説明

デジタル復調装置及びその制御方法

【課題】デジタル復調装置の周辺の受信状況に合わせて電力を最適に制御することにより、デジタル復調装置の消費電力を削減する。
【解決手段】本発明のデジタル復調装置2は、複数の処理部を有するチューナ4と、チューナ4が受信した受信信号に復調処理を施す復調器5と、前記複数の処理部に電力を供給する電力供給部12と、前記受信信号の受信状況を取得する受信状況取得部19と、現在地を取得する現在地取得部22と、現在地に対応する制御パラメータを取得する制御パラメータ取得部21と、受信状況取得部19が取得した受信状況と制御パラメータ取得部21が取得した制御パラメータとに基づき、電力供給部12が前記複数の処理部に供給する電力を制御する制御部6とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデジタル復調装置及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
変調されたデジタル信号を受信して復調する装置において、正確な復調信号を取得するためには、受信した信号を、復調処理を行うことができる形態に処理する複数の処理部へ供給する電力をある程度の大きさに確保しなければならない。必要な供給電力の大きさは、信号の受信状況に応じて異なる。例えばある処理部において、受信状況が良好でない場合には供給電力を大きくしなければならないが、受信状況が良好な場合には供給電力をそれほど大きくする必要はない。そこで、消費電力を低減するために、信号の受信状況に応じて処理部への供給電力を制御することが考えられる。
【0003】
信号の受信状況に応じて処理部への供給電力を制御するものとして、特許文献1のデジタル放送受信装置が開示されている。特許文献1のデジタル放送受信装置は、復調部において得られる受信状況に基づいて判定された受信信号に関する誤り訂正が可能な期間内において、デジタル放送受信装置の電力供給を制限する制御を行う。また、特許文献1のデジタル放送受信装置は、取得した位置情報から推定される受信状況に基づいて判定された信号に関する誤り訂正が可能な期間内でデジタル放送受信装置の電力供給を制限する制御を行う。
【0004】
また、特許文献1のデジタル放送受信装置と同様に信号の受信状況に応じて処理部への供給電力を制御するものとして、特許文献2の放送視聴端末装置が開示されている。特許文献2の放送視聴端末装置は、放送信号を受信する受信手段、前記受信手段により受信した放送信号から映像信号を抽出する抽出手段、前記抽出手段により抽出した映像信号を復号化する復号化手段、前記復号化手段により復号化された映像信号を表示画面に出力する出力手段、及び前記抽出手段と復号化手段と出力手段とを制御する制御手段を備え、前記制御手段は、前記抽出手段と前記復号化手段と前記出力手段のうちの少なくとも一つの手段を断続的に動作させる低電力放送視聴モードを含む複数の制御モードを有している。
【特許文献1】特開2006−66959号公報(平成18年3月9日公開)
【特許文献2】特開2006−32996号公報(平成18年2月2日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のデジタル放送受信装置では、送信局とデジタル放送受信装置の距離のみが電力制御の制御パラメータとして使用され、送信局からの距離に応じた受信信号電力の減衰のみを考慮して電力を制御している。しかしながら、実際の信号の受信状況は、送信局からの距離に応じた受信信号電力の減衰だけでなく、他のデジタル放送あるいはアナログ放送の送信局から送信される妨害波の影響、ビル、高架等の他の構造物による影響等も受ける可能性がある。そのため、送信局からの距離に応じた受信信号電力の減衰だけでなく、他のデジタル放送あるいはアナログ放送の送信局から送信される妨害波の影響、ビル、高架等の他の構造物による影響等を考慮した電力制御を行う必要がある。
【0006】
本発明では、位置情報に対応する制御パラメータを送信局からの距離に応じた受信信号電力の減衰だけでなく、他のデジタル放送あるいはアナログ放送の送信局から送信される妨害波の影響、ビル、高架等の他の構造物による影響等を考慮に入れて設定し、現在地に合った最適な制御パラメータによって電力制御を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のデジタル復調装置は、上記課題を解決するために、受信信号を、復調処理を行うことができる形態に処理する複数の処理部を有する処理手段と、前記処理手段が処理した受信信号に復調処理を施す復調手段と、前記複数の処理部に電力を供給する電力供給手段と、前記受信信号の受信状況を取得する受信状況取得手段と、デジタル復調装置の現在位置を示す現在地を取得する現在地取得手段と、前記現在地に対応する制御パラメータを取得する制御パラメータ取得手段と、前記受信状況取得手段が取得した受信状況と前記制御パラメータ取得手段が取得した制御パラメータとに基づき、前記電力供給手段が前記複数の処理部に供給する電力を制御する制御手段とを備え、前記制御パラメータは、前記現在地と送信局との位置関係に、前記現在地と前記受信信号に対する妨害波を送信する可能性がある他の送信局との位置関係、並びに前記現在地、前記送信局、及び前記受信信号を妨害しうる他の構造物との位置関係の少なくとも1つを加えたものに基づいて定められることを特徴とする。
【0008】
上記発明によれば、送信局からの距離に応じた受信信号電力の減衰だけでなく、他のデジタル放送あるいはアナログ放送の送信局から送信される妨害波の影響、ビル、あるいは高架等の他の構造物による影響等を考慮に入れて現在地に対応する制御パラメータを設定することが可能となり、現在地の受信状況に対して最適な制御パラメータにより電力制御を行うため、より効果的な電力削減が可能となるとともに、不適切なパラメータを用いた電力削減による受信妨害を防ぐことが可能となる。
【0009】
前記デジタル復調装置では、前記受信状況取得手段が取得した受信状況が、前記制御パラメータが示す基準よりも良好であると判定された場合に、前記制御手段は、前記電力供給手段が前記複数の処理部に供給する電力を削減してもよい。
【0010】
また、前記デジタル復調装置では、前記受信状況取得手段が取得した受信状況が、前記制御パラメータが示す基準よりも悪化していると判定された場合に、前記制御手段は、前記電力供給手段が前記複数の処理部に供給する電力を増加してもよい。
