説明

デジタル放送受信装置

【課題】ユーザに対して好適な番組情報を提示することが可能なデジタル放送受信装置を提供する。
【解決手段】本発明のデジタル放送受信装置は、テレビジョン放送波に含まれる所定の情報を取得する情報取得部を備えている。また、電源部が起動してデジタル放送受信装置が所定の起動状態となったことを検知する電源監視部を備えている。また、電源監視部が上述の検知を行った時刻を計時部により取得し、この時刻を示す起動時刻情報を記録する起動時刻取得部を備えている。また、所定の長さの時間を複数の時間帯に分別し、電源監視部が上述の検知を行った回数を時間帯毎に算出する算出部を備えている。また、起動検知回数が所定の閾値を超える時間帯を判別し、判別した時間帯から所定時間だけ早い時刻に情報取得を実施するよう情報取得部を制御する取得制御部を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル放送受信装置に関するものであり、特に放送波に含まれる番組情報に基づいて番組情報表示を行うデジタル放送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル技術の多機能化、多様化により、ワイドテレビやハイビジョンテレビ等の様々なデジタル放送受信装置が普及している。これらのデジタル放送受信装置として、ブラウン管や液晶モニタ等の表示装置に受信放送を表示する他に、番組情報を表示する番組情報表示機能を備えたものが開発されている。
【0003】
番組情報の表示は、例えばデジタル放送波に含まれるEPG(Electronic Program Guide)と呼ばれるテレビ番組表を用いて行う。EPGを用いることによりユーザは、番組内容の参照、出演者やジャンルによる番組検索、又は録画予約等を容易に行うことが可能である。
【0004】
上記に関連して特許文献1においては、電源投入時刻予測手段により予測した時刻に番組情報取得手段の電源部をオン状態に制御することにより、デジタル放送受信モジュールの電源が投入起動されてからEPGを取得するまでの待ち時間を短縮するテレビジョン放送受信装置が開示されている。
【0005】
また上記に関連して特許文献2においては、ユーザの視聴履歴をもとに、ユーザが興味のある番組が多く頻繁に視聴する機会が多い放送局を判別し、この判別結果に基づいた順番でEPGスキャンを実行してEPGを表示するデジタル放送受信装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−191815号公報
【特許文献2】特開2006−50455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の特許文献1や特許文献2の放送受信装置は、電源の起動タイミングやEPGスキャンのスキャン方法については開示されているが、EPGを表示するためのEPG情報(=番組情報)の取得タイミングに関しては開示も示唆もなされていない。
【0008】
従来、EPG情報の取得は、毎日の決められた時刻に定期的に実行するのが通常である。このため、実行時刻とユーザがEPGを閲覧する時刻に大きな開きがある場合、例えば既に放送が終了した古いEPG情報が表示されたり、緊急特番の追加が反映されなかったりする可能性があった。この場合、ユーザは最新のEPG情報を表示するための手動操作を行う必要があり、使い勝手が悪いという問題があった。
【0009】
また、ユーザがEPG情報の再取得を手動で実行した場合、再取得の実行開始から処理完了までにユーザの待ち時間が発生するという問題があった。
【0010】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、ユーザに対してより好適な内容のEPGを提示することが可能なデジタル放送受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明のデジタル放送受信装置は、テレビジョン放送波の受信及び選局を行う放送受信部と、情報を記録する記録部と、時刻を計時する計時部と、電源電圧の供給を行う電源部と、前記放送受信部により受信されたテレビジョン放送波から予め定められた種別の情報を取得する情報取得部とを備えたデジタル放送受信装置において、前記電源部の状態を監視する電源監視部と、前記電源部が起動して予め定められた状態となったことを前記電源監視部が検知した場合に、前記検知が行われた時刻を前記計時部により取得し、該時刻を示す起動時刻情報を生成して前記記録部に記録する起動時刻取得部と、時間を予め定められた複数の時間帯に分けて管理するとともに、前記起動時刻情報に基づいて、前記検知が行われた回数を示す起動検知回数を時間帯毎に算出する算出部と、前記起動検知回数が予め定められた閾値を超える時間帯を判別し、該時間帯から予め定められた時間だけ早い時刻に情報の取得を実施するよう前記情報取得部を制御する取得制御部とを備えたことを特徴としている。
