説明

デジタルカメラ等の撮像装置に於ける撮像用光源適正化装置及び適正化方法

【目的】室内撮影、夜間撮影に使用されるストロボ等撮像用光源の調光が容易に可能で、背景と被写体との明るさのバランスや色温度管理が簡単に行えるデジタルカメラ等の撮像用装置に於ける撮像用光源適正化装置及び方法を提供する。
【構成】撮像用光源1の全面または一部に液晶等からなる光源適正化フィルター2を密着もしくはきわめて近接して配置し、該光源適正化フィルター2を電気的に制御することでパネルパターン14,15,16,17やカラーパターン18,19,20,21,または当該パネルパターンとカラーパターンの組み合わせ画像を光源適正化フィルター2に表示し、該光源適正化フィルター2に前記撮像用光源1の光を透過させて被写体22に照射するこことにより撮影画像の光量、光質、色温度の調光を容易に可能にした。

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明はデジタルカメラ等の撮像装置に於ける撮像用光源適正化装置及び方法に関するものであり、特に本発明にあっては、室内撮影、夜間撮影等に使用されるストロボ等撮像用光源の調光が容易に可能で、背景と被写体との色温度管理及び明るさのバランスが簡単に行えるデジタルカメラ等の撮像装置における撮像用光源適正化装置及び方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来装置の一例として、室内撮影並びに夜間撮影等に使用されるストロボ等撮像用光源の調光は、カメラ本体に内蔵された自動測光器が被写体をスポット的に測光したり、該被写体全域の明るさを測光して情報としてとらえ、カメラが被写体の明るさに応じてストロボの光量をコントロールし、シャッタースピードや絞りの制御を自動または半自動的にカメラが行い撮影ができるように構成されている。
【0003】しかし乍ら、室内撮影や夜間撮影等においてストロボの光量はコントロールできても、色彩(色温度)を的確につかみ、より自然な彩りをもった画像を得ることは、非常に難しく、撮影現場毎に、好ましくない、例えば極端に赤みがかった画像や青みがかった画像、が撮影されてしまう事が多い。
【0004】従って室内撮影や夜間撮影等に於いては、より自然な色彩と明るさを持つ画像を求めようとすれば、いまだにプロカメラマンの技術領域であって、被写体に照射する照明用光源を選択し、該光源を複数個準備して充分な光量を確保し、前記複数個の光源の光質をそれぞれフィルターにて変換して被写体を照射することで、より自然な光質や目的に合った光質を作り上げ、露出計にて画面全域の明るさの情報を得て、カメラのシャッタースピードや絞りのどちらかを優先して選択し、該選択に見合うストロボ等の光源の調光がなされるなど、長年の経験と蓄積されたノウ・ハウの下にのみ撮影が行われているのが現況である。
【0005】
【本発明が解決しようとする課題】而して本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであって、特に性能、画像処理の方法等、システムで進歩が著しいデジタルカメラにおいて、室内撮影や夜間撮影時等に長年の経験やノウ・ハウを特には必要とせず、ストロボ等撮像用光源の調光が簡単且つ容易に可能で、光量のコントロールはもとより、背景と被写体との明るさのバランス調整や色管理が簡単に行え、例えば、極端に赤みがかった画像や青みがかった画像となってしまうことがなく、より自然な色彩をもった画像を容易に得ることのできるデジタルカメラ等に於ける撮像用光源適正化装置及び方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のデジタルカメラ等の撮像装置に於ける撮像用光源適正化装置及び方法は、ストロボ等撮像用光源の全面または一部に液晶等から成る光源適正化フィルターを密着もしくはきわめて近接して配置する。
【0007】液晶等から成る光源適正化フィルターは、一例として超薄型の光透過型液晶カラーディスプレイを用いても良く、該カラーディスプレイを電気的に制御することでパネルパーターンやカラーパターンを表現でき、また該パネルパーターンやカラーパターンを組み合わせた画像をも、光源適正化フィルター内に作成可能な補助フィルターである。
【0008】前記光源適正化フィルターが前面側に配置されるストロボ等撮像用光源の光は、該液晶等から成る光源適正化フィルターを透過して被写体に照射させることにより、パネルパターンで光量の濃淡がつけられたり、またカラーパターンを通過することで光質に色合いをもたす事ができ、光量のコントロールはもとより、背景と被写体との明るさのバランス調整や色温度管理が行え、例えば極端に赤みがかった画像や青みがかった画像の撮影となってしまうことが防止でき、より自然な色彩をもった画像を得られる構成となる。
【0009】また本発明においては、光源適正化フィルター内に作成するパネルパターンやカラーパターンの作成方法は、予め、例えば、8から10種類ほどのパターンを記録させておき、該パターンを適宜に取り出したり、カメラ本体の任意個所や光源適正化フィルター前面に設けられるフィルター管理センサーによる測光や被写体に照射されている光源が、例えば蛍光灯、或いは一般家庭で使われている60W、100W等の白熱電球であるか、夜間撮影であれば月光やネオンサインであるか等の情報を加味して電気的に行われる。
