説明

デジタルカメラおよびそのシャッター動作推定方法

【課題】画像センサーを露光する時間をより適正に調整する。
【解決手段】光が当たっているイメージセンサーに当たる光が遮断されるようシャッター羽根を走行させる。そして、シャッター走行開始からの所定量の移動を検出し(時刻t8)、シャッター羽根の所定量の移動の検出タイミングに基づいてシャッター羽根の移動動作を推定して補正量ΔT1を設定する。さらに、前回までに設定された補正量ΔT1に基づくタイミング補正量ΔTだけ基本走行開始タイミングより早い走行開始タイミングでシャッター走行を開始させる。これにより、露光時間をより適正に調整することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラおよびそのシャッター動作推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のデジタルカメラに適用可能な撮像装置としては、受光した光を電荷として蓄積する撮像素子とこの撮像素子を遮光するように走行するフォーカルプレーン型のシャッタとを備え、静止画像を撮影するときに、先幕の走行に相当する撮像素子の電荷蓄積走査の開始時期と、後幕の走行に相当するシャッタ走行の開始時期とを制御することによって、露光時間を調節するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、電子シャッターとメカシャッターとを併用して露光制御を行なう電子カメラとして、メカシャッターの閉動作が指示されてから実際に閉動作が開始されるまでのメカ遅れの個体差により生じる露光時間のズレの調整を、1画面分の明るさデータに相当する信号積算値を利用して露光量の評価を行ないながら、電子シャッターの電荷蓄積開始タイミングやシャッター駆動開始タイミングの前後調整により行なうものも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3988215号公報(特開平11−41523号公報)
【特許文献2】特開平11−234574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
デジタルカメラでは、露光時間を適正に調整することが重要な課題の一つとされているが、上述の後者のカメラの調整手法では、メカシャッターの個体差により生じる露光時間の調整のために一定の環境下で決まった光源を撮影する必要があるし、メカシャッターに経年変化が生じたときにはユーザーは露光時間を調整できないために適正な撮影画像を得られなくなる場合があった。
【0006】
本発明のデジタルカメラおよびそのシャッター動作推定方法は、画像センサーを露光する時間をより適正に調整することを主目的とする。
【0007】
本発明のデジタルカメラおよびそのシャッター動作推定方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のデジタルカメラは、
露光量に基づいて画像信号を生成する画像センサーと、
所定方向に移動して前記画像センサーに当たる光を遮断するシャッターと、
光が当たっている前記画像センサーに当たる光が遮断されるよう前記シャッターを移動させる移動制御部と、
前記シャッターが移動開始から所定量の移動をしたことを検出する移動検出部と、
前記移動検出部による検出タイミングに基づいて前記シャッターの移動動作を推定する動作推定部と、
を備えることを要旨とする。
【0009】
この本発明のデジタルカメラでは、光が当たっている画像センサーに当たる光が遮断されるよう所定方向に移動して画像センサーに当たる光を遮断するシャッターを移動させる。そして、シャッターが移動開始から所定量の移動をしたことを検出し、シャッターの所定量の移動の検出タイミングに基づいてシャッターの移動動作を推定する。したがって、シャッターの移動開始からの所定量の移動を検出して推定したシャッターの移動動作の推定結果を画像センサーを露光する時間の制御に用いれば、画像センサーを露光する時間を調整することができる。即ち、画像センサーを露光する時間をより適正に調整することができる。ここで、前記移動検出部は、開放状態の前記シャッターにおける前記画像センサー側の端部と前記画像センサーの前記シャッター側の端部との間の検出位置に前記シャッターが移動により到達することを検出する、ものとすることもできる。なお、画像センサー回路の一部の領域(有効画素領域とも呼ぶ)のみ有効なものとする場合には、ここで言う画像センサーは有効画素領域の画像センサー回路を意味する。
【0010】
こうした本発明のデジタルカメラにおいて、前回までに前記動作推定部により推定されたシャッターの移動動作に応じて前記画像センサーの前記所定方向への露光量のリセット走査を開始させるリセット制御部を備える、ものとすることもできる。こうすれば、画像センサーの露光量をリセットするタイミングの調整によって、画像センサーを露光する時間をより適正に調整することができる。この場合、前記リセット制御部は、前回までに前記動作推定部により推定されたシャッターの移動動作に応じた速度変化で前記画像センサーの前記所定方向への露光量のリセット走査を動作させる、ものとすることもできるし、前記リセット制御部は、前回までに前記動作推定部により推定されたシャッターの移動動作に応じたタイミングで前記画像センサーの前記所定方向への露光量のリセット走査を開始させる、ものとすることもできる。ここで、所定方向への露光量のリセット走査は、画像センサーの露光量のリセットを所定方向に順に行なうものであり、この露光量のリセットには、露光量のリセットが行なわれていない状態で露光量のリセットを行なうことと、露光量のリセットが継続して行なわれている状態で露光量のリセットを終了することとが含まれ、また、読み出し処理等の結果としてリセットが行なわれることと、読み出し処理等の終了の結果としてリセットが終了されることとが含まれる。
【0011】
また、本発明のデジタルカメラにおいて、前記移動制御部は、前回までに前記動作推定部により推定されたシャッターの移動動作が所定の動作より遅い場合に該所定の動作より早い場合に比して早くなるタイミングで前記シャッターの移動を開始させる、ものとすることもできる。言い換えると、推定されたシャッターの移動動作が遅いほど早くなる傾向の(例えば、推定されたシャッター動作が遅いほど比例傾向または階段状(段階的)に早くなる)タイミングでシャッターの移動を開始させる、ものとしてもよいのである。こうすれば、シャッターの移動を開始させるタイミングの調整によって、画像センサーを露光する時間をより適正に調整することができる。
【0012】
さらに、本発明のデジタルカメラにおいて、前記動作推定部は、前回までに該動作推定部により推定したシャッターの移動動作と前記移動検出部による今回の検出タイミングとに基づいて今回の前記シャッターの移動動作を推定する、ものとすることもできる。こうすれば、シャッターの移動動作をより適正に推定することができる。
【0013】
あるいは、本発明のデジタルカメラにおいて、前記移動検出部は、前記シャッターが移動開始から第1所定量の移動および該第1所定量より大きい第2所定量の移動を含む複数量の移動をしたことをそれぞれ検出し、前記動作推定部は、前記シャッターの複数量の移動についての複数の検出タイミングに基づいて前記シャッターの移動動作を推定する、ものとすることもできる。こうすれば、シャッターの移動動作をより適正に推定することができる。
【0014】
本発明のデジタルカメラのシャッター動作推定方法は、
露光量に基づいて画像信号を生成する画像センサーと、所定方向に移動して前記画像センサーに当たる光を遮断するシャッターと、を備えるデジタルカメラの動作推定方法であって、
(a)光が当たっている前記画像センサーに当たる光が遮断されるよう前記シャッターを移動させるステップと、
(b)前記シャッターが移動開始から所定量の移動をしたことを検出するステップと、
(c)前記ステップ(b)による検出タイミングに基づいて前記シャッターの移動動作を推定するステップと、
を含むことを要旨とする。
【0015】