【0011】
さらに、前記デジタル復調装置では、前記制御パラメータによって、現在地の受信状況が、前記制御手段が前記複数の処理部へ供給する電力を制御することを許可できないほど悪いと示された場合に、前記制御手段は、前記複数の処理部へ供給する電力の制御を停止し、受信に必要な電力を維持してもよい。
【0012】
これらのように前記制御手段を構成することにより、前記制御手段は、前記受信状況取得手段の取得した現在地の受信状況に応じて前記複数の処理部に供給する電力を制御出来る。
【0013】
前記デジタル復調装置では、前記制御パラメータは、ある地点またはエリアに対応する、制御基準、デフォルト値、制御量、制御範囲、制御周期、制御可否のいずれか一つを含み前記デフォルト値及び前記制御範囲は、前記複数の処理部それぞれに定められ、前記制御基準、前記制御量、前記制御周期及び前記制御可否は、前記複数の処理部で共通に定められてもよい。
【0014】
これにより、前記制御手段は、前記受信状況取得手段が取得した受信状況と前記制御パラメータとに基づき、前記電力供給手段が前記複数の処理部に供給する電力を制御できる。
【0015】
本発明のデジタル復調装置の制御方法は、受信信号を、復調処理を行うことができる形態に処理する複数の処理部を有する処理手段と、前記処理手段が処理した受信信号に復調処理を施す復調手段と、前記複数の処理部に電力を供給する電力供給手段とを有するデジタル復調装置の制御方法であって、前記受信信号の受信状況を取得する受信状況取得ステップと、デジタル復調装置の現在位置を示す現在地を取得する現在地取得ステップと、前記現在地に対応する制御パラメータを取得する制御パラメータ取得ステップと、前記受信状況取得ステップが取得した受信状況と前記制御パラメータ取得ステップが取得した制御パラメータとに基づき前記複数の処理部に供給する電力を制御する制御ステップとを備え、前記制御パラメータは、前記現在地と送信局との位置関係に、前記現在地と前記受信信号に対する妨害波を送信する可能性がある他の送信局との位置関係、並びに前記現在地、前記送信局、及び前記受信信号を妨害しうる他の構造物との位置関係の少なくとも1つを加えたものに基づいて定められることを特徴とする。
【0016】
上記発明によれば、送信局からの距離に応じた受信信号電力の減衰だけでなく、他のデジタル放送あるいはアナログ放送の送信局から送信される妨害波の影響、ビル、あるいは高架等の他の構造物による影響等を考慮に入れて現在地に対応する制御パラメータを設定することが可能となり、現在地の受信状況に対して最適な制御パラメータにより電力制御を行うため、より効果的な電力削減が可能となるとともに、不適切なパラメータを用いた電力削減による受信妨害を防ぐことが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のデジタル復調装置及びその制御方法は、以上のように、受信信号の受信状況を取得し、デジタル復調装置の現在位置を示す現在地を取得し、前記現在地に対応する制御パラメータを取得し、前記受信状況と前記制御パラメータとに基づき、処理手段が有する複数の処理部に供給する電力を制御する。
【0018】
それゆえ、位置情報に対応する制御パラメータを送信局からの距離に応じた受信信号電力の減衰だけでなく、他のデジタル放送あるいはアナログ放送の送信局から送信される妨害波の影響、ビル、高架等の他の構造物による影響等を考慮に入れて設定し、現在地に合った最適な制御パラメータによって電力制御を行うことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の一実施形態について図1〜図7に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0020】
図1(a)は、本実施の形態に係る携帯通話装置1の外形図であり、図1(b)は、携帯通話装置1に設けられたデジタル復調装置2のブロック図である。
【0021】
本実施形態の携帯通話装置1はデジタル復調装置2を備えている。携帯通話装置1がアンテナ3から受信した受信信号Srは、デジタル復調装置2によって復調され、復調信号Sdとして出力される。そして、デジタル復調装置2の後段に設けられた図示しない処理装置により、復調信号Sdから文字や画像や音声やプログラムなどのデータに係る情報が取り出され、これらの文字や画像や音声やプログラムなどのデータが再現される。これらの文字、画像、あるいは音声は、携帯通話装置1に設けられた図示されていないディスプレイやスピーカなどを通じて携帯通話装置1の使用者に提供される。なお、デジタル復調装置2は、携帯通話装置の他、デジタルTV(Television)、無線LAN(Local Area Network)装置、無線LANを搭載したPC(Personal Computer)等に採用されてもよい。
【0022】
デジタル復調装置2は、チューナ4、復調器5及び制御部6を有している。また、チューナ4は、アンテナ3が受信した受信信号Srが入力され、受信信号Srに選局処理を施す。即ち、アンテナ3からの受信信号Srに含まれる複数のチャンネルに係る信号から1つのチャンネルに係る信号を選択する。そして、チューナ4は、選択した1つのチャンネルに係る信号を、IF(Intermediate Frequency:中間周波数)信号Siに変換し、復調器5へと出力する。復調器5は、チューナ4から出力されたIF信号Siが入力され、IF信号から復調信号Sd、例えばいわゆるTS(Transport Stream)信号を生成して外部に出力する。
【0023】
なお、デジタル復調装置2は、複数の処理部を備えている。下記において特に断りがない限り、各処理部は、複数の回路素子を備えてそれぞれ独立した機能を果たすように特化されたものであってもよいし、汎用のプロセッサ回路等と下記の各機能を果たすようにプロセッサ回路などのハードウェアを機能させるプログラムとからなるものでもよい。後者の場合には、ハードウェア及びプログラムが組み合わされることによって処理部が構築される。
【0024】
〔信号列〕
以下は、携帯通話装置1が受信する信号列についての説明である。携帯通話装置1が受信する信号列は、複数の搬送波によって搬送されたものである。以下においては、本実施形態の一例として、携帯通話装置1が受信する信号列の伝送方式にOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)方式が採用されているものが示されている。