【0010】従って本発明の他の実施例として、光源適正化フィルター内に作成されるパネルパターンやカラーパターン、またはその組み合わせパターン、はデジタルカメラの液晶モニターに写し出して撮影前に確認でき、また光源適正化フィルターの情報はデジタルカメラの液晶モニターに写し出されている被写体に重ねあわせることにより、光源適正化フィルターのパターンや被写体への照射光量分布や色合い調光の加減を液晶モニターにて確認した後、シャッターを切る方法も可能である。
【0011】
【実施例】以下、本発明に係るデジタルカメラ等に於ける撮像用光源適正化装置及び方法の実施例を図1乃至図3に基づき説明する。図1は撮像用光源と光源適正化フィルターの関連を示す説明図、図2は本発明の装置及び方法に使用されるフィルターパターン説明図、図3は本発明の装置を示す説明図である。
【0012】図1は本発明に使用されるストロボ等の撮像用光源1と光源適正化フィルター2の関連を示すものであって、光源適正化フィルター2は液晶等より成り、撮像用光源1の全面または一部に、密着もしくはきわめて近接して設置されている。
【0013】光源適正化フィルター2は、例えば出入りする光をコントロールするための偏光フィルター3,4、該偏光フィルター内部側にそれぞれ密着して設けられたガラス基板5,6、該ガラス基板5,6にサンドイッチされたカラーフィルター7、透明電極8,9、液晶10の分子を一定方向に並べる為の配向膜11,12、該ガラス基板5,6にサンドイッチされた液晶物質を均一なスペースに保つためのスペーサー13により構成されている。
【0014】而して該光源適正化フィルター2を作動させるには、透明電極8,9間に印加して電気的にコントロールすれば、図2の14,15,16,17の様な濃淡のパネルパターンが表現でき、該パネルパターン14,15,16,17はカラーフィルター7の働きで色にて表示できる。
【0015】図2の18,19,20,21はカラーパターンの一例であり、18は桃色のカラーパターン、19は紫色のカラーパターン、20はベージュ色のカラーパターン、21は緑色カラーパターンとなっており、前述のように透明電極8,9間に印加して電気的にコントロールすることで、光源適正化フィルター2内に色にて表示でき、前述のパネルパターン14,15,16,17と組み合わせ、またはそれぞれを単独で、使用することにより、いろいろなパターンを持つフィルターが間単に構成できる。
【0016】斯くして透過型の表示形態を持つ光源適正化フィルター2は、ストロボ等撮像用光源1を発光させると、光源適正化フィルター2を通過し、予め設定したパネルパターンやカラーパターンにて光質や光量及び光温度を変えることができ、該調光にて具体的撮影現場の、例えば光量不足などの、悪条件をクリアでき、自然に近い最良の撮影が可能となった。
【0017】図3は本発明の装置を示す説明図で22は人物等被写体、23,24,25は室内撮影等にて必要な光量を確保するための一般照明、26はデジタルカメラを示している。
【0018】デジタルカメラ26には、ケーシング内にレンズ部27、液晶モニター28、ストロボ等の撮像用光源1、光源適正化フィルター2、データ演算部29が設けられている。尚、符号30は、撮影現場の諸条件を感知するためのセンサーである。
【0019】撮影準備ができると、該センサー30が読み取った諸条件の下に、レンズ部27からデータ演算部29に明るさデータと色温度データが送られて来、該データ演算部29内にて図2に示すフィルターパターン中から現場条件にとって最適なものを選択または組合わせて光源適正化フィルター2内に表示する。
【0020】次にデジタルカメラ26のシャッターを切るとストロボ等の撮像用光源1が発光し、光源適正化フィルター2を通過して、予め設定したパネルパターンやカラーパターンにて光質や光量及び光温度を変えることが容易に可能となり、背景と被写体22との明るさのバランスや色温度管理が簡単にできる。
【0021】また本発明においては前記光源適正化フィルター2で表示されるパネルパターンやカラーパターン、またはその組み合わせパターン、はデジタルカメラ26の液晶モニター28にも写し出すことも可能であり、光源適正化フィルター2の状況は撮影前に液晶モニター28にて確認でき、また該液晶モニター28に被写体22を映し出し該画像に光源適正化フィルター2のパターン14,15,16・・・・を重ね合わせる事により、光源適正化フィルター2のパターン確認と、被写体22への照射光量分布や色合い調光の加減を撮影者が撮影前に目視して確認できる。
【0022】尚、本発明の他の実施例として、スチールカメラのストロボ内蔵型光源適正化装置やカメラアクセサリーとしてアタッチされるストロボ装置の光源適正化機構としての応用、あるいは写真引き伸ばし機の光源適正化機構としての利用、更には、ビデオカメラ等の動画撮像用光源適正化機構としての利用、なども可能であることは云うをまたない。
【0023】