【0012】
この構成によると、本発明のデジタル放送受信装置は、テレビジョン放送波の受信及び選局を行う放送受信部と、記録部と、計時部と、電源部とを備えている。また、テレビジョン放送波に含まれる所定の情報、例えば番組情報等を取得する情報取得部を備えている。また、電源部が起動してデジタル放送受信装置が所定の起動状態となったことを検知する電源監視部を備えている。また、電源監視部が上述の検知を行った時刻を計時部により取得し、この時刻を示す起動時刻情報を記録する起動時刻取得部を備えている。また、所定の長さの時間を複数の時間帯に分別し、電源監視部が上述の検知を行った回数(=起動検知回数)を時間帯毎に算出する算出部を備えている。算出部は例えば、一日(=二十四時間)を一時間毎に二十四の時間帯に分別し、一時間毎の起動検知回数を算出する。また本発明のデジタル放送受信装置は、起動検知回数が所定の閾値を超える時間帯を判別し、判別した時間帯から所定時間だけ早い時刻、例えば一時間前に情報取得を実施するよう情報取得部を制御する取得制御部を備えている。このように、ユーザがデジタル放送受信装置を起動する頻度の高い時間帯の所定時間前に各種情報を取得して更新することにより、最新の情報をユーザに提示する可能性を高めることができる。
【0013】
また、上記目的を達成するために本発明のデジタル放送受信装置は、前記情報取得部が、前記放送受信部により受信されたテレビジョン放送波から番組情報を取得し、前記取得制御部が、前記起動検知回数が予め定められた閾値を超える時間帯から予め定められた時間だけ早い時刻に、番組情報の取得を実施するよう前記情報取得部を制御する。
【0014】
この構成によると、情報取得部はテレビジョン放送波から番組情報、例えばEPG情報等を取得する。また取得制御部は、算出部により算出された時間帯から所定時間だけ早い時刻に番組情報を取得するよう、情報取得部を制御する。このように、ユーザがデジタル放送受信装置を起動する頻度の高い時間帯の所定時間前に番組情報を更新することにより、最新の番組情報を表示する可能性を高めることができる。
【0015】
また、上記目的を達成するために本発明のデジタル放送受信装置は、前記取得制御部が、前記算出部により算出された各時間帯における前記起動検知回数の、分布状況に基づいて前記閾値を決定する。
【0016】
この構成によると、取得制御部は、算出部により算出された時間帯毎の起動検知回数の分布状況を調査する。そしてこの調査結果に基づいて、起動検知回数が多い時間帯を判別するために用いる閾値を算出する。例えば、分布状況を示すグラフを引数とする関数を予め作成し、この関数による演算を行うことにより、閾値を算出する。
【0017】
また、上記目的を達成するために本発明のデジタル放送受信装置は、前記取得制御部が、前記算出部により算出された各時間帯における前記起動検知回数の、平均値を算出して前記平均値を前記閾値とする。
【0018】
この構成によると、取得制御部は、算出部により算出された時間帯毎の起動検知回数の平均値を求める。そしてこの平均値を、起動検知回数が多い時間帯を判別するために用いる閾値とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、頻繁に番組情報の取得を行うことなく、効率的に最新の番組情報をユーザに提示することができる。このため、古い内容のEPGが表示され、番組の内容と実際の放送番組とに食い違いが生じる等の不具合を回避することができる。
【0020】