【0025】
OFDM方式により伝送される信号列は、規定の長さを有する多数のシンボルが連なった信号列であり、1つのシンボルには複数の単位信号が重なり合って含まれている。これら複数の単位信号は、互いに周波数の異なる搬送波が、所定のデータ長のデータに応じて変調されたものである。また、各シンボルには、データが含まれている有効な部分以外に、ガードインターバルが含まれている。ガードインターバルは、有効部分の後端の一部分と全く同じ信号の成分を有しており、シンボルの先端に挿入されている。ガードインターバルは、信号列を送信する送信局から携帯通話装置1までの伝送経路に発生する複数のマルチパス波の影響を受信信号から取り除くために用いられる。なお、1つのシンボルに含まれる有効部分の長さは有効シンボル長と呼ばれる。
【0026】
さらに、OFDM方式により伝送される信号列には、複数のスキャッタードパイロット信号が含まれている。OFDM方式により伝送される信号列に含まれるスキャッタードパイロット信号は、信号列に含まれる単位信号を、時間方向及び周波数方向からなる平面に配置した場合に、周波数方向及び時間方向のそれぞれに関して等間隔に配列される。また、スキャッタードパイロット信号は、規定の符号法などで表される数列が所定の配置順で信号列内に挿入されたものである。つまり、スキャッタードパイロット信号は、信号列内の所定の配置順にスキャッタードパイロット信号が示す数値を取っていくと規定の符号法で表される数列が再現されるように、信号列内に配置されている。
【0027】
この他、本実施形態において想定される信号列には、信号列に発生する誤りを訂正する誤り訂正処理を施すためのインターリーブや各種の符号化が施されている。例えば、符号化には、リードソロモン符号(以下、「RS符号」と呼称)やビタビ符号が用いられる。また、インターリーブには、ビットインターリーブ、バイトインターリーブ及び時間インターリーブや周波数インターリーブがある。これらは、伝送信号に含まれる信号に対応するデータを時間的に並べ替えたり周波数的に並べ替えたりするものである。各種の符号化やインターリーブが施された信号列に、携帯通話装置1において後述の復号化処理やデインターリーブ処理が施されると、信号列に含まれる誤りが訂正され得る。
【0028】
なお、本実施形態において想定されている信号列は、例えば、日本の地上デジタル放送に適用され得るものである。日本の地上デジタル放送に係る信号の伝送方式には、ISDB−T(Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial)方式が採用されている。
【0029】
〔チューナ〕
図2は、チューナ4の構成を示すブロック図である。チューナ4はRFアンプ部7、ミキサ部8、VCO・PLL部9、フィルタ部10及びIFアンプ部11を有している。チューナ4に入力された受信信号Srは、RFアンプ部7によって増幅され、増幅された受信信号Srがミキサ部8へと出力される。一方、VCO・PLL部9は、ミキシング信号を生成する(選局処理)。上記ミキシング信号の周波数は、特定のチャンネルに対応する周波数である。VCO・PLL部9が生成したミキシング信号は、ミキサ部8へと出力される。そして、ミキサ部8は、RFアンプ部7から出力された増幅信号とVCO・PLL部9から出力されたミキシング信号とから、IF信号Siを生成する。IF信号Siの周波数は、IF周波数と称される。
【0030】
ミキサ部8が生成したIF信号Siは、フィルタ部10へと出力される。フィルタ部10は、ミキサ部8から出力されたIF信号Siから不要な信号成分を除去する。不要な信号成分が除去されたIF信号Siは、IFアンプ部11へと出力される。IFアンプ部11は、フィルタ部10から出力されたIF信号Siを増幅し、増幅されたIF信号Siを復調器5へと出力する。
【0031】
チューナ4はさらに、電力供給部12を有している。電力供給部12は、RFアンプ部7、ミキサ部8、フィルタ部10及びIFアンプ部11のそれぞれに電力を供給する(供給手段)。RFアンプ部7、ミキサ部8、フィルタ部10及びIFアンプ部11は、電力供給部12からの供給電力により動作するが、この供給電力は、後述する制御部6から電力供給部12に入力される電力設定値に基づき制御される。
【0032】
なお、電力供給部12は、VCO・PLL部9にも電力を供給する。しかし、VCO・PLL部9に供給する電力が、上記電力設定値に基づき制御されて小さくなると、VCO・PLL部9の動作が停止し、ひいてはデジタル復調装置2の動作が停止する可能性がある。従って、VCO・PLL部9に供給する電力は、上記電力設定値に基づく制御が行われない。
【0033】
表1に、電力設定値に対応した、RFアンプ部7、ミキサ部8、フィルタ部10及びIFアンプ部11の電流値を示す。ここで、表1に含まれる各電流値は、例えばIr1≧Ir2≧Ir3・・・≧Irn(<Ir1)を満たすように設定されている。即ち、電力設定値が大きい場合の電流値ほど値が小さくなるように設定されている。
【0034】
電力供給部12は、現在の電力設定値を示す1〜nのいずれか1つの数値を記憶している。そして、表1を参照して、現在の電力設定値に対応する電流値の電流を、RFアンプ部7、ミキサ部8、フィルタ部10及びIFアンプ部11に供給する。例えば、現在の電力設定値が2である場合、RFアンプ部7には電流Ir2、ミキサ部8には電流Im2、フィルタ部10には電流If1、IFアンプ部11には電流Ii1が供給される。また、電力供給部12は、制御部6から新たな電力設定値が出力された場合、この新たな電力設定値に基づき、RFアンプ部7、ミキサ部8、フィルタ部10及びIFアンプ部11に供給する電流を変化させる。これにより、RFアンプ部7、ミキサ部8、フィルタ部10及びIFアンプ部11への供給電力を制御している。
【0035】
【表1】

【0036】
〔復調器〕
以下は、復調器5についての説明である。図3は、復調器5の構成を示すブロック図である。復調器5は、ADC部13、AFC・シンボル同期部14、FFT部15、フレーム同期部16、波形等化部17及び誤り訂正部18を有している。チューナ4から出力されたIF信号Siは、ADC部13に入力される。ADC部13は、アナログ信号であるIF信号Siをデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号をAFC・シンボル同期部14へと出力する。
