６、１７）を、各側壁の上端縁に上面側枠を形成するフラップ（１１、１２）を、背壁の上端縁に上面背枠を形成するフラップ（１５）をそれぞれ連設した構成になっている。開口部の紙端にあたる（７）、（８）、（９）、（１１）、（１２）にはそれぞれ（７Ａ）、（８Ａ）、（１０）、（１３）、（１４）を設け、それらを折り返すことにより、開口部の紙端を破れにくくするための補強として、また、重量が係る部分が二重になることで重量に対する補強となっている。上面背枠（１５）は開口部を形成するが、商品の出し入れの際に破れるおそれのない部分であるから、補強はしていない。
【０００９】
図４において点線で示された折線で折り返して箱を作ることができる。上面から正面にかけての開口部は（７、８）、（９、１０）、（１１、１３）、（１２、１４）、（１５）により構成されるが、好ましくは、図４に示されるように、この部分を組み立てた際に反発で戻ってしまわないようにそれぞれ適所に突起（ａ）を設け、相対する部分に係合穴（ｂ）を設けることにより安定に保持されるようにする。また、側壁の上端に突起（ｃ）、下端に係合穴（ｄ）を設けると、カートンを複数個重ねた場合にずれにくい。（ｃ）の先端に、さらに小さな凸状部を設けると（ｄ）に差しこんだときに留める役割を果たす。さらに、側壁（２、３）には持ち手部分となる穴（ｅ）をあけておくと移動の際に便利である。図４、５に示された（ａ）〜（ｇ）の突起、係合穴はそれぞれその位置をずらしたり、数を増減させても良い。また、留め具、接着剤等、他の固定方法を採用することもできる。
【００１０】
補強板は図５に示すように、連設された補強板からなる。図５の点線部分で折り曲げて上述した外殻の中に装着する。補強板のうち（２０）は背壁を補強し、（２４、２５）は側壁を補強する。好ましくは、補強板には（２２、２３、２６、２７）を設けて、これらが外殻の側壁と背壁あるいは側壁と正面側枠と三角柱を構成することになる。これにより本カートンの荷重に対する耐久性が一層高められる。（２８、２９）は、正面側枠を裏面から補強する。
【００１１】
図４から組み立てた外殻の中に図５から組み立てた仕切り板等を組み込むことにより本発明の１態様であるディスプレイ用カートンができる。
このディスプレイ用カートンは背面および開口部の正面下側は段ボールが３重になっており、側面、上面の側面に接する部分、正面の側面に接する部分、および仕切り板は段ボールが２重になっている。
段ボールの箱を丈夫にするために厚い段ボールを使うのは簡単であるが、重量が重くなり、加工性も低くなるなどの不都合がある。上述した態様の本発明のカートンでは底面のように内容物以外からの重量がかからない部分は１重のままで、側面、背面、仕切り板のように積み重ねた場合に重量がかかる部分、また、開口部周辺のように商品出し入れの際に商品が接触する部分を２重、３重にすることによって補強されている。
【００１２】
図６および図７に別のディスプレイカートンの一態様を示す。図６は、外殻の展開図であり、図７は仕切り板および補強板の展開図である。図６は図４とほぼ同じであるが、（１０）に係合穴（ｆ）が設けられている。この（ｆ）は仕切り板（図７）に設けられた突起（ｇ）が係合する。（１０）に（１０Ａ）を設けて（９）と（１０）の間に挟みこむことにより、（ｇ）の（ｆ）への差しこみがしっかりし、仕切り板の固定十分に固定される。
【００１３】
仕切り板と補強板は図７に示すように、仕切り板（１８、１９）と連設された補強板（２０〜２９）からなる。中心の線で２つに折り曲げて（１８）と（１９）を重ねるようにして使用する。図７の実線部分を切りこみ、点線部分で折り曲げて上述した外殻の中に装着する。仕切り板（１８、１９）に設けられた突起（ｇ）が外殻の（ｆ）に係合する。補強板のうち（２０、２１）はそれぞれ背壁を補強し、（２４、２５）は側壁を補強する。好ましくは、補強板には（２２、２３、２６、２７）を設けて、これらが外殻の側壁と背壁あるいは側壁と正面側枠と三角柱を構成することになる。これにより本カートンの荷重に対する耐久性が一層高められる。