また本発明によれば、番組情報をユーザが手動で取得する場合と比較して、番組情報取得完了までの待ち時間が発生する確率を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係るデジタル放送受信装置が備える機能部の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るデジタル放送受信装置を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るEPG情報取得処理を示すフロー図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るEPG表示画面の一例を示した画面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るEPG情報取得タイミングの一例を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、ここで示す実施形態は一例であり、本発明はここに示す実施形態に限定されるものではない。
〈1.内部構成について〉
【0023】
図2は、本発明の一実施形態に係るテレビジョン装置1(=デジタル放送受信装置)の内部構成を示すブロック図である。なお、図2における矢印線は画像情報及び音声情報の流れを示している。また、矢印のない直線は、制御部11が各装置に対する制御信号等を送受信するための通信バスを示している。
【0024】
テレビジョン装置1は少なくとも、制御部11、メモリ12、操作部13、フラッシュメモリ14(=記録部)、放送受信部15、外部入力部16、A/D変換部17、信号処理部18、D/A変換部19、音声信号出力部20、スピーカ21、画像再生部22、画像信号出力部23、ディスプレイ24、時計回路25(=計時部)、及び電源部26を含むように構成されている。
【0025】
制御部11は、テレビジョン装置1の各部材の駆動を制御することにより、放送波の受信や、受信した放送波に含まれるデータの表示処理等を統括制御するためのものである。制御部11は例えば、複数のマイクロプロセッサから構成されている。また制御部11は、制御部11が備える演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現される機能部として、後述するEPG取得部11a〜取得制御部11e(図1)を備えている。
【0026】
メモリ12は、テレビジョン装置1が保持する各種情報を一時的に記録する媒体であり、例えば書き込み可能なRAM(Random Access Memory)等により構成されている。メモリ12は、例えば制御部11によって各種情報処理が行われる際の処理情報や、ユーザから受けた指示命令等を一時的に記録しておくためのバッファメモリとしての役割を持つ。
【0027】
操作部13は、ユーザが番組の選局等を行うための各種指示をテレビジョン装置1に対して行うためのものである。操作部13により出力された指示は、制御部11により受け付けられる。指示を受け付けた制御部11は、指示の内容に基づいて選局処理や設定変更処理等を行う。
【0028】
フラッシュメモリ14は、EEPROMの一種で、デバイスの利用者が書き込み/消去可能なROMである。フラッシュメモリ14は回路基板に実装したままで書き込み/消去ができるため、利用時に書き換えが必要な用途、例えば機器の動作設定情報や、利用者固有の情報等を保存するのに用いられる。また本実施形態では、EPG情報等を記録するのにも用いられる。
【0029】
放送受信部15は、外部のアンテナ(不図示)に接続されてデジタル放送、又はアナログ放送の選局、受信、周波数変換、増幅、復調等を行う。放送受信部15は、アナログ方式であればアナログチューナ、画像中間周波増幅回路、復調回路、及び増幅回路等を含むように構成されている。またデジタル方式であれば、デジタルチューナ、及び誤り訂正部等を含むように構成されている。
【0030】
放送受信部15に含まれるデジタルチューナは、中間周波信号の増幅及び検波を行うことにより、MPEG2方式のデジタル信号であるTS(=トランスポートストリーム)の取得を行う。なおTSとは、複数の番組の音声PES(Packetized Elementary Stream)、画像PES、及び付加情報を固定長のTSパケットに分割してつなぎ合わせたものである。取得されたTSは、信号分離部18へ与えられる。
【0031】
外部入力部16は、例えばコンポジット信号を入力するRCA入力端子やS信号を入力するS端子等の、複数の外部入力端子からなる入力インタフェースである。外部入力部16はこれらの外部接続端子を用いて、テレビジョン装置1と外部の記録再生装置、例えばDVDプレーヤやビデオレコーダ等を接続し、画像信号及び音声信号を入力する。
【0032】
A/D(Analog/Digital)変換部17は、放送受信部15及び外部入力部16から入力された信号がコンポジット信号等のアナログ信号である場合に、デジタル信号に変換する。なお、入力された信号がデジタル信号である場合は変換を行わず、入力した信号をそのまま次の信号処理部18に出力する。