【0037】
AFC・シンボル同期部14は、ADC部13からのデジタル信号に対してAFCによる周波数補正処理を行い、IF信号Siの周波数のずれを補正する。そして、AFC・シンボル同期部14は、後述のFFT部15によるフーリエ変換の開始点、即ち、シンボル同期点を決定してシンボル同期を取ると共に、デジタル信号をFFT部15へと出力する。
【0038】
なお、ISDB−T方式において、有効シンボル長を示すモードには、有効シンボル長252μsを示すモード1、有効シンボル長504μsを示すモード2及び有効シンボル長1008μsを示すモード3がある。シンボル同期点の決定においては、マルチパス波の影響が最も少ない最適な受信が可能な点が同期点として設定される。このような同期点の決定方法として、信号の相関を参照する方法や、スキャッタードパイロット信号などのパイロット信号を用いて位相のずれを補正する方法等が用いられる。
【0039】
FFT(Fast Fourier Transform)部15は、AFC・シンボル同期部14からのデジタル信号をフーリエ(時間−周波数)変換する。このフーリエ変換には、いわゆる高速フーリエ変換(FFT)が一般的に用いられる。FFT部15は、フーリエ変換を施したデジタル信号をフレーム同期部16へと順次出力する。
【0040】
フレーム同期部16は、FFT部15から送られたデジタル信号におけるフレーム単位での同期をとる。1フレームは例えば204のシンボルからなり、1フレームの信号から1まとまりのTMCC情報が取得される。フレーム同期部16によって同期が取られたデジタル信号は波形等化部17へと出力する。
【0041】
波形等化部17は、デジタル信号に含まれるスキャッタードパイロット信号に基づき、フレーム同期部16によって同期が取られたデジタル信号に波形等化処理を施す(波形等化手段)。波形等化処理は、単位信号に生じたコンスタレーションの基準値からのずれを補正する、信号の補正処理の一種である。このようなコンスタレーションの基準値からのずれは主に、信号の伝送経路上で発生するノイズに起因して発生する。
【0042】
波形等化処理は以下のような手順でなされる。まず、波形等化部17は、フレーム同期部16からの信号列からスキャッタードパイロット信号を抽出する。一方で、波形等化部17は、スキャッタードパイロット信号に用いられている規定の符号法に基づく数列を示す信号を、基準信号として順に生成する。そして、生成した基準信号で抽出したスキャッタードパイロット信号を除算する。
【0043】
次に、波形等化部17は、上記の除算結果を時間方向及び周波数方向の両方向に関して補間する。かかる補間には、線形補間や最尤法などが用いられる。そして、波形等化部17は、フレーム同期部16からの信号列に含まれる各単位信号を、補間した数値で除算する。これによって、信号列に波形等化処理が施される。波形等化処理が施された単位信号は、所定のデータ長を有する各データにデマップされる。デマップされた結果は、誤り訂正部18へと出力される。
【0044】
一方で、波形等化部17は、信号列をデマップした際に、波形等化処理が施された信号列のコンスタレーションとコンスタレーションの基準値との差、つまり、MER(Modulation Error Ratio)を、単位信号ごとに計測する。MERは受信信号のコンスタレーションに関する誤差を示しており、かかる誤差は受信信号に含まれるノイズの量にほぼ相当する。なお、本実施形態においてMERは、その値が大きいほど受信信号の強度に対してノイズの量が小さいことを示すように算出されている。波形等化部17が計測した単位信号ごとのMER計測値は、波形等化処理が施された順に制御部6へと出力される。
【0045】
誤り訂正部18は波形等化部17からの信号に誤り訂正処理を施す。誤り訂正処理は、送信元において信号に施されたインターリーブ処理及び符号化処理に対応するデインターリーブ処理及び復号化処理からなる。種々のインターリーブ処理が施されたデジタル信号が、デインターリーブ処理によりインターリーブ処理を行う前のデジタル信号に戻されると共に、符号化処理が施されたデジタル信号が、復号化処理により符号化前のデジタル信号に戻される。これによって、伝送経路において信号に含まれることとなった各種の誤りが訂正される。また、誤り訂正部18は、デジタル信号に誤り訂正処理を施した際の誤りの訂正量を計測し、BER(Bit Error Rate;ビット誤り率)を算出してもよい。そして、算出されたBERが、制御部6へと出力されてもよい。
【0046】
以上のように復調器5によって復調処理が施されたデジタル信号がTS信号として復調器5から出力される。
【0047】
〔制御部〕
図4は、制御部6の構成を示すブロック図である。制御部6は、受信状況取得部19、供給電力制御部20、制御パラメータ取得部21、及び現在地取得部22を有している。
【0048】
受信状況取得部19は、復調器5の波形等化部17より出力されたMER測定値を受信状況として取得する。供給電力制御部20は、受信状況取得部19が取得した受信状況と制御パラメータ取得部21が取得した制御パラメータとを元に電力設定値を決定し、電力供給部12に上記電力設定値を出力する。制御パラメータ取得部21は、現在地取得部22が取得した現在地に対応する制御パラメータを制御パラメータデータベース23から取得する。なお、制御パラメータ取得部21は、制御パラメータを通信により外部から直接取得するように構成してもよい。
【0049】
本実施例においては、制御パラメータデータベース23は、図6に示すように、受信状況の類似した地点をまとめてエリアとし、上記エリア毎の制御パラメータを格納するものとしている。この格納形式は一例であり、これとは異なる形式によって制御パラメータを格納してもよい。
【0050】
なお、制御パラメータデータベース23は、制御部6の外部に構成され、制御パラメータ取得部21は、通信回線等を経由して制御パラメータデータベース23から上記制御パラメータを取得してもよい。あるいは、制御パラメータデータベース23は、制御部6の内部に構成されてもよい。また、制御パラメータデータベース23の代わりに、携帯通話装置1のメモリまたはHDD等の記憶装置に制御パラメータを格納する構成としてもよい。