本発明のデジタルカメラのシャッター動作推定方法により推定したシャッターの移動動作の推定結果を、画像センサーを露光する時間の制御に用いれば、画像センサーを露光する時間を調整することができる。即ち、画像センサーを露光する時間をより適正に調整することができる。なお、このデジタルカメラのシャッター動作推定方法において、上述したデジタルカメラの種々の態様を採用してもよいし、また、上述したデジタルカメラの各機能を実現するようなステップを追加してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態であるデジタルカメラ10の構成の概略を示す構成図。
【図2】シャッター機構23を光の入射方向から見たときの様子を説明する説明図。
【図3】イメージセンサー22を露光する様子を説明する説明図。
【図4】露光処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図5】リセット走査開始後にシャッター走行を開始したときの様子を示す説明図。
【図6】シャッター走行開始後にリセット走査を開始したときの様子を示す説明図。
【図7】補正量設定ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図8】シャッター走行開始後にリセット走査を開始したときの様子を示す説明図。
【図9】別の露光処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図10】別の補正量設定ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図11】別のシャッター機構123の構成を説明する説明図。
【図12】第2の実施形態の露光処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図13】リセット走査開始後にシャッター走行を開始したときの様子の説明図。
【図14】シャッター走行開始後にリセット走査を開始したときの様子の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は本発明の一実施形態であるデジタルカメラ10の構成の概略を示す構成図であり、図2はシャッター機構23を光の入射方向から見たときの様子を説明する説明図であり、図3は光の入射方向から見てイメージセンサー22を露光する様子を説明する説明図である。
【0018】
本実施形態のデジタルカメラ10は、被写体の像を光電変換して生成した画像信号に基づいて撮影画像用の信号を出力する電子撮像ユニット20と、電子撮像ユニット20から出力された信号を入力して所定の画像処理を施して撮影画像の画像データや画像ファイルを生成する画像処理装置60と、画像処理装置60から入力した画像データをEVF(Electronic View Finder)72や液晶モニター74に表示させる表示制御装置70と、ユーザーによって操作される各種の操作ボタン群80と、画像処理装置60により生成された画像ファイルを保存可能なメモリーカード50と、デジタルカメラ10の各部に電力を供給するバッテリー55と、装置全体を制御するメインコントローラー40とを備える。
【0019】
電子撮像ユニット20は、デジタルカメラ10の本体に図示しないレンズマウントを介して交換可能に取り付けられる撮影レンズ21と、撮影レンズ21を介して入力した光を光電変換によって電気信号に変換するイメージセンサー22と、撮影レンズ21とイメージセンサー22との間に配置されたシャッター機構23と、イメージセンサー22から出力された電気信号をデジタル信号に変換して出力するアナログフロントエンド(AFE)28と、イメージセンサー22や画像処理装置60にクロック信号を出力するパルス発生回路30とを備える。
【0020】
撮影レンズ21は、凸レンズと凹レンズとを組み合わせて構成された複数のレンズ群の他に、イメージセンサー22に入射する光量を調節する絞り機構21aや、図示しない測距センサや撮影レンズ21からの情報に基づいて焦点合わせを行なうオートフォーカス機構21bを備える。絞り機構21aやオートフォーカス機構21bは、メインコントローラー40からの信号により各機構のモーターを駆動することによって制御される。
【0021】
イメージセンサー22は、マトリックス状に配置され撮像面22a(図3参照)を形成する図示しない複数のフォトダイオードや、フォトダイオードごとに設けられた図示しない複数の増幅器を備えるCMOSイメージセンサーとして構成されている。フォトダイオードは、露光されたときの光を電荷に変換して蓄積する光電変換素子であり、画素ごとに設けられている。このフォトダイオードは、電荷を図示しない基板へ逃がすことができるようになっている。増幅器は、フォトダイオードが蓄積した電荷を信号として読み出すことができるように増幅する。イメージセンサー22では、撮像面22aにカラーフィルターを用いることにより、各フォトダイオードから増幅器を介してレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)のいずれかの色の信号を出力するようになっている。イメージセンサー22の各フォトダイオードには、パルス発生回路30から水平走査クロック(水平駆動パルス)が供給されると共に、パルス発生回路30で発生し垂直駆動変調回路32により周波数が変調された垂直走査クロック(垂直駆動パルス)が供給されている。実施形態では、パルス発生回路30によるクロック供給と垂直駆動変調回路32によるクロック周波数の変調とをメインコントローラー40からの信号により制御することによって、フォトダイオードに蓄積した電荷を吐き出すイメージセンサー22の露光量のリセット走査を、走査速度の調整を伴って実行すると共に、イメージセンサー22の露光量のリセット走査を電子先幕の動作として機能させている。
【0022】
シャッター機構23は、電子先幕に対するメカ後幕として機能するものであり、図2に示すように、イメージセンサー22の光軸方向前方でデジタルカメラ10の本体に支持され矩形状の開口24aが形成された地板24と、複数の矩形状のシャッター羽根25と、各シャッター羽根25の一端に連結されこのシャッター羽根25と共に平行リンク機構を構成する駆動アーム26aおよび従動アーム26bとを備える。駆動アーム26aと従動アーム26bとは、それぞれシャッター羽根25が連結された端部と反対側の端部で軸26cと軸26dとを中心に回動する。従動アーム26bは、図示しない連結部材により駆動アーム26aに連結されており、駆動アーム26aと共に回動する。駆動アーム26aの回動によるシャッター羽根25の走行は、次に説明するように行なわれる。シャッター羽根25が開放状態(図2の状態)のときに、駆動アーム26aは、まず図示しない電磁石への通電により回動不能に保持され、更に図示しないモーターの駆動による図示しない係止部材の解除によって、電磁石への通電を解除すればいつでも回動可能な状態とされる。続いて、駆動アーム26aが電磁石への通電解除によって回動を開始すると、シャッター羽根25は、図示しないスプリングの付勢力によりデジタルカメラ10の垂直下方から上方(図2の太線矢印方向)へ走行する。シャッター羽根25が走行すると、地板24の開口24aからイメージセンサー22への入光が遮断され、遮光状態となる。その後、駆動アーム26aが再びモーターの駆動によって逆方向に回動すると、シャッター羽根25が元の位置(図2の位置)に戻り、更にモーターの駆動による図示しない係止部材の係止によって駆動アーム26aが回動不能とされるようになっている。
【0023】
このシャッター機構23では、シャッター羽根25は地板24の開口24aよりも広範囲を遮るように走行するため、図2に示すように、シャッター羽根25の開放状態では、シャッター羽根25の垂直上端(以下、先端という)と開口24aの下端との間にマージンα1が確保される。また、シャッター羽根25による遮光状態では、シャッター羽根25の先端は開口24aの上端からマージンα2だけ上方に位置する。実施形態のデジタルカメラ10は、イメージセンサー22の光の入射経路上にミラーのないミラーレス構造を採用しており、シャッター羽根25が開放状態になると、直ちにイメージセンサー22に光を照射可能な状態となる。なお、図2中、位置センサー25aは、地板24の光軸方向前側で、開放状態のシャッター羽根25の先端(シャッター羽根25のイメージセンサー22側の端部)とイメージセンサー22の撮像面22aの下端(撮像面22aのシャッター羽根25側の端部)との間の位置が検出位置となるように取り付けられており、シャッター羽根25の先端が撮像面22aの下端で遮光を開始する前に、シャッター羽根25の先端が開放状態から移動開始して上方に所定量を走行して検出位置に到達することを検出する。この位置センサー25aとしては、例えば電界や磁界による近接スイッチなどの非接触センサーを用いることができる。所定量の意味については、改めて説明する。