図６は図４の（７Ａ）、（８Ａ）に当たる部分がない態様を示している。開口部の紙端は紙を折り曲げて輪にすることにより補強されるのが好ましいが、（７、８）は図７の補強板の（２８）（２９）によって裏から補強されており、また（２６）、（２７）が側壁から開口部にむけてななめに配置されるため、中の商品を取り出す際に（７、８）に商品がぶつかって破ける可能性が低くなっているため、（７Ａ）、（８Ａ）を省略した態様も取りうる。
【００１４】
図６から組み立てた外殻の中に図７から組み立てた仕切り板等を組み込むことにより本発明の別の１態様であるディスプレイ用カートンができる。
このディスプレイ用カートンは背面および開口部の正面下側は段ボールが３重になっており、側面、上面の側面に接する部分、正面の側面に接する部分、および仕切り板は段ボールが２重になっている。
【００１５】
本ディスプレイカートンに商品を詰めた後、流通のために密閉するには全体にかぶせるタイプの段ボールの蓋を使用することもできるが、大きい箱の場合そのふたの開閉に手間がかかることになる。その場合、カートンの正面と上面を覆うサイズの段ボールを２つに折り曲げて正面と上面を覆い、粘着テープ等で留めるだけにするのが簡便である。この場合、開封するときも、蓋を持ち上げるような作業は不要で、カートンの正面から引き剥がすだけで済む。本発明のディスプレイカートンは冷凍庫・冷蔵庫で使用するものなので、正面からの外観がきれいに保たれればよい。したがって、粘着テープ等の後が側面、背面に残ることはあまり問題にならない。
【００１６】
本発明に用いる段ボールとしては、例えば、「ＯＰＣ６×Ｋ６ 中芯強化１８０ Ａフルート」と呼ばれる材質のものが例示される。ＯＰは白を意味し、Ｃ６×Ｋ６は紙の強度、中芯強化１８０は中芯の強度、Ａフルートはダンボールの種類と厚みを表す（６ミリ）。本発明のカートンを製造できる段ボールであれば何でも使用できるが、例示の段ボールと同程度の厚さ、強度の段ボールが、強度、製造適性、美観性等の点から適している。
【００１７】
冷凍・冷蔵保存する製品には、種々のサイズがあるが、例えば、業務用の冷凍食品では５００ｇ／袋〜２ｋｇ程度のサイズのものが多い。それを１カートンに１０〜２０個つめて、運送、保存、陳列される。カートン全体の重量は５〜２５ｋｇ程度になる。本発明のカートンは、そのようなサイズ商品に用いるのに適している。
【実施例】
【００１８】
以下に本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
発明を実施するための最良の形態の欄で説明した実施形態の例の型に沿って本発明のディスプレイカートンを製造した。その写真を図８〜１１に示す。写真のディスプレイカートンは横：奥行き：高さが５０ｃｍ：４０ｃｍ：３０ｃｍである。このディスプレイカートンにビニール袋に詰めた冷凍食品等を立てて詰めて冷凍庫に陳列してみたところ、従来のものに比べて商品も見やすく、出し入れを繰り返しても開口部周辺がへたってしまうこともなく、最後まで良好な外観を保つことがわかった。
【産業上の利用可能性】
【００１９】
本発明は、冷凍庫や冷蔵庫といった過酷な環境での使用に適したディスプレイカートンを提供することができる。冷凍食品などの商品を詰めて流通に載せ、そのまま店頭に陳列することができ、最後までその外観が損なわれることがない。
【図面の簡単な説明】
【００２０】
【図１】従来例の１態様のカートンを前方から斜視した写真である。
【図２】従来例の１態様のカートンの上面の写真である。
【図３】従来例の１態様のカートンの正面の写真である。
【図４】本発明の実施態様の１例のカートンの外殻の展開図である。（実線は切取線、点線は折り線である。）