【0051】
〔制御パラメータ〕
図5に制御パラメータデータベース23への制御パラメータ格納例を示す。制御パラメータは、各処理部の制御量、制御基準、デフォルト値、制御範囲、制御周期、及び制御可否で構成されている。また、図5に記載したエリアA〜Cは、後述する図6(a)のエリアA〜Cに対応している。
【0052】
制御基準の単位は、MERを受信状況の基準とする場合はdBとなる。図5においては、変調方式がQPSKの2/3である場合、即ち変調方式がワンセグ放送の変調方式である場合を想定している。
【0053】
また、電力値は、処理部により単位がmWやμWのように変化する。図5において、デフォルト値及び制御範囲に示す数値は、制御パラメータデータベース23が有する供給電力設定用レジスタの設定値であり、それぞれが1対1で電力値に対応するように設定されても良い。例えば、図5において、フィルタ部の1という数値が1mWに、2が2mWに、3が3mWに対応し、ミキサ部の1という数値が4mWに、2が6mWに、3が8mWに対応するように設定されても良い。また、制御量が1である場合、一度の制御で上記供給電力設定用レジスタの設定値を1から2、あるいは2から1のように変化させ、制御量が2である場合、一度の制御で上記供給電力設定用レジスタの設定値を1から3、あるいは3から1のように変化させる。
【0054】
本実施の形態では、制御周期は、1[フレーム]である。ここで述べたフレームとしては、例えばOFDMフレーム(204シンボル×有効シンボル長1.008ms=206ms)が用いられる。また、制御周期の単位として、フレームの他に、シンボル長あるいはミリ秒等の時間単位を用いてもよい。
【0055】
本実施の形態では、上記制御基準は、電力増加制御を行うか否かを判定するための増加閾値、及び電力減少制御を行うか否かを判定するための減少閾値により定義されている。また、上記制御範囲は、各処理部への供給電力の最大値及び最小値を定めることにより定義されている。
【0056】
また、本実施の形態では、表現を簡単にするために、一部の制御パラメータを複数の処理部で共通としているが、処理部毎に各制御パラメータを細分化してもよい。
【0057】
なお、ここで示した制御パラメータは一例であり、これとは異なる形式の制御パラメータを用いてもよい。
【0058】
制御パラメータは、3つの基準に基づいて定められる。1つ目の基準は、現在地と送信局との位置関係である。2つ目の基準は、現在地と受信信号に対する妨害波を送信する可能性がある他の送信局との位置関係である。3つ目の基準は、現在地、送信局、及び受信信号を妨害しうる他の構造物、即ち遮蔽物の位置関係である。図6(a)〜図6(c)は、同じ制御パラメータを用いるエリアをどのように定めるかを示す模式図である。以下、各基準における制御パラメータの定め方について説明する。
【0059】
図6(a)は、送信局からの距離を基にエリア区分を定めた場合の送信局及び各エリアを示す模式図である。図6(a)では、送信局24からの距離に応じてA、B及びCとエリアを区分している。即ち、エリアAは、送信局24に最も近いエリアであり、エリアBは、エリアAに次いで送信局24に近いエリアであり、エリアCは、エリアA、B及びCの中で送信局24から最も遠いエリアである。
【0060】
まず、エリアAにおいては、送信局24に最も近いので、受信信号の電力が大きく、受信状況が良好である。従って、デジタル復調装置が備えるチューナの各処理部への供給電力を大きく削減することが可能である。そのため、電力が下がりやすくなるように制御パラメータを設定することが可能である。エリアAにおける制御パラメータの設定例としては、以下に示す設定例1〜設定例4が考えられる。
【0061】
設定例1は、制御量を増やすことである。設定例2は、制御基準の減少閾値を小さくし、電力が下がりやすくすることである。制御基準の増加閾値は、常に減少閾値より小さい値となる。設定例2において減少閾値を小さくすることにより、減少閾値が増加閾値以下となる場合、増加閾値を小さくすることにより、減少閾値が増加閾値より大きくなるようにする。設定例3は、デフォルト値を下げることである。設定例4は、制御範囲の上限及び下限を下げることである。
【0062】
次に、エリアBにおいては、エリアAよりも距離が離れるため、受信信号の電力がより小さくなり、受信状況がやや劣化するため、ノイズの影響を受けずに確実に信号を受信するために、デジタル復調装置が備えるチューナの各処理部への供給電力の削減量を小さくする必要がある。そのため、エリアBにおける制御パラメータの設定例としては、以下に示す設定例5〜設定例8が考えられる。
【0063】
設定例5は、制御量を減らすことである。設定例6は、制御基準の減少閾値を大きくし、電力が下がりにくくすることである。設定例7は、デフォルト値を上げることである。設定例8は、制御範囲の上限及び下限を上げることである。
【0064】
最後に、エリアCにおいては、エリアBよりもさらに距離が離れるため、受信信号の電力がさらに小さくなり、受信状況が非常に劣化する。そのため、各処理部への供給電力の制御を停止し、ノイズの影響を受けずに確実に信号を受信するために必要な電力を維持する必要がある。そのため、制御パラメータは、供給電力の制御が許可されないことを示すように設定されることが考えられる。
【0065】
図6(b)は、受信信号に対する妨害波を送信する可能性がある他の送信局からの距離を基にエリア区分を定めた場合の妨害波送信局及び各エリアを示す模式図である。図6(b)では、妨害波送信局25から距離に応じてD、E及びFとエリアを区分している。即ち、エリアDは、妨害波送信局25に最も近いエリアであり、エリアEは、エリアDに次いで妨害波送信局25に近いエリアであり、エリアFは、エリアD、E及びFの中で妨害波送信局25から最も遠いエリアである。
【0066】
まず、エリアDにおいては、妨害波送信局25に最も近いので、妨害波の電力が大きく、受信状況が非常に劣化する。そのため、電力制御を停止し、各回路部品の性能を維持するのに必要な電力を維持する必要がある。そのため、制御パラメータは、供給電力の制御が許可されないことを示すように設定されることが考えられる。
【0067】