【0024】
画像処理装置60は、図示しないが、RGB画素の色補間処理やホワイトバランス処理、色再現処理、リサイズ処理、ガンマ補正処理、画像ファイル生成処理などのデジタルカメラにおける周知の画像処理を実行する各種の画像処理機能ブロックを備える。この画像処理装置60は、電子撮像ユニット20から出力されるデジタル信号を入力すると共に、パルス発生回路30からクロック信号を入力し、画像処理を実行して撮影画像を生成したり、生成した撮影画像を所定形式の画像に変換し撮影情報を付加して画像ファイルを生成したりする。また、画像処理装置60は、所定時間毎に電子撮像ユニット20から出力されるデジタル信号を順次入力してライブビュー表示用の画像を生成したりする。
【0025】
表示制御装置70は、画像処理装置60で生成された撮影画像を液晶モニター74に表示したり、画像処理装置60で生成されたライブビュー表示用の画像をEVF72または液晶モニター74に順次表示するライブビュー表示を行なう。
【0026】
操作ボタン群80は、ユーザーにより押下されると被写体の撮影指令をメインコントローラー40へ出力するためのシャッターボタン80aや、シャッタースピードや絞り値,露出値などの撮影に関する各種設定値を設定するための複数の設定ボタン80b、電源のオンオフを指示する電源ボタン80cなどからなる。
【0027】
メインコントローラー40は、CPU42を中心とするマイクロプロセッサーとして構成されており、処理プログラムや各種テーブルを記憶するROM44と、データを一時的に記憶するRAM46と、データを書き換え可能で電源を切ってもデータを保持するフラッシュメモリー48と、図示しない入出力ポートとを備える。メインコントローラー40には、シャッター羽根25が移動開始から所定量を走行したことを検出する位置センサー25aからの検出信号(オンオフ信号)や、操作ボタン群80からの各種の操作信号、撮影レンズ21の情報、メモリーカード50から読み出した画像ファイル、画像処理装置60からの各種画像などが入力される。また、メインコントローラー40からは、撮影レンズ21への駆動信号や、図示しないモーターを制御したり電磁石への通電を制御するためのシャッター機構23への制御信号、パルス発生回路30への制御信号、垂直駆動変調回路32への制御信号、メモリーカード50へ書き込む画像ファイル、画像処理装置60への画像処理指令、表示制御装置70への表示制御指令などが出力される。
【0028】
こうして構成された実施形態のデジタルカメラ10では、シャッタースピードなどの各種設定値が設定されてシャッターボタン80aの操作に応じて撮影指令が出力されると、メインコントローラー40により、イメージセンサー22の露光量のリセット走査や、シャッター羽根25の走行制御、イメージセンサー22からの画像信号の読み出し走査などの露光のための各種制御が実行され、最終的に電子撮像ユニット20の出力信号から画像処理装置60により生成された画像ファイルがメモリーカード50に保存される。イメージセンサー22の撮像面22aにおける露光のための各種制御によると、図3に示すように、まずイメージセンサー22のリセット走査によりリセット走査位置(ライン)が上方へ移動して電子先幕が作動し、次にシャッター羽根25の先端に相当する位置(以下、シャッター先端位置という)が上方へ移動してメカ後幕による遮光が行なわれ、最後にイメージセンサー22の読み出し走査位置(ライン)が上方へ順次移動することになる。したがって、イメージセンサー22の1点に注目したときに、その1点を電子先幕の後端に相当するリセット走査位置が通過して露光され始めてからメカ後幕の先端に相当するシャッター先端位置が通過して遮光されるまでの時間がシャッタースピード(露光時間)に相当し、この時間を調整することにより、イメージセンサー22の撮像面22aへ被写体像が照射される時間が制御される。このとき、イメージセンサー22の撮像面22aにおけるリセット走査位置とシャッター先端位置との間の領域(図中の斜線領域)がイメージセンサー22の電荷蓄積領域となるが、この領域は露光時間が短いときにはスリット状の領域となる。なお、イメージセンサー22の露光量の垂直上方へのリセット走査は、イメージセンサー22の露光量のリセットを垂直上方へ順に行なうものであり、実施形態では、この露光量のリセットは、露光量のリセットが行なわれていない状態で露光量のリセットを瞬間的に行なうものとしてもよいし、露光量のリセットが時間的に継続して行なわれている状態で露光量のリセットを終了するものとしてもよい。また、読み出し走査などの他の処理の結果として露光量のリセットが行なわれるものとしてもよい。
【0029】
次に、こうして構成された本実施形態のデジタルカメラ10の動作、特に露光のための動作について説明する。図4は、メインコントローラー40のCPU42により実行される露光処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、シャッターボタン80aの操作による撮影指令をメインコントローラー40が入力したときに実行される。なお、撮影指令をメインコントローラー40が入力するまでにシャッタースピードや絞り値,露出値などの撮影に関する各種設定値は設定されているものとする。
【0030】
露光処理ルーチンが実行されると、メインコントローラー40のCPU42は、まず、設定された露光時間Texやシャッター羽根25の走行(以下、シャッター走行ともいう)の走行開始タイミングのタイミング補正量ΔTなど露光処理に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、露光時間Texは、シャッタースピードとして、ユーザーによる設定ボタン80bの操作によって設定されたものや図示しない自動露出用設定ルーチンにより設定されたものなどを入力することができる。タイミング補正量ΔTは、過去3回の撮影時に推定したシャッター走行動作の経年変化などによる遅れ時間の平均値や中央値として求めたものであるが、その詳細については後述する。
【0031】
続いて、入力した露光時間Texに基づいてイメージセンサー22のリセット走査のリセットタイミングとシャッター羽根25の走行開始タイミングの基本値である基本走行開始タイミングとを設定し(ステップS110)、設定した基本走行開始タイミングをタイミング補正量ΔTだけ早くするように補正したものを走行開始タイミングとして設定する(ステップS120)。ここで、リセットタイミングは、実施形態では、撮影指令を入力してからの撮像面22aの垂直方向位置毎(ライン毎)の時間として設定され、基本走行開始タイミングは、撮影指令を入力してからの時間として設定されるものとした。このリセットタイミングおよび基本走行開始タイミングは、実施形態では、露光時間Texとデジタルカメラ10の出荷時の基本的な状態でこの露光時間Texが得られるリセットタイミングおよび基本走行開始タイミングとの関係を予め実験や解析により定めてタイミング設定用マップとしてROM44に記憶しておき、露光時間Texが与えられると記憶したマップから対応するリセットタイミングと基本走行開始タイミングとを導出して設定するものとした。なお、基本走行開始タイミングをタイミング補正量ΔTだけ早くする補正によっても走行開始タイミングが現在のタイミングよりも早いタイミングにならないように予めタイミング設定用マップを定めておくものとしてもよいし、走行開始タイミングが現在のタイミングよりも早いタイミングになる場合にはその早くなる時間だけリセットタイミングと走行開始タイミングとを共に遅く補正し直すものとしてもよい。
【0032】