【図５】本発明の実施態様の１例のカートンの補強板をなす部分の展開図である。（実線は切取線、点線は折り線である。）
【図６】本発明の別の実施態様の１例のカートンの外殻の展開図である。（実線は切取線、点線は折り線である。）
【図７】本発明の別の実施態様の１例のカートンの仕切り板および補強板をなす部分の展開図である。（実線は切取線、点線は折り線である。）
【図８】本発明の実施例のカートンを前方から斜視した写真である。
【図９】本発明の実施例のカートンを後方から斜視した写真である。
【図１０】本発明の実施例のカートンの正面の写真である。
【図１１】本発明の実施例のカートンの上面の写真である。
【符号の説明】
【００２１】
１ 底壁
２ 、３ 側壁
４ 背壁
５、６ 内フラップ
７、８ フラップ
９、１０ 正面下枠
１１〜１４ 上面側枠を形成するフラップ
１５ 上面背枠を形成するフラップ
１８、１９ 仕切り板
２０〜２９ 補強板
ａ、ｃ、ｇ 突起
ｂ、ｄ、ｆ 係合穴
ｅ 持ち手
【特許請求の範囲】
【請求項１】
上面から正面にかけて開口部を設けた冷凍・冷蔵保存用商品用のディスプレイカートンにおいて、開口部の紙端を破れにくくする補強をし、重量がかかる部分の段ボールが２重以上になるよう補強したことを特徴とする冷凍・冷蔵保存用商品用ディスプレイカートン。
【請求項２】
開口部の紙端を破れにくくする補強が、紙端を折り曲げて輪にすること、および／または、別の段ボールの補強板で補強することである請求項１の冷凍・冷蔵保存用商品用ディスプレイカートン。
【請求項３】
重量がかかる部分の段ボールが２重以上になるようにする補強が、紙端を折り曲げて２重にすること、および／または、別の段ボールの補強板で補強することである請求項１又は２の冷凍・冷蔵保存用商品用ディスプレイカートン。
【請求項４】
さらに、箱のほぼ中央部に支えとなる仕切り板を設けたことを特徴とする請求項１、２または３の冷凍・冷蔵保存用商品用ディスプレイカートン。
【請求項５】
カートンの外殻を１枚の段ボールにより製造し、補強板または補強板および仕切り板を別の１枚の段ボールで製造し、それら２枚の段ボールのみからなることを特徴とする請求項１ないし４いずれかの冷凍・冷蔵保存用商品用ディスプレイカートン。
【請求項６】
底壁（１）の周縁に、一対の側壁（２、３）と背壁（４）と正面下枠（９）を立設し、各側壁の後方側縁に内フラップ（５、６）を、各側壁の前方側縁に正面側枠を形成するフラップ（７、８）および内フラップ（１６、１７）を、各側壁の上端縁に上面側枠を形成するフラップ（１１、１２）を、背壁の上端縁に上面背枠を形成するフラップ（１５）をそれぞれ連設し、さらに正面下枠（９）および上面側枠（１１、１２）にうらに折り返して開口部の紙端を輪とするためのフラップ（１０）および（１３、１４）をそれぞれ設けた段ボールを組みたてて外殻としたカートンの内側に、他の１枚の段ボールからなる補強板を側壁（２４，２５）、背壁（２０）、正面側枠（２６〜２９）の補強となるようにはめ込んだ請求項５のディスプレイカートン。
【請求項７】
さらに、他の１枚の段ボールからなる補強板が仕切り板と一体になっており、それを側壁（２４，２５）、背壁（２０、２１）、正面側枠（２６〜２９）部分および全体の補強となるようにはめ込んだ請求項６のディスプレイカートン。
【請求項８】
カートンの縦、横、高さの合計が１００ｃｍ以上のサイズである請求項１ないし７いずれかのディスプレイカートン。
【請求項９】
運送時、保存時の蓋として、Ｌ字型に折り曲げただけの段ボールを組み合わせて用いることを特徴とする請求項１ないし８いずれかのディスプレイカートンの使用方法。
【請求項１】
上面から正面にかけて開口部を設けた冷凍・冷蔵保存用商品用のディスプレイカートンにおいて、開口部の紙端を破れにくくする補強をし、重量がかかる部分の段ボールが２重以上になるよう補強したことを特徴とする冷凍・冷蔵保存用商品用ディスプレイカートン。