次に、エリアEにおいては、エリアDよりも妨害波送信局からの距離が離れるため、妨害波の電力がより小さくなり、受信状況の劣化の度合いがやや小さくなるが、妨害波の影響は受ける。そのため、各処理部が妨害波の影響に耐えうる線形性を維持するように制御パラメータを設定することが必要となる。そのため、RFアンプ部及びミキサ部のような特に線形性の影響を受けやすい処理部の制御パラメータに対して、以下の設定例9〜設定例12に示す設定をすることが考えられる。
【0068】
設定例9は、制御量を減らすことである。設定例10は、制御基準の減少閾値を大きくし、電力が下がりにくくすることである。設定例11は、デフォルト値を上げることである。設定例12は、制御範囲の上限及び下限を上げることである。
【0069】
最後に、エリアFにおいては、エリアEよりもさらに妨害波送信局からの距離が離れるため、妨害波の電力がさらに小さくなり、受信状況が良好となる。そのため、RFアンプ部及びミキサ部のような特に線形性の影響を受けやすい処理部の制御パラメータに対しても、以下の設定例13〜設定例16に示す設定をすることが可能となる。
【0070】
設定例13は、制御量を増やすことである。 設定例14は、制御基準の減少閾値を小さくし、電力が下がりやすくすることである。設定例2と同様に、減少閾値が増加閾値以下となる場合、増加閾値を小さくすることにより、減少閾値が増加閾値より大きくなるようにする。設定例15は、デフォルト値を下げることである。 設定例16は、制御範囲の上限及び下限を下げることである。
【0071】
図6(c)は、送信局と、受信信号を妨害する可能性がある他の構造物、即ち遮蔽物との位置関係を基にエリア区分を定めた場合の送信局、遮蔽物及び各エリアを示す模式図である。
【0072】
まず、エリアGは、遮蔽物26によって送信局24から送信される受信信号が妨害されるエリアを示している。エリアGにおいては、受信電力が小さくなり、受信状況が非常に劣化する。そのため、エリアBの場合における設定例5〜設定例8のように、電力が下がりにくくなるように制御パラメータを設定するか、エリアCの場合のように、制御パラメータが供給電力の制御が許可されないことを示すように設定され、ノイズの影響を受けずに確実に信号を受信するために必要な電力を維持する必要がある。
【0073】
次に、エリアHは、遮蔽物26によって送信局24から送信される受信信号が妨害されないエリアを示している。エリアHにおいては、受信電力が大きく、受信状況が良好であるため、エリアAの場合における設定例1〜設定例4のように、電力が下がりやすくなるように制御パラメータを設定することが可能である。
【0074】
このように、受信状況に応じて定めたエリア毎に、制御パラメータの設定を定めることにより、送信局からの距離による受信信号の減衰、他の送信局から送信される可能性のある妨害波の影響、他の構造物による受信信号への影響を考慮して、現在地に合った最適な制御パラメータによって電力制御を行うことが可能である。制御パラメータを定める際には、これらの基準を組み合わせてもよい。また、ここで示した制御パラメータの設定方法は一例であり、これとは異なる方法を用いてもよい。
【0075】
〔制御部の処理〕
図7は、制御部6の各機能部が実行する処理を示すフローチャートである。図7のフローチャートに示される処理は、制御部6による供給電力の制御を実行させるための条件が満たされた場合に実行される。例えば、制御部6による供給電力の制御は、携帯通話装置1によって特定の放送の受信が開始されたタイミングで実行される。
【0076】
まず、制御部6は、電力供給部12にデフォルトの電力設定値を送信する(ステップS1)。このデフォルトの電力値は、一般的にチューナ4の特性が最もよくなる値が選ばれる。そして、制御部6は、一定時間待機する(ステップS2)。
【0077】
次に、現在地取得部22は、デジタル復調装置2の現在地を取得する(ステップS3)。現在地取得部22は、現在地を取得するためにGPSを用いてもよい。また、現在地取得部22は、通信回線を経由して現在地を取得してもよい。
【0078】
次に、制御パラメータ取得部21は、制御パラメータデータベース23から現在地に対応する制御パラメータを取得し(ステップS4)、供給電力制御部20は、制御パラメータ内の制御可否項目をチェックする(ステップS5)。制御可否項目が「×(否)」であり、供給電力の制御が許可されない場合(ステップS5においてNである場合)、電力値をデフォルト値に設定して終了する(ステップS10)。制御可否項目が「○(可)」であり、供給電力の制御が許可された場合(ステップS5においてYである場合)、受信状況取得部19は、復調器5からMER計測値を取得する(ステップS6)。供給電力制御部20は、MER計測値と制御パラメータ内の増加閾値とを比較する(ステップS7)。
【0079】
MER計測値が増加閾値以下である場合(ステップS7においてYである場合)、供給電力制御部20は、制御パラメータ内で設定された制御量に従って処理部への供給電力を増加し(ステップS11)、ステップS9に進む。MER計測値が増加閾値より大きい場合(ステップS7においてNである場合)、供給電力制御部20は、MER計測値と制御パラメータ内の減少閾値とを比較する(ステップS8)。
【0080】
MER計測値が減少閾値以上である場合(ステップS8においてYである場合)、供給電力制御部20は、制御パラメータ内で設定された制御量に従って処理部への供給電力を減少し(ステップS12)、ステップS9に進む。
【0081】
MER計測値が増加閾値より大きく、かつ減少閾値より小さい場合(ステップS7においてYである場合)、何らかの割り込み動作等により、電力制御を終了する必要があるかどうかを確認し(ステップS9)、供給電力の制御を続行する場合(ステップS9においてNである場合)はステップS2に戻り、供給電力の制御を終了する場合(ステップS9においてYである場合)は、電力値をデフォルト値に設定して終了する(ステップS10)。ステップS9における割り込み動作としては、放送信号の受信そのものを終了する場合、選局を行う場合等が考えられる。
【0082】
〔その他の変形例〕
以上は、本発明の好適な実施形態についての説明であるが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、課題を解決するための手段に記載された内容の限りにおいて様々な変更が可能なものである。
【0083】
例えば、上述の実施の形態においては、チューナ4の各処理部に供給される電流が制御されているが、電圧が制御されてもよい。
【0084】