こうしてイメージセンサー22のリセット走査のリセットタイミングとシャッター羽根25の走行開始タイミングとを設定すると、両設定値に基づいてシャッター走行開始とイメージセンサー22のリセット走査開始とのうちいずれを先に行なうかを判定し(ステップS130)、シャッター走行開始を先に行なうと判定されたときには、設定したリセットタイミングによるイメージセンサー22の露光量のリセット走査を開始し(ステップS140)、その後、設定した走行開始タイミングでシャッター走行を開始する(ステップS150)。リセット走査は、パルス発生回路30と垂直駆動変調回路32とにそれぞれ制御信号を出力することにより行なわれる。シャッター走行の開始は、シャッター機構23に走行開始を指示する制御信号を出力することにより行なわれる。図5にリセット走査開始後にシャッター走行を開始したときの露光の様子の一例を示す。図中、横軸は時間を示し、縦軸は垂直方向位置を示す。縦軸上、下から順に開放状態でのシャッター先端位置(後幕開放位置),撮像面22aの下端,撮像面22aの上端,遮光状態でのシャッター先端位置(後幕遮光位置)が示されている。図示するように、時刻t1でリセット走査を開始し(一点鎖線参照)、その後に時刻t2でシャッター走行開始が指示されると(実線参照)、シャッター先端位置が撮像面22aの下端から上端まで移動する間は、シャッター先端位置の軌跡に対して露光時間Texが丁度確保されるように設定されたリセットタイミングに従ってリセット走査が行なわれる。そして、時刻t3でリセット走査が全てのラインについて終了すると、その後に時刻t4でシャッター走行が終了したラインから順にイメージセンサー22の読み出し走査が開始される(二点鎖線参照)。
【0033】
こうしてシャッター走行が終了したラインから読み出し走査が行なわれて全てのラインについて読み出し走査が終了すると(ステップS180)、露光処理ルーチンを終了する。こうした処理により、シャッター走行開始よりもリセット走査を先に開始する場合、即ち露光時間Texが比較的長い(シャッタースピードが比較的遅い)場合に、設定された露光時間Texによるイメージセンサー22の露光を行なうことができる。
【0034】
ステップS130でリセット走査開始よりもシャッター走行を先に開始すると判定されたときには、設定された走行開始タイミングでシャッター走行を開始し(ステップS160)、その後、設定したリセットタイミングによるリセット走査を開始し(ステップS170)、最後に読み出し走査を行なって(ステップS180)、露光処理ルーチンを終了する。図6にシャッター走行開始後にリセット走査を開始したときの露光の様子の一例を示す。図6の例では、時刻t5でリセット走査が開始され、その後、時刻t6でシャッター走行開始が指示されている。こうした処理により、リセット走査開始よりもシャッター走行を先に開始する場合、即ち露光時間Texが比較的短い(シャッタースピードが比較的速い)場合に、設定された露光時間Texによる露光を行なうことができる。以上、露光処理について説明した。
【0035】
次に、基本走行開始タイミングを補正するタイミング補正量ΔTの設定について説明する。図7は、メインコントローラー40のCPU42により実行される補正量設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、シャッターボタン80aの操作による撮影指令をメインコントローラー40が入力したときに露光処理ルーチンと共に実行される。
【0036】
補正量設定ルーチンが実行されると、メインコントローラー40のCPU42は、まず、いずれもタイミング補正量ΔTの計算根拠となる値として、前回このルーチンが実行されたときに設定されフラッシュメモリー48の所定領域に記憶された補正量ΔT1と前々回このルーチンが実行されたときに設定されフラッシュメモリー48の所定領域に記憶された補正量ΔT2とをそれぞれ補正量ΔT2,ΔT3としてフラッシュメモリー48の所定領域に記憶し直し(ステップS200)、記憶し直した補正量ΔT2,ΔT3を入力する処理を実行する(ステップS210)。ここで、補正量ΔT1,ΔT2,ΔT3は、いずれもシャッター走行動作の経年変化などによる遅れ時間として推定されたものであり、補正量ΔT1は今回このルーチンを実行することにより設定される値であり、補正量ΔT2は前回このルーチンを実行したときに設定された値であり、補正量ΔT3は前々回このルーチンを実行したときに設定された値である。
【0037】
続いて、位置センサー25aからオン信号としての検出信号が入力されるのを待ち(ステップS220)、位置センサー25aからオン信号としての検出信号を入力したときには、図示しないタイマーにより計時された時間を用いてシャッター走行開始を指示してからの経過時間として検出所要時間Tdを設定する(ステップS230)。なお、位置センサー25aが検出対象とするシャッター羽根25の移動についての所定量は、実施形態では、シャッター機構23の個体差や経年変化に起因するシャッター羽根25の走行の遅れや進みといった変化の傾向を把握するのに必要な移動量として予め実験などにより定められたものを用いている。
【0038】
そして、設定した位置センサー25aによる検出所要時間Tdに基づいて今回このルーチンで設定すべき補正量ΔT1を設定してフラッシュメモリー48の所定領域に記憶し(ステップS240)、補正量ΔT1,ΔT2,ΔT3の平均値をタイミング補正量ΔTとして設定してフラッシュメモリー48の所定領域に記憶し(ステップS250)、補正量設定ルーチンを終了する。タイミング補正量ΔTは、補正量ΔT1,ΔT2,ΔT3のうち中央値を用いてもよい。ここで、補正量ΔT1の設定は、実施形態では、位置センサー25aによる検出所要時間Tdと補正量ΔT1との関係を予め実験や解析により定めて補正量設定用マップとしてROM44に記憶しておき、検出所要時間Tdが与えられると記憶したマップから対応する補正量ΔT1を導出して設定するものとした。補正量ΔT1の設定の例およびタイミング補正量ΔTの意味について、次に説明する。
【0039】
図8は、シャッター走行開始後にリセット走査を開始したときの露光の様子の一例を示す説明図である。図中、実線で示すデジタルカメラ10の出荷時の基本的な状態(基本状態)でのシャッター先端位置の軌跡に対して、波線で示す比較状態でのシャッター先端位置の軌跡は、例えばシャッター機構23の図示しない電磁石やスプリングの劣化による経年変化などのために遅いタイミングとなっている。こうしたシャッター走行の遅れは、基本状態でのシャッター先端位置の軌跡に対する遅れ時間として把握することができる。例えば、図8の例では、基本状態でシャッター走行開始を指示する時刻t7の後幕開放位置からシャッター羽根25が撮像面22aの下端に到達する時刻t9までの時間Td1や、基本状態で時刻t7の後幕開放位置からシャッター羽根25が撮像面22aの上端に到達する時刻t10までの時間Td2は、比較状態ではいずれも長くなる。即ち、両時間Td1,Td2は、時刻t7からシャッター羽根25が検出位置に到達する時刻t8(検出タイミング)までの検出所要時間Tdが長い(検出タイミングが遅い)ほど、いずれも長くなる傾向がある。このため、実施形態では、位置センサー25aによる検出タイミングが遅いほど大きな補正量ΔT1が得られるように補正量設定用マップを定めるものとした。したがって、位置センサー25aによる検出所要時間Tdに基づいて補正量ΔT1を設定するステップS240の処理は、位置センサー25aによる検出タイミングが遅いほどシャッター走行が遅いと推定する処理ということができる。なお、補正量設定用マップでは、補正量ΔT1は、例えば、シャッター羽根25が撮像面22aの下端に至るタイミングの基本状態からの遅れ時間と、シャッター羽根25が撮像面22aの上端に至るタイミングの基本状態からの遅れ時間との平均値などとして定めておくことができる。さらに、こうして推定した補正量ΔT1と過去の撮影時に推定した補正量ΔT2,ΔT3との平均値や中央値をタイミング補正量ΔTとして設定することにより、シャッター走行開始タイミングの補正量をより適正に得るものとした。実施形態のデジタルカメラ10では、こうして求めたタイミング補正量ΔTを用いて次回の撮影時にシャッター走行開始タイミングを調整するから、イメージセンサー22を露光する時間をより適正なものとすることができる。また、タイミング補正量ΔTは正の値と負の値とに設定可能であるから、基本状態に対する遅れと進みとの両方向に調整することができ、シャッター機構23の個体差や経年変化によるシャッター走行の仕方の変化に応じてイメージセンサー22を露光する時間を調整することができるものとなる。