【0033】
信号処理部18は、TSを入力し、音声情報を含む音声デジタル信号と、画像情報を含む画像デジタル信号とに分離する多重分離部である。具体的には例えば、放送受信部15より生成されたTSを、TSパケットに分割する。そしてTSパケットを番組毎に再結合することにより、音声/画像のPESを生成する。
【0034】
そしてPESを結合することにより、ES(Elementary Stream=符号化された音声データ、画像データ)を生成する。さらに信号処理部18はESの復号を行い、デジタル信号に変換する。復号により得られた音声デジタル信号はD/A変換部19、画像デジタル信号は画像再生部22へ与えられる。
【0035】
また信号処理部18は、TSに含まれるPSI(Program Specific Information)/SI(Service Information)といった付加情報の取得を行う。PSI/SIは、画像や音声とは別のPID(Packet ID=パケット識別子)を持つTSパケットであり、TSにどのような番組が存在し、TSに含まれる各ESがどの番組に属しているかを示すデータを伝送するのに用いられる。
【0036】
PSI/SIとしては例えば、チャネル情報を管理するためのPAT(Program Association Table)やPMT(Program Map Table)等が存在する。また、番組情報を配信するためのEIT(Event Information Table)やSDT(Service Description Table)等が存在する。信号処理部18は、取得したこれらのデータを制御部11に与える。
【0037】
D/A変換部19は、音声デジタル信号の復号化を行い、音声信号出力部20に与える。音声信号出力部20は、スピーカ21を用いて、音声アナログ信号を音声に変換して出力する。なおこの際、音声信号出力部20は制御部11から受けた指示に基づいて出力音量の設定を行う。
【0038】
画像再生部22は、画像デジタル信号の復号化を行い、画像信号出力部23に与える。画像信号出力部23は、与えられた画像信号をNTSC方式等の画像信号に変換し、ディスプレイ24を用いて表示する。なおこの際、画像信号出力部23は、制御部11から受けた指示に基づいて出力画像のブライトネスやシャープネス等の設定を行う。
【0039】
時計回路25は、現在の時刻を計時するための回路であり、例えば所定の周波数による発振出力を行う水晶振動子を用いて計時を行う。また時計回路25は、時刻情報だけではなく、現在の月日や曜日といった暦に関連する暦情報の管理を行う機能も備える。
【0040】
電源部26は、外部電源(不図示)より電力の供給を受け、テレビジョン装置1の各部に対して電源電圧を与える。電源部26は、例えば外部電源より電力供給を受けるための電源コードを接続する接続端子や、電源回路等を含んでいる。
〈2.機能部の構成について〉
【0041】
ここで、本発明の一実施形態に係るテレビジョン装置1においてEPG取得処理を実施するための各機能部の関係を、図1のブロック図を用いながら説明する。
【0042】
図1に示すように本発明のEPG取得処理は、EPG取得部11a(=情報取得部)、電源監視部11b、起動時刻取得部11c、算出部11d、及び取得制御部11eにより実施される。
【0043】
EPG取得部11aは、信号処理部18がTSより取得したPSI/SIの解析を行うことにより、EPGを表示するためのEPG情報(=番組情報)を取得する。具体的には、PSI/SIの一種であるSDTに含まれているコンテント記述子等を用いて、EPG情報を取得する。そして取得したEPG情報を、フラッシュメモリ14に記録する。
【0044】
電源監視部11bは、電源部26の起動状態を常に監視する。電源監視部11bは、例えば電源部26の電圧を測定することにより、その起動状態を判別する。そして電源部26の電源が起動され、且つディスプレイ24に電力が供給されて画面表示が開始された状態(以下、「ON状態」という)となった場合に、起動時刻取得部11cに対して検知通知を行う。
【0045】
なお電源監視部11bは、電源部26が所定電圧以上で起動していても、ディスプレイ24による画面表示が行われていない場合、例えば自動EPG取得処理や予約録画処理のように画面表示がなされない処理が実施されている場合は、起動時刻取得部11cに対して上述の検知通知を行わない。
【0046】