また、上述の実施形態においては、波形等化部17において測定されるMERに基づいて受信状況が良好か否かが判定されている。しかし、誤り訂正処理も、波形等化処理と同様に、受信信号を正確に復調するためになされる補正処理の一つである。従って、誤り訂正部18において誤り訂正処理が実行された際にBERが算出され、かかるBERに基づいて受信状況が良好か否かが判定されてもよい。地上デジタル放送の場合は、RS符号の復号処理時に誤りを訂正されたビット数を算出し、誤り訂正されたビット数の復号化したデータ全体のビット数に対する割合を算出することによりBERを求めることが出来る。
BERの場合は、ある基準値に対してBERが大きければエラーが多いため受信状況が悪く、BERが小さければエラーが少ないため受信状況が良くなり、C/N比に対応するように換算を行うMERとは、上下関係が逆になる。
【0085】
なお、本実施形態は、文字、画像、プログラムなどのデータ、及び音声の少なくとも1つの再現処理を行うデジタルテレビジョン等の様々なデジタル受信装置に採用され得る。このようなデジタル受信装置は、復調処理が施された信号列から文字、画像、プログラムなどのデータ、音声等に係る情報を取得し、これらの文字等の再現処理を行う。この構成によると、適切に復調処理が施された信号列から文字等の再現処理がなされるため、再現処理の精度が向上する。
【0086】
〔実施形態の総括〕
本発明の実施形態に係るデジタル復調装置は、受信信号を、復調処理を行うことができる形態に処理する複数の処理部を有するチューナ4と、チューナ4が処理した受信信号に復調処理を施す復調器5と、前記複数の処理部に電力を供給する電力供給部12と、前記受信信号の受信状況を取得する受信状況取得部19と、デジタル復調装置の現在位置を示す現在地を取得する現在地取得部22と、前記現在地に対応する制御パラメータを取得する制御パラメータ取得部21と、受信状況取得部19が取得した受信状況と制御パラメータ取得部21が取得した制御パラメータとに基づき、電力供給部12が前記複数の処理部に供給する電力を制御する制御部6とを備え、前記制御パラメータは、前記現在地と送信局との位置関係に、前記現在地と前記受信信号に対する妨害波を送信する可能性がある他の送信局との位置関係、並びに前記現在地、前記送信局、及び前記受信信号を妨害しうる他の構造物との位置関係の少なくとも1つを加えたものに基づいて定められる。
【0087】
上記構成によれば、送信局からの距離に応じた受信信号電力の減衰だけでなく、他のデジタル放送あるいはアナログ放送の送信局から送信される妨害波の影響、ビル、あるいは高架等の他の構造物による影響等を考慮に入れて現在地に対応する制御パラメータを設定することが可能となり、現在地の受信状況に対して最適な制御パラメータにより電力制御を行うため、より効果的な電力削減が可能となるとともに、不適切なパラメータを用いた電力削減による受信妨害を防ぐことが可能となる。
【0088】
前記デジタル復調装置では、受信状況取得部19が取得した受信状況が、前記制御パラメータが示す基準よりも良好であると判定された場合に、制御部6は、電力供給部12が前記複数の処理部に供給する電力を削減してもよい。
【0089】
また、前記デジタル復調装置では、受信状況取得部19が取得した受信状況が、前記制御パラメータが示す基準よりも悪化していると判定された場合に、制御部6は、電力供給部12が前記複数の処理部に供給する電力を増加してもよい。
【0090】
さらに、前記デジタル復調装置では、前記制御パラメータによって、現在地の受信状況が、制御部6が前記複数の処理部へ供給する電力を制御することを許可できないほど悪いと示された場合に、制御部6は、前記複数の処理部へ供給する電力の制御を停止し、受信に必要な電力を維持してもよい。
【0091】
これらのように制御部6を構成することにより、制御部6は、受信状況取得部19の取得した現在地の受信状況に応じて前記複数の処理部に供給する電力を制御出来る。
【0092】
前記デジタル復調装置では、前記制御パラメータは、ある地点またはエリアに対応する、制御基準、デフォルト値、制御量、制御範囲、制御周期、制御可否のいずれか一つを含み前記デフォルト値及び前記制御範囲は、前記複数の処理部それぞれに定められ、前記制御基準、前記制御量、前記制御周期及び前記制御可否は、前記複数の処理部で共通に定められてもよい。
【0093】
これにより、前記制御手段は、前記受信状況取得手段が取得した受信状況と前記制御パラメータとに基づき、前記電力供給手段が前記複数の処理部に供給する電力を制御できる。
【0094】
本発明の実施形態に係るデジタル復調装置の制御方法は、受信信号を、復調処理を行うことができる形態に処理する複数の処理部を有するチューナ4と、チューナ4が処理した受信信号に復調処理を施す復調器5と、前記複数の処理部に電力を供給する電力供給部12とを有するデジタル復調装置の制御方法であって、前記受信信号の受信状況を取得する受信状況取得ステップと、現在地を取得する現在地取得ステップと、現在地に対応する制御パラメータを取得する制御パラメータ取得ステップと、前記受信状況取得ステップが取得した受信状況と前記制御パラメータ取得ステップが取得した制御パラメータとに基づき前記複数の処理部に供給する電力を制御する制御ステップとを備え、前記制御パラメータは、前記現在地と送信局との位置関係に、前記現在地と前記受信信号に対する妨害波を送信する可能性がある他の送信局との位置関係、並びに前記現在地、前記送信局、及び前記受信信号を妨害しうる他の構造物との位置関係の少なくとも1つを加えたものに基づいて定められる。
【0095】