【請求項２】
開口部の紙端を破れにくくする補強が、紙端を折り曲げて輪にすること、および／または、別の段ボールの補強板で補強することである請求項１の冷凍・冷蔵保存用商品用ディスプレイカートン。
【請求項３】
重量がかかる部分の段ボールが２重以上になるようにする補強が、紙端を折り曲げて２重にすること、および／または、別の段ボールの補強板で補強することである請求項１又は２の冷凍・冷蔵保存用商品用ディスプレイカートン。
【請求項４】
さらに、箱のほぼ中央部に支えとなる仕切り板を設けたことを特徴とする請求項１、２または３の冷凍・冷蔵保存用商品用ディスプレイカートン。
【請求項５】
カートンの外殻を１枚の段ボールにより製造し、補強板または補強板および仕切り板を別の１枚の段ボールで製造し、それら２枚の段ボールのみからなることを特徴とする請求項１ないし４いずれかの冷凍・冷蔵保存用商品用ディスプレイカートン。
【請求項６】
底壁（１）の周縁に、一対の側壁（２、３）と背壁（４）と正面下枠（９）を立設し、各側壁の後方側縁に内フラップ（５、６）を、各側壁の前方側縁に正面側枠を形成するフラップ（７、８）および内フラップ（１６、１７）を、各側壁の上端縁に上面側枠を形成するフラップ（１１、１２）を、背壁の上端縁に上面背枠を形成するフラップ（１５）をそれぞれ連設し、さらに正面下枠（９）および上面側枠（１１、１２）にうらに折り返して開口部の紙端を輪とするためのフラップ（１０）および（１３、１４）をそれぞれ設けた段ボールを組みたてて外殻としたカートンの内側に、他の１枚の段ボールからなる補強板を側壁（２４，２５）、背壁（２０）、正面側枠（２６〜２９）の補強となるようにはめ込んだ請求項５のディスプレイカートン。
【請求項７】
さらに、他の１枚の段ボールからなる補強板が仕切り板と一体になっており、それを側壁（２４，２５）、背壁（２０、２１）、正面側枠（２６〜２９）部分および全体の補強となるようにはめ込んだ請求項６のディスプレイカートン。
【請求項８】
カートンの縦、横、高さの合計が１００ｃｍ以上のサイズである請求項１ないし７いずれかのディスプレイカートン。
【請求項９】
運送時、保存時の蓋として、Ｌ字型に折り曲げただけの段ボールを組み合わせて用いることを特徴とする請求項１ないし８いずれかのディスプレイカートンの使用方法。
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図１】
【図２】
【図３】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図５】
【図６】
【図７】
【図１】
【図２】
【図３】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【公開番号】特開２００６−２７７３０（Ｐ２００６−２７７３０Ａ）
【公開日】平成１８年２月２日（２００６．２．２）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００４−２８５９２０（Ｐ２００４−２８５９２０）
【出願日】平成１６年９月３０日（２００４．９．３０）
【出願人】（０００００４１８９）日本水産株式会社 (119)
【出願人】（３０４０２９２１７）とらや包装資材株式会社 (1)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１８年２月２日（２００６．２．２）
【国際特許分類】
【出願日】平成１６年９月３０日（２００４．９．３０）
【出願人】（０００００４１８９）日本水産株式会社 (119)
【出願人】（３０４０２９２１７）とらや包装資材株式会社 (1)
【Ｆターム（参考）】
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