起動時刻取得部11cは、電源監視部11bより上述の検知通知を受けた場合に、検知通知を受けた時刻(以下、「起動検知時刻」という)を時計回路25により取得する。そして取得した起動検知時刻を示す起動時刻情報を生成して、フラッシュメモリ14に記録する。
【0047】
なお起動時刻取得部11cは、起動検知時刻が取得されるたびに起動時刻情報に新たな起動検知時刻を追加し、起動時刻情報の更新を行う。起動時刻情報に含める過去の起動検知時刻は、所定期間を経過すれば消去する形態でもよいし、消去は行わずに永続的に記録する形態でもよい。
【0048】
算出部11dは、起動時刻取得部11cが生成した起動時刻情報から、時間帯毎の起動検知回数の分布状況を算出する。具体的には例えば、まず一日を一時間毎に二十四の時間帯に分割する。そして一時間毎の起動検知回数の統計を取る。なお、統計の対象とする起動検知時刻に関して、例えば直近一週間や直近十日間等の所定期間内の起動検知時刻のみを対象とする形態でもよいし、過去の起動検知時刻の全てを対象とする形態でもよい。
【0049】
例えば図5は、一日を一時間毎に二十四の時間帯に区分し、各時間帯における直近一週間の起動検知回数の統計を取ったグラフ図である。図5においては、横軸が時間軸を、縦軸が時間帯毎の起動検知回数を示している。
【0050】
取得制御部11eは、算出部11dが算出した結果から、起動検知回数が他の時間帯と比較して多い時間帯(以下、「頻繁起動時間帯」という)を判別する。例えば図5の例では、起動検知回数が予め定められた閾値を超える七時台、十二時台、及び十七時台を、頻繁起動時間帯として判別する。
【0051】
なお、頻繁起動時間帯の判別に用いる閾値は固定値でもよいし、所定の計算式により随時算出して変更してもよい。例えば、時間帯毎の起動検知回数の平均値を一日おきに算出し、この平均値を閾値とする形態でもよい。
【0052】
或いは、閾値を用いずに頻繁起動時間帯を判別する形態でもよい。例えば時間帯毎の起動検知回数を引数とする関数を作成し、この関数により起動検知回数が他の時間帯と比較して突出して多い時間帯を求め、該当する時間帯を頻繁起動時間帯とする形態でもよい。
【0053】
さらに取得制御部11eは、判別した頻繁起動時間帯に基づき、EPG情報を取得する時刻又は時間帯(以下、「取得タイミング」という)を決定する。そして取得タイミングが到来した時点で、EPG情報の取得指示をEPG取得部11aに与える。
【0054】
取得タイミングの決定方法としては、頻繁起動時間帯から所定時間前、例えば一時間前を取得タイミングとする。例えば図5の例では、頻繁起動時間帯である七時台、十二時台、及び十七時台に対してそれぞれ一時間ずつ早い六時台、十一時台、及び十六時台が、取得タイミングとして決定される。
【0055】
〈3.EPG表示画面について〉
ここで、本発明の一実施形態に係るテレビジョン装置1により表示されるEPG表示画面について、図4の画面図を用いながら説明する。
【0056】
図4は、ディスプレイ24に表示されるEPG表示画面50の一例を示した画面図である。図4に示すEPG表示画面50は少なくとも、EPG部51、メニュー部52、及びカーソル53を含むように構成されている。EPG部51は、図4に示す例では、4Ch〜10Chの四チャネルと、六時〜十時までの五時間分のEPGが含まれている。各チャネル欄の右側には、放送予定番組の番組名が時間単位で表示されている。
【0057】
ユーザはテレビジョン装置1に付属するリモコン(不図示)や操作部13を操作することにより、メニュー部52に含まれる各種処理の実行指示を行ったり、カーソル53を移動させて各種処理の実行対象番組を変更したりすることが可能である。
〈4.EPG取得処理について〉
【0058】
ここで、本発明の一実施形態に係るテレビジョン装置1によるEPG取得処理を、図3のフロー図を用いながら説明する。
【0059】
図3は、本発明の一実施形態に係るEPG取得処理の処理フローを示したフローチャートである。図3に示す本処理は、テレビジョン装置1の待機電源が駆動している状態において、任意のタイミングで開始することが可能である。
【0060】
本処理の開始後、電源監視部11bはステップS110において、テレビジョン装置1がON状態となったことを検知したか否かを判定する。検知していない場合、後述するステップS120に移行する。検知した場合、起動時刻取得部11cはステップS111において、時計回路25による時刻取得を行う。そして取得した時刻を起動検知時刻として、フラッシュメモリ14に記録されている起動時刻情報に追加する。なお起動時刻情報が記録されていない場合は、起動時刻情報を新規作成する。