上記発明によれば、送信局からの距離に応じた受信信号電力の減衰だけでなく、他のデジタル放送あるいはアナログ放送の送信局から送信される妨害波の影響、ビル、あるいは高架等の他の構造物による影響等を考慮に入れて現在地に対応する制御パラメータを設定することが可能となり、現在地の受信状況に対して最適な制御パラメータにより電力制御を行うため、より効果的な電力削減が可能となるとともに、不適切なパラメータを用いた電力削減による受信妨害を防ぐことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明のデジタル復調装置及びその制御方法は、受信信号の受信状況を取得し、現在地を取得し、前記現在地に対応する制御パラメータを取得し、前記受信状況と前記制御パラメータとに基づき、受信手段が有する複数の処理部に供給する電力を制御できるので、携帯電話などの通信機器に好適に利用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】図1(a)は、本発明の実施の形態に係る携帯通話装置の外形図であり、図1(b)は、上記携帯通話装置に設けられたデジタル復調装置のブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るチューナの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る復調器の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る制御部の構成を示すブロック図である。
【図5】制御パラメータデータベースへの制御パラメータ格納例を示す図である。
【図6】図6(a)は、送信局からの距離をもとにエリア区分を定めた場合の送信局及び各エリアを示す模式図であり、図6(b)は、受信信号に対する妨害波を送信する可能性がある他の送信局からの距離を基にエリア区分を定めた場合の妨害波送信局及び各エリアを示す模式図であり、図6(c)は、送信局と遮蔽物との位置関係を基にエリア区分を定めた場合の送信局、遮蔽物及び各エリアを示す模式図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る制御部が実行する処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0098】
1 携帯通話装置
2 デジタル復調装置
3 アンテナ
4 チューナ(処理手段)
5 復調器(復調手段)
6 制御部(制御手段)
7 RFアンプ部
8 ミキサ部
9 VCO・PLL部
10 フィルタ部
11 IFアンプ部
12 電力供給部(電力供給手段)
13 ADC部
14 AFC・シンボル同期部
15 FFT部
16 フレーム同期部
17 波形等化部
18 誤り訂正部
19 受信状況取得部(受信状況取得手段)
20 供給電力制御部
21 制御パラメータ取得部(制御パラメータ取得手段)
22 現在地取得部(現在地取得手段)
23 制御パラメータデータベース
24 送信局
25 妨害波送信局
26 遮蔽物
S1〜S12 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信信号を、復調処理を行うことができる形態に処理する複数の処理部を有する処理手段と、
前記処理手段が処理した受信信号に復調処理を施す復調手段と、
前記複数の処理部に電力を供給する電力供給手段と、
前記受信信号の受信状況を取得する受信状況取得手段と、
デジタル復調装置の現在位置を示す現在地を取得する現在地取得手段と、
前記現在地に対応する制御パラメータを取得する制御パラメータ取得手段と、
前記受信状況取得手段が取得した受信状況と前記制御パラメータ取得手段が取得した制御パラメータとに基づき、前記電力供給手段が前記複数の処理部に供給する電力を制御する制御手段とを備え、
前記制御パラメータは、前記現在地と送信局との位置関係に、前記現在地と前記受信信号に対する妨害波を送信する可能性がある他の送信局との位置関係、並びに前記現在地、前記送信局、及び前記受信信号を妨害しうる他の構造物との位置関係の少なくとも1つを加えたものに基づいて定められることを特徴とするデジタル復調装置。
【請求項2】
前記受信状況取得手段が取得した受信状況が、前記制御パラメータが示す基準よりも良好であると判定された場合に、前記制御手段は、前記電力供給手段が前記複数の処理部に供給する電力を削減することを特徴とする請求項1に記載のデジタル復調装置。
【請求項3】
前記受信状況取得手段が取得した受信状況が、前記制御パラメータが示す基準よりも悪化していると判定された場合に、前記制御手段は、前記電力供給手段が前記複数の処理部に供給する電力を増加することを特徴とする請求項1に記載のデジタル復調装置。
【請求項4】
前記制御パラメータによって、現在地の受信状況が、前記制御手段が前記複数の処理部へ供給する電力を制御することを許可できないほど悪いと示された場合に、前記制御手段は、前記複数の処理部へ供給する電力の制御を停止し、受信に必要な電力を維持することを特徴とする請求項1の何れかに記載のデジタル復調装置。
【請求項5】
前記制御パラメータは、ある地点またはエリアに対応する、制御基準、デフォルト値、制御量、制御範囲、制御周期、制御可否のいずれか一つを含み、
前記デフォルト値及び前記制御範囲は、前記複数の処理部それぞれに定められ、
前記制御基準、前記制御量、前記制御周期及び前記制御可否は、前記複数の処理部で共通に定められることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のデジタル復調装置。
【請求項6】
受信信号を、復調処理を行うことができる形態に処理する複数の処理部を有する処理手段と、
前記処理手段が処理した受信信号に復調処理を施す復調手段と、
前記複数の処理部に電力を供給する電力供給手段とを有するデジタル復調装置の制御方法であって、
前記受信信号の受信状況を取得する受信状況取得ステップと、
デジタル復調装置の現在位置を示す現在地を取得する現在地取得ステップと、
前記現在地に対応する制御パラメータを取得する制御パラメータ取得ステップと、
前記受信状況取得ステップが取得した受信状況と前記制御パラメータ取得ステップが取得した制御パラメータとに基づき前記複数の処理部に供給する電力を制御する制御ステップとを備え、
前記制御パラメータは、前記現在地と送信局との位置関係に、前記現在地と前記受信信号に対する妨害波を送信する可能性がある他の送信局との位置関係、並びに前記現在地、前記送信局、及び前記受信信号を妨害しうる他の構造物との位置関係の少なくとも1つを加えたものに基づいて定められることを特徴とするデジタル復調装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−81721(P2009−81721A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−250046(P2007−250046)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】