【0040】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のイメージセンサー22が本発明の「画像センサー」に相当し、シャッター羽根25が「シャッター」に相当し、設定された走行開始タイミングでシャッター羽根25の走行を開始するようシャッター機構23を制御する図4の露光処理ルーチンのステップS150,S160の処理を実行するメインコントローラー40が「移動制御部」に相当し、シャッター羽根25が移動開始から所定量の移動をしたことを検出する位置センサー25aと位置センサー25aによる検出を判定する図7の補正量設定ルーチンのステップS220の処理を実行するメインコントローラー40とが「移動検出部」に相当し、位置センサー25aによる検出タイミングが遅いほど大きな補正量ΔT1を設定する図7の補正量設定ルーチンのステップS240の処理を実行するメインコントローラー40が「動作推定部」に相当する。なお、本実施形態では、デジタルカメラの動作を説明することにより本発明のデジタルカメラのシャッター動作推定方法の一例も明らかにしている。
【0041】
以上説明した本実施形態のデジタルカメラ10では、光が当たっているイメージセンサー22に当たる光が遮断されるようシャッター羽根25を走行させる。そして、シャッター走行開始からの所定量の移動をしたことを検出し、シャッター羽根25の所定量の移動の検出タイミングに基づいてシャッター羽根25の移動動作を推定して補正量ΔT1を設定する。さらに、前回までに設定された補正量ΔT1に基づくタイミング補正量ΔTだけ基本走行開始タイミングより早い走行開始タイミングでシャッター走行を開始させる。これにより、イメージセンサー22を露光する時間をより適正に調整することができる。
【0042】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0043】
上述した実施形態では、位置センサー25aによる検出タイミングに基づいて、シャッター走行の走行開始タイミングを設定するためのタイミング補正量ΔTを設定するものとしたが、これに代えて、イメージセンサー22のリセット走査のリセットタイミングを設定するためのタイミング補正量を設定するものとしてもよい。この場合、図4の露光処理ルーチンに代えて図9の露光処理ルーチンを実行し、図7の補正量設定ルーチンに代えて図10の補正量設定ルーチンを実行するものとすればよい。図9のルーチンの各ステップの処理のうち図4のルーチンと同一の処理については、同一のステップ番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0044】
図9の露光処理ルーチンでは、まず、設定された露光時間Texやイメージセンサー22のリセットタイミングのタイミング補正量ΔT(y)などのデータを入力し(ステップS300)、入力した露光時間Texに基づいてリセットタイミングの基本値である基本リセットタイミングとシャッター走行の走行開始タイミングとを設定し(ステップS310)、基本リセットタイミングをタイミング補正量ΔT(y)だけ遅くなるように補正したものをリセットタイミングとして設定する(ステップS320)。そして、シャッター走行が先か否かの判定結果に応じてリセット走査とシャッター走行とをそれぞれ開始すると共に読み出し走査を行なって(ステップS130〜S180)、露光処理ルーチンを終了する。ここで、基本リセットタイミングとタイミング補正量ΔT(y)とリセットタイミングとは、いずれも撮影指令を入力してからの撮像面22aの垂直方向位置毎(ライン毎)の時間として設定され、基本走行開始タイミングは、撮影指令を入力してからの時間として設定される。タイミング補正量ΔT(y)の変数yは、撮像面22aの垂直方向位置を示す。また、基本リセットタイミングと走行開始タイミングの設定は、露光時間Texとデジタルカメラ10の出荷時の基本的な状態でこの露光時間Texが得られる基本リセットタイミングおよび走行開始タイミングとの関係を予め実験や解析により定めたタイミング設定用マップを用いて設定することができる。
【0045】
また、図10の補正量設定ルーチンでは、タイミング補正量ΔT(y)の計算根拠となる値として前回までにこのルーチンが実行され終了したときまでにフラッシュメモリー48の所定領域に記憶された補正量ΔT1(y),ΔT2(y)をそれぞれ補正量ΔT2(y),ΔT3(y)としてフラッシュメモリー48の所定領域に記憶し直し(ステップS400)、記憶し直した補正量ΔT2(y),ΔT3(y)を入力する(ステップS410)。続いて、図7の補正量設定ルーチンのステップS220,S230の処理と同様に、位置センサー25aからオン信号としての検出信号が入力されるのを待ち(ステップS420)、位置センサー25aからオン信号としての検出信号を入力したときには、シャッター走行開始を指示してからの経過時間として検出所要時間Tdを設定する(ステップS430)。そして、設定した位置センサー25aによる検出所要時間Tdに基づいて今回このルーチンで設定すべき補正量ΔT1(y)を設定してフラッシュメモリー48の所定領域に記憶し(ステップS440)、補正量ΔT1(y),ΔT2(y),ΔT3(y)の変数y毎に求めた平均値や中央値をタイミング補正量ΔT(y)として設定してフラッシュメモリー48の所定領域に記憶して(ステップS450)、補正量設定ルーチンを終了する。ここで、補正量ΔT1(y)の設定は、位置センサー25aによる検出タイミングと補正量ΔT1(y)との関係を予め実験や解析により定めた補正量設定用マップを用いて行なうことができる。この補正量設定用マップは、位置センサー25aによる検出所要時間Tdが長いほど(検出タイミングが遅いほど)シャッター走行が遅いと推定し、この検出タイミングが遅いほど大きな補正量ΔT1(y)が得られるように定められる。こうして推定した補正量ΔT1(y)と過去の撮影時に推定した補正量ΔT2(y),ΔT3(y)との平均値や中央値をタイミング補正量ΔTとして設定することにより、イメージセンサー22のリセット走査のリセットタイミングの補正量をより適正に得ることができ、こうして求めたタイミング補正量ΔT(y)を用いて次回の撮影時にリセットタイミングを調整することにより、イメージセンサー22を露光する時間をより適正なものとすることができる。
【0046】
上述した実施形態では、位置センサー25aによる検出タイミングに基づいてタイミング補正量ΔTを設定してシャッター走行の走行開始タイミングを調整するものとしたが、同様に設定したタイミング補正量ΔTをシャッター走行の走行開始タイミングを早くする調整分とイメージセンサー22のリセットタイミングを遅くする調整分とに所定の分担比(例えば、値1/2など)で分担して、各タイミングを調整するものとしてもよい。
【0047】
上述した実施形態では、補正量設定ルーチンで設定した補正量ΔT1と前回までにこのルーチンで設定した補正量ΔT2,ΔT3とに基づいてタイミング補正量ΔTを設定するものとしたが、補正量ΔT2,ΔT3を用いずに補正量ΔT1と同じ値をそのままタイミング補正量ΔTとして設定するものとしてもよい。
【0048】
上述した実施形態では、シャッター羽根25が移動開始から所定量の移動したことを検出するセンサーとして、シャッター羽根25の先端が開放状態から移動開始して上方に所定量を走行して検出位置に到達することを検出する位置センサー25aを用いるものとしたが、これに代えて、例えばシャッター機構23の駆動アーム26aの回転位置を検出する回転位置センサーなどを用いるものとしてもよい。
【0049】
上述した実施形態では、シャッター羽根25が移動開始から所定量の移動をしたことを検出する1つの位置センサー25aを備えるものとしたが、2つ以上の位置センサーを備えるものとしてもよい。例えば、図11の別のシャッター機構123に示すように、シャッター羽根25が移動開始から所定量の移動をしたことを検出する位置センサー25aに加え、シャッター羽根25が移動開始から(所定量より大きい)第2所定量の移動をしたことを検出する位置センサー125bと、シャッター羽根25が移動開始から(第2所定量より大きい)第3所定量の移動をしたことを検出する位置センサー125cとを備えるものとしてもよい。この場合、位置センサー25a,125b,125cの3つの検出タイミングからシャッター先端位置の軌跡を推定すると共に推定したシャッター先端位置の軌跡の基本状態からの遅れ(例えば、比較した軌跡間の遅れ時間の平均値など)をタイミング補正量ΔTとして設定するものとしてもよい。こうすれば、シャッター羽根25の移動動作をより適正に推定することができる。また、シャッター羽根25が移動開始から所定量の移動したことを検出する1つの位置センサーとして、位置センサー25aに代えて、前述の位置センサー125bまたは位置センサー125cを備えるものとしてもよい。即ち、シャッター羽根25の移動開始からシャッター羽根25が撮像面22aの遮光を開始した後に相当する位置までの移動量である第2所定量の移動を検出する位置センサー125bまたは第3所定量の移動を検出する位置センサー125cを備えるものとしてもよい。