【0061】
次に算出部11dはステップS120において、頻繁起動時間帯の算出タイミングが到来したか否かを判定する。なお頻繁起動時間帯の算出タイミングは、固定値又はユーザ設定値により定められて設定情報としてフラッシュメモリ14に記録されているものとする。例えば毎日の午前零時を算出タイミングとすることにより、定期的に頻繁起動時間帯の算出を実施する。
【0062】
算出タイミングが到来していない場合、後述するステップS130に移行する。算出タイミングが到来した場合、算出部11dはステップS121において、フラッシュメモリ14より起動時刻情報を読み出す。次に算出部11dはステップS122において、読み出した起動時刻情報から、時間帯毎の起動検知回数の分布状況を算出する(図5)。
【0063】
次に取得制御部11eはステップS123において、分布状況から頻繁起動時間帯を判別する。さらに取得制御部11eはステップS124において、判別した頻繁起動時間帯から、EPG情報の取得タイミングを決定する。そして決定した取得タイミングを、フラッシュメモリ14に記録する。
【0064】
次に取得制御部11eはステップS130において、取得タイミングが到来したか否かを判定する。取得タイミングが到来していない場合、後述するステップS140に移行する。取得タイミングが到来した場合、取得制御部11eはステップS131において、EPG情報の取得指示をEPG取得部11aに与える。
【0065】
これを受けたEPG取得部11aは、デジタル放送信号に含まれるTSから、最新のEPG情報を取得する。なおこの際、放送受信部15や信号処理部18に対する電源電圧の供給が行われていない場合、EPG取得部11aは電源部26に対して電源電圧の供給指示を与える。そして一時的な起動状態に移行した後、EPG情報の取得を行う。
【0066】
次に電源監視部11bはステップS140において、電源部26に対する電源停止指示、つまり主電源断の指示が検知されたか否かを判定する。検知されていない場合、再びステップS110に移行する。電源停止指示が検知された場合、待機状態を維持できなくなるため、本処理を終了する。
【0067】
以上に説明した本実施形態によれば、過去の起動検知時刻の統計に基づいてユーザがテレビジョン装置1を使用する頻度が高い時間帯を判別し、この時間帯の所定時間前にEPG情報を取得する。このため、頻繁にEPG情報を取得することなく、且つ最新のEPGをユーザに提示する可能性を高めることができる。従って、古いEPGが表示され、EPGの内容と実際の放送番組とに食い違いが生じる確率を低減することができる。
【0068】
また本実施形態によれば、取得タイミングを決定してEPG情報の自動取得を行うため、EPG情報取得処理によるユーザの待ち時間が発生しない。
[その他の実施の形態]
【0069】
以上、好ましい実施の形態及び実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【0070】
従って本発明は、以下の形態にも適用可能である。
【0071】
(A)上記実施形態では、起動検知回数が閾値を超えた時間帯の一時間前をEPG情報の取得タイミングとしているが、何時間前を取得タイミングとするかの取り決めは運用の形態にあわせて適宜変更可能である。例えば三十分前に取得したり、十五分前に取得したりする形態でもよい。また時間帯の分割の仕方についても、上記実施形態のように一時間毎ではなく、三十分毎や十五分毎に分割する形態でもよい。またこれらの時間に関連する設定をユーザより受け付け、受け付けた設定に基づいて動作する形態でもよい。
【0072】
(B)上記実施形態では、閾値の決定方法として時間帯毎の起動検知回数の平均値を取ることによって行っているが、これ以外の方法で閾値を決定する形態でもよい。例えば、起動検知回数の分布状況を示すグラフを引数とする関数を作成し、この関数により閾値を算出する形態でもよい。また閾値を一定に固定しない形態でもよい。例えば一日を深夜、早朝、昼間等の区分に分け、区分毎に異なる算出方法で閾値を決定する形態でもよい。
【0073】
(C)上記実施形態では、電源部26がON状態となった時点で無条件に起動検知数のカウントアップを行っているが、ON状態が所定時間、例えば五分以上継続した場合のみカウントアップし、それ以下ではカウントアップしない形態でもよい。
【0074】