【発明の効果】以上述べたように本発明に係るデジタルカメラ等に於ける撮像用光源適正化装置及び方法は、ストロボ等撮像用光源の全面または一部に液晶等から成る光源適正化フィルターを密着もしくはきわめて近接して配置する。液晶等から成る光源適正化フィルターは、一例として超薄型の光透過型液晶カラーディスプレイを用いても良く、電気的に制御することでパネルパターンやカラーパターンを表現でき、また該パネルパターンやカラーパターンを組み合わせて画像を光源適正化フィルター内に作成でき、該光源適正化フィルターを透過して被写体に照射されるストロボ光はパネルパターンで光量の濃淡が付けられたり、カラーパターンを透過することで光質に色合いをもたすこともでき、光量のコントロールはもとより、背景と被写体との明るさのバランス調整や色温度管理が簡単に行え、極端に赤みがかった画像や青みがかった画像などの不具合な結果が防止でき、より自然な色彩を持った画像が容易に得られる等顕著な特徴を有する。
【0024】また本発明は、一般照明前面に照明フィルターを付ける必要もなくなり、フィルターの効果確認をデジタルカメラの液晶モニターで確認することも可能であるため、該効果はデジタルカメラにおいて特に顕著な効果をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の撮像用光源と光源適正化フィルター説明図である。
【図2】本発明の装置に使用されるフィルターパターン説明図である。
【図3】本発明の一実施例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 撮像用光源
2 光源適正化フィルター
3、4 偏光フィルター
5,6 ガラス基板
7 カラーフィルター
8,9 透明電極
10,液晶
11,12 配向膜
13,スペーサー
14、15,16,17 パネルパターン
18,19,20,21 カラーパターン
22,被写体
23,24,25 一般照明
26,デジタルカメラ
27,レンズ部
28,液晶モニター
29,データ演算部
30,センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ストロボ等の撮像用光源の全面または一部に、液晶等からなる光源適正化フィルターを密着もしくはきわめて近接して配置し、該光源適正化フィルターを電気的に制御することで、パネルパターンやカラーパターンまたは当該パネルパターンとカラーパターンの組み合わせ画像を光源適正化フィルターに表示し、該光源適正化フィルターに前記撮像用光源の光を透過させ被写体に照射することにより、撮影画像の光量、光質、色温度の調光をすることを特徴とするデジタルカメラ等の撮像装置に於ける撮像用光源適正化装置。
【請求項2】 撮像用光源に直接又は少なくとも前面に配置される液晶等からなる光源適正化フィルターを電気的に制御し、各種パターンを前記光源適正化フィルターを介し前記撮像用光源を透過させ撮像画像の調光等をする、ことを特徴とするデジタルカメラ等の撮像装置に於ける撮像用光源適正化方法。
【請求項3】 光源適正化フィルターを電気的に制御することで得られるパネルパターンやカラーパターンまたは当該パネルパターンとカラーパターンの組み合わせ画像を前記光源適正化フィルターに表示すると共に、該同一画像をデジタルカメラ等の液晶モニターに表示し、撮影者が撮影前に光源適正化フィルターの状況を確認できるように構成したことを特徴とする請求項1記載のデジタルカメラ等の撮像装置に於ける撮像用光源適正化装置。
【請求項4】 光源適正化フィルターを電気的に制御することで得られるパネルパターンやカラーパターンまたは当該パネルパターンとカラーパターンの組み合わせ画像を前記光源適正化フィルターに表示すると共に、該同一画像をデジタルカメラ等の液晶モニターに表示される被写体画像と重ね合わせることで、撮影者が撮影前に光源適正化フィルターの状況を確認できるように構成したことを特徴とする請求項1記載のデジタルカメラ等の撮像装置に於ける撮像用光源適正化装置。
【請求項5】 前記デジタルカメラ等の撮像装置における撮像用光源適正化装置をカメラ外付けストロボ等撮像用光源として用いることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項6】 前記デジタルカメラ等の撮像装置における撮像用光源適正化装置を焼き付け用又は引き伸ばし用光源として用いることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項7】 前記デジタルカメラ等の撮像装置における撮像用光源適正化装置をビデオカメラ等の動画撮像用光源として用いることを特徴とする請求項1記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2003−186090(P2003−186090A)
【公開日】平成15年7月3日(2003.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−382699(P2001−382699)
【出願日】平成13年12月17日(2001.12.17)
【出願人】(501484840)
【Fターム(参考)】