【0050】
上述した実施形態では、補正量設定用マップを用いて位置センサー25aによる検出タイミングが遅いほど大きな補正量ΔT1を設定する、即ち、位置センサー25aによる検出タイミングが遅いほど比例傾向に大きくなる補正量ΔT1を設定するものとしたが、これに代えて、位置センサー25aによる検出タイミングが遅いほど階段状(段階的)に大きくなる補正量ΔT1を設定するものとしてもよい。
【0051】
上述した実施形態では、イメージセンサー22の全フォトダイオードを有効なものとして説明したが、複数のフォトダイオードの全てを有効なものとする必要はなく、一部領域(有効画素領域ともいう)のフォトダイオードを有効なものとしてもよい。この場合、有効画素領域を除く領域のフォトダイオードは、光が当たらないようによう覆いをしたり、電荷を読み出さないものとしたり、読み出された電荷や信号を無視したりする。そして、光が当たっているイメージセンサー22の有効画素領域に当たる光が遮断されるようシャッター羽根25を移動させ、シャッター羽根25が移動開始から所定量の移動をしたことを検出し、シャッター羽根25の所定量の移動の検出タイミングに基づいてシャッター羽根25の移動動作を推定するようにすることができる。
【0052】
上述した実施形態では、位置センサーの検出結果に基づいてシャッター走行の走行開始タイミングやリセットの開始タイミングを補正したが、これらの他にリセット動作自体のタイミングすなわちリセット動作の位置を移動させる速度を変化させて、図5図6図8における一点鎖線の形状を、実際のシャッターの動作に近似するように変化させるようにしても良い。これは特にシャッター速度が短い場合には、露光量のばらつきが小さくなるので有効である。逆にシャッター速度が長い場合には、露光量のばらつきの影響が小さいためにリセット動作の位置を移動させる速度を変化させる効果は小さくなり、シャッター速度に応じて、リセット動作の位置を移動させる速度を変化させるかどうかを切り換え、シャッター速度が短い場合に速度を変化させ、シャッター速度が長い場合に速度を変化さてないようにしても良い。シャッター速度が短い場合に長い場合よりも、リセット動作の位置を移動させる速度をより実際のシャッターの動作に近似するように変化させることが望ましい。このリセット動作の位置を移動させる速度は、位置センサーの検出結果とシャッター速度とに基づいた関数で決定したり、予め記憶していた対応関係に基づいて決定したりしても良い。
【0053】
第2の実施形態のデジタルカメラ10では、光が当たっているイメージセンサー22に当たる光が遮断されるようシャッター羽根25を走行させ、シャッター羽根25がイメージセンサー22に当たる光を遮断し始める前に、シャッター羽根25が移動開始から所定量の移動をしたことを検出し、さらに、シャッター羽根25がイメージセンサー22に当たる光を遮断し始める前に、シャッター羽根25の移動開始から所定量の移動を検出するまでの検出所要時間Tdと前述したタイミング補正量ΔTとに応じたリセットタイミングで、イメージセンサー22の露光量の垂直上方へのリセット走査を開始させるものである。この第2の実施形態のデジタルカメラ10では、図4の露光処理ルーチンに代えて図12の露光処理ルーチンが実行される。図7の補正量設定ルーチンも実行されるが、重複した説明を避けるためにその説明はできるだけ省略し、図12の露光処理ルーチンを中心に以下に説明する。図12のルーチンは、シャッターボタン80aの操作による撮影指令をメインコントローラー40が入力したときに実行される。なお、撮影指令をメインコントローラー40が入力するまでにシャッタースピードや絞り値,露出値などの撮影に関する各種設定値は設定されているものとする。
【0054】
図12の露光処理ルーチンが実行されると、メインコントローラー40のCPU42は、まず、設定された露光時間Texや図7の補正量設定ルーチンにより設定された前回撮影時までのシャッター走行の遅れの程度を反映したタイミング補正量ΔTなど露光処理に必要なデータを入力し(ステップS500)、入力した露光時間Texが時間閾値Trefより長いか否かを判定する処理を実行する(ステップS510)。ここで、露光時間Texは、シャッタースピードとして、ユーザーによる設定ボタン80bの操作により設定されたものや図示しない自動露出用設定ルーチンにより設定されたものなどを入力することができる。また、時間閾値Trefは、実施形態では、シャッター羽根25が移動開始から位置センサー25aの検出位置まで所定量を走行するタイミングから、イメージセンサー22への入光が遮断され始めるまでの、シャッター羽根25の走行に要する時間(個体差や経年変化を考慮すれば最短のもの)を予め実験などにより求め、こうして求めた時間以内で予め定められたシャッタースピード(露光時間)(例えば4000分の1秒)として設定されたものを用いるものとした。なお、こうしたシャッタースピード(露光時間)が複数ある場合には大きい方(例えば4000分の1秒と8000分の1秒とのうち4000分の1秒の方)を用いるものとした。この時間閾値Trefの意味については、改めて説明する。
【0055】
露光時間Texが時間閾値Trefより長いと判定されたときには、シャッター羽根25の走行(以下、シャッター走行ともいう)を開始した後にイメージセンサー22のリセット走査を開始すると露光時間Texを確保できないと判断し、露光時間Texに基づいてイメージセンサー22のリセット走査のリセットタイミングとシャッター羽根25の走行開始タイミングとを設定する(ステップS520)。ここで、リセットタイミングは、実施形態では、撮影指令を入力してからの撮像面22aの垂直方向位置毎(ライン毎)の時間として設定され、走行開始タイミングは、撮影指令を入力してからの時間として設定されるものとした。このリセットタイミングおよび走行開始タイミングは、実施形態では、露光時間Texとこの露光時間Texが得られるリセットタイミングおよび走行開始タイミングとの関係を予め実験や解析により定めてタイミング設定用マップとしてROM44に記憶しておき、露光時間Texが与えられると記憶したマップから対応するリセットタイミングと走行開始タイミングとを導出して設定するものとした。
【0056】
こうしてイメージセンサー22のリセット走査のリセットタイミングとシャッター羽根25の走行開始タイミングとを設定すると、設定したリセットタイミングによるイメージセンサー22の露光量のリセット走査を開始すると共に設定した走行開始タイミングでシャッター走行を開始して(ステップS530)、露光処理ルーチンを終了する。リセット走査は、パルス発生回路30と垂直駆動変調回路32とにそれぞれ制御信号を出力することにより行なわれる。シャッター走行の開始は、シャッター機構23に走行開始を指示する制御信号を出力することにより行なわれる。図13に、露光時間Texが時間閾値Trefより長い場合にリセット走査開始後にシャッター走行を開始したときの露光の様子の一例を示す。図中、横軸は時間を示し、縦軸は垂直方向位置を示す。縦軸上、下から順に開放状態でのシャッター先端位置(後幕開放位置),撮像面22aの下端,撮像面22aの上端,遮光状態でのシャッター先端位置(後幕遮光位置)が示されている。図示するように、時刻t11でリセット走査を開始し(一点鎖線参照)、その後に時刻t12でシャッター走行開始が指示されると(実線参照)、シャッター先端位置が撮像面22aの下端から上端まで移動する間は、シャッター先端位置の軌跡に対して露光時間Texが丁度確保されるように設定されたリセットタイミングに従ってリセット走査が実行される。そして、時刻t13でリセット走査が全てのラインについて終了すると、その後に時刻t14でシャッター走行が終了したラインから順にイメージセンサー22の読み出し走査が開始される(二点鎖線参照)。