(D)上記実施形態では、決定した取得タイミングに取得するデータとしてEPG情報を例に説明を行っているが、TSに含まれるこれ以外のデータを、取得タイミングにおいて取得する形態でもよい。また、データを取得する対象としてデジタル放送以外の配信サービスを用いる形態でもよい。例えば、デジタルメディアサーバが配信する情報を対象とし、デジタルメディアサーバが配信するコンテンツメニューを取得する場合において、取得タイミングの決定処理及び情報取得処理を実施する形態でもよい。
【0075】
(E)上記実施形態では、デジタル放送受信装置の一例としてテレビジョン装置1を例に挙げているが、これ以外のデジタル放送受信装置を用いて本発明を実施する形態でもよい。例えば、HDD(Hard Disk Drive)レコーダ、DVD(Digital Versatile Disc)レコーダ、VCR(Video Cassette Recorder)、STB(Set Top Box)等を用いる形態であってもよい。
【0076】
(F)上記実施形態では、本発明のEPG取得処理に関わる各種機能部が、制御部11の備える演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現されているが、各種機能部が複数の回路により実現される形態でもよい。また、各機能部が複数の演算装置で分割されて実現される形態でもよい。例えば電源監視部11bが、制御部11とは別に独立して動作する副制御部(不図示)により実現される形態でもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 テレビジョン装置(デジタル放送受信装置)
11 制御部
11a EPG取得部(情報取得部)
11b 電源監視部
11c 起動時刻取得部
11d 算出部
11e 取得制御部
14 フラッシュメモリ(記録部)
15 放送受信部
25 時計回路(計時部)
26 電源部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレビジョン放送波の受信及び選局を行う放送受信部と、
情報を記録する記録部と、
時刻を計時する計時部と、
電源電圧の供給を行う電源部と、
前記放送受信部により受信されたテレビジョン放送波から予め定められた種別の情報を取得する情報取得部とを備えたデジタル放送受信装置において、
前記電源部の状態を監視する電源監視部と、
前記電源部が起動して予め定められた状態となったことを前記電源監視部が検知した場合に、前記検知が行われた時刻を前記計時部により取得し、該時刻を示す起動時刻情報を生成して前記記録部に記録する起動時刻取得部と、
時間を予め定められた複数の時間帯に分けて管理するとともに、前記起動時刻情報に基づいて、前記検知が行われた回数を示す起動検知回数を時間帯毎に算出する算出部と、
前記起動検知回数が予め定められた閾値を超える時間帯を判別し、該時間帯から予め定められた時間だけ早い時刻に情報の取得を実施するよう前記情報取得部を制御する取得制御部とを備えたこと
を特徴とするデジタル放送受信装置。
【請求項2】
前記情報取得部が、前記放送受信部により受信されたテレビジョン放送波から番組情報を取得し、
前記取得制御部が、前記起動検知回数が予め定められた閾値を超える時間帯から予め定められた時間だけ早い時刻に、番組情報の取得を実施するよう前記情報取得部を制御する、
請求項1に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項3】
前記取得制御部が、前記算出部により算出された各時間帯における前記起動検知回数の、分布状況に基づいて前記閾値を決定する、
請求項1に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項4】
前記取得制御部が、前記算出部により算出された各時間帯における前記起動検知回数の、平均値を算出して前記平均値を前記閾値とする、
請求項1に記載のデジタル放送受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−245770(P2010−245770A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−91291(P2009−91291)
【出願日】平成21年4月3日(2009.4.3)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】