【0057】
こうしてシャッター走行が終了したラインから読み出し走査が行なわれて全てのラインについて読み出し走査が終了すると(ステップS590)、露光処理ルーチンを終了する。露光処理ルーチンを終了すると、イメージセンサー22から読み出した信号をAFE28でデジタル変換して画像処理装置60により所定の画像処理を施して最終的に撮影画像の画像ファイルがメモリーカード50に保存される。こうした処理により、露光時間Texが時間閾値Trefより長い場合に、設定された露光時間Texによるイメージセンサー22の露光を行なうことができる。
【0058】
ステップS510で露光時間Texが時間閾値Tref以下であると判定されたときには、まずシャッター走行を開始すると共に(ステップS540)、位置センサー25aからオン信号としての検出信号が入力されるのを待ち(ステップS550)、位置センサー25aからオン信号としての検出信号を入力したときには、図示しないタイマーにより計時された時間を用いてシャッター走行開始を指示してからの経過時間として検出所要時間Tdを設定する(ステップS560)。なお、位置センサー25aが検出対象とするシャッター羽根25の移動についての所定量は、実施形態では、シャッター機構23の個体差や経年変化に起因するシャッター羽根25の走行の遅れや進みといった変化の傾向を把握するのに必要な移動量として予め実験などにより定められたものを用いている。
【0059】
続いて、露光時間Texに基づいてタイミング補正量ΔTと検出所要時間Tdとに応じたイメージセンサー22のリセットタイミングを設定する(ステップS570)。この設定は、実施形態では、まず、図7の補正量設定ルーチンのステップS240で補正量ΔT1を設定したのと同様に、補正量設定用マップに検出所要時間Tdを適用して今回撮影実行中の補正量ΔT0を設定し、設定した補正量ΔT0がタイミング補正量ΔTに反映されるように例えば補正量ΔT0とタイミング補正量ΔTとの平均値などとして求めたものによってタイミング補正量ΔTを更新する。即ち、前回撮影時までのシャッター走行の遅れの程度を反映したタイミング補正量ΔTに今回撮影実行中の補正量ΔT0を反映させることにより、最新のシャッター走行の遅れの程度が反映されたタイミング補正量ΔTに更新するのである。そして、露光時間Texと更新したタイミング補正量ΔTとこの露光時間Texが得られるリセットタイミングとの関係を予め実験や解析により定めてタイミング設定用マップとしてROM44に記憶しておき、露光時間Texとタイミング補正量ΔTとが与えられると記憶したマップから対応するリセットタイミングを導出して設定するものとした。このタイミング設定用マップでは、リセットタイミングは、露光時間Texが長いほど早いタイミングに設定されると共にタイミング補正量ΔTが大きい(今回の撮影時までに推定されたシャッター羽根25の移動動作が遅い)ほど遅いタイミングに設定されている。
【0060】
図14に、露光時間Texが時間閾値Tref以下の場合にシャッター走行開始後にリセット走査を開始したときの露光の様子の一例を示す。図中、シャッター先端位置について、実線は、シャッター機構23の個体差や経年変化(例えば、図示しない電磁石やスプリングの個体差や劣化など)により走行に遅れが生じている場合の軌跡を示し、破線は、デジタルカメラ10の出荷時などの基本的な状態で走行に進みや遅れが生じていない場合の基準例の軌跡を示す。また、図中、各種時刻や時間は実線の場合のものを示し、例えば、時刻t15でシャッター走行開始が指示され、その後に時刻t17でリセット走査が開始されている。図示するように、露光時間Texが時間閾値Tref以下の場合には、シャッター機構23の個体差や経年変化によるシャッター走行の遅れ時間や進み時間の露光時間Texに占める割合が大きいことから、シャッター機構23の個体差や経年変化が実際の露光時間に与える影響は大きくなる。このため、設定された露光時間Texが長いほどシャッター先端位置の軌跡に対して早いタイミングをリセットタイミングとして設定するだけでなく、位置センサー25aによる検出位置でのシャッター羽根25の検出タイミングが遅いほど、即ち検出所要時間Tdが長いほどリセットタイミングを遅くなるように調整するのである。図中、破線で示す基準例と実線の場合とを比較すると分かるように、シャッター走行を開始する時刻t15の後幕開放位置からシャッター先端位置が検出位置に到達する時刻t18までの時間Td1や、時刻t15の後幕開放位置からシャッター先端位置が撮像面22aの上端に到達する時刻t19までの時間Td2は、時刻t15から時刻t16までの検出所要時間Tdが長いほど長くなる傾向がある。実施形態では、こうした傾向を検出タイミングのズレとして捉えて露光時間を調整するのである。こうして位置センサー25aによる検出所要時間Tdとタイミング補正量ΔTとに応じてリセットタイミングを設定することにより、丁度の露光時間Texをより確実に確保することができる。なお、更新したタイミング補正量ΔTが大きいほど遅いタイミングにリセットタイミングを設定することは、更新したタイミング補正量ΔTが小さいほど早いタイミングにリセットタイミングを設定することになる。また、図示する時間閾値Trefの一例から分かるように、露光時間Texがこの時間閾値Trefより長い場合には位置センサー25aによる検出後にリセット走査を開始しても露光時間Texを確保することはできない。よって、時間閾値Trefは、位置センサー25aによる検出タイミング後にリセット走査を開始してもよいか否かを判断するためのもの、ということができる。
【0061】
こうしてリセットタイミングを設定すると、設定したリセットタイミングによるリセット走査を開始し(ステップS580)、最後に読み出し走査を行なって(ステップS590)、露光処理ルーチンを終了する。
【0062】
以上説明した第2の実施形態のデジタルカメラ10では、光が当たっているイメージセンサー22に当たる光が遮断されるようシャッター羽根25を走行させる。そして、シャッター羽根25がイメージセンサー22に当たる光を遮断し始める前に、シャッター羽根25が移動開始から所定量の移動をしたことを検出し、さらに、シャッター羽根25がイメージセンサー22に当たる光を遮断し始める前に、シャッター羽根25の移動開始から所定量の移動を検出するまでの検出所要時間Tdと前述したタイミング補正量ΔTとに応じたリセットタイミングで、イメージセンサー22の露光量の垂直上方へのリセット走査を開始させる。このように、シャッター羽根25の移動開始から所定量の移動を検出するまでの時間に応じたタイミングでイメージセンサー22の露光量のリセット走査を開始させるから、シャッター機構23の個体差により走行の仕方にバラツキがある場合や、シャッター機構23の経年変化により走行の仕方が変化した場合に、カメラ毎のシャッター走行の仕方に応じたタイミングでイメージセンサー22の露光量をリセットすることができ、イメージセンサー22を露光する時間をより適正なものとすることができる。
【0063】
上述した第2の実施形態では、時間閾値Trefとして、シャッター羽根25が移動開始後に位置センサー25aの検出位置まで所定量を走行してからイメージセンサー22への入光が遮断され始めるまでのシャッター羽根25の走行に要する時間以内で予め定められたシャッタースピード(露光時間)を用いるものとしたが、このシャッター羽根25の走行に要する時間をそのまま用いるものとしてもよいし、こうして定められたシャッタースピード(露光時間)より若干短い時間を用いるものとしてもよい。
【0064】
上述した第2の実施形態では、露光時間Texが時間閾値Tref以下の場合には、イメージセンサー22のリセットタイミングを、露光時間Texが長いほど早くなり且つ更新したタイミング補正量ΔTが大きいほど遅くなるタイミングに設定するものとした、即ち、露光時間Texが長いほど比例傾向に早くなり且つ更新したタイミング補正量ΔTが大きいほど比例傾向に遅くなるタイミングに設定するものとしたが、露光時間Texが長いほど階段状(段階的)に早くなるタイミングに設定するものとしてもよいし、更新したタイミング補正量ΔTが大きいほど階段状(段階的)に遅くなるタイミングに設定するものとしてもよい。
【0065】
上述した第2の実施形態では、シャッター羽根25が移動開始から所定量の移動したことを検出するセンサーとして、シャッター羽根25の先端が開放状態から移動開始して上方に所定量を走行して検出位置に到達することを検出する位置センサー25aを用いるものとしたが、これに代えて、例えばシャッター機構23の駆動アーム26aの回転位置を検出する回転位置センサーなどを用いるものとしてもよい。また、位置センサーは一つに限られず、複数の位置センサーを用いてこれらの検出結果に基づいてリセット走査の制御を行なってもよい。この場合、シャッター羽根25の移動終了側(撮像面22aの上端より上方側)の位置にも位置センサーを設けて、その位置センサーの検出結果を次の撮影時のリセット走査の制御に反映させてもよい。
【0066】
上述した第2の実施形態では、イメージセンサー22の全フォトダイオードを有効なものとして説明したが、複数のフォトダイオードの全てを有効なものとする必要はなく、一部領域(有効画素領域ともいう)のフォトダイオードを有効なものとしてもよい。この場合、有効画素領域を除く領域のフォトダイオードは、光が当たらないようによう覆いをしたり、電荷を読み出さないものとしたり、読み出された電荷や信号を無視したりする。そして、シャッター羽根25がイメージセンサー22の有効画素領域に当たる光を遮断し始める前に、シャッター羽根25が移動開始から所定量の移動をしたことを検出し、さらに、シャッター羽根25がイメージセンサー22の有効画素領域に当たる光を遮断し始める前に、シャッター羽根25の移動開始から所定量の移動を検出するまでの検出所要時間Tdとタイミング補正量ΔTとに応じたリセットタイミングで、イメージセンサー22の露光量の垂直上方へのリセット走査を開始させるようにすることができる。なお、シャッター羽根25が有効画素領域を除く領域のフォトダイオードに当たる光を遮断し始めた後に位置センサーによる検出やリセット走査の開始を行なっても構わない。
【0067】
上述した第2の実施形態では、さらに、第1の実施形態の別例として説明した内容のうち第2の実施形態の別例としても適用可能な内容を適用してもよいことはいうまでもない。例えば、タイミング補正量ΔTに代えて図10の補正量設定ルーチンにより設定されるタイミング補正量ΔT(y)を用いるものとしてもよいし、補正量ΔT2,ΔT3を用いずに補正量ΔT1と同じ値をそのままタイミング補正量ΔTとして設定するものとしてもよいし、図11の別のシャッター機構123に例示したように2つ以上の位置センサーを備えこれら複数の位置センサーによる検出タイミングに基づいてタイミング補正量ΔTを設定するものとしてもよいし、位置センサー25aによる検出タイミングが遅いほど階段状(段階的)に大きくなる補正量ΔT1を設定するようにしてタイミング補正量ΔTを設定するものとしてもよいし、リセット動作の位置を移動させる速度を(特にシャッター速度が短い場合に)変化させて例えば図14における一点鎖線の形状を実際のシャッターの動作に近似するように変化させるようにしてもよい。
【0068】
上述した2つの実施形態では、シャッター機構23はシャッター羽根25が垂直方向に走行するいわゆる縦走りであるものとしたが、イメージセンサー22の撮像面22a前方で所定方向に移動するものであれば、シャッター羽根が水平方向に走行するいわゆる横走りであるものとしてもよい。また、回転方向に走行するシャッターなど、他の構造のシャッターを用いてもよい。この場合、位置センサーの種類や取り付け位置はシャッター構造に応じて適宜選択すればよい。
【0069】
上述した2つの実施形態では、本発明をデジタルカメラ10に適用して説明したが、こうしたデジタルカメラのシャッター動作推定方法としてもよい。
【符号の説明】
【0070】
10 デジタルカメラ、20 電子撮像ユニット、21 撮影レンズ、21a 絞り機構、21b オートフォーカス機構、22 イメージセンサー、22a 撮像面、23,123 シャッター機構、24 地板、24a 開口、25 シャッター羽根、25a,125b,125c 位置センサー、26a 駆動アーム、26b 従動アーム、26c,26d 軸、28 アナログフロントエンド(AFE)、30 パルス発生回路、32 垂直駆動変調回路、40 メインコントローラー、42 CPU、44 ROM、46 RAM、48 フラッシュメモリー、50 メモリーカード、55 バッテリー、60 画像処理装置、70 表示制御装置、72 EVF、74 液晶モニター、80 操作ボタン群、80a シャッターボタン、80b 設定ボタン、80c 電源ボタン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光量に基づいて画像信号を生成する画像センサーと、
所定方向に移動して前記画像センサーに当たる光を遮断するシャッターと、
光が当たっている前記画像センサーに当たる光が遮断されるよう前記シャッターを移動させる移動制御部と、
前記シャッターが移動開始から所定量の移動をしたことを検出する移動検出部と、
前記移動検出部による検出タイミングに基づいて前記シャッターの移動動作を推定する動作推定部と、
を備えるデジタルカメラ。
【請求項2】
請求項1記載のデジタルカメラであって、
前回までに前記動作推定部により推定されたシャッターの移動動作に応じて前記画像センサーの前記所定方向への露光量のリセット走査を開始させるリセット制御部
を備えるデジタルカメラ。
【請求項3】
請求項2記載のデジタルカメラであって、
前記リセット制御部は、前回までに前記動作推定部により推定されたシャッターの移動動作に応じた速度変化で前記画像センサーの前記所定方向への露光量のリセット走査を動作させる、
デジタルカメラ。
【請求項4】
請求項2または3記載のデジタルカメラであって、
前記リセット制御部は、前回までに前記動作推定部により推定されたシャッターの移動動作に応じたタイミングで前記画像センサーの前記所定方向への露光量のリセット走査を開始させる、
デジタルカメラ。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1つの請求項に記載のデジタルカメラであって、
前記移動制御部は、前回までに前記動作推定部により推定されたシャッターの移動動作が所定の動作より遅い場合に該所定の動作より早い場合に比して早くなるタイミングで前記シャッターの移動を開始させる、
デジタルカメラ。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1つの請求項に記載のデジタルカメラであって、
前記動作推定部は、前回までに該動作推定部により推定したシャッターの移動動作と前記移動検出部による今回の検出タイミングとに基づいて今回の前記シャッターの移動動作を推定する、
デジタルカメラ。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1つの請求項に記載のデジタルカメラであって、
前記移動検出部は、前記シャッターが移動開始から第1所定量の移動および該第1所定量より大きい第2所定量の移動を含む複数量の移動をしたことをそれぞれ検出し、
前記動作推定部は、前記シャッターの複数量の移動についての複数の検出タイミングに基づいて前記シャッターの移動動作を推定する、
デジタルカメラ。
【請求項8】
露光量に基づいて画像信号を生成する画像センサーと、所定方向に移動して前記画像センサーに当たる光を遮断するシャッターと、を備えるデジタルカメラの動作推定方法であって、
(a)光が当たっている前記画像センサーに当たる光が遮断されるよう前記シャッターを移動させるステップと、
(b)前記シャッターが移動開始から所定量の移動をしたことを検出するステップと、
(c)前記ステップ(b)による検出タイミングに基づいて前記シャッターの移動動作を推定するステップと、
を含むデジタルカメラのシャッター動作推定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−191312(P2012−191312A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51445(P2011−51